特許第6878041号(P6878041)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6878041
(24)【登録日】2021年5月6日
(45)【発行日】2021年5月26日
(54)【発明の名称】発熱部品の放熱構造
(51)【国際特許分類】
   H05K 7/20 20060101AFI20210517BHJP
   H01F 30/10 20060101ALI20210517BHJP
   H01F 37/00 20060101ALI20210517BHJP
   H01F 27/02 20060101ALI20210517BHJP
【FI】
   H05K7/20 B
   H01F30/10 M
   H01F30/10 S
   H01F37/00 N
   H01F37/00 S
   H01F27/02 150
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-30648(P2017-30648)
(22)【出願日】2017年2月22日
(65)【公開番号】特開2018-137331(P2018-137331A)
(43)【公開日】2018年8月30日
【審査請求日】2019年9月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002037
【氏名又は名称】新電元工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100160093
【弁理士】
【氏名又は名称】小室 敏雄
(72)【発明者】
【氏名】山田 賢胤
(72)【発明者】
【氏名】平島 光
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 智司
【審査官】 五貫 昭一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−174468(JP,A)
【文献】 特開2007−75599(JP,A)
【文献】 特開平11−266089(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 7/20
H01F 27/02
H01F 30/10
H01F 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通電によって発熱する発熱部品と、
前記発熱部品を収容する有底筒状の放熱用ケースと、を備え、
前記放熱用ケースは、
前記放熱用ケースの内周面に形成された平板状の複数の第一吸熱フィンと、
前記放熱用ケースの底面に形成された平板状の複数の第二吸熱フィンと、を有し、
前記複数の第二吸熱フィンはそれぞれ、前記第二吸熱フィンの両端部が当該両端部側に位置する前記第一吸熱フィンと繋がって一体になっている発熱部品の放熱構造。
【請求項2】
前記第一吸熱フィン及び前記第二吸熱フィンの少なくともいずれかの吸熱フィンは、当該吸熱フィンの板厚寸法が当該吸熱フィンの長手方向における一端から他端に向かうにしたがって小さくなる形状になっている請求項1に記載の発熱部品の放熱構造。
【請求項3】
前記第一吸熱フィン及び前記第二吸熱フィンの少なくともいずれかの吸熱フィンは、当該吸熱フィンの板厚寸法が当該吸熱フィンの突出方向の先端に向かうにしたがって小さくなる先細り形状になっている請求項1に記載の発熱部品の放熱構造。
【請求項4】
前記放熱用ケースの外面に、複数の放熱フィンが設けられている請求項1〜3のいずれかに記載の発熱部品の放熱構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、発熱部品の放熱構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電源装置に用いられるトランスなどのように通電によって発熱する発熱部品は、放熱シートや樹脂等の部品(介在部品)を介してヒートシンク等の放熱部材に接触させるように配されている。例えば、特許文献1には、トランス(発熱部品)をヒートシンク上に配した上で、取付部材によってトランスをヒートシンクとの間に挟み込んで固定し、取付部材とトランスとの間に放熱シート(介在部品)を設けた構造が開示されている。この構造では、トランスの熱を、トランスの下面からヒートシンクに逃がすと共に、トランスの上面から放熱シート及び取付部材を介してヒートシンクに逃がすことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009―206308号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の構造では、発熱部品と放熱部材との間に放熱シート等の介在部品が介在するため、発熱部品の放熱に要する部品点数が多くなってしまう、という問題がある。部品点数が多いと、上記構造を含む製品の製造工数が多くなってしまう。また、部品点数や製造工数が多いと、製品の製造コストが高くなる、という問題が生じる。
