(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態である包装体10の斜視図である。また、
図2は、包装体10の正面図であり、
図3は、包装体10の背面図である。また、
図4は、包装体10の概略的な縦断面図である。なお、図面では、折り目線は、短破線で、破断補助線は、長破線で図示する。
【0023】
この包装体10は、硬質のプラスチック等からなる本体12と、板紙等からなるシート体14と、を備えたもので、一般的に、「ブリスターパック」と呼ばれるものである。なお、以下では、本体12の配される側を「正面」または「前面」と呼び、シート体14が配される側を「背面」または「後面」と呼ぶ。また、収容部16からみて、再封用折り目線20に近づく方向を「上方」、再封用折り目線20から離れる方向を「下方」と呼ぶ。
【0024】
包装体10は、物品100を収容し、包装する。包装対象である物品100は、特に限定されないが、本実施形態の包装体10は、一度に全て使い切ることのないものの包装に、特に適している。例えば、包装体10に収容される物品100は、1個ずつ使用する複数個の物品100でもよいし、使用に際して小量ずつ使用される物品100(例えば切り分けて使用される湿布シート等)でもよい。また、物品100は、繰り返し使用され、使用後は、汚れ防止のために包装体10に収容される物品100でもよい。以下の説明では、一回分ずつ分包された薬剤包装体を複数個収容する包装体10を例に挙げて説明する。
【0025】
本体12は、収容部16と、当該収容部16の周縁に連なるフランジ部17と、を有している。本体12は、透明または半透明のプラスチックシートから構成されており、収容部16に収容した物品100が外部から視認できるようになっている。収容部16は、物品100を収容する部位であり、前方側に突出した凹部である。換言すれば、収容部16は、後端面が開口された略箱状である。この収容部16(凹部)の内部に、物品100が収容される。収容部16は、略直方形状であるが、この収容部16の上端面16tは、
図1や、
図4に示す通り、前方に進むにつれ、下方に進む傾斜面となっている。プラスチックシートに、こうした収容部16を成形する加工法としては、例えば、真空成形や圧空成形等がある。フランジ部17は、収容部16の周縁から外側方向に広がる平坦面である。このフランジ部17は、シート体14を接合する際の糊代として機能する。
【0026】
本体12を構成するプラスチックシートとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステルからなり硬質で熱成形可能な透明シートを用いることができ、特に未延伸の非結晶性ポリエステルシート(A−PET)が好ましいが、その他、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン等からなる単層または多層のプラスチックシート等を採用し得る。なお、厚さは、0.1mm乃至1.0mm、好ましくは0.2mm乃至0.5mmである。
【0027】
シート体14は、本体12の背面に接合されるシート状部材である。このシート体14の材質や厚みは、特に限定されないが、ある程度の剛性、具体的には、商品の搬送等の過程で意図しない屈曲等が生じない程度の剛性を有していることが望ましい。かかるシート体14は、例えば、板紙や、プラスチックシート等から構成される。
【0028】
シート体14は、収容部16を封止するべく本体12に接合される封止部26と、封止部26の端部に連なるヘッダ部28と、封止部26内に設けられた開口予定部30と、ヘッダ部28に設けられた再封用折り目線20と、を備えている。封止部26は、本体12とほぼ同じ大きさを有しており、封止部26の一面(内面)は、接着剤等により本体12のフランジ部17に接合されている。フランジ部17に接合されることで、収容部16の後端側の開口が、当該封止部26により完全に閉鎖される。シート体14の他面(外面)は、外部に露出しているが、この外面には、商品の名称は、材料、使用方法、イラスト等、種々の情報が印刷される。
【0029】
封止部26には、略長方形の破断補助線32が設けられている。ただし、破断補助線32の下端は、一直線状ではなく、途中で、ヘッダ部28側に飛びだす略台形状部分を有している。破断補助線32は、シート体14の破断を補助するもので、例えば、ミシン目線やハーフカット線等である。この破断補助線32で囲まれた領域は、包装体10を開封する際に、本体12から切り離されて開口部40を形成する開口予定部30となる。この開口予定部30は、封止部26の上端近傍(再封用折り目線20側端部近傍)に設けられている。換言すれば、開口予定部30は、傾斜面である収容部16の上端面16tの一部と正対する位置に設けられている。かかる開口予定部30を切り離すことで、収容部16にアクセス可能で、収容部16よりも小さい開口部が形成される。
【0030】
