特許第6878024号(P6878024)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6878024
(24)【登録日】2021年5月6日
(45)【発行日】2021年5月26日
(54)【発明の名称】医用操作装置及びX線診断装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/00 20060101AFI20210517BHJP
【FI】
   A61B6/00 320Z
【請求項の数】11
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2017-17711(P2017-17711)
(22)【出願日】2017年2月2日
(65)【公開番号】特開2018-121959(P2018-121959A)
(43)【公開日】2018年8月9日
【審査請求日】2020年1月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(72)【発明者】
【氏名】福崎 武宏
(72)【発明者】
【氏名】笠岡 隼人
(72)【発明者】
【氏名】殿塚 浩規
(72)【発明者】
【氏名】西墻 俊一郎
(72)【発明者】
【氏名】小杉 功光
(72)【発明者】
【氏名】政橋 順史
(72)【発明者】
【氏名】二瓶 嘉代子
【審査官】 井上 香緒梨
(56)【参考文献】
【文献】 独国特許出願公開第19801152(DE,A1)
【文献】 特開2007−068712(JP,A)
【文献】 特開平10−208577(JP,A)
【文献】 特開2008−036278(JP,A)
【文献】 実開平02−140722(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0092887(US,A1)
【文献】 特開2016−052453(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0114387(US,A1)
【文献】 特開2016−052429(JP,A)
【文献】 特開2016−174792(JP,A)
【文献】 特開2011−206596(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00−6/14
A61B 1/00−1/32
A61B 8/00−8/15
A61B 5/055
G01T 1/161−1/166
H01H 13/00−13/88
H01H 25/00−25/06
H01H 19/00−21/88
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医用装置の操作者の足が載置される載置面を有するフットペダルであって、回転軸を中心として第1方向及び前記第1方向と反対の第2方向に揺動可能である、フットペダルと、
前記第1方向の終端位置に設けられた第1操作部であって、前記フットペダルを介して当該第1操作部に対して第1操作を行うことにより、前記医用装置に第1動作を実行させる、第1操作部と、
前記第2方向の終端位置に設けられた第2操作部であって、前記フットペダルを介して当該第2操作部に対して前記第1操作とは異なる第2操作を行うことにより、前記医用装置に第2動作を実行させる、第2操作部と、を備え
前記フットペダルは、前記回転軸を中心として、前記操作者の足の左右方向に円弧状に揺動可能であり、
前記第1操作部は第1スイッチにより構成されており、前記フットペダルの前記第1方向側面で、前記第1スイッチを押圧することにより前記第1操作が行われ、
前記第2操作部は第2スイッチと第3スイッチとにより構成されており、前記フットペダルの前記第2方向側面で、前記第2スイッチを押圧し、且つ、前記フットペダルの底面で前記第3スイッチを押圧することにより、前記第2操作が行われる、
医用操作装置。
【請求項2】
前記第2操作は、前記フットペダルの前記第2方向側面で、前記第2スイッチを押圧しつつ、前記フットペダルの底面で前記第3スイッチを押圧することにより行われる、請求項に記載の医用操作装置。
【請求項3】
前記第2操作は、前記フットペダルの前記第2方向側面で、前記第2スイッチを一旦押圧した後に、前記フットペダルの底面で前記第3スイッチを押圧することにより行われる、請求項に記載の医用操作装置。
【請求項4】
前記回転軸は、前記フットペダルにおける前記操作者の足の踵が載置される位置に設けられており、
前記第2操作において、前記第3スイッチは、前記フットペダルにおける前記操作者の足のつま先が載置される位置の底部で押圧される、
請求項乃至請求項のいずれかに記載の医用操作装置。
【請求項5】
前記回転軸は、前記フットペダルにおける前記操作者の足のつま先が載置される位置に設けられており、
前記第2操作において、前記第3スイッチは、前記フットペダルにおける前記操作者の足の踵が載置される位置の底部で押圧される、
請求項乃至請求項のいずれかに記載の医用操作装置。
【請求項6】
前記回転軸は、前記フットペダルにおける前記操作者の足の土踏まずが載置される位置に設けられており、
前記第2操作において、前記第3スイッチは、前記フットペダルにおける前記操作者の足のつま先又は踵が載置される位置の底部で押圧される、
請求項乃至請求項のいずれかに記載の医用操作装置。
【請求項7】
前記フットペダルが取り付けられる基板と、
前記フットペダルの底面に設けられ、前記フットペダルとともに前記基板上を滑走する滑走部と、
前記第1方向の終端位置の手前で、前記滑走部の滑走の障害となって、前記フットペダルの揺動を一時的に阻害する、第1障害部と、
前記第2方向の終端位置の手前で、前記滑走部の滑走の障害となって、前記フットペダルの揺動を一時的に阻害する、第2障害部と、
をさらに備え、
前記滑走部の滑走を前記第1障害部で一時的に阻害された後に、操作者がさらに前記フットペダルを前記第1方向に移動させることにより、前記フットペダルが前記第1方向の終端位置に到達し、
前記滑走部の滑走を前記第2障害部で一時的に阻害された後に、操作者がさらに前記フットペダルを前記第2方向に移動させることにより、前記フットペダルが前記第2方向の終端位置に到達する、
請求項1乃至請求項のいずれかに記載の医用操作装置。
【請求項8】
前記滑走部の滑走を前記第1障害部で一時的に阻害された後に、操作者がさらに前記フットペダルを前記第1方向に移動させるのに必要な力よりも、前記滑走部の滑走を前記第2障害部で一時的に阻害された後に、操作者がさらに前記フットペダルを前記第2方向に移動させるのに必要な力の方が、大きい、請求項に記載の医用操作装置。
【請求項9】
前記フットペダルの前記載置面に前記操作者の足が載置されているか否かを検出する検出器をさらに備えており、
前記検出器が、前記載置面に前記操作者の足が載置されていると検出できない場合には、前記第1操作部で前記第1操作が行われた場合でも、前記医用装置に前記第1動作は実行させず、且つ、前記第2操作部で前記第2操作が行われた場合でも、前記医用装置に第2動作は実行させない、請求項1乃至請求項のいずれかに記載の医用操作装置。
【請求項10】
前記医用装置は、被検体を透過したX線に基づいてX線画像を取得するX線診断装置であり、
前記医用装置の前記第1動作は、X線透視であり、前記医用装置の前記第2動作は、X線撮影である、請求項1乃至請求項のいずれかに記載の医用操作装置。
【請求項11】
X線を照射して被検体の撮像を行う撮像部と、
操作者の足が載置される載置面を有するフットペダルであって、回転軸を中心として第1方向及び前記第1方向と反対の第2方向に揺動可能である、フットペダルと、
前記第1方向の終端位置に設けられた第1操作部であって、前記フットペダルを介して当該第1操作部に対して第1操作を行うことにより、前記撮像部に第1動作を実行させる、第1操作部と、
前記第2方向の終端位置に設けられた第2操作部であって、前記フットペダルを介して当該第2操作部に対して前記第1操作とは異なる第2操作を行うことにより、前記撮像部に第2動作を実行させる、第2操作部と、を備え
前記フットペダルは、前記回転軸を中心として、前記操作者の足の左右方向に円弧状に揺動可能であり、
前記第1操作部は第1スイッチにより構成されており、前記フットペダルの前記第1方向側面で、前記第1スイッチを押圧することにより前記第1操作が行われ、
前記第2操作部は第2スイッチと第3スイッチとにより構成されており、前記フットペダルの前記第2方向側面で、前記第2スイッチを押圧し、且つ、前記フットペダルの底面で前記第3スイッチを押圧することにより、前記第2操作が行われる、
X線診断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、医用操作装置及びX線診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
