(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6877903
(24)【登録日】2021年5月6日
(45)【発行日】2021年5月26日
(54)【発明の名称】簡易型間仕切り
(51)【国際特許分類】
E04B 2/74 20060101AFI20210517BHJP
【FI】
E04B2/74 511L
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-140460(P2016-140460)
(22)【出願日】2016年7月15日
(65)【公開番号】特開2018-9417(P2018-9417A)
(43)【公開日】2018年1月18日
【審査請求日】2019年3月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】307038540
【氏名又は名称】三和シヤッター工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085394
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 哲夫
(74)【代理人】
【識別番号】100206106
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 郁夫
(72)【発明者】
【氏名】高島 健一
(72)【発明者】
【氏名】中川 昌美
(72)【発明者】
【氏名】松原 可菜子
【審査官】
松本 隆彦
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−106647(JP,A)
【文献】
特開2014−092014(JP,A)
【文献】
実開昭58−001821(JP,U)
【文献】
登録実用新案第3180877(JP,U)
【文献】
特開2016−065367(JP,A)
【文献】
特許第4685639(JP,B2)
【文献】
登録実用新案第3180324(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B2/72−2/82
E04H1/00−1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心部から十文字状に保持溝部が延設された支柱と、該保持溝部に挿入組込みされる仕切り板とにより間仕切り室が形成される簡易型間仕切りであって、前記保持溝部は、仕切り板が挟持状に保持される溝幅の対向面を備えた入り口側保持部と溝底側保持部との一対が間隙を存して設けられる保持部と、入り口側保持部の溝底側に隣接して設けられ、仕切り板が遊嵌する溝幅の対向面を備えた遊嵌部と、溝底側保持部の入り口側に隣接して設けられ、入り口側保持部に保持された状態の仕切り板の先端部を溝底側保持部に誘導案内するべく溝底側ほど対向面間が幅狭となった溝底側案内部とが設けられ、前記遊嵌部と溝底側案内部とはへ字状の連結面となって連結されていることを特徴とする簡易型間仕切り。
【請求項2】
入り口側保持部は、入り口先端から溝底側に至るほど対向間が幅狭になっていて、入り口側保持部に挿入する仕切り板先端を入り口側先端の溝内に挿入案内する入り口側案内部が形成されていることを特徴とする請求項1記載の簡易型間仕切り。
【請求項3】
支柱の中心部には丸孔状の孔部が形成される一方、簡易型間仕切りは、吊持レールや補強体等の連結体によって互いに対向する支柱の上端部同士を連結可能であり、該連結は、対向する支柱同士の孔部の上端部同士、孔部と仕切り板が保持されていない保持溝部の上端部同士、あるいは仕切り板が保持されていない保持溝部の上端部同士の何れかに連結体の両端部が差込まれることでなされることを特徴とする請求項1または2項記載の簡易型間仕切り。
【請求項4】
吊持レールは、間仕切り室の仕切り板がない出入り口の開閉をするための開閉体を吊持するものであり、出入り口左右の支柱に形成された孔部に両端部が差込まれることを特徴とする請求項3記載の簡易型間仕切り。
【請求項5】
