特許第6877895号(P6877895)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6877895-追跡センサ 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6877895
(24)【登録日】2021年5月6日
(45)【発行日】2021年5月26日
(54)【発明の名称】追跡センサ
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/095 20060101AFI20210517BHJP
   A61M 25/09 20060101ALI20210517BHJP
【FI】
   A61M25/095
   A61M25/09 500
   A61M25/09 516
【請求項の数】30
【外国語出願】
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-120529(P2016-120529)
(22)【出願日】2016年6月17日
(65)【公開番号】特開2017-6670(P2017-6670A)
(43)【公開日】2017年1月12日
【審査請求日】2019年5月24日
(31)【優先権主張番号】14/743,256
(32)【優先日】2015年6月18日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】バディム・グリナー
(72)【発明者】
【氏名】アサフ・ゴバリ
【審査官】 中村 一雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−264533(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第01953865(EP,A1)
【文献】 特開平11−067522(JP,A)
【文献】 特開2005−317674(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 25/095
A61M 25/09
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
追跡センサであって、
フェライト粉末を収容するチューブを含み、副鼻腔形成術用のガイドワイヤ内に配置される、概ね剛性のフェライトコアと、
前記チューブの周りに巻き付けられるコイルと、
を備え、前記フェライト粉末は、前記チューブ内で圧縮されている、追跡センサ。
【請求項2】
結合材料を更に備え、前記チューブが前記結合材料を更に収容する、請求項1に記載の追跡センサ。
【請求項3】
前記チューブが1mm未満の最大横断面スパンを有する、請求項1に記載の追跡センサ。
【請求項4】
装置であって、
医療用器具と、
前記医療用器具の遠位部分に配設された少なくとも1つの追跡センサであって、
フェライト粉末を収容するチューブを含む概ね剛性のフェライトコア、及び、
前記チューブの周りに巻き付けられるコイル、を備える、追跡センサと、
を備え、前記フェライト粉末は、前記チューブ内で圧縮されており、
前記医療用器具がガイドワイヤを備え、前記追跡センサが前記ガイドワイヤの管腔内に配設されている、装置。
【請求項5】
ガイドワイヤを被験者に挿入することと、
前記追跡センサを使用して、磁場に反応して信号を発生させることと、
前記信号に反応して、プロセッサを使用して前記ガイドワイヤを追跡することと、
を含む、方法で使用される、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記ガイドワイヤを追跡することが、前記ガイドワイヤの位置を確認することを含む、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記ガイドワイヤを追跡することが、前記ガイドワイヤの配向を確認することを含む、請求項5に記載の装置。
【請求項8】
前記ガイドワイヤを前記被験者に挿入することが、前記被験者の鼻孔を通して前記ガイドワイヤを挿入することを含む、請求項5に記載の装置。
【請求項9】
前記方法が、前記医療用器具を使用して、前記被験者に対して副鼻腔形成処置を行うことを更に含む、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