なお、この開口予定部30の大きさは、収容される物品100のサイズや、シート体14に印刷したい情報量等に応じて設定されることが望ましい。すなわち、物品100の取り出しやすさを考慮すれば、開口予定部30は、大きいほど望ましい。しかし、既述した通り、シート体14の外面には、商品の名称は、材料、使用方法、イラスト等、商品に関する情報が印刷される。したがって、開封後に切り取られる開口予定部30が過度に大きいと、その分、開封後(開口予定部30を切り取り後)に残存する情報量が低下する。また、開口予定部30は、開封後に、開口部40となる箇所であるが、当該開口部40が大きいと、その分、当該開口部40を覆うためのヘッダ部28を大きくする必要がある。つまり、開口予定部30が大きいと、その分、包装体10全体のサイズが大きくなる。したがって、十分な情報量を維持し、包装体10のサイズを小さくするためには、開口予定部30は、極力小さくすることが望ましい。したがって、開口予定部30の上下方向長さは、収容部16の上下方向長さの1/2以下であることが望ましく、より望ましくは、1/3以下である。本実施形態では、開口予定部30を小さくしつつも、取り出しやすさを維持できるように、収容部16の上端面16tを傾斜面としているが、これについては、後に詳説する。
【0031】
破断補助線32に沿って開口予定部30を切り取った場合には、略長方形の開口部40が形成される。この開口部40の下端には、ヘッダ部28側に向かって突出した係合部36が形成される。この係合部36は、再封用折り目線20に沿って折り曲げられたヘッダ部28と係合する部位である。本実施形態では、ヘッダ部28の上端縁50が係合部36に係合される。この係合を可能にするために、再封用折り目線20からヘッダ部28の上端縁50までの距離Daは、再封用折り目線20から破断補助線32の下端までの距離Dbとほぼ同じになっている。
【0032】
封止部26の上端には、ヘッダ部28が連設されている。ヘッダ部28は、封止部26と同じ幅を有した平坦状部位である。ヘッダ部28は、既述した通り、係合部36に係合する関係上、再封用折り目線20から破断補助線32の下端までの距離Dbとほぼ同じ長さを有している。ただし、後述する第二実施形態と同様に、ヘッダ部28内に、幅方向に長尺な長孔を形成し、この長孔の一端に係合部36を係合するようにすれば、ヘッダ部28の長さは、特に限定されない。この場合、ヘッダ部28は、収容部16との意匠上のバランスを考えてサイズ決定される。ただし、ヘッダ部28が過度に大きいと、包装体10全体のサイズが増加し、搬送コスト等の増加を招くため、ヘッダ部28は、収容部16よりも短いことが望ましい。なお、本実施形態において、ヘッダ部28とは、シート体14のうち、本体12の上端より上側部分を指す。ヘッダ部28の高さ方向略中央には、略円形の吊り下げ孔22が形成されている。
【0033】
ヘッダ部28には、再封用折り目線20が全幅に亘って設定されている。一度開封された包装体10を、再度、封止する際には、当該再封用折り目線20に沿って、ヘッダ部28を折り曲げる。この再封用折り目線20は、シート体14の折り曲げを補助または提示する線である。かかる再封用折り目線20は、切断部と繋がり部が交互に並ぶミシン目線や、シート体14の厚み未満の深さの溝線であるハーフカット線、シート体14を線状に押圧して形成できる押し罫線等で構成できる。シート体14の折り曲げを補助する再封用折り目線20を設けることで、ヘッダ部28は、当該再封用折り目線20を中心として容易に揺動できるようになる。つまり、再封用折り目線20は、ヘッダ部28を揺動させるヒンジ部として機能する。また、再封用折り目線20は、必ずしも折り曲げを「補助」する必要はなく、折り曲げ位置を示唆するだけの線でもよい。したがって、再封用折り目線20は、シート体14の表面に印刷された線でもよい。すなわち、再封用折り目線20は、将来的に、折り曲げられる折り曲げ予定部分であれば、その形態は、限定されない。
【0034】
次に、こうした包装体10の開封および再封の手順について説明する。包装体10を開封したい場合、ユーザは、シート体14を破断補助線32に沿って破断することで、開口予定部30をシート体14から切り離し、本体12から離間させる。
図5は、開口予定部30が切り離された際の包装体10の概略断面図である。
図5に示すように、開口予定部30が切り離されると、封止部26の上端近傍に、開口部40が形成される。ユーザは、この開口部40から収容部16内にアクセスし、収容部16に収容された物品100を取り出す。ここで、本実施形態では、収容部16の上端面16tを傾斜面としている。これにより、開口部40が比較的小さくても物品100を容易に取り出すことができる。なお、この上端面16tと、封止部26との成す角度βは、90度未満であれば、特に限定されないが、望ましくは、80度未満、より望ましくは、45度未満とすることが望ましい。
【0035】
収容部16の上端面16tが傾斜面である場合、当該傾斜面に当たった物品100は、傾斜面に沿って滑り、外側に飛びだしやすくなる。そのため、収容部16から物品100を取り出す際、ユーザは、傾斜面(上端面16t)が鉛直方向下側になるように包装体10を傾けて包装体10を滑落させたり、物品100の表面を手指で押さえつつ手指を傾斜面(上端面16t)側に動かしたりして、物品100を傾斜面側に移動させる。そして、物品100が、傾斜面に当接すると、物品100は、傾斜面に沿って滑り、凹部の外側に飛びだしてくる。
