(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記架台支持部のうち少なくとも一つに設けられ、前記架台本体がインタロックされた状態において前記架台本体のインタロックを解除する解除指示と、前記架台本体を移動させる移動指示とを入力する操作部をさらに具備し、
前記架台駆動装置は、前記解除指示の後に入力された前記移動指示に応じて、前記架台本体を上昇させる、
請求項3に記載の医用画像診断装置。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら本実施形態に係る医用画像診断装置について説明する。なお、以下の説明において、略同一の機能及び構成を有する構成要素については、同一符号を付し、重複説明は必要な場合にのみ行う。以下、説明を具体的にするために、本医用画像診断装置として、X線コンピュータ断層撮影装置を一例として説明する、なお、本実施形態に係る医用画像診断装置は、X線コンピュータ断層撮影装置に限定されず、MRI(Magnetic Resonance Imaging:磁気共鳴イメージング)装置、PET(Positron Emission Tomography)装置及びSPECT(Single Photon Emission Computed Tomography)装置、PET―MR装置、PET−CT装置、SPECT−MR装置、SPECT−CT装置等の貫通した開口を有する架台を用いて被検体を撮像可能なモダリティであってもよい。
【0009】
図1は、本実施形態におけるX線コンピュータ断層撮影装置1の構成を示す図である。
図1に示すように、本実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置1は、架台装置10とコンソール100とを有する。例えば、架台装置10はCT撮影室に設置され、コンソール100はCT撮影室に隣接する制御室に設置される。架台装置10とコンソール100とは互いに通信可能に有線又は無線で接続されている。架台装置10は、立位及び座位の被検体に対してX線コンピュータ断層撮影(以下、X線CT撮影と呼ぶ)を実行するための構成を有するスキャン装置である。コンソール100は、架台装置10等を制御するコンピュータを有する。
図1に示すように、架台装置10は、架台本体11と、複数の支柱(架台支持部)13と、架台制御回路(架台制御部)25と、架台駆動装置27と、操作パネル28と、位置検出器(エンコーダ29、架台検出センサ30)とを有する。
【0010】
架台本体11は、アルミニウム等の金属により形成された不図示のメインフレームと、中心軸A1回りに軸受等を介して回転可能にメインフレームにより支持された回転フレーム21とを有する。メインフレームと回転フレーム21との接触部分には不図示の環状電極が設けられる。メインフレーム側の接触部分には環状電極に摺り接触するように導電性の不図示の摺動子が取り付けられる。回転フレーム21は、アルミニウム等の金属により円環形状に形成された金属枠である。回転フレーム21には、X線管17とX線検出器19とが取付けられている。
【0011】
回転フレーム21は、回転駆動装置23から供給された動力を受けて、開口15の中心軸A1回りに一定の角速度で回転する。回転駆動装置23は、架台制御回路25による制御に従って回転フレーム21を回転させるための動力を発生する。具体的には、回転駆動装置23は、架台制御回路25からの駆動信号のデューティ比等に応じた回転速度で駆動することにより動力を発生する。回転駆動装置23は、例えば、ダイレクトドライブモータやサーボモータ等のモータにより実現される。回転駆動装置23は、例えば、架台本体11に収容されている。
【0012】
図1に示すように、X線管17は、高電圧発生器31からの高電圧の印加を受けてX線を発生する。高電圧発生器31は、例えば、回転フレーム21に取付けられている。高電圧発生器31は、架台装置10における不図示の電源装置から環状電極を介して供給された電力により、架台制御回路25による制御に従って高電圧を発生する。高電圧発生器31とX線管17とは不図示の高圧ケーブルにより電気的に接続されている。高電圧発生器31により発生された高電圧は、高圧ケーブルを介してX線管17に印加される。
【0013】
X線検出器19は、X線管17から発生され被検体Pを透過したX線を検出する。X線検出器19は、二次元湾曲面に配列された複数の不図示のX線検出素子を有する。X線検出素子各々は、検出したX線を、検出したX線の強度に応じた波高値を有する電気信号に変換する。X線検出素子各々は、例えば、シンチレータと光電変換素子とを有する。シンチレータはX線の入射により、蛍光を発生する。光電変換素子は、発生された蛍光を電荷パルスに変換する。電荷パルスはX線の強度に応じた波高値を有する。光電変換素子としては、具体的には、光電子増倍管やフォトダイオード等の蛍光を電気信号に変換する回路素子が用いられる。なお、本実施形態に係るX線検出器19としてはX線を一旦蛍光に変換してから電気信号に変換する間接変換型の検出器に限定されず、X線を直接的に電気信号に変換する直接変換型の検出器であってもよい。
【0014】
