特許第6878033号(P6878033)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6878033
(24)【登録日】2021年5月6日
(45)【発行日】2021年5月26日
(54)【発明の名称】三次元造形装置
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/295 20170101AFI20210517BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20210517BHJP
   B22F 3/02 20060101ALI20210517BHJP
   B22F 3/105 20060101ALI20210517BHJP
   B22F 3/16 20060101ALI20210517BHJP
   B28B 1/30 20060101ALI20210517BHJP
   B22F 1/02 20060101ALN20210517BHJP
【FI】
   B29C64/295
   B33Y30/00
   B22F3/02 M
   B22F3/105
   B22F3/16
   B28B1/30
   !B22F1/02 B
【請求項の数】8
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-23176(P2017-23176)
(22)【出願日】2017年2月10日
(65)【公開番号】特開2018-126974(P2018-126974A)
(43)【公開日】2018年8月16日
【審査請求日】2020年1月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000116057
【氏名又は名称】ローランドディー.ジー.株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121500
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 高志
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【弁理士】
【氏名又は名称】山根 広昭
(74)【代理人】
【識別番号】100189887
【弁理士】
【氏名又は名称】古市 昭博
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼野 貴文
【審査官】 関口 貴夫
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−334583(JP,A)
【文献】 特開2002−292751(JP,A)
【文献】 特開2016−172416(JP,A)
【文献】 特表2010−509092(JP,A)
【文献】 特開2015−101739(JP,A)
【文献】 特開2001−252790(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 64/00−64/40
B33Y 10/00、30/00、50/00
B28B 1/30
G06F 17/50
B22F 1/105、1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉体材料を貯留する貯留部と、
前記貯留部に備えられ、前記粉体材料を加熱する粉体加熱手段と、
前記粉体材料が載置される造形テーブルと、
前記粉体材料を結合させる硬化液を吐出する吐出ヘッドと、
前記造形テーブルと前記吐出ヘッドとを相対的に移動させる移動機構と、
前記粉体加熱手段を制御する制御部と、を備えた三次元造形装置であって、
前記制御部は、当該三次元造形装置が造形を停止しているときに、前記粉体加熱手段による加熱を行う第1加熱制御部を備えている、三次元造形装置。
【請求項2】
粉体材料を貯留する貯留部と、
前記貯留部に備えられ、前記粉体材料を加熱する粉体加熱手段と、
前記粉体材料が載置される造形テーブルと、
前記粉体材料を結合させる硬化液を吐出する吐出ヘッドと、
前記造形テーブルと前記吐出ヘッドとを相対的に移動させる移動機構と、
前記粉体加熱手段を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記貯留部から前記造形テーブルに前記粉体材料が供給されるときに前記粉体加熱手段による加熱を行う第2加熱制御部を備えている三次元造形装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記粉体材料が25℃以上105℃以下の温度となるように粉体加熱手段を制御する温度制御部を含む、請求項1または2に記載の三次元造形装置。
【請求項4】
前記貯留部の内部に備えられ、前記粉体材料を撹拌する粉体撹拌手段を備える、請求項1〜3のいずれか1項に記載の三次元造形装置。
【請求項5】
前記貯留部に備えられ、前記貯留部の内部の気体を外部に排気するファンを備える、請求項1〜4のいずれか1項に記載の三次元造形装置。
【請求項6】
前記貯留部の内部と前記ファンとの間に設けられ、前記貯留部の内部から外部へ前記粉体材料が排出されるのを防止するフィルタを備える、請求項に記載の三次元造形装置。
【請求項7】
