(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記姿勢変更部が前記製品を積層する際のリコータの移動平面に垂直な方向の軸を中心に前記製品を回転させた場合に、前記リコータの移動に伴い前記支持部が変形するか否かを判定する変形判定部、
を備える請求項3から請求項5の何れか一項に記載のデータ作成装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
製品の積層時、特に、複雑な形状の製品を積層するときには、その形状が意図した通りに製作されるように、製品を支持する支持部も同時並行で積層されていく。しかしながら、この支持部の剛性が十分でない場合、積層の途中でそりが発生し、次の積層に進むことができず、意図した形状への造形ができない不具合が発生している。これは、積層時の熱伝導により、熱変形(熱収縮)が発生するためであり、その結果、設計形状との形状差が生じている。
【0005】
そのため、現状では、支持部の位置、形状などを属人的に設定し、製品の試作を行い、熱変形の有無を確認することを繰り返しており、熱変形を低減できる支持部の設定に多くの時間を要している。一方で、支持部は積層後に取り外すため、その剛性を一概に強くしても良いわけではない。つまり、支持部は、熱変形は抑制するが、積層後に取り外しやすい剛性が望ましい。
【0006】
このような支持部は、本来であれば、様々な構成を選択可能である。例えば、支持部の断面形状についても、様々な断面形状を選択可能である。しかしながら、現状では、製品を造形する際の熱変形の抑制、取り外しやすさについて、どのような断面形状で、どのような剛性が最適となるかについての明確な指針がない。例えば、支持部の断面形状の1つとして、後述の
図4に示すような井桁構造のものを用いているが、その剛性を決定する井桁構造の厚みや間隔については、試行錯誤を繰り返して設定している。
【0007】
本発明は上記課題に鑑みなされたもので、熱変形を抑制し、また、取り外しやすい支持部を設定するデータ作成装置、3次元積層システム、
制御方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決する第1の態様に係る支持部設定システムは、
3次元積層装置で製品を積層する際に、前記製品を支持する支持部を設定する支持部設定システムにおいて、
前記支持部の強度特性とそり防止応力限界との関係を定式化した数理モデルが複数蓄積されているデータベースと、
前記データベースを参照して、前記支持部を設定するコンピュータとを有し、
前記コンピュータは、
前記支持部の強度特性を設定する設定工程と、
前記支持部と前記製品について、応力解析を行う解析工程と、
前記解析工程で行われた応力解析に基づいて、前記支持部の応力値を算出する算出工程と、
前記データベースが有する前記数理モデルを参照して、前記設定工程で設定された前記強度特性と前記算出工程で算出した前記応力値に基づいて、前記製品や前記支持部にそりが発生するかどうかを判定する第1の判定工程と、
前記第1の判定工程でそりが発生すると判定された場合、前記データベースが有する前記数理モデルに基づいて、前記そり防止応力限界を超えない範囲に前記強度特性を修正し、修正した前記強度特性に対応する構成に前記支持部を修正する第1の修正工程と
を実施する
ことを特徴とする。
【0009】
上記課題を解決する第2の態様に係る支持部設定システムは、
上記第1の態様に記載の支持部設定システムにおいて、
前記コンピュータは、
設定又は修正後の前記強度特性が所定の基準値を超えた場合、前記支持部が外しにくいと判定する第2の判定工程と、
前記第2の判定工程で前記支持部が外しにくいと判定された場合、前記データベースが有する前記数理モデルを参照して、前記基準値を超えない範囲に前記強度特性を修正し、修正した前記強度特性に対応する構成に前記支持部を修正する第2の修正工程と
を実施する
ことを特徴とする。
【0010】
上記課題を解決する第3の態様に係る支持部設定システムは、
上記第2の態様に記載の支持部設定システムにおいて、
前記コンピュータは、前記支持部が修正された場合、修正された前記支持部に基づいて、前記解析工程、前記算出工程、前記第1の判定工程、前記第1の修正工程、前記第2の判定工程及び前記第2の修正工程を再び実施する
ことを特徴とする。
【0011】
上記課題を解決する第4の態様に係る支持部設定システムは、
上記第1〜第3の態様のいずれか1つに記載の支持部設定システムにおいて、
前記第1の判定工程は、前記算出工程で算出した前記応力値と、設定又は修正後の前記強度特性に対する前記数理モデル上の前記そり防止応力限界とを比較し、前記応力値が前記そり防止応力限界を超えた場合、前記製品や前記支持部にそりが発生すると判定するものである
ことを特徴とする。
【0012】
上記課題を解決する第5の態様に係る支持部設定システムは、
上記第1〜第4の態様のいずれか1つに記載の支持部設定システムにおいて、
前記コンピュータは、様々な構成の前記支持部についての応力ひずみ線図に基づいて、前記支持部の強度特性とそり防止応力限界との関係を定式化する定式化工程を実施する
ことを特徴とする。
【0013】
上記課題を解決する第6の態様に係る3次元積層装置は、
上記第1〜第5の態様のいずれか1つに記載の支持部設定システムで設定された支持部と前記製品とを積層するための造形データに基づいて、前記支持部を含む前記製品を積層する
ことを特徴とする。
【0014】
上記課題を解決する第7の態様に係る支持部設定方法は、
3次元積層装置で製品を積層する際に、前記製品を支持する支持部を設定する支持部設定方法において、
前記支持部の強度特性を設定する設定工程と、
前記支持部と前記製品について、応力解析を行う解析工程と、
前記解析工程で行われた応力解析に基づいて、前記支持部の応力値を算出する算出工程と、
前記支持部の強度特性とそり防止応力限界との関係を定式化した数理モデルが複数蓄積されているデータベースを用い、前記データベースが有する前記数理モデルを参照して、前記設定工程で設定された前記強度特性と前記算出工程で算出した前記応力値に基づいて、前記製品や前記支持部にそりが発生するかどうかを判定する第1の判定工程と、
前記第1の判定工程でそりが発生すると判定された場合、前記データベースが有する前記数理モデルに基づいて、前記そり防止応力限界を超えない範囲に前記強度特性を修正し、修正した前記強度特性に対応する構成に前記支持部を修正する修正工程と
を有する
ことを特徴とする。
【0015】
上記課題を解決する第8の態様に係る支持部設定方法は、
上記第7の態様に記載の支持部設定方法において、
設定又は修正後の前記強度特性が所定の基準値を超えた場合、前記支持部が外しにくいと判定する第2の判定工程と、
前記第2の判定工程で前記支持部が外しにくいと判定された場合、前記データベースが有する前記数理モデルを参照して、前記基準値を超えない範囲に前記強度特性を修正し、修正した前記強度特性に対応する構成に前記支持部を修正する第2の修正工程と
を有する
ことを特徴とする。
【0016】
上記課題を解決する第9の態様に係る支持部設定方法は、
上記第8の態様に記載の支持部設定方法において、
前記支持部が修正された場合、修正された前記支持部に基づいて、前記解析工程、前記算出工程、前記第1の判定工程、前記第1の修正工程、前記第2の判定工程及び前記第2の修正工程を再び実施する
ことを特徴とする。
【0017】
上記課題を解決する第10の態様に係る支持部設定方法は、
上記第7〜第9の態様のいずれか1つに記載の支持部設定方法において、
前記第1の判定工程は、前記算出工程で算出した前記応力値と、設定又は修正後の前記強度特性に対する前記数理モデル上の前記そり防止応力限界とを比較し、前記応力値が前記そり防止応力限界を超えた場合、前記製品や前記支持部にそりが発生すると判定する
