(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施形態としての回路図提示装置10は、車両保守部門や保守請負企業等において用いられる。
図1は、実施形態の回路図提示装置10の概略構成を示すブロック図である。回路図提示装置10は、液晶画面等から構成される画像表示器としてのディスプレイ12と、入出力機器としてのキーボード14と、マウス16とを有する。また、回路図提示装置10は、データを記憶するハードディスクドライブ(以下、HDDと呼ぶ)18と、CD−ROM20の内容を読み取るCDドライブ22とを備え、これらを統括制御する中央演算処理装置としてのCPU24を、上記各機器並びにRAM26、ROM28と相互にバスに接続して備える。回路図提示装置10は、こうした構成を備えることから、この実施形態ではコンピュータ単独で構成され、検査車両周囲で移動できるよう、図示しない架台に設置されている。なお、ネットワーク(例えば、インターネット)を介して回路図提示装置10を図示しないサーバーに接続し、回路図提示装置10とサーバーとで、回路図提示装置を構成するようにすることもでき、この場合には、ネットワーク制御回路39が付加される。
【0015】
CPU24は、HDD18に格納されている後述の回路図表示プログラムを実行し、その際に、HDD18やCDドライブ22のデータの読み込み、RAM26への一時的なデータの書き込みや読み出し、ディスプレイ12の表示制御等を行う。CD−ROM20は、HDD18に転送すべき回路図表示プログラムや後述の各種データを予め格納しており、これらプログラム・データは、CDドライブ22を介してHDD18に転送される。なお、回路図表示プログラムやデータは、CD−ROM20に格納されたものに替えて、フロッピィディスク、光磁気ディスクのほか、ICカード等の種々の携帯型記録媒体(可搬型記録媒体)から転送するように構成することもできる。また、回路図提示装置10をネットワーク制御回路39を有するものとし、このネットワーク制御回路39とこれが接続されたネットワーク(例えば、インターネット、イントラネット等)を介して、回路図表示プログラムやデータを外部のサーバーから転送するように構成することもできる。こうしたサーバーからの転送は、回路図表示実行の都度に当該処理実行に先立ち行うようにしたり、回路図表示を最初に行う場合にのみ行い、その転送時にプログラムやデータをHDD18に格納するようにすることもできる。
【0016】
次に、回路図提示装置10における回路図データについて説明する。本実施形態の回路図提示装置10は、例えば車両におけるABSや排ガス循環システム、アンチノッキングシステム、アイドルスピードコントロールシステム、トラクションコントロールシステム、シートベルトの非着用を報知する警告灯報知システム等の各種の制御システムの回路図を、各システムを構成する複数の電装品ごとの電装品画像と電装品に結線された配線の配線結線画像とをxy平面で描画したパーツ配置図としてディスプレイ12に画像表示する。こうした画像表示のため、回路図提示装置10は、HDD18に、各種の制御システムごとに、および、それぞれの制御システムにおける仕様ごとに、各制御システムに用いられる複数の電装品の電装品画像と電装品を結線する配線の配線結線画像の描画データを記憶している点に特徴がある。
図2は、回路図提示装置10がHDD18に記憶した回路図データを説明するための説明図である。
【0017】
回路図提示装置10のHDD18は、データ記憶部として機能し、回路図データとして、
図2に示すように、車両に適用される各種の制御システムに関してのデータと、コネクターやその接続対象となる各種電装品(パーツ)に関してのデータと、コネクターやパーツを配線してなるシステム回路図に関してのデータと各種属性データを記憶している。コネクターの接続対象となる電装品(パーツ)としては、種々のアクチュエータとその制御装置、例えば、エンジン関係であれば、エンジン気筒ごとのインジェクタや、ノッキングセンサ、エンジン回転数センサ等とこれらを制御する電子制御装置(ECU、コントロールモジュール等)などがある。シートベルトの非着用を報知する警告灯報知関係であれば、各シートごとのシートベルトの装着スイッチ、警告灯、点灯・消灯スイッチ等とこれらを制御するECUなどがある。なお、他の制御システムとしては、ABS(アンチブレーキングシステム)や排ガス循環システム、アンチノッキングシステム、アイドルスピードコントロールシステム、トラクションコントロールシステム、シートベルトの非着用を報知する警告灯報知システム等があり、例えば、ABSにおけるブレーキ機器や、アンチノッキングシステムにおけるインジェクタ等が電装品となる。