前記粉体材料は、無機材料および金属材料の少なくとも一つからなる粉体と、当該粉体材料を硬化させる硬化液の浸透を促進させる容浸材とを含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の三次元造形装置。
【請求項8】
前記貯留部は下端に供給口を有し、前記造形テーブルよりも上方に備えられ、前記供給口から前記粉体材料を落下可能に構成されている、請求項1〜7のいずれか1項に記載の三次元造形装置。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉体材料を用いた三次元造形(付加製造:Additive manufacturing;ともいう。)を行うことができる三次元造形装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、粉体材料をバインダにより結合させて所定の形状の断面層を形成し、これを順次一体的に積層することにより三次元造形物を造形する粉末積層法が知られている。この粉末積層法のための三次元造形装置として、例えば、粉体材料を貯留する貯留部と、粉体材料を収容し造形が行われる造形槽と、造形槽に収容された粉体材料にバインダを吐出する吐出ヘッドとを備えたものが汎用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5400042号
【特許文献2】特開2015−223768号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
粉末積層法のための三次元造形装置においては、造形槽に薄く層状に敷かれた粉体材料に対して所定の形状にバインダ液を供給することで、目的の形状の断面層を一層ずつ形成する。ここで、造形物の造形精度や造形品質を高めるためには、造形槽に粉体材料を平坦かつ均等にムラなく供給することが重要となる。そのため、三次元造形装置については、貯留部から造形槽に粉体材料を供給するとともに、粉体材料の表面を平坦に均すための粉体移送手段が備えられてもいる(例えば、特許文献1、2参照)。また、粉体材料については、流動性の高い粉体が好ましく用いられている。しかしながら、三次元造形装置については、より一層高い造形精度での造形が可能な装置の実現が求められている。
【0005】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、粉末積層法によって、より造形精度の高い三次元造形物の造形が可能な三次元造形装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねたところ、下記の知見を得て本願発明を完成するに至った。すなわち、一般に、粉体材料は吸湿性を備えている。そして、雰囲気中の水分を相対的に多く吸収した粉体材料は、流動性が相対的に劣る傾向にあり、かかる流動性の低下に基づき粉末積層造形における造形精度も低下することを知見した。そこで、ここに開示される三次元造形装置は、粉体材料を貯留する貯留部と、貯留部に備えられ、粉体材料を加熱する粉体加熱手段と、粉体材料が載置される造形テーブルと、粉体材料を結合させる硬化液を吐出する吐出ヘッドと、造形テーブルと吐出ヘッドとを相対的に移動させる移動機構と、を備えている。
【0007】
上記構成の三次元造形装置によると、造形テーブルに供給する前の粉体材料を加熱することができる。これにより、粉体材料が雰囲気中の水分を吸湿しているときは、粉体材料が吸着した水分を除去し、粉体材料を乾燥させることができる。このことにより、粉体材料は流動性が改善され、造形テーブル上に粉体材料を薄い層状で、平坦かつ均質に供給することができる。また、粉体材料が乾燥されていることで、かかる粉体材料層に硬化液を吐出したとき、硬化液が粉体材料層に好適に吸収され、ムラなく硬化された三次元造形物を造形することができる。また、このとき、硬化液が供給された領域から意図しない領域に漏れ出たり、粉体材料層の空隙等に局所的に貯まったりするのを防止することができる。
なお、特許文献1および2には、造形槽に供給された粉体材料を加熱することが可能な三次元造形装置が開示されている。しかしながら、かかる装置は、バインダ液の乾燥を促進するためのものであり、構成および作用効果の面においてここに回される技術とは明確に区別される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、より高い造形精度で三次元造形物を造形することが可能な粉末積層法による三次元造形装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】一実施形態に係る三次元造形装置を模式的に示した断面図である。
図2図1の三次元造形装置を上方から見たときの平面図である。
図3】一実施形態に係る貯留部を模式的に示した断面図である。
図4】一実施形態に係る制御部のブロック図である。
図5】他の実施形態に係る三次元造形装置を模式的に表した断面図である。
図6】実施例で用いた三次元造形用の石膏粉末の電子顕微鏡観察像である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら本発明の一実施形態について説明する。なお、ここで説明される実施形態は、当然ながら特に本発明を限定することを意図したものではない。また、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付し、重複する説明は適宜省略または簡略化する。