【0036】
つまり、収容部16の上端面16tを傾斜面とすれば、ユーザは、収容部16内にある物品100の端部を手指で摘まなくても、物品100を取り出すことができる。結果として、小さな開口部40でも、容易に物品100を取り出すことができる。ここで、開口部40は、シート体14の一部(開口予定部30)を切り離して形成されるため、開口部40が大きいと、その分、切り離れるシート体14の面積も大きくなる。通常、シート体14には、物品100の名称や用途、使用方法、原料等、物品100に関する情報が印刷されている。かかる情報は、包装体10の開封後も、極力、失われることなく、残存することが望ましい。しかし、開口部40を形成するために切り離される開口予定部30の面積が大きいと、その分、情報の印刷面積も小さくなり、残存できる情報量が低下する。本実施形態では、収容部16の上端面を傾斜面とすることで、開口部40を小さくでき、ひいては、情報の記載面積を大きく残せる。
【0037】
また、後述する通り、適切に再封するためには、再封用折り目線20からヘッダ部28の上端までの距離Daは、再封用折り目線20から開口予定部30の下端までの距離Db以上でなければならない。開口部40を小さくできれば、再封用折り目線20からヘッダ部28の上端までの距離Daを小さくすることも可能となり、ヘッダ部28のサイズ設定の自由度を向上できる。
【0038】
次に、一度開封した包装体10を、再度、封止(再封)する手順について説明する。この場合、ユーザは、
図6に示すように、ヘッダ部28を、再封用折り目線20に沿って折り曲げればよい。折り曲げられたヘッダ部28は、収容部16の背面に重ねられ、開口部40を覆う。そして、ヘッダ部28を前側に押し付けて、ヘッダ部28の上端縁50を、開口部40の上端に設けられた係合部36の下側に潜らせれば、上端縁50と係合部36とが互いに係合し、ヘッダ部28の動きが規制される。この状態になれば、開口部40は、ヘッダ部28で閉鎖された状態が維持され、収容部16に残っている物品100の意図しない飛び出しや、収容部16内への塵埃の進入を防止できる。
【0039】
また、
図6から明らかな通り、再封状態では、ヘッダ部28が、収容部16側に折り曲げられているため、包装体10のサイズを大幅に低減できる。そのため、包装体10の保管等に要するスペースが小さくてすみ、包装体10を持ち歩きなども容易に行うことができる。
【0040】
収容部16内の物品100を再度、取り出したい場合には、ヘッダ部28を持ちあげて、開口部40を外部に露出させればよい。そして、再度、封止したい場合には、再度、ヘッダ部28を、折り曲げて、係合部36に係合させればよい。つまり、再封と再開封を繰り返し行うためには、ヘッダ部28(本体12)の折り曲げ・折り曲げ解除を繰り返し行う必要がある。そのため、ヘッダ部28を含むシート体14は、繰り返し折り曲げ・折り曲げ解除が行われても疲労破壊しにくい材質で構成されることが望ましい。
【0041】
ところで、こうした包装体10は、開封前は、ヘッダ部28を折り曲げない状態で、搬送されたり、陳列されたりする。この搬送、陳列の際、開封前の包装体10が大きいと、輸送コストや必要な陳列スペースが増加する。特許文献2の包装体10は、収容部16と同サイズのヘッダ部28を設けていたため、開封前の段階において、包装体10のサイズが大きくなり、輸送コストや陳列スペースの増加を招いていた。一方、本実施形態では、ヘッダ部28は、開口部40を覆える大きさであればよい。そして、既述した通り、本実施形態の開口部40は、収容部16の一部にのみ設けられており、比較的小さい。結果として、本実施形態によれば、ヘッダ部28、ひいては、開封前の包装体10全体のサイズを低減できる。そして、これにより、輸送コストや陳列スペースを低減できる。また、収容部16の大きさに関わらず、ヘッダ部28の大きさを自由に設定できるため、デザインの自由度も高めることができる。
【0042】
以上の通り、本実施形態では、開封の際、収容部16の全体を開封するのではなく、収容部16の一部だけを開口する構成としている。そのため、開口部40を形成するために切り離される開口予定部30を小サイズにすることができ、切り離しにより欠落する情報量を低減できる。また、本実施形態では、収容部16のうち、開口予定部30と同じ側(上端側)の面(上端面16t)を傾斜面としている。そのため、開口予定部30を小さくしても、物品100を容易に取り出すことができる。さらに、開口予定部30を小サイズにすることにより、ヘッダ部28も、小サイズにすることができ、ひいては、開封前の包装体10のサイズを小さくできる。
【0043】
