特許第6878032号(P6878032)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6878032
(24)【登録日】2021年5月6日
(45)【発行日】2021年5月26日
(54)【発明の名称】蒸着マスク固定装置
(51)【国際特許分類】
   C23C 14/04 20060101AFI20210517BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20210517BHJP
   H05B 33/10 20060101ALI20210517BHJP
【FI】
   C23C14/04 A
   H05B33/14 A
   H05B33/10
【請求項の数】9
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-22873(P2017-22873)
(22)【出願日】2017年2月10日
(65)【公開番号】特開2018-127703(P2018-127703A)
(43)【公開日】2018年8月16日
【審査請求日】2020年2月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】特許業務法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】成谷 元嗣
(72)【発明者】
【氏名】武田 篤
【審査官】 宮崎 園子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−305081(JP,A)
【文献】 特開平11−307423(JP,A)
【文献】 特開2015−010270(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 14/04
H01L 51/50
H05B 33/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の蒸着マスクを、前記複数の蒸着マスクそれぞれに対応する複数の開口が設けられたフレームに固定する蒸着マスク固定装置であって、
前記蒸着マスクを載置する載置部と、前記蒸着マスクを前記フレームの前記蒸着マスクと対向する面に沿って移動させてアライメントするアライメント機構と、を有するアライメントステージ、を含み、
前記アライメントステージが前記フレームに設けられた複数の開口の位置に順に移動し、
前記アライメントステージは、前記各開口の位置において対応する前記蒸着マスクをアライメントする、
ことを特徴とする蒸着マスク固定装置。
【請求項2】
前記アライメントステージを前記対向する面に沿って移動させる移動機構、をさらに含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の蒸着マスク固定装置。
【請求項3】
前記蒸着マスクをアライメントした後に、前記蒸着マスクを溶接により前記フレームに固定する溶接ユニット、をさらに含む、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の蒸着マスク固定装置。
【請求項4】
前記複数の蒸着マスクの個数は、前記アライメントステージの個数よりも大きい、
ことを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1項に記載の蒸着マスク固定装置。
【請求項5】
第1の個数である複数の第1の蒸着マスクを第1のフレームに固定することと、
前記第1の個数よりも小さい第2の個数である複数の第2の蒸着マスクを第2のフレームに固定することと、を切り替え可能である、
ことを特徴とする請求項1から請求項4の何れか1項に記載の蒸着マスク固定装置。
【請求項6】
前記第2の蒸着マスクは、前記第1の蒸着マスクよりも大きい、
ことを特徴とする請求項5に記載の蒸着マスク固定装置。
【請求項7】
前記第2の蒸着マスクの前記フレームと対向する面は、前記アライメントステージの前記フレームと対向する面よりも大きい、
ことを特徴とする請求項6に記載の蒸着マスク固定装置。
【請求項8】
第1の大きさを有する複数の第1の蒸着マスクを第1のフレームに固定することと、
前記第1の大きさよりも大きい第2の大きさを有する複数の第2の蒸着マスクを第2のフレームに固定することと、を切り替え可能である、
ことを特徴とする請求項1から請求項4の何れか1項に記載の前蒸着マスク固定装置。
【請求項9】
前記第2の蒸着マスクの前記フレームと対向する面は、前記アライメントステージの前記フレームと対向する面よりも大きい、
ことを特徴とする請求項8に記載の蒸着マスク固定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸着マスク固定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
表示装置の製造工程において、蒸着マスク(単にマスクともいう)を用いて基板上に特定材料を成膜する手法が用いられている。蒸着マスクを用いた成膜では、所定のパターンが形成された蒸着マスクを用いて、基板上に特定材料を所定のパターンに成膜する。例えば、有機EL表示装置の製造工程において、赤、緑、青の有機EL素子を基板上に成膜する方法の1つとしてマスク蒸着法が用いられる。このような蒸着マスクをフレームに複数固定して1つのマスクとして用いることがある。