X線診断装置は、X線管から被検体にX線を照射し、被検体を透過したX線をX線検出器により検出して電気信号に変換し、この電気信号に基づいてX線画像を生成する装置である。医師や検査技師等の操作者は、X線診断装置で生成されたX線画像に基づいて、被検体の診断を行う。
【0003】
このX線診断装置に対して操作者は、例えば、X線照射のための操作や、低線量照射や高線量照射といったX線の照射方法の切り替え等を行う必要があるが、X線診断装置に対する操作以外の作業で操作者の両手がふさがっていることも多いことから、ペダルを足で踏むことによってX線診断装置の操作を行うフットスイッチが用意されている。
【0004】
一般に、フットスイッチには、複数のペダルが設けられており、これら複数のペダルのそれぞれに、特定の機能が割り当てられている。操作者は、複数のペダルの中から、目的の機能が割り当てられたペダルを足で踏むことによって、所望の操作を実現している。
【0005】
しかし、フットスイッチは、操作者の足下に設置されるため、操作者は目視によりペダルを確認しながら踏み込む必要がある。さらには、天板の下などにフットスイッチが入り込み、操作者にとって、目視が難しい状況に置かれることもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011−206596号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本実施形態の目的は、操作者にとって使い勝手のよい医用操作装置及びX線診断装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本実施形態に係る医用操作装置は、医用装置の操作者の足が載置される載置面を有するフットペダルであって、回転軸を中心として第1方向及び前記第1方向と反対の第2方向に揺動可能である、フットペダルと、前記第1方向の終端位置に設けられた第1操作部であって、前記フットペダルを介して当該第1操作部に対して第1操作を行うことにより、前記医用装置に第1動作を実行させる、第1操作部と、前記第2方向の終端位置に設けられた第2操作部であって、前記フットペダルを介して当該第2操作部に対して前記第1操作とは異なる第2操作を行うことにより、前記医用装置に第2動作を実行させる、第2操作部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態に係るX線診断装置の構成を説明するためのブロック図。
図2】第1実施形態に係るフットスイッチの平面図。
図3図2に示すフットスイッチのA−A線断面図。
図4】第1実施形態に係るフットスイッチにおけるフットペダルの揺動を模式的に示す平面図。
図5図2において滑走部が基板の表面を滑走する滑走線における基板の断面図。
図6】(a)は、第3スイッチをフットペダルの底面で押圧する前の状態を示す断面図、(b)は、第3スイッチをフットペダルの底面で押圧している状態を示す断面図。
図7】第2実施形態に係るフットスイッチにおけるフットペダルの揺動を模式的に示す平面図。
図8】(a)は、第4スイッチをフットペダルの底面で押圧する前の状態を示す断面図、(b)は、第4スイッチをフットペダルの底面で押圧した第1段階の状態を示す断面図、(c)は、第4スイッチをフットペダルの底面でさらに押圧した第2段階の状態を示す断面図。
図9】第2実施形態における第4スイッチの変形例を説明する図であり、(a)は、第4スイッチをフットペダルの底面で押圧する前の状態を示す第4スイッチの側面図、(b)は、第4スイッチをフットペダルの底面で1回押圧した第1段階の状態を示す第4スイッチの側面図、(c)は、第4スイッチをフットペダルの底面でもう1回押圧した第2段階の状態を示す第4スイッチの側面図。
図10A】第3実施形態に係るフットスイッチにおけるフットペダルの揺動を模式的に示す平面図。
図10B図10Aに示すフットスイッチのA−A線断面図。
図11】第4実施形態に係るフットスイッチにおけるフットペダルの揺動を模式的に示す平面図。
図12図11に示すフットスイッチのA−A線断面図
図13】第4実施形態を第3実施形態に係るフットスイッチに適用した場合におけるフットペダルの揺動を模式的に示す平面図。
図14】滑走部が基板の表面を滑走する滑走線上における変形例を説明するための基板の断面図。
図15】フットスイッチのさらなる変形例を説明するための平面図。
図16】第5実施形態に係るフットスイッチの平面図
図17】(a)は、第1及び第4スイッチをフットペダルの底面で押圧する前の状態を示す断面図、(b)は、第1スイッチをフットペダルの底面で押圧している状態を示す断面図、(c)は、第4スイッチをフットペダルの底面で押圧した第1段階の状態を示す断面図、(d)は、第4スイッチをフットペダルの底面でさらに押圧した第2段階の状態を示す断面図。
図18】第1乃至第5実施形態に係るX線診断装置の変形例を説明するためのブロック図。
図19図18の変形例におけるフットペダルの平面図。
図20図19に示すフットペダルの右側面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、実施形態に係る医用操作装置及びX線診断装置を説明する。なお、以下の説明において、略同一の機能及び構成を有する構成要素については、同一符号を付し、重複説明は必要な場合にのみ行うこととする。
【0011】
〔第1実施形態〕
図1は、第1実施形態に係るX線診断装置1の構成を説明するためのブロック図である。この図1に示すように、本実施形態に係るX線診断装置1は、撮影装置10と、制御装置20とを備えて構成されている。
【0012】
撮影装置10は、アーム11を有しており、このアーム11の一端に、X線管12が設けられている。このX線管12には、高電圧発生器14から高電圧とフィラメント電流とが供給され、これらに基づいて、X線を発生する。
【0013】
アーム11の他端には、X線検出器16が設けられている。このX線検出器16は、例えば、2次元に配列された複数の画素を有する平面検出器(FPD:Flat Panel Detector)から構成されており、各画素は、X線管12において発生したX線を検出し、この検出されたX線を電気信号に変換する。この電気信号は、図示しないアナログデジタル変換器(Analog Digital Converter)にて、アナログ信号である電気信号からデジタルデータに変換され、後述する制御装置20の画像生成回路22に出力される。駆動回路18は、X線管12とX線検出器16とが取り付けられたアーム11を、所定の回転軸回りに回転させる。
【0014】
制御装置20は、画像生成回路22と、制御操作回路24と、記憶回路26と、ディスプレイ28と、X線制御回路30と、駆動制御回路32と、システム制御回路34と備えており、これらは内部のバス等により相互に接続されている。
【0015】
画像生成回路22は、X線検出器16から出力されたデジタルデータに前処理を施して、X線画像を生成する。ここで、前処理とは、例えば、X線検出器16における各画素の感度不均一の補正、画素の脱落の補正などに関する処理である。画像生成回路22は、生成したX線画像を、記憶回路26に出力して格納する。画像生成回路22は、例えば、プロセッサにより構成されており、X線画像を生成する上で必要なプログラムを記憶回路26から読み出して実行することで実現される。
【0016】
制御操作回路24は、このX線診断装置1を操作する操作者が、各種指示、命令、情報、選択、設定等を、X線診断装置1に入力するための装置により構成されている。本実施形態においては、この制御操作回路24として、ユーザインターフェース24aと、ハンドスイッチ24bと、フットスイッチ24cとが設けられている。ユーザインターフェース24aは、例えば、タッチパネル式の液晶ディスプレイ、マウス、キーボード、スイッチボタン、トラックボール等により構成されており、操作者が、このユーザインターフェース24aを操作することにより、種々の指示をX線診断装置1に与えることができる。
【0017】
ハンドスイッチ24bは、X線の照射タイミングやX線の照射態様等をX線診断装置1に指示するためのスイッチであり、操作者は手で、このハンドスイッチ24bを操作する。フットスイッチ24cも、X線の照射タイミングやX線の照射態様等をX線診断装置1に指示するためのスイッチであるが、操作者は足で、このフットスイッチ24cを操作する。
【0018】
なお、フットスイッチ24cは、操作者の足で操作可能な医用操作装置の一例である。フットスイッチ24cは、X線診断装置1の本体に組み込まれていても良いし、或いは、X線診断装置1とは別体ではあるが、X線診断装置1に有線で又は無線で接続されるようにしても良い。
【0019】