なお、これまで説明した構成は、一例であり、一端が傾斜面の収容部16と、当該収容部16を封止する封止部26と、封止部26の一端近傍に設けられた開口予定部30と、を備えるのであれば、その他の構成は、適宜、変更されてもよい。例えば、本実施形態では、再封止のために、ヘッダ部28を設けているが、再封止が不要な場合や、別途、再封止手段を設けた場合には、ヘッダ部28は、省略されてもよい。また、本実施形態では、ヘッダ部28の上端縁と、係合部36とを係合させる構成としているが、係合部36は、折り曲げられたヘッダ部28内の部位であれば、他の部位と係合してもよい。また、係合部36は、開口予定部30とは、別の箇所に設けられてもよい。
【0044】
また、これまでの説明では、開口予定部30をシート体14から切り離す構成のみを例示したが、開口予定部30は、本体12から離間して開口部40を形成できるのであれば、シート体14から切り離されなくてもよい。
図8、
図9は、開口予定部30が切り離されない包装体10の背面図である。
図8に示すように、この場合、シート体14には、封止部26の全幅に亘って延びる上側破断補助線41および下側折り目線42が設けられている。この上側破断補助線41と下側折り目線42とで囲まれた領域が、開口予定部30となる。シート体14のうち、開口予定部30の上端には、略半円形の破断開始孔46が形成されている。この破断開始孔46は、上側破断補助線41に沿ったシート体14の破断の、とっかかりとなる孔で、上側破断補助線41と交差し、指先が引っ掛け可能な大きさの孔である。
【0045】
下側折り目線42は、開口予定部30の折り曲げを補助するための線で、ミシン目線や、ハーフカット線、折り目罫線等で構成される。この下側折り目線42の幅方向略中央には、係合部36が設けられている。係合部36は、ヘッダ部18側に凸の略台形状の切込み線44で構成されている。
【0046】
包装体10を開封する際、ユーザは、破断開始孔46に指先をひっかけ、上側破断補助線41に沿って、シート体14を破断する。これにより、開口予定部30は、その上端が、シート体14から離間し、下端がシート体14に繋がった舌状になる。この舌状の開口予定部30を、
図9に示すように、下側折り目線42に沿って折り曲げることで、収容部16にアクセス可能な開口部40が形成される。ユーザは、この状態になれば、開口部40から、物品100を取り出す。
【0047】
物品100を取り出した後は、
図1の包装体10と同様に、ヘッダ部28を再封用折り目線20に沿って折り曲げ、開口部40をヘッダ部18で覆えばよい。そして、折り曲げられたヘッダ部28の上端縁50を係合部36に係合させることで、再封状態が維持される。
【0048】
このように、開口予定部30を完全に切り離すのではなく、舌状にめくって折り曲げる構成とすれば、開封に伴う情報の欠落を無くすことができる。すなわち、
図8、
図9の形態によれば、種々の情報が記載されているシート体14が、全て、切り離されることなく残る。その結果、シート体14に記載された情報が欠落することがない。
【0049】
なお、
図8、
図9の形態では、再封状態において、舌状の開口予定部30が、下側折り目線42を中心として揺動可能となっている。かかる開口予定部30の揺動を防止したい場合は、
図9に示すように、開口予定部30の内部に、係合部36を構成する切込み49を形成し、かかる切込み49にヘッダ部28を係合させるようにすればよい。なお、当然ながら、この場合、切込み49の位置に応じて、ヘッダ部18のサイズを変更する。かかる構成とすることで、情報の欠落を防止しつつ、開口予定部30の揺動を防止できる。
【0050】
次に、第二実施形態について説明する。
図10は、第二実施形態の包装体10の斜視図である。また、
図11は、当該包装体10の正面図であり、
図12は、当該包装体10の背面図である。また、
図13は、当該包装体10の概略的な縦断面図である。
【0051】
この包装体10は、硬質のプラスチック等からなる本体12と、板紙等からなるシート体14と、を備えたもので、一般的に、「ブリスターパック」と呼ばれるものである。なお、以下では、本体12が見える側を「正面」または「前面」と呼び、シート体14が見える側を「背面」または「後面」と呼ぶ。また、収容部16からみて、再封用折り目線20に近づく方向を「上方」、再封用折り目線20から離れる方向を「下方」と呼ぶ。
【0052】
包装体10は、物品100を収容し、包装する。包装対象である物品100は、特に限定されないが、本実施形態の包装体10は、一度に全て使い切ることのないものの包装に、特に適している。例えば、包装体10に収容される物品100は、1個ずつ使用する複数個の物品100でもよいし、使用に際して小量ずつ使用される物品100(例えば切り分けて使用される湿布シート等)でもよい。また、物品100は、繰り返し使用され、使用後は、汚れ防止のために包装体10に収容される物品100でもよい。以下の説明では、一回分ずつ分包された薬剤包装体を複数個収容する包装体10を例に挙げて説明する。
【0053】
本体12は、収容部16と、当該収容部16の上端に連なるヘッダ部18と、を有しており、ヘッダ部18には、再封用折り目線20が形成されている。この本体12は、透明または半透明のプラスチックシートから構成されており、収容部16に収容した物品100が外部から視認できるようになっている。なお、図面では、折り目線は、短破線で、破断補助線は、長破線で図示する。
【0054】
