(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記筐体は、前記内部空間を通過した前記EGRガスが流通するガス流路と前記ガス流路を通過した前記EGRガスが排出されるガス排出口とが設けられたガス排出部を有し、
前記補強部材が、前記ガス流路の流路断面を周方向に囲みながら、前記ガス排出部の外表面に取り付けられている、請求項1〜6のいずれか1項に記載のEGRシステム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
EGRシステムに高圧のEGRガスを導入する場合、EGRシステムには高圧のEGRガスに対する耐圧性を有することが求められる。しかしながら、特許文献1にはEGRシステムの耐圧性に関する開示がなく、高圧のEGRガスによって、EGRシステムの筐体が変形や接合部分の損傷を生じるおそれがある。この対策として、筐体の部材厚みを増大させる方法が考えられるが、生産コストが増大する。
【0006】
そこで本発明は、船舶用のエンジンシステムに用いられ、EGRガスとEGRガスを洗浄した洗浄液とに含まれる酸化硫黄成分に対する耐食性と、高圧のEGRガスに対する耐圧性とを有するEGRシステムを、生産コストを抑制しながら提供可能にすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の一態様は、船舶用のエンジンから排出された高圧のEGRガスを液体に接触させて脱硫し、前記エンジンに再循環させるEGRシステムであって、前記EGRガスが導入されて前記液体に接触する内部空間が形成され、前記EGRガスと前記EGRガスに接触した前記液体とに含まれる酸化硫黄成分に対して耐食性を有する筐体と、前記筐体の外表面の一部に取り付けられて前記筐体を補強する少なくとも1つの補強部材とを備える。
【0008】
上記構成によれば、EGRガスとEGRガスに接触した液体とに含まれる酸化硫黄成分に対して耐食性を有するEGRシステムの筐体のうち、補強が必要な箇所に少なくとも1つの補強部材を取り付けて筐体を補強できるので、前記酸化硫黄成分に対する耐食性と共に、高圧のEGRガスに対する耐圧性をEGRシステムに付与できる。従って、筐体の補強部材が取り付けられた部分では、筐体の部材厚みを増大させなくてもよいため、生産コストを抑制できる。
【0009】
前記補強部材は、長尺状であり、前記補強部材の長手方向に沿った部分が、前記外表面に取り付けられていてもよい。これにより、補強部材の長手方向に沿って、EGRシステムの筐体を補強部材により強固に補強できる。
【0010】
複数の前記補強部材が、格子状に組み合わされていてもよい。これにより、側壁部の外表面の広い領域を限られた数の補強部材で強固に補強でき、生産コストを抑制しながら、側壁部の変形を良好に防止できる。
【0011】
前記筐体は、少なくとも1つの平板状の側壁部を有し、前記補強部材は、前記側壁部の外表面に取り付けられていてもよい。この構成によれば、平板状の側壁部を用いることで、内部空間の容積効率を高め、船内におけるEGRシステムの配置スペースの効率化を図れると共に、EGRシステムの筐体の内圧により平板状の側壁部が膨張して変形するのを補強部材により防止できる。
【0012】
前記筐体は、4つの前記側壁部が組み合わされることにより、一方向に垂直な断面が矩形状に形成されたケース部を有していてもよい。この構成によれば、補強部材が、側壁部の外表面に取り付けられていることにより、ケース部の内部空間に高圧のEGRガスが導入されても、ケース部が膨張して変形したり、ケース部の四隅部分が圧力により損傷したりするのを補強部材により防止できる。
【0013】
隣接する前記側壁部に取り付けられた前記補強部材同士が連結されていてもよい。これにより、ケース部において、隣接する側壁部の間を補強部材により良好に補強できる。
【0014】
前記筐体は、前記内部空間を通過した前記EGRガスが流通するガス流路と前記ガス流路を通過した前記EGRガスが排出されるガス排出口とが設けられたガス排出部を有し、前記補強部材が、前記ガス流路の流路断面を周方向に囲みながら、前記ガス排出部の外表面に取り付けられていてもよい。これにより、排出部の流路を流通するEGRガスの圧力により排出部が変形するのを、補強部材により防止できる。
【0015】
前記筐体の前記外表面のうち、非平面且つ曲面状の領域以外の領域に、前記補強部材が取り付けられていてもよい。これにより筐体において、外表面が非平面且つ曲面状であることで内圧に対して剛性を有する領域以外の領域に補強部材を取り付け、筐体を補強部材により効率よく補強できる。