仕切り板が保持されていない保持溝部に、支柱の自立を補助するための幅狭な補助板が挟持状に保持されることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項記載の簡易型間仕切り。
【請求項6】
仕切り板の上端部に外嵌した長尺状のフック受けにフックが係脱自在に取付けられることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項記載の簡易型間仕切り。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、災害が発生することにより避難者が避難する体育館等の避難所に容易に組立てられる簡易型間仕切りの技術分野に関するものである。
【背景技術】
【0002】
今日、地震や水害等の災害が発生した場合、避難者が体育館等の避難所に避難することがあるが、このような避難所は、広い空間があるだけであって仕切られたプライベート空間がなく避難者の生活が丸見えになってしまうという問題がある。
そこで避難所の床に支柱を立設し、該支柱に設けた保持溝に仕切り板を挿入して例えば四角状の間仕切り空間を簡易的に形成してプライベート空間を形成するようにしたものが知られている(例えば特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−32742号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが前記従来の簡易型の間仕切りは、支柱に形成される保持溝の溝幅に対し仕切り板の厚さを僅かに小さいものとして仕切り板が保持溝にスライド挿入するようにしていたため、仕切り板を保持溝に挿入する際、仕切り板と保持溝との芯合わせがずれていると抉れた状態となってうまく挿入できないだけでなく、この状態で無理に挿入しようとすると仕切り板が折れてしまったりするという問題がある。
そこで保持溝の溝幅に対して仕切り板の厚さを小さくして仕切り板を保持溝に遊嵌状に挿入できるようにすることが提唱されるが、このようにした場合、仕切り板の保持溝による保持が確実ではなく、仕切り板にガタが発生するだけでなく、仕切り板が保持溝から簡単に抜け出ることになって組立てた間仕切りが壊れやすくなるという問題があり、これを解決するためには、間仕切り板を保持溝に固定するための固定部材が別途必要になって部品点数が多くなるだけでなく、固定部材による固定作業が必要になって作業性が劣るという問題があり、これらに本発明が解決せんとする課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、請求項1の発明は、中心部から十文字状に保持溝部が延設された支柱と、該保持溝部に挿入組込みされる仕切り板とにより間仕切り室が形成される簡易型間仕切りであって、前記保持溝部は、仕切り板が挟持状に保持される溝幅
の対向面を備えた入り口側保持部と溝底側保持部との一対が間隙を存して設けられる保持部と、入り口側
保持部の溝底側に隣接して設けられ、仕切り板が遊嵌する溝幅の対向面を備えた遊嵌部と、溝底側保持部の入り口側に隣接して設けられ、入り口側保持部に保持された状態の仕切り板の先端部を溝底側保持部に誘導案内するべく溝底側ほど対向面間が幅狭となった溝底側案内部とが設けられ、前記遊嵌部と溝底側案内部とはへ字状の連結面となって連結されていることを特徴とする簡易型間仕切りである。
請求項2の発明は、入り口側保持部は、入り口先端から溝底側に至るほど対向間が幅狭になっていて、入り口側保持部に挿入する仕切り板先端を入り口側先端の溝内に挿入案内する入り口側案内部が形成されていることを特徴とする請求項
1記載の簡易型間仕切りである。
請求項3の発明は、
支柱の中心部には丸孔状の孔部が形成される一方、簡易型間仕切りは、吊持レールや補強体等の連結体によって互いに対向する支柱の上端部同士を連結可能であり、該連結は、対向する支柱同士の孔部の上端部同士、孔部と仕切り板が保持されていない保持溝部の上端部同士、あるいは仕切り板が保持されていない保持溝部の上端部同士の何れかに連結体の両端部が差込まれることでなされることを特徴とする請求項1
