(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の方法は、基板を回転させることなくIPAを基板外に排除することができる優れた方法であり、基板上の微細パターンの倒壊を抑制することができる。
IPAはDIWよりも表面張力が小さな液体であるが、その表面張力が微細パターンに及ぼすエネルギーは、微細パターンにIPAの気液界面が接する時間が長いほど大きくなる。そこで、IPAの気液界面が微細パターンに接する時間を最小化することにより、微細パターンの倒壊をより確実に抑制または防止できる。
【0007】
本件発明者は、IPA等の低表面張力液体を基板表面から瞬時に取り除くために、低表面張力液体の液膜を表面に有する基板を減圧室内に配置し、減圧室内の気圧を減圧する構成について検討した。
しかし、液処理を行う処理室はスピンチャック等の大きな部品を収容するために、大きな容積を有しており、このような大容積の空間を瞬時に減圧することは至難である。
【0008】
したがって、小容積の減圧室を液処理ユニットの処理室とは別に準備する必要があり、したがって、液処理を終えた基板を減圧室まで搬送する必要が生じる。
ところが、このような搬送を行うと、その搬送途中で基板上の低表面張力液体の乾燥が始まり、しかもその乾燥が基板面内で不均一に生じることが分かった。そのため、減圧室に至るよりも前に、基板上の微細パターンが倒壊してしまう。
【0009】
このような課題は、IPA等の低表面張力液体液による処理の後に減圧乾燥を行う場合に限らず、液処理ユニットでの基板処理の後に当該液処理ユニット内では実行し難い乾燥工程を実行する場合に広く生じる課題である。
この発明の一つの目的は、液処理ユニットでの処理後の基板表面の状態を維持しながら乾燥ユニットまで基板を搬送して基板表面の乾燥処理を良好に行える基板処理装置および基板処理方法を提供することである。
【0010】
この発明の一つの実施形態は、基板表面に低表面張力液体を供給した後、その低表面張力液体を、基板表面のパターンの倒壊を抑制または防止しながら減圧工程によって基板表面から排除するための基板処理装置および基板処理方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明の基板処理装置は、処理室内で基板の表面に処理液を供給する液処理ユニットと、乾燥室内で基板表面の処理液を乾燥させる乾燥ユニットと、前記処理室へ基板を搬入する主搬送手段と、前記処理室から前記乾燥室へ基板を搬送するローカル搬送手段と、前記ローカル搬送手段によって基板が搬送されている間、前記基板表面の処理液の乾燥を防ぐ乾燥防止流体を前記基板表面に供給する乾燥防止流体供給手段と、を含む。
【0012】
この構成によれば、処理対象の基板は、主搬送手段によって、液処理ユニットの処理室に搬入される。液処理ユニットでは、処理室内で基板に処理液が供給され、その処理液によって基板が処理される。その後、処理室から乾燥室へと基板が搬送され、乾燥室内で基板表面の処理液を乾燥させるための乾燥処理が実行される。処理室から乾燥室への基板の搬送は、主搬送手段とは別に設けられたローカル搬送手段によって行われる。それにより、主搬送手段および主搬送手段の可動範囲に存在し得る部品や他の基板に対して処理液の影響が及ぶことを抑制できる。
【0013】
一方、ローカル搬送手段によって搬送されている間、その搬送中の基板の表面には、処理液の乾燥を防ぐ乾燥防止流体が供給される。したがって、液処理ユニットで処理された基板は、その処理後の状態が保持されたままで、乾燥室に搬入され、乾燥ユニットによる乾燥処理を受ける。それにより、ローカル搬送手段による搬送中における基板表面の不用意で制御されない状態での乾燥を抑制できる。つまり、基板の表面から処理液を排除するための乾燥工程を、乾燥室内の調整された環境中で行える。それによって、不用意な乾燥による基板への悪影響を回避して、基板の乾燥を良好に行うことができる。
【0014】
この発明の一実施形態では、前記処理室は、基板搬入開口および基板搬出開口を有する。また、前記主搬送手段は、前記基板搬入開口を介して前記処理室と連通しかつ前記乾燥室と連通する主搬送室に配置され、前記基板搬入開口を介して前記処理室へ基板を搬入する。また、前記ローカル搬送手段は、前記基板搬出開口を介して前記処理室と連通し、かつ前記乾燥室と連通しており、前記主搬送室から離隔されたローカル搬送室に配置され、前記基板搬出開口を介して前記処理室から基板を搬出し、当該基板を搬送して前記乾燥室へ搬入する。この際、基板は、前記ローカル搬送室を通って搬送される。
この発明の一実施形態では、前記液処理ユニットが、基板を水平に保持する基板保持手段と、前記基板保持手段に保持された基板に処理液を吐出する処理液吐出手段とを含む。前記液処理ユニットは、前記基板保持手段に保持された基板を鉛直方向に沿う回転軸線まわりに回転させる基板回転手段をさらに含んでいてもよい。
この発明の一実施形態では、前記乾燥防止流体供給手段が、前記ローカル搬送手段の搬送アームに備えられ、当該搬送アームに保持された基板に向けて乾燥防止流体を吐出するノズルを含む。
【0015】
この構成によれば、ローカル搬送手段の搬送アームに備えられたノズルから乾燥防止流体が基板に向けて吐出されるので、搬送中の基板表面に対して確実に乾燥防止流体を供給できる。それにより、ローカル搬送手段による搬送中の基板表面の不用意な乾燥をより確実に抑制できる。
この発明の一実施形態では、前記基板処理装置が、前記ローカル搬送手段の搬送アームを、搬送時の基板の温度以下(たとえば常温以下)に冷却するアーム冷却ユニットをさらに含む。
【0016】
この構成により、ローカル搬送手段による搬送中に基板が加温されることを回避できる。それにより、基板表面の処理液の蒸発を抑制できるので、基板表面の不用意な乾燥を一層抑制できる。
この発明の一実施形態では、前記乾燥ユニットが、前記乾燥室内を大気圧よりも低圧に減圧する減圧手段を含む。この構成により、減圧手段によって乾燥室内を大気圧よりも低圧に減圧することによって、基板表面の液成分を蒸発させることができ、それによって、基板表面の乾燥が達成される。減圧による基板表面の乾燥は、速やかに(たとえば瞬時に)完了するので、処理液の表面張力が基板、とくに基板表面に形成されたパターンに及ぼす影響を抑制しながら、乾燥工程を行える。
【0017】
この発明の一実施形態では、前記乾燥ユニットが、前記乾燥室内において基板の表面に乾燥防止流体を供給するノズルをさらに含む。乾燥室内において、基板の表面に乾燥防止流体が供給されることにより、乾燥処理が始まる前に基板表面の不用意な乾燥が開始することを回避できる。
たとえば、乾燥室内を減圧するときには、乾燥防止流体の供給を停止して、乾燥室内の減圧を速やかに進行させることが好ましい。それにより、処理液の表面張力が基板に与える影響をより少なくすることができる。