また、上記従来の構造では、取付部材とヒートシンクとの間に発熱部品を挟み込むため、発熱部品に対して負荷がかかり、好ましくない。
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みたものであって、発熱部品の放熱に要する部品点数を減らすことができ、かつ、発熱部品に負荷がかかることも防止できる発熱部品の放熱構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、通電によって発熱する発熱部品と、前記発熱部品を収容する有底筒状の放熱用ケースと、を備え、前記放熱用ケースは、前記放熱用ケースの内周面に形成された平板状の複数の第一吸熱フィンと、前記放熱用ケースの底面に形成された平板状の複数の第二吸熱フィンと、を有し、前記複数の第二吸熱フィンはそれぞれ、前記第二吸熱フィンの両端部が当該両端部側に位置する前記第一吸熱フィンと繋がって一体になっている発熱部品の放熱構造である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、放熱用ケースの内面に凹凸面が形成されていることで、発熱部品において発生した熱を、熱放射(熱輻射)によって効率よく放熱用ケースに逃がすことができる。これにより、発熱部品と放熱用ケースとの間に従来のような、発熱部品の放熱に要する部品点数を削減できる。また、部品点数が減ることで、放熱構造を含む製品の製造工数も減らすことができる。したがって、放熱構造を含む製品の製造コスト削減を図ることができる。
さらに、本発明によれば、発熱部品が放熱用ケースの内面に対して間隔をあけて配されるため、発熱部品に負荷がかかることも防止できる。したがって、放熱構造を含む製品の信頼性向上も図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の第一実施形態に係る発熱部品の放熱構造を放熱用ケースの開口側から見た平面図である。
図2図1のII−II矢視断面図である。
図3図1のIII−III矢視断面図である。
図4】本発明の他の実施形態に係る発熱部品の放熱構造を構成する放熱用ケースの要部を示す断面図である。
図5】本発明の他の実施形態に係る発熱部品の放熱構造を構成する放熱用ケースの要部を、放熱用ケースの開口側から見た平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
〔第一実施形態〕
以下、図1−3を参照して本発明の第一実施形態について説明する。
図1−3に示すように、本実施形態に係る発熱部品の放熱構造は、発熱部品1と、放熱用ケース2と、を備える。
【0010】
発熱部品1は、通電により発熱する部品である。発熱部品1は、例えば電源装置等の製品に設けられるトランスやチョークコイル等の巻線部品であってよい。本実施形態の発熱部品1は、本体部11と、本体部11の表面に設けられた端子12と、を備える。
【0011】
本体部11は、通電によって主に発熱する部分であり、所定の容積を有する塊である。本体部11は任意の形状に形成されてよいが、本実施形態では直方体に形成されている。
端子12は、本体部11を、発熱部品1と共に電源装置等の製品の回路を構成する回路基板3に電気接続するものである。端子12は任意の形状に形成されてよいが、本実施形態では本体部11から延びる棒状に形成されている。複数の端子12は、本体部11から同じ方向に延びている。また、複数の端子12は、本体部11の同一の平坦面(上面)に設けられている。
【0012】
放熱用ケース2は、上記した発熱部品1を収容する有底筒状に形成されている。放熱用ケース2には、例えば発熱部品1以外の電気部品、電子部品(発熱部品1と共に製品の回路を構成する電気部品、電子部品)が収容されてもよいが、本実施形態では発熱部品1だけが収容される。本実施形態の放熱用ケース2は、主に発熱部品1の本体部11を収容する。
【0013】