【0003】
特許文献1では、2枚のメタルマスクを、固定用マスクを介してつなぎ合わせ、1つのメタルマスクとして機能させることを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−181208号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
複数のマスクをフレームに固定して1つのマスクとするには、各マスクとフレームとを高精度でアライメントして固定するマスク固定装置が必要となる。
【0006】
ここで、マスクとフレームとのアライメントには、例えば、従来のアライメント装置を用いることが可能である。アライメント装置は、アライメント対象を載置するアライメントステージを有しており、このアライメントステージがアライメント対象を載置面に沿って移動させることでアライメントを実現する。
【0007】
アライメント装置を用いて複数のマスクをアライメントする場合には、複数のマスクそれぞれに対応する複数のアライメントステージを用意することが考えられるが、装置の製造コストが増大する。また、複数のマスクにおいてアライメント精度のばらつきが生じる。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みて為されたものであり、その目的は、複数のマスクをフレームに固定するマスク固定装置において、装置の製造コストを削減するとともに、複数のマスクにおけるアライメント精度のばらつきを減少させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)上記課題を解決するために、本発明に係る蒸着マスク固定装置は、複数の蒸着マスクを、前記複数の蒸着マスクそれぞれに対応する複数の開口が設けられたフレームに固定する蒸着マスク固定装置であって、前記蒸着マスクを載置する載置部と、前記蒸着マスクを前記フレームの前記蒸着マスクと対向する面に沿って移動させてアライメントするアライメント機構と、を有するアライメントステージ、を含み、前記アライメントステージが前記フレームに設けられた複数の開口の位置に順に移動し、前記アライメントステージは、前記各開口の位置において対応する前記蒸着マスクをアライメントする。
【0010】
(2)上記(1)に記載の蒸着マスク固定装置であって、前記アライメントステージを前記対向する面に沿って移動させる移動機構、をさらに含んでもよい。
【0011】
(3)上記(1)または(2)に記載の蒸着マスク固定装置であって、前記蒸着マスクをアライメントした後に、当該マスクを溶接により前記フレームに固定する溶接ユニット、をさらに含んでもよい。
【0012】
(4)上記(1)から(3)の何れかに記載の蒸着マスク固定装置であって、前記複数の蒸着マスクの個数は、前記アライメントステージの個数よりも大きくてもよい。
【0013】
(5)上記(1)から(4)の何れかに記載の蒸着マスク固定装置であって、第1の個数である複数の第1の蒸着マスクを第1のフレームに固定することと、前記第1の個数よりも小さい第2の個数である複数の第2の蒸着マスクを第2のフレームに固定することと、を切り替え可能であってもよい。
【0014】
(6)上記(5)に記載の蒸着マスク固定装置であって、前記第2の蒸着マスクは、前記第1の蒸着マスクよりも大きくてもよい。
【0015】
(7)上記(6)に記載の蒸着マスク固定装置であって、前記第2の蒸着マスクの前記フレームと対向する面は、前記アライメントステージの前記フレームと対向する面よりも大きくてもよい。
【0016】
(8)上記(1)から(4)の何れかに記載の蒸着マスク固定装置であって、第1の大きさを有する複数の第1の蒸着マスクを第1のフレームに固定することと、前記第1の大きさよりも大きい第2の大きさを有する複数の第2の蒸着マスクを第2のフレームに固定することと、を切り替え可能であってもよい。
【0017】
(9)上記(8)に記載の蒸着マスク固定装置であって、前記第2の蒸着マスクの前記フレームと対向する面は、前記アライメントステージの前記フレームと対向する面よりも大きくてもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、複数のマスクをフレームに固定するマスク固定装置において、装置の製造コストを削減するとともに、複数のマスクにおけるアライメント精度のばらつきを減少させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本実施形態に係るマスク固定装置の全体構成を示す模式図である。
図2】本実施形態に係るマスクの一例を示す図である。
図3】本実施形態に係るフレームの一例を示す図である。
図4】本実施形態に係るマスク固定装置の動作を模式的に示す図である。
図5】本実施形態に係るマスク固定装置の動作を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0021】
なお、以下の説明において参照する図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であり、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0022】