記憶回路26は、例えば、ハードディスクドライブやSSD(Solid Sate Drive)等により構成されており、各種のデータが格納される。本実施形態においては、特に、画像生成回路22が生成したX線画像や、制御操作回路24により操作者が入力した指示や情報が格納され記憶される。この記憶回路26は、各種命令に基づいて、格納されているX線画像のデータをディスプレイ28に出力したり、制御装置20の外部へ出力したりする。
【0020】
ディスプレイ28は、例えば、液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display)、有機ELディスプレイ(Organic Electro-Luminescence Display)、プラズマディスプレイ等により構成されており、各種の情報を表示する。特に、本実施形態においては、記憶回路26に記憶されているX線画像を表示する。
【0021】
X線制御回路30は、システム制御回路34からの指示に基づいて、撮影装置10の高電圧発生器14の制御を行い、X線条件に応じた高電圧とフィラメント電流とを高電圧発生器14に発生させて、X線管12に供給させる。
【0022】
駆動制御回路32は、システム制御回路34からの指示に基づいて、撮影装置10の駆動回路18を制御し、撮影装置10のアーム11を、所定の回転軸回りに回転させる。
【0023】
システム制御回路34は、X線診断装置1の全体的な制御を行う。すなわち、システム制御回路34は、このX線診断装置1が備えている各種構成要素を統括的に制御し、本実施形態における各種の動作をX線診断装置1に実現させる。システム制御回路34は、例えば、プロセッサにより構成されており、X線診断装置1の制御を行う上で必要なプログラムを記憶回路26から読み出して実行することで、全体的な制御を実現する。
【0024】
ここで、上記説明で用いたプロセッサという文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及び、フィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサは、記憶回路26に保存されたプログラムを読み出して実行することにより機能を実現する。なお、記憶回路26にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成して構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、プロセッサは、プロセッサ単一の回路として構成されている場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて、1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。さらに、図1における複数の構成要素を1つのプロセッサへ統合して、その機能を実現するようにしてもよい。
【0025】
図2は、本実施形態に係るフットスイッチ24cの平面図であり、図3は、図2に示すフットスイッチ24cのA−A線断面図である。これら図2及び図3に示すように、本実施形態に係るフットスイッチ24cにおいては、基板40の上に回転軸50を介してフットペダル60が取り付けられている。
【0026】
基板40は、例えば、矩形状の平坦な板により構成されており、例えば、プラスチック、金属、合成樹脂等により形成されている。ただし、基板40の形状や材質は、これらに限定されるものではなく、フットペダル60を操作者が足で操作するために適した形状や材質であれば足りる。
【0027】
回転軸50は、その下端部が基板40に取り付けられ、その上端部がフットペダル60に取り付けられて、フットペダル60を回転可能に支持している。この回転軸50は、ベアリングやピンを組み合わせることにより構成されており、操作者の足を介してフットスイッチ24cにかかる重さを支えるのに十分な耐性と強度を有している。本実施形態においては、回転軸50は、フットペダル60における操作者の足の踵が載置される位置に設けられている。
【0028】
フットペダル60は、その上側表面が、操作者の足が載置される載置面を形成しており、この載置面に操作者の足が載置された場合に、その足が不用意に外れることないように足を保持する保持部62が設けられている。本実施形態においては、保持部62は、操作者の甲の位置に設けられた帯状のベルトにより構成されているが、保持部62はこのような態様に限られるものではない。例えば、保持部62は、3点がフットペダル60に固定された鼻緒により構成されていてもよいし、或いは、袋状に操作者の足の先端を覆うカバーにより構成されていてもよい。
【0029】
フットペダル60には、基板40表面を滑走可能な滑走部70も設けられている。この滑走部70は、例えば、ボールプランジャ、ローラプランジャ、摩擦係数の低い樹脂等で構成されている。本実施形態においては、滑走部70は、フットペダル60における操作者のつま先が載置される位置の底面に設けられており、さらには操作者がつま先部分に力を入れて踏む込むことにより滑走部70が沈み込むように構成されている。
【0030】
フットペダル60は、回転軸50を中心として、滑走部70が基板40の表面を滑走しながら、時計回り方向および反時計回り方向に回転することができる。以下においては、適宜、時計回り方向を第1方向といい、反時計回り方向を第2方向といい、滑走部70が基板40上を滑走する線を滑走線SLということとする。また、フットペダル60は、回転角が制限されているものの、第1方向及び第2方向に交互に回転可能であることから、このような動作を必要に応じて揺動と言うこととする。すなわち、フットペダル60は、操作者から見ると、自分の足の左右方向に円弧状に揺動可能に基板40に取り付けられている。
【0031】
フットペダル60が第1方向に回転した場合の終端位置には、第1スイッチ80aが設けられており、この第1スイッチ80aが本実施形態における第1操作部を構成している。換言すれば、フットペダル60の第1方向への揺動は、第1スイッチ80aがストッパとなり、フットペダル60の終端位置が定められることとなる。
【0032】
反対に、フットペダル60が第2方向に回転した場合の終端位置には、第2スイッチ80bと第3スイッチ80cが設けられており、これら第2スイッチ80bと第3スイッチ80cが本実施形態における第2操作部を構成している。換言すれば、フットペダル60の第2方向への揺動は、第2スイッチ80bがストッパとなり、フットペダル60の終端位置が定められることとなる。
【0033】
フットペダル60の第1方向の終端位置の手前には、滑走部70の滑走の障害となって、フットペダル60の揺動を一時的に阻害する第1障害部90aが設けられている。本実施形態においては、この第1障害部90aは、基板40の表面に形成された凹部により構成されている。すなわち、滑走部70がこの凹部を通過する際に滑走の障害となり、フットペダル60の移動を一時的に阻害する。そして、操作者がさらに足に力を加えて、フットペダル60を第1方向に移動させることにより、フットペダル60は、第1方向の終端位置まで到達する。
【0034】
反対に、フットペダル60の第2方向の終端位置の手前には、滑走部70の滑走の障害となって、フットペダル60の揺動を一時に阻害する第2障害部90bが設けられている。本実施形態においては、この第2障害部90bは、基板40の表面に形成された凹部により構成されている。すなわち、滑走部70がこの凹部を通過する際に滑走の障害となり、フットペダル60の移動を一時的に阻害する。そして、操作者がさらに足に力を加えて、フットペダル60を第2方向に移動させることにより、フットペダル60は、第2方向の終端位置まで到達する。
【0035】
また、本実施形態においては、第1障害部90aの凹部よりも、第2障害部90bの凹部の方が大きく形成されている。ここで、「大きく形成されている」とは、第1障害部90aの凹部の直径よりも、第2障害部90bの凹部の直径の方が長い、或いは、又は、同時に、第1障害部90aの凹部の深さよりも、第2障害部90bの凹部の深さの方が深いことを意味している。このように構成することにより、第1障害部90aで一時的に滑走部70の滑走を阻害された後に、操作者がさらにフットペダル60を第1方向に移動させるのに必要な力よりも、第2障害部90bで一時的に滑走部70の滑走を阻害された後に、操作者がさらにフットペダル60を第2方向に移動させるのに必要な力の方を、大きくすることができる。但し、第1障害部90aの凹部と第2障害部90bの凹部とを同一の大きさで形成して、第1障害部90aで一時的に滑走部70の滑走が阻害された後に、操作者がさらにフットペダル60を第1方向に移動させるのに必要な力と、第2障害部90bで一時的に滑走部70の滑走が阻害された後に、操作者がさらにフットペダル60を第2方向に移動させるのに必要な力とを、同等になるように構成することもできる。また、第1障害部90aと第2障害部90bの凹部の大きさを小さくして、第1方向及び第2方向へのフットペダル60の移動を一時的に阻害はするがフットペダル60の動きは停止しないようにすることもできる。さらには、これら第1障害部90aと第2障害部90bとを設けずに、フットペダル60の揺動をまったく阻害しないようにすることも可能である。