または2項記載の簡易型間仕切りである。
請求項4の発明は、
吊持レールは、間仕切り室の仕切り板がない出入り口の開閉をするための開閉体を吊持するものであり、出入り口左右の支柱に形成された孔部に両端部が差込まれることを特徴とする請求項
3記載の簡易型間仕切りである。
請求項5の発明は、仕切り板が保持されていない保持溝部に、支柱の自立を補助するための幅狭な補助板が挟持状に保持されることを特徴とする請求項1乃至
4の何れか1項記載の簡易型間仕切りである。
請求項6の発明は、仕切り板の上端部に外嵌した長尺状のフック受けにフックが係脱自在に取付けられることを特徴とする請求項1乃至
5の何れか1項記載の簡易型間仕切りである。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明とすることにより、仕切り板は、支柱保持溝部の遊嵌部を通る状態で保持部に挟持状に保持されることになるから、仕切り板と保持溝部とに芯ずれがあっても仕切り板の保持溝部への挿入組込みが簡単にできることになって組立て性が向上する。
さらに、挿入組込みされる仕切り板は、入り口側と溝底側の二か所の保持部で挟持状に保持されることになるため、仕切り板の保持溝部での保持が確実になる。
請求項
2の発明とすることにより、仕切り板の先端縁が入り口側保持部に挿入する際に、入り口側案内部に案内される状態で入り口側保持部に挿入されることになって、入り口側保持部への仕切り板の挿入が容易となる。
請求項3の発明とすることにより、
対向する支柱の上端部同士を連結材によって連結することができる。
請求項4の発明とすることにより、仕切り板のない間仕切り室の出入り口に、カーテン等の開閉体を取付けるための吊持レールを簡単に取付けることができ、出入り口を出入り自在に閉塞できることになる。
請求項
5の発明とすることにより、仕切り板が保持されていない保持溝部に保持される補助板によって支柱の自立補助がなされ、間仕切り室の補強ができることになる。
請求項
6の発明とすることにより、仕切り板を有効に利用して荷物等を係止するフックが設けられることになるが、その場合に、フックは長尺状のフック受けに取付けられるため、負荷が分散されることになって仕切り板の変形破損を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図3】(A)(B)は仕切り板をコーナー状に組立てる前後の斜視図である。
【
図4】(A)(B)(C)(D)(E)は仕切り板を一枚組立てた状態、二枚を直線状に組立てた状態、コーナー状に組立てた状態、T字状に組立てた状態、十文字状に組立てた状態を示す平面図である。
【
図5】(A)(B)は支柱の平面図、拡大部分平面図である。
【
図6】(A)(B)(C)(D)は仕切り板を支柱に挿入組込みする状態を示す平面図である。
【
図7】(A)(B)(C)はカーテンレール、補強体、補助板を支柱に差し込む状態を示す斜視図である。
【
図8】補強体を支柱に差し込む前後を示す斜視図である。
【
図9】フックを仕切り板上端部に取り付けた状態の側面図である。
【
図10】複数の間仕切り室を隣りあわせに組立てた状態を示す平面図である。
【
図11】間仕切り室を補強するための他例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。図面において、1は簡易型の間仕切りであって、該間仕切り1は、支柱2と仕切り板3とを用いて構成される。
【0009】
仕切り板3は、平板状で、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリスチレン等の樹脂(プラスチック)製の段ボール板や発泡板等の軽量化した板材で形成されたものであり耐水性を持たせている。一方、支柱2についても同様に樹脂製として耐水性を持たせている。
【0010】
支柱2は、中心部4と、該中心部4から十文字方向に延出形成される保持溝部5とにより構成されるが、中心部4には丸孔状の孔部4aが形成され、さらに孔部4aの内周面には、後述する
ように対向する支柱2の上端部同士を連結する連結体であるカーテンレール