【0018】
システムリストデータは、制御システムのタイトルを示すデータであり、その制御システムにおいて配線接続されたパーツを含んで構成される一連の接続系統、例えば、車内通信系統とか、前輪ブレーキセンサー系統、空調系統等を区別するデータと、こうした各接続系統に含まれるパーツ・配線を区別するデータ(例えば、パーツ名称や記号、配線の記号等)を備える。つまり、制御システムのタイトルとそのシステムにおける接続系統に基づいて、その接続系統に含まれるパーツや配線を特定することができる。また、制御システムに含まれる総てのパーツや配線を特定することもできる。
【0019】
部品リストデータは、パーツとコネクターを特定できる部品リスト名や部品コードの他、コネクターがどの電装品に装着されてどういった制御システムに用いられているかを示すデータである。
【0020】
システム回路図に含まれるパーツ・配線についてのデータは、車両に適用される各種制御システム、例えばエンジン制御システム、ABSシステム、ライト制御システム、室内照明システム、警告灯報知システム等の各制御システムごとに用意され、各制御システムにおけるアクチュエータ・センサー・その電子制御装置等の設計回路に基づいて構築される。しかも、各システムごとのパーツ・配線データは、車両タイプや、年式、エンジンタイプ、グレード、オプションの有無等の仕様ごとにも、設計回路に基づいて構築される。つまり、
図2に模式的に示すように、例えば、シートベルトの非装着の警告灯報知システム(以下、SBウォーニングシステムと称する)であれば、2009年10月(09.10)以前の仕様(仕様*1)、2009年10月から2012年10月(09.10〜12.10)の間の仕様(仕様*2)のように、各システムごとのパーツ・配線データは、仕様ごとに構築されて、HDD18に記憶されている。そして、属性データとして、パーツやコネクターに関してのパーツの画像データやピン番号の位置情報データの他、配線に関してのパーツ・配線の描画形状・軌跡情報データ、位置情報データ、表記情報データが含まれる。
【0021】
パーツの画像データは、パーツ(電装品)の電装品画像を描画するための画像データであって、制御システムに含まれるそれぞれの電装品ごとの電装品パーツを、例えばブロック図的に模式状に表してxy平面状の回路図に配したパーツ配置図として描画する画像データを含む。その上で、パーツの画像データは、各パーツが果たす機能を模式的に表すためのデータ等、そのパーツを回路図において描画するために必要な画像データである。配線の画像データは、配線の配線結線画像を描画するための画像データであって、パーツ同士の実際の結線を反映してパーツ配置図における電装品パーツ図を結線する結線図を、直線或いは屈曲直線の軌跡としてパーツ配置図に重畳して画像表示するための画像データである。
【0022】
ピン番号の位置情報データは、パーツやコネクターが有しているピンの位置を特定するデータである。結線情報データは、パーツやコネクターが有する各ピンとこれに接続された配線の情報(例えば、配線を区別する番号や色データ)と、この配線を介した接続先ピン番号と、このピンを有するコネクターを特定するための上記のコードデータと、そのコネクターの部品リスト名とを対応付けたデータである。
【0023】
パーツ・配線の描画形状・軌跡データは、既述した画像データにおけるパーツの描画形状の規定、配線軌跡の規定に必要なデータである。パーツ・配線の位置データは、既述した画像データによるパーツ画像をxy平面回路図のどの位置に配置して描画するかといった描画位置の規定に必要なデータであったり、配線軌跡をxy平面回路図においてパーツ間を結線しつつ描画する際の描画位置規定に必要なデータである。パーツ・配線の表記データは、パーツ間を結ぶ実際の結線の色や実際の結線の接続端子を表す端子番号、パーツ名や機能等をテキスト表記するための情報をパーツ配置図に重畳して画像表示するために必要なデータである。こうしたデータを用いることで、各パーツはxy平面回路図においてその画像が描画されると共に、各配線はその配線軌跡の画像として描画される。この場合、配線についての上記描画軌跡データと描画位置データは、配線実装の際における分岐・結合箇所等の描画のため、これら箇所を配線と一緒に描画するためのデータも含むので、配線軌跡においては分岐・結合箇所等も描画される。上記したパーツ・配線についてのデータは、パーツや配線を区別する情報(例えば、パーツ名称、パーツ記号、配線符号等)とそれぞれ対応付けられている。