【0018】
この発明の一実施形態では、前記乾燥ユニットが、前記乾燥室内において基板を加熱する基板加熱手段を含む。
この発明の一実施形態では、前記乾燥室の容積が、前記処理室の容積よりも小さい。この構成により、乾燥室内での乾燥処理(たとえば減圧乾燥処理)を速やかに進行させることができるので、乾燥処理時間をさらに短くできる。それにより、処理液の表面張力が基板に与える影響をさらに少なくすることができる。
【0019】
この発明の一実施形態では、前記乾燥室内に基板保持手段が備えられ、前記基板保持手段に保持された基板の表面に前記ノズルから乾燥防止流体が供給される。
この発明の一実施形態では、前記ローカル搬送手段が、ローカル搬送室を通る搬送経路に従って基板を搬送するように構成されており、前記乾燥室と前記ローカル搬送室とが連通している。
【0020】
この構成により、処理室から乾燥室への基板の搬送がローカル搬送室内で行われる。それにより、ローカル搬送手段によって搬送中の基板表面の処理液の影響がローカル搬送室内に留められる。したがって、主搬送手段その他の基板処理装置の構成部分に対する処理液の影響を抑制できる。
この発明の一実施形態では、前記乾燥室が、前記ローカル搬送手段によって基板が搬入される搬入開口を有しており、前記ローカル搬送手段が、前記搬入開口を密閉する蓋手段を有している。
【0021】
この構成により、ローカル搬送手段は、乾燥室の搬入開口から基板を搬入し、かつその搬入開口を蓋手段によって密閉できる。それにより、搬入開口の開閉機構を別に準備する必要がない。
この発明の一実施形態では、前記ローカル搬送手段が、基板を搬送する搬送アームを備えており、前記蓋手段が前記搬送アームに設けられている。この構成により、搬送アームで乾燥室に基板を搬送する動作により、蓋手段によって搬入開口を密閉できる。
【0022】
この場合、搬送アームは、乾燥室内で基板を保持する基板保持手段の役割を担ってもよい。それにより、乾燥室内に別の基板保持手段を設ける必要がなくなる。とくに、減圧乾燥のように、乾燥工程に要する時間が短い場合には、乾燥室内でローカル搬送手段の搬送アームで基板を保持する構成とすることにより、基板の受け渡しを省略できるから、工程全体の所要時間を短縮でき、生産性を向上できる。
【0023】
この発明の一実施形態では、前記処理液が、水よりも表面張力が小さい低表面張力液体である。この構成により、処理液の表面張力による基板への影響を低減できる。しかも、低表面張力液体の乾燥を防止しながら、ローカル搬送手段によって乾燥室まで基板が搬送され、乾燥室内で制御された状態で低表面張力液体を乾燥させることができる。それにより、低表面張力液体の表面張力による基板への影響も抑制できる。
【0024】
この発明の一実施形態では、前記乾燥防止流体が、前記処理液の蒸気または液滴(ミスト)を含む。この構成では、ローカル搬送手段による搬送中は、基板表面の雰囲気中の処理液蒸気の濃度が高い。それにより、処理液の蒸発を効果的に抑制できる。
この発明の一実施形態では、前記処理液が有機溶剤を含み、前記乾燥防止流体が有機溶剤の蒸気または液滴(ミスト)を含む。有機溶剤は、水よりも表面張力が低い低表面張力液体の一例である。液処理ユニットでの処理を有機溶剤による処理で終えることにより、基板表面への表面張力の影響を抑制できる。そして、ローカル搬送手段による搬送中に有機溶剤の蒸気または液滴を基板表面に供給することで、基板表面の有機溶剤の乾燥を抑制できる。
【0025】
処理液としての有機溶剤と、乾燥防止流体としての有機溶剤の蒸気または液滴とは、同種の有機溶剤で構成することが好ましいが、別の種類の有機溶剤であってもよい。
この発明の一実施形態では、前記主搬送手段が主搬送室に配置されており、前記ローカル搬送手段が、前記主搬送室から離隔されたローカル搬送室に配置されている。この構成により、乾燥防止流体(たとえば有機溶剤の蒸気または液滴)をローカル搬送室内に留めることができるので、主搬送手段によって搬送される基板に対する乾燥防止流体の影響を抑制できる。
【0026】
この発明の基板処理方法は、処理室内で基板の表面に処理液を供給する液処理工程と、乾燥室内で基板表面の処理液を乾燥させる乾燥工程と、主搬送手段によって前記処理室へ基板を搬入する主搬送工程と、ローカル搬送手段によって前記処理室から前記乾燥室へ基板を搬送するローカル搬送工程と、前記ローカル搬送工程で基板が搬送されている間、前記基板表面の処理液の乾燥を防ぐ乾燥防止流体を前記基板表面に供給する乾燥防止流体供給工程と、を含む。
この発明の一実施形態では、前記処理室は、基板搬入開口および基板搬出開口を有する。また、前記主搬送手段は、前記基板搬入開口を介して前記処理室と連通しかつ前記乾燥室と連通する主搬送室に配置され、前記液処理工程の前に、前記基板搬入開口を介して前記処理室へ基板を搬入する。また、前記ローカル搬送手段は、前記基板搬出開口を介して前記処理室と連通し、かつ前記乾燥室と連通しており、前記主搬送室から離隔されたローカル搬送室に配置され、前記液処理工程の後、前記乾燥工程の前に、前記基板搬出開口を介して前記処理室から基板を搬出し、当該基板を搬送して前記乾燥室へ搬入する。この際、基板は、前記ローカル搬送室を通って搬送される。
【0027】
この基板処理方法の一実施形態では、前記乾燥防止流体供給工程において、前記ローカル搬送手段の搬送アームに備えられたノズルから、当該搬送アームに保持された基板に向けて乾燥防止流体が吐出される。
前記基板処理方法の一実施形態は、前記ローカル搬送手段の搬送アームを、搬送時の基板の温度以下に冷却するアーム冷却工程をさらに含む。
【0028】
前記基板処理方法の一実施形態では、前記乾燥工程が、前記乾燥室内を大気圧よりも低圧に減圧する減圧工程を含む。
前記基板処理方法の一実施形態は、前記乾燥工程に先立って、前記乾燥室内において基板の表面に乾燥防止流体を供給する工程をさらに含む。
前記基板処理方法の一実施形態では、前記乾燥工程が、前記乾燥室内において基板を加熱する基板加熱工程を含む。
【0029】
前記基板処理方法の一実施形態では、前記乾燥室の容積が、前記処理室の容積よりも小さい。
前記基板処理方法の一実施形態では、前記乾燥室が、前記ローカル搬送手段によって基板が搬入される搬入開口を有しており、前記方法が、前記乾燥工程に先立って、前記ローカル搬送手段に備えられた蓋手段によって前記搬入開口を密閉する工程をさらに含む。
【0030】
前記基板処理方法の一実施形態では、前記処理液が、水よりも表面張力が小さい低表面張力液体である。
前記基板処理方法の一実施形態では、前記乾燥防止流体が、前記処理液の蒸気または液滴を含む。
前記基板処理方法の一実施形態では、前記処理液が有機溶剤を含み、前記乾燥防止流体が有機溶剤の蒸気または液滴を含む。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下では、この発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1Aは、この発明の第1の実施形態に係る基板処理装置1の構成を説明するための平面図であり、