【0011】
図1は、一実施形態に係る三次元造形装置1の断面図である。図2は、図1の三次元造形装置1に対応する平面図である。ここで、図面中の符号F、Re、L、R、U、Dは、それぞれ前、後、左、右、上、下を示している。ただし、これらは説明の便宜上の方向に過ぎず、三次元造形装置1の設置態様を何ら限定するものではない。
【0012】
三次元造形装置1は、粉体材料2を所定断面形状の層状に結合させた粉体固化層1Aを一層ずつ、一体的に積層形成してゆくことで、目的の3次元造形物1Bを造形する装置である。本実施形態の三次元造形装置1は、貯留部10と、造形部20と、吐出ヘッド40と、制御部50と、を備えている。以下、三次元造形装置1の各部の構成と、大まかな動作について説明する。
【0013】
造形部20は、造形槽22と、粉体回収部23と、造形テーブル24と、テーブル昇降装置26と、粉体移送手段28とを備えている。造形部20の上面21は平坦であって、この上面21から凹むように造形槽22と粉体回収部23とが独立に並んで設けられている。造形槽22の内部には、造形槽22の底面に対応した形状の造形テーブル24が設けられている。造形テーブル24は、造形槽22の内部側壁と隙間なく形成されている。この造形槽22と造形テーブル24の上面とで囲まれた領域が造形エリアとなる。造形エリアには粉体材料2が収容され、3次元造形物1Bの造形が行われる。造形テーブル24は、下面をテーブル昇降装置26によって支持される。造形テーブル24は造形槽22の内部を上下方向に昇降移動可能に構成されている。テーブル昇降装置26は、造形テーブル24を上下方向に移動させることができる。テーブル昇降装置26としては特に限定されないが、ここではシリンダ機構を採用している。テーブル昇降装置26は、造形テーブル24と吐出ヘッド40とを相対的に移動させる移動機構の一つである。回収部23は、造形部20に過剰に供給された粉体材料2を収容して回収するための空間を備える。回収部23は、回収した粉体材料2を取り出すための取り出し口(図示せず)を下方に備えている。
【0014】
粉体移送手段28は、造形部20の上面21に設けられている。粉体移送手段28は、円筒状のスキージローラー28aと図示しないモータにより構成されている。スキージローラー28aは、長尺の円筒形状を有し、円筒軸が前後方向に沿うように、かつ、前後方向で造形槽22に架かるように配置されている。モータは、スキージローラー28aを順方向または逆方向に回転させることができる。また、モータは、スキージローラー28aを造形部20の上面21(すなわち造形槽22の上端)に沿って左方または右方に移動させることができる。粉体移送手段28は、例えば、モータの駆動によって、スキージローラー28aを逆方向(図1では反時計回り)に回転しながら、造形槽22を通過し、回収部23に到達するまで右方に移動できるように構成されている。また、粉体移送手段28は、例えばスキージローラー28aを回転駆動させることなく、モータの駆動によりスキージローラー28aを左方のローラー待機部28bまで移動できるように構成されている。スキージローラー28aは、未使用時には造形部20の左方端部に設けられたローラー待機部28bに位置している。
【0015】
三次元造形物1Bの主たる構成材料である粉体材料2は、その組成や形態等は特に制限されず、樹脂材料、金属材料および無機材料等の各種の材料から構成された粉体を対象とすることができる。本実施形態における粉体材料2は、貯留部10から自然落下により造形部20に供給されることから、比較的比重の重い金属材料および無機材料からなる粉体材料2を好ましく含むことができる。無機材料としては特に制限されないが、例えば、石膏、シリカ、アルミナ、ジルコニア、アパタイト等が挙げられる。石膏は、例えば、半水石膏(α型焼石膏、β型焼石膏)、二水石膏、のいずれであってもよい。金属材料としては、鉄、アルミニウム、チタンおよびこれらの合金(典型的にはステンレス鋼、チタン合金、アルミニウム合金)等が挙げられる。これらはいずれか1種であってもよいし、2種以上が組み合わされていてもよい。
【0016】
また、粉体材料2は、上記材料からなる粉体のみから構成されていてもよいし、上記材料からなる粉体を主材とし、副材として後述の硬化液の浸透を促進させる容浸材を含むこともできる。粉体材料2が予め容浸材を含んでいることで、後述の硬化液が供給された際に強固で造形精度の高い三次元造形物1Bを得ることができる。硬化液としては、後述のように、例えば、水、ワックス、バインダ等が挙げられる。容浸材は、例えば、水容浸材、ワックス容浸材、バインダ容浸材等であり得る。かかる容浸材としては、典型的には、水溶性樹脂を用いることができる。水溶性樹脂は、水に対する溶解性を有し、水分を含んだときに結着性を示し得る高分子化合物である。かかる水溶性樹脂は特に制限されないが、例えば、澱粉、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、水溶性アクリル樹脂、水溶性ウレタン樹脂、水溶性ポリアミド等が挙げられる。水溶性樹脂は、ガラス転移温度が100℃以下、典型的には80℃以下、好ましくは70℃以下、例えば60℃以下であって、典型的には25℃以上、好ましくは35℃以上、例えば40℃以上のものを好ましく用いることができる。なかでも水溶化しやすく、低温でのガラス転移温度の制御が容易で、焼成残渣を残さないなどの観点からPVAを好適に用いることができる。