【0024】
例えば、エンジンコントロールシステムでは、インジェクタや、電源、フューズボックス、イグニッションスイッチ等のパーツについての上記データと、これらパーツを結線する配線についての上記データを総て含んで構成されている。よって、ある制御システムに含まれる上記パーツ(電装品)についての上記データと配線についての仕様ごとの上記データを総て用いれば、この制御システムの回路図を複数の仕様について画像表示できる。
図3は、一つの例として複数の仕様についてのSBウォーニングシステムに含まれる電装品パーツ図と結線等を含んで画像表示した回路図を示す説明図である。
【0025】
図3に示すSBウォーニングシステム回路図は、仕様ごとのパーツ・配線データを総て用いて、仕様ごとのSBウォーニングシステムに含まれる複数の電装品の電装品画像と配線の配線結線画像とを電装品パーツPSdと結線
図LSdで示している共に、各仕様で同一の電装品の電装品パーツPSdと配線の結線
図LSdとが重なるようにしてディスプレイ12に表示する。詳しくは、ディスプレイ12の表示領域において、左端側をシステム回路図の候補表示域DLとし、残余の表示領域を回路表示域DCとした場合の回路表示域DCにSBウォーニングシステム回路図が表示される。
【0026】
このSBウォーニングシステム回路図は、図示するように、システム回路図に含まれるそれぞれの電装品ごとの電装品パーツPSdを枠付の矩形形状、枠無しの矩形形状等で描画して回路図内に配置したパーツ配置図を含む。また、この制御システム回路図は、パーツ配置図におけるそれぞれの電装品パーツPSdを結線する結線
図LSdを、実際の結線を反映してパーツ配置図に直線或いは屈曲直線の軌跡としてパーツ配置図に重畳して描画して備える。この他、
図3に示すSBウォーニングシステム回路図は、電装品パーツPSdのパーツ間を結ぶ実際の結線の色などの結線テキスト情報Lid、電装品パーツPSdのパーツ間を結ぶ実際の結線の接続端子番号と云った端子テキスト情報Cid、および電装品パーツPSdのパーツ名や当該パーツが果たす機能とパーツ内での結線状況等のパーツテキスト情報Pidについても、これらを、パーツ配置図に重畳して描画して備える。
【0027】
パーツ配置図におけるそれぞれの電装品パーツPSdの描画位置は、例えば電装品パーツPSdの左上角部のxy座標で規定され、結線
図LSdについては、電装品パーツPSdにおける端子位置を起点とし、この起点のxy座標と軌跡座標で規定される。結線テキスト情報Lidや端子テキスト情報Cidおよびパーツテキスト情報Pidについては、テキスト表記領域の例えば左上角部のxy座標で規定される。そして、
図3のSBウォーニングシステム回路図における描画位置を定める上記のxy座標は、
図2に示した各種の上記の属性データに格納されている。なお、
図3においては、電装品パーツPSdやパーツテキスト情報Pid、結線
図LSd、結線テキスト情報Lidの符合表記に当たり、煩雑さ回避のため、代表的な電装品パーツ等について電装品パーツPSd等の符合を表記した。
【0028】
本実施形態では、
図3に示すSBウォーニングシステム回路図は、異なる仕様、具体的には、2009年10月(09.10)以前の仕様*1と、2009年10月から2012年10月(09.10〜12.10)の間の仕様*2と、2012年10月(12.10)以前のオプションメーターの仕様*3と、2012年10月(12.10)以前のオプションメーターなしの仕様*4と、2012年10月(12.10)以降のオプションメーターの仕様*5と、2012年10月(12.10)以降のオプションメーターなしの仕様*6とにおいて、これら各仕様において同一の電装品と同一の配線を含む場合には、同一の電装品画像としての電装品パーツPSdと同一の配線結線画像としての結線
図LSdは重なるようにして表示されている。そして、
図3では、同一の電装品パーツPSdは、電装品パーツPSdkとも表記され、同一の結線
図LSdは、結線
図LSdkとも表記されている。つまり、電装品パーツPSdkと結線