ことを特徴とする。
【0018】
上記課題を解決する第11の態様に係る支持部設定方法は、
上記第7〜第10の態様のいずれか1つに記載の支持部設定方法において、
様々な構成の前記支持部についての応力ひずみ線図に基づいて、前記支持部の強度特性とそり防止応力限界との関係を定式化する定式化工程を有する
ことを特徴とする。
【0019】
上記課題を解決する第12の態様に係る3次元積層方法は、
上記第7〜第11の態様のいずれか1つに記載の支持部設定方法で設定された支持部と前記製品とを積層するための造形データに基づいて、前記支持部を含む前記製品を積層する
ことを特徴とする。
【0020】
上記課題を解決する第13の態様に係る支持部設定プログラムは、
上記第7〜第11の態様のいずれか1つに記載の支持部設定方法をコンピュータに実行させる
ことを特徴とする。
【0021】
上記課題を解決する第14の態様に係るデータ作成装置は、
3次元積層装置で製品を積層する際に、前記製品を支持する支持部を設定するデータ作成装置であって、
前記支持部の強度特性とそり防止応力限界との関係を定式化した数理モデルを記憶するデータベースと、
積層工程によって前記支持部と前記製品にかかる応力を解析する解析部と、
前記解析部による前記支持部と前記製品にかかる応力についての解析結果と前記数理モデルとに基づいて、前記支持部にかかる応力が前記そり防止応力限界を超えない前記強度特性を有する前記支持部の形状を特定する支持部形状特定部と、
を備える
ことを特徴とする。
【0022】
上記課題を解決する第15の態様に係るデータ作成装置は、
前記支持部形状特定部が、
前記支持部にかかる応力についての前記解析結果に基づいて前記製品にそりが発生すると判定された場合に、前記解析結果と前記数理モデルとに基づいて、前記そり防止応力限界を超えない範囲に前記強度特性を修正し、修正した前記強度特性に基づいて前記支持部の形状を特定する
ことを特徴とする。
【0023】
上記課題を解決する第16の態様に係るデータ作成装置は、
前記製品の姿勢を変更する姿勢変更部と、
前記姿勢変更部が姿勢を変更した場合に前記支持部が必要であるか否かを判定する支持部要否判定部と
を備え、
前記支持部形状特定部が、
前記支持部が必要と前記支持部要否判定部が判定した場合に、前記姿勢変更部が姿勢を変更した前記支持部と前記製品にかかる応力についての前記解析結果と前記数理モデルとに基づいて、前記そり防止応力限界に対応する前記強度特性を有する前記支持部の形状を特定する
ことを特徴とする。
【0024】
上記課題を解決する第17の態様に係るデータ作成装置は、
前記姿勢変更部は、
前記支持部形状特定部が前記支持部にかかる応力が前記そり防止応力限界を超えない範囲に前記強度特性を修正した際に、修正した前記強度特性が前記強度特性の上限値以上となる場合に、前記製品の姿勢を変更する
ことを特徴とする。
【0025】
上記課題を解決する第18の態様に係るデータ作成装置は、
前記姿勢変更部が、
前記支持部形状特定部が前記支持部にかかる応力が前記そり防止応力限界を超えない範囲に前記強度特性を修正した際に、前記強度特性が、強度特性の下限値以下となる場合に、前記製品の姿勢を変更する
ことを特徴とする。
【0026】
上記課題を解決する第19の態様に係るデータ作成装置は、
前記姿勢変更部が前記製品を積層する際のリコータの移動平面に垂直な方向の軸を中心に前記製品を回転させた場合に、前記リコータの移動に伴い前記支持部が変形するか否かを判定する変形判定部、
を備える
ことを特徴とする。
【0027】
上記課題を解決する第20の態様に係るデータ作成装置は、
前記データベースを参照して、前記支持部を設定するコンピュータを有し、
前記コンピュータは、
前記支持部の強度特性を設定する設定工程と、
前記支持部と前記製品について、応力解析を行う解析工程と、
前記解析工程で行われた応力解析に基づいて、前記支持部の応力値を算出する算出工程と、
前記データベースが有する前記数理モデルを参照して、前記設定工程で設定された前記強度特性と前記算出工程で算出した前記応力値に基づいて、前記製品や前記支持部にそりが発生するかどうかを判定する第1の判定工程と、
前記第1の判定工程でそりが発生すると判定された場合、前記データベースが有する前記数理モデルに基づいて、前記そり防止応力限界を超えない範囲に前記強度特性を修正し、修正した前記強度特性に対応する構成に前記支持部を修正する第1の修正工程と、
設定又は修正後の前記強度特性が所定の基準値を超えた場合、前記支持部が外しにくいと判定する第2の判定工程と、
前記第2の判定工程で前記支持部が外しにくいと判定された場合、前記データベースが有する前記数理モデルを参照して、前記基準値を超えない範囲に前記強度特性を修正し、修正した前記強度特性に対応する構成に前記支持部を修正する第2の修正工程と
を実施する
ことを特徴とする。
【0028】
上記課題を解決する第21の態様に係るデータ作成装置は、
前記コンピュータが、
前記支持部が修正された場合、修正された前記支持部に基づいて、前記解析工程、前記算出工程、前記第1の判定工程、前記第1の修正工程、前記第2の判定工程及び前記第2の修正工程を再び実施する
ことを特徴とする。
【0029】
上記課題を解決する第22の態様に係るデータ作成装置は、
前記コンピュータが、
様々な構成の前記支持部についての応力ひずみ線図に基づいて、前記支持部の強度特性とそり防止応力限界との関係を定式化する定式化工程を実施する
ことを特徴とする。
【0030】
上記課題を解決する第23の態様に係る3次元積層システムは、
上記の何れかのデータ作成装置と、
前記データ作成装置によって生成された造形データに基づいて、3次元形状の製品を造形する3次元積層装置と、
を備える
ことを特徴とする。
【0031】
上記課題を解決する第24の態様に係るデータ作成装置の制御方法は、
3次元積層装置で製品を積層する際に、前記製品を支持する支持部の強度特性とそり防止応力限界との関係を定式化した数理モデルを記憶するデータベースを備え、前記支持部の設定方法であって、
積層工程によって前記支持部と前記製品にかかる応力を解析することと、
前記解析することによって得られた解析結果と前記数理モデルとに基づいて、前記支持部にかかる応力が前記そり防止応力限界を超えない前記強度特性を有する前記支持部の形状を特定することと、
を含む
ことを特徴とする。
【0032】
上記課題を解決する第25の態様に係るプログラムは、
3次元積層装置で製品を積層する際に、前記製品を支持する支持部を設定するためのコンピュータに、
前記支持部の強度特性とそり防止応力限界との関係を定式化した数理モデルを記憶させることと、
積層工程によって前記支持部と前記製品にかかる応力を解析することと、
前記解析することによって得られた解析結果と前記数理モデルとに基づいて、前記支持部にかかる応力が前記そり防止応力限界を超えない前記強度特性を有する前記支持部の形状を特定することと、
を実行させる
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、3次元積層製品の支持部について、その熱変形の抑制、取り外しやすさの判定を行うので、適切な剛性を有する支持部を設定することができる。その結果、適切な剛性を有する支持部を用いて、3次元積層製品を作製することができ、製品品質を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明に係る支持部設定システム、方法、プログラム及び3次元積層装置、方法の実施形態について、
図1〜
図5を参照して説明を行う。
【0036】
[実施例1]
本実施例においては、