粉体材料2における上記主材(例えば金属材料および/または無機材料)と副材(水溶性樹脂)との割合は、例えば、体積比で30:70〜70:30(例えば50:50)程度、質量比で95:5〜80:20(例えば9:1)程度を目安とすることができる。主材と副材との存在形態は特に限定されず、例えば、主材からなる粒子の表面を副材が層状にコーティングしている形態や、主材からなる粒子と副材からなる粒子とが互いに混合された混合粉の形態や、主材からなる粒子の表面に副材からなる微小粒子が結着された形態などであってよい。好ましくは、副材に負担を加えずに調製することができる混合粉の形態であり得る。なお、金属材料および無機材料は、樹脂材料と比較して、真球形に近い粒子からなる粉体を作製するのが困難であったりコストが高くなったりし得る。このとき、後述の硬化液が供給されても、供給液が粒子間に濡れ広がり難い傾向がある。そこで、真球形から大きく外れた粒子を含み得る粉体、例えば金属材料および/または無機材料からなる粉体を造形用材料として用いる場合は、予め、粒子間の結着に寄与する水溶性樹脂等を含む粉体材料2を用いることが好ましい。
【0017】
図3は、貯留部10の構成を示す断面図である。貯留部10の内部には、上記の粉体材料2が貯留される。本実施形態の貯留部10は、造形部20よりも高い位置に設けられている。貯留部10は、平面視が細長い矩形であり(図2参照)、長手方向の寸法が概ね造形槽22の前後方向の寸法に対応する。また、貯留部10は、下方に向かうにつれ平面積が狭くなり、断面視が略逆三角形の貯留槽12を備える。貯留槽12は上面に開口12aを有し、下端にスリット状の供給部12bを有する。また、貯留槽12は、造形部20の上方であって、造形槽22の直上を避けた造形槽22よりも左方側に、長手方向が前後方向となるように配置される。粉体材料2は、開口12aから貯留槽12に導入されると、自重により貯留槽12の壁面に沿って下方の供給部12bに向けて送られる。粉体材料2は、供給部12bをすり抜けて貯留部10から排出される。貯留部10から排出された粉体材料2は落下して、造形部20の上面21に供給される。粉体材料2は、ローラー待機部28bと造形槽22との間に、ライン状に供給される。貯留部10は、例えば、スライドすることにより供給部12bを閉鎖可能なシャッター部材(図示せず)を備えることができる。これにより、意図しないタイミングで供給部12bから粉体材料2が排出されるのを防止することができる。また、貯留部10には、貯留槽12の開口12aを覆うことができる蓋体12cが設けられ、蓋体12cにより開口12aを覆うことで貯留槽12の内部に異物が混入するのを防ぐことができる。
【0018】
貯留槽12には、貯留槽12に貯留された粉体材料2を加熱するための粉体加熱手段14が備えられている。粉体加熱手段14の構成は特に制限されない。例えば、加熱した流体(典型的には空気)を導入することによる対流伝熱加熱、赤外線を照射することによる輻射伝熱加熱、マイクロ波を照射することによる内部発熱加熱、抵抗加熱材等を接触させることによる電動伝熱加熱等の加熱機構を備える各種の加熱装置を用いることができる。これらの粉体加熱手段14は、貯留部10内の粉体材料2を加熱することで、常圧(典型的には1atm)において粉体材料2を乾燥させることができる。本実施形態における粉体加熱手段14は、抵抗加熱板と図示しないサーモスタットとを備える電動伝熱式の加熱装置である。粉体加熱手段14は、例えば、粉体材料2に含まれる水溶性樹脂のガラス転移温度以下の所定の温度に加熱温度を設定することができる。本実施形態において粉体加熱手段14は、貯留槽12の外部下方であって、供給部12bの近傍に設けられている。
【0019】
貯留槽12の内部下方には、粉体材料2を撹拌するための撹拌手段16が設けられている。撹拌手段16は、貯留槽12の長手方向に沿う方向に回転軸16bを有し、当該回転軸16bに複数の撹拌翼16aが備えられた回転横型撹拌機である。撹拌翼16aの形状は特に制限されず、例えば、パドル形、アンカー形、タービン形、らせん形、糸巻形等の各種の形態であってよい。撹拌手段16は、図示しないモータに接続されており、モータにより回転軸16bが回転されることにより、撹拌翼16aが回動して粉体材料2を撹拌する。これにより粉体材料2の流動性を高め、供給部12bへの粉体材料2の供給と、供給部12bからの粉体材料2の排出とを促進することができる。また、貯留槽12の外部上方には、フィルタ17およびファン18が設けられている。ファン18は、貯留槽12の内気と外気とを換気する。フィルタ17は、貯留槽12の内部とファン18との間を隔離するように設けられ、気体は通過させるものの粉体材料2は捕捉する。したがって、フィルタ17は、ファン18が作動したときなどに、貯留槽12内に収容された粉体材料2が気体とともに外部に排出されるのを防止する。
【0020】
造形部20の上方には、粉体材料2を硬化させるための硬化液を供給する吐出ヘッド40が配設されている。吐出ヘッド40は、硬化液を吐出するノズル40Aを備えている。ノズル40Aは、図示しない硬化液の収容タンクに接続されている。吐出ヘッド40は、図示しない駆動装置に接続され、ノズル40Aから硬化液を吐出できるように構成されたインクジェット式の供給ヘッドである。また、吐出ヘッド40は、図示しない移動装置に接続され、造形槽22に対して水平面内の前後方向および左右方向に移動できるように構成されている。吐出ヘッド40の駆動装置および移動装置は、後述の制御部50に接続されている。吐出ヘッド40は、制御部50が移動装置を制御することにより、造形エリアの所定の位置に硬化液の液滴を吐出することができる。吐出ヘッド40の移動装置は、造形テーブル24と吐出ヘッド40とを相対的に移動させる移動機構の一つである。