データ収集回路33は、被検体により減弱されたX線の強度を示すデジタルのデータをビュー毎に収集する。データ収集回路33は、例えば、複数のX線検出素子各々について設けられた積分回路とA/D変換器とが並列して実装された半導体集積回路により実現される。データ収集回路33は、架台本体11内においてX線検出器19に接続されている。積分回路は、X線検出素子からの電気信号を所定のビュー期間に亘り積分し、積分信号を生成する。A/D変換器は、生成された積分信号をA/D変換し、当該積分信号の波高値に対応するデータ値を有するデジタルデータを生成する。変換後のデジタルデータは、生データと呼ばれている。生データは、生成元のX線検出素子のチャンネル番号、列番号、及び収集されたビューを示すビュー番号により識別されたX線強度のデジタル値のセットである。生データは、例えば、架台本体11に収容された不図示の非接触データ伝送装置を介してコンソール100に出力される。
【0015】
架台制御回路25は、コンソール100からの指令に従い高電圧発生器31、回転駆動装置23、架台駆動装置27及びデータ収集回路33等を制御する。また、架台制御回路25は、操作パネル28からの指令に従い架台駆動装置27を制御する。架台制御回路25は、プログラムの実行により判定機能251を実現する。判定機能251については、後程詳述する。架台制御回路25は、ハードウェア資源として、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等の処理装置(プロセッサ)とROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等の記憶装置(メモリ)とを有する。また、架台制御回路25は、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)やフィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA)、他の複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)により実現されてもよい。当該処理装置は、当該記憶装置に保存されたプログラムを読み出して実現することで上記機能を実現する。なお、当該記憶装置にプログラムを保存する代わりに、当該処理装置の回路内にプログラムを直接組み込むように構成しても構わない。この場合、当該処理装置は、当該回路内に組み込まれたプログラムを読み出して実行することで上記機能を実現する。
【0016】
図1に示すように、コンソール100は、演算回路101、ディスプレイ(通知部)103、インタフェース回路(入力部)105及び記憶回路(記憶部、ストレージ(storage))107を有する。演算回路101、ディスプレイ103、インタフェース回路105及び記憶回路107間のデータ通信は、バスを介して行われる。
【0017】
演算回路101は、ハードウェア資源として、CPUやMPU、GPU(Graphics Processing Unit)等のプロセッサとROMやRAM等のメモリとを有する。演算回路101は、各種プログラムの実行により前処理機能111、再構成機能113、画像処理機能115及びシステム制御機能117を実現する。
【0018】
前処理機能111を実現する演算回路101は、架台装置10から伝送された生データに対数変換等の前処理を施す。前処理後の生データは投影データと呼ばれる。
【0019】
再構成機能113を実現する演算回路101は、前処理機能111により生成された投影データに基づいて被検体に関するCT値の空間分布を表現するCT画像を発生する。画像再構成のアルゴリズムとしては、FBP(filtered back projection)法や逐次近似再構成法等の既存の画像再構成アルゴリズムが用いられればよい。
【0020】
画像処理機能115を実現する演算回路101は、再構成機能113により再構成されたCT画像に種々の画像処理を施す。例えば、演算回路101は、当該CT画像にボリュームレンダリングや、サーフェスボリュームレンダリング、画像値投影処理、MPR(Multi−Planer Reconstruction)処理、CPR(Curved MPR)処理等の3次元画像処理を施して表示画像を生成する。
【0021】
システム制御機能117を実現する演算回路101は、本実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置1を統括的に制御する。具体的には、演算回路101は、記憶回路107に記憶されている制御プログラムを読み出してメモリ上に展開し、展開された制御プログラムに従ってX線コンピュータ断層撮影装置の各部を制御する。
【0022】
なお、前処理機能111、再構成機能113、画像処理機能115及びシステム制御機能117は、一の基板の演算回路101により実装されてもよいし、複数の基板の演算回路101により分散して実装されてもよい。
【0023】
ディスプレイ103は、2次元のCT画像や表示画像等の種々のデータを表示する。具体的には、ディスプレイ103は、表示対象を表すデータをビデオ信号に変換し、表示対象を表すビデオ信号を表示する。ディスプレイ103は、例えば、CRTディスプレイや液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、LEDディスプレイ、プラズマディスプレイ、又は当技術分野で知られている他の任意のディスプレイが適宜利用可能である。
【0024】