図1Bはその立面図である。基板処理装置1は、キャリヤ保持部2と、インデクサロボットIRと、複数の液処理ユニットM11〜M14,M21〜M24(総称するときには「液処理ユニットM」という。)と、複数の乾燥ユニットD11〜D14,D21〜D24(総称するときには「乾燥ユニットD」という。)と、主搬送ロボットCRと、ローカル搬送ロボットLR11〜LR14,LR21〜LR24(総称するときには「ローカル搬送ロボットLR」という。)とを含む。主搬送ロボットCRは主搬送手段の一例であり、ローカル搬送ロボットLRはローカル搬送手段の一例である。
【0033】
キャリヤ保持部2は、複数枚の基板Wを積層状態で保持する基板容器であるキャリヤ3を保持する。この実施形態では、キャリヤ保持部2は、複数のキャリヤ3を保持可能に構成されている。インデクサロボットIRは、キャリヤ保持部2に保持されたキャリヤ3にアクセスして基板Wを出し入れし、かつ主搬送ロボットCRとの間で基板Wの受け渡しを行う。
【0034】
複数の液処理ユニットMおよび複数の乾燥ユニットDは、この実施形態では、複数層構造(この実施形態では2層構造)を成すように立体的に配置されている。具体的には、
図1Aに表れているように、平面視において、キャリヤ保持部2から直線状に延びた主搬送室5に主搬送ロボットCRが配置されており、主搬送室5の両側に2つずつの積層ユニット群G1,G2;G3,G4が主搬送室5に沿って配置されている。それにより、平面視において、主搬送ロボットCRの周囲に4箇の積層ユニット群G1〜G4が配置されている。
【0035】
基板処理装置1の第1層S1および第2層S2に各4個の液処理ユニットM11〜M14,M21〜M24が配置されており、基板処理装置1は、合計で8個の液処理ユニットMを備えている。第1層S1において、主搬送室5の両側に2つずつの液処理ユニットM11,M12;M13,M14が主搬送室5に沿って配置されている。これらの4個の液処理ユニットM11〜M14の上に4個の乾燥ユニットD11〜D14がそれぞれ配置されている。さらに、第2層S2において、主搬送室5の両側に2つずつの液処理ユニットM21,M22;M23,M24が主搬送室5に沿って配置されている。これらの4個の液処理ユニットM21〜M24の上に4個の乾燥ユニットD21〜D24がそれぞれ配置されている。一つの液処理ユニットMと、その上に配置された乾燥ユニットDとが、対応する対を成している。
【0036】
積層ユニット群G1は、下から順に、液処理ユニットM11、乾燥ユニットD11、液処理ユニットM21および乾燥ユニットD21を積層して構成されている。積層ユニット群G2は、下から順に、液処理ユニットM12、乾燥ユニットD12、液処理ユニットM22および乾燥ユニットD22を積層して構成されている。積層ユニット群G3は、下から順に、液処理ユニットM13、乾燥ユニットD13、液処理ユニットM23および乾燥ユニットD23を積層して構成されている。積層ユニット群G4は、下から順に、液処理ユニットM14、乾燥ユニットD14、液処理ユニットM24および乾燥ユニットD24を積層して構成されている。
【0037】
主搬送ロボットCRは、合計8個の液処理ユニットMにアクセスして基板Wを渡すことができ、かつ合計8個の乾燥ユニットDにアクセスして基板Wを取り出すことができ、さらにインデクサロボットIRとの間で基板Wを受け渡しすることができる。
ローカル搬送ロボットLRは、この実施形態では、第1層S1に4個備えられ、第2層S2に4個備えられている。より具体的には、平面視において、第1層S1には、主搬送室5の両側に2個ずつのローカル搬送ロボットLR11,LR12;LR13,LR14が配置されている。さらに具体的には、主搬送室5の一方側において、第1層S1には、キャリヤ保持部2と液処理ユニットM11との間に一つのローカル搬送ロボットLR11が配置されており、キャリヤ保持部2から遠い側の端部にもう一つのローカル搬送ロボットLR12が配置されている。主搬送室5の他方側における2つのローカル搬送ロボットLR13,LR14の配置も同様である。そして、第2層S2における4個のローカル搬送ロボットLR21,LR22;LR23,LR24も同様に配置されている。ローカル搬送ロボットLR11〜LR14,LR21〜LR24は、ローカル搬送室C11〜C14,C21〜C24(総称するときには「ローカル搬送室C」という。)内にそれぞれ配置されている。ローカル搬送室Cは、主搬送室5から分離(離隔)するように区画された搬送空間を形成している。
【0038】
こうして、各対の液処理ユニットMおよび乾燥ユニットDに対して、一つのローカル搬送ロボットLRが設けられている。ローカル搬送ロボットLRは、液処理ユニットMによって処理された後の基板Wを当該液処理ユニットMから取り出して、対応する乾燥ユニットDへと搬送する。
インデクサロボットIR、主搬送ロボットCRおよびローカル搬送ロボットLRの動作例を概説すれば、次のとおりである。
【0039】
すなわち、インデクサロボットIRは、いずれかのキャリヤ3から未処理の基板Wを取り出し、主搬送ロボットCRに渡す。主搬送ロボットCRは、インデクサロボットIRから受け取った基板Wをいずれかの液処理ユニットMに搬入する。液処理ユニットMは、搬入された基板Wに対する処理を実行する。液処理ユニットMによって処理された基板Wは、ローカル搬送ロボットLRによって搬出され、その直上に配置された乾燥ユニットDへと搬送される。乾燥ユニットDは、搬入された基板Wを乾燥する。この乾燥処理後の基板Wは、主搬送ロボットCRによって搬出される。主搬送ロボットCRは、その基板WをインデクサロボットIRに渡す。インデクサロボットIRは、渡された基板Wをいずれかのキャリヤ3に収納する。
【0040】
インデクサロボットIRは、未処理の基板Wを主搬送ロボットCRに渡し、その直前、直後または同時に、処理済みの基板Wを主搬送ロボットCRから受け取るように動作してもよい。同様に、主搬送ロボットCRは、未処理の基板WをインデクサロボットIRから受け取り、その直前、直後または同時に、処理済みの基板WをインデクサロボットIRに渡すように動作してもよい。さらに、主搬送ロボットCRは、未処理の基板Wを液処理ユニットMに搬入し、その直後または直前に乾燥ユニットDから処理済みの基板Wを搬出するように動作してもよい。
【0041】