図1に示すように、データ作成装置10が、ネットワーク20を介して、3次元積層装置30と接続されている。なお、ここでは、1つの3次元積層装置30を図示しているが、複数の3次元積層装置30と接続されていても良い。
【0037】
データ作成装置10は、例えば、コンピュータであり、装置構成としては、演算装置、記憶装置、通信装置などからなり(図示省略)、機能構成としては、製品形状作成部11、造形データ作成部12、基準データ作成部13、データベース(以降、DB)14を有している。この造形データ作成部12が、本実施例の支持部設定システム、方法を含んでいる。
【0038】
製品形状作成部11は、製品の3次元形状データを作成している。これは、所謂、CAD(Computer Aided Design)プログラムである。
【0039】
また、造形データ作成部12は、製品形状作成部11で作成した3次元形状データに基づいて、3次元積層装置30で使用する造形データを作成し、3次元積層装置30への操作指示をしている。これは、所謂、CAM(Computer Aided Manufacturing)プログラムであり、本実施例の支持部設定プログラムは、ここに含まれている。
【0040】
また、基準データ作成部13は、DB14に登録する基準データを作成している。これは、所謂、CAE(Computer Aided Engineering)プログラムである。
【0041】
また、DB14は、記憶装置などからなり、基準データ作成部13で作成した基準データが複数登録されて、データベースが構築されている。
【0042】
なお、
図1では、製品形状作成部11、造形データ作成部12、基準データ作成部13及びDB14を1つのデータ作成装置10が有する構成であるが、製品形状作成部11、造形データ作成部12、基準データ作成部13及びDB14は互いに独立した装置(コンピュータ)で構成しても良く、その場合、DB14をデータベースサーバとし、互いに、ネットワーク20を介して接続する構成とすれば良い。
【0043】
製品形状作成部11、造形データ作成部12、基準データ作成部13及びDB14の詳細については、
図2〜
図5を参照して後述する。
【0044】
また、ネットワーク20は、イーサネット(登録商標)などのネットワークからなり、また、有線であっても無線であっても良い。更には、インターネットなどのネットワークでも良く、その場合には、データ作成装置10の遠隔地に3次元積層装置30があっても、ネットワーク20を介して、通信可能である。一方で、データ作成装置10と3次元積層装置30とを近接して配置できる場合には、ネットワーク20を介さず、直接接続するようにしても良い。
【0045】
3次元積層装置には、様々な方式の装置があるが、3次元積層装置30は、薄く積層した粉末をレーザ(又は電子ビーム)により焼結又は溶融固化させ、焼結又は溶融固化させた材料を積層して3次元形状の製品を造形する「粉末床溶融結合(Powder Bed Fusion)方式」の装置とする。なお、これと同様に、材料を焼結又は溶融固化させる方式の装置、例えば、「指向性エネルギー堆積(Directed Energy Deposition)方式」の装置などでも良い。
【0046】
そして、
図1と共に、
図2〜
図5を参照して、データ作成装置10で実施する、本実施例の支持部設定方法を含む製品形状データ、造形データ及び基準データの作成方法を説明するが、まずは、
図3〜
図5を参照して、基準データの作成方法を説明する。
図3に示す基準データの作成は、
図2に示す造形データの作成より前に行われている。
【0047】
(ステップS21)
基準データを作成する支持部の構成(外形形状、断面形状、骨組部分の寸法、間隔など)を設定すると共に、設定した支持部の構成についての変更条件を設定する。ここでは、一例として、
図4(a)〜(c)に示すように、外形形状として角柱を設定し、断面形状として井桁構造を設定し、また、変更条件として、複数のメッシュ密度(井桁構造の骨組部分の間隔)を設定している。なお、ここでは、骨組部分の寸法については、条件を変更せず、一定の値を用いる。
【0048】
具体的には、設定した支持部の構成、変更条件に基づいて、評価対象の支持部を、
図4(a)に示す支持部A(メッシュ密度が粗い=井桁構造の骨組部分の間隔が広い)、
図4(b)に示す支持部B(メッシュ密度が中程度=井桁構造の骨組部分の間隔が中程度)、
図4(c)に示す支持部C(メッシュ密度が細かい=井桁構造の骨組部分の間隔が狭い)としている。つまり、支持部A、B、Cは、メッシュ密度を除いて、断面形状は相似している。
【0049】
なお、ここでは、支持部の構成の外形形状として角柱を設定し、断面形状として井桁構造を設定しているが、例えば、多角柱構造やハニカム構造などであっても良い。
【0050】
また、変更条件としては、上述したメッシュ密度(井桁構造の骨組部分の間隔)に限らず、様々な条件を設定して、後述する基準データを作成することが望ましい。例えば、井桁構造の骨組部分の寸法(厚さ)を変更条件としても良いし、井桁構造を形成する骨組部分の材料の含有率を変更条件としても良い。
【0051】
(ステップS22)
ステップS21で設定した複数種類の支持部A、B、Cについて、3次元積層装置30を用いて実際に積層する積層試験を行う。又は、積層試験は時間及びコストがかかるため、これに代えて、積層解析プログラムによる積層解析を行っても良い。
【0052】
(ステップS23)
ステップS23で積層試験した複数種類の支持部A、B、Cについて、引張試験装置を用いて実際に引張試験を行う。又は、引張試験は時間及びコストがかかるため、これに代えて、引張試験プログラムによる引張解析を行っても良い。この引張試験又は引張解析により、支持部A、B、Cについての応力ひずみ線図が求められる。
【0053】
上述した積層解析、引張解析は、積層試験、引張試験に対する再現解析を行い、その解析手法の妥当性を確認できれば、同一変更条件の他のパラメータに限らず、他の形状や他の変更条件にも適用可能である。このように、積層試験、引張試験と積層解析、引張解析とを関連づけることにより、積層解析、引張解析を用いて、様々な構成の支持部に対して、後述する数理モデルを求めて、これらをデータベース化することも可能である。従って、全ての支持部について、積層試験や引張試験を行う必要はなくなる。
【0054】
(ステップS24)
ステップS23で求めた応力ひずみ線図に基づいて、支持部A、B、Cについての強度特性とそり防止クライテリア(反り防止応力限界)を取得する。なお、ここでは、強度特性として、ヤング率(剛性)を用いるが、同等の強度特性であれば、他の物理量でも良い。また、ここでの「ヤング率」は、例えば、
図4に示す井桁構造のように、空洞部分がある断面形状を有する支持部については、空洞部分を含めて求めたヤング率(見かけのヤング率)である。また、「そり防止クライテリア」は、例えば、支持部の弾性限度の応力(弾性変形しても元に戻る応力)から求めれば良い。
【0055】
(ステップS25)
基準データを作成する支持部について、必要数取得できたか判断し、必要数取得できていればステップS26へ進み、必要数取得できていなければ、ステップS21へ戻り、上述したステップS21〜S24を繰り返す。必要数としては、設定した変更条件について、後述する定式化が可能な数があれば良い。
【0056】
ここでは、
図5のグラフに示すように、井桁構造の骨組部分の間隔が広い支持部A、井桁構造の骨組部分の間隔が中程度の支持部B、井桁構造の骨組部分の間隔が狭い支持部Cについて、それぞれ、ヤング率とそり防止クライテリアのデータが取得され、これにより、井桁構造の骨組部分の間隔を変更条件のパラメータとしたそり防止クライテリアのデータが取得されることになる。
【0057】
(ステップS26;定式化工程)