【0036】
なお、本実施形態では、第1障害部90aと第2障害部90bの凹部を円形状に形成したが、その形状は必ずしも円形状でなくてもよく、種々の形状で形成することができる。例えば、第1障害部90aと第2障害部90bの凹部は、矩形状、六角形状、円柱状等の形状で形成してもよい。
【0037】
次に、これら図2及び図3を参照しつつ、図4乃至図6に基づいて、本実施形態に係るフットスイッチ24cの具体的な操作内容を説明する。
【0038】
図4は、フットスイッチ24cにおけるフットペダル60の揺動を模式的に示す平面図である。図5は、図2において滑走部70が基板40の表面を滑走する滑走線SL上の基板40の断面と第1乃至第3スイッチ80a、80b、80cの位置関係を説明する図である。図6は、フットペダル60が第2方向の終端位置にある場合における操作者によるフットペダル60の操作を説明する図であり、図2におけるB−B線断面図である。より具体的には、図6(a)は、第3スイッチ80cをフットペダル60の底面で押圧する前の状態を示しており、図6(b)は、第3スイッチ80cをフットペダル60の底面で押圧している状態を示している。
【0039】
図4に示すように、操作者が足をフットペダル60の載置面に載置して、フットペダル60に力を加えていない状態の場合、フットペダル60は、ホームポジションであるセンターに位置している。例えば、回転軸50にバネ機構が内蔵されており、このバネ機構により、操作者が足の力を抜くと、或いは、操作者が足をフットペダル60から離すと、フットペダル60はホームポジションに自動的に戻るように構成されている。
【0040】
このホームポジションから操作者が第1方向にフットペダル60を回転させ始めると、滑走部70が基板40表面を滑走し、第1方向の終端位置の手前に設けられた第1障害部90aで滑走部70が落ち込んで、滑走部70の滑走を一時的に阻害する。本実施形態においては、特に、第1方向へのフットペダル60の移動が一時的に停止する。一時停止した状態のフットペダル60に対して、操作者がさらに足に力を入れて、第1方向にフットペダル60を移動させると、フットペダル60は第1方向の終端位置に到達する。このことから分かるように、本実施形態において「第1方向の終端位置の手前」とは、終端位置に到達する前の位置ではあるが、第1障害部90aで一旦阻害されたフットペダル60の移動を、操作者が、さらに第1方向に僅かに推し進めるだけで、フットペダル60が終端位置に到達する位置を示している。
【0041】
図4及び図5に示すように、第1方向の終端位置においては、フットペダル60の第1方向の側面60aにて、第1スイッチ80aを押圧することができる。すなわちフットペダル60の第1方向の側面60aで、第1スイッチ80aの頭部82aを押圧して押し込み、第1スイッチ80aをオフ状態からオン状態に切り替えることができる。
【0042】
ここで、本実施形態に係るX線診断装置1においては、複数の撮像モードが設けられている。特に、本実施形態においては、低線量のX線による動画の撮像である「X線透視」と、高線量のX線による静止画の撮像である「X線撮影」の2つが少なくとも設けられている。本実施形態においては、第1スイッチ80aを押圧することにより、第1操作である「X線透視」がX線診断装置1で行われる。特に、操作者がフットペダル60の側面60aにより、第1スイッチ80aの頭部82aを押圧し続けることにより、継続して動画の撮像である「X線透視」をX線診断装置1に行わせることができる。操作者が「X線透視」を終了させる場合、フットペダル60の側面60aによる第1スイッチ80aの押圧を止める。これにより、第1操作である「X線透視」は終了する。
【0043】
一方で、操作者が、ホームポジションから第2方向にフットペダル60を回転させ始めると、滑走部70が基板40表面を滑走し、第2方向の終端位置の手前に設けられた第2障害部90bで滑走部70が落ち込んで、滑走部70の滑走を一時的に阻害する。本実施形態においては、特に、第2方向へのフットペダル60の移動が一時的に停止する。一時停止した状態のフットペダル60に対して、操作者がさらに足に力を入れて、第2方向にフットペダル60を移動させると、フットペダル60は第2方向の終端位置に到達する。このことから分かるように、本実施形態において「第2方向の終端位置の手前」とは、終端位置に到達する前の位置ではあるが、第2障害部90bで一旦阻害されたフットペダル60を、操作者が、さらに第2方向に僅かに推し進めるだけで、フットペダル60が終端位置に到達する位置を示している。
【0044】
図4及び図5に示すように、第2方向の終端位置においては、フットペダル60の第2方向の側面60bにて、第2スイッチ80bを押圧することができる。すなわちフットペダル60の第2方向の側面60bで、第2スイッチ80bの頭部82bを押圧して押し込み、第2スイッチ80bをオフ状態からオン状態に切り替えることができる。
【0045】
図6(a)に示すように、フットペダル60が第2方向の終端位置に到達した状態では、フットペダル60の底面60cは、第3スイッチ80cの頭部82cから離れた状態にある。この状態で、図6(b)に示すように、操作者が、フットペダル60のつま先部分を踏み込むことにより、フットペダル60のつま先部分の底面60cで第3スイッチ80cを押圧することができる。すなわち、フットペダル60の底面60cで、第3スイッチ80cの頭部82cを押圧して押し込んで、第3スイッチ80cもオフ状態からオン状態に切り替えることができる。
【0046】
本実施形態にいては、第2スイッチ80bと第3スイッチ80cとがともにオン状態となった場合に、第2操作である「X線撮影」がX線診断装置1で行われる。さらに具体的は、第2スイッチ80bを押圧してオン状態にすることにより、「X線撮影」のための準備動作をX線診断装置1に実行させることができ、第3スイッチ80cを押圧してオン状態にすることにより、静止画の撮像である「X線撮影」をX線診断装置1に実行させることができる。
【0047】
なお、操作者が、フットペダル60の側面60bにより、第2スイッチ80bの頭部82bを押圧し続け、且つ、フットペダル60の底面60cにより、第3スイッチ80cの頭部82cを押圧し続けることにより、「X線透視」よりも高く「X線撮影」よりも低い中位のX線の線量で動画の撮像を行う「シネ撮影」を、X線診断装置1に行わせるようにしてもよい。「シネ撮影」を終了する場合には、操作者は、フットペダル60の底面60cによる第3スイッチ80cの押圧を止める、或いは、フットペダル60の側面60bによる第2スイッチ80bの押圧を止める。これにより、第2操作である「シネ撮影」は終了する。
【0048】
また、本実施形態においては、図6(a)及び図6(b)から分かるように、本実施形態に係る滑走部70は、沈み込み可能に構成されている。この例では、滑走部70を構成するボールプランジャのボールが沈み込むように構成されているが、滑走部70全体がフットペダル60内に収納されるように沈み込むような構成にしてもよい。
【0049】
以上のように、本実施形態に係るX線診断装置1によれば、X線診断装置1の操作者は、フットスイッチ24cを足で操作することができる。このため、フットスイッチ24cを目視せずとも操作可能となり、何らかの作業を行っている場合でも、その作業から視線を外す必要がなくなり、作業効率を向上させることができる。
【0050】
しかも、フットペダル60を第1方向に揺動させて行う第1操作は、第1スイッチ80aを押圧する操作であり、フットペダル60を第2方向に揺動させて行う第2操作は、第2スイッチ80bと第3スイッチ80cの双方を押圧する操作であることから、操作者の操作間違いを抑制することができる。特に、本実施形態においては、2段階の操作が必要な第2操作を、高線量のX線による撮像である「X線撮影」をX線診断装置1に行わせるための操作としたので、操作者の注意意識をより高めることができるとともに、X線の照射タイミングを容易に図ることができる。
【0051】
また、第1方向の終端位置の手前に第1障害部90aを設け、第2方向の終端位置の手前に第2障害部90bを設けたので、フットペダル60を終端位置に移動させる手前で、フットペダル60の移動を一時的に阻害させることができる。このため、「X線透視」のタイミングや「X線撮影」のタイミングをより正確に図ることができるようになる。
【0052】