このように、この実施形態では、一つの液処理ユニットMに対して一つの乾燥ユニットDが対応付けられている。そして、液処理ユニットMと乾燥ユニットDとが積層されている。さらに、一つの液処理ユニットMおよび一つの乾燥ユニットDの対に対して、一つのローカル搬送ロボットLRが設けられており、ローカル搬送ロボットLRは、それらの液処理ユニットMおよび乾燥ユニットDにアクセス可能である。ローカル搬送ロボットLRは、液処理ユニットMによって処理された基板Wを液処理ユニットMから搬出し、その液処理ユニットMに対応する乾燥ユニットDへと搬送して、その乾燥ユニットDに搬入する。具体的には、ローカル搬送ロボットLRは、液処理ユニットMから取り出した基板Wを垂直方向(さらに具体的には上方)へと搬送する。主搬送ロボットCRは、未処理の基板Wを液処理ユニットMに搬入し、乾燥ユニットDから処理後の基板Wを搬出する。
【0042】
図2は、液処理ユニットMの構成例を説明するための図解的な断面図である。液処理ユニットMは、処理室11を備えている。処理室11内には、基板Wを水平に保持して回転可能な基板保持手段としてのスピンチャック12と、スピンチャック12を取り囲むカップ13と、薬液ノズル14と、リンス液ノズル15と、有機溶剤ノズル16とが設けられている。スピンチャック12は、基板回転手段の一例であるモータ17によって鉛直な回転軸線18まわりに回転させられる。
【0043】
薬液ノズル14には、薬液配管21が結合されている。薬液配管21の途中には、薬液通路を開閉する薬液バルブ22が介装されている。薬液配管21には、薬液供給源23から薬液が供給される。リンス液ノズル15には、リンス液配管26が結合されている。リンス液配管26の途中には、リンス液通路を開閉するリンス液バルブ27が介装されている。リンス液配管26には、リンス液供給源28から、リンス液が供給される。リンス液は、この実施形態ではDIW(脱イオン水)である。むろん、炭酸水等の他のリンス液が用いられてもよい。
【0044】
有機溶剤ノズル16には、有機溶剤配管31が結合されている。有機溶剤配管31の途中には、有機溶剤通路を開閉する有機溶剤バルブ32が介装されている。有機溶剤配管31には、有機溶剤供給源33から有機溶剤が液体の状態で供給される。有機溶剤は、リンス液よりも表面張力が小さい低表面張力液体の一例である。有機溶剤としては、IPA(イソプロピルアルコール)、HFE(ハイドロフルオロエーテル)などを例示することができる。
【0045】
処理室11の側壁35,36には、主搬送ロボットCRによって未処理の基板Wが搬入される基板搬入開口37と、ローカル搬送ロボットLRによって処理済みの基板Wが搬出される基板搬出開口38とがそれぞれ形成されている。基板搬入開口37および基板搬出開口38には、それらを開閉するシャッタ39,40がそれぞれ配置されている。シャッタ39,40は、シャッタ駆動ユニット41,42によって、それぞれ開閉駆動される。基板搬入開口37は、主搬送室5と処理室11とを連通させる開口であり、主搬送室5と処理室11とを区画する側壁35に形成されている。基板搬出開口38は、処理室11とローカル搬送室Cとを連通させる開口であり、処理室11とローカル搬送室Cとを区画する側壁36に形成されている。
【0046】
液処理ユニットMの動作を概説すれば次のとおりである。
主搬送ロボットCRが未処理の基板Wを搬入するとき、シャッタ39が基板搬入開口37を開く。未処理の基板Wを保持した主搬送ロボットCRのハンドHC(アーム)が基板搬入開口37から処理室11内へと進入し、スピンチャック12に、その基板Wを渡す。基板Wをスピンチャック12に渡した主搬送ロボットCRのハンドは、基板搬入開口37を通って処理室11から退出する。その後、シャッタ駆動ユニット41は、シャッタ39を駆動して、基板搬入開口37を閉じる。
【0047】
次いで、モータ17によってスピンチャック12が回転させられ、薬液バルブ22が開かれる。それにより、回転状態の基板Wの表面に薬液が供給され、遠心力によって基板W表面の全域に薬液が行き渡る。こうして、基板Wを薬液で処理する薬液工程が実行される。薬液バルブ22を閉じることにより薬液の供給が停止して、薬液工程が終了する。
薬液工程の後、スピンチャック12の回転を継続しながら、リンス液バルブ27が開かれる。それにより、回転状態の基板Wの表面にリンス液が供給される。リンス液は、基板W表面の全域に広がり、基板W表面の薬液を置換する。こうしてリンス工程が実行される。リンス液バルブ27を閉じることによりリンス液の供給が停止して、リンス工程が終了する。
【0048】
このリンス工程の終了後、またはリンス工程の終了直前に、有機溶剤バルブ32が開かれる。それにより、基板W表面に有機溶剤が液体の状態で供給される。スピンチャック12は回転状態に保持される。したがって、有機溶剤は、基板W表面の全域に広がり、基板W表面のリンス液を置換する。その後、スピンチャック12の回転速度が減速されることにより、基板W表面に有機溶剤が液盛りされ、厚い有機溶剤液膜10が形成される(有機溶剤液盛り工程)。その液盛り状態を保持して、スピンチャック12の回転が停止される。有機溶剤は、水よりも表面張力が小さい低表面張力液体の一例である。
【0049】
次に、シャッタ駆動ユニット42は、シャッタ40を駆動して、基板搬出開口38を開く。この基板搬出開口38から、ローカル搬送ロボットLRのハンドLH(アーム)が処理室11内に進入し、スピンチャック12から基板Wを受け取り、基板搬出開口38を通して、当該基板Wを処理室11外へと搬出する。このとき、ローカル搬送ロボットLRは、基板W表面の有機溶剤液膜10を維持した状態で、乾燥ユニットDまで基板Wを搬送する。
【0050】
図3は、乾燥ユニットDの構成例を説明するための図解的な断面図である。乾燥ユニットDは、密閉可能な減圧チャンバ(真空チャンバ)からなる減圧乾燥室51(乾燥室の一例)を有している。減圧乾燥室51の容積は、液処理ユニットMの処理室11の容積よりも小さく、それによって、減圧乾燥室51は、内部空間を効率的に減圧できる構造を有している。減圧乾燥室51内に、基板Wを保持する基板保持手段としての基板ホルダ52が配置されている。基板ホルダ52には、基板加熱手段としてのヒータ53が内蔵されており、それによって、ホットプレートが構成されている。基板ホルダ52を貫通して複数(3本以上)のリフトピン54が配置されている。リフトピン54は、リフトピン昇降ユニット55によって上下動され、それによって、基板ホルダ52上で基板Wを上下動させる。
【0051】
減圧乾燥室51は、ベース部511と、ベース部511に対して上下動する可動蓋部512とを有している。可動蓋部512は、蓋部駆動ユニット56によって、ベース部511に対して上下動させられる。ベース部511と可動蓋部512との間に乾燥処理空間50が区画される。可動蓋部512の下端縁部58は、ベース部511の上面59に倣う平面に沿って形成されている。ベース部511において、可動蓋部512の下端縁部58に対向する位置には、シール部材としてのOリング60が配置されている。可動蓋部512をベース部511に接近させ、ベース部511に向けて押し付けると、可動蓋部512とベース部511との間がOリング60によって密閉される。こうして、密閉された乾燥処理空間50が形成される。