取得したヤング率とそり防止クライテリアに基づいて、その定式化を行い、
図5に示す曲線のような数理モデルMを求める。このような数理モデルMを求めることにより、後述するステップS5で行う判定が可能となる。数理モデルMは、公知のフィッティング関数などを用いて、定式化を行えば良い。
【0058】
(ステップS27)
ステップS26で求めた数理モデルMをDB14へ登録する。様々な構成の支持部についての数理モデルMをDB14へ登録することで、様々な構成の支持部について、評価を行うことが可能となる。
【0059】
基準データ作成部13では、以上のようにして、製品積層時の熱変形抑制を判定するための基準データとなる数理モデルMを作成し、作成した多数の数理モデルMをDB14へ登録して、データベースを構築している。定式化された数理モデルMを多数有するDB14は、最適な構成の支持部を選定する際の汎用ツールとなる。
【0060】
次に、
図1と共に、
図2を参照して、データ作成装置10で実施する製品形状データ及び造形データの作成方法を説明する。この造形データの作成方法には、本実施例の支持部設定方法が含まれている。
【0061】
(ステップS1)
製品形状作成部11において、製品の3次元形状データ(3D−CADデータ)を作成する。新しい製品であれば、製品形状作成部11において、3次元モデルを作成することにより、3次元形状データを作成する。既に、3次元形状データがある場合には、製品形状作成部11において、その3次元形状データを入力すれば良い。また、既存の製品であれば、3Dスキャナなどで形状をスキャンして、3次元形状データを作成しても良い。
【0062】
(ステップS2)
造形データ作成部12において、製品形状作成部11で作成した3次元形状データに基づいて、3次元積層装置30で使用する造形データを作成する。具体的には、以下のステップS2−1〜S2−3に従って行う。
【0063】
(ステップS2−1)
積層して造形する製品の積層姿勢を設定する。この設定は、オペレータが設定しても良いし、また、積層姿勢を最適化するプログラムを用いて設定しても良い。
【0064】
(ステップS2−2;設定工程)
設定した積層姿勢に基づいて、製品を支持部で支持する支持範囲(位置や数など)、支持部の構成(外形形状、断面形状、骨組部分の寸法、間隔など)を設定する。この際、設定した支持部の構成に基づいて、ヤング率を予め設定しておく。
【0065】
支持範囲については、支持部の位置や数などを設定するプログラムを用いて設定する。このようなプログラムとしては、コスト低減のため、支持部の数などを最小化して設定するものが望ましい。
【0066】
支持部の構成については、初期値を予め設定しておき、最初は、この初期値を用いても良い。ここでは、一例として、支持部の外形形状を角柱とし、断面形状を井桁構造としており、骨組部分の寸法、間隔などについては初期値を用いる。そして、支持部についての3次元形状データが製品の3次元形状データに追加される。
【0067】
(ステップS2−3)
支持部を含む製品の3次元形状データについて、これを水平に薄くスライスして分割したスライスデータに変換して、3次元積層装置30で使用する造形データを作成する。
【0068】
(ステップS3;解析工程)
造形データ作成部12において、製品及び支持部の応力解析を行う。具体的には、ステップS2(ステップS2−3)で作成した造形データについて、3次元積層装置30で使用する製品の材料及び加熱計画に基づいて、応力解析により、熱変形量を予測する。これは、公知の構造解析プログラムを用いれば良い。
【0069】
(ステップS4;算出工程)
ステップS3で予測した熱変形量に基づいて、製品及び支持部に発生する応力値を算出する。
【0070】
(ステップS5;第1の判定工程)
ステップS4で算出した支持部の応力値について、製品や支持部にそりが発生しないかどうか判定し、そりが発生しなければ、ステップS6へ進み、そりが発生すれば、ステップS7へ進む。この判定は、基準データ作成部13で作成し、DB14に登録された基準データを参照して、具体的には、
図5に示すような数理モデルMを参照して、行っている。
【0071】
例えば、
図5に示すパターンIの場合は(パターンIの白丸参照)、支持部のヤング率が40000MPaであり、ステップS4で算出した応力値が350MPaであるので、算出した応力値が数理モデルMより大きく、製品や支持部にそりが発生する応力値となるので、支持部の見直しが必要になる。
【0072】
(ステップS6;第2の判定工程)
支持部のヤング率について、支持部が製品から外しやすいかどうか判定し、外しやすい場合、ステップS8へ進み、外しにくい場合は、ステップS7へ進む。この判定は、
図5に示すように、外しやすさを判定する所定の基準値Lに対する支持部のヤング率の大きさで、支持部の外しやすい、外しにくいを判定している。
【0073】
例えば、
図5に示すパターンIIの場合は(パターンIIの白丸参照)、支持部のヤング率が160000MPaであり、ステップS4で算出した応力値が250MPaであるので、算出した応力値は数理モデルMよりは小さく、製品や支持部にそりが発生する応力値ではないが、支持部のヤング率が、基準値L(ここでは、L=90000MPa)より大きいので、支持部の見直しが必要になる。
【0074】
(ステップS7;第1及び第2の修正工程)
ステップS5でそりが発生すると判定された場合、そして、ステップS6で支持部が外しにくいと判定された場合、支持部のヤング率を見直す。具体的には、
図5に示すような数理モデルMを参照して、行っている。ここで、
図5に示すパターンI及びパターンIIについて、支持部のヤング率の見直しを説明する。
【0075】
図5のパターンIの場合は(パターンIの白丸参照)、上述したように、ステップS4で算出した応力値が数理モデルMより大きくなるので、つまり、製品や支持部にそりが発生する応力値となるので、支持部の見直しが必要になる。この場合は、算出した応力値はそのままで、ヤング率の方を見直し、ヤング率を80000MPaと大きくすることにより(パターンIの黒丸参照)、算出した応力値を数理モデルMより小さくしている。この際、応力解析に用いる解析モデルの形状は変更しない。
【0076】
また、
図5のパターンIIの場合は(パターンIIの白丸参照)、上述したように、支持部のヤング率が基準値Lより大きくなるので、つまり、支持部が製品から外しにくくなるので、支持部の見直しが必要になる。この場合も、算出した応力値はそのままで、ヤング率の方を見直し、ヤング率を40000MPaと小さくすることにより(パターンIIの黒丸参照)、ヤング率を基準値Lより小さくしている。この際も、応力解析に用いる解析モデルの形状は変更しない。
【0077】
そして、ステップS7での支持部の見直し後、ステップS3へ戻り、見直しにより修正したヤング率を用いて、以降は上述したように、ステップS3において、製品及び支持部の応力解析を行い、ステップS4において、支持部の応力値を算出し、ステップS5で製品や支持部にそりが発生しないかどうか判定し、ステップS6で支持部が製品から外しやすいかどうか判定する。ステップS5及びS6の条件を満たすまで、ステップS3〜S7が繰り返し行われる。なお、もし、ステップS5及びS6の条件を満たす解が見つからない場合は、ステップS2へ戻り、支持部の構成以外の設定である積層姿勢や支持範囲を見直せば良い。
【0078】
(ステップS8)
ステップS5及びS6の条件を満たすと判定された場合、設定又は修正したヤング率を支持部の剛性として決定する。例えば、
図5のパターンIの場合は(パターンIの黒丸参照)、ヤング率80000MPaを、支持部の剛性として決定し、
図5のパターンIIの場合は(パターンIIの黒丸参照)、ヤング率40000MPaを、支持部の剛性として決定する。