副鼻腔形成術用のガイドワイヤ内に配置される概ね剛性のフェライトコアであって、
フェライト粉末と、
1mm未満の最大横断面スパンを有する、前記フェライト粉末を収容するチューブと、
を備え、前記フェライト粉末は、前記チューブ内で圧縮されている、概ね剛性のフェライトコア。
【請求項11】
前記チューブが実質的に最大限充填されている、請求項10に記載のフェライトコア。
【請求項12】
結合材料を更に備え、前記チューブが前記結合材料を更に収容する、請求項10に記載のフェライトコア。
【請求項13】
前記フェライト粉末及び前記結合材料が前記チューブ内で互いに混合されている、請求項12に記載のフェライトコア。
【請求項14】
前記チューブの前記最大横断面スパンが0.5mm未満である、請求項10に記載のフェライトコア。
【請求項15】
前記チューブの前記最大横断面スパンが0.3mm未満である、請求項14に記載のフェライトコア。
【請求項16】
前記フェライト粉末が鉄カルボニルを含む、請求項10に記載のフェライトコア。
【請求項17】
前記フェライトコアの中心長手方向軸線が直線ではない、請求項10に記載のフェライトコア。
【請求項18】
前記チューブの前記最大横断面スパンが前記チューブの直径であり、前記直径が1mm未満である、請求項10に記載のフェライトコア。
【請求項19】
前記チューブの前記最大横断面スパンと前記チューブの長さとの比が0.2未満である、請求項10に記載のフェライトコア。
【請求項20】
前記比が0.1未満である、請求項19に記載のフェライトコア。
【請求項21】
前記チューブの長さが2mm超である、請求項10に記載のフェライトコア。
【請求項22】
概ね剛性のフェライトコアを製造する方法であって、
1mm未満の最大横断面スパンを有するチューブにフェライト粉末を挿入することと、
前記フェライト粉末を前記チューブ内で圧縮することと、
を含む、方法。
【請求項23】
結合材料を前記チューブに挿入することを更に含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記フェライト粉末及び前記結合材料を前記チューブに挿入することが、前記フェライト粉末及び前記結合材料の混合物を前記チューブに挿入することを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記結合材料を前記チューブに挿入することが、前記チューブの少なくとも一端で前記結合材料を前記チューブに挿入することによって、前記フェライト粉末を前記チューブ内で密封することを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
前記チューブの周りにコイルを巻き付けることを更に含む、請求項22に記載の方法。
【請求項27】
前記チューブをコイルの管腔に挿入することを更に含む、請求項22に記載の方法。
【請求項28】
前記チューブの中心長手方向軸線が直線でないように前記チューブを成形することを更に含む、請求項22に記載の方法。
【請求項29】
前記方法が、前記フェライト粉末を挿入することと、前記フェライト粉末を前記チューブ内で圧縮することとを繰り返し交互に行うことを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項30】
前記方法が、前記フェライト粉末を挿入することと、前記フェライト粉末を前記チューブ内で圧縮することとを繰り返し交互に行うことによって、前記チューブを実質的に最大限充填することを含む、請求項29に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、例えば、医療処置の実施を容易にするのに使用されてもよい、概ね剛性のフェライトコアを含む追跡センサに関する。
【背景技術】
【0002】
副鼻腔形成処置(sinuplasty procedure)などの医療処置のために医療用器具が被験者に挿入される際、手術を行う医師は、器具のおおよその位置及び/又は配向を知りたいと望む場合がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明のいくつかの実施形態によれば、追跡センサが提供される。センサは、フェライト粉末を収容するチューブと、チューブの周りに巻き付けられるコイルとを含む。
【0004】