インタフェース回路105は、ユーザからの各種指令を入力する。具体的には、インタフェース回路105は、例えば、キーボードやマウス、各種スイッチ等が利用可能である。インタフェース回路105は、バスを介して、各種指令に対応する信号を演算回路101に出力する。なお、インタフェース回路105は、コンソール100だけではなく、架台装置10に設けられてもよい。
【0025】
記憶回路107は、種々の情報を記憶するHDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)、集積回路記憶装置等の記憶装置である。また、記憶回路107は、CD−ROMドライブやDVDドライブ、フラッシュメモリ等の可搬性記憶媒体との間で種々の情報を読み書きする駆動装置等であってもよい。例えば、記憶回路107は、CT画像や表示画像のデータを記憶する。記憶回路107は、本実施形態に係る制御プログラム等を記憶する。
【0026】
エンコーダ29は、例えば、ロータリー式のアブソリュートエンコーダ、リニア式のアブソリュートエンコーダなどである。架台本体11は、鉛直方向に沿った開口15を有する略円筒形状の構造体である。
図1に示すように、架台本体11は、開口15を挟んで対向するように配置されたX線管17とX線検出器19とを収容する。なお、架台本体11には、架台制御回路25が収容されてもよい。
【0027】
支柱13は、架台本体11を床面から離して支持する基体(スタンド)である。支柱13は、例えば、円柱形状や角柱形状等の柱状形状を有する。支柱13は、例えば、プラスチックや金属等の任意の物質により形成される。支柱13は、例えば、架台本体11の側面部に取付けられる。典型的には、支柱13は、架台本体11の両側部において、対向して複数設けられる。すなわち、複数の支柱13は、開口15の一端を床面に対向させるようにかつ架台本体11を挟んで、架台本体11を鉛直方向に沿って移動可能に支持する。ただし、本実施形態はこれに限定されない。例えば、3本以上の複数の支柱13が架台本体11の側面に設けられてもよい。
【0028】
なお、支柱13は、中心軸A1が床面に対して鉛直方向に位置するように架台本体11を支持することに限定されない。すなわち、支柱13は、床面に対して平行する水平軸(以下、チルト軸と呼ぶ)回りに回転可能に架台本体11を支持するように構成されてもよい。この場合、支柱13と架台本体11とは、架台本体11がチルト軸回りに回転可能に軸受等を介して接続されるとよい。これにより、立位撮影、座位撮影及び臥位撮影を一台の架台装置10で実行することが可能となる。
【0029】
図1に示すように、支柱13には架台本体11を鉛直方向に駆動させるための架台駆動装置27が収容されている。架台駆動装置27は、架台制御回路25からの制御に従って、架台本体11を鉛直方向に関して駆動させるための動力を発生する。具体的には、架台駆動装置27は、架台制御回路25からの駆動信号のデューティ比等に応じた回転速度で駆動することにより動力を発生する。支柱13は、架台駆動装置27からの動力を受けて、支柱13に対して架台本体11を鉛直方向に関して移動可能に支持する。すなわち、複数の架台駆動装置27は、架台制御回路25による制御の下で、鉛直方向に沿って架台本体11を移動させる。例えば、架台駆動装置27は、架台制御回路25による制御のもとで、インタフェース回路105または操作パネル28を介した操作者の指示に応じた速度で、架台本体11を移動させる。操作者の指示に応じた速度とは、例えば、架台本体11を被検体の撮像対象領域の近傍まで移動させる第1速度と、架台本体11の位置を撮像対象領域に合わせて調整するための第2速度である。このとき、第1速度は第2速度より大きい。なお、操作者の指示に応じた速度は上記2種の速度に限定されず、3つ以上の速度であってもよい。架台駆動装置27は、例えば、サーボモータ等のモータにより実現される。なお、架台駆動装置27は、支柱13に搭載されることに限定されず、例えば、架台本体11に収容されてもよい。
【0030】
操作パネル(操作部)28は、少なくとも一つの支柱13に設けられる。操作パネル28は、スイッチボタン、操作面へ触れることで入力操作を行うタッチパッド、および表示画面とタッチパッドとが一体化されたタッチパネルディスプレイ等により実現される。操作パネル28は、操作者から受け取った入力操作を電気信号へ変換し、架台制御回路25へ出力する。操作パネル28は、操作者の指示に応じた速度で、架台本体11を鉛直方向に沿って自在に移動させる指示を入力する。操作パネル28は、架台駆動装置27により架台本体11がインタロックされた状態において、架台本体11のインタロック状態を解除する解除指示を受け付ける。架台本体11がインタロックされた状態とは、解除指示を除いて、架台本体11を動かすことができない状態である。操作パネル28は、解除指示を架台制御回路25に出力する。操作パネル28は、解除指示の受け付け後、架台本体11を後述する基準位置(ホームポジション)へ向かって移動(上昇)させる移動指示を受け付ける。なお、操作パネル28は、判定機能251による判定結果に対応する点滅、点灯などの表示態様を表示してもよい。
【0031】
位置検出器は、複数の支柱13各々に設けられる。位置検出器は、支柱13において架台本体11が支持される支持位置を検出する。支持位置は、例えば、架台本体11と支柱13各々とが不図示の支持部材を介して接している位置である。支持部材とは、例えば、直動軸受と直動ガイドである。位置検出器は、支持位置に関する情報を、架台制御回路25に出力する。位置検出器は、例えば、エンコーダ29および架台検出センサ30により実現される。なお、本実施形態の変形例として、位置検出器は、エンコーダ29と架台検出センサ30とのうちいずれか一方により実現されてもよい。