(吊持レール)9、補強体10の両端部を支持するための突起4bが形成されている。
【0011】
一方、保持溝部5は、互いに対向する一対の保持腕5aによって形成されるが、該保持腕5aは、
図5から明らかなように、先端部(入り口部)に対向面側が円弧状に膨出した入り口側の保持部5b
と、後述するようにあいだに遊嵌部5cを存することで間隔を存した状態で溝底側保持部5dとが形成されている。そして該入り口側保持部5bの対向間隔Aは、仕切り板3の厚みBに対して等しいか僅かに狭い(A≦B)寸法設定になっていて、挿入組込みされた仕切り板3を挟持状に保持するようになっている。
この入り口側保持部5bから溝底側に続く部位は対向面間の溝幅Cが仕切り板3の厚みBよりも大きい(C>B)設定になっていることで入り口側保持部5bに対して対向幅が広くて蟻溝状に構成されており、これによって仕切り板3が遊嵌状に挿入される
溝幅の対向面を備えた遊嵌部5cとなっていると共に、入り口側保持部5bの溝幅方向の弾性変形ができるようになっている。
また保持溝部5の遊嵌部5cよりも溝底側は、対向面間の溝幅Dが仕切り板3の厚みBと略同じ寸法(D≒B)となっていて、挿入組込みされた仕切り板3を挟持状に保持する溝底側保持部5dに構成されている。そしてこの溝底側保持部5dと遊嵌部5cとのあいだには溝底側ほど幅狭になっていて、遊嵌部5cから溝底側に挿入組込みされる仕切り板3の先端部を溝底側保持部5dに誘導案内するよう溝底側ほど対向面間が幅狭となった案内部5eが構成されている。
そしてこのように隣接する状態で設けられる入り口側の遊嵌部5cと溝底側の溝底側案内部5eとは、各対応する対向面同士がへ字状の連結面となった状態で一連状に連結されていて、段差がない構成になっている。
【0012】
そして仕切り板3を保持溝部5に挿入組込みする場合に、該仕切り板3は、先端部が入り口側保持部5bから遊嵌部5c、案内部5eを経て溝底側保持部5dに挿入組込みされることになるが、このとき、仕切り板3の芯Xと保持溝部5の芯Yとが芯ずれした状態であった場合に、入り口側保持部5bは遊嵌部5cが芯ずれした状態に合わせて弾性変形することになるため、仕切り板3の無理な挿入が回避される。尚、入り口側保持部5bは円弧状になっているため、仕切り板3の先端縁3aを入り口側保持部5bの溝内に誘導案内するようになっていて入り口側案内部5gを形成している。このような仕切り板3の先端縁3aの誘導案内をする入り口側案内部5gとしては、対向面部を円弧状にすることだけでなく、例えば三角形状、台形状、楕円形状等、入り口側保持部5bの先端から溝底側に至るほど対向幅が幅狭になるようにしたものであれば実施することができる。
そして仕切り板3の先端縁3aは、芯ずれしたまま遊嵌部5cに挿入することになるが、該遊嵌部5cに挿入した仕切り板3の先端縁3aは、仕切り板3の厚みBよりも溝幅Cが大きい遊嵌部5cに至るため、仕切り板3と保持溝部5とのあいだに前記のような芯ずれがあっても仕切り板3の挿入は許容される。そして仕切り板3の先端縁3aが案内部5eに至ると、仕切り板3は、溝底側保持部5dに挿入すべく芯ずれが矯正されるよう案内がなされ、抵抗感のある状態で溝底側保持部5dに挿入し、仕切り板3の先端縁3aが保持溝部5の溝底5fに当接することで止まることになり、作業者は、これにより仕切り板3が保持溝部5に対し設定どおりの挿入組込みがなされたことを認識できるようになっている。
因みに支柱2は、孔部4aの内周面と保持溝部5の溝底5fに、肉厚をできるだけ同じになるようにして樹脂材を成型する際の冷却による熱収縮が起因して樹脂表面が不均一な凹形状に変形しないよう肉抜き4c、5hが施されたものとなっている。
【0013】
そして仕切り板3は、支柱2に対して一枚、直線状に二枚、L字状に二枚、T字状に三枚、十字状に四枚の挿入組込みができることになる(
図4参照)が、これらの挿入組込みを組み合わせて使うことで、仕切り板3のない出入り口6を含めた間仕切り室7を容易に組立てることができることになる。そして各種の組み合わせをすることで、例えば、
図10に示すように縦横隣り合わせ状に連設(隣設)したもの等、各種の組み合わせで種々の間仕切り室7を形成できることになる。