いくつかの実施形態では、追跡センサは結合材料を更に含み、チューブは結合材料を更に収容する。
【0005】
いくつかの実施形態では、チューブは、1mm未満の最大横断面スパンを有する。
【0006】
更に、本発明のいくつかの実施形態によれば、医療用器具であって、前記器具の遠位部分に配設されている少なくとも1つの追跡センサを備える医療用器具が提供される。センサは、フェライト粉末を収容するチューブと、チューブの周りに巻き付けられるコイルとを含む。
【0007】
いくつかの実施形態では、医療用器具はガイドワイヤを備え、追跡センサはガイドワイヤの管腔内に配設されている。
【0008】
更に、本発明のいくつかの実施形態によれば、方法が提供される。方法は、少なくとも1つの追跡センサが遠位部分に配設される、医療用器具を被験者に挿入することを含む。センサは、フェライト粉末を収容するチューブと、チューブの周りに巻き付けられるコイルとを含む。センサは、磁場に反応して信号を発生させるのに使用される。プロセッサを使用して、信号に反応して器具が追跡される。
【0009】
いくつかの実施形態では、器具を追跡することは、器具の遠位部分の位置を確認することを含む。
【0010】
いくつかの実施形態では、器具を追跡することは、器具の遠位部分の配向を確認することを含む。
【0011】
いくつかの実施形態では、器具はガイドワイヤを含み、方法は、ガイドワイヤを被験者に挿入することを含む。
【0012】
いくつかの実施形態では、医療用器具を被験者に挿入することは、被験者の鼻孔を通して医療用器具を挿入することを含む。
【0013】
いくつかの実施形態では、方法は、器具を使用して被験者に対して副鼻腔形成処置を行うことを含む。
【0014】
更に、本発明のいくつかの実施形態によれば、概ね剛性のフェライトコアが提供される。フェライトコアは、フェライト粉末と、1mm未満の最大横断面スパンを有する、フェライト粉末を収容するチューブとを含む。
【0015】
いくつかの実施形態では、チューブは実質的に最大限充填される。
【0016】
いくつかの実施形態では、フェライトコアは結合材料を更に含み、チューブは結合材料を更に収容する。
【0017】
いくつかの実施形態では、フェライト粉末及び結合材料はチューブ内で互いに混合されている。
【0018】
いくつかの実施形態では、チューブの最大横断面スパンは0.5mm未満である。
【0019】
いくつかの実施形態では、チューブの最大横断面スパンは0.3mm未満である。
【0020】
いくつかの実施形態では、フェライト粉末は鉄カルボニルを含む。
【0021】
いくつかの実施形態では、フェライトコアの中心長手方向軸線は直線ではない。
【0022】
いくつかの実施形態では、チューブの最大横断面スパンはチューブの直径であり、直径は1mm未満である。
【0023】
いくつかの実施形態では、チューブの最大横断面スパンとチューブの長さとの比は0.2未満である。
【0024】
いくつかの実施形態では、比は0.1未満である。
【0025】
いくつかの実施形態では、チューブの長さは2mm超である。
【0026】
更に、本発明のいくつかの実施形態によれば、方法が提供される。方法は、1mm未満の最大横断面スパンを有するチューブにフェライト粉末を挿入することと、フェライト粉末をチューブ内で圧縮することとを含む。
【0027】
いくつかの実施形態では、方法は、結合材料をチューブに挿入することを含む。
【0028】
いくつかの実施形態では、フェライト粉末及び結合材料をチューブに挿入することは、フェライト粉末及び結合材料の混合物をチューブに挿入することを含む。
【0029】
いくつかの実施形態では、結合材料をチューブに挿入することは、チューブの少なくとも一端で結合材料をチューブに挿入することによって、フェライト粉末をチューブ内で密封することを含む。
【0030】
いくつかの実施形態では、方法は、コイルをチューブに巻き付けることを更に含む。
【0031】
いくつかの実施形態では、方法は、チューブをコイルの管腔に挿入することを更に含む。
【0032】
いくつかの実施形態では、方法は、チューブの中心長手方向軸線が直線でないようにチューブを成形することを更に含む。
【0033】
いくつかの実施形態では、方法は、フェライト粉末を挿入することと、フェライト粉末をチューブ内で圧縮することとを繰り返し交互に行うことを含む。
【0034】