【0079】
(ステップS9)
ステップS8で決定した支持部の剛性に基づいて、支持部の構成を決定する。ここでは、変更条件として、メッシュ密度(井桁構造の骨組部分の間隔)を設定した基準データを参照しているので(
図4参照)、ステップS8で決定した剛性となるメッシュ密度(井桁構造の骨組部分の間隔)を決定する。
【0080】
(ステップS10)
ステップS9で決定した支持部の構成に基づいて、ステップS2(ステップS2−3)で作成した造形データを修正する。具体的には、ステップS9で決定した構成(井桁構造の骨組部分の間隔)を有する支持部の3次元形状データを製品の3次元形状データに追加し、この支持部を含む製品の3次元形状データをスライスデータに変換して、3次元積層装置30で使用する造形データを修正する。
【0081】
(ステップS11)
修正後の造形データを3次元積層装置30へ送信し、3次元積層装置30へ積層開始指示を行う。これにより、3次元積層装置30は、修正後の造形データに基づいて、支持部を含む製品を積層し、造形することになる。
【0082】
以上を簡単に整理すると、造形データ作成部12では、DB14に登録された基準データを参照して、製品の積層時に必要な支持部の剛性を判定し、製品の積層時における熱変形を考慮した(最小化した)最適な剛性を有する支持部を自動的に設定するようにしている。この上で、造形データ作成部12では、製品及び支持部の造形データを作成している。
【0083】
このように、本発明では、3次元積層装置30で造形する製品の支持部について、その熱変形の抑制、取り外しやすさの判定を行うので、適切な剛性を有する支持部を設定することができる。そして、設定した支持部を反映して、3次元積層装置で製品を積層して造形するので、適切な剛性を有する支持部を用いて、製品を作製することができ、製品品質を向上させることができる。
【0084】
また、適切な支持部を設定する時間を、試行錯誤により設定していた従来と比較して、大幅に短縮することができる。また、様々な構成の支持部に対する基準データを蓄積してデータベースを構築することにより、支持部を評価する汎用ツールとすることもできる。
【0085】
[実施例2]
本実施例によるデータ作成装置10は、製品や支持部にそりが発生し、見かけのヤング率が製品から支持部を外すときの外しにくさの上限値を示すヤング率を超えた場合に、製品の姿勢を見直し、製品及び支持部について応力解析をし直す。
【0086】
データ作成装置10は、3次元積層装置で製品を積層する際に、製品を支持する支持部を設定するための装置である。
データ作成装置10は、基準データ作成部13と、DB14と、造形データ作成部12(解析部、姿勢変更部、支持部形状特定部、変形判定部)と、製品形状作成部11と、を備える。
【0087】
製品形状作成部11は、製品の3次元形状データを作成する。
基準データ作成部13は、数理モデルMを作成し、作成した多数の数理モデルMをDB14へ登録する。
【0088】
DB14は、支持部の強度特性とそり防止応力限界との関係を定式化した数理モデルMを記憶する。
なお、強度特性とは、製品及び支持部の強度を示すもので、製品や支持部を構成する材料と構造によって変化する見かけのヤング率で示されるものである。
また、そり防止応力限界とは、製品や支持部を積層する際にそりが発生しない応力の最小値であり、製品や支持部が破損しない限界の応力を示す値である。
【0089】
造形データ作成部12は、支持部と製品について、応力を解析する。
また、造形データ作成部12は、製品の姿勢を変更する。具体的には、造形データ作成部12は、支持部にかかる応力がそり防止応力限界を超えない範囲に強度特性を修正した際に強度特性が所定の上限値を上回る場合に、製品の姿勢を変更する。例えば、
図6に示すように、強度特性の上限値である見かけのヤング率の上限値をLで示される90000MPaとした場合、そり防止クライテリアがおよそ380MPa以上になると、見かけのヤング率が上限値を上回る。このような場合に、造形データ作成部12は、製品の姿勢を変更して、見かけのヤング率を低減する。
【0090】
造形データ作成部12は、解析結果と数理モデルとに基づいて、そり防止応力限界に対応する強度特性を有する支持部の形状を特定する。造形データ作成部12は、解析結果が製品にそりが発生することを示す場合に、解析結果と数理モデルとに基づいて、そり防止応力限界を超えない範囲に強度特性を修正し、修正した強度特性に対応する強度特性を有する支持部の形状を特定する。
造形データ作成部12は、製品の姿勢を変更したときの解析結果と数理モデルとに基づいて、そり防止応力限界に対応する強度特性を有する支持部の形状を特定する。
【0091】
次に、本実施例によるデータ作成装置10の処理について説明する。
ここでは、
図7に示すデータ作成装置10の処理フローについて説明する。
【0092】
製品形状作成部11は、製品の3次元形状データを作成する(ステップS1)。例えば、新しい製品であれば、製品形状作成部11は、3次元モデルを作成することにより、3次元形状データを作成する。既に、3次元形状データがある場合には、製品形状作成部11は、その3次元形状データを取得する。また、既存の製品であれば、製品形状作成部11は、3Dスキャナなどで形状をスキャンして、3次元形状データを作成する。
【0093】
造形データ作成部12は、製品形状作成部11が作成した3次元形状データに基づいて、3次元積層装置30で使用する造形データを作成する(ステップS2)。具体的には、造形データ作成部12は、上述のステップS2−1〜S2−3と同様の下記のステップS2−1〜S2−3を行う。
【0094】
すなわち、造形データ作成部12は、積層姿勢を最適化するプログラムを用いて積層して造形する製品の積層姿勢を設定する(ステップS2−1)。なお、この設定は、オペレータが設定しても良い。
【0095】
造形データ作成部12は、設定した積層姿勢に基づいて、製品を支持部で支持する支持範囲(位置や数など)、支持部の構成(外形形状、断面形状、骨組部分の寸法、間隔など)を設定する(ステップS2−2)。この際、造形データ作成部12は、設定した支持部の構成に基づいて、ヤング率を予め設定しておく。
造形データ作成部12は、支持範囲について、支持部の位置や数などを設定するプログラムを用いて設定する。このようなプログラムとしては、コスト低減のため、支持部の数などを最小化して設定するものが望ましい。
造形データ作成部12は、支持部の構成について、初期値を予め設定しておく。造形データ作成部12は、最初は、この初期値を用いる。ここでは、一例として、支持部の外形形状を角柱とし、断面形状を井桁構造としており、造形データ作成部12は、骨組部分の寸法、間隔などについて、初期値を用いる。そして、造形データ作成部12は、支持部についての3次元形状データを製品の3次元形状データに追加する。
【0096】
造形データ作成部12は、支持部を含む製品の3次元形状データについて、これを水平に薄くスライスして分割したスライスデータに変換して、3次元積層装置30で使用する造形データを作成する(ステップS2−3)。
【0097】
次に、造形データ作成部12(解析部)は、製品及び支持部の応力解析を行う(ステップS3)。具体的には、造形データ作成部12は、ステップS2−3で作成した造形データについて、3次元積層装置30で使用する製品の材料及び加熱計画に基づいて、応力解析により、熱変形量を予測する。造形データ作成部12(解析部)は、公知の構造解析プログラムを用いて熱変形量を予測すれば良い。
【0098】
造形データ作成部12は、予測した熱変形量に基づいて、製品及び支持部に発生する応力値を算出する(ステップS4)。
【0099】
造形データ作成部12は、算出した支持部の応力値について、製品や支持部にそりが発生しないかどうか判定する(ステップS5)。