【0016】
前記筐体が、ステンレス鋼材で構成され、前記補強部材が、鉄材で構成されていてもよい。これにより、前記酸化硫黄成分に対する耐食性を確保しながら、EGRシステムの高圧のEGRガスに対する耐圧性を低コストで得ることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の各態様によれば、船舶用のエンジンシステムに用いられ、EGRガスとEGRガスを洗浄した洗浄液とに含まれる酸化硫黄成分に対する耐食性と、高圧のEGRガスに対する耐圧性とを有するEGRシステムを、生産コストを抑制しながら提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について、各図を参照しながら説明する。
【0020】
[エンジンシステム]
図1は、実施形態に係るエンジンシステム1のブロック図である。
図1において、破線は、エンジン2に供給される供給ガスの流れを示し、実線は、エンジン2から排出される排出ガスの流れを示している。
【0021】
エンジンシステム1は、エンジン2、EGRシステム3、ブロア4、及び過給器5を備えている。エンジン2は、本実施形態では船舶の推進用主機であり、2ストロークディーゼルエンジンである。エンジン2は、4ストロークエンジンであってもよく、ガスエンジンや二元燃料エンジンであってもよい。供給ガスは、エンジン2が2ストロークエンジンである場合には掃気ガスであり、4ストロークエンジンである場合には給気ガスである。
【0022】
EGRシステム3は、エンジン2から排出された高圧のEGRガスを液体に接触させて脱硫し、エンジン2に再循環させる。これによりEGRシステム3は、EGRガスを浄化してエンジン2に再循環させる。ブロア4は、EGRシステム3から排出されるEGRガスを昇圧して、エンジン2に供給する。
【0023】
過給器5は、コンプレッサ部6とタービン部7とを有する。コンプレッサ部6は、タービン部7と連結され、タービン部7の駆動力により駆動される。過給器5は、外部から取り込んだ大気をコンプレッサ部6で圧縮して供給ガスとし、当該供給ガスをエンジン2に供給する。また過給器5は、エンジン2から排出される排出ガスによりタービン部7を駆動させる。
【0024】
[EGRシステム]
図2は、実施形態に係るEGRシステム3の一側面側から見た鉛直断面図である。
図2に示すように、EGRシステム3は、筐体10、噴霧装置11、スクラバ12、貯留槽13、熱交換器14、及び補強部材15を備えている。
【0025】
筐体10は、EGRガスと、EGRガスに接触した液体とに含まれる酸化硫黄成分(以下、単に酸化硫黄成分と称する)に対して耐食性を有する。一例として筐体10は、前記耐食性を有する材料としてステンレス鋼材を用いることにより構成されている。
【0026】
筐体10には、EGRガスが導入されて前記液体に接触する内部空間16が形成されている。筐体10の内部には、内部空間16を第1空間16a、第2空間16b、及び第3空間16cに区画する複数の仕切壁10eが設けられている。第1空間16a、第2空間16b、及び第3空間16cは、上下方向に延びている。第1空間16aは、上下方向の途中で、第2空間16bと連通している。第2空間16bは、第1空間16aから第3空間16cに向けて延びている。第3空間16cは、その上部で第2空間16bと連通している。
【0027】
筐体10の上部は、筐体10の第2空間16bと第3空間16cとの上側に位置している。筐体10の上部の天面10nは、第2空間16bの上方から第3空間16cの下方へ向けて、緩やかにカーブする非平面且つ曲面状に形成されている。これにより筐体10の上部では、第2空間16bの上方から第3空間16cの下方に向けて、EGRガスがスムーズに案内される。
【0028】
筐体10の第1空間16aの上側には、ガス導入口10aが設けられ、筐体10の第3空間16cの側方には、ガス排出口10bが設けられている。ガス導入口10aには、ガス導入管8が接続されている。ガス排出口10bには、ガス排出管9が接続されている。EGRシステム3では、EGRガスは、ガス導入口10aから第1空間16a、第2空間16b、及び第3空間16cを順に流通し、ガス排出口10bからブロア4に向けて排出される。EGRシステム3の稼働時には、筐体10の内表面に、内部空間16に導入されたEGRガスと、噴霧装置11から噴霧される洗浄液とが接触する。
【0029】