さらに、滑走部70の滑走を第1障害部90aで一時的に阻害した後に、操作者がさらにフットペダル60を第1方向に移動させるのに必要な力よりも、滑走部70の滑走を第2障害部90bで一時的に阻害した後に、操作者がさらにフットペダル60を第2方向に移動させるのに必要な力の方を、大きくしたので、より高いX線の線量による撮像である「X線撮影」をより慎重に行わせ、高線量のX線による誤照射を回避することができる。
【0053】
しかも、フットペダル60の時計回り方向である第1方向には、1段階の操作である第1操作を行うための第1スイッチ80aにより構成された第1操作部を設け、反時計回り方向である第2方向には、2段階の操作である第2操作を行うための第2スイッチ80bと第3スイッチ80cにより構成された第2操作部を設けたので、足による比較的器用な操作が可能な時計回り方向を1段階の操作である第1操作とし、足による比較的器用な操作が難しい反時計回り方向を2段階の操作である第2操作とすることができる。このため、器用な操作が難しい反時計回り方向においても、第2スイッチ80bをフットペダル60の側面60bで押圧し、第3スイッチ80cをフットペダル60の底面60cで押圧するという2段階の動作により、操作の堅実性を維持することができる。
【0054】
なお、上述した実施形態では、フットペダル60の第2方向の側面60bで第2スイッチ80bを押圧しつつ、フットペダル60の底面60cで第3スイッチ80cを押圧することにより、第2動作である「X線撮影」が行われるようにしたが、フットペダル60の第2方向の側面60bで第2スイッチ80bを押圧した後に、フットペダル60の底面60cで第3スイッチ80cを押圧することにより、第2動作である「X線撮影」が行われるようにしてもよい。この場合、第2スイッチ80bは、頭部82bを押圧するたびに、オンとオフとが切り替わる、いわゆるオルタネイト式プッシュスイッチで構成することができる。より具体的には、第2スイッチ80bの頭部82bをフットペダル60の側面60bで一旦押圧すると、この側面60bが頭部82bから離れたとしても、第2スイッチ80bはオン状態が維持され、もう一度、側面60bで頭部82bを押圧することにより、第2スイッチ80bはオン状態からオフ状態に切り替わる。このため、第2スイッチ80bがオン状態になっている場合に、第3スイッチ80cをフットペダル60の底面60cで押圧することにより、第2動作である「X線撮影」を行わせることができる。
【0055】
〔第2実施形態〕
上述した第1実施形態においては、第2方向の終端位置に設けられた第2操作部を、第2スイッチ80bと第3スイッチ80cの2つのスイッチで構成することとしたが、第2実施形態においては、この第2操作部を1つの2段階スイッチで構成するようにしている。以下、上述した第1実施形態と異なる部分を説明する。
【0056】
図7は、本実施形態に係るフットスイッチ24cにおけるフットペダル60の揺動を模式的に示す平面図であり、上述した第1実施形態の図4に対応する図である。図8は、フットペダル60が第2方向の終端位置にある場合における操作者によるフットペダル60の操作を説明するための図であり、図7におけるB−B線断面図である。より具体的には、図8(a)は、第4スイッチ80dをフットペダル60の底面で押圧する前の状態を示しており、図8(b)は、第4スイッチ80dをフットペダル60の底面で押圧した第1段階の状態を示しており、図8(c)は、第4スイッチ80dをフットペダル60の底面60cでさらに押圧した第2段階の状態を示している。
【0057】
図7に示すように、本実施形態におけるフットスイッチ24cは、フットペダル60の第1方向の終端位置には第1操作部として第1スイッチ80aが設けられている点は、上述した第1実施形態と同様であるが、フットペダル60の第2方向の終端位置には第2操作部として第4スイッチ80dが1つだけ設けられている点で、上述した第1実施形態と相違している。具体的には、第2スイッチ80bの位置にストッパ84が設けられており、第3スイッチ80cの位置に第4スイッチ80dが設けられている。
【0058】
このため、フットペダル60を反時計回り方向である第2方向へ揺動させた場合、フットペダル60は終端位置にあるストッパ84で停止する。すなわち、フットペダル60の第2方向の側面60bがストッパ84に接触して、フットペダル60の第2方向への移動が止められる。このとき、足のつま先部分が位置するフットペダル60の底面60cの位置に、第4スイッチ80dが位置する。
【0059】
図7及び図8(a)に示すように、第4スイッチ80dは、例えば、第1頭部82d1と第2頭部82d2とを有している。図8(b)に示すように、操作者が足のつま先部分に力を入れて、フットペダル60の先端部分を踏み込んで、フットペダル60の底面60cで第1頭部82d1を押圧すると、第4スイッチ80dは第1段階の状態となり、例えば、「X線撮影」のための準備動作をX線診断装置1に行わすことができる。続いて、操作者が足のつま先部分にさらに力を入れて、フットペダル60の先端部分をさらに踏み込むと、フットペダル60の底面60cで第2頭部82d2が押圧されて、第4スイッチ80dは第2段階の状態となり、例えば、高い線量を有するX線による「X線撮影」をX線診断装置1に行わすことができる。
【0060】
操作者が足のつま先部分に入れている力を抜くと、滑走部70の復元力により、図8(a)に示すように、フットペダル60の底面60cは第1頭部82d1と第2頭部82d2から離れて、第4スイッチ80dはオフ状態になる。
【0061】
以上のように、本実施形態においても、X線診断装置1の操作者は、フットスイッチ24cを足で操作することができる。このため、フットスイッチ24cを目視せずとも操作可能となり、何らかの作業を行っている場合でも、その作業から視線を外す必要がなくなり、作業効率を向上させることができる。
【0062】
しかも、フットペダル60の終端位置にある第2操作部を、第1段階と第2段階という2段階の状態を有する第4スイッチ80dにより構成したので、第2方向の終端位置で行う第2操作を、第1方向の終端位置で行う第1操作と、より明確に異ならせることができる。このため、操作者に対して、高線量のX線による撮像である「X線撮影」をX線診断装置1に行わせるための操作として、より高い意識を持たせることができる。これにより、例えば、本来であれば低線量のX線撮像である「X線透視」を行うべきところを、誤って、高線量のX線撮像である「X線撮影」を行ってしまうのを抑止することができる。
【0063】
なお、図9(a)に示すように、第4スイッチ80dは、1つの頭部80d3を有するスイッチで構成してもよい。この場合、第4スイッチ80dは、押圧方向に関して複数段階の状態を有しており、例えば、操作者がフットペダル60の先端部分を踏み込むと、図9(b)に示すように、頭部80d3が押圧されて、第4スイッチ80dは第1段階の状態となり、「X線撮影」のための準備動作をX線診断装置1に行わすことができる。続いて、操作者がフットペダル60の先端部分をさらに力を入れて踏み込むと、図9(c)に示すように、頭部80d3がさらに押圧されて、第4スイッチ80dは第2段階の状態となり、高い線量を有するX線による「X線撮影」をX線診断装置1に行わすことができる。そして、操作者が足のつま先部分に入れている力を抜くと、図9(a)に示すように、フットペダル60の先端部分が頭部80d3から離れて、第4スイッチ80dは元の状態に戻ってオフ状態になる。
【0064】
また、本実施形態においては、第4スイッチ80dを、第1段階と第2段階の2つの状態を有するスイッチで構成したが、第4スイッチ80dは、3つ以上の状態を有する複数段階のスイッチで構成してもよい。例えば、第1段階、第2段階の次に、第3段階の状態があるスイッチで第4スイッチ80dを構成してもよい。この場合、例えば、第2段階の状態にある第4スイッチ80dをさらに操作者がフットペダル60の先端部分で押圧すると、「X線撮影」が終了して、撮影終了モードとなり、この状態で、操作者が足のつま先部分に入れている力を抜くと、第4スイッチ80dは元の状態に戻ってオフ状態になるようにすることができる。なお、図7及び図8に示すような複数の頭部が第4スイッチ80dに設けられている場合には、通常、頭部の数はスイッチの段数と同数となる。
【0065】
このように、第4スイッチ80dは、複数の頭部が設けられた第1段階と第2段階とを少なくとも有する複数段階スイッチで構成することもできるし、或いは、1つの頭部が設けられた第1段階と第2段階とを少なくとも有する複数段階のスイッチで構成することもできる。
【0066】
〔第3実施形態〕
上述した第1実施形態においては、フットペダル60の足の踵が載置される位置の底面60cに回転軸50を設け、足のつま先部分が載置される位置の底面60cに滑走部70を設けることとしたが、第3実施形態においては、回転軸50と滑走部70の位置を入れ替えて、フットペダル60の足の踵が載置される位置の底面60cに滑走部70を設け、足のつま先部分が載置される位置の底面60cに回転軸50を設けるようにしている。以下、上述した第1実施形態と異なる部分を説明する。