図LSdkは、各仕様における既述したパーツ・配線データが同一の画像データに基づくものとなる。なお、パーツテキスト情報Pidや結線テキスト情報Lidおよび端子テキスト情報Cidについても同様である。以下、電装品パーツPSdと結線
図LSd、パーツテキスト情報Pid、結線テキスト情報Lidおよび端子テキスト情報Cidを総称する場合には、電装品パーツPSd等と、適宜、称する。
【0029】
次に、ユーザーへの回路図提供を図る際の回路図提示装置10の処理について説明する。
図4は、回路図提示装置10が実行する回路図提供処理を示すフローチャートである。
【0030】
回路図提示装置10は、まず、ユーザーによる回路図ブラウザ起動を待機し、ユーザーによる回路図ブラウズの起動がなされると、初期入力画面をディスプレイ12に表示し、ユーザーによる制御システムの選択を待機する(ステップS300)。
図5は、ユーザーによる回路図ブラウズの起動に伴う初期入力画面表示の様子を概略的に示す説明図である。この初期入力画面では、ディスプレイ12の左方表示領域である候補表示域DLに、エンジン制御システム、ABSシステム、ライト制御システム、室内照明システム、SBウォーニングシステム等の制御システムの名称が一覧表示される。よって、ユーザーは、この一覧から、提供を所望する制御システムを選択し、回路図提示装置10は、ユーザーによる制御システムの選択を待機する。回路図提示装置10は、
図2に示すROM28或いはHDD18に選択可能な制御システムの名称を記憶しているので、回路図ブラウズ起動に伴う初期入力画面の候補表示域DLに、記憶済み制御システムのシステム名を一覧表示する。このシステム名の表示に際しては、適宜、略語等を用いて表す制御システム名称が候補表示域DLに表示される。また、画面における図示しないスクロールボタンにより、制御システムのシステム名は、候補表示域DLにスクロール表示される。また、初期入力画面では、ディスプレイ12の回路表示域DCの右上端に、ユーザーによる後述の仕様指定を受け付けるための仕様選択
図SSが表示される。なお、初期画面における仕様選択
図SSには、表示枠取りと後述するコマンドの一部が表示されている。
【0031】
図5の初期入力画面にてユーザーによる制御システム選択がなされると、回路図提示装置10は、その選択された制御システムの回路図に関するパーツ・配線データを、HDD18に記憶済みの
図2のパーツ・コネクターやシステム回路図の各種データから検索して読み込み(ステップS310)、読み込んだ制御システム回路図とユーザーによる仕様指定を受け付ける各種コマンドを含む仕様選択
図SSを回路表示域DCに表示する(ステップS320)。選択された制御システムの回路図に関するパーツ・配線データの検索・読み込みは、選択された制御システムに関しての車両タイプや、年式、エンジンタイプ、グレード、オプションの有無等の総ての仕様についてなされる。よって、例えば、指定された制御システムが既述したSBウォーニングシステムであれば、ステップS310では、
図3に示すSBウォーニングシステム回路図が回路表示域DCに表示され、このSBウォーニングシステム回路図には、既述した仕様*1〜仕様*6までの総ての仕様のSBウォーニングシステムに含まれる電装品パーツPSdや結線
図LSd、パーツテキスト情報Pid、結線テキスト情報Lid、端子テキスト情報Cidが含まれ、これら各仕様において同一の電装品パーツPSdkと同一の結線
図LSdkは、重なって表示される。パーツテキスト情報Pidと、結線テキスト情報Lidと、端子テキスト情報Cidとについても同様である。
図6は、選択された制御システム回路図にユーザーによる仕様指定を受け付ける仕様選択
図SSを組み込み表示した様子を示す説明図である。
図7は、ユーザーによる仕様指定を受け付ける仕様選択
図SSを拡大表示して示す説明図である。
【0032】
図7に示す仕様選択
図SSは、「絞り込み回路表示」という表題に加え、ユーザーが選択した仕様に絞り込んだ上でコンパクト表示を行うことを指定する「絞り込んでコンパクト化」というコンパクト化コマンドと、総ての仕様を指定する全指定コマンドと、指定済み仕様の総てを解除する全解除コマンドと、未指定の仕様を指定仕様に反転する反転コマンドと、仕様を個別に指定する仕様指定コマンドとが含まれる。仕様指定コマンドは、ユーザーが選択した制御システム回路図、例えば、SBウォーニングシステム回路図についての既述した仕様*1〜仕様*6までの仕様を個別に指定する仕様ごとのコマンドが含まれている。ユーザーは、