【0032】
エンコーダ29が、例えば、ロータリー式のアブソリュートエンコーダである場合、ロータリー式のアブソリュートエンコーダは、例えば、不図示のスリット円盤と、例えば光学式の不図示の検出ユニットとを有する。スリット円盤は、例えば、架台駆動装置27におけるモータの回転軸に設けられる。スリット円盤には、モータの回転軸の角度および回転方向を示すスリットが設けられている。検出ユニットは、不図示の発光源と受光素子とを有する。検出ユニットは、スリット円盤におけるスリットを通過した光を受光することにより、回転数および回転方向に応じたエンコーダ値を生成する。生成されたエンコーダ値は、鉛直方向に沿った架台本体11の移動において架台駆動装置27におけるモータの回転軸の回転数に相当する。すなわち、エンコーダ値は、モータの回転に伴う架台本体11の移動距離に対応する。エンコーダ29は、生成したエンコーダ値を、支持位置に関する情報として架台制御回路25に出力する。
【0033】
また、例えば、エンコーダ29がリニア式のアブソリュートエンコーダである場合、リニア式のアブソリュートエンコーダは、不図示のスケールと、不図示の検出ヘッドとを有する。スケールは、支柱13にそれぞれ設けられる。検出ヘッドは、架台本体11に設けられる。検出ヘッドは、光学式、磁気式など任意の方式により、スケールを読み取る。エンコーダ29は、スケールの読み取りにより、支柱13における架台本体11の支持位置を検出する。エンコーダ29は、スケールの読み取りにより生成したエンコーダ値を、支持位置に関する情報として架台制御回路25に出力する。
【0034】
架台検出センサ30は、複数の支柱13各々に設けられる。具体的には、架台検出センサ30は、複数の支柱13の間、すなわち架台本体11が鉛直方向に移動する空間を挟んで互いに水平に対向する位置に設けられる。換言すれば、複数の支柱13各々において、互いに水平に対向する位置に設けられた架台検出センサ30は、水平面上に位置する。架台検出センサ30は、この水平面において所定の検出領域を有する。架台検出センサ30は、この水平面における検出領域に、架台本体11の少なくとも一部が到達したか否かを検出する。すなわち、架台検出センサ30は、架台本体11の一部が検出領域に到達したタイミングを検出する。架台検出センサ30は、架台本体11の一部を検出したタイミングを、支持位置に関する情報として架台制御回路25に出力する。上記水平面は、一面に限定されず、複数面であってもよい。このとき、複数の支柱13各々において、鉛直方向に沿って架台検出センサ30が複数設けられる。
【0035】
架台検出センサ30は、例えば、フォトセンサにより実現される。フォトセンサは、透過型フォトセンサ、反射型フォトセンサなど、いずれのフォトセンサであってもよい。フォトセンサは、フォトトランジスタ、フォトダイオード、フォトICなどの受光素子と、赤外LEDなどの発光素子とを有する。発光素子は、常時赤外線などの光を発生する。
【0036】
架台検出センサ30が透過型フォトセンサである場合、架台本体11には、略鉛直方向に沿った架台本体11の移動時において、受光素子と発光素子との間を通過可能なセンサドグ(治具)が設けられる。このとき、透過型フォトセンサは、受光素子と発光素子との間をセンサドグが通過したタイミングを検出する。架台検出センサ30が反射型フォトセンサである場合、検出領域に架台本体11の一部が移動すると、反射型フォトセンサは、架台本体11の一部で反射された赤外線を受光し、受光したタイミングを検出する。なお、架台検出センサ30は、上記フォトセンサに限定されず、例えば超音波センサなどの任意のセンサであってもよい。
【0037】
支柱13各々には、架台本体11の移動の上限において、架台本体11の少なくとも一部を検出する不図示の上限センサが設けられる。架台本体11の一部を検出した上限センサが設けられた支柱13における架台駆動装置27は、架台本体11の移動を停止する。この時、架台本体11の一部を検出した上限センサが設けられた支柱13において、架台本体11の支持位置は、架台本体11の一部を検出した上限センサに対応する上限位置となる。架台本体11に関するすべての支持位置が上限位置に到達したことを契機として、架台制御回路25による制御のもとで、エンコーダ値はゼロにリセットされる。上限位置に到達した架台本体11において床面に対向する面は、基準位置に対応する。
【0038】
支柱13各々には、架台本体11の移動の下限において、架台本体11の一部を検出する下限センサが設けられる。架台本体11の一部を検出した下限センサが設けられた支柱13における架台駆動装置27は、架台本体11の移動を停止する。この時、架台本体11の一部を検出した下限センサが設けられた支柱13において、架台本体11の支持位置は、架台本体11を検出した下限センサに対応する下限位置となる。上限センサおよび下限センサは、上述のフォトセンサ等により実現される。
【0039】
判定機能251を実現する架台制御回路25は、複数の支持位置の間の位置ズレの大きさに応じて、架台本体11の鉛直方向に沿った移動の可否を判定する機能である。架台制御回路25は、自身のメモリに、判定機能251で用いられる第1閾値および第2閾値を記憶する。第1閾値および第2閾値は、位置ズレの大きさに応じて、位置ズレを弁別するための閾値である。第1閾値は、第2閾値より小さい値であるものとする。第1閾値および第2閾値は、判定機能251において用いられる。なお、閾値は、上記2種に限定されず、架台本体11の移動に対する制御内容等に応じて設定されてもよい。