【0021】
なお、硬化液としては、使用する粉体材料2に応じて、かかる粉体材料2に供給されたときに粉体材料2を構成する粒子同士の結着性を発現させる作用のある液体(粘性体を含む。)を使用することができる。このような硬化液としては、水、ワックス、バインダ等が挙げられる。粉体材料2が上記の主材のみあるいは主材と容浸材(副材)とからなるときは、例えば、結着性を示すバインダとこのバインダを溶解または分散させる液媒体とを含むバインダ液を用いることができる。また、粉体材料2が上記の主材と水溶性樹脂からなる副材とを含むときは、例えば、硬化液として、水溶性樹脂を溶解することができる水を用いることができる。硬化液として水を用いる場合は、吐出ヘッド40のノズル40Aがバインダ成分によって閉塞される虞が無いために好ましい。
【0022】
図4は、制御部50のブロック図である。制御部50は、第1制御部51と、第2制御部52と、第3制御部53とを含む。制御部50の構成は特に限定されず、例えばマイクロコンピュータである。マイクロコンピュータのハードウェア構成は特に限定されないが、例えば、ホストコンピュータ等の外部機器からの印刷データ等を受信するインターフェイス(I/F)54と、制御プログラムの命令を実行する中央演算処理装置(CPU:central processing unit)55と、CPUが実行するプログラムを格納したROM(read only memory)56と、プログラムを展開するワーキングエリアとして使用されるRAM(random access memory)57と、上記プログラムや造形データ等の各種データを格納するメモリ等の記憶部58と、を備えている。第1制御部51、第2制御部52および第3制御部53は、ハードウェア(例えば、回路)により構成されていてもよく、CPUがコンピュータプログラムを実行することにより機能的に実現されるようになっていてもよい。制御部50は、貯留部10の供給部12b、粉体加熱手段14、撹拌手段16のモータ、ファン18、造形部20のテーブル昇降装置26、粉体移送手段28のモータ、吐出ヘッド40の駆動装置および移動装置にそれぞれ電気的に接続されており、これらを包括的に制御可能に構成されている。なお、マイクロコンピュータは、図示しない表示部および入力部等を備えることができる。ユーザーは、例えば入力部から制御部50に対して各種の指示を入力することができる。表示部は、三次元造形装置1の状態や、造形に関する情報等を表示することができる。
【0023】
3次元造形物1Bの造形に際し、本実施形態の三次元造形装置1では、まず、貯留部10に造形に使用する粉体材料2が導入される。本実施形態で使用する粉体材料2は、例えば、石膏粉末とPVAとからなる造形用粉末である。制御部50は、ユーザーからの指示に基づき、粉体加熱手段14をPVAのガラス転移温度よりも低い温度に加熱する。なおこのとき、貯留部10内の圧力を変化させる必要はなく、貯留部10内の圧力は常圧(1気圧)であってよい。これにより、貯留部10に貯留されている粉体材料2は、粉体加熱手段14による加熱によって乾燥される。その結果、貯留部10内に貯留され、造形槽22に供給される前の粉体材料2の流動性を高めることができる。なお、粉体加熱手段14の加熱により粉体材料2の流動性が改善されることについては、後で詳しく説明する。
【0024】
次いで、粉体材料2を貯留部10から造形槽22に供給する。このとき、まず、制御部50がテーブル昇降装置26の駆動を制御して、造形部20において造形テーブル24の上面を造形槽22の上端より所定の幅だけ下方に配置させる。例えば、造形テーブル24を造形槽22の上端から、断面画像データのスライス厚さに基づいて予め定められる寸法(例えば、0.1mm)だけ下降させる。これにより、所定高さ(厚み)の造形エリアが用意される。
【0025】
次いで、貯留部10は、上記造形エリアを埋めるに十分な量の粉体材料2を排出する。具体的には、制御部50が貯留部10の撹拌手段16を駆動し、所定量の粉体材料2を、供給部12bを通じて外部に排出する。排出された粉体材料2は落下し、造形部20の上面21に供給される。貯留部10からの粉体材料2の供給が終わると、制御部50は、スキージローラー28aをローラー待機部28bから粉体回収部23に向けて移動させる。具体的には、制御部50は、まずスキージローラー28aを逆回転させながら右方に向けて移動させる。これにより、ローラー待機部28bと貯留槽22との間に供給された粉体材料2は、スキージローラー28aによって貯留槽22に運ばれる。スキージローラー28aは、さらに右方に移動することで、粉体材料2を造形槽22に供給しながら、供給された粉体材料2の表面を平坦に均す。同時に、スキージローラー28aは、造形槽22から溢れた粉体材料2を右方に送り、余分な粉体材料2を粉体回収部23にまで移送する。制御部50は、スキージローラー28aを粉体回収部23まで移動させたのち、スキージローラー28aの回転を停止させて左方のローラー待機部28bに向けて移動させる。これにより、造形部20に供給された粉体材料2の表面が均一に均らされて、造形エリアに一層分の粉体材料層が形成される。このとき、造形部20に供給された粉体材料2は流動性が良好な状態に調製されている。その結果、粉体粒子が凝集してダマを形成するのが抑制され、緻密かつ均一な粉体材料層が形成される。