放熱用ケース2の内面21には、凹凸面22が形成されている。凹凸面22は、放熱用ケース2の内面21のうち、少なくとも放熱用ケース2に収容された発熱部品1(本体部11)の表面において熱が放射される領域に対向する領域に形成されればよい。すなわち、凹凸面22は、放熱用ケース2の内面21の少なくとも一部に形成されればよい。本実施形態において、凹凸面22は、放熱用ケース2の内面21全体に形成されている。
【0014】
本実施形態において放熱用ケース2の凹凸面22は、放熱用ケース2の内側に突出する複数の吸熱フィン24によって構成されている。すなわち、本実施形態の放熱用ケース2は、放熱用ケース2の凹凸面22と比較して平坦な内面を有する有底筒状のケース本体23と、ケース本体23の内面から突出する複数の吸熱フィン24と、を備える。
複数の吸熱フィン24は、例えばケース本体23と別個に形成された上で、ケース本体23に固定されてもよいが、本実施形態では、ケース本体23と一体に形成されている。
【0015】
ケース本体23における平坦な内面には、単純な平坦面だけではなく、湾曲した面(曲面)、例えば曲率が比較的小さな曲面などが含まれてもよい。ケース本体23の内面は、任意の形状に形成されてよいが、本実施形態では発熱部品1(特に本体部11)の形状に倣う形状に形成されている。より具体的に、本実施形態におけるケース本体23の内面は、発熱部品1の本体部11を放熱用ケース2に収容した状態で、直方体とされた発熱部品1の本体部11の五つの平坦面とそれぞれ平行するように対向し得る五つの平坦面(内周面23a、底面23b)を有する。
また、ケース本体23の外観は、任意の形状に形成されてよいが、本実施形態では発熱部品1の本体部11の形状に倣う形状に形成されている。すなわち、本実施形態のケース本体23の外観は、一つの面を開口部とした直方体状に形成されている。
【0016】
本実施形態において、各吸熱フィン24は平板状に形成されている。各吸熱フィン24の幅方向は、吸熱フィン24がケース本体23の内面から内側に突出する方向(突出方向)であり、各吸熱フィン24の長手方向は、ケース本体23の内面(放熱用ケースの内面21)に沿って延びる方向である。また、各吸熱フィン24の板厚方向は、各吸熱フィン24の幅方向及び長手方向に直交する方向である。
【0017】
本実施形態の吸熱フィン24は、放熱用ケース2の内周部(ケース本体23の内周面23a)に配された複数の第一吸熱フィン24Aを含む。
各第一吸熱フィン24Aは、放熱用ケース2の開口端2Aから底部2Bに向けて延びている。各第一吸熱フィン24Aの長手方向の一端は、放熱用ケース2の開口端2Aに到達している。また、各第一吸熱フィン24Aの長手方向の他端は、放熱用ケース2の底部2Bに到達している。各第一吸熱フィン24Aの長手方向は、例えば放熱用ケース2の開口端2Aから底部2Bに向かう方向(放熱用ケース2の深さ方向)に対して傾斜してもよいが、本実施形態では放熱用ケース2の深さ方向に一致している。
複数の第一吸熱フィン24Aは、放熱用ケース2の周方向に間隔をあけて配列されている。本実施形態において、各第一吸熱フィン24Aは、その板厚方向が複数の第一吸熱フィン24Aの配列方向に一致するように配されている。
【0018】
また、本実施形態の吸熱フィン24は、放熱用ケース2の底部2B(ケース本体23の底面23b)に配された複数の第二吸熱フィン24Bも含む。
各第二吸熱フィン24Bは、ケース本体23の底面23bに沿って延びている。複数の第二吸熱フィン24Bは、その長手方向が互いに一致するように(互いに平行するように)間隔をあけて配列されている。
【0019】
各第二吸熱フィン24Bの長手方向の両端には、前述した複数の第一吸熱フィン24Aのうち一部の第一吸熱フィン24Aが接続されている。すなわち、一つの第二吸熱フィン24Bと二つの第一吸熱フィン24Aとが、一体に形成されている。一体に形成された一つの第二吸熱フィン24B及び二つの第一吸熱フィン24Aは、放熱用ケース2に収容された発熱部品1(特に本体部11)を囲む弓状に形成された弓状吸熱フィン25を構成している。
弓状吸熱フィン25は、吸熱フィン24の板厚方向に間隔をあけて複数(二つ以上)配列されている。複数の弓状吸熱フィン25は、互いに平行している。
【0020】
弓状吸熱フィン25を構成しない残りの第一吸熱フィン24Aは、弓状吸熱フィン25に対して間隔をあけて配されている。具体的に、放熱用ケース2の底部2B側に位置する残りの第一吸熱フィン24Aの端部は、弓状吸熱フィン25(第二吸熱フィン24B)に対して間隔をあけて位置している。
【0021】
また、本実施形態では、放熱用ケース2の内面21のうち少なくとも凹凸面22が、電気的な絶縁性を有する。