【0040】
判定機能251を実現する架台制御回路25は、支持位置に関する情報に基づいて、鉛直方向に沿った架台本体11の移動の可否を判定する。具体的には、架台制御回路25は、支持位置に関する情報に基づいて、鉛直方向における支持位置の間の位置ズレを計算する。例えば、支持位置に関する情報がエンコーダ値である場合、架台制御回路25は、複数の支柱13にそれぞれ設けられた複数のエンコーダ29にそれぞれ対応する複数のエンコーダ値の差分の絶対値を、位置ズレとして計算する。また、支持位置に関する情報がタイミングである場合、架台制御回路25は、複数の支柱13にそれぞれ設けられた一つの水平面に含まれる複数の架台検出センサ30にそれぞれ対応する複数のタイミング(時刻)の差分の絶対値を、位置ズレとして計算する。判定機能251を実現する架台制御回路25は、判定部に対応する。
【0041】
判定機能251を実現する架台制御回路25は、位置ズレが第1閾値未満であるか否かを判定する。位置ズレが第1閾値未満である場合、架台制御回路25は、架台本体11の移動を継続するように架台駆動装置27を制御する。
【0042】
判定機能251を実現する架台制御回路25は、第1閾値と第2閾値とにより規定される範囲に、位置ズレが含まれるか否かを判定する。この範囲は、例えば、第1閾値以上第2閾値未満で規定される。加えて、架台制御回路25は、被検体に対して撮像が実行中であるか否かを判定する。位置ズレが範囲内に含まれ、かつ非撮像中である場合、架台制御回路25は、位置ズレを解消するように架台駆動装置27を制御する。具体的には、架台駆動装置27は、位置ズレを解消するために支持位置の移動速度を変更して、架台本体11を移動させる。例えば、架台制御回路25は、位置検出器によって検出された複数の支持位置のうち床面に近い支持位置に関する支柱に対する架台本体11の速度を、複数の支持位置のうち床面から遠い支持位置に関する支柱に対する架台本体11の速度より遅くするように、架台駆動装置27を制御する。複数の支持位置とは、架台本体11が支持部材を介して複数の支柱13と接している位置である。なお、架台制御回路25は、複数の支持位置のうち床面から遠い支持位置に関する支柱に対する架台本体11の速度を、複数の支持位置のうち床面に近い支持位置に関する支柱に対する架台本体11の速度より速くするように、架台駆動装置27を制御してもよい。なお、架台制御回路25による架台駆動装置27に対する制御は、上記2種の制御を組み合わせて実行されてもよい。架台制御回路25は、位置ズレが範囲に含まれると判定した場合、位置ズレの発生時点(日時等)と位置ズレなどとを含む位置ズレ情報を、位置ズレの発生に関するログとして、記憶回路107に記憶させる。
【0043】
判定機能251を実現する架台制御回路25は、計算した位置ズレが第2閾値以上であるか否かを判定する。位置ズレが第2閾値以上である場合、架台制御回路25は、架台本体11の移動が不可であると判定する。このとき、架台制御回路25は、架台本体11の移動を停止するように、複数の架台駆動装置27を制御する。次いで、架台制御回路25は、複数の架台駆動装置27、操作パネル28、およびインタフェース回路105に対してインタロック制御を実行する。具体的には、架台制御回路25は、架台本体11の移動の停止後、架台本体11をインタロックするように、複数の架台駆動装置27を制御する。架台制御回路25は、位置ズレが第2閾値を超過している場合、インタフェース回路105および操作パネル28を介した架台本体11の移動指示を受け付けないように、インタフェース回路105および操作パネル28を制御する。このとき、インタフェース回路105において、架台本体11の移動指示の受け付けは、架台制御回路25による制御により不能となる。
【0044】
インタロック制御に実行に応答して、判定機能251を実現する架台制御回路25は、位置ズレに関する警告を例えばメッセージとして操作者に通知するために、ディスプレイ103を制御する。ディスプレイ103は、架台本体11の移動が不可であると判定機能251により判定されたことに応答して、位置ズレに関する警告を、例えばメッセージとして操作者に通知(表示)する。加えて、判定機能251を実現する架台制御回路25は、位置ズレ情報が記憶回路107から読み出す。次いで、架台制御回路25は、不図示のネットワークを介して、警告に関する情報を、読み出した位置ズレの情報などとともに、本医用画像診断装置に関するサービスセンターの端末に送信する。これにより、サービスセンターに駐在するサービスマンは、位置ズレの発生を、過去の位置ズレ発生時点とともに把握することができる。このとき、架台制御回路25は、点滅、点灯などの表示態様を表示させるように、操作パネル28を制御してもよい。また、架台制御回路25は、位置ズレに関する警告を警告音として操作者に通知するために、CT撮影室および制御室に設置された不図示のスピーカを制御してもよい。
【0045】