図1は、本実施形態に係るマスク固定装置1(蒸着マスク固定装置、蒸着マスク貼り合せ装置ともいう)の全体構成を示す模式図である。図1は、マスク固定装置1を側面から見た図である。マスク固定装置1は、マスク20(蒸着マスクともいう)とフレーム30とのアライメントを行った上でマスク20をフレーム30に固定する装置である。マスク固定装置1は、フレーム保持部11と、基準ガラス13と、カメラ14と、アライメントステージ16と、溶接ユニット18と、を含んで構成されている。基準ガラス13と、カメラ14と、アライメントステージ16とによりマスク20とフレーム30とのアライメントが行われ、溶接ユニット18によりマスク20とフレーム30との固定が行われる。
【0023】
フレーム保持部11は、基準ガラス13とアライメントステージ16との間にフレーム30を保持する。
【0024】
基準ガラス13は、マスク固定装置1の上部に固定されており、マスク20とフレーム30との位置合わせの基準となる基準マーク100が設けられている。マスク20には、アライメントマーク200(図2参照)が設けられている。アライメントマーク200を基準マーク100に位置合わせすることで、マスク20とフレーム30とのアライメントが行われる。
【0025】
カメラ14は、基準ガラス13の上方に設けられている。カメラ14は、X−Y方向に移動可能に構成されている。カメラ14は、基準マーク100の真上から、基準マーク100とアライメントマーク200とを撮像することで、基準マーク100とアライメントマーク200との相対的な位置関係を測定する。図1では、1つのカメラ14が、基準マーク100の真上に順次移動して、基準マーク100とアライメントマーク200とを撮像する。なお、カメラ14が1つ設けられる例に限定されず、カメラ14は複数設けられていてもよい。
【0026】
アライメントステージ16は、マスク固定装置1の下部に設けられている。アライメントステージ16は、マスク20が載置される載置部161と、載置部161に載置されたマスク20を載置面に沿った面内で、或いは載置面に平行な面内で(X−Y−θ方向に)移動させてアライメントを行うアライメント機構162と、アライメントステージ16自体を、X−Y方向に移動させる移動機構163と、を備える。ここで載置面とは、例えばマスク20のフレーム30と対向する面、換言すればマスク20のフレーム30へ載置される側の面である。載置面とは、フレーム30のマスク20と対向する面であってもよい。また、ここでのθ方向とは、図1に示すX方向とY方向とを含む平面内(例えばマスク20の載置面内)の回転方向を含む。更に、θ方向は、マスク20の載置面と交差する方向を含んでもよい。載置部161は、複数のリフトピンによって構成されてもよいし、1つの載置台によって構成されてもよい。アライメント機構162は、例えば、アクチュエータと駆動モータとにより構成される。移動機構163は、例えば、駆動モータとボールネジとにより構成される。移動機構163は、更にリニアスケール(リニアエンコーダ)を具備してもよい。なお、移動機構163は、アライメントステージ16とは別体に構成されていてもよい。例えば、駆動モータと搬送ベルトとにより構成される移動機構163の上にアライメントステージ16が設置され、搬送ベルトが動作することによりアライメントステージ16が移動してもよい。
【0027】
アライメントステージ16は、カメラ14が測定した基準マーク100とアライメントマーク200との相対的な位置関係に応じて、載置部161に載置されたマスク20をアライメント機構162により移動させてアライメントを行う。
【0028】
本実施形態に係るマスク固定装置1は、アライメントステージ16が1つだけ設けられており、アライメントステージ16が移動機構163により移動してマスク20のアライメントを行う。
【0029】
溶接ユニット18は、マスク20とフレーム30とのアライメントが行われた後に、マスク20を溶接によりフレーム30に固定する。
【0030】
図2は、本実施形態に係るマスク20の一例を示す図である。マスク20には、複数のパターン部210が形成されている。また、マスク20には、アライメントマーク200が設けられている。マスク20の材料としては、例えば、インバー等の金属が用いられる。パターン部210が実際の製品となり、例えば、有機EL表示装置のパネル部分に相当する。パターン部210には、所定のパターンが形成されており、例えば、有機EL表示装置の有機EL素子のパターンが形成されている。パターン部210は、任意の適切な方法により形成され得る。具体的には、電気鋳造により形成されてもよいし、エッチングにより形成されてもよい。例えば、パターン部210は、電気鋳造により形成されたメッキ部を含み、マスク20は電鋳マスクとされる。電鋳マスクによれば、例えば、より精度の高いパターン成膜を達成し得る。
【0031】
本実施形態では、図2に示すマスク20を基板上に複数並べて所定のパターンを成膜することを想定している。複数のマスク20を基板上に並べる際に、複数のマスク20はフレーム30に固定されて1つのマスクとして用いられる。これにより、マスク20より基板のサイズが大きい形態にも、既存のマスク20を利用することができる。