例えば、吸熱フィン24の表面だけが電気的な絶縁性を有してもよいし、吸熱フィン24の表面を含む放熱用ケース2の凹凸面22、又は、放熱用ケース2の内面21全体だけが、電気的な絶縁性を有してもよい。具体的には、放熱用ケース2が導電性を有する材料(例えば銅やアルミニウム)によって構成され、吸熱フィン24の表面やこれを含む放熱用ケース2の内面21に、絶縁性を有する塗料などからなる薄膜が形成されてよい。また、例えば、吸熱フィン24や、吸熱フィン24を含む放熱用ケース2が電気的な絶縁性を有する材料によって構成されてもよい。
【0022】
また、本実施形態では、放熱用ケース2の内面21のうち少なくとも凹凸面22が、黒色である。例えば、放熱用ケース2の内面21全体が黒色であってもよい。凹凸面22やこれを含む放熱用ケース2の内面21全体を黒色とするためには、例えば、放熱用ケース2自体を黒色の材料によって構成してもよいし、黒色ではない放熱用ケース2を形成した上で、放熱用ケース2の凹凸面22や内面21全体に、黒色の薄膜を形成してもよい。
【0023】
さらに、本実施形態では、放熱用ケース2の外面に、複数の外側放熱フィン26が設けられている。複数の外側放熱フィン26は、互いに間隔をあけて配列されている。各外側放熱フィン26は、例えば棒状に形成されてもよいが、本実施形態では板状に形成されている。複数の外側放熱フィン26は、その板厚方向に間隔をあけて配列されている。
【0024】
複数の外側放熱フィン26は、例えば放熱用ケース2(ケース本体23)に一体に形成されてもよいが、本実施形態では放熱用ケース2と別個に形成された上で、放熱用ケース2の外面にネジ止め等によって固定されている。具体的に、複数の外側放熱フィン26は、ベース部31に一体に形成され、ベース部31と共にヒートシンク30を構成している。図示例のベース部31は平板状に形成されているが、これに限ることはない。ベース部31は、少なくとも放熱用ケース2の外面に面接触する形状に形成されればよい。
外側放熱フィン26は、図示例のように放熱用ケース2の底部2Bに対応する外面に限らず、例えば放熱用ケース2の側部に対応する外面に設けられてもよい。
【0025】
上記した放熱用ケース2や、外側放熱フィン26を含むヒートシンク30は、熱伝導率が高い材料(例えば銅やアルミニウムなど)によって構成されることが好ましい。
【0026】
本実施形態に係る発熱部品の放熱構造において、放熱用ケース2に収容された発熱部品1(特に本体部11)は、放熱用ケース2の凹凸面22に対して間隔をあけて配されている。具体的に、発熱部品1は、放熱用ケース2の凹凸面22をなす吸熱フィン24の突出方向の先端に対して間隔をあけて配されている。凹凸面22と発熱部品1との間隔は、小さい方がより好ましい。また、発熱部品1と吸熱フィン24との間隔は、複数の吸熱フィン24の間で、互いに等しいとよい、又は、差が小さいとよい。
【0027】
また、本実施形態の放熱構造では、発熱部品1の端子12が放熱用ケース2の外側に突出するように、発熱部品1の本体部11が放熱用ケース2に収容されている。さらに、発熱部品1の端子12に接続された回路基板3は、放熱用ケース2の開口を覆うように配されている。回路基板3は、例えば放熱用ケース2の開口端2Aに接触してもよい、すなわち放熱用ケース2の開口を塞いでもよいが、本実施形態では放熱用ケース2の開口端2Aに対して間隔をあけて配されている。放熱用ケース2の開口端2Aと回路基板3との間隔は狭い方が好ましい。
本実施形態の放熱構造において、発熱部品1を放熱用ケース2の凹凸面22と間隔をあけて配するためには、例えば、放熱用ケース2の開口端2Aと回路基板3との間にスペーサを挟み込んだり、回路基板3をヒートシンク30のベース部31で支持したりすればよい。
【0028】
本実施形態の放熱構造において、放熱用ケース2の外側には、発熱部品1と共に製品の回路を構成する各種の電気部品、電子部品(不図示)が配されている。言い換えれば、発熱部品1と各種の電気部品、電子部品との間に、放熱用ケース2が介在している。これら電気部品、電子部品は、例えば、回路基板3のうち放熱用ケース2の外側の領域に搭載されていてもよい。
【0029】
次に、上記した本実施形態の放熱構造の作用について説明する。
通電により発熱部品1において発生した熱は、発熱部品1の表面(特に本体部11の表面)から放射され、発熱部品1の表面に対向する放熱用ケース2の内面21に伝えられる。すなわち、発熱部品1において発生した熱は、熱放射(熱輻射)によって放熱用ケース2に伝えることができる。