インタロック制御の実行後、架台制御回路25は、解除指示を受け付けるように、操作パネル28を制御する。操作パネル28を介した解除指示の入力に応答して、架台制御回路25は、移動指示を受け付けるように、操作パネル28を制御する。移動指示の入力に応答して、架台制御回路25は、第2速度で架台本体11を基準位置まで移動させるために、複数の架台駆動装置27を制御する。すなわち、架台駆動装置27は、解除指示の後に入力された移動指示に応じて、架台本体11を基準位置まで、より遅い速度で移動させる。架台制御回路25は、基準位置に架台本体11が到達したことを契機として、各種インタロックを解除する。
【0046】
(動作)
以下、本実施形態における判定機能251の処理手順について説明する。
図2は、判定機能251における処理手順の一例を示すフローチャートである。以下、説明を具体的にするために、支柱13は、架台本体11の側面に設けられ、架台本体11を挟んで対向する1対(以下、左支柱、右支柱と呼ぶ)であるものとする。また、架台検出センサ30は、4つの水平面各々に左支柱および右支柱ごとに設けられているものとする。加えて、本処理手順の実行前の架台本体11は、初期位置として基準位置に配置されているものとする。
【0047】
(ステップSa1)
インタフェース回路105または操作パネル28を介した操作者の指示により、架台本体11が、基準位置から床面に向かって移動される。具体的には、操作者の指示に応じて、架台制御回路25は、左支柱における架台駆動装置と、右支柱における架台駆動装置とを制御する。架台本体11は、これらの架台駆動装置の駆動により、基準位置から第1速度で下降する。
【0048】
(ステップSa2)
左支柱に設けられたエンコーダから出力されたエンコーダ値が、左支柱における支持位置(以下、第1支持位置と呼ぶ)として取得される。加えて、右支柱に設けられたエンコーダから出力されたエンコーダ値が、右支柱における支持位置(以下、第2支持位置と呼ぶ)として取得される。一つの水平面に含まれる架台検出センサ30の検出領域を架台本体11の一部が通過した場合、左支柱に設けられた架台検出センサから出力されたタイミングが第1支持位置として取得され、右支柱に設けられた架台検出センサから出力されたタイミングが第2支持位置として取得される。第1支持位置と第2支持位置との差分に基づいて、位置ズレが計算される。すなわち、第1支持位置と第2支持位置との比較(位置ズレの計算)は、架台本体11の移動中に亘って常に実行される。
【0049】
(ステップSa3)
判定機能251により、位置ズレと第1閾値とが比較される。位置ズレが第1閾値未満である場合(ステップSa3のYes)、ステップSa7の処理が実行される。位置ズレが第1閾値以上である場合(ステップSa3のNo)、ステップSa4の処理が実行される。
【0050】
(ステップSa4)
判定機能251により、位置ズレと第2閾値とが比較される。位置ズレが第2閾値未満である場合(ステップSa4のYes)、被検体に対して撮像中でなければ、ステップSa5の処理が実行される。位置ズレが第2閾値以上である場合(ステップSa4のNo)、ステップSa8の処理が実行される。
【0051】
図3は、位置ズレを説明するための図である。
図3は、
図1における架台装置10をX軸方向から見た図である。
図3に示すように、左支柱13Lには、上端から左エンコーダ29L、上限センサULLS、Y軸方向に沿った異なる4つの位置に対応する4つの異なる水平面にそれぞれ含まれる4つの架台検出センサ30L1、30L2、30L3、30L4、下限センサDLLSが設けられている。また、右支柱13Rには、上端から右エンコーダ29R、上限センサULRS、Y軸方向に沿った異なる4つの位置に対応する4つの異なる水平面にそれぞれ含まれる4つの架台検出センサ30R1、30R2、30R3、30R4、下限センサDLLSが設けられている。
図3におけるULは、上限センサULLS、ULRSによる架台本体11の上限の検出ラインを示し、点線の基準位置BPに対応付けられている。上限の検出ライン上に架台本体11が位置するとき、エンコーダ値はゼロとなる。また、
図3におけるDLは、下限センサDLLS、DLRSによる架台本体11の下限の検出ラインを示している。左支柱13Lの左側の点線SPLは、左支柱13Lに設けられた左エンコーダ29Lによるエンコーダ値を示す数直線である。右支柱13Rの右側の点線SPRは、右支柱13Rに設けられた右エンコーダ29Rによるエンコーダ値を示す数直線である。
図3におけるLPは第1支持位置を示し、RPは第2支持位置を示している。
【0052】
また、位置ズレは、
図3においてΔhで示されている。ステップSa2に計算される位置ズレΔhは、第1支持位置LPと第2支持位置RPとの差の絶対値|LP−RP|に相当する。架台検出センサ30からの出力による位置ズレは、同一水平面に含まれる1対の架台検出センサ(30L1と30R1、30L2と30R2、30L3と30R3、30L4と30R4)における架台本体11の一部の検出タイミングの差異により、架台制御回路25により計算される。
【0053】
位置ズレΔhが第1閾値未満(Δh<第1閾値)であれば、架台本体11は、Y軸に沿ってさらに下降する。位置ズレΔhが第1閾値以上であって第2閾値未満となる範囲に含まれ(第1閾値≦Δh<第2閾値)、かつ被検体に対する撮像が非実行であれば、ステップSa5の処理が実行される。また、位置ズレΔhが第2閾値以上であれば(Δh≧第2閾値)、ステップSa8の処理が実行される。
【0054】
(ステップSa5)
位置ズレの発生時点(日時等)と位置ズレとを含む位置ズレ情報が、位置ズレに関するログとして、記憶回路107に記憶される。
【0055】
(ステップSa6)