いくつかの実施形態では、方法は、フェライト粉末を挿入することと、フェライト粉末をチューブ内で圧縮することとを繰り返し交互に行うことによって、チューブを実質的に最大限充填することを含む。
【0035】
本発明は、その実施形態の以下の詳細な説明を図面と併せ読むことによって、更に十分に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】本発明のいくつかの実施形態による、副鼻腔形成処置を被験者に対して行う方法を示す概略図である。
図2】本発明のいくつかの実施形態による、追跡センサを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
医療処置のために医療用器具を被験者に挿入する際、手術を行う医師は、器具のおおよその位置及び/又は配向を知りたいと望む場合がある。例えば、副鼻腔形成処置を行う場合、手術を行う医師は、被験者の鼻孔を通してガイドワイヤを挿入し、続いてガイドワイヤを使用して、副鼻腔形成術を行うことがある。ガイドワイヤの遠位部分が被験者の体内で誤った位置にある場合、副鼻腔形成処置は成功しないことがあり、更に場合によっては被験者を傷つけることがある。したがって、医師がガイドワイヤの遠位部分のおおよその位置を知っていることが有益である場合が多い。
【0038】
用いられることがある1つの技術は、少なくとも1つのコイルを備え、器具の遠位部分に配置される電磁(EM)追跡センサを使用して、器具を追跡することを伴う。被験者は磁場内に配置されるので、センサは磁場に反応して電気信号を発生させる。電気信号はプロセッサに伝達される。信号に反応して、プロセッサは器具を追跡してもよく、即ち、プロセッサは、器具の遠位部分の位置及び/又は配向を確認してもよい。この技術は、例えば、ガイドワイヤの遠位部分で、追跡センサをガイドワイヤの管腔内に配置することによって、副鼻腔形成術に用いられてもよい。上述の技術を用いる際の1つの課題は、特にガイドワイヤの内径によってセンサのサイズが制約される場合に、磁場に対する追跡センサの感度が不十分なことがあるということである。
【0039】
磁場に対するセンサの感度を増大させる1つの解決策は、フェライトコアの周りにセンサコイルを巻き付けるというものである。しかしながら、固体フェライトロッドからなる従来技術のフェライトコアは、コアが比較的小さい直径を有することが求められる用途で使用するのには適さないことがある。特に、固体フェライトロッドは、ロッドの直径対長さ比が約0.5未満の場合に簡単に破損することがある(ロッド径が特に小さい場合、例えば1mm未満の直径の場合、「臨界の」直径対長さ比は0.5超であることさえある。)したがって、ロッド径が比較的小さい場合、ロッドがセンサの感度を十分に増大させることができない程度まで、ロッドの長さを制限するのが必要なことがある。
【0040】
例えば、上述した副鼻腔形成術用のガイドワイヤは、一般的に、比較的小さい、例えば0.5〜1mmの内径を有し、そのため、副鼻腔形成術用のガイドワイヤ内に配置されるフェライトコアは、同様に比較的小さい直径を有さなければならない。したがって、副鼻腔形成術用途の場合、固体フェライトロッドは、ロッドとしての使用に適さないことがあり、簡単に破損しないためには長さ(例えば、1〜1.5mm)を有する必要があるので、ロッドが十分に有効でなくなる。
【0041】
本発明の実施形態は、一般に、簡単に破損することなく比較的小さい直径対長さ比を有することができる、フェライトコアを提供することによって、上述の課題に対処する。更に後述するように、フェライトコアはフェライト粉末を収容するチューブを備える。本発明の実施形態は、副鼻腔形成処置、電気生理学的処置、又は他の任意の好適なタイプの処置に使用されてもよい。
【0042】
次に、本発明のいくつかの実施形態による、被験者22に対して副鼻腔形成処置を行う方法20を示す概略図である、図1を参照する(上述したように、本発明の実施形態は任意のタイプの好適な処置に使用されてもよいので、本明細書において副鼻腔形成処置を特に参照していることは、単なる例として提供されるものであることを理解されたい。)図1は、手術を行う医師24が、被験者22の鼻孔を通して被験者にガイドワイヤ26を挿入していることを示している。被験者の鼻孔及び/又は副鼻腔34内でガイドワイヤを位置決めするのに続いて、医師は、ガイドワイヤ26を使用して副鼻腔形成処置を行ってもよい。例えば、医師は、ガイドワイヤを通じてバルーンを鼻孔に通し、その後、例えば被験者の副鼻腔の小孔を開くなど、被験者の体内でバルーンを拡張させてもよい。