具体的には、造形データ作成部12は、基準データ作成部13が作成し、DB14に登録した例えば
図6に示す基準データを参照して、この判定を行う。
例えば、
図6に示すパターンIの場合は(パターンIの白丸参照)、支持部の見かけのヤング率が40000MPaであり、ステップS4で算出した応力値が350MPaである。そのため、造形データ作成部12は、算出した応力値が数理モデルMより大きく、製品や支持部にそりが発生する応力値となると判定する(ステップS5においてNO)。また、例えば、
図6に示すパターンIIIの場合は(パターンIIIの白丸参照)、支持部の見かけのヤング率が55000MPaであり、ステップS4で算出した応力値が400MPaである。そのため、造形データ作成部12は、算出した応力値が数理モデルMより大きく、製品や支持部にそりが発生する応力値となると判定する(ステップS5においてNO)。また、例えば、
図6に示すパターンIIの場合は(パターンIIの白丸参照)、支持部の見かけのヤング率が160000MPaであり、ステップS4で算出した応力値が250MPaである。そのため、造形データ作成部12は、算出した応力値が数理モデルMより小さく、製品や支持部にそりが発生しない応力値となると判定する(ステップS5においてYES)。
【0100】
造形データ作成部12は、そりが発生すると判定した場合(ステップS5においてNO)、支持部の見かけのヤング率を、解析結果に係る応力値と等しいそり防止限界に関連付けられた数理モデルM上の見かけのヤング率に見直す(ステップS7)。
具体的には、造形データ作成部12は、
図6に示すパターンIの場合、数理モデルMにおいて応力値が350MPaとなる80000MPaの見かけのヤング率に見直す。また、具体的には、造形データ作成部12は、
図6に示すパターンIIIの場合、数理モデルMにおいて応力値が400MPaとなる110000MPaの見かけのヤング率に見直す。
【0101】
造形データ作成部12は、見直した後の見かけのヤング率が基準値Lと同一の値に設定された上限値Lを超えているかどうかを判定する(ステップS12)。
例えば、見かけのヤング率の上限値Lが90000MPaである場合、造形データ作成部12は、
図6に示すパターンIについて見直した後の見かけのヤング率について、見かけのヤング率の上限値Lを超えていないと判定する。また、例えば、造形データ作成部12は、
図6に示すパターンIIIについて見直した後の見かけのヤング率について、見かけのヤング率の上限値Lを超えていると判定する。
【0102】
造形データ作成部12は、見かけのヤング率の上限値Lを超えていないと判定した場合(ステップS12においてNO)、ステップS3の処理に戻す。
また、造形データ作成部12は、見かけのヤング率の上限値Lを超えていると判定した場合(ステップS12においてYES)、ステップS2の処理に戻し製品の姿勢を前回の最適化の次によかった製品の姿勢に変更する。
【0103】
造形データ作成部12は、そりが発生しないと判定した場合(ステップS5においてYES)、支持部の見かけのヤング率について、支持部が製品から外しやすいかどうか判定する(ステップS6)。
具体的には、造形データ作成部12は、支持部の見かけのヤング率が基準値L(
図6では90000MPa)よりも大きいと判定した場合、支持部が製品から外しにくいと判定する(ステップS6においてNO)。例えば、
図6に示すパターンIIの場合は(パターンIIの白丸参照)、支持部のヤング率が160000MPaであり、ステップS4で算出した応力値が250MPaであるので、支持部が製品から外しにくいと判定する。また、具体的には、造形データ作成部12は、支持部の見かけのヤング率が基準値Lよりも小さいと判定した場合、支持部が製品から外しやすいと判定する(ステップS6においてYES)。
【0104】
造形データ作成部12は、支持部が製品から外しにくいと判定した場合(ステップS6においてNO)、ステップS7の処理に進める。
【0105】
造形データ作成部12は、支持部が製品から外しやすいと判定した場合(ステップS6においてYES)、設定又は修正したヤング率を支持部の剛性として決定する(ステップS8)。造形データ作成部12は、例えば、
図5のパターンIの場合(パターンIの黒丸参照)、ヤング率80000MPaを支持部の剛性として決定する。造形データ作成部12は、例えば、
図5のパターンIIの場合(パターンIIの黒丸参照)、ヤング率40000MPaを支持部の剛性として決定する。
【0106】
造形データ作成部12は、決定した支持部の剛性に基づいて、支持部の構成を決定する(ステップS9)。具体的には、造形データ作成部12は、変更条件すなわち決定した支持部の剛性と、その支持部の剛性に対応するメッシュ密度(井桁構造の骨組部分の間隔)との関係を予め設定した基準データを参照して(例えば、
図4を参照)、決定した剛性となるメッシュ密度(井桁構造の骨組部分の間隔)を決定する。
【0107】
造形データ作成部12は、決定した支持部の構成に基づいて、ステップS2−3で作成した造形データを修正する(ステップS10)。具体的には、造形データ作成部12は、決定した構成(井桁構造の骨組部分の間隔)を有する支持部の3次元形状データを製品の3次元形状データに追加し、この支持部を含む製品の3次元形状データをスライスデータに変換して、3次元積層装置30で使用する造形データを修正する。
【0108】
造形データ作成部12は、修正後の造形データを3次元積層装置30へ送信し、3次元積層装置30へ積層開始指示を行う(ステップS11)。これにより、3次元積層装置30は、修正後の造形データに基づいて、支持部を含む製品を積層し、造形することになる。
【0109】
以上、本発明の実施形態における実施例2について説明した。実施例2によるデータ作成装置10は、DB14と、造形データ作成部12と、製品形状作成部11と、を備える。DB14は、支持部の強度特性とそり防止応力限界との関係を定式化した数理モデルMを記憶する。造形データ作成部12は、支持部と製品について、応力を解析する。また、造形データ作成部12は、製品の姿勢を変更する。製品形状作成部11は、造形データ作成部12の解析結果と数理モデルMとに基づいて、そり防止応力限界に対応する強度特性を有する支持部の形状を特定する。
つまり、造形データ作成部12は、製品形状作成部11がそり防止応力限界を超えない範囲に強度特性を修正した際に、強度特性の上限値以上となる場合に、製品の姿勢を変更する。そして、製品形状作成部11は、造形データ作成部12が製品の姿勢を変更したときの解析結果と数理モデルMとに基づいて、そり防止応力限界に対応する強度特性を有する支持部の形状を特定する。
【0110】
このように、実施例2によるデータ作成装置10は、3次元積層装置30で造形する製品の支持部について、その熱変形の抑制、取り外しやすさの判定を行うので、適切な剛性を有する支持部を設定することができる。そして、実施例2によるデータ作成装置10は、強度特性の上限値を設けて支持部について取り外しにくさの判定を行うので、取り外しにくい支持部を有する製品を作製することを回避することができる。
【0111】
[実施例3]
3次元積層装置30による製品の造形する過程において3次元積層装置30が備えるリコータが移動するときに支持部が破損することがある。
【0112】
ここでリコータを備える3次元積層装置30について説明する。
3次元積層装置30は、積層構造の製品を造形するための装置である。
3次元積層装置30は、
図8に示すように、造形プラットフォーム101、金属フレーム102、未硬化粉末103、レンズ104、リコータ105、粉末106、レーザビーム109、造形物110を備える。
【0113】