図6における仕様選択
図SSを見ながら、表示を所望する仕様を
図7の仕様コマンドを用いて指定する。回路図提示装置10は、仕様選択
図SSにおけるユーザーによるこうした仕様指定をステップS320において待機することから、ステップS320の処理内容により、本願における仕様指定待機部が構築される。なお、
図5の初期入力画面における仕様選択
図SSには、上記したコンパクト化コマンドと、全指定コマンドと、全解除コマンドと、反転コマンドだけが表示され、仕様を個別に指定する仕様指定コマンドは表示されていない。
【0033】
図8は、ユーザーによる仕様指定の結果に対応した仕様選択
図SSを示す説明図である。
図8の仕様選択
図SSは、2009年10月(09.10)以前の仕様*1と、2012年10月(12.10)以前のオプションメーターの仕様*3と、2012年10月(12.10)以降のオプションメーターの仕様*5と、2012年10月(12.10)以降のオプションメーターなしの仕様*6の四つの仕様がユーザーに指定されたことを示している。
【0034】
回路図提示装置10は、
図8のように仕様選択
図SSでユーザーによる仕様指定を受けると、仕様の指定がなされていない仕様、
図8の例では、仕様*2と仕様*4のSBウォーニングシステム回路図に含まれる電装品パーツPSd等を
図6に表示したSBウォーニングシステム回路図から削除する。こうすることで、
図8に示す仕様選択
図SSでのユーザーによる仕様指定を経て、その指定仕様に対応してHDD18が記憶済みのSBウォーニングシステム回路図のパーツ・配線データだけが用いられて、指定仕様のSBウォーニングシステム回路図に含まれる複数の電装品パーツPSd等がディスプレイ12の回路表示域DCに表示されることになる(ステップS330)。
図9は、ユーザーの指定仕様に対応したSBウォーニングシステム回路図の表示の様子を示す説明図である。この
図9のSBウォーニングシステム回路図にあっても、上記の仕様*1と、仕様*3と、仕様*5と、仕様*6の四つのユーザー指定仕様に含まれる複数の電装品パーツPSd等が表示され、これらの指定仕様において同一の電装品パーツPSdと結線
図LSdは、重なるようにして表示されている。回路図提示装置10は、仕様選択
図SSにおいてユーザーになされた仕様指定に対応したSBウォーニングシステム回路図をディスプレイ12に表示することから、ステップS330の処理内容により、本願における画像表示部が構築される。なお、
図7と
図8に示す仕様選択
図SSにおいて、指定完了を示すコマンドを含ませ、このコマンド指定があった後に、
図9に示すユーザー指定の回路図表示を行うようにしてもよい。
【0035】
回路図提示装置10は、指定仕様に対応したシステム回路図と共に
図7の仕様選択
図SSを表示することで、コンパクト化コマンドのユーザーによる指定を待機する(ステップS340)。つまり、回路図提示装置10は、指定仕様に対応したシステム回路図のコンパクト表示(簡略図示)の要否をユーザーに提示し、ユーザーからのコンパクト表示の指定を待機することになる。よって、
図7の仕様選択
図SSの表示およびステップS340の処理内容により、本願における簡略指定待機部が構築される。
図10は、ユーザーによるシステム回路図のコンパクト化指定の様子を示す説明図である。
【0036】
ユーザーにより
図10のコンパクト化コマンドが操作され、指定仕様に対応したシステム回路図のコンパクト化が指定されると、回路図提示装置10は、
図9に示した指定仕様に対応したシステム回路図のコンパクト化を図るべく、システム回路図を提示する上で不要となる余白領域を規定する(ステップS350)。本実施形態では、この余白領域を、指定仕様に対応したシステム回路図における電装品パーツPSdと電装品パーツPSdとの間隔に規定した。
図11は、指定仕様に対応したシステム回路図における余白領域の規定の様子を概略的に示す説明図である。
図12は、指定仕様に対応したシステム回路図を余白領域を除外してコンパクト表示した様子を示す説明図である。
【0037】
回路図提示装置10は、指定仕様に対応したシステム回路図において、xy平面のx軸方向(横方向)に隣り合って離れた電装品パーツPSdの間隔に着目する。そして、
図11に示すように、隣り合う電装品パーツPSdを近接表示することが可能であれば、その間隙を余白領域Crと規定し(ステップS350)、この余白領域Crに含まれる結線