【0014】
さらに本実施の形態では、出入り口6にカーテン8を設けるためのカーテンレール9が用意されている(
図7参照)が、該カーテンレール9は両端部が同一方向に湾曲(折曲)した差込み部9bが形成され、この差込み部9bを出入り口6の左右両側の支柱2の孔部4aに差し込むことができるようになっている。尚、9aはカーテン8を吊るすためのカーテンリングである。
因みに出入口6を開閉自在に閉塞するためのものはカーテン8に限定されるものではなく、例えばジグザグ状に折畳めるようにしたもの、蛇腹状に折畳めるようにしたもの、ロール状に巻き取ることができるようにしたもの等、通常知られた種々の構成の開閉体を用いて実施することができる。
【0015】
また本実施の形態では、例えば隣接するL字形(コーナー状)になった仕切り板3の先端側同士の支柱2の孔部4aの上端から差し込んで梁とすることができる例えば鉄棒等の補強体10を取付けることで間仕切り室7の補強ができる(
図8参照)が、補強体10としては、このようなL字形部位に梁として設けるものに限定されず、間仕切り室7の天井空間を渡って対向する対向面間同士の支柱中心部4の孔部4a間に組込むようにしたものであってもよい。
また間仕切り室7の広さを、
図11に示すように、仕切り板3が2×3枚のように3枚以上の仕切り板3が直線状に並設されるものである場合に、出入口6を端側ではなく中間位置とした場合、コーナー部の支柱2の孔部4aが空いており、そこでコーナー部の対角線上の孔部4a同士に補強体10を×状に組込むようにすることができる。この場合、補強体10の交差部は、自身の撓み変形によって構成できるため問題はない。
【0016】
さらに本実施の形態では、仕切り板3の上端縁に係止してハンガーや荷物を係止することができるフック11が設けられるが、この場合、仕切り板3の上端縁に部分的な負荷が働かないよう冂形をした長尺状のフック受け11aを仕切り板3の上端縁に設け、このフック受け11aにフック11を係止しているが、フック11としては、支柱中心部4の孔部4aに差し込むようにしても組込むことができる。
【0017】
叙述の如く構成された本実施の形態において、間仕切り室7を組立て形成する場合に、仕切り板3を支柱2に挿入組込みすることになるが、この場合に、仕切り板3は、支柱保持溝部5の保持腕5aに形成される入り口側保持部5b、遊嵌部5c、案内部5eを経由して溝底側保持部5dに挿入組込みされることになるが、仕切り板3が入り口側保持部5bに挿入する際には、溝底側ほど対向間が狭くなった円弧状の入り口側案内部5gに誘導案内される状態で入り口側保持部5bに挿入されるため、仕切り板3と保持溝部5とのあいだに芯ずれがあっても仕切り板先端縁3aは、入り口側保持部5bに挿入することになる。この場合に、入り口側保持部5bは、遊嵌部5cが弾性変形することで芯ずれ状態であっても仕切り板3の容易な挿入ができることになって作業性が向上する。
【0018】
そして入り口側保持部5bを挿入した仕切り板3は、溝幅Cが板厚Bよりも大きい遊嵌部5cを挿入していくことになるから、保持溝部5と仕切り板3とが多少芯ずれしていても仕切り板3は遊嵌部5cを挿入していき、溝底側案内部5eに至ると、仕切り板先端縁3aは仕切り板3の芯を保持溝部5の芯に合わせるように矯正案内することになり、これにより仕切り板3は溝底側保持部5dに挟持状に保持される状態で挿入組込みされる。このため仕切り板3は、遊嵌部5cのある保持溝部5に挿入されるものであっても確実な保持ができることになるが、本実施の形態では、仕切り板3は、溝底側保持部5dだけでなく、入り口側保持部5bによる遊嵌部5cを挟んだ二箇所で挟持状に保持されることになるから、挿入組込みが容易でありながら、仕切り板3と保持溝部5との芯合わせが正確になると共に、より確りした仕切り板3の挟持状の保持ができることになって間仕切り室7の強度アップを図ることができる。
【0019】
しかも間仕切り室7には、仕切り板3のない出入り口6が形成されることになるが、該出入り口6の左右の支柱中心部4の孔部4aには、カーテン8を吊下げるためのカーテンレール9の両端部を差込むことができるため、出入り口6を出入り自在な状態で閉塞することが簡単にできることになる。