造形プラットフォーム101は、3次元積層装置30が積層構造の造形物110を造形する際に、造形物の底面を支える板である。
金属フレーム102は、造形物110の原材料となる未硬化粉末103を収納する容器である。
【0114】
未硬化粉末103は、造形物110の原材料となるレーザビーム109が照射されると硬化する材料である。未硬化粉末103は、硬化して造形物110となる。
【0115】
レンズ104は、集光されたレーザビーム109を未硬化粉末103に照射する。
リコータ105は、リコータ105内に納められた粉末をまきながら造形物を積層する平面方向(例えば、
図8の左右方向)に移動し、まいた粉末106を平らにする。
【0116】
3次元積層装置30は、平らになった面にレーザを照射し粉末106を硬化し造形物110を積層させる。
造形プラットフォーム101が下がる。
3次元積層装置30は、リコータ105を用いて粉末106をまきながら造形物110を積層する平面方向に移動し、まいた粉末を平らにする。
3次元積層装置30は、平らになった面にレーザを照射し粉末106を硬化し造形物110を積層させる。これを繰り返すことで、3次元積層装置30は、造形物110を生成する。
【0117】
本実施例によるデータ作成装置10は、リコータ105が上述のように移動しても支持部が破損しない見かけのヤング率の下限値Loを設定する。そして、データ生成装置100は、支持部にかかる応力が見かけのヤング率の下限値Lo以下となった場合に、製品の姿勢を見直し、製品及び支持部について応力解析をし直す。
【0118】
造形データ作成部12は、そりが発生すると判定した場合、応力値と等しいそり防止限界に関連付けられた数理モデルM上の見かけのヤング率に支持部の見かけのヤング率を見直す。造形データ作成部12は、見直した後の見かけのヤング率が下限値Lo以下であるかどうかを判定する。造形データ作成部12は、見直した後の見かけのヤング率が下限値Loを超えていると判定した場合、見直した後の見かけのヤング率が見かけのヤング率の上限値Lを超えているかどうかを判定する。また、造形データ作成部12は、見直した後の見かけのヤング率が下限値Lo以下であると判定した場合、製品の姿勢を変更する。そして、造形データ作成部12は、見直した後の見かけのヤング率が見かけのヤング率の上限値Lを超えているかどうかを再度判定する。
【0119】
また、造形データ作成部12は、支持部が製品から外しにくいと判定した場合、応力値はそのままで見かけのヤング率が下限値Loを超え、かつ、見かけのヤング率が上限値Lよりも小さくなるように製品の姿勢を変更し、製品及び支持部の応力解析を再度行う。
【0120】
次に、本実施例によるデータ作成装置10の処理について説明する。
ここでは、
図9に示すデータ作成装置10の処理フローについて説明する。
なお、ここでは、製品から支持部を外すときの外しやすさの下限値を示すヤング率Loが予め設定されており、
図7に示す処理フローと異なる、見かけのヤング率が製品から支持部を外すときの外しやすさの下限値を示すヤング率以下となった場合の処理について説明する。
【0121】
データ作成装置10がステップS5の処理を行う。造形データ作成部12は、そりが発生すると判定した場合(ステップS5においてNO)、応力値がそのままのときの数理モデルM上の見かけのヤング率となるように支持部の見かけのヤング率を見直す(ステップS7)。
【0122】
造形データ作成部12は、見直した後の見かけのヤング率が下限値Lo以下であるかどうかを判定する(ステップS13)。
造形データ作成部12は、見直した後の見かけのヤング率が下限値Loを超えていると判定した場合(ステップS13においてNO)、ステップS12の処理に進める。
また、造形データ作成部12は、見直した後の見かけのヤング率が下限値Lo以下であると判定した場合(ステップS13においてYES)、ステップS2の処理に戻す。
【0123】
造形データ作成部12は、支持部が製品から外しにくいと判定した場合(ステップS6においてNO)、ステップS7の処理に戻す。
【0124】
以上、本発明の実施形態における実施例3について説明した。実施例3によるデータ作成装置10は、DB14と、造形データ作成部12と、製品形状作成部11と、を備える。DB14は、支持部の強度特性とそり防止応力限界との関係を定式化した数理モデルMを記憶する。造形データ作成部12は、支持部と製品について、応力を解析する。また、造形データ作成部12は、製品の姿勢を変更する。製品形状作成部11は、造形データ作成部12の解析結果と数理モデルMとに基づいて、そり防止応力限界に対応する強度特性を有する支持部の形状を特定する。そして、造形データ作成部12は、そりが発生すると判定した場合、応力値がそのままのときの数理モデルM上の見かけのヤング率となるように支持部の見かけのヤング率を見直す。造形データ作成部12は、見直した後の見かけのヤング率が下限値Lo以下であるかどうかを判定する。造形データ作成部12は、見直した後の見かけのヤング率が下限値Loを超えていると判定した場合、見直した後の見かけのヤング率が見かけのヤング率の上限値Lを超えているかどうかを判定する。また、造形データ作成部12は、見直した後の見かけのヤング率が下限値Lo以下であると判定した場合、製品の姿勢を変更する。そして、造形データ作成部12は、見直した後の見かけのヤング率が見かけのヤング率の上限値Lを超えているかどうかを再度判定する。また、造形データ作成部12は、支持部が製品から外しにくいと判定した場合、応力値はそのままで見かけのヤング率が下限値Loを超え、見かけのヤング率がLよりも小さくなるように製品の姿勢を変更し、製品及び支持部の応力解析を再度行う。製品形状作成部11は、造形データ作成部12が製品の姿勢を変更したときの解析結果と数理モデルMとに基づいて、そり防止応力限界に対応する強度特性を有する支持部の形状を特定する。
つまり、造形データ作成部12は、製品形状作成部11がそり防止応力限界を超えない範囲に強度特性を修正した際に、強度特性が、製品を積層する際のリコータの移動により支持部が破損しないことを示す強度特性の下限値以下となる場合に、製品の姿勢を変更する。そして、製品形状作成部11は、造形データ作成部12が製品の姿勢を変更したときの解析結果と数理モデルとに基づいて、そり防止応力限界に対応する強度特性を有する支持部の形状を特定する。
【0125】
このように、実施例3によるデータ作成装置10は、3次元積層装置30で造形する製品の支持部について、その熱変形の抑制、取り外しやすさの判定を行うので、適切な剛性を有する支持部を設定することができる。そして、実施例3によるデータ作成装置10は、強度特性の下限値を設けて支持部について取り外しやすさの判定を行うので、取り外す前に破損する支持部を有する製品を作製することを回避することができる。
【0126】
[実施例4]
製品の製造過程においてリコータが移動し、支持部が破損することがある。支持部の破損は、リコータの移動方向によって発生確率が異なる。そのため、本実施例によるデータ作成装置10は、リコータが移動すると支持部が破損する場合に、製品の姿勢を見直し、製品及び支持部について応力解析をし直す。
【0127】
造形データ作成部12は、そりが発生すると判定した場合、シミュレーションなどによって、リコータによるせん断力で製品や支持部が破損しないかどうかを判定する。造形データ作成部12は、製品を積層する際のリコータの移動平面に垂直な方向の軸を中心に製品を回転させる。造形データ作成部12は、製品及び支持部の応力解析を再度行う。
【0128】
次に、本実施例によるデータ作成装置10の処理について説明する。
ここでは、
図10に示すデータ作成装置10の処理フローについて説明する。
なお、ここでは、
