特許第6878039号(P6878039)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6878039
(24)【登録日】2021年5月6日
(45)【発行日】2021年5月26日
(54)【発明の名称】ガゼット袋
(51)【国際特許分類】
   B65D 33/00 20060101AFI20210517BHJP
   B65D 30/16 20060101ALI20210517BHJP
【FI】
   B65D33/00 C
   B65D30/16 F
【請求項の数】6
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-27970(P2017-27970)
(22)【出願日】2017年2月17日
(65)【公開番号】特開2018-131252(P2018-131252A)
(43)【公開日】2018年8月23日
【審査請求日】2019年9月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000143880
【氏名又は名称】株式会社細川洋行
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100152205
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 昌司
(72)【発明者】
【氏名】要 藤 昭 男
【審査官】 種子島 貴裕
(56)【参考文献】
【文献】 実開平05−026838(JP,U)
【文献】 特開2006−306496(JP,A)
【文献】 特開2001−048193(JP,A)
【文献】 特開2006−213366(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 33/00
B65D 30/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向する第1および第2の主面部と、前記第1の主面部および前記第2の主面部の一方の側縁部から内側に折り込まれる第1の折込部と、前記第1の主面部および前記第2の主面部の他方の側縁部から内側に折り込まれる第2の折込部と、を備えるガゼット袋であって、
前記第1の主面部と前記第1の折込部との接続部分に設けられた第1の開封開始部と、 前記第2の主面部と前記第1の折込部との接続部分に設けられた第2の開封開始部と、 前記第2の折込部の頂部と、前記第1の主面部または前記第2の主面部とを部分的に接着する部分接着部と、
前記第1および第2の主面部のうち前記部分接着部が設けられた方の主面部に形成され、前記第1の折込部側から引裂き予定線に沿って前記第2の折込部に向かって延在し、かつ前記部分接着部に達する第1の開封補助部と、
前記第1および第2の主面部のうち前記第1の開封補助部が設けられていない方の主面部に設けられ、前記第1の折込部側から引裂き予定線に沿って前記第2の折込部に向かって延在する第2の開封補助部と、
を備え、
前記第1の開封補助部および前記第2の開封補助部は、少なくとも一部において正面視して重ならないように形成されていることを特徴とするガゼット袋。
【請求項2】
前記部分接着部は、前記第2の折込部の頂部と、前記第1および第2の主面部の一方のみとを接着することを特徴とする請求項1に記載のガゼット袋。
【請求項3】
前記部分接着部の接着強度は、当該部分接着部により接着される部分を手指で引き剥がせる程度の強度であることを特徴とする請求項1または2に記載のガゼット袋。
【請求項4】
前記第1の開封補助部および前記第2の開封補助部は、前記部分接着部において正面視して重なることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のガゼット袋。
【請求項5】
前記第1の主面部と前記第2の折込部との接続部分に設けられた第3の開封開始部と、 前記第2の主面部と前記第2の折込部との接続部分に設けられた第4の開封開始部と、 前記第1の折込部の頂部と、前記第1の主面部または前記第2の主面部とを部分的に接着する第2の部分接着部と、
をさらに備えることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のガゼット袋。
【請求項6】