【0032】
図3は、本実施形態に係るフレーム30の一例を示す図である。フレーム30は、複数のマスク20それぞれに対応する複数の開口300が設けられた枠状の構造を有している。フレーム30の材料としては、例えばインバー等の金属が用いられる。図3に示すフレーム30は、4つのマスク20それぞれに対応する4つの開口300が設けられた例を示している。図3に示すフレーム30の開口300を覆うようにマスク20が固定される。
【0033】
また、フレーム30は、フレーム基材と、マスク20が固定される側に配置される接合部材とを含んでもよい。接合部材にマスク20が固定されることで、マスク全体の剛性を下げ得る。その結果、パターン形成対象の基板の剛性が高い場合であっても、基板に対するマスクの密着性を向上させて、マスクと基板との間への材料の回り込みを抑制し、高精度なパターン成膜を実現し得る。
【0034】
ここで、本実施形態に係るマスク固定装置1の具体的な動作について説明する。図4は、本実施形態に係るマスク固定装置1の動作を模式的に示す図である。図4は、図1に示したマスク固定装置1をマスク20の上方から見た図である。図4では、図2で示したマスク20と、図3で示したフレーム30とを用いて、4つのマスク20(20a〜20d)をフレーム30に固定する例を示している。なお、図4に示すマスク20は、パターン部210の記載を省略している。本実施形態に係るマスク固定装置1では、1つのアライメントステージ16が4つのマスク20それぞれをアライメントする。
【0035】
まず、フレーム30がフレーム保持部11に固定されている。アライメントステージ16が、移動機構163によりフレーム30の1つ目の開口300(図4における右下の開口300)の下部に移動する。アライメントステージ16が1つ目の開口300の下部に位置すると、マスク20aがアライメントステージ16の載置部161に載置される。そして、アライメントステージ16のアライメント機構162によりマスク20aのアライメントが行われる。マスク20aのアライメントが完了すると、溶接ユニット18がマスク20aを溶接によりフレーム30に固定する。
【0036】
次に、アライメントステージ16が、移動機構163によりフレーム30の2つ目の開口300(図4における右上の開口300)の下部に向けて移動する。ここでは、アライメントステージ16は、移動機構163によりY方向に移動することで、2つ目の開口300の下部に位置する。アライメントステージ16が2つ目の開口300の下部に位置すると、マスク20bがアライメントステージ16の載置部161に載置される。そして、アライメントステージ16のアライメント機構162によりマスク20bのアライメントが行われる。マスク20bのアライメントが完了すると、溶接ユニット18がマスク20bを溶接によりフレーム30に固定する。
【0037】
そして、アライメントステージ16が、移動機構163によりフレーム30の3つ目の開口300(図4における左上の開口300)の下部に向けて移動する。ここでは、アライメントステージ16は、移動機構163によりX方向に移動することで、3つ目の開口300の下部に位置する。アライメントステージ16が3つ目の開口300の下部に位置すると、マスク20cがアライメントステージ16の載置部161に載置される。そして、アライメントステージ16のアライメント機構162によりマスク20cのアライメントが行われる。マスク20cのアライメントが完了すると、溶接ユニット18がマスク20cを溶接によりフレーム30に固定する。
【0038】
最後に、アライメントステージ16が、移動機構163によりフレーム30の4つ目の開口300(図4における左下の開口300)の下部に向けて移動する。ここでは、アライメントステージ16は、移動機構163によりY方向に移動することで、4つ目の開口300の下部に位置する。アライメントステージ16が4つ目の開口300の下部に位置すると、マスク20dがアライメントステージ16の載置部161に載置される。そして、アライメントステージ16のアライメント機構162によりマスク20dのアライメントが行われる。マスク20dのアライメントが完了すると、溶接ユニット18がマスク20dを溶接によりフレーム30に固定する。
【0039】
このようにして、マスク固定装置1により、複数のマスク20がフレーム30に固定された1つのマスク(成膜用マスクとする)が形成される。
【0040】
成膜用マスクを用いた成膜について簡単に説明する。フレーム30側から搬送フレームにピン等により保持された成膜用マスクは、成膜対象の基板の成膜面に対向するように配置される。この状態で、成膜用マスク側から基板に対して成膜材料を、例えば、蒸着、スパッタリングなどにより付着させる。例えば、製造スペースを有効活用する観点から、基板は縦に配置される。このような形態においても、基板に対するマスクの密着性は確保され得る。
【0041】