被検体に対する撮像が非実行中であれば、位置ズレΔhを解消させるために、左支柱13Lに設けられた架台駆動装置と、右支柱13Rに設けられた架台駆動装置とが、それぞれ架台制御回路25により制御される。
図3に示すように、架台本体11における第1支持位置LPが第2支持位置RPより床面に近い場合、左支柱13Lにおける第1支持位置の移動速度を遅くするように、左支柱13Lに設けられた架台駆動装置が制御される。この制御は、位置ズレΔhが第1閾値未満となるまで実行される。この制御により、第1閾値以上であって第2閾値未満の範囲に含まれる位置ズレΔhは、第1閾値未満まで低減される。
【0056】
(ステップSa7)
架台本体11の移動が終了しなければ(ステップSa7のNo)、ステップSa1以降の処理が繰り返される。架台本体11の移動が終了すれば(ステップSa7のYes)、本処理手順は終了する。
【0057】
(ステップSa8)
位置ズレΔhが第2閾値以上である場合、架台本体11の移動が停止され、左支柱13Lおよび右支柱13Rに対して架台本体11がインタロックされる。
図3に示す状態において、位置ズレΔhが第2閾値以上となった場合、架台本体11は、第1支持位置LPおよび第2支持位置RPでインタロックされる。加えて、インタロック制御の実行により、インタフェース回路105および操作パネル28を介した架台本体11の移動指示の入力は、不能となる。加えて、操作パネル28において、解除指示の入力が可能となる。
【0058】
(ステップSa9)
インタロック制御を受けて、位置ズレに関する警告が、例えば文字列としてディスプレイ103に表示される。加えて、記憶回路107に位置ズレ情報が記憶されていれば、位置ズレ情報は、位置ズレに関する警告とともにサービスセンターの端末に送信される。
【0059】
(ステップSa10)
操作パネル28を介して解除指示が入力されると、操作パネル28において移動指示の入力が可能となる。操作パネル28において移動指示が入力されると、架台本体11は、動作制約のもとで基準位置BPに向かって上昇する。動作制約とは、例えば、架台本体11の移動において、低速(第2速度)での上昇動作のみが許可されることに対応する。これにより、被検体を退避させることができる。
【0060】
(ステップSa11)
基準位置BPへの架台本体11の到達に応答して、原点調整が実行される。具体的には、
図3に示す状態での移動指示の入力により、右支柱13R近傍の架台本体11の一部が、左支柱13L近傍の架台本体11の一部より先に、上限の検出ラインULに到達する。このとき、右支柱13Rに設けられた架台駆動装置は、右支柱13Rにおける架台本体11の移動を停止させる。このとき、
図3に示す第2支持位置RPは、基準位置BPとなる。右支柱13Rに設けられた架台駆動装置による架台本体11の移動の停止に応答して、右支柱13Rにおける右エンコーダ29Rのエンコーダ値はゼロとなる。次いで、左支柱13L近傍の架台本体11の一部が、上限の検出ラインULに到達する。このとき、左支柱13Lに設けられた架台駆動装置は、左支柱13Lにおける架台本体11の移動を停止させる。このとき、
図3に示す第1支持位置LPは、基準位置BPとなる。左支柱13Lに設けられた架台駆動装置による架台本体11の移動の停止に応答して、左エンコーダ29Lにおけるエンコーダ値はゼロとなる。
【0061】
これらの処理により、架台本体11における第1支持位置LP及び第2支持位置RPは、基準位置BPに一致する。すなわち、位置ズレΔhは解消する。加えて、右エンコーダ29Rおよび左エンコーダ29Lにおけるエンコーダ値はゼロにリセットされ、本ステップにおいて原点調整が完了する。
【0062】
以上に述べた構成によれば、以下に示す効果を得ることができる。
本実施形態における医用画像診断装置によれば、鉛直方向に沿った開口15の一端を床面に対向させるようにかつ開口15を有する架台本体11を挟んで、鉛直方向に沿って架台本体11を移動可能に支持する複数の架台支持部において架台本体11が支持される複数の支持位置を検出し、複数の支持位置に関する情報に基づいて、鉛直方向に沿った架台本体11の移動の可否を判定することができる。具体的には、本医用画像診断装置によれば、鉛直方向における支持位置の間の位置ズレΔhが第2閾値を超えた場合、架台本体11の移動が不可であると判定し、架台本体11の移動が不可であると判定されたことに応答して、架台本体11の移動を停止し、架台本体11をインタロックすることができる。加えて、本医用画像診断装置によれば、架台本体11の移動が不可であると判定されたことに応答して、位置ズレに関する警告を操作者に通知することができる。さらに、本医用画像診断装置によれば、操作パネル28において、架台本体11がインタロックされた状態において架台本体11のインタロックを解除する解除指示と、架台本体11を移動させる移動指示とを入力することができ、解除指示の後に入力された移動指示に応じて、架台本体11を基準位置BPまで、第2速度で移動させることができる。
【0063】