【0026】
制御部50は、吐出ヘッド40の移動装置および駆動装置を制御して、吐出ヘッド40を前後方向(主走査方向)に往復移動させながら、造形データに従う所定の位置で硬化液を吐出させる。その後、制御部50は、左右方向(副走査方向)の右方に吐出ヘッド40を移動させたのち、再び造形データに従って主走査方向での硬化液の吐出を行う。これらの操作を繰り返すことで、一層分の粉体材料層に対し、所定の形状に硬化液を供給する。なお、粉体材料層の硬化液が供給された部分においては、粉体材料2を構成する粒子間に硬化液が染み渡る。そして、例えば硬化液に粉体材料2の水溶性樹脂が溶解し、隣り合う粉体粒子に付着する。その後、硬化液の乾燥により水溶性樹脂が固化することで、粉体材料2を構成する粒子が互いに固着される。これにより、造形データに対応した形状の粉体固化層1Aが形成される。なおこのとき、粉体材料層の粒子間に大きな空隙等が形成されていると、かかる空隙に硬化液が溜まり、硬化液の浸透が阻害されてしまう。これに対し、ここに開示される三次元造形装置1によると、粉体材料層は緻密かつ均一に構成されるため、硬化液は粉体材料を構成する粒子間にムラなく均一に浸透することができる。このことにより、造形データに精度よく対応した形状で粉体材料層に硬化液を供給することができる。その結果、造形精度の高い粉体固化層1Aを得ることができる。
【0027】
一層分の硬化液の供給が終わると、制御部50は、再びテーブル昇降装置26の駆動を制御して造形テーブル24を下降させる。これにより新たな造形エリアが用意される。また、制御部50は、貯留部10の撹拌手段16を制御して、貯留部10から造形部20に粉体材料2を供給する。そして、制御部50は、粉体移送手段28を駆動して、新たに一層分の粉体材料層を形成する。また、制御部50は、造形データに従って吐出ヘッド40の移動装置および駆動装置を制御して、一層分の粉体材料層に所定の形状に硬化液を供給する。このように、造形データに基づく硬化液の供給が終了するまで、制御部50は、上記の粉体材料層の用意と硬化液の供給とを一層ごとに繰り返して行う。これにより、粉体固化層1Aが順次上方に一体的に積み重ねられる。このことにより、目的の三次元造形物1Bを高い造形精度で造形することができる。
【0028】
<流動性向上の確認1>
以上の三次元造形装置1では、貯留部10において粉体材料2を加熱することにより、粉体材料2の流動性を高めるようにしている。粉体の流動性を評価するための手法として、科学分野では安息角測定法が広く利用されている。そこで、粉体加熱手段14による加熱による粉体材料2の流動性の向上を評価するために、粉体材料2を多湿環境に保管し、三次元造形装置1の貯留部10にて乾燥させる前と、乾燥させた後と、における安息角を測定した。
【0029】
粉体材料2としては、市販の粉末積層造形用装置に付帯して販売されている純正の石膏造形用粉末を用意した。図6に、この石膏造形用粉末の走査型電子顕微鏡像(SEM,BEC像)を示した。この石膏造形用粉末は、図6中に白いコントラストとして示される石膏粉末(半水石膏)と、黒いコントラストとして示される容浸材としての水溶性樹脂とからなる混合粉末である。TG−DTA測定の結果から、この石膏造形用粉末における水溶性樹脂粉末の割合は凡そ10質量%(体積比はSEMから凡そ1:1)であり、この水溶性樹脂のガラス転移温度は約58℃であると見積もられた。石膏造形用粉末の平均粒子径は約44μm(マイクロトラック・ベル株式会社製、MT3000EXIIを用いて測定した体積基準の積算50%粒径)であった。
【0030】
安息角の測定に際しては、まず、大気中で保管されていたこれらの粉体材料2を、(1)40℃で100%RHの多湿環境で24時間保管することで、水分を吸湿した状態の粉体材料2を用意した。具体的には、40℃で管理されたインキュベーター(アズワン(株)製、EI−300B)内で水と共に粉体材料を保管することで、多湿環境で保管した粉体材料を用意した。また、(2)多湿環境で保管した粉体材料2の一部を三次元造形装置1の貯留部10に収容し、粉体加熱手段14を作動させることで粉体材料2を乾燥させた。加熱条件は、55℃にて5時間の加熱とした。このとき、撹拌手段16およびファン18は作動させなかった。これにより、加熱乾燥後の粉体材料2を用意した。なお、条件(1)および(2)における各粉体材料の重量と、各粉体材料2を105℃にて乾燥させたときの乾燥重量とを測定し、上記の条件(1)および(2)における各粉体材料の含水率を測定した。その結果を、下記の表1に示した。
【0031】
次いで、(2)多湿環境で保管した粉体材料と(3)加熱乾燥させた粉体材料とについて安息角を測定した。安息角は、粉体を堆積させたときに自発的に崩れることなく安定を保つ斜面の最大角度をいう。本試験において安息角は、JIS R 9301−2−2:1999(ISO902:1976)に準じて測定した。具体的には、22℃の環境下、一定の高さに固定したステンレス鋼製漏斗の上縁40mmの高さから、200gの粉体材料を所定のピッチで漏斗に投入し、粉体材料を漏斗から水平台上に落下させた。これにより生成された円錐状の堆積物の直径及び高さから底角を算出して安息角とした。得られた結果を、下記の表1に併せて示した。