【0043】
処置の間、複数のコイル32を含むクランプ30が、被験者の頭部に締め付けられる。クランプ30に接続された発電機39が、コイル32を駆動して磁場を発生させる。コイル32からの磁場は、空間内の特定の地点における磁場がコイル32に対するその地点の固有の位置に相当するように構成される。磁場に反応して、ガイドワイヤ26の遠位部分にある追跡センサ28が電気信号36を発生させ、それがプロセッサ38によって受信される。信号36はセンサ28の位置及び配向の両方を示すので、プロセッサ38は、ガイドワイヤの位置及び/又は配向を追跡することができ、即ちそれを確認することができる。
【0044】
クランプの位置は被験者の頭部に対して固定されているので、コイルによって発生した磁場は、被験者が処置中に頭部を動かした場合であっても、ガイドワイヤを追跡するのに使用することができる。一般的に、センサ28(及びしたがってガイドワイヤ26の遠位端)の位置及び/又は配向は、ディスプレイ41上の被験者の頭部の画像の上に重ねられて表示される。
【0045】
一般的に、図1に示されるように、信号36は、ガイドワイヤを通る有線接続を介してガイドワイヤの近位端に、またその後、プロセッサ38に伝達される。他の実施形態では、信号36は、少なくとも部分的には無線で伝達される。
【0046】
次に、本発明のいくつかの実施形態による、追跡センサ28の概略図である図2を参照する。センサ28は、フェライト粉末44を収容するチューブ42(ポリアミドチューブなど)を備える、フェライトコア48を備える。フェライトコア48を製造するため、フェライト粉末44がチューブ42に挿入され、チューブ内で圧縮される。粉末44をチューブ内で圧縮することは、チューブ内に配置することができる粉末の量を増加させ、したがってフェライトコアの能力を向上してセンサの感度を増大させる助けとなる。一般的に、フェライトコアの製造の後に粉末がチューブ内で概ね動かないように、したがってフェライトコアの強磁性が概ね一定のままであるように、チューブは粉末で(又は、後述するように、互いに別々の若しくは互いに混合した粉末及び結合材料で)実質的に最大限充填される。一般的に、粉末44は鉄カルボニルを含む。
【0047】
一般的に、フェライトコアは概ね剛性であり、即ち、医療処置中に体内のセンサが受ける通常の力に反応して屈曲しない。フェライトコアの剛性は、フェライトコアの強磁性が概ね一定のままである助けとなる。一般的に、フェライトコアの剛性は、上述したように、チューブ内に粉末を実質的に「最大限充填」することによって促進される。いくつかの実施形態では、粉末が充填される前であっても、チューブ42は概ね剛性である。
【0048】
センサ28は、チューブ42の周りに巻き付けられたコイル46を更に備える。いくつかの実施形態では、コイル46は、チューブに粉末44が充填される前にチューブ42の周りに巻き付けられる。他の実施形態では、コイル46がチューブの周りに巻き付けられるか、又はチューブに部分的に若しくは最大限粉末を充填した後で、チューブがコイル46の管腔に挿入される。図2に示されるように、コイル46は数層の厚さであってもよい。コイル46は、一般的に、絶縁された導電性ワイヤ、例えば銅ワイヤで作られる。信号36は、周囲磁場によってコイル46を横切って誘導される電圧によって発生する。
【0049】
一般的に、結合材料52が粉末44と共にチューブに挿入される。結合材料は、チューブ内での粉末の動きを阻害することによって、フェライトコアの強磁性が概ね一定のままである助けとなる。例えば、フェライト粉末44及び結合材料52の混合物50がチューブに挿入されてもよく、混合物50は一般的にチューブ内で圧縮される。別の方法として、又はそれに加えて、結合材料は、チューブの少なくとも一端でチューブに挿入されてもよく、そのため、フェライト粉末をチューブ内で密封する助けとなる。
【0050】
いくつかの実施形態では、結合材料はチューブに挿入されない。かかる実施形態では、チューブに充填した後、例えば結合材料を使用して、チューブの端部を密封することによって、粉末はチューブ内で密封される。
【0051】