【0052】
ベース部511には、排気配管62が結合されている。排気配管62は、乾燥処理空間50に連通している。排気配管62は、真空ポンプ等の排気ユニット63に接続されている。排気配管62には、排気バルブ64が介装されている。排気ユニット63は減圧手段の一例であり、排気バルブ64を開いて排気ユニット63を駆動することによって、乾燥処理空間50を大気圧よりも低い気圧に減圧できる。
【0053】
可動蓋部512には、乾燥処理空間50に乾燥防止流体としての有機溶剤蒸気(有機溶剤ガス)を導入するための有機溶剤蒸気ノズル71が設けられている。有機溶剤蒸気ノズル71には、有機溶剤配管72が結合されている。有機溶剤配管72の途中には、有機溶剤バルブ73が介装されている。有機溶剤配管72は、有機溶剤蒸気(気体の状態の有機溶剤)を供給する有機溶剤蒸気供給源74に結合されている。
【0054】
有機溶剤蒸気供給源74は、たとえば、有機溶剤の液体80を貯留するタンク75と、タンク75内の有機溶剤の液体80を温度調節(具体的には加熱)する温度調節ユニット76を含む。温度調節ユニット76は、たとえば、循環配管77と、循環配管77に介装されたポンプ78およびヒータ79とを含む。ポンプ78によってタンク75内の有機溶剤の液体80が汲み出されて循環配管77に導かれ、ヒータ79によって加熱された後に、循環配管77を通ってタンク75に帰還される。有機溶剤配管72の入口は、タンク75内において有機溶剤の液体80の液面よりも高い位置に配置されている。したがって、タンク75内の有機溶剤液面上方の空間に存在する有機溶剤蒸気が有機溶剤配管72に供給される。
【0055】
有機溶剤配管72には、必要に応じて、キャリヤガス配管82が合流していてもよい。キャリヤガス配管82にはキャリヤガスバルブ83が介装されている。キャリヤガス配管82は、キャリヤガスを供給するキャリヤガス供給源84に接続されている。キャリヤガスとしては、窒素ガスその他の不活性ガスが適当である。キャリヤガスは、有機溶剤配管72を通って供給される有機溶剤蒸気の乾燥処理空間50への導入を補助する。有機溶剤蒸気供給源74は、液処理ユニットMで供給される有機溶剤と同種の有機溶剤の蒸気を供給することが好ましい。
【0056】
キャリヤガス配管82を有機溶剤配管72に合流させる構成に代えて、
図3に二点鎖線で示すように、キャリヤガス配管82をタンク75の上部に接続し、タンク75内の上方空間(液体80上限液面高よりも上の空間)にキャリヤガス(窒素ガス等)を直接供給する構成としてもよい。この場合、タンク75内で生じた有機溶剤蒸気は、キャリヤガスとともに、有機溶剤配管72に導入される。
【0057】
乾燥ユニットDの動作を概説すれば、次のとおりである。
ローカル搬送ロボットLRのハンドLHは、表面に有機溶剤の液膜10が形成された状態の基板Wを乾燥ユニットDに搬入する。基板Wが搬入されるとき、可動蓋部512はベース部511から離れた開放位置にあり、それにより、可動蓋部512とベース部511との間に基板搬入開口が形成される。このとき、リフトピン54は、その先端が基板ホルダ52の表面から上方に離間した上昇位置にある。その状態で、ローカル搬送ロボットLRのハンドLHが、可動蓋部512とベース部511との間に進入して、リフトピン54に基板Wを渡す。基板Wを渡されたリフトピン54は、下降し、基板ホルダ52の上面に基板Wを載置する。
【0058】
一方、蓋部駆動ユニット56は、可動蓋部512を下降させ、Oリング60を介してベース部511に押し付ける。これにより、乾燥処理空間50が密閉空間となる。さらに、排気バルブ64が開かれ、排気ユニット63が駆動されることにより、乾燥処理空間50内の雰囲気が排気され、乾燥処理空間50が減圧される。
乾燥処理空間50の減圧が開始されるまでの期間には、有機溶剤バルブ73およびキャリヤガスバルブ83が開かれ、有機溶剤蒸気ノズル71から乾燥処理空間50内に有機溶剤の蒸気が供給される。それにより、基板Wの表面の有機溶剤液膜10からの有機溶剤の蒸発が抑制され、減圧開始前の乾燥が抑制される。乾燥処理空間50の減圧が開始されると、減圧を阻害しないように、有機溶剤バルブ73およびキャリヤガスバルブ83が閉じられる。
【0059】
乾燥処理空間50内が減圧されることによって、基板Wの表面の有機溶剤が瞬時に蒸発し、それによって、基板Wが乾燥される。併せて、ヒータ53を駆動して基板ホルダ52を加熱すれば、基板Wが加熱されるので、それによっても、基板Wの乾燥が促進される。
基板Wの乾燥が終了した後、排気ユニット63が停止され、必要に応じてキャリヤガスバルブ83を開くことにより、乾燥処理空間50内が大気圧まで加圧される。その後、蓋部駆動ユニット56が、可動蓋部512を上昇させて、ベース部511から離間させる。さらに、リフトピン54が上昇して、基板ホルダ52の上面から上方に離れた高さまで基板Wを持ち上げる。この状態で、主搬送ロボットCRのハンドHCが可動蓋部512とベース部511との間に進入し、リフトピン54から処理後の基板Wをすくいとり、主搬送室5へと退出する。
【0060】
図4は、ローカル搬送ロボットLRの構成例を説明するための図である。ローカル搬送ロボットLRは、ローカル搬送室C内に配置されている。ローカル搬送室Cは、液処理ユニットMの処理室11と、当該処理室11の上に配置された乾燥ユニットDの減圧乾燥室51とに対向し、減圧乾燥室51が開かれているときに、減圧乾燥室51と連通する。
ローカル搬送ロボットLRは、基板Wを保持するためのハンドLH(アーム)と、ハンドLHを駆動するハンド駆動ユニット90とを含む。ハンド駆動ユニット90は、ハンドLHを水平移動および垂直移動させ、さらに必要に応じて、ハンドLHを鉛直な回転軸線89まわりに回動させる。それにより、ハンドLHは、液処理ユニットMの処理室11内に進入してスピンチャック12から基板Wを受け取り、その基板Wを乾燥ユニットDまで搬送し、減圧乾燥室51内へとその基板Wを搬入してリフトピン54(
図3参照)に渡し、その後にローカル搬送室Cに退出することができる。
【0061】
乾燥ユニットDは、液処理ユニットMの上に配置されているので、ローカル搬送ロボットLRは、液処理ユニットMから基板Wを搬出した後、ハンドLHを乾燥ユニットDの高さまで上昇させるように動作する。
ローカル搬送ロボットLRのハンドLH(またはハンドLHの移動によらずにハンドLHとの相対位置が大きく変化しない可動部位)には、ハンドLHに保持された基板Wの周囲(とくに基板Wの上面付近)に乾燥防止流体としての有機溶剤蒸気を供給する有機溶剤ガスノズル91が配置されている。有機溶剤ガスノズル91は、有機溶剤ガス配管92に接続されている。有機溶剤ガス配管92には、有機溶剤ガスバルブ93が介装されている。有機溶剤ガス配管92は、有機溶剤ガス供給源94に接続されている。有機溶剤ガス供給源94は、液処理ユニットMで供給される有機溶剤と同種の有機溶剤(たとえばIPA)の蒸気(気体)を供給することが好ましい。有機溶剤ガスノズル91等により、乾燥防止流体供給手段が構成されている。