前記第1の開封補助部は、前記第2の部分接着部を通過することを特徴とする請求項に記載のガゼット袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガゼット袋、より詳しくは、内側に折り込まれた折込部を有するサイドガゼットタイプのガゼット袋に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、容積効率や自立性に優れる等の理由から、折込部(ガゼット部とも呼ばれる。)を有するガゼット袋が用いられている。ガゼット袋の中でも特に、袋体の左右両側の折込部がV字状に折り込まれたサイドガゼット袋は、容積効率や自立性に優れている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
特許文献2には、ノッチから延びる引裂き予定線上における折り込み内部先端角部と表裏面とをスポット状のヒートシールで溶着したガゼット袋が記載されている。また、特許文献3には、折込先端部および根元部を跨いで内層同士を熱接着した開封補助熱接着部に、直線状切込を設けたガゼット袋が記載されている。
【0004】
サイドガゼット袋は、例えば、2枚の主面フィルムを対向させ、縦方向に折り曲げられた側面フィルムを主面フィルムの両側縁部に溶着して筒体を形成し、この筒体の下端の開口を底面フィルムで封止したものとして構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−73552号公報
【特許文献2】実開平5−26838号公報
【特許文献3】特開2004−237995号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、サイドガゼット袋は、容積効率や自立性に優れている反面、開封に手間がかかるという課題があった。すなわち、袋体の側縁部から横方向に手指で引裂き開封した場合、引裂き線の先端が折込部の頂部(より詳しくは引裂き方向に対し凸となる頂部)で引っかかってしまい、それ以上開封することができない。そのため、ガゼット袋を完全に開封するには、反対側の側縁部からも開封動作を行う必要があった。
【0007】
特許文献2および3では、スポット状のヒートシールや開封補助熱接着部が提案されている。しかしながら、手指でガゼット袋に加える引裂き力の方向等によっては、引裂き線がスポット状のヒートシールや開封補助熱接着部に到達しない場合がある。この場合、引裂き線の先端が折込部の頂部で引っかかってしまい、それ以上開封することができない。すなわち、片側からの開封動作によって、確実かつ完全に開封することができないという課題があった。
【0008】
そこで、本発明は、片側からの開封動作によって、確実かつ完全に開封することが可能なガゼット袋を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るガゼット袋は、
対向する第1および第2の主面部と、前記第1の主面部および前記第2の主面部の一方の側縁部から内側に折り込まれる第1の折込部と、前記第1の主面部および前記第2の主面部の他方の側縁部から内側に折り込まれる第2の折込部と、を備えるガゼット袋であって、
前記第1の主面部と前記第1の折込部との接続部分に設けられた第1の開封開始部と、
前記第2の主面部と前記第1の折込部との接続部分に設けられた第2の開封開始部と、
前記第2の折込部の頂部と、前記第1の主面部または前記第2の主面部とを部分的に接着する部分接着部と、
前記第1および第2の主面部のうち前記部分接着部が設けられた方の主面部に形成され、前記第1の折込部側から引裂き予定線に沿って前記第2の折込部に向かって延在し、かつ前記部分接着部に達する開封補助部と、
を備えることを特徴とする。
【0010】
また、前記ガゼット袋において、
前記部分接着部は、前記第2の折込部の頂部と、前記第1および第2の主面部の一方のみとを接着するようにしてもよい。
【0011】
また、前記ガゼット袋において、
前記部分接着部の接着強度は、当該部分接着部により接着される部分を手指で引き剥がせる程度の強度であるようにしてもよい。
【0012】
また、前記ガゼット袋において、
前記第1および第2の主面部のうち前記開封補助部が設けられていない方の主面部に設けられ、前記第1の折込部側から引裂き予定線に沿って前記第2の折込部に向かって延在する第2の開封補助部をさらに備え、
前記開封補助部および前記第2の開封補助部は、少なくとも一部において正面視して重ならないように形成されているようにしてもよい。
【0013】
また、前記ガゼット袋において、
前記開封補助部および前記第2の開封補助部は、前記部分接着部において正面視して重なるようにしてもよい。
【0014】
また、前記ガゼット袋において、
前記第1の主面部と前記第2の折込部との接続部分に設けられた第3の開封開始部と、
前記第2の主面部と前記第2の折込部との接続部分に設けられた第4の開封開始部と、