収容部16は、物品100を収容する部位であり、前方側に突出した凹部である。この収容部16(凹部)の内部に、物品100が収容される。収容部16は、略直方形状であるが、この収容部16の上端面16tは、
図10や、
図13に示す通り、前方に進むにつれ、下方に進む傾斜面となっている。プラスチックシートに、こうした収容部16を成形する加工法としては、例えば、真空成形や圧空成形等がある。収容部16の周縁には、外側方向に広がるフランジ部17が接続されている。このフランジ部17は、シート体14を接合する際の糊代として機能する。
【0055】
収容部16の上端には、ヘッダ部18が連設されている。ヘッダ部18は、収容部16と同じ幅を有した平坦状部位である。なお、本実施形態においてヘッダ部18とは、本体12のうち、収容部16よりも上側部分を指す。ヘッダ部18は、収容部16よりも短いのであれば、そのサイズは、特に限定されない。したがって、ヘッダ部18は、収容部16との意匠上のバランスを考えてサイズ決定される。ただし、後述するように、包装体10を適切に再封するためには、ヘッダ部18の上端から再封用折り目線20までの距離D3は、再封用折り目線20から下側破断補助線34までの距離D2以上であることが望ましい。
【0056】
ヘッダ部18の高さ方向略中央には、幅方向に長尺な長孔が形成されている。この長孔は、包装体10を吊り下げ陳列する際に利用される吊り下げ孔22mとして機能する。この吊り下げ孔22mは、後述するシート体14の吊り下げ孔22sと同じ位置および形状となっている。なお、以下では、吊り下げ孔22mと吊り下げ孔22sとを区別しない場合は、添え字m,sを省略し、単に「吊り下げ孔22」と呼ぶ。また、吊り下げ孔22の下端縁24m,24sについても、両者を区別しない場合には、単に「下端縁24」と呼ぶ。後に詳説するように、再封の際、吊り下げ孔22の下端縁24は、シート体14の係合部36に係合される。この吊り下げ孔22の幅は、その下端縁24の略中央部が、容易に撓める程度の長さ、例えば、50mm前後あることが望ましい。
【0057】
ヘッダ部18には、再封用折り目線20が全幅に亘って形成されている。一度開封された包装体10を、再度、封止する際には、当該再封用折り目線20に沿って、ヘッダ部18を折り曲げる。この再封用折り目線20は、本体12を構成するプラスチックシートの折り曲げを補助する線である。かかる再封用折り目線20は、切断部と繋がり部が交互に並ぶミシン目線や、プラスチックシートの厚み未満の深さの溝線であるハーフカット線、プラスチックシートを線状に押圧して形成できる押し罫線等で構成できる。また、別の形態として再封用折り目線20は、
図7に示すように、断面形状が、前側に凸の円弧状となる凸条で構成されてもよい。いずれにしろ、プラスチックシートの折り曲げを補助する再封用折り目線20を設けることで、ヘッダ部18は、当該再封用折り目線20を中心として容易に揺動できるようになる。つまり、再封用折り目線20は、ヘッダ部18を揺動させるヒンジ部として機能する。
【0058】
本体12を構成するプラスチックシートとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステルからなり硬質で熱成形可能な透明シートを用いることができ、特に未延伸の非結晶性ポリエステルシート(A−PET)が好ましいが、その他、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン等からなる単層または多層のプラスチックシート等を採用し得る。尚、厚さは、0.1mm乃至1.0mm、好ましくは0.2mm乃至0.5mmである。
【0059】
シート体14は、本体12の背面に接合されるシート状部材である。このシート体14の材質や厚みは、特に限定されないが、ある程度の剛性、具体的には、商品の搬送等の過程で意図しない屈曲等が生じない程度の剛性を有していることが望ましい。かかるシート体14は、例えば、板紙や、プラスチックシート等から構成される。
【0060】
シート体14は、本体12とほぼ同じ大きさを有している。また、シート体14の上方には、ヘッダ部18と同様に、幅方向に長尺な吊り下げ孔22が形成されている。シート体14の一面(内面)は、接着剤等により、フランジ部17およびヘッダ部18に接合される。ただし、後に詳説するように開口予定部30は、本体12に接着されない。シート体14の他面(外面)は、外部に露出しているが、この外面には、商品の名称は、材料、使用方法、イラスト等、種々の情報が印刷される。
【0061】
シート体14には、幅方向に延びる一対の破断補助線32,34が設けられている。これら破断補助線32,34は、シート体14の破断を補助するもので、例えば、ミシン目線やハーフカット線等である。破断補助線32,34のミシン目線としては、例えば、