一般的に、フェライト粉末を挿入すること、及びフェライト粉末をチューブ内で圧縮することは、繰り返し交互に行われる。換言すれば、少量のフェライト粉末がチューブに挿入される、チューブ内の粉末が圧縮される、別の少量のフェライト粉末がチューブに挿入される、チューブ内の粉末が再び圧縮される、などである。
【0052】
フェライトコア48の利点は、コアの直径D0(一般に、チューブの外径と同じである)がコアの長さLに比べて小さい場合であっても、チューブがコアに対して構造的一体性を提供することにより、フェライトコアが簡単に破損しないことである。したがって、D0は比較的小さく作られてもよく、一方で、一般にフェライトコアが有効であるのに十分な長さLは維持される(例えば、Lは2mm超であってもよい)。例えば、3mmの長さLでは、D0は1mm未満、例えば0.8mm未満、0.5mm未満、又は0.3mm未満であってもよく、例えばD0は約0.2mmであってもよい。(対照的に、3mmの長さを有する固体フェライトロッドは、1mm超の直径を有するのが必要なことがあり、逆に、ロッド径が1mm未満の場合、ロッドの長さは3mm未満に、例えば2mm未満に限定するのが必要なことがある。)別の方法として、又はそれに加えて、D0対Lの比は0.2未満、例えば0.1未満であってもよい。
【0053】
上述したように、コアの直径が比較的小さいことは、センサ28をガイドワイヤ26の管腔内に配置する助けとなる。例えば、コイルの厚さを含めたセンサの合計直径は、1mm未満、例えば0.5mm未満であってもよい。(上述したように、ガイドワイヤ管腔の一般的な直径の範囲は0.5〜1mmである。)
【0054】
本明細書は主に、チューブの最大横断面スパンS0がチューブの直径D0である、円筒状のチューブに関するが、チューブは、任意の合理的なタイプの横断面を有してもよいことに留意されたい。したがって、一般に、円形の横断面を有さないチューブに関する場合、上記の「D0」に対する言及は「S0」と置き換えられてもよい。
【0055】
センサ28は任意の好適な医療用器具と共に使用されてもよいことに留意されたい。例えば、センサ28は、カテーテルの遠位部分でカテーテルの管腔内に配置されるか、又は内視鏡若しくは針の遠位部分に結合されてもよい。いくつかの実施形態では、フェライトコアの中心長手方向軸線54は直線ではない。例えば、チューブを充填する前及び/又はその間、中心長手方向軸線54が直線でないようにチューブが成形されてもよい。いくつかの用途では、フェライトコアを非線形医療用器具の形状に適応させることができるという点で、非線形フェライトコアが有利である。例えば、一部の医療処置は、湾曲した先端を有する針を使用しており、かかる処置の場合、直線のフェライトコアではなく湾曲したフェライトコアを針の先端に結合するのが好ましいことがある。本発明の実施形態による非線形フェライトコアを製造することは、チューブの成形がロッドよりも簡単であることにより、非線形固体のフェライトロッドの製造よりも概して簡単である。
【0056】
当業者であれば、本発明が上記に特定して図示し記載してきたものに限定されないことを認識するであろう。それよりもむしろ、本発明の範囲は、上述した様々な特徴の組み合わせ及び部分的組み合わせ、並びに上述の説明を読むことで当業者が想到するであろう、従来技術にはない特徴の変形及び修正を含む。参照により本特許出願に組み込まれた文書は、これらの組み込まれた文書で定義されているあらゆる用語が、本明細書において明示的又は暗示的になされた定義と相反するような場合を除いて、本出願の一体部分と見なされるべきであり、本明細書における定義のみが検討されるべきである。
【0057】
〔実施の態様〕
(1) 追跡センサであって、
フェライト粉末を収容するチューブと、
前記チューブの周りに巻き付けられるコイルと、
を備える、追跡センサ。
(2) 結合材料を更に備え、前記チューブが前記結合材料を更に収容する、実施態様1に記載の追跡センサ。
(3) 前記チューブが1mm未満の最大横断面スパン(maximal transverse-cross-sectional span)を有する、実施態様1に記載の追跡センサ。
(4) 装置であって、
医療用器具と、
前記器具の遠位部分に配設された少なくとも1つの追跡センサであって、
フェライト粉末を収容するチューブ、及び、
前記チューブの周りに巻き付けられるコイル、を備える、追跡センサと、
を備える、装置。
(5) 前記医療用器具がガイドワイヤを備え、前記追跡センサが前記ガイドワイヤの管腔内に配設されている、実施態様4に記載の装置。