前記第1の折込部の頂部と、前記第1の主面部または前記第2の主面部とを部分的に接着し、かつ前記開封補助部が通過する第2の部分接着部と、
をさらに備えてもよい。
【0015】
また、前記ガゼット袋において、
前記開封補助部は、前記第2の部分接着部を通過するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、片側からの開封動作によって、確実かつ完全に開封することが可能なガゼット袋を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】第1の実施形態に係るガゼット袋1の全体を示す正面図である。
図2】第1の実施形態に係るガゼット袋1の上側部分の斜視図である。
図3】第1の実施形態に係るガゼット袋1の引裂き予定線に沿う断面図である。
図4】第1の実施形態に係るガゼット袋1の開封機序を説明するための一部正面図である。
図5】第2の実施形態に係るガゼット袋1Aの上側部分の斜視図である。
図6】第2の実施形態に係るガゼット袋1Aの引裂き予定線に沿う断面図である。
図7】開封開始部および開封補助部の変形例を示す一部正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、各図において同等の機能を有する構成要素には同一の符号を付している。
【0019】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態に係るガゼット袋1について、図1図4を参照して説明する。図1は、本実施形態に係るガゼット袋1の全体正面図を示し、図2はガゼット袋1の上側部分の斜視図を示し、図3はガゼット袋1の引裂き予定線に沿う断面図を示している。図4は、係るガゼット袋1の開封機序を説明するための一部正面図を示している。
【0020】
なお、図1および図2は、内容物が充填される前のガゼット袋を示している。実際には、図1に示すガゼット袋1の上端開口から内容物が充填され、その後、上端開口が封止される。ガゼット袋に充填される内容物は、特に限定されず、例えば、各種飲料、調味料、洗剤、化粧品、医薬品等である。また、本発明に係るガゼット袋は、内容物を直接包装する一次包装用の袋体だけでなく、小袋やスティック包装袋等の二次包装用の袋体(外装)にも適用可能である。
【0021】
ガゼット袋1は、図1および図2に示すように、サイドガゼットタイプのガゼット袋である。このガゼット袋1は、主面部11(第1の主面部)と、主面部12(第2の主面部)と、折込部13(第1の折込部)と、折込部14(第2の折込部)と、底面部15とを備える。
【0022】
図1図3に示すように、主面部11および主面部12は、ほぼ同じ大きさであり、ガゼット袋1の対向する一対の主面を構成している。折込部13は、主面部11および主面部12の一方の側縁部(図2中左側)から内側に折り込まれている。折込部14は、主面部11および主面部12の他方の側縁部(図2中右側)から内側に折り込まれている。
【0023】
主面部11、主面部12、折込部13、折込部14および底面部15は、少なくとも基材層および熱融着層を有する積層体(積層フィルム)である。この積層体は、熱接着性樹脂を用いた押出しラミネート、または、接着剤を用いたドライラミネート等の公知の積層方法で作製することが可能である。なお、基材層の厚みは、6〜50μmであることが好ましく、9〜30μmであることがより好ましい。また、熱融着層の厚みは、10〜200μmであることが好ましく、20〜100μmであることがより好ましい。
【0024】
基材層は、印刷適性に優れ、さらには、十分な突き刺し強度、引っ張り強度、耐衝撃性等を備えていることが好ましい。基材層の材質としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ポリアミド、エチレンビニルアルコール共重合体等が挙げられる。なお、基材層は、これらの樹脂の二軸延伸フィルムまたは一軸延伸フィルムであることが好ましい。
【0025】
また、基材層は、樹脂フィルム上に、金属(アルミニウム、マグネシウム等)または無機酸化物(酸化珪素等)を蒸着したガスバリア性を有する蒸着フィルムでもよい。あるいは、基材層は、樹脂フィルムの表面をバリア性コート剤等で被覆したコートフィルムでもよい。バリア性コート剤としては、例えば、ポリ塩化ビニリデン等が挙げられる。また、基材層は、上記フィルムのいずれか一つからなる単層フィルムであってもよく、あるいは、上記フィルムを任意に組み合わせて共押出ししてなる多層フィルムであってもよい。
【0026】