【0067】
図10Aは、本実施形態に係るフットスイッチ24cにおけるフットペダル60の揺動を模式的に示す平面図であり、上述した第1実施形態の図4に対応する図である。図10Bは、図10Aに示したフットスイッチ24cのA−A線断面図であり、上述した第1実施形態の図3に対応する図である。
【0068】
これら図10A及び図10Bに示すように、フットペダル60の載置面に操作者の足が載置されるが、この操作者の足が載置された場合における踵が載置される位置のフットペダル60の底面60cに滑走部70が設けられている。また、足のつま先部分が載置される位置のフットペダル60の底面60cに回転軸50が設けられている。
【0069】
このため、本実施形態に係るフットペダル60は、足のつま先部分に設けられた回転軸50を中心として、足の左右方向に円弧状に揺動することができる。すなわち、時計回り方向である第1方向の終端位置に第1スイッチ80aが設けられており、この第1スイッチ80aが第1操作部を構成している。また、反時計回り方向である第2方向の終端位置に第2スイッチ80bと第3スイッチ80cとが設けられており、これら第2スイッチ80bと第3スイッチ80cが第2操作部を構成している。
【0070】
第1方向の終端位置の手前には、第1障害部90aが設けられており、第2方向の終端位置の手前には、第2障害部90bが設けられている。これら第1障害部90aと第2障害部90bの役割は上述した第1実施形態と同様である。
【0071】
但し、第3スイッチ80cは、操作者が踵に加重をかけることにより、フットペダル60の底面60cで押圧される。すなわち、操作者がフットペダル60を第2方向の終端位置に揺動させ、フットペダル60の第2方向の側面60bで第2スイッチ80bを押圧しつつ、足の踵に位置するフットペダル60の底面60cで、第3スイッチ80cを押圧することにより、第2動作である「X線撮影」をX線診断装置1に実行させることができる。
【0072】
以上のように、本実施形態においても、X線診断装置1の操作者は、フットスイッチ24cを足で操作することができる。このため、フットスイッチ24cを目視せずとも操作可能となり、何らかの作業を行っている場合でも、その作業から視線を外す必要がなくなり、作業効率を向上させることができる。
【0073】
しかも、比較的器用な操作が可能な時計回り方向における操作を、1段階の操作である第1操作とし、比較的器用な操作が難しい反時計回り方向における操作を、2段階の操作である第2操作としているので、操作の堅実性を維持することができる。
【0074】
なお、上述した第2実施形態を本実施形態に適用することも可能である。すなわち、本実施形態においては、第2方向の終端位置に設けられた第2操作部を、第2スイッチ80bと第3スイッチ80cの2つのスイッチで構成することとしたが、第2実施形態のように、この第2操作部を1つの2段階スイッチである第4スイッチ80dにより構成してもよい。
【0075】
〔第4実施形態〕
上述した第1実施形態においては、フットペダル60における足の踵が載置される位置の底面60cに回転軸50を設け、上述した第3実施形態においては、フットペダル60における足のつま先が載置される位置の底面60cに回転軸50を設けることとしたが、第4実施形態においては、フットペダル60における足の土踏まずが載置される位置の底面60cに回転軸50を設けることとしたものである。以下、上述した第1実施形態と異なる部分を説明する。
【0076】
図11は、本実施形態に係るフットスイッチ24cにおけるフットペダル60の揺動を模式的に示す平面図であり、上述した第1実施形態の図4に対応する図である。図12は、図11に示すフットスイッチ24cのA−A線断面図であり、上述した第1実施形態の図3に対応する図である。
【0077】
これら図11及び図12に示すように、フットペダル60の載置面に操作者の足が載置されるが、この操作者の足が載置された場合における土踏まずが載置される位置のフットペダル60の底面60cに回転軸50が設けられている。換言すれば、フットペダル60の中央部分の底面60cに、回転軸50が設けられている。
【0078】
また、フットペダル60の操作者の足が載置された場合におけるつま先が載置される位置の底面60cに滑走部70aが設けられており、踵が載置される位置の底面60cに滑走部70bが設けられている。
【0079】
このため、本実施形態に係るフットペダル60は、足の土踏まず部分に設けられた回転軸50を中心として、足の左右方向に円弧状に揺動することができる。すなわち、時計回り方向である第1方向の終端位置に第1スイッチ80aが設けられており、この第1スイッチ80aが第1操作部を構成している。第1方向の終端位置では、フットペダル60の第1方向の側面60aにより、第1スイッチ80aを押圧することができる。これにより、第1動作である「X線透視」をX線診断装置1に実行させることができる。
【0080】
一方、反時計回り方向である第2方向の終端位置に第2スイッチ80bと第3スイッチ80cとが設けられており、これら第2スイッチ80bと第3スイッチ80cとにより第2操作部が構成されている。第2方向の終端位置では、フットペダル60の第2方向の側面60bにより、第2スイッチ80bを押圧することができ、フットペダル60の底面60cにより、第3スイッチ80cを押圧することができる。これにより、第2動作である「X線撮影」をX線診断装置1に行わせることができる。
【0081】
第1方向の終端位置の手前には、第1障害部90aが設けられており、第2方向の終端位置の手前には、第2障害部90bが設けられている。これら第1障害部90aと第2障害部90bの役割は上述した第1実施形態と同様である。
【0082】
以上のように、本実施形態においても、X線診断装置1の操作者は、フットスイッチ24cを足で操作することができる。このため、フットスイッチ24cを目視せずとも操作可能となり、何らかの作業を行っている場合でも、その作業から視線を外す必要がなくなり、作業効率を向上させることができる。
【0083】
しかも、回転軸50の中心をフットペダル60の中央部分に設けたので、円弧状に揺動する円弧の半径を小さくすることができ、素早い切り替えを実現し、操作性を高めることができる。
【0084】
なお、本実施形態は、上述した第3実施形態に適用することも可能である。すなわち、図13に示すように、第1方向の終端位置におけるフットペダル60の側面60aの足の踵の位置で、第1スイッチ80aを押圧し、第2方向の終端位置におけるフットペダル60の側面60bの足の踵の位置で、第2スイッチ80bを押圧し、足の踵の位置の底面60cで第3スイッチ80cを押圧するようにしてもよい。
【0085】
また、上述した第2実施形態を本実施形態に適用することも可能である。すなわち、本実施形態においては、第2方向の終端位置に設けられた第2操作部を、第2スイッチ80bと第3スイッチ80cの2つのスイッチで構成することとしたが、第2実施形態のように、この第2操作部を1つの2段階スイッチである第4スイッチ80dにより構成してもよい。
【0086】
〔第1乃至第4実施形態の変形例1〕
上述した第1乃至第4実施形態においては、第1障害部90aと第2障害部90bは、円形状の凹部で構成したが、本変形例1では、これら第1障害部90aと第2障害部90bを、円形状の凸部で構成している。
【0087】
図14は、上述した第1実施形態において、第1障害部90aと第2障害部90bを、円形状の凸部として形成した場合における、滑走線SL上の基板40の断面と第1乃至第3スイッチ80a、80b、80cの位置関係を説明する説明図であり、第1実施形態の図5に対応している。
【0088】
この図14に示すように、第1方向の終端位置の手前に設けられた第1障害部90aは、基板40の表面から僅かに膨らんだ円形状の凸部により構成されており、滑走部70が滑走線SL上を第1方向に滑走していると、この第1障害部90aが滑走の障害となって、フットペダル60の揺動を一時的に阻害する。特に本変形例1においては、フットペダル60の揺動は一時停止する。そして、操作者がさらにフットペダル60を第1方向へ移動させるべく力を入れると、フットペダル60は第1方向への移動を再開し、その直後に第1方向の終端位置に到達する。
【0089】
一方、第2方向の終端位置の手前に設けられた第2障害部90bも、基板40の表面から僅かに膨らんだ円形状の凸部により構成されており、滑走部70が滑走線SL上を第2方向に滑走していると、この第2障害部90bが滑走の障害となって、フットペダル60の揺動を一時的に阻害する。特に本変形例1においては、フットペダル60の揺動は一時停止する。そして、操作者がさらにフットペダル60を第2方向へ移動させるべく力を入れると、フットペダル60は第2方向への移動を再開し、その直後に第2方向の終端位置に到達する。
【0090】