また、発熱部品1から放熱用ケース2に伝わった熱は、放熱用ケース2の外面から放熱用ケース2の外側の空気中に放散させることができる。例えば、ファン等を用いて放熱用ケース2の外側において空気を流すことで、放熱用ケース2の熱を放熱用ケース2の外側の空気中に放散できる。
【0030】
本実施形態の放熱構造によれば、以下の効果を奏する。
本実施形態の放熱構造では、発熱部品1の表面に対向する放熱用ケース2の内面21に、凹凸面22が形成されている。これにより、放熱用ケース2の内面21の面積が増加するため、発熱部品1の表面から放射された熱を効率よく放熱用ケース2の内面21に伝えることができる。すなわち、発熱部品1において発生した熱を、熱放射(熱輻射)によって効率よく放熱用ケース2に逃がすことができる。したがって、発熱部品1と放熱用ケース2との間に従来のような介在部品を介在させる必要が無くなり、発熱部品1の放熱に要する部品点数を削減できる。また、部品点数が減ることで、放熱構造を含む製品の製造工数も減らすことができるため、放熱構造を含む製品の製造コスト削減を図ることができる。
【0031】
さらに、本実施形態の放熱構造によれば、発熱部品1が放熱用ケース2の内面21に対して間隔をあけて配されている。このため、発熱部品1に負荷がかかることも防止できる。したがって、放熱構造を含む製品の信頼性向上も図ることができる。
【0032】
また、本実施形態の放熱構造では、発熱部品1が放熱用ケース2内に収容されている。これにより、放熱用ケース2から熱を逃がすために放熱用ケース2の外側において空気を流しても、発熱部品1を塵埃などから保護することができる。したがって、放熱構造を含む製品の信頼性向上を図ることができる。
【0033】
また、本実施形態の放熱構造では、放熱用ケース2の凹凸面22が複数の吸熱フィン24によって構成されている。このため、放熱用ケース2における凹凸面22の面積を効果的に増やすことができる。これにより、発熱部品1の表面から放射された熱を効率よく放熱用ケース2に伝えることができる。
【0034】
また、本実施形態の放熱構造では、放熱用ケース2のうち少なくとも凹凸面22が、電気的な絶縁性を有する。このため、放熱用ケース2の凹凸面22を発熱部品1に近づけても、放熱用ケース2と発熱部品1との間で電気的な短絡が発生することを防止できる。また、放熱用ケース2の凹凸面22を発熱部品1に近づけることができることで、発熱部品1の表面から放射された熱を効率よく放熱用ケース2に伝えることができる。
【0035】
また、本実施形態の放熱構造では、放熱用ケース2のうち少なくとも凹凸面22が、黒色である。これにより、発熱部品1の表面から放射された熱を凹凸面22において効率よく吸収することができる。すなわち、発熱部品1の熱を効率よく放熱用ケース2に伝えることができる。
【0036】
また、本実施形態の放熱構造では、放熱用ケース2の外面に、複数の外側放熱フィン26が設けられている。このため、ファン等により放熱用ケース2の外側において空気を積極的に流すことで、放熱用ケース2から外側放熱フィン26に伝わった熱を、効率よく放熱用ケース2の外側の空気中に放散することができる。これにより、発熱部品1を効率よく冷却することができる。
発熱部品1をさらに効率よく冷却するためには、隣り合う外側放熱フィン26の間に空気が流れるように、放熱用ケース2の外側における空気の流れ方向を、外側放熱フィン26の長手方向とすることがより好ましい。
【0037】
また、本実施形態の放熱構造では、第一吸熱フィン24Aが、放熱用ケース2の開口端2Aから底部2Bに向けて延びている。また、複数の第一吸熱フィン24Aが、放熱用ケース2の周方向に間隔をあけて配列されている。これにより、隣り合う第一吸熱フィン24Aの間には、放熱用ケース2の底部2B側から開口端2Aまで延びて放熱用ケース2の外側に開口する溝(凹部)が形成される。
このため、発熱部品1と放熱用ケース2との間に空気が介在し、発熱部品1の熱放射に伴って発熱部品1と放熱用ケース2の内面21との間で空気の流れ(熱対流)が生じた場合には、発熱部品1と放熱用ケース2との間に介在する空気が溝の長手方向に流れやすくなる。これにより、空気が放熱用ケース2の内側と外側との間で流れやすくなり、発熱部品1の熱を放熱用ケース2の外側に効率よく逃がすことができる。
【0038】
また、本実施形態の放熱構造では、二つの第一吸熱フィン24A及び一つの第二吸熱フィン24Bによって弓状吸熱フィン25が構成されている。また、弓状吸熱フィン25が、吸熱フィン24の板厚方向に間隔をあけて複数配列されている。これにより、隣り合う弓状吸熱フィン25の間に形成される溝(凹部)の長手方向の両端が、放熱用ケース2の開口端2Aから放熱用ケース2の外側に開口する。