熱融着層は、熱融着(ヒートシール)可能な層である。この熱融着層の材質としては、例えば、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖低密度ポリエチレン、ポリプロピレン等の樹脂が挙げられる。
【0027】
なお、熱融着層は、直鎖低密度ポリエチレン等のポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、またはこれらの混合樹脂でもよい。また、熱融着層は、アイオノマー樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、およびエチレン−メタクリル酸共重合体からなる群から選ばれる1種以上の樹脂からなる未延伸フィルム、あるいは、前記群から選ばれる樹脂を組み合わせて共押出しした多層フィルム等でもよい。
【0028】
主面部11等を構成する積層体は、必要に応じて、基材層と熱融着層との間に中間層を有してもよい。中間層を構成する材料は、気体遮断性、機械的強靱性、耐屈曲性、耐突き刺し性、耐衝撃性、耐磨耗性、耐寒性、耐熱性、耐薬品性等、要求される機能に応じて適宜選択される。例えば、中間層は、アルミニウム、鉄、銅、錫等の金属からなる金属箔である。あるいは、中間層は、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物等のフィルム、又はこれらにポリ塩化ビニリデンを塗工したフィルムである。あるいは、中間層は、アルミニウム、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化インジウム、酸化錫、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム等の無機物を蒸着したフィルムである。あるいは、中間層は、ポリ塩化ビニリデンのフィルムである。
【0029】
なお、中間層の厚みは6〜50μmであることが好ましく、9〜30μmであることがより好ましい。また、必要に応じて、積層体に2つ以上の中間層を設けてもよい。
【0030】
図1図3に示すように、ガゼット袋1は、積層体の熱融着層同士を接触させた状態で端部と熱融着することで形成される。すなわち、縦方向に折り曲げられた折込部13および14が、対向配置された主面部11および12の両側縁部にそれぞれ熱融着されることで、筒体が形成される。その後、このように形成された筒体の下側開口端に底面部15が熱融着される。
【0031】
主面部11は、その両側縁部で折込部13および14に熱融着されている。同様に、主面部12は、その両側縁部で折込部13および14に熱融着されている。図2および図3に示すように、シール部21は、主面部11と折込部13とが熱融着された部分である。シール部22は、主面部12と折込部13とが熱融着された部分である。シール部23は、主面部11と折込部14とが熱融着された部分である。シール部24は、主面部12と折込部14とが熱融着された部分である。
【0032】
なお、本実施形態では、図2に示すように、4枚の積層フィルム、すなわち、主面部11、主面部12、折込部13および折込部14を各々の縁部で熱融着することで筒体が形成されている。よって、筒体は、4つのシール部21〜24を有する。本発明は、このような構成に限られず、1枚の積層フィルムを折り曲げて、1辺のみを熱融着することにより筒体を形成してもよい。あるいは、2枚または3枚のフィルムを適宜組み合わせて筒体を形成してもよい。また、筒体が背貼り部(合掌シール部)を有するようにしてもよい。
【0033】
また、本実施形態では、底面部15が設けられているが、本発明はこれに限られず、底面部15が無い構成でもよい。例えば、主面部11、主面部12、折込部13および折込部14からなる筒体の下端開口を熱融着して封止してもよい。
【0034】
図2に示すように、シール部21および22には、開封開始部31(第1の開封開始部)および開封開始部32(第2の開封開始部)がそれぞれ設けられている。開封開始部31および32は、ガゼット袋1を手指で開封する際に引裂き線の始点となる。開封開始部31と開封開始部32は、開封しやすいように、正面視してほぼ重なるように設けられている。
【0035】
開封開始部31および32は、例えばIノッチであるが、これに限らず、亀甲ノッチ、Uノッチ、Vノッチ等の切り込みでもよい。また、シール部21,22の少なくとも所定の領域に粗面加工を施して微細な傷痕を形成することにより、開封開始部31,32を形成してもよい。あるいは、シール部21,22の所定の領域に多数の針穴を形成することにより、開封開始部31,32を形成してもよい。
【0036】