図LSdを削除した上で隣り合う電装品パーツPSdを近接させたシステム回路図が描画できるよう、電装品パーツPSd等の描画データを加工する(ステップS360)。次いで、回路図提示装置10は、得られた加工後の描画データに基づいて、システム回路図を
図12に示すようにコンパクト表示し(ステップS370)、ユーザーの指定仕様に対応したシステム回路図の表示処理を終了する。
【0038】
ところで、ユーザーの指定仕様によっては、指定仕様に対応したシステム回路図の表示における余白領域Crが隣り合う電装品パーツPSdの間隙の他、回路表示域DCにおける左端側に生じることも有り得る。
図13は、指定仕様に対応したシステム回路図における余白領域が回路表示域DCの左端側に生じた例を示す説明図である。
図14は、回路表示域DCの左端側の余白領域を除外したシステム回路図のコンパクト表示の様子を示す説明図である。
【0039】
図13に示すように余白領域が回路表示域DCの左端側に生じた場合には、既述したステップS350での余白領域規定において、回路表示域DCの左端側においても余白領域Crが規定される。つまり、指定仕様に対応したシステム回路図に含まれる最左端側の電装品パーツPSdおよび結線
図LSdと回路表示域DCの左端との間隙に何も含まれていない領域が存在すれば、その領域を余白領域Crと規定し(ステップS350)、この余白領域Crをも削除して隣り合う電装品パーツPSdが近接したシステム回路図が描画できるよう、電装品パーツPSd等の描画データを加工する(ステップS360)。次いで、回路図提示装置10は、得られた加工後の描画データに基づいて、システム回路図を
図14に示すように余白領域Crの左端側にコンパクト表示する(ステップS370)。
【0040】
以上説明した本実施形態の回路図提示装置10は、保守・点検等の作業の助力を図るようシステム回路図を提示するに際して、その作業に関連する複数の仕様ごとのシステム回路図のうち、作業者(ユーザー)による仕様の指定を待機する(ステップS320:
図7〜
図8)。そして、ユーザーが仕様を指定するとその指定仕様についてのシステム回路図を速やかに提示できる。具体的には、ユーザーがSBウォーニングシステムについての保守・点検等の作業を行うに当たり、本実施形態の回路図提示装置10は、車両タイプや、年式、エンジンタイプ、グレード、オプションの有無等で定まる仕様*1〜仕様*6の各仕様ごとのSBウォーニングシステム回路図(
図6参照)のうち、ユーザーの指定仕様である仕様*1と仕様*3と仕様*5と仕様*6(
図8参照)についてのSBウォーニングシステム回路図(
図9参照)を、同一の電装品パーツPSdと結線
図LSdとは重なるようにして、速やかにディスプレイ12に表示(提示)できる。そして、ユーザーにあっては、自らが提示を所望するとした指定仕様についてのSBウォーニングシステム回路図を容易に認知できる。この結果、ユーザーは、どの仕様のSBウォーニングシステム回路図が提示されているのかと言うことを意識しないで済むので、回路図の見間違いによる作業ミスを低減できる。
【0041】
本実施形態の回路図提示装置10は、例えば、SBウォーニングシステム回路図のうちでユーザーにより指定し得る仕様をユーザーに提示して仕様の指定を待機している状況では、そのSBウォーニングシステム回路図について指定し得る仕様ごとのSBウォーニングシステム回路図を、同一の電装品パーツPSdと結線
図LSdとは重なるようにして、ディスプレイ12に表示する(
図6参照)。この結果、本実施形態の回路図提示装置10によれば、各仕様ごとのSBウォーニングシステム回路図を、同一の電装品パーツPSdと結線
図LSdとが重なった回路図としてユーザーに提供できるので、ユーザーによる仕様指定を支援できる。
【0042】
本実施形態の回路図提示装置10は、SBウォーニングシステム回路図のうちでユーザーにより指定し得る仕様をユーザーに提示するに当たり、「絞り込んでコンパクト化」というコンパクト化コマンドを含む仕様選択
図SSを表示する(
図7〜
図8参照)。こうすることで、本実施形態の回路図提示装置10は、SBウォーニングシステム回路図の簡略図示の要否をユーザーに提示してユーザーからのコンパクト表示(簡略図示)の指定を待機し(ステップS340:
図8)、ユーザーからのコンパクト表示の指定があると(
図10参照)、本実施形態の回路図提示装置10は、指定仕様についてのSBウォーニングシステム回路図において隣り合う電装品パーツPSdの間隔を余白領域Crと規定し、この余白領域Crに含まれる結線