図7に示す処理フローと異なる、リコータによるせん断力で製品や支持部が破損しないかどうかを判定し、リコータの移動平面に垂直な方向の軸を中心に製品を回転させる処理について説明する。
【0129】
造形データ作成部12は、そりが発生しないと判定した場合(ステップS5においてYES)、リコータによるせん断力で製品や支持部が破損しないかどうかを判定する(ステップS14)。
造形データ作成部12は、リコータによるせん断力で製品や支持部が破損しないと判定した場合(ステップS14においてYES)、ステップS6の処理に進める。
【0130】
造形データ作成部12は、リコータによるせん断力で製品や支持部が破損すると判定した場合(ステップS14においてNO)、リコータの移動平面に垂直な方向の軸を中心に製品の姿勢が過去の姿勢と同一にならないように回転させる(ステップS15)。
このとき、造形データ作成部12は、ランダムにZ軸回りの角度を決定してもよい。また、造形データ作成部12は、支持部がリコータによるせん断力により破損しにくい姿勢、例えば、支持部の断面の長手方向がリコータの移動方向となる姿勢となる角度を優先して決定してもよい。
そして、造形データ作成部12は、リコータによるせん断力で製品や支持部が破損しないかどうかを判定する(ステップS16)。
【0131】
造形データ作成部12は、リコータによるせん断力で製品や支持部が破損しないと判定した場合(ステップS16においてYES)、ステップS6の処理に進める。
【0132】
造形データ作成部12は、リコータによるせん断力で製品や支持部が破損すると判定した場合(ステップS16においてNO)、ステップS2の処理に戻す。
【0133】
なお、実施例4によるデータ作成装置10は、
図9で示した実施例3によるデータ作成装置10のステップS12、ステップS13の処理を行うものであってもよい。
【0134】
なお、実施例4では、データ作成装置10がリコータによるせん断力で製品や支持部が破損するか否かを判定する例を示したが、データ作成装置10は、リコータによるせん断力で製品や支持部が破損するか否かを判定するものに限定しない。データ作成装置10は、例えば、せん断力のほか、曲げ力やねじれ力についてせん断力の場合と同様のよりを行うものであってもよい。
【0135】
以上、本発明の実施形態における実施例4について説明した。実施例4によるデータ作成装置10において、造形データ作成部12は、そりが発生すると判定した場合、リコータによるせん断力で製品や支持部が破損しないかどうかを判定する。造形データ作成部12は、製品を積層する際のリコータの移動平面に垂直な方向の軸を中心に製品を回転させる。造形データ作成部12は、Z軸を中心として製品を回転させた場合に、製品及び支持部の応力解析せずに、リコータによるせん断力で製品や支持部が破損するか否かを判定するを再度行う。
【0136】
このように、実施例4によるデータ作成装置10は、3次元積層装置30で造形する製品の支持部について、リコータの移動により破損が生じるかどうかの判定を行うので、取り外す前に破損する支持部を有する製品を作製することを回避することができる。
【0137】
実施例4によるデータ作成装置10において、造形データ作成部12は、Z軸を中心として製品を回転させる。このとき、製品の見かけのヤング率は変化しない。したがって、造形データ作成部12は、Z軸を中心として製品を回転させた場合に、製品及び支持部の応力解析せずに、リコータによるせん断力で製品や支持部が破損するか否かを判定するを再度行うことが可能となる。つまり、造形データ作成部12は、応力解析の解析時間を省けかつリコータによるせん断力や曲げ力やねじれ力による製品や支持部の破損を解消することを可能にする。
【0138】
なお、
図1の指示部設定システムは、3次元積層システムと呼ばれてもよい。
【0139】
なお、本発明の実施形態におけるデータ作成装置10は、処理に用いる各データが離散的な値であり、所望の値が存在しない場合には、例えば線形補間などにより所望のデータを補間し、補間したデータを用いて処理を行うものであってもよい。
【0140】
なお、本発明の実施形態における処理は、適切な処理が行われる範囲において、処理の順番が入れ替わってもよい。
【0141】
記憶部のそれぞれは、適切な情報の送受信が行われる範囲においてどこに備えられていてもよい。また、記憶部のそれぞれは、適切な情報の送受信が行われる範囲において複数存在しデータを分散して記憶していてもよい。
【0142】
本発明の実施形態について説明したが、上述のデータ作成装置10における装置のそれぞれは内部に、コンピュータシステムを有していてもよい。そして、上述した処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。ここでコンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータがそのプログラムを実行するようにしてもよい。
【0143】
図11は、本発明の実施形態であるデータ作成装置10を実現する情報処理装置の構成を示すブロック図である。データ作成装置10は、情報処理装置である、例えば一般的なコンピュータ300を用いて実現することができる。コンピュータ300は、CPU(Central Processing Unit)301、RAM(Random Access Memory)302、ROM(Read Only Memory)303、ストレージ装置304、外部I/F(Interface)305、および通信I/F306などを有する。
CPU301は、ROM303やストレージ装置304などに格納されたプログラムやデータをRAM302に記憶させ、処理を実行することで、コンピュータ300の各機能を実現する演算装置である。RAM302は、CPU301のワークエリアなどとして用いられる揮発性のメモリである。ROM303は、電源を切ってもプログラムやデータを保持する不揮発性のメモリである。ストレージ装置304は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)などにより実現され、OS(Operation System)、アプリケーションプログラム、および各種データなどを記憶する。
データ作成装置10の各機能部は、CPU301が例えばストレージ装置304に格納された制御プログラムを実行することにより実現される。
外部I/F305は、外部装置とのインターフェースである。外部装置には、例えば、記録媒体307などがある。コンピュータ300は、外部I/F305を介して、記録媒体307の読取り、書き込みを行うことができる。記録媒体307には、例えば、光学ディスク、磁気ディスク、メモリカード、USB(Universal Serial Bus)メモリなどが含まれる。
通信I/F306は、有線通信または無線通信により、コンピュータ300をネットワークに接続するインターフェースである。バスBは、上記各構成装置に接続され、制御装置間で各種制御信号などを送受信する。
【0144】
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現してもよい。さらに、上記プログラムは、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるファイル、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0145】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例であり、発明の範囲を限定しない。これらの実施形態は、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の追加、省略、置き換え、変更を行ってよい。