なお、シール部21,22が形成されていない場合(例えば1枚のフィルムを折り曲げて主面部11,12および折込部13が形成されている場合)、開封開始部31は、主面部11と折込部13とを区画する折り曲げ線の両側の領域に設けられる。すなわち、折り曲げ線を跨ぐ一定の領域に開封開始部31が形成される。同様に、開封開始部32は、主面部12と折込部13とを区画する折り曲げ線の両側の領域に設けられる。
【0037】
本願において、開封開始部31は、主面部11と折込部13との接続部分に設けられていると言える。同様に、開封開始部32は、主面部12と折込部13との接続部分に設けられていると言える。ここで、「接続部分」とは、主面部と折込部が接続する部分である。主面部11と折込部13が熱融着されている場合、接続部分はシール部21を示す。一方、1枚の積層フィルムが折り曲げられて主面部11と折込部13が形成されている場合、接続部分は積層フィルムの折り曲げ線の両側の領域を示す。
【0038】
図1および図2に示すように、折込部14の頂部14aと、主面部11とは、部分接着部(ポイントシール部)26により部分的に接着されている。本実施形態では、折込部14の頂部14aと、主面部11とは、互いの熱融着層により部分的に熱融着されている。すなわち、本実施形態に係るガゼット袋1は、折込部14の頂部14aと、主面部11とを部分的に熱融着する部分接着部26を備えている。この部分接着部26は、開封開始部31,32から横方向に延在する引裂き予定線上に設けられている。
【0039】
なお、部分接着部26は、熱融着に限られず、粘着剤または接着剤により、折込部14の頂部14aと、主面部11とを部分的に接着してもよい。
【0040】
上記のように、本発明において「接着」とは、接着剤または粘着剤による接着であってもよいし、あるいは、熱融着層同士を熱溶融させることによる接着(すなわち、熱融着)であってもよい。
【0041】
また、部分接着部26の形状は、特に限定されるものではなく、例えば、円形、楕円形、長円形、矩形、多角形等である。
【0042】
また、部分接着部26の大きさは、例えば1〜300mmであり、好ましくは、5〜250mmである。部分接着部26の形状が矩形の場合は、縦方向の長さが30〜50mmで横方向(幅方向)の長さが3〜5mmであることが好ましい。
【0043】
図2に示すように、開封開始部31および32を出発点として開封補助部41〜44が設けられている。本実施形態では、開封補助部41〜44は、正面視してほぼ重なるように設けられている。開封補助部41〜44は、開封時に引裂き方向を安定させるガイドの役割を担う。
【0044】
開封補助部41は主面部11に設けられている。この開封補助部41は、開封開始部31から引裂き予定線に沿って折込部14に向かって延在する。すなわち、開封補助部41は、折込部13側から折込部14に向かって延在する。開封補助部41は部分接着部26に達する。本実施形態では、開封補助部41は、部分接着部26を通過してシール部23まで設けられている。
【0045】
開封補助部42は、主面部12に設けられており、開封開始部32から引裂き予定線に沿ってシール部24まで延在する。開封補助部42は、折込部13側から折込部14に向かって延在する。図2および図3に示すように、開封補助部42は、部分接着部26により折込部14と熱融着されていない。
【0046】
開封補助部43は、折込部13に設けられており、開封開始部31から開封開始部32まで延在する。開封補助部44は、折込部14に設けられており、開封補助部41の終端から開封補助部42の終端まで延在する。
【0047】
開封補助部41〜44の形状は、例えば線状である。この場合、実線が好ましいが、ミシン目ないし点線等の断続的な線でもよい。なお、開封補助部41〜44の形状は、帯状であってもよい。また、開封補助部41〜44は、直線状に限られず、曲線状(例えば波状等)であってもよい。
【0048】
開封補助部41〜44は、主面部11、主面部12、折込部13および折込部14にそれぞれ、手指による引裂き開封を容易にする易開封加工を施すことにより形成されている。易開封加工は、例えば、積層体の表面に微細な傷痕を形成する粗面加工、または刃物による加工(刃物加工)であり、好ましくはレーザーによる加工(レーザー加工)である。
【0049】