【0032】
【表1】
【0033】
表1に示すように、一般に、粉体は湿度が高い環境に置かれると、雰囲気中の水分を吸湿してより多くの水分を含有する。そして、この三次元造形装置1は、このような含水率の高い粉体材料を加熱することで、含水率を低下させて乾燥できることが確認できた。また、粉体材料を三次元造形装置で加熱乾燥させることにより、安息角を低下させられることが確認できた。
【0034】
なお、上記の造形用粉末は、結晶水を有することから加熱後における含水率が0.5質量%である。また、この造形用粉末は水溶性樹脂成分を含んでおり、この水溶性樹脂成分が雰囲気中の水分を吸着し易いことから加熱乾燥前にはより多くの水分を吸収する。水溶性樹脂成分は、吸水により本来の性質が発現されて粘性ないしは結着性を帯び得る。このことにより、水溶性樹脂を含む粉体材料は安息角が高くなっていることが予想される。そのため、安息角が低く流動性が悪い粉体材料は、貯留部10からの自然落下の際やローラーでの均し際に、個々の粒子間に吸着力や粘着力が作用したり、ダマが形成されたりする傾向がより一層高まり得る。その結果、造形エリアに供給される粉体材料に塊が含まれ、造形される三次元造形物1Bの表面に露出して造形精度を悪化させることがある。
【0035】
しかしながら、加熱乾燥後の粉体材料については、含水による吸着力や水溶性樹脂による粘性が抑制され、安息角は低下する。粉体輸送システムの設計等で指標とされるCarrによる分類によると、安息角が40°超過45°以下の粉体は流動性が「普通」、35°超過40°以下は「やや良好」、30°超過35°以下は「良好」と評価される。この三次元造形装置1により粉体材料2を加熱乾燥させることで、同じ粉体材料2であっても落下時の流動性を、例えば「普通」から「良好」へと改善できることがわかった。三次元造形装置における粉体材料層としては、粉体輸送におけるよりも高い流動性が必要となる。安息角が小さく流動性の良好な粉体材料は、貯留部10から自然落下により造形部20に供給されたときに、貯留槽22に流動性良く供給されるために好ましい。なお、かかる加熱乾燥後の粉体材料を用いることで、加熱乾燥することなく用いた場合と比較して、造形される三次元造形物1Bの表面に粉体材料の塊が露出することなく、表面平滑性と質感とが向上されることが目視で確認できている。また、ここに開示される三次元造形装置1によると、図6に示されるような比較的角張った造形用粉末を用いた場合でも、その安息角を高め得ることから、高い造形精度での三次元造形が可能とされる。なお、具体的なデータは示さないが、上記造形用粉末よりもより一層角張ったアルミナ破砕粉を含むアルミナ造形用粉末についても、三次元造形装置1による加熱乾燥で安息角を5度程度以上改善できることが確認されている。
【0036】
以上の三次元造形装置1において、第1制御部51は、粉体材料2が25℃以上105℃以下の所定の温度となるように粉体加熱手段14の加熱を制御するよう構成することができる。このことにより、粉体材料2を貯留部10において適切な乾燥状態に調整することができ、粉体材料2の流動性を好適に高めることができる。第1制御部51による粉体材料2は、用いる粉体材料2に応じて適宜決定することができる。例えば、水溶性樹脂を含む粉体材料2を用いる場合は、水溶性樹脂が軟化または溶融したり、変質したりしないように、当該水溶性樹脂のガラス転移温度よりも低い温度に加熱温度を設定することができる。かかる加熱温度は用いる粉体材料2によるものの、例えば、下限温度は25℃以上、好ましくは35℃以上、例えば40℃以上とすることができる。また、上限温度は80℃以下、好ましくは70℃以下、例えば60℃以下とすることができる。これにより、造形部20に供給する前の粉体材料2を変質または劣化等させることなく、流動性および硬化液の含浸性を高めることができる。延いては、緻密かつ均質な三次元造形物1Bを高精度で造形することができる。また、粉体材料2については、三次元造形物1Bとして利用されなかった粉末を再利用することが行われている。したがって、上記のとおり低い温度での加熱は、再利用される粉体材料2に繰り返し過度なダメージを与えることがない点においても好ましい。
【0037】
また、第2制御部52は、三次元造形装置1が造形を停止しているときに、粉体加熱手段14による加熱を行うよう構成することができる。例えば、第2制御部52は、例えば夜間等のユーザーが指定した時間に粉体加熱手段14を作動させるように構成することができる。このように、夜間等の造形停止時間を利用することで、低い温度で粉体材料2を十分に乾燥させることができる。また例えば、第2制御部52は、夜間運転による三次元造形物1Bの造形において、実質的な造形の前に、粉体加熱手段14による加熱を行うよう構成することができる。これにより、三次元造形装置1の造形停止時間等を利用して粉体材料2の流動性を改善することができる。なお、ここで、実質的な造形とは、造形槽22への粉体材料2の供給(粉体材料層の用意)から三次元造形物1Bの造形終了までをいい、造形停止とは、造形槽22への粉体材料2の供給(粉体材料層の用意)から三次元造形物1Bの造形終了までの工程が行われていないときを示す。
【0038】