図19に示すような屈曲または湾曲した形状の切断部を間欠的に設けた、いわゆる、紙ジッパー形状のミシン目線を用いてもよい。上側破断補助線32(第二破断補助線)は、再封用折り目線20よりも、僅かに(数ミリ)上側、すなわち、下側破断補助線34から離れる位置に設けられ、全幅に亘って一直線に延びる破断補助線である。また、下側破断補助線34(第一破断補助線)は、収容部16と重複する位置において全幅に亘って延びる破断補助線である。ただし、下側破断補助線34は、上側破断補助線32と異なり、一直線状ではなく、途中で、ヘッダ部18側に飛びだす略台形状部分を有している。
【0062】
上側、下側破断補助線32,34で囲まれる略矩形領域は、包装体10を開封する際に、本体12から切り離されて開口部40を形成する開口予定部30となる。開口予定部30は、収容部16の一部と重複しており、かかる開口予定部30を切り離すことで、収容部16にアクセス可能で、収容部よりも小さい開口部が形成される。また、開口予定部30は、再封用折り目線20を跨ぐ位置および形状となっている。そのため、包装体10の開封前において、開口予定部30は、再封用折り目線20を覆い、当該再封用折り目線の意図しない屈曲を防止する補強部材として機能する。また、包装体10を開封するために開口予定部30が切り離されると、再封用折り目線20は、外部に露出し、再封用折り目線20に沿った折り曲げが容易にできるようになる。
【0063】
なお、この開口予定部30は、本体12から離間を容易にするために、本体12には、接合されていない。また、開口予定部30の切り離しを容易にするために、本体12のフランジ部17のうち、開口予定部30と重複する箇所は、前方に突出させておき、開口予定部30とフランジ部17(本体12)との間に指先が引っ掛かりやすい隙間を設けてもよい。
【0064】
下側破断補助線34よりも下側の領域38bおよび上側の領域38uは、包装体10の開封後(開口予定部30の切り離し後)も本体12に接合したまま残存する領域である。このうち下側の残存領域38bの上端には、ヘッダ部18側に向かって突出した係合部36がある。この係合部36は、再封用折り目線20に沿って折り曲げられたヘッダ部18と係合する部位である。本実施形態では、吊り下げ孔22の下端縁24が係止部に係合される。この係合を可能にするために、再封用折り目線20から吊り下げ孔22の下端までの距離D1は、再封用折り目線20から下側破断補助線34までの距離D2とほぼ同じになっている。
【0065】
次に、こうした包装体10の開封および再封の手順について説明する。包装体10を開封したい場合、ユーザは、開口予定部30をシート体14から切り離し、本体12から離間させる。このとき、ユーザは、開口予定部30の幅方向端部に指先をひっかけて、当該開口予定部30を持ちあげる。そして、持ち上げた開口予定部30の幅方向端部を指で摘み、幅方向に引っ張る。これにより、シート体14は、上側、下側破断補助線32,34に沿って破断し、開口予定部30が、シート体14から切り離され、本体12から離間する。
【0066】
図14は、開口予定部30が切り離された際の包装体10の概略断面図である。
図14に示すように、開口予定部30が切り離されると、収容部16の上側に、開口部40が形成される。ユーザは、この開口部40から収容部16内にアクセスし、収容部16に収容された物品100を取り出す。ここで、本実施形態では、収容部16の上端面16tを傾斜面としている。これにより、開口部40が比較的小さくても物品100を容易に取り出すことができる。なお、この上端面16tと、ヘッダ部18との成す角度αは、90度超過であれば、特に限定されないが、望ましくは、100度以上、より望ましくは、135度以上とすることが望ましい。
【0067】
すなわち、収容部16の上端面16tが傾斜面である場合、当該傾斜面に当たった物品100は、傾斜面に沿って滑り、外側に飛びだしやすくなる。そのため、収容部16から物品100を取り出す際、ユーザは、傾斜面(上端面16t)が鉛直方向下側になるように包装体10を傾けて包装体10を滑落させたり、物品100の表面を手指で押さえつつ手指を傾斜面(上端面16t)側に動かしたりして、物品100を傾斜面側に移動させる。そして、物品100が、傾斜面に当接すると、物品100は、傾斜面に沿って滑り、凹部の外側に飛びだしてくる。
【0068】
つまり、収容部16の上端面16tを傾斜面とすれば、ユーザは、収容部16内にある物品100の端部を手指で摘まなくても、物品100を取り出すことができる。結果として、小さな開口部40でも、容易に物品100を取り出すことができる。ここで、開口部40は、シート体14の一部(開口予定部30)を切り離して形成されるため、開口部が大きいと、その分、切り離れるシート体14の面積も大きくなる。通常、シート体14には、物品100の名称や用途、使用方法、原料等、物品100に関する情報が印刷されている。かかる情報は、包装体10の開封後も、極力、失われることなく、残存することが望ましい。しかし、開口部40を形成するために切り離される開口予定部30の面積が大きいと、その分、情報の印刷面積も小さくなり、残存できる情報量が低下する。本実施形態では、収容部16の上端面を傾斜面とすることで、開口部40を小さくでき、ひいては、情報の記載面積を大きく残せる。
【0069】