【0062】
有機溶剤ガスバルブ93を開くことにより、ローカル搬送室C内、とくにハンドLHに保持された基板Wの付近に有機溶剤ガスを供給することができる。これにより、基板Wの上面の有機溶剤液膜10の周囲は有機溶剤ガスの濃度が高い雰囲気となる。そのため、有機溶剤液膜10を構成する有機溶剤の蒸発が進みにくいので、有機溶剤液膜10を基板W上に保ったままで、液処理ユニットMから乾燥ユニットDへと基板Wを搬送できる。この実施形態では、ハンドLHが移動しても、有機溶剤ガスノズル91とハンドLHとの相対位置がほぼ一定に保たれるので、ハンドLHによって搬送される途中においても基板Wの周囲の空間の有機溶剤濃度を安定的に高い値に保持できる。それにより、有機溶剤の蒸発をより確実に抑制または防止できる。
【0063】
ローカル搬送ロボットLRは、さらに、ハンドLHを冷却するハンド冷却ユニット97(アーム冷却ユニット)を備えていてもよい。ハンド冷却ユニット97は、ハンドLHに形成された冷媒通路98に冷媒を循環させるように構成されていてもよい。このような冷媒通路98を有する構成に代えて、ハンドLHを冷却する電子冷熱素子(図示せず)を備えてもよい。また、ハンド冷却ユニット97は、ローカル搬送室Cに備えられた冷却プレート99を冷却するように構成されていてもよい。この場合、ローカル搬送ロボットLRが基板Wを保持していない期間に、ハンドLHが冷却プレート99に接触させられる。それにより、ハンドLHの非稼
働期間にハンドLHが冷却される。その冷却されたハンドLHによって基板Wを搬送することにより、搬送中に基板Wを冷却できるので、基板W上の有機溶剤の蒸発を抑制または防止できる。
【0064】
ハンドLHに保持された基板Wを効率的に冷却するために、ハンドLHは、基板Wの形状に対応したプレート状に構成されていてもよい。このようなプレート状のハンドLHは、スピンチャック12との基板Wの受け渡しのために、スピンチャック12に備えられたチャックピンを回避する切欠きが周囲に形成された切欠き付プレート形状を有していてもよい。
【0065】
図4に示すように、ハンドLHに有機溶剤ガスノズル91を備える代わりに、またはその有機溶剤ガスノズル91に加えて、ローカル搬送室C内に有機溶剤ガスを供給する有機溶剤ガスノズル91A(乾燥防止流体供給手段の一例)が配置されてもよい。
また、ノズル91,91Aから有機溶剤蒸気を供給する代わりに、それらのノズルから、有機溶剤のミスト(液滴)を供給してもよい。
【0066】
以上のように、この実施形態によれば、処理対象の基板Wは、主搬送ロボットCRによって、液処理ユニットMの処理室11に搬入される。液処理ユニットMでは、処理室11内で基板Wに処理液が供給され、その処理液によって基板Wが処理される。液処理ユニットMで最後に基板Wに供給される処理液は、低表面張力液体の一例である有機溶剤であり、処理後の基板Wは、その表面に有機溶剤液膜10を保持している。この基板Wは、ローカル搬送ロボットLRによって、処理室11から減圧乾燥室51へと搬送され、減圧乾燥室51内で基板W表面の有機溶剤を乾燥させるための乾燥処理が実行される。
【0067】
処理室11から減圧乾燥室51への基板Wの搬送は、主搬送ロボットCRとは別に設けられたローカル搬送ロボットLRによって行われる。それにより、主搬送ロボットCRおよびその可動範囲に存在し得る部品や他の基板Wに対して有機溶剤の影響が及ぶことを抑制できる。とくに、主搬送ロボットCRに有機溶剤の液体がかかったり、基板W上の液体が主搬送ロボットCRの周囲にまき散らされたりすることを回避できる。
【0068】
ローカル搬送ロボットLRによって搬送されている間、その搬送中の基板Wの表面には、有機溶剤の乾燥を防ぐ乾燥防止流体として、有機溶剤の蒸気が供給される。したがって、液処理ユニットMで処理された基板Wは、その処理後の状態、すなわち表面に有機溶剤液膜10が形成された状態で、減圧乾燥室51に搬入され、乾燥ユニットDによる乾燥処理を受ける。それにより、ローカル搬送ロボットLRによる搬送中における基板W表面の不用意で制御されない状態での乾燥を抑制できる。つまり、基板Wの表面から有機溶剤を排除するための乾燥工程を、減圧乾燥室51内の調整された環境中で行える。それによって、不用意な乾燥による基板Wへの悪影響を回避して、基板Wの乾燥を良好に行うことができる。
【0069】
液処理ユニットMは、処理室11内にスピンチャック12を有しており、その容積が比較的大きい。そのため、処理室11内の空間を減圧して減圧乾燥を行うのは実際的でなく、仮に可能であるとしても、大きな容積の空間の減圧には長い時間がかかる。すると、基板W表面のパターンが有機溶剤から表面張力を受ける時間が長くなるから、有機溶剤の表面張力が比較的小さいとはいえ、基板W表面のパターンは表面張力による影響(具体的にはパターン倒壊等の損傷)を受けるおそれがある。
【0070】
そこで、この実施形態では、液処理ユニットMで処理を終えた後の基板Wを、より容積の小さい減圧乾燥室51に搬入し、減圧乾燥室51内での減圧乾燥処理を行っている。これにより、基板W表面の有機溶剤を瞬時に乾燥させることができるので、基板W表面のパターンの倒壊を抑制または防止できる。
また、この実施形態では、ローカル搬送ロボットLRのハンドLHまたはその近傍(具体的にはハンドLHを含む搬送アームのいずれかの箇所、またはローカル搬送室C内)に、有機溶剤ガスノズル91,91Aが配置されている。この有機溶剤ガスノズル91,91Aから、ローカル搬送ロボットLRによって搬送されている基板Wの表面に有機溶剤ガスが供給される。それにより、ローカル搬送ロボットLRによる搬送中の基板W表面の不用意な乾燥をより確実に抑制できる。
【0071】
また、ローカル搬送ロボットLRのハンド(搬送アーム)をハンド冷却ユニット97によって常温以下に冷却すれば、ローカル搬送ロボットLRによる搬送中に基板Wが加温されることを回避できる。それにより、基板W表面の有機溶剤の蒸発を抑制できるので、基板W表面の不用意な乾燥を一層抑制できる。
また、この実施形態では、乾燥ユニットDには、基板Wの表面に有機溶剤蒸気を供給する有機溶剤蒸気ノズル71が設けられている。それにより、減圧乾燥室51内において、減圧乾燥処理が始まる前に基板W表面の不用意な乾燥が開始することを回避できる。
【0072】