以上より、本医用画像診断装置によれば、架台本体11の移動中においてエンコーダ29によるエンコーダ値を常に比較し、第2閾値以上の位置ズレが生じた場合に、エラーとして架台本体11の移動動作を即座に停止させるインタロック制御を実行することができる。これにより、被検体に対する撮影開始前にエラーを検出した際は、撮影への移行を回避することができ、位置ズレによる撮影画像への影響を低減させることができる。加えて、エラーを検出した際、コンソール100におけるディスプレイ103においてエラーのメッセージ表示を行うことで、操作者へ警告を通知することができる。加えて、インタロック制御の解除後において、架台本体11を低速動作にて上昇させ、上限センサULLS、ULRSに架台本体11が到達した時点でエンコーダ値をゼロにする原点調整を行うことができる。これにより、位置ズレΔhの補正を行い、エンコーダ値を復帰させることができる。このとき、本医用画像診断装置によれば、動作制約を持たせること、すなわち低速での上昇動作のみを許可することで、復帰の際の患者挟み込み等のリスクを回避することができ、被検体を安全に退避させることができる。
【0064】
また、本実施形態における医用画像診断装置によれば、エンコーダ29から出力されたエンコーダ値と、架台検出センサ30の検出領域を架台本体11の一部が通過するタイミングとのうち少なくとも一方を、架台本体11の移動中において常に比較し、第2閾値より小さい第1閾値と第2閾値とにより既定される範囲に位置ズレが含まれるか否かを判定し、この範囲に位置ズレが含まれると判定され、かつ被検体に対する撮像が非実行である場合、位置ズレΔhを解消するように複数の支持位置各々の移動速度を変更して、架台本体11を移動させることができる。加えて、本医用画像診断装置によれば、この範囲に位置ズレΔhが含まれると判定された場合、位置ズレΔhの発生時点と位置ズレΔhとを含む位置ズレ情報を記憶することができる。
【0065】
これらのことから、本医用画像診断装置によれば、第1閾値と第2閾値とにより規定される範囲に位置ズレΔhが包含されていれば、自動的に位置ズレΔhを補正することができる。位置ズレΔhの補正を行うことで、撮影開始前の撮像位置の調整時に位置ズレの発生を抑制することができ、立位または座位の被検体において自重および重力負荷がかかった状態での関節動作を観察する際において、撮影画像への影響を低減することができる。これにより、再撮影による不要被曝等の被検体への負担を未然に防止することできる。加えて、本医用画像診断装置によれば、第2閾値以上の位置ズレの発生の予兆(ワーニング)として、位置ズレ情報をログとして記憶することができる。これにより、インタロック制御の発動時において、位置ズレ情報を用いてサービスマン等が位置ズレΔhの経過情報を把握、推定することができ、位置ズレΔhの発生要因および発生傾向の分析等に位置ズレ情報を利用することができる。これにより、位置ズレΔhの発生を低減させることができる。
【0066】
(変形例)
本実施形態との相違は、位置検出器におけるエンコーダ29の代わりに、架台本体11の移動中における架台駆動装置27のサーボモータ各々の負荷を用いて、鉛直方向に沿った架台本体11の移動の可否を判定することにある。
【0067】
負荷検出器は、
図1における架台駆動装置27各々に隣接して設けられる。なお、負荷検出器は、架台駆動装置27各々に内蔵されてもよい。複数の負荷検出器は、架台駆動装置27のサーボモータにおいて架台本体11の移動に関する複数の負荷を検出する。負荷検出器は、例えば、サーボモータにおける回転軸のトルクを検出するトルクセンサ(トルク検出器)により実現される。複数の負荷検出器各々は、架台駆動装置27各々において検出した負荷に関する情報を架台制御回路25に出力する。
【0068】
判定機能251を実現する架台制御回路25は、複数の負荷検出器からそれぞれ出力された複数の負荷に関する情報に基づいて、鉛直方向に沿った架台本体11の移動の可否を判定する。具体的には、架台制御回路25は、架台本体11の移動期間の複数の時点各々において、複数の負荷各々を負荷に関する閾値(以下、負荷閾値と呼ぶ)と比較する。負荷閾値は、例えば、架台制御回路25におけるメモリ等に記憶され、例えば、上述した第2閾値に相当する閾値である。
図2に対応する本変形例における動作は、以下のようになる。
【0069】
ステップSa2では、架台駆動装置27各々において負荷を検出する。次いで、ステップSa3において、複数の負荷各々が負荷閾値と比較される。複数の負荷がいずれも負荷閾値より小さい場合、ステップSa7の処理が実行される。複数の負荷のうち少なくとも一方の負荷が負荷閾値以上である場合、ステップSa8乃至ステップ10の処理が実行される。
【0070】
以上に述べた構成によれば、本実施形態に係る効果に加えて以下に示す効果を得ることができる。
本変形例における医用画像診断装置によれば、鉛直方向に沿った開口15の一端を床面に対向させるようにかつ開口15を有する架台本体11を挟んで、鉛直方向に沿って架台本体11を移動可能に支持する複数の架台支持部に関する複数の架台駆動装置27において、架台本体11の移動に関する複数の負荷をそれぞれ検出し、負荷に関する情報に基づいて、鉛直方向に沿った架台本体11の移動の可否を判定することができる。これにより、本医用画像診断装置によれば、位置検出器の代わりに負荷検出器を用いことで、本実施形態と同様な効果を得ることができる。
【0071】
以上述べた実施形態および変形例等の医用画像診断装置によれば、被検体および本医用画像診断装置に対する、位置ズレの発生に伴う危害を未然に防ぐことができ、安全対策を向上させることができる。これにより、本医用画像診断装置によれば、安全に座位撮影又は立位撮影を実行することができる。
【0072】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。