また、後述する通り、適切に再封するためには、再封用折り目線20からヘッダ部18の上端までの距離D3は、再封用折り目線20から下側破断補助線34までの距離D2以上でなければならない。開口部40が小さくできれば、再封用折り目線20からヘッダ部18の上端までの距離D3を小さくすることも可能となり、ヘッダ部18のサイズ設定の自由度を向上できる。
【0070】
次に、一度開封した包装体10を、再度、封止(再封)する手順について説明する。この場合、ユーザは、
図15に示すように、ヘッダ部18を、再封用折り目線20に沿って折り曲げればよい。ここで、再封用折り目線20は、開封前の状態では、シート体14(開口予定部30)に覆われているため、容易に折り曲げることができない。しかし、開封のため、再封用折り目線20を覆っていた開口予定部30が切り離されると、再封用折り目線20が外部に露出することになる。この状態になれば、ヘッダ部18は、再封用折り目線20に沿って容易に折り曲げることができる。折り曲げられたヘッダ部18は、収容部16の背面に重ねられ、開口部40を覆う。そして、ヘッダ部18を前側に押し付けて、ヘッダ部18に設けられた吊り下げ孔22の下端縁24を、下側の残存領域38bの上端に設けられた係合部36の下側に潜らせれば、下端縁24と係合部36とが互いに係合し、ヘッダ部18の動きが規制される。この状態になれば、開口部40は、ヘッダ部18で閉鎖された状態が維持され、収容部16に残っている物品100の意図しない飛び出しや、収容部16内への塵埃の進入を防止できる。
【0071】
また、
図15から明らかな通り、再封状態では、ヘッダ部18が、収容部16側に折り曲げられているため、包装体10のサイズを大幅に低減できる。そのため、包装体10の保管等に要するスペースが小さくてすみ、包装体10を持ち歩きなども容易に行うことができる。
【0072】
収容部16内の物品100を再度、取り出したい場合には、ヘッダ部18を持ちあげて、開口部40を外部に露出させればよい。そして、再度、封止したい場合には、再度、ヘッダ部18を、折り曲げて、係合部36に係合させればよい。つまり、再封と再開封を繰り返し行うためには、ヘッダ部18(本体12)の折り曲げ・折り曲げ解除を繰り返し行う必要がある。そのため、ヘッダ部18を含む本体12は、繰り返し折り曲げ・折り曲げ解除が行われても疲労破壊しにくい材質で構成されることが望ましい。
【0073】
ところで、こうした包装体10は、開封前は、ヘッダ部18を折り曲げない状態で、搬送されたり、陳列されたりする。この搬送、陳列の際、開封前の包装体10が大きいと、輸送コストや必要な陳列スペースが増加する。特許文献2の包装体10は、収容部16と同サイズのヘッダ部18を設けていたため、開封前の段階において、包装体10のサイズが大きくなり、輸送コストや陳列スペースの増加を招いていた。一方、本実施形態では、ヘッダ部18は、開口部40を覆える大きさであればよい。そして、既述した通り、本実施形態の開口部40は、収容部16の一部にのみ設けられており、比較的小さい。結果として、本実施形態によれば、ヘッダ部18、ひいては、開封前の包装体10全体のサイズを低減できる。そして、これにより、輸送コストや陳列スペースを低減できる。また、収容部16の大きさに関わらず、ヘッダ部18の大きさを自由に設定できるため、デザインの自由度も高めることができる。
【0074】
また、本実施形態では、開口予定部30を、再封用折り目線20を跨ぐ位置および形状にしている。そのため、開封前の段階において、再封用折り目線20は、シート体14(開口予定部30)で覆われることになる。この場合、再封用折り目線20に沿った折り曲げをしようとしても、シート体14が邪魔になって、容易に折り曲がらない。つまり、開封前において、開口予定部30は、再封用折り目線20の意図しない折り曲げを阻害するべく、当該折り目線20周辺を補強する補強部材としても機能する。かかる構成とすることで、開封前の包装体10を、輸送や陳列している際に、意図しない折り曲げを阻害できる。
【0075】
以上の通り、本実施形態では、開封の際、収容部16の全体を開封するのではなく、収容部16の一部だけを開口する構成としている。そのため、開口部40を形成するために切り離される開口予定部30を小サイズにすることができ、切り離しにより欠落する情報量を低減できる。また、開口予定部30を小サイズにすることにより、ヘッダ部18も、小サイズにすることができ、ひいては、開封前の包装体10のサイズを小さくできる。
【0076】
また、開封後は、ヘッダ部18を折り曲げることで再封できる。本実施形態では、開口予定部30を、再封用折り目線20を跨ぐ位置および形状としているため、開口予定部30の切り離し前(開封前)は、再封用折り目線20の意図しない折り曲げが防止され、切り離し後(開封後)は、再封用折り目線20に沿ったヘッダ部18の折り曲げが容易にできる。
【0077】
さらに、収容部16の上端面16tを傾斜面とすることで、物品100をより容易に取り出すことができ、また、開口部40をより小さくすることができる。結果として、開口予定部30の切り離しに伴う情報の欠落量をより低減でき、また、ヘッダ部18の更なる小型化も可能となる。
【0078】