また、本実施形態においては、第1障害部90aの凸部よりも、第2障害部90bの凸部の方が大きく形成されている。ここで「大きく形成されている」とは、第1障害部90aの凸部の直径よりも、第2障害部90bの凸部の直径の方が長い、或いは、又は、同時に、第1障害部90aの凸部の高さよりも、第2障害部90bの凸部の高さの方が高いことを意味している。このように構成することにより、第1障害部90aで一時的に滑走部70の滑走が阻害された後に、操作者がさらにフットペダル60を第1方向に移動させるのに必要な力よりも、第2障害部90bで一時的に滑走部70の滑走が阻害された後に、操作者がさらにフットペダル60を第2方向に移動させるのに必要な力の方を、大きくすることができる。但し、第1障害部90aの凸部と第2障害部90bの凸部とを同一の大きさで形成して、第1障害部90aで一時的に滑走部70の滑走が阻害された後に、操作者がさらにフットペダル60を第1方向に移動させるのに必要な力と、第2障害部90bで一時的に滑走部70の滑走が阻害された後に、操作者がさらにフットペダル60を第2方向に移動させるのに必要な力とを、同等になるように構成することもできる。また、第1障害部90aと第2障害部90bの凸部の大きさを小さくして、第1方向及び第2方向へのフットペダル60の移動を一時的に阻害はするがフットペダル60の動きは停止しないようにすることもできる。
【0091】
図14は、本変形例を第1実施形態に適用した場合の説明図であるが、本変形例は第2乃至第4実施形態に対しても同様に適用可能なことは明らかである。
【0092】
以上のように本変形例によれば、第1障害部90aと第2障害部90bを凹部としてではなく、凸部として形成することができる。また、第1障害部90aよりも第2障害部90bの方を大きく形成したので、第1障害部90aで一時的に滑走部70の滑走が阻害された後に、操作者がさらにフットペダル60を第1方向に移動させるのに必要な力よりも、第2障害部90bで一時的に滑走部70の滑走が阻害された後に、操作者がさらにフットペダル60を第2方向に移動させるのに必要な力を、大きくすることができる。このため、操作者に、より高いX線の線量による撮像である「X線撮影」をより慎重に行わせることができる。
【0093】
なお、本変形例1では、第1障害部90aと第2障害部90bの凸部を円形状に形成したが、その形状は必ずしも円形状でなくてもよく、種々の形状で形成することができる。例えば、第1障害部90aと第2障害部90bの凸部は、矩形状、六角形状、円柱状等の形状で形成してもよい。
【0094】
〔第1乃至第4実施形態の変形例2〕
上述した第1乃至第4実施形態においては、回転軸50にバネ機構が内蔵されており、このバネ機構により、フットペダル60は自動的にセンター位置であるホームポジションに戻るように構成されていたが、この機構は図15に示すような板バネ100により実現することもできる。
【0095】
この図15は、上述した第1実施形態に係るフットスイッチ24cの変形例を示す平面図であり、第1実施形態の図2に対応している。この図15に示すように、本変形例では、操作者が足の力を緩めた場合や足をフットペダル60から離した場合に、フットペダル60をホームポジションに戻すために板バネ100が設けられている。すなわち、フットペダル60をセンターに戻すために、板バネ100がフットペダル60に力を付与している。
【0096】
具体的には、板バネ100は、第1巻回部102a、第2巻回部102b、第1貼り付け部104a、第2貼り付け部104b、第3貼り付け部104c、第1張力部106a、第2張力部106bを備えて構成されている。
【0097】
第1巻回部102aは、第1スイッチ80a近傍に設けられており、時計回り方向に板バネを渦巻き状に巻き回すことにより構成されている。このため、第1巻回部102aは、フットペダル60がホームポジションよりも第2方向に位置する場合に、フットペダル60をホームポジションに戻すための力を生成している。すなわち、第1巻回部102aは、フットペダル60を第1方向に付勢している。
【0098】
第2巻回部102bは、第2スイッチ80b近傍に設けられており、反時計回り方向に板バネを渦巻き状に巻き回すことにより構成されている。このため、第2巻回部102bは、フットペダル60がホームポジションよりも第1方向に位置する場合に、フットペダル60をホームポジションに戻すための力を生成している。すなわち、第2巻回部102bは、フットペダル60を第2方向に付勢している。
【0099】
フットペダル60の第1方向の側面60aには、板バネ100の第1貼り付け部104aが貼り付いており、フットペダル60の第2方向の側面60bには、板バネ100の第2貼り付け部104bが貼り付いており、フットペダル60の足のつま先方向の側面60dには、板バネ100の第3貼り付け部104cが貼り付いている。これら第1乃至第3貼り付け部104a、104b、104cは、接着剤を用いることにより、或いは、リベットを板バネ100上からフットペダル60に打ち込むこと等により、フットペダル60の側面60a、60b、60dに容易に離脱しないように取り付けられている。
【0100】
第1巻回部102aと第1貼り付け部104aの間の板バネ100は、第1張力部106aを形成しており、この第1張力部106aにより、第1巻回部102aで生成された巻き取る力が第1貼り付け部104aに伝達される。このため、第1張力部106aは、フットペダル60の揺動位置に拘わらず、つまり、フットペダル60の回転角に拘わらず、常に、たるみの無い緊張した状態が維持されている。
【0101】
同様に、第2巻回部102bと第2貼り付け部104bの間の板バネ100は、第2張力部106bを形成しており、この第2張力部106bにより、第2巻回部102bで生成された巻き取る力が第2貼り付け部104bに伝達される。このため、第2張力部106bは、フットペダル60の揺動位置に拘わらず、つまり、フットペダル60の回転角に拘わらず、常に、たるみの無い緊張した状態が維持されている。
【0102】
図15は、本変形例を第1実施形態に適用した場合の説明図であるが、本変形例は第2乃至第4実施形態に対しても同様に適用可能なことは明らかである。
【0103】
このような構成によっても、操作者が足の力を緩めた場合、或いは、操作者が足をフットペダル60から離した場合に、フットペダル60を自動的にセンターであるホームポジションに戻る機能を、フットスイッチ24cにおいて実現することができる。
【0104】
〔第5実施形態〕
上述した第1乃至第4実施形態においては、回転軸50を中心として、操作者の足の左右方向に円弧状にフットペダル60を揺動可能に構成したが、第5実施形態においては、回転軸50を中心として、操作者の足の上下方向にフットペダル60を揺動可能に構成したものである。以下、上述した各実施形態と異なる部分を説明する。
【0105】
図16は、本実施形態に係るフットスイッチ24cの平面図であり、図17(a)乃至図17(d)は、図16に示すフットスイッチ24cのA−A線断面図であり、より具体的には、図17(a)は、第1スイッチ80a及び第4スイッチ80dをフットペダル60の底面60cで押圧する前の状態を示す断面図であり、図17(b)は、第1スイッチ80aをフットペダル60の底面60cで押圧している状態を示す断面図であり、図17(c)は、第4スイッチ80dをフットペダル60の底面60cで押圧した第1段階の状態を示す断面図であり、図17(d)は、第4スイッチ80dをフットペダル60の底面60cでさらに押圧した第2段階の状態を示す断面図である。
【0106】
これら図16及び図17に示すように、本実施形態に係るフットスイッチ24cにおいては、回転軸50は、フットペダル60における操作者の足の土踏まずが載置される位置の底面60cに設けられている。そして、フットペダル60は、この回転軸50を中心として、操作者の足の上下方向に揺動可能である。すなわち、フットペダル60において、足の踵の位置を踏む込む方向を第1方向とし、足のつま先の位置を踏む込む方向を第2方向としている。
【0107】
また、本実施形態においては、基板40上のフットペダル60における足の踵の位置の下方に、1段階の操作の第1スイッチ80aが設けられており、基板40上のフットペダル60における足のつま先の位置の下方に、2段階の操作が必要な第4スイッチ80dが設けられている。
【0108】
さらに、足の踵の位置におけるフットペダル60の底面60cと基板40の表面との間には、第1伸縮部110が設けられており、足のつま先の位置におけるフットペダル60の底面60cと基板40の表面との間には、第2伸縮部112が設けられている。これら第1伸縮部110と第2伸縮部112とは、例えば、反発力を有するバネやゴム、或いは、互いに反発する磁石等で構成することができる。これら第1伸縮部110と第2伸縮部112の反発力により、操作者が足の力を緩めた場合、或いは、操作者が足をフットペダル60から離した場合に、フットペダル60はホームポジションである水平状態に自動的に戻ることが可能である。