【0020】
また、間仕切り室7のコーナー部に設けられる仕切り板3の先端部が挿入組込みされる支柱中心部4の孔部4a間同士、孔部4aと仕切り板3が保持されていない保持溝部5、仕切り板3が保持されていない保持溝部5同士には、間仕切り室6の天井空間を通るようにして補強体10の両端部が差込まれるため、間仕切り室7の更なる補強ができることになる。因みに孔部4aの直径と保持溝部5の遊嵌部5cの溝幅が同じになっているため、同じ太さの補強体10を用いての補強ができることになる。そして補強体10を支柱に取付ける場合、
図8、11では孔部4a同士に差し込んだが、仕切り板3が組込まれていない保持溝部5を用いて取り付ける場合、
図12に示すように、間仕切り室7の内外側同士、両者とも同じ間仕切り室7の内側同士、両者とも同じ間仕切り室7の外側同士の保持溝部5に差し込むことができ、また補強体10の一方を孔部4aに、他方を間仕切り室7内外何れか一方の保持溝部5に差し込む等することで、様々な態様の補強ができる。この場合に、一つの支柱2に、複数の補強体10を差込むように選択(例えば孔部4aと内側保持溝部5aを選択)することにより、一つの支柱2を用いて複数の補強ができることになる。
また間仕切り室7が隣接するような場合、補強体10の一方を、一方の間仕切り室7内側の保持溝部5あるいは孔部4aに差し込んだ場合には、補強体10の他方を、隣接する他方の間仕切り室7の内側の保持溝部5に差し込むように選択することができ、このようにすることにより、一つの支柱2を用いて両間仕切り室7での補強体10の差込みができることになってより強固の補強ができることになる。
このように補強体10を用いて補強する場合、補強体10が差込まれる孔部4aおよび保持溝部5をどれにするかは、必要において適宜選択できるものであり、このようにすることにより補強体10を用いた種々の補強構造の組み合わせ態様を実施することが可能になる。
因みに、カーテンレール9や補強体10の両端部を孔部4a差込む場合、該孔部4aとしては、少なくともこれらを差込むための深さがあれば十分であるが、支柱2を型成形する場合では、孔部4aは上下端間に通し状に形成されることになり、これによって材料の節約が図れることになる。
【0021】
また本実施の形態では、仕切り板3の上端部にフック11が設けられているため、ハンガーや小荷物の吊り持ちができることになって間仕切り室7の整理に寄与することになるが、フック11を仕切り板3の上端縁に設ける場合、フック受け11aを仕切り板3の上端縁に外嵌しているため、仕切り板3に部分的な負荷が働くことを回避できることになって、仕切り板3が凹んでしまったりすることを防止できる。
【0022】
さらにまた、
図7、
図11に示すように、仕切り板3を保持していない空の保持溝部5に幅狭(例えば幅100〜150mm)な補助板12を挟持状に保持することにより、支柱2の自立が促進されることになり、これによってより強度アップされた間仕切り室7を形成することができる。因みに補助板12は下端が床面に当接して支柱2の自立の補助をするものであるから、仕切り板3のように上下方向に長い(支柱2と同長さ)必要はなく、下側半部のみの長さ等、適宜の長さとすることができる。
そしてこの場合、補助板12は、仕切り板3および補強体10が差込まれていない全ての保持溝部5に差し込んでもよいし、選択された一部(内外の選択もできる。)の保持溝部5に差し込んでもよい。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明は、災害が発生すること等により避難者が避難する体育館等の避難所に容易に組立てられる簡易型間仕切りとして利用することができる。
【符号の説明】
【0024】
1 間仕切り
2 支柱
3 仕切り板
3a 先端縁
4 中心部
4a 孔部
5 保持溝部
5a 保持腕
5b 入り口側保持部
5c 遊嵌部
5d 溝底側保持部
5e 溝底側案内部
5g 入り口側案内部
6 出入り口
7 間仕切り室
8 カーテン
9 カーテンレール
10 補強体
11 フック
11a フック受け
12補助板