本実施形態によれば、複数のマスク20とフレーム30とをアライメントし、かつ、複数のマスク20とフレーム30とを固定するマスク固定装置1を実現することができる。また、本実施形態のマスク固定装置1では、1つのアライメントステージ16を、フレーム30に設けられる複数の開口300に順に移動させて各マスク20をアライメントしている。これにより、複数のマスク20それぞれのアライメントを同一のアライメントステージ16で行うことができ、複数のマスク20それぞれに対応する複数のアライメントステージ16を設ける場合に比べて、複数のマスク20におけるアライメント精度のばらつきを減少させることができる。さらに、本実施形態のマスク固定装置1では、アライメントステージ16を1つだけ設ければよいため、複数のマスク20それぞれに対応する複数のアライメントステージ16を設ける場合に比べて、マスク固定装置1の製造コストを削減することができる。なお、マスク固定装置1に移動可能なアライメントステージ16を複数個設け、アライメントステージ16の個数よりも多い数のマスク20をフレーム30とアライメントし、固定する構造にしてもよい。この様な構造においても、同様の効果が得られる。
【0042】
次に、本実施形態に係るマスク固定装置1の具体的な動作の他の例について説明する。図5は、本実施形態に係るマスク固定装置1の動作を模式的に示す図である。図5は、図1に示したマスク固定装置1をマスク20の上方から見た図である。図5では、図4で示したものと同一のアライメントステージ16を用いて、2つのマスク20(20eおよび20f)をフレーム31に固定する例を示している。なお、図5に示すマスク20は、パターン部210の記載を省略している。図5に示すフレーム31の大きさは、図4で示したフレーム30の大きさとほぼ同一である。フレーム31は、2つのマスク20それぞれに対応する2つの開口310が設けられている。そして、図5に示すマスク20eおよび20fそれぞれの大きさは、図4で示したマスク20aの約2倍である。また、図5に示すマスク20eのフレーム30と対向する面は、アライントステージ16のフレーム30と対向する面よりも大きい。
【0043】
まず、フレーム31がフレーム保持部11に固定されている。アライメントステージ16が、移動機構163によりフレーム31の1つ目の開口310(図5における右側の開口310)の下部に移動する。アライメントステージ16が1つ目の開口310の下部に位置すると、マスク20eがアライメントステージ16の載置部161に載置される。そして、アライメントステージ16のアライメント機構162によりマスク20eのアライメントが行われる。マスク20eのアライメントが完了すると、溶接ユニット18がマスク20eを溶接によりフレーム31に固定する。
【0044】
次に、アライメントステージ16が、移動機構163によりフレーム31の2つ目の開口310(図5における左側の開口310)の下部に向けて移動する。ここでは、アライメントステージ16は、移動機構163によりX方向に移動することで、2つ目の開口310の下部に位置する。アライメントステージ16が2つ目の開口310の下部に位置すると、マスク20fがアライメントステージ16の載置部161に載置される。そして、アライメントステージ16のアライメント機構162によりマスク20fのアライメントが行われる。マスク20fのアライメントが完了すると、溶接ユニット18がマスク20fを溶接によりフレーム31に固定する。
【0045】
このように、本実施形態では、図4および図5に示すような大きさの異なるマスク20であっても、同一のアライメントステージ16により各マスク20をアライメントすることができる。即ち、一つのマスク固定装置1において、マスク20のサイズや、一つのフレーム30(又は31)に固定するマスク20の個数を、切り替えることが可能である。これにより、本実施形態のマスク固定装置1は、複数のマスク20それぞれに対応する複数のアライメントステージ16を設ける場合に比べて、複数の異なるサイズのマスク20に対応できるとともに、マスク固定装置1の製造コストを低減することができる。
【0046】
なお、本発明は上述の実施形態に限定されるものではない。
【0047】
例えば、図4および図5において、マスク20毎にアライメントと固定とを行っているが、各マスク20のアライメントを先に行い、すべてのマスク20のアライメントが完了した後に各マスク20の固定を行ってもよい。
【0048】
また、図4および図5において、アライメントステージ16が開口300の下部に位置した後にマスク20が載置部161に載置されているが、アライメントステージ16が移動する前にすべてのマスク20をフレームの上面に乗せておいてもよい。
【0049】
また、図4および図5で示したアライメントステージ16の移動順序は、上述の例に限定されず、任意の順序で移動してよい。
【0050】
以上、本発明の実施形態を説明してきたが、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。例えば、上述した実施形態で説明した構成は、実質的に同一の構成、同一の作用効果を奏する構成、または同一の目的を達成することができる構成により置き換えてもよい。
【符号の説明】
【0051】
1 マスク固定装置、11 フレーム保持部、13 基準ガラス、14 カメラ、16 アライメントステージ、18 溶接ユニット、 20,20a,20b,20c,20d,20e,20d マスク、30,31 フレーム、100 基準マーク、161 載置部、162 アライメント機構、163 移動機構、200 アライメントマーク、210 パターン部、300,310 開口。
図1
図2
図3
図4
図5