図LSdを削除した上で隣り合う電装品パーツPSdを近接させてSBウォーニングシステム回路図をコンパクト表示する(ステップS350〜370:
図11〜
図12)。この結果、本実施形態の回路図提示装置10によれば、ユーザーの指定した仕様のSBウォーニングシステム回路図を簡略表示できる。また、
図12に示す通り、SBウォーニングシステム回路図の表示域を小さくできるので、回路図認識の際の画面スクロールが不要となると共に、図示しない印刷機器での回路図印刷の際の用紙サイズの小サイズ化や印刷用紙の節約も図ることができる。
【0043】
本実施形態の回路図提示装置10は、余白領域Crが回路表示域DCにおける左端側にもあれば、隣り合う電装品パーツPSdの間隔を余白領域Crとして削除してコンパクト表示したSBウォーニングシステム回路図を、回路表示域DCの左端側に表示する(ステップS350〜370:
図13〜
図14)。よって、本実施形態の回路図提示装置10によれば、ディスプレイ12の回路表示域DCの表示原点である左端側において纏まりよくSBウォーニングシステム回路図をコンパクト表示できる。
【0044】
本実施形態の回路図提示装置10は、
図7に示すように、全指定コマンドと全解除コマンドと反転コマンドとを含む仕様選択
図SSを表示するので、ユーザーは、総ての仕様の指定、指定済み仕様の解除、および未指定の仕様の指定仕様への反転を、コマンド操作により容易に実行できる。よって、ユーザー自身による仕様指定の良否認定を支援できる。
【0045】
本発明は、上述の実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【0046】
既述した実施形態では、提示対象となるシステム回路図が車両におけるSBウォーニングシステム回路図であるとして説明したが、ABS(アンチブレーキングシステム)や排ガス循環システム、アンチノッキングシステム、アイドルスピードコントロールシステム、トラクションコントロールシステム等の各種システム回路図の指定仕様に対応したシステム回路図提示に適用してもよい。車両に限らず、船舶や航空機、工作機械、工場設備等の機械装置におけるシステム回路図提示にも適用できる。
【0047】
既述した実施形態では、選択し得る仕様の数(仕様数)として、SBウォーニングシステム回路図では仕様*1〜仕様*6までの仕様数を例示したが、仕様数は、ABS(アンチブレーキングシステム)や排ガス循環システム、アンチノッキングシステム、アイドルスピードコントロールシステム、トラクションコントロールシステム等の各システムに応じて適宜な仕様数とできる。
【0048】
既述した実施形態では、SBウォーニングシステム回路図において
図8のように4つの仕様を指定したが、一つの仕様の指定や、2〜3の仕様の指定、5つの仕様の指定、或いは全指定コマンドを用いた総ての仕様の指定としてもよい。
【0049】
既述した実施形態では、隣り合う電装品パーツPSdの間隙の余白領域Crと回路表示域DCにおける左端側の余白領域Crとを削除してコンパクト表示したが、ある電装品パーツPSdに結線された隣り合う結線
図LSdの間隔が広くなっていれば、隣り合う結線
図LSdの間隙を余白領域Crとして、この余白領域Crに含まれる電装品パーツPSdの部位を削除してもよい。余白領域Crは、回路表示域DCにおいて電装品パーツPSdが上下に隣り合う場合には、この上下に隣り合う電装品パーツPSdの間隙の余白領域であってもよい。この場合には、上下にコンパクト化されてシステム回路図が表示される。
【0050】
既述した実施形態では、回路図提示装置10が有するHDD18にシステム回路図提示に必要な
図2の各種データを記憶したが、外部のサーバーにこれらデータを記憶し、システム回路図の提示の際に、インターネット等のネットワーク回線を介して、
図2の各種データをダウンロードするようにしてもよい。
【0051】
既述した実施形態では、SBウォーニングシステム等の各種システム回路図をディスプレイ12に表示してユーザーに提示する場合について説明したが、システム回路図を印刷してユーザーに提示してもよい。また、コンパクト化したシステム回路図の提示に当たっては、回路表示域DCの左端側にシステム回路図を表示したが、表示原点が回路表示域DCの左側上端であったり右側下端、右側上端であれば、これらの表示原点寄りにシステム回路図をコンパクト表示してもよい。