筐体10は、ガス導入部10cとガス排出部10dとを有している。ガス導入部10cは、筐体10の中央部の上側に設けられ、上下方向に延びている。ガス導入部10cの上側には、ガス導入口10aが設けられている。ガス導入部10cは、ガス導入口10aから導入されるEGRガスを上下方向に流通させる。ガス排出部10dは、ガス導入口10aと離隔した筐体10の中央部の側部に設けられ、水平方向に延びている。ガス排出部10dには、ガス流路17、ミストセパレータ18、及びガス排出口10bが設けられている。ガス排出部10dは、内部空間16を通過したEGRガスを水平方向に流通させる。
【0030】
ガス流路17は、内部空間16を通過したEGRガスをミストセパレータ18を介して流通させる。ミストセパレータ18は、ガス流路17の途中に配置され、ガス流路17を流通するEGRガスに含まれるミストを除去する。
【0031】
噴霧装置11とスクラバ12とは、筐体10の中央部において、第1空間16aに配置されている。噴霧装置11は、前記液体として脱硫用の中和剤(一例として苛性ソーダ)を含む洗浄液を用い、EGRガスに向けて洗浄液を噴霧する。ここでは噴霧装置11は、EGRガスに向けて洗浄液を上方から下方に拡散させながら噴霧する。
【0032】
スクラバ12は、噴霧装置11の下方に配置され、洗浄液によりEGRガスを脱硫する。スクラバ12は、EGRガスと洗浄液とを上方から下方に向けて通過させて排出する。EGRガスは、洗浄液と接触することにより煤成分を除去され且つ脱硫される。EGRガスの煤成分と酸化硫黄成分とを含んだ洗浄液は、スクラバ12の下方に落下して貯留槽13に貯留され、残りのミストとEGRガスとは、第1空間16aから第2空間16bに移動する。
【0033】
貯留槽13は、筐体10の下側に配置され、EGRガスと接触した洗浄液を貯留する。筐体10の内部では、第1空間16a、第2空間16b、及び第3空間16cの各々を流通するEGRガスから分離された洗浄液が、貯留槽13に貯留される。洗浄液は、酸化硫黄成分を含んだことにより硫酸を含有するが、中和剤により中和される。貯留槽13に貯留された洗浄液は、その一部が噴霧装置11に供給されてEGRガスに対して再び噴霧され、残余が廃水処理装置に送られる。
【0034】
第2空間16bでは、EGRガスは、第1空間16aから上方に流通する。これにより、第2空間16bにおいて、EGRガスに含まれる洗浄液が、貯留槽13に落下する。
【0035】
熱交換器14は、第3空間16cの上側に配置され、第2空間16bから第3空間16cに移動した脱硫後のEGRガスを冷却する。補強部材15は、筐体10の外表面の一部に取り付けられて筐体10を補強する。具体的に補強部材15は、筐体10の内圧(筐体10の内部空間16に導入されるEGRガスの圧力)に対して筐体10を補強する。補強部材15は、筐体10の略平面部の外表面に取り付けられている。EGRシステム3は、少なくとも1つの補強部材15を備えている。
【0036】
本実施形態では、補強部材15は板部材である。EGRシステム3では、複数の補強部材15が、上下方向又は水平方向に延び、筐体10の下部、筐体10の中央部、筐体10の上部、ガス導入部10c、及びガス排出部10dの各外表面の一部に取り付けられている。補強部材15は、EGRガスと洗浄液とには接触しないため、筐体10と異なり、前記耐食性を有していなくてもよい。補強部材15は、一例として鉄材料で構成されている。
【0037】
図3は、
図1のEGRシステム3の一側面側から見た斜視図である。
図4は、
図1のEGRシステムの
図3とは反対の側面側から見た斜視図である。
図3及び4では、ガス導入管8とガス排出管9との図示を省略している。
【0038】
図3及び4に示すように、筐体10の下部は、水平断面が矩形状であり、一対の第1側壁部10hと一対の第2側壁部10iとを有する。一対の第1側壁部10hは、上下方向に延びて、下方に向かうほど互いに接近する方向に屈曲した曲板状に形成されている。これにより、一対の第1側壁部10hの外表面は、非平面且つ曲面状に形成されている。一対の第1側壁部10hは、断面形状を湾曲させて強化されており、筐体10の内圧に対して十分な剛性がある。このため、一対の第1側壁部10hには、補強部材15は取り付けられていない。一対の第1側壁部10hは、対向配置されている。
【0039】
筐体10の中央部は、水平断面が矩形状であり、一対の第3側壁部10jと一対の第4側壁部10kとを有する。筐体10の上部は、水平断面が矩形状であり、一対の第5側壁部10lと一対の第6側壁部10mとを有する。一対の第5側壁部10lの中央では、熱交換器14のケーシング14aが外部に露出している。天面10nは、断面形状を湾曲させて強化されており、一対の第1側壁部10hと同様に、筐体10の内圧に対して十分な剛性がある。このため天面10nには、補強部材15は取り付けられていない。