また、この実施形態では、ローカル搬送ロボットLRが、ローカル搬送室Cを通る搬送経路に従って基板Wを搬送するように構成されている。それにより、ローカル搬送ロボットLRによって搬送中の基板W表面の有機溶剤の影響がローカル搬送室C内に留められる。したがって、主搬送ロボットCRその他の基板処理装置1の構成部分に対する有機溶剤の影響を抑制できる。とくに、この実施形態では、主搬送ロボットCRが主搬送室5に配置されており、ローカル搬送ロボットLRが、主搬送室5から離隔されたローカル搬送室Cに配置されている。これにより、有機溶剤の蒸気が主搬送室5に入り込むことを抑制または防止できるので、主搬送ロボットCRによって搬送される基板Wに対する有機溶剤蒸気の影響を抑制できる。
【0073】
図5Aは、この発明の第2の実施形態に係る基板処理装置1Aの構成を説明するための図解的な平面図であり、
図5Bはその立面図である。
図5Aおよび
図5Bにおいて、前述の
図1Aおよび
図1Bの各部の対応部分には同一参照符号を付す。
この実施形態では、平面視において、主搬送室5の一方側に配置された2つの積層ユニット群G1,G2の間にローカル搬送室Cが配置され、そのローカル搬送室Cにローカル搬送ロボットLRが配置されている。同様に、主搬送室5の他方側に配置された2つの積層ユニット群G3,G4の間にローカル搬送室Cが配置され、そのローカル搬送室Cにローカル搬送ロボットLRが配置されている。積層ユニット群G1〜G4を構成する複数のユニットおよびそれらの積層状態は、第1の実施形態の場合と同様である。
【0074】
主搬送ロボットCRは、第1の実施形態の場合と同様に、合計8個の液処理ユニットMにアクセスして基板Wを渡すことができ、かつ合計8個の乾燥ユニットDにアクセスして基板Wを取り出すことができ、さらにインデクサロボットIRとの間で基板Wを受け渡しすることができる。
ローカル搬送ロボットLRは、この実施形態では、第1層S1に2個備えられ、第2層S2に2個備えられている。より具体的には、平面視において、第1層S1には、主搬送室5の両側に1個ずつのローカル搬送ロボットLR11,LR12が配置されている。さらに具体的には、主搬送室5の一方側において、第1層S1には、液処理ユニットM11,M12の間に一つのローカル搬送ロボットLR11が配置されている。主搬送室5の他方側にも同様に、液処理ユニットM13,M14の間に一つのローカル搬送ロボットLR12が配置されている。第2層S2における2個のローカル搬送ロボットLR21,LR22も同様に配置されている。ローカル搬送ロボットLR11,LR12,LR21,LR22は、ローカル搬送室C11,C12,C21,C22内にそれぞれ配置されている。ローカル搬送室Cは、主搬送室5から分離(離隔)するように区画された搬送空間を形成している。
【0075】
第1層S1において、主搬送室5の一方側に配置されたローカル搬送ロボットLR11は、2つの液処理ユニットM11,M12によって共有される。すなわち、ローカル搬送ロボットLR11は、キャリヤ保持部2に近い側の液処理ユニットM11での処理を終えた基板Wを取り出し、垂直方向(より具体的には上方)に搬送し、その液処理ユニットM11の上の乾燥ユニットD11へと搬入する。また、ローカル搬送ロボットLR11は、キャリヤ保持部2から遠い側の液処理ユニットM12での処理を終えた基板Wを取り出し、垂直方向(より具体的には上方)に搬送し、その液処理ユニットM12の上の乾燥ユニットD12へと搬入する。
【0076】
ローカル搬送ロボットLR11は、キャリヤ保持部2に近い側の液処理ユニットM11での処理を終えた基板Wを、キャリヤ保持部2から遠い側の液処理ユニットM12の上の乾燥ユニットD12に搬送してもよい。同様に、ローカル搬送ロボットLR11は、キャリヤ保持部2から遠い側の液処理ユニットM12での処理を終えた基板Wをキャリヤ保持部2に近い側の液処理ユニットM11の上の乾燥ユニットD11に搬送してもよい。より一般化すれば、ローカル搬送ロボットLR11は、第1層S1において主搬送室5の一方側に配置された2つの液処理ユニットM11,M12と、それらの上にそれぞれ配置された2つの乾燥ユニットD11,D12にアクセス可能である。そして、一つの液処理ユニットM11,M12で処理を終えた基板Wは、ローカル搬送ロボットLR11によって、2つの乾燥ユニットD11,D12のいずれかに搬入されて乾燥処理を受ける。
【0077】
第1層S1において主搬送室5の他方側に配置されたローカル搬送ロボットLR12の動作も同様である。すなわち、ローカル搬送ロボットLR12は、2つの液処理ユニットM13,M14および2つの乾燥ユニットD13,D14にアクセス可能に構成されており、それらに対して、主搬送室5の反対側のローカル搬送ロボットLR11と同様な動作を行う。
【0078】
第2層S2に配置されたローカル搬送ロボットLR21,LR22の動作も同様である。すなわち、ローカル搬送ロボットLR21は、2つの液処理ユニットM21,M22および2つの乾燥ユニットD21,D22にアクセス可能に構成されており、それらに対して、ローカル搬送ロボットLR11と同様な動作を行う。また、ローカル搬送ロボットLR22は、2つの液処理ユニットM23,M24および2つの乾燥ユニットD23,D24にアクセス可能に構成されており、それらに対して、ローカル搬送ロボットLR11と同様な動作を行う。
【0079】
主搬送室5の一方側に配置された2つのローカル搬送ロボットLR11,LR21は、この実施形態では、平面視において重なり合う2つのローカル搬送室C11,C21にそれぞれ配置されている。同様に、主搬送室5の他方側に配置された2つのローカル搬送ロボットLR12,LR22は、この実施形態では、平面視において重なり合う2つのローカル搬送室C12,C22にそれぞれ配置されている。
【0080】
上下に重なり合った2つのローカル搬送室C11,C21;C12,C22を、上下に連通した一つのローカル搬送室としてもよい。そして、この一つのローカル搬送室C内に一つのローカル搬送ロボットLRを配置してもよい。
この場合、主搬送室5の一方側では、ローカル搬送室Cに対してキャリヤ保持部2側には、液処理ユニットM11、乾燥ユニットD11、液処理ユニットM21および乾燥ユニットD21がこの順で積層された積層ユニット群G1が位置し、キャリヤ保持部2から遠い側にも、液処理ユニットM12、乾燥ユニットD12、液処理ユニットM22および乾燥ユニットD22がこの順で積層された積層ユニット群G2が位置する。ローカル搬送室Cに配置された一つのローカル搬送ロボットLRは、これらの一対の積層ユニット群G1,G2を構成する合計8個のユニットに対してアクセスすることができる。この場合、ローカル搬送ロボットLRは、或る液処理ユニットM11,M12,M21,M22で処理が終了した一つの基板Wをその直上に積層された乾燥ユニットD11,D12,D21,D22に搬入するように動作してもよい。また、ローカル搬送ロボットLRは、或る液処理ユニットM11,M12,M21,M22で処理が終了した一つの基板Wを、アクセス可能な4つの乾燥ユニットD11,D12,D21,D22のうちの任意の一つに搬入してもよい。一般的には、処理のために使われていない乾燥ユニットDに基板Wを搬入することにより、生産性を高めることができる。