【0058】
(6) 方法であって、
少なくとも1つの追跡センサが遠位部分に配設される、医療用器具を被験者に挿入することであって、前記センサが、
フェライト粉末を収容するチューブ、及び、
前記チューブの周りに巻き付けられるコイル、を備える、ことと、
前記センサを使用して、磁場に反応して信号を発生させることと、
前記信号に反応して、プロセッサを使用して前記器具を追跡することと、
を含む、方法。
(7) 前記器具を追跡することが、前記器具の前記遠位部分の位置を確認することを含む、実施態様6に記載の方法。
(8) 前記器具を追跡することが、前記器具の前記遠位部分の配向を確認することを含む、実施態様6に記載の方法。
(9) 前記器具がガイドワイヤを含み、前記方法が、前記ガイドワイヤを前記被験者に挿入することを含む、実施態様6に記載の方法。
(10) 前記医療用器具を前記被験者に挿入することが、前記被験者の鼻孔を通して前記医療用器具を挿入することを含む、実施態様6に記載の方法。
【0059】
(11) 前記器具を使用して、前記被験者に対して副鼻腔形成処置(sinuplasty procedure)を行うことを更に含む、実施態様10に記載の方法。
(12) 概ね剛性のフェライトコアであって、
フェライト粉末と、
1mm未満の最大横断面スパンを有する、前記フェライト粉末を収容するチューブと、
を備える、概ね剛性のフェライトコア。
(13) 前記チューブが実質的に最大限充填されている、実施態様12に記載のフェライトコア。
(14) 結合材料を更に備え、前記チューブが前記結合材料を更に収容する、実施態様12に記載のフェライトコア。
(15) 前記フェライト粉末及び前記結合材料が前記チューブ内で互いに混合されている、実施態様14に記載のフェライトコア。
【0060】
(16) 前記チューブの前記最大横断面スパンが0.5mm未満である、実施態様12に記載のフェライトコア。
(17) 前記チューブの前記最大横断面スパンが0.3mm未満である、実施態様16に記載のフェライトコア。
(18) 前記フェライト粉末が鉄カルボニルを含む、実施態様12に記載のフェライトコア。
(19) 前記フェライトコアの中心長手方向軸線が直線ではない、実施態様12に記載のフェライトコア。
(20) 前記チューブの前記最大横断面スパンが前記チューブの直径であり、前記直径が1mm未満である、実施態様12に記載のフェライトコア。
【0061】
(21) 前記チューブの前記最大横断面スパンと前記チューブの長さとの比が0.2未満である、実施態様12に記載のフェライトコア。
(22) 前記比が0.1未満である、実施態様21に記載のフェライトコア。
(23) 前記チューブの長さが2mm超である、実施態様12に記載のフェライトコア。
(24) 方法であって、
1mm未満の最大横断面スパンを有するチューブにフェライト粉末を挿入することと、
前記フェライト粉末を前記チューブ内で圧縮することと、
を含む、方法。
(25) 結合材料を前記チューブに挿入することを更に含む、実施態様24に記載の方法。
【0062】
(26) 前記フェライト粉末及び前記結合材料を前記チューブに挿入することが、前記フェライト粉末及び前記結合材料の混合物を前記チューブに挿入することを含む、実施態様25に記載の方法。
(27) 前記結合材料を前記チューブに挿入することが、前記チューブの少なくとも一端で前記結合材料を前記チューブに挿入することによって、前記フェライト粉末を前記チューブ内で密封することを含む、実施態様25に記載の方法。
(28) 前記チューブの周りにコイルを巻き付けることを更に含む、実施態様24に記載の方法。
(29) 前記チューブをコイルの管腔に挿入することを更に含む、実施態様24に記載の方法。
(30) 前記チューブの中心長手方向軸線が直線でないように前記チューブを成形することを更に含む、実施態様24に記載の方法。
【0063】
(31) 前記方法が、前記フェライト粉末を挿入することと、前記フェライト粉末を前記チューブ内で圧縮することとを繰り返し交互に行うことを含む、実施態様24に記載の方法。
(32) 前記方法が、前記フェライト粉末を挿入することと、前記フェライト粉末を前記チューブ内で圧縮することとを繰り返し交互に行うことによって、前記チューブを実質的に最大限充填することを含む、実施態様31に記載の方法。
図1
図2