【0040】
ガス導入部10cは、水平断面が矩形状である。ガス導入部10cは、4つの第7側壁部10oを有している。ガス導入部10cの上面には、ガス導入口10aが設けられている。
【0041】
ガス排出部10dは、水平断面とガス流路17の流路断面に垂直な鉛直断面とが矩形状である。ガス排出部10dは、5つの第8側壁部10pを有している。ガス排出部10dの第3空間16cから最も遠位に位置する第8側壁部10pには、ガス排出口10bが設けられている。
【0042】
ここで筐体10は、少なくとも1つの平板状の側壁部10fを有する。具体的に筐体10は、側壁部10fとして、一対の第2側壁部10i、一方の第3側壁部10j、一対の第4側壁部10k、一対の第5側壁部10l、一対の第6側壁部10m、4つの第7側壁部10o、及び5つの第8側壁部10pを有している。
【0043】
また筐体10は、ケース部10gを有している。ケース部10gは、4つの側壁部10fが組み合わされることにより、一方向に垂直な断面が矩形状に形成されている。本実施形態では、筐体10は、ケース部10gとして、筐体10の下部、筐体10の中央部、筐体10の上部、ガス導入部10c、及びガス排出部10dを有している。筐体10の下部、筐体10の中央部、筐体10の上部、及びガス導入部10cでは、前記一方向は、水平方向に相当する。ガス排出部10dでは、前記一方向は、水平方向とガス流路17の流路断面に垂直な鉛直方向とに相当する。
【0044】
補強部材15は、一例として長尺状であり、補強部材15の長手方向に沿った部分が、筐体10の外表面に取り付けられている。複数の補強部材15のうち、一部の補強部材15の幅方向は、水平方向と一致している。複数の補強部材15は、格子状に組み合わされている。本実施形態では、複数の側壁部10fに取付られた複数の補強部材15が、格子状に組み合わされている。本実施形態では、補強部材15の部材厚みは、全て一定である。
【0045】
具体的に補強部材15は、側壁部10fの外表面に取り付けられている。一例として、複数の補強部材15は、板面が側壁部10fの外表面に対して立てられた状態で、複数の箇所において、溶接により側壁部10fの外表面に接合されている。このように、補強部材15の板面が側壁部10fの外表面に対して立てられているため、筐体10に補強部材15を取り付けても、補強部材15に覆われる筐体10の外表面積が抑制され、EGRシステム3が筐体10の外表面から外気中に放熱し易くなっている。
【0046】
また補強部材15は、ケース部10gの外表面に取り付けられている。ケース部10gでは、隣接する側壁部10fに取り付けられた補強部材15同士が連結されている。本実施形態では、ガス導入部10cの下方に位置する第4側壁部10kに取り付けられた補強部材15の長手方向両端が、一対の第3側壁部10jに取り付られた補強部材15の長手方向一端と連結されている。また、4つの第7側壁部10oに取り付けられた補強部材15の長手方向両端が、隣接する補強部材15同士で連結されている。
【0047】
ガス導入部10cでは、補強部材15は、ガス流路の流路断面を周方向に囲みながら、ガス導入部10cの外表面に取り付けられている。またガス排出部10dでは、補強部材15は、ガス流路17の流路断面を周方向に囲みながら、ガス排出部10dの外表面に取り付けられている。
【0048】
またEGRシステム3では、筐体10の外表面のうち、非平面且つ曲面状の領域以外の領域に、補強部材15が取り付けられている。具体的には、筐体10の外表面のうち、一対の第1側壁部10hと天面10n以外の領域に、補強部材15が取り付けられている。
【0049】
筐体10は、ケース部10gを有しているため、内部空間16に高圧のEGRガスが導入される際、ケース部10gの四隅部分にEGRガスの圧力に対する応力が集中する場合があるが、ケース部10gの外表面が補強部材15により補強されることで、ケース部10gの四隅部分が損傷するのが防止されている。これにより、筐体10にケース部10gを設けることで、船内の限られたスペースにEGRシステム3を効率よく配置可能にしながら、EGRガスに対するEGRシステム3の耐圧性が高められている。
【0050】
以上に説明したように、EGRシステム3によれば、酸化硫黄成分に対して耐食性を有する筐体10のうち、補強が必要な箇所に少なくとも1つの補強部材15を取り付けて筐体10を補強できるので、酸化硫黄成分に対する耐食性と共に、高圧のEGRガスに対する耐圧性をEGRシステム3に付与できる。従って、筐体10の補強部材15が取り付けられた部分では、筐体10の部材厚みを増大させなくてもよいため、生産コストを抑制できる。