このため、発熱部品1と放熱用ケース2との間に空気が介在し、発熱部品1の熱放射に伴って発熱部品1と放熱用ケース2との間で空気の流れ(熱対流)が生じた場合には、空気が、放熱用ケース2の外側に開口する溝の長手方向の一端から他端まで流れやすくなる。これにより、放熱用ケース2の底部2Bに対向する発熱部品1の表面から放射された熱を、放熱用ケース2の外側に効率よく逃がすことができる。
【0039】
また、本実施形態の実装構造では、発熱部品1が放熱用ケース2に収容され、放熱用ケース2の外側に、発熱部品1と共に製品の回路を構成する各種の電気部品、電子部品(不図示)が配されている。すなわち、発熱部品1と各種の電気部品、電子部品との間に、放熱用ケース2が介在している。また、発熱部品1において発生した熱は、前述したように、熱放射(熱輻射)によって効率よく放熱用ケース2に伝わる。このため、発熱部品1において発生した熱が、各種の電気部品、電子部品に直接伝わることを防止できる。したがって、各種の電気部品、電子部品が発熱部品1において発生した熱の影響を受けることを防ぎ、各種の電気部品、電子部品の保護を図ることができる。言い換えれば、発熱部品1及び各種の電気部品、電子部品によって構成される製品の回路を保護することができる。
【0040】
以上、本発明の詳細について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることができる。
【0041】
本発明において、吸熱フィン24は、平板状に形成されることに限らず、少なくとも板状に形成されればよい。吸熱フィン24は、例えば図4,5に示すように、板厚方向の寸法(板厚寸法)が吸熱フィン24の幅方向や長手方向において変化する板状に形成されてもよい。
【0042】
図4に例示する吸熱フィン24は、その板厚寸法(図4において左右方向の寸法)が吸熱フィン24の長手方向(図4において上下方向)において変化する板状に形成されている。具体的には、吸熱フィン24の板厚寸法が、吸熱フィン24の長手方向における吸熱フィン24の一端から吸熱フィン24の他端に向かうにしたがって小さくなっている。また、図4に例示する吸熱フィン24は第一吸熱フィン24Aであり、第一吸熱フィン24Aの板厚寸法が、放熱用ケース2の底部2Bから開口端2Aに向かうにしたがって小さくなっている。図4に例示する吸熱フィン24は第一吸熱フィン24Aであるが、例えば第二吸熱フィン24Bであってもよい。
【0043】
図5に例示する吸熱フィン24は、その板厚寸法(図5において左右方向の寸法)が吸熱フィン24の幅方向(図5において上下方向;吸熱フィン24の突出方向)において変化する板状に形成されている。具体的には、吸熱フィン24が、吸熱フィン24の突出方向の先端に向かうにしたがって小さくなる先細り状に形成されている。図5に例示する吸熱フィン24は第一吸熱フィン24Aであるが、例えば第二吸熱フィン24Bであってもよい。
【0044】
吸熱フィン24の板厚寸法が幅方向や長手方向に変化している場合には、吸熱フィン24の板厚寸法が一定である場合(吸熱フィン24が平板状である場合)と比較して、放熱用ケース2における凹凸面22の面積を効果的に増やすことができる。具体的には、板厚方向に向く吸熱フィン24の主面の面積を増やすことができる。これにより、発熱部品1から放射された熱を効率よく吸熱フィン24に伝えることができる。
【0045】
また、図5に例示したように、吸熱フィン24が、吸熱フィン24の突出方向の先端に向かうにしたがって小さくなる先細り状に形成されている場合には、発熱部品1の表面に対向する吸熱フィン24の面積(射影面積)を効果的に増やすことができる。これにより、発熱部品1から放射された熱をさらに効率よく吸熱フィン24に伝えることができる。
【0046】
本発明において、放熱用ケース2の凹凸面22は、複数の吸熱フィン24に限らず、例えば放熱用ケース2の内側に突出する複数の突起によって構成されてもよい。突起は、棒状、半球体状など任意の形状に形成されてよい。この場合、複数の突起は、例えば互いに間隔をあけて配列されればよい。また、突起は、図5に例示した吸熱フィン24と同様に先細り状に形成されてもよい。
【符号の説明】
【0047】
1 発熱部品
2 放熱用ケース
2A 開口端
2B 底部
21 内面
22 凹凸面
24 吸熱フィン
24A 第一吸熱フィン
24B 第二吸熱フィン
25 弓状吸熱フィン
26 外側放熱フィン
図1
図2
図3
図4
図5