【0109】
次に、本実施形態に係るフットスイッチ24の具体的な操作内容について説明する。図17(a)に示すように、操作者がフットペダル60の載置面に足を載置していない状態、又は、足を載置したが足の力を抜いている状態では、フットペダル60は、基板40と平行な状態を維持している。
【0110】
この状態で、操作者が足の踵に力をかけてフットペダル60を第1方向へ移動した場合、図17(b)に示すように、フットペダル60における足の踵の位置の底面60cで、第1スイッチ80aの頭部82aを押圧することができる。これにより、第1の操作である「X線透視」をX線診断装置1に行わせることができる。
【0111】
特に本実施形態においては、操作者がフットペダル60の底面60cにより、第1スイッチ80aの頭部82aを押圧し続けることにより、連続的に「X線透視」をX線診断装置1に行わせることができる。「X線透視」を終了する場合、操作者は、足の力を抜いて、フットペダル60の底面60cによる第1スイッチ80aの押圧を止める。これにより、第1操作である「X線透視」は終了し、フットペダル60は図17(a)の状態に戻る。
【0112】
一方、図17(c)に示すように、操作者が足のつま先部分に力をかけてフットペダル60を第2方向へ移動した場合、フットペダル60における足のつま先の位置の底面60cで、第4スイッチ80dの第1頭部82d1を押圧することができる。これにより、第4スイッチ80dは第1段階の状態となり、例えば、「X線撮影」のための準備動作をX線診断装置1に行わすことができる。
【0113】
続いて、図17(d)に示すように、操作者が足のつま先部分にさらに力を入れて、フットペダル60の先端部分をさらに第2方向へ移動した場合、フットペダル60の底面60cで、第4スイッチ80dの第2頭部82d2を押圧することができる。これにより、第4スイッチ80dは第2段階の状態となり、例えば、高い線量を有するX線による「X線撮影」をX線診断装置1に行わすことができる。
【0114】
特に本実施形態においては、操作者が、第4スイッチ80dの第2頭部82d2を、押圧し続けることにより、連続的に「X線撮影」をX線診断装置1に行わせることができる。「X線撮影」を終了する場合、操作者は、足の力を抜いて、フットペダル60の底面60cによる第4スイッチ80dの押圧を止める。これにより、第2操作である「X線撮影」は終了し、フットペダル60は図17(a)の状態に戻る。
【0115】
以上のように、本実施形態においても、X線診断装置1の操作者は、フットスイッチ24cを足で操作することができる。このため、フットスイッチ24cを目視せずとも操作可能となり、何らかの作業を行っている場合でも、その作業から視線を外す必要がなくなり、作業効率を向上させることができる。
【0116】
さらに、本実施形態に係るフットスイッチ24cにおいては、フットペダル60における足の土踏まずが載置される位置に回転軸50を設け、この回転軸50を中心として、操作者の足の上下方向にフットペダル60を揺動可能に構成しているため、操作者は自分の体重を踵又はつま先にかけるだけで、第1スイッチ80a或いは第4スイッチ80dを押圧することができる。
【0117】
なお、上述した第2実施形態と同様に、第4スイッチ80dは、図9(a)乃至図9(c)に示すような1つの頭部80d3スイッチで構成することもできる。すなわち、本実施形態においても、第2実施形態と同様に、第4スイッチ80dは、複数の頭部が設けられた第1段階と第2段階とを少なくとも有する複数段階のスイッチで構成することもできるし、或いは、1つの頭部が設けられた第1段階と第2段階とを少なくとも有する複数段階のスイッチで構成することもできる。
【0118】
〔第1乃至第5実施形態の変形例〕
本変形例においては、上述した第1乃至第5実施形態のフットスイッチ24cにおいて、操作者の足がフットペダル60の載置面に載置されているか否かを検出する検出器を追加的に設けて、第1スイッチ80a乃至第4スイッチ80dが押圧されて第1操作や第2操作が行われた場合でも、検出器により操作者の足が検出できない場合には、X線診断装置1に第1動作や第2動作を実行させないようにしている。以下、上述した各実施形態と異なる分を説明する。
【0119】
図18は、本変形例に係るX線診断装置1の構成を説明するためのブロック図であり、上述した図1に対応する図である。この図18に示すように、本変形例においては、制御操作回路24に、検出器の一例であるセンサ24dが追加的に設けられている。制御操作回路24は、フットスイッチ24cにおいて第1操作が行われて第1動作である「X線透視」の指示信号が入力された場合、センサ24dが操作者の足を検出しているか否かを判断する。そして、制御操作回路24は、センサ24dが操作者の足を検出している場合には、「X線透視」に必要な動作をX線制御回路30が実行するように指示を行うが、センサ24dが操作者の足を検出できない場合には、「X線透視」に必要な動作をX線制御回路30に指示しない。これにより、誤操作により「X線透視」のためのX線が被検体に照射されてしまうのを防止する。
【0120】
同様に、制御操作回路24は、フットスイッチ24cにおいて第2操作が行われて第2動作である「X線撮影」の指示信号が入力された場合、センサ24dが操作者の足を検出しているか否かを判断する。そして、制御操作回路24は、センサ24dが操作者の足を検出している場合には、「X線撮影」に必要な動作をX線制御回路30が実行するように指示を行うが、センサ24dが操作者の足を検出できない場合には、「X線撮影」に必要な動作をX線制御回路30指示しない。これにより、誤操作により「X線撮影」のためのX線が被検体に照射されてしまうのを防止する。
【0121】
図19は、上述した第1乃至第5実施形態において、操作者の足が載置面に載置されているか否かを検出するセンサ24dが設けられたフットペダル60の平面図であり、図20は、そのフットペダル60の右側面図である。
【0122】
これら図19及び図20に示すように、本変形例では、フットペダル60における足の踵が載置される部分に、センサ24dが埋設されている。センサ24dは、例えば、操作者の足を検出可能な電気的センサ、機械的センサ、熱センサ等により構成することができる。なお、本変形例では、フットペダル60における足の踵が載置される部分にセンサ24dを設置したが、このセンサ24dを設置する位置は、踵の部分に限られるものではなく、フットペダル60における他の部分にセンサ24dを設置するようにしてもよい。
【0123】
さらには、操作者の足がフットペダル60に載置されているか否かを検出する検出器は、フットペダル60以外の箇所に設置することも可能である。例えば、フットペダル60をカメラ等の撮像装置で撮像し、操作者の足がフットペダル60に載置されているか否かを画像解析により判断して検出することも可能である。
【0124】
以上のように、本変形例によれば、操作者の足がフットペダル60の載置面に載置されているか否かを検出する検出器を、制御操作回路24に追加的に設けたので、検出器により操作者の足が検出できない場合には、第1スイッチ80a乃至第4スイッチ80dが押圧されて第1操作や第2操作が行われた場合でも、X線診断装置1に第1動作や第2動作を実行させないようにすることができる。これにより、誤操作により、被検体にX線を照射してしまうのを回避することができる。
【0125】
以上、いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例としてのみ提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図したものではない。本明細書で説明した新規な装置および方法は、その他の様々な形態で実施することができる。また、本明細書で説明した装置および方法の形態に対し、発明の要旨を逸脱しない範囲内で、種々の省略、置換、変更を行うことができる。添付の特許請求の範囲およびこれに均等な範囲は、発明の範囲や要旨に含まれるこのような形態や変形例を含むように意図されている。
【符号の説明】
【0126】
1…X線診断装置、10…撮影装置、20…制御装置、24…制御操作回路、24a…ユーザインターフェース、24b…ハンドスイッチ、24c…フットスイッチ、40…基板、50…回転軸、60…フットペダル、70…滑走部、80a…第1スイッチ、80b…第2スイッチ、80c…第3スイッチ、80d…第4スイッチ、90a…第1障害部、90b…第2障害部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図11
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