【0051】
よって、船舶用のエンジンシステム1に用いられ、酸化硫黄成分に対する耐食性と、高圧のEGRガスに対する耐圧性とを有するEGRシステム3を、生産コストを抑制しながら提供できる。また、補強部材15による筐体10の補強効果が得られることにより、筐体10の部材厚みを減らし、筐体10をコンパクト化・軽量化し易くできる。
【0052】
また補強部材15が、長尺状であり、補強部材15の長手方向に沿った部分が、筐体10の外表面に取り付けられているので、補強部材15の長手方向に沿って、筐体10を補強部材15により強固に補強できる。
【0053】
また複数の補強部材15が、格子状に組み合わされているので、側壁部10fの外表面の広い領域を限られた数の補強部材15で強固に補強でき、生産コストを抑制しながら、側壁部10fの変形を良好に防止できる。
【0054】
また筐体10が、少なくとも1つの平板状の側壁部10fを有し、補強部材15が、側壁部10fの外表面に取り付けられているので、平板状の側壁部10fを用いることで、内部空間16の容積効率を高め、船内におけるEGRシステム3の配置スペースの効率化を図れると共に、筐体10の内圧により平板状の側壁部10fが膨張して変形するのを補強部材15により防止できる。
【0055】
また筐体10は、4つの側壁部10fが組み合わされることにより、一方向に垂直な断面が矩形状に形成されたケース部10gを有し、補強部材15が、側壁部10fの外表面に取り付けられているので、ケース部10gにおいて内部空間16に高圧のEGRガスが導入されても、ケース部10gが膨張して変形したり、ケース部10gの四隅部分が圧力により損傷したりするのを補強部材15により防止できる。
【0056】
また、隣接する側壁部10fに取り付けられた補強部材15同士が連結されているので、ケース部10gにおいて、隣接する側壁部10fの間を補強部材15により良好に補強できる。
【0057】
また筐体10は、ガス排出部10dを有し、補強部材15が、ガス流路17の流路断面を周方向に囲みながら、ガス排出部10dの外表面に取り付けられているので、ガス排出部10dのガス流路17を流通するEGRガスの圧力によりガス排出部10dが変形するのを、補強部材15により防止できる。
【0058】
また、筐体10の外表面のうち、非平面且つ曲面状の領域以外の領域に、補強部材15が取り付けられているので、筐体10において、外表面が非平面且つ曲面状であることで内圧に対して剛性を有する領域以外の領域に補強部材15を取り付け、筐体10を補強部材15により効率よく補強できる。
【0059】
また筐体10が、ステンレス鋼材で構成され、補強部材15が、鉄材で構成されているので、酸化硫黄成分に対する耐食性を確保しながら、EGRシステム3の高圧のEGRガスに対する耐圧性を低コストで得ることができる。
【0060】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、その構成を変更、追加、又は削除できる。補強部材15は、ボルト等の締結部材により側壁部10fに取り付けられていてもよい。
【0061】
全ての補強部材15は、側壁部10fの外表面に対して傾斜して立てられていてもよい。水平方向に延びる補強部材15同士の間隔と、上下方向に延びる補強部材15同士の間隔とは、それぞれ一定であってもよい。補強部材15の部材厚みは、部分的に異なっていてもよい。複数の補強部材15の部材厚みは、互いに異なっていてもよい。
【0062】
また筐体10の部材厚みは、補強部材15の部材厚みより薄くてもよい。これにより、筐体10を構成する部材を補強部材15に比べて薄肉化し、生産コストを更に抑制しながら、筐体10を補強部材15により補強できる。
【0063】
また補強部材は、多角形断面や丸形断面を有する棒状部材であってもよいし、管状部材であってもよい。また、補強部材は、板面が円形、矩形、又は多角形である板部材であってもよい。補強部材が板部材である場合には、補強部材の板面が筐体10の外表面に面接触するように、補強部材を筐体10の外表面に取り付けてもよい。
【0064】
また筐体10の材料は、ステンレス鋼材に限定されず、例えば、チタン材でもよい。また、補強部材15の材料は、鉄材に限定されない。また、補強部材15の材料に放熱性に優れる材料を用いることで、筐体10で発生した熱を、補強部材15を介して外気中に効率よく放熱させてもよい。