レーザー加工の場合、積層体にレーザー光を照射することにより、積層体をハーフカットすることで開封補助部を形成する。ハーフカットとは、積層体のうち少なくとも熱融着層を除いた他の層を部分的に除去することをいう。ハーフカットされた状態では、積層体のうち一部の層のみが部分的に除去されて切れているが、積層体は貫通していない。レーザーの種類としては、炭酸ガスレーザーが好適に使用可能である。ただし、積層体のプラスチックフィルムを加工するのに適したものであれば、YAGレーザー、グリーンレーザー等、他の種類のレーザーを使用してもよい。例えば、プラスチックフィルムの材質に対して吸収率の高いレーザーを使用する。これによって、基材層(および必要に応じて用いる中間層)のみにレーザー照射による傷痕を生じさせ、積層体をハーフカットすることが可能である。また、プラスチックフィルムの材質に応じてレーザーの出力を調整することで、ハーフカットを行ってもよい。
【0050】
刃物加工の場合、板状部材に突起を設けた刃物、または、筒体の周面に突起を設けた刃物を用いる。刃物の形状は、実線あるいは断続的な切れ目(ミシン目、点線等)を形成できるものが好適である。なお、刃物の材質は、鉄等の金属である。
【0051】
粗面加工の場合、粗面化手段(サンドペーパー、砥粒等)を基材層、または基材層と中間層の積層体に圧接することで、表面に微小な傷痕からなる粗面を付与する。なお、粗面加工で形成された開封補助部は、レーザー加工や刃物加工により形成されたものに比べてガイド機能が低い。このため、粗面加工は、比較的高いガイド機能が要求される開封補助部41,42ではなく、それほど高いガイド機能が要求されない開封補助部43,44の形成に適用することが好ましい。
【0052】
なお、粗面加工や刃物加工により開封補助部を形成する場合、加工の際に熱融着層を貫通するおそれがある。したがって、熱融着層を基材層(あるいは中間層)の上に積層する前に、粗面加工や刃物加工を行って開封補助部を形成しておくことが望ましい。
【0053】
次に、上記構成を有するガゼット袋1の開封について、図4を参照して説明する。前述のように図1および図2に示すガゼット袋1は、内容物を充填する前の状態を示しており、実際には、ガゼット袋1に内容物が充填された後、ガゼット袋1の上端開口が熱融着により封止される。この封止後、ガゼット袋を開封する際の開封機序について以下説明する。
【0054】
手指でガゼット袋1の開封を始めると、引裂き線は開封開始部31および32から易開封加工が施された開封補助部41(端側開封補助部41a)、42および43にガイドされ、折込部13の頂部13aに向けて進む。頂部13aを越えると、引裂き線は開封補助部41(中央開封補助部41b)および42にガイドされ、折込部14の頂部14aに向けて進む。そして、引裂き線の先端が頂部14aを越えると、開封補助部41にガイドされた引裂き線は、開封補助部41(端側開封補助部41c)と開封補助部44に分岐する。この際、部分接着部26により頂部14aが主面部11に接着されているため、引裂き線は頂部14aで引っかかることはなく2本に分岐する。その後、端側開封補助部41cにガイドされた引裂き線は、シール部23の縁部に到達する。開封補助部44にガイドされた引裂き線は、開封補助部42にガイドされた引裂き線とシール部24にて合流し、シール部24の縁部に到達する。このようにして、ガゼット袋1は片側からの開封動作によって完全に開封される。
【0055】
上記のように第1の実施形態では、少なくとも開封開始部31から引裂き予定線に沿って部分接着部26まで開封補助部41が設けられている。この開封補助部41が、ガゼット袋1の開封時、引裂き線を部分接着部26まで確実にガイドする。そして、部分接着部26が頂部14aにおいて引裂き線が引っかかることを防止する。これにより、第1の実施形態によれば、片側からの開封動作によって、ガゼット袋1を確実かつ完全に開封することができる。
【0056】
さらに、第1の実施形態では、部分接着部26が折込部14の頂部14aと主面部12とを熱融着しないため、封止前のガゼット袋1の開口を比較的広くとることができる。よって、ガゼット袋1への内容物の充填を容易に行うことができる。
【0057】
なお、開封補助部のうち、端側開封補助部41cおよび開封補助部44は、必須の構成ではなく、積層体の引裂き容易性等に応じて省略することが可能である。
【0058】
また、本実施形態に係るガゼット袋1は、以下のように様々な変形例を想定することが可能である。
【0059】
部分接着部26は、折込部14の頂部14aと、主面部11ではなく主面部12とを熱融着してもよい。この場合、開封補助部42は、開封開始部32から引裂き予定線に沿って折込部14に向かって延在し、かつ部分接着部26に達する。また、ガゼット袋1への内容物の充填を容易に行えるようにするため、部分接着部26が折込部14の頂部14aと、主面部11とを熱融着しないことが好ましい。より一般的に言えば、部分接着部26は、折込部14の頂部14aと、主面部11および12の一方のみとを熱融着することが好ましい。なお、本発明は、部分接着部26が、折込部14の頂部14aを主面部11および主面部12の両方に接着することを排除しない。例えば横幅が比較的広いガゼット袋の場合、折込部14の頂部14aは、部分接着部26により、主面部11と12の両方に接着されてもよい。