【0081】
主搬送室5の他方側についても、同様の構成であり、2つの積層ユニット群G3,G4によって共有される一つのローカル搬送ロボットLRを同様に動作させることができる。
図1Aおよび
図5Aの比較から理解されるとおり、この実施形態の構成により、基板処理装置1Aの占有面積(フットプリント)を小さくすることができる。
図6Aは、この発明の第3の実施形態に係る基板処理装置1Bの構成を説明するための図解的な平面図であり、
図6Bは、その立面図である。この実施形態の基板処理装置1Bでは、ユニットの配置が、第1層S1、第2層S2および第3層S3を含む三層構造を形成している。
【0082】
この実施形態では、平面視において、主搬送室5の一方側に3つの積層ユニット群G11,G12,G13が主搬送室5に沿って配置され、主搬送室5の他方側に3つの積層ユニット群G14,G15,G16が主搬送室5に沿って配置されている。
積層ユニット群G11は、3つの液処理ユニットM11,M21,M31を下から順に積層して構成されている。積層ユニット群G13は、3つの液処理ユニットM12,M22,M32を下から順に積層して構成されている。積層ユニット群G11,G13の間に配置された積層ユニット群G12は、6つの乾燥ユニットD11,D12,D21,D22,D31,D32を下から順に積層して構成されている。積層ユニット群G11,G13の間には、さらに、ローカル搬送室C11,C21,C31が下から順に積層して配置されており、それらの中に、ローカル搬送ロボットLR11,LR21,LR31がそれぞれ配置されている。ローカル搬送室C11,C21,C31は、この実施形態では、積層ユニット群G12に対して、主搬送室5とは反対側に配置されている。
【0083】
積層ユニット群G14は、3つの液処理ユニットM13,M23,M33を下から順に積層して構成されている。積層ユニット群G16は、3つの液処理ユニットM14,M24,M34を下から順に積層して構成されている。積層ユニット群G14,G16の間に配置された積層ユニット群G15は、6つの乾燥ユニットD13,D14,D23,D24,D33,D34を下から順に積層して構成されている。積層ユニット群G14,G16の間には、さらに、ローカル搬送室C12,C22,C32が下から順に積層して配置されており、それらの中に、ローカル搬送ロボットLR12,LR22,LR32がそれぞれ配置されている。ローカル搬送室C12,C22,C32は、この実施形態では、積層ユニット群G15に対して、主搬送室5とは反対側に配置されている。
【0084】
各層の構成に着目すると、第1層S1において、主搬送室5の一方側には、主搬送室5の平面視における長手方向に沿って、一対の液処理ユニットM11,M12が配置されており、この一対の液処理ユニットM11,M12の間に、一対の乾燥ユニットD11,D12と、一つのローカル搬送ロボットLR11とが配置されている。一対の乾燥ユニットD11,D12は、この実施形態では、上下に積層されている。乾燥ユニットD11,D12は、主搬送室5に近い位置に配置されており、乾燥ユニットD11,D12に対して主搬送室5とは反対側にローカル搬送ロボットLR11が配置されている。
【0085】
ローカル搬送ロボットLR11は、ローカル搬送室C11内に配置されている。ローカル搬送ロボットLR11は、一対の液処理ユニットM11,M12および一対の乾燥ユニットD11,D12にアクセス可能である。ローカル搬送ロボットLR11は、一つの液処理ユニットM11,M12で処理を終えた基板Wを搬出して、一対の乾燥ユニットD11,D12のいずれかにその基板Wを搬入するように動作する。
【0086】
第1層S1において、主搬送室5の他方側のユニット配置も同様である。すなわち、主搬送室5の他方側には、主搬送室5の平面視における長手方向に沿って、一対の液処理ユニットM13,M14が配置されており、この一対の液処理ユニットM13,M14の間に一対の乾燥ユニットD13,D14と一つのローカル搬送ロボットLR12とが配置されている。一対の乾燥ユニットD13,D14は上下に積層されている。それらの乾燥ユニットD13,D14は、主搬送室5に近い位置に配置され、乾燥ユニットD13,D14に対して主搬送室5とは反対側にローカル搬送室C12が区画され、そこにローカル搬送ロボットLR12が収容されている。
【0087】
ローカル搬送ロボットLR12は、一対の液処理ユニットM13,M14および一対の乾燥ユニットD13,D14にアクセス可能である。ローカル搬送ロボットLR12は、一つの液処理ユニットM13,M14で処理を終えた基板Wを搬出して、一対の乾燥ユニットD13,D14のいずれかにその基板Wを搬入するように動作する。
第2層S2および第3層S3のユニット配置および各層のローカル搬送ロボットLRの動作も同様である。第2層S2は、主搬送室5の一方側に配置された一対の液処理ユニットM21,M22、一対の乾燥ユニットD21,D22および一つのローカル搬送ロボットLR21を含み、さらに、主搬送室5の他方側に配置された一対の液処理ユニットM23,M24、一対の乾燥ユニットD23,D24および一つのローカル搬送ロボットLR22を含む。第3層S3は、主搬送室5の一方側に配置された一対の液処理ユニットM31,M32、一対の乾燥ユニットD31,D32および一つのローカル搬送ロボットLR31を含み、さらに、主搬送室5の他方側に配置された一対の液処理ユニットM33,M34、一対の乾燥ユニットD33,D34および一つのローカル搬送ロボットLR32を含む。
【0088】
このように、この実施形態では、液処理ユニットMと乾燥ユニットDとが平面的に配置(水平配置)されており、それにより、基板処理装置1Bの全高を抑制しながら、多数の液処理ユニットMおよび乾燥ユニットDを備えることができる。
主搬送室5の一方側に配置された3つのローカル搬送ロボットLR11,LR21,LR31は、この実施形態では、平面視において、重なり合う3つのローカル搬送室C11,C21,C31にそれぞれ配置されている。この3つのローカル搬送室C11,C21,C31を上下に連通した一つのローカル搬送室Cとしてもよい。また、この一つのローカル搬送室C内に一つのローカル搬送ロボットLRを配置してもよい。この場合、ローカル搬送室Cに対してキャリヤ保持部2側には、3つの液処理ユニットM11,M21,M31が積層された積層ユニット群G11が位置し、キャリヤ保持部2から遠い側には、3つの液処理ユニットM12,M22,M32が積層された積層ユニット群G13が位置し、主搬送室5側には6つの乾燥ユニットD11,D12,D21,D22,D31,D32が積層された積層ユニット群G12が位置する。ローカル搬送室Cに配置された一つのローカル搬送ロボットLRは