第3制御部53は、三次元造形装置1の貯留部10から造形テーブル24に粉体材料2が供給されるときに、粉体加熱手段14による加熱を行うように構成されている。例えば、第3制御部53は、ユーザーが造形を開始するとき、粉体加熱手段14を先行して作動させるように構成することができる。これにより、夜間等に乾燥された粉体材料2が冷却された場合であっても、粉体材料2を硬化液の浸透に適した温度にまで温めることができる。これにより、粉体材料層への硬化液の浸透性を好適に改善することができる。
【0039】
以上の実施形態において、粉体加熱手段14による粉体材料2の加熱時に、貯留部10の内部に備えられた粉体撹拌手段16は駆動されていなかった。しかしながら、粉体撹拌手段16は、粉体加熱手段14による加熱時に粉体材料2を撹拌するように制御されていてもよい。これにより、粉体加熱手段14による粉体材料2の加熱および乾燥を促進させることができる。また、ユーザーによる保管時などに粉体材料2が既に水分を吸収して塊を形成していた場合でも、貯留部10の加熱と同時に粉体撹拌手段16が粉体材料2を撹拌することにより、かかる塊を解して粉体化させ得るために好ましい。さらに、粉体撹拌手段16は、造形時に粉体材料2を撹拌するように制御されていてもよい。これにより、貯留槽10から造形部20に粉体材料2を供給する際の粉体材料の目詰まりを抑制でき、供給性を高め得るために好ましい。
【0040】
また、以上の実施形態において、粉体加熱手段14による粉体材料2の加熱時に、貯留部10に備えられたファン18は駆動されていなかった。しかしながら、ファン18は、粉体加熱手段14による加熱時に貯留槽12の内部の気体を外部に排気するように制御されていてもよい。これによって、粉体加熱手段14による粉体材料2の乾燥効果を高めることができる。
また、ファン18が作動しているとき、粉体材料2中の微粉が吸い上げられて貯留槽12の内部から外部に排出される可能性がある。特に粉体加熱手段14が駆動している場合は、粉体材料2は粉体加熱手段14により舞い上げられて、ファン18により排出され易くなる。貯留槽12から粉体材料2が排出されると、三次元造形装置1が設置されている環境が粉体材料2により汚れてしまう。このような場合であっても、貯留槽12とファン18との間にフィルタ17が設けられていることで、粉体材料2の排出を防止することができる。
【0041】
以上の、ここに開示される三次元造形装置1は、粉体材料2の貯留槽10が造形部20よりも上方に設置されていた。すなわち、貯留槽10は、造形部20の上方のデッドスペースを利用して配置することができる。このことにより、三次元造形装置1の設置面積を減少させることができ、よりコンパクトな三次元造形装置1を実現することができる。また、本実施形態においては、貯留槽10から造形部20への粉体材料2の供給に、重力落下を利用している。本発明によると粉体材料2の流動性が高められているため、粉体材料2を目詰まりを生じさせることなくスリット状の供給部12bから造形部20へと好適に供給することができる。また、粉体材料2の乾燥についても、貯留槽10に設けられる粉体加熱手段14により実現することができる。これにより、例えば、真空乾燥機などの大掛かりな装置を必要とせずに粉体材料2を乾燥できる点において好ましい。
【0042】
なお、上記実施形態では、貯留槽10にはスリット状の供給部12bが設けられ、粉体材料2は重力落下により造形部20に供給されていた。しかしながら、貯留槽10の構成はこれに限定されない。貯留槽10は、例えば、供給部12bとして、ロータリーバルブなどの粉体移送機能を備えていてもよい。これにより、1層分の造形ごとに、所望量の粉体材料2を所望のタイミングで造形部20に供給することができる。
【0043】
本実施形態では、貯留部10は下端に供給部12bを有し、造形テーブル24よりも上方に備えられていた。しかしながら、本発明の三次元造形装置1の構成はこれに限定されない。例えば、図5に示すように、貯留部10は、造形テーブル24が備えられる造形部20の側方に設けられていてもよい。このとき、貯留部10は、造形部20と同様の構成とすることができる。すなわち、粉体材料2を貯留する貯留槽12は、造形部20の上面21から凹む凹型であって、貯留槽12の上方に開口12aと供給部bとが共通して設けられる。そして粉体加熱手段14は、例えば貯留槽12の側壁の周囲に設けられる。また、貯留槽12の内部には、粉体材料を押出し供給するための供給テーブル12dが設けられる。供給テーブル12dは、貯留槽12の底面に対応した形状を有し、下面をテーブル昇降装置12eによって支持される。供給テーブル12dは、テーブル昇降装置12eの駆動により、貯留槽12の内部を上下方向に昇降移動可能に構成されている。供給テーブル12dが上昇することで、貯留槽12の内部に貯留された粉体材料2が上面21よりも上に押し出される。そしてスキージローラー28aが回転移動することで、粉体材料2は移送されて造形部20に供給される。なお、具体的には図示しないが、供給テーブル12dの上面に、粉体材料2を撹拌するための撹拌手段16を設置するようにしてもよい。かかる構成の貯留部においても、貯留槽12の内部に貯留された粉体材料2を加熱し、その流動性を高めることができる。
【符号の説明】
【0044】
1 三次元造形装置
10 貯留部
14 粉体加熱手段
20 造形部
40 吐出ヘッド
50 制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6