【0060】
また、部分接着部26は、手指で剥がせる程度の弱シールとしてもよい。すなわち、部分接着部26の接着強度(シール強度)が、部分接着部26により接着される部分を手指で引き剥がせる程度の強度としてもよい。より具体的には、部分接着部26の接着強度は、折込部14の頂部14aと、主面部11(および/または主面部12)とを手指で引き剥がせる程度の強度としてもよい。これにより、ガゼット袋1を開封した後、部分接着部26による接着部分を手指で引き剥がすことが可能となり、ガゼット袋1の開口を広げることができる。すなわち、部分接着部26を設けた場合でも、開口部が大きいというガゼット袋の特徴を維持することができる。なお、弱シールの接着強度は、流通段階で容易に剥がれず、かつ開封後手指で剥がせる程度とすることが好ましい。具体的には、0.5〜20N/15mm巾であることが好ましく、2〜10N/15mm巾であることがより好ましい。これらの数値範囲の値は、日本工業規格JIS Z 0238に記載の「袋のヒートシール強さ試験」に準拠して測定した場合における測定値である。
【0061】
また、開封開始部31から折込部13の頂部13aまで延在する端側開封補助部41aの引裂き抵抗が、頂部13aから折込部14の頂部14aまで延在する中央開封補助部41bの引裂き抵抗よりも小さいようにしてもよい。これにより、開封当初の引裂き速度を維持し、よりスムーズにガゼット袋1を開封することができる。この場合、例えば、端側開封補助部41aは実線とし、中央開封補助部41bはミシン目とする。なお、ミシン目であっても、切れ目の間隔が切れ目の長さよりも短い場合、引裂き時に応力が集中し易くなり、実線に比べて引裂き抵抗が低下する。よって、この場合は、端側開封補助部41aをミシン目とし、中央開封補助部41bを実線としてもよい。
【0062】
また、開封補助部41と開封補助部42とが、少なくとも一部において正面視して重ならないようにしてもよい。これにより、ガゼット袋1を開封した後、主面部11の上端と主面部12の上端との間に段差が生じることになるため、この段差を利用してガゼット袋1を手指で容易に開口することができる。すなわち、ガゼット袋1の易開口性を向上させることができる。なお、このようにする場合において、易開封性を維持するために、部分接着部26において開封補助部41と開封補助部42とが正面視してほぼ重なるようにすることが好ましい。すなわち、開封補助部41および開封補助部42が、少なくとも部分接着部26においては正面視してほぼ重なるようにすることが好ましい。
【0063】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態に係るガゼット袋1Aについて、図5図6を参照して説明する。図5は本実施形態に係るガゼット袋1Aの上側部分の斜視図を示し、図6はガゼット袋1Aの引裂き予定線に沿う断面図を示している。なお、図5は、図2と同様に、内容物を充填する前のガゼット袋を示している。
【0064】
第2の実施形態の第1の実施形態との相違点は、左右対称の構成を有しており、左右いずれからでも開封できる点である。以下、第1の実施形態との相違点を中心に第2の実施形態について説明する。
【0065】
ガゼット袋1Aは、第1の実施形態のガゼット袋1と同様に、主面部11および12と、折込部13および14と、シール部21〜24と、部分接着部26と、開封開始部31および32とを備えている。
【0066】
さらに、ガゼット袋1Aは、図5に示すように、開封開始部33(第3の開封開始部)と、開封開始部34(第4の開封開始部)と、部分接着部25とを備えている。開封開始部33と開封開始部34は、正面視してほぼ重なるように設けられている。開封開始部33はシール部23に設けられており、開封開始部34はシール部24に設けられている。より一般的に言えば、開封開始部33は主面部11と折込部14との接続部分に設けられており、開封開始部34は主面部12と折込部14との接続部分に設けられている。
【0067】
図5および図6に示すように、折込部13の頂部13aと、主面部11とは、部分接着部25(第2の部分接着部)により部分的に接着されている。本実施形態では、折込部13の頂部13aと、主面部11とは、互いの熱融着層により部分的に熱融着されている。すなわち、部分接着部25は、折込部13の頂部13aと、主面部11とを部分的に熱融着する。なお、部分接着部25は、熱融着に限られず、粘着剤または接着剤により、折込部13の頂部13aと、主面部11とを部分的に接着してもよい。