なお、これまで説明した構成は、一例であり、適宜、変更されてもよい。例えば、本実施形態では、吊り下げ孔22の下端縁24と、係合部36とを係合させる構成としているが、係合部36は、折り曲げられたヘッダ部18内の部位であれば、他の部位と係合してもよい。例えば、係合部36は、ヘッダ部18の上端縁50が係合する構成としてもよい。
図16は、係合部36とヘッダ部18の上端縁50とが係合可能な包装体10の背面図である。この場合、
図16に示す通り、ヘッダ部18には、吊り下げ孔22は設けられない。そして、再封用折り目線20からヘッダ部18の上端までの距離D3は、再封用折り目線20から下側破断補助線34までの距離D2とほぼ同じになっている。かかる包装体10において、開口予定部30を切り離した後、再封用折り目線20に沿ってヘッダ部18を折り曲げれば、ヘッダ部18の上端縁50が、係合部36に係合し、再封状態が維持される。
【0079】
かかる構成とした場合、ヘッダ部18をより小さくできる。また、この場合、再封した際に、下側の残存領域38bと、ヘッダ部18とが殆ど重ならない。そのため、再封状態において、包装体10の背面を、段差が殆どないほぼフラットな面にすることができる。
【0080】
また、これまでの説明では、開口予定部30をシート体14から切り離す構成のみを例示したが、開口予定部30は、本体12から離間して開口部40を形成できるのであれば、シート体14から切り離されなくてもよい。
図17、
図18は、開口予定部30が切り離されない包装体10の背面図である。
図17に示すように、この場合、シート体14には、再封用折り目線20よりも上側位置において全幅に亘って延びる上側破断補助線32と、収容部16と重複する位置において全幅に亘って延びるシート側折り目線42と、が設けられている。この上側破断補助線32と、シート側折り目線42とで囲まれた領域が、開口予定部30となる。シート体14のうち、開口予定部30の上端には、略半円形の破断開始孔46が形成されている。この破断開始孔46は、上側破断補助線32に沿ったシート体14の破断の、とっかかりとなる孔で、上側破断補助線32と交差し、指先が引っ掛け可能な大きさの孔である。
【0081】
シート側折り目線42は、開口予定部30の折り曲げを補助するための線で、ミシン目線や、ハーフカット線、折り目罫線等で構成される。このシート側折り目線42の幅方向略中央には、係合部36が設けられている。係合部36は、ヘッダ部18側に凸の略台形状の切込み線44で構成されている。
【0082】
包装体10を開封する際、ユーザは、破断開始孔46に指先をひっかけ、上側破断補助線32に沿って、シート体14を破断する。これにより、開口予定部30は、その上端が、シート体14から離間し、下端がシート体14に繋がった舌状になる。この舌状の開口予定部30を、
図18に示すように、シート側折り目線42に沿って折り曲げることで、収容部16にアクセス可能な開口部40が形成される。ユーザは、この状態になれば、開口部40から、物品100を取り出す。
【0083】
物品100を取り出した後は、
図10の包装体10と同様に、ヘッダ部18を再封用折り目線20に沿って折り曲げ、開口部40をヘッダ部18で覆えばよい。この折り曲げの際、再封用折り目線20は、開口予定部30で覆われていないため、容易に折り曲げることができる。そして、折り曲げられたヘッダ部18の上端を係合部36に係合させることで、再封状態が維持される。
【0084】
このように、開口予定部30を完全に切り離すのではなく、舌状にめくって折り曲げる構成とすれば、開封に伴う情報の欠落を無くすことができる。すなわち、
図17、
図18の形態によれば、種々の情報が記載されているシート体14が、全て、切り離されることなく残る。その結果、シート体14に記載された情報が欠落することがない。
【0085】
なお、
図17、
図18の形態では、再封状態において、舌状の開口予定部30が、シート側折り目線42を中心として揺動可能となっている。かかる開口予定部30の揺動を防止したい場合は、
図18に示すように、開口予定部30の内部に、係合部36を構成する切込み49を形成し、かかる切込み49にヘッダ部18を係合させるようにすればよい。なお、当然ながら、この場合、切込み49の位置に応じて、ヘッダ部18のサイズを変更する。かかる構成とすることで、情報の欠落を防止しつつ、開口予定部30の揺動を防止できる。
【0086】
また、これまでの説明では、開口予定部30を再封用折り目線20を跨ぐ位置および形状としている。しかし、シート体14が、ヘッダ部18の折り曲げを妨げないのであれば、開口予定部30は、必ずしも再封用折り目線20を跨がなくてもよい。例えば、上側破断補助線32が、再封用折り目線20とほぼ一致するような構成としてもよい。
【0087】
いずれにしても、第一実施形態および第二実施形態の包装体10によれば、収容部16のうち、開口予定部30と同じ側(上端側)の面(上端面16t)を傾斜面としている。そのため、開口予定部30を小さくしても、物品100を容易に取り出すことができる。そして、開口予定部30を小さくすることで、包装体10全体のサイズを小さくできる。