【0068】
図5に示すように、開封補助部41は、開封開始部31から引裂き予定線に沿って開封開始部33まで延在し、途中で部分接着部25を通過する。開封補助部42は、開封開始部32から引裂き予定線に沿って開封開始部34まで延在している。開封補助部44は、開封開始部33から開封開始部34まで延在している。
【0069】
なお、部分接着部26の場合と同様に、部分接着部25は、折込部13の頂部13aと、主面部12とを熱融着してもよい。この場合、開封補助部42は、開封開始部34から引裂き予定線に沿って折込部13に向かって延在し、かつ部分接着部25を通過する。
【0070】
また、部分接着部25と部分接着部26は、広い開口を確保できるようにするために、主面部11および12のうち、同じ主面部に形成されることが好ましい。換言すれば、例えば部分接着部25が折込部13の頂部13aと主面部11とを接着する場合、部分接着部26は折込部14の頂部14aと主面部11とを接着することが好ましい。
【0071】
また、部分接着部26の場合と同様に、部分接着部25は、手指で剥がせる程度の弱シールとしてもよい。すなわち、部分接着部25の接着強度が、部分接着部25により接着される部分を手指で引き剥がせる程度の強度としてもよい。これにより、ガゼット袋1を開封した後、部分接着部25による接着部分を手指で引き剥がすことで、ガゼット袋1の開口を広げることができる。
【0072】
上記のように、第2の実施形態に係るガゼット袋1Aは左右対称の構成を有するため、左右のいずれからでも開封することができる。すなわち、開封方向が限定されない。具体的には、第1の実施形態の場合のように開封開始部31,32からシール部23,24に向けて開封できるだけでなく、開封開始部33,34からシール部21,22に向けて開封することもできる。これにより、第2の実施形態によれば、より開封し易いガゼット袋を提供することができる。
【0073】
以下、上述したガゼット袋1,1Aの開封開始部、開封補助部の変形例について、図7を参照して、開封開始部31、開封補助部41の場合を例に取って説明する。開封開始部は、Iノッチ以外に、図7(a)に示すように、亀甲ノッチでもよい。また、図7(b)および図7(c)に示すように、開封開始部は、シール部に、微細なミシン目を複数列形成することにより形成されたものでもよい。その他、シール部に、多数の針穴を形成したり、あるいは粗面加工を施して微細な傷痕を形成することにより開封開始部を形成してもよい。
【0074】
開封開始部の形成領域については、図7(b)に示すように、シール部21の縦方向全体にわたって開封開始部を形成してもよい。ただし、この場合は、「開封口」、「切り口」等、開封開始部が分かるような表示をしておく必要がある。
【0075】
開封補助部は、複数本のガイド線から構成されてもよい。例えば、図7(a)、図7(b)および図7(c)に示すように、開封補助部として、端側開封補助部41aに加えて、端側開封補助部45および46を設けてもよい。端側開封補助部45および46は、開封補助部41に(好ましくは部分接着部25に)合流するように形成されている。これにより、開封時に引裂き線が端側開封補助部41aから外れた場合であっても、端側開封補助部45,46のガイド機能により引裂き線は開封補助部41へと誘導される。その結果、ガゼット袋をより安定して開封することができる。
【0076】
また、図示しないが、中央開封補助部41bに平行に延在し、部分接着部26に達する開封補助部を1本以上設けてもよい。これにより、引裂き線を部分接着部26により確実に導くことができる。
【0077】
上記の記載に基づいて、当業者であれば、本発明の追加の効果や種々の変形を想到できるかもしれないが、本発明の態様は、上述した実施形態に限定されるものではない。特許請求の範囲に規定された内容及びその均等物から導き出される本発明の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲で種々の追加、変更及び部分的削除が可能である。
【符号の説明】
【0078】
1,1A ガゼット袋
11,12 主面部
13,14 折込部
13a,14a 頂部
15 底面部
21,22,23,24 シール部
25,26 部分接着部
31,32,33,34 開封開始部
41,42,43,44 開封補助部
41a,41c,45,46 端側開封補助部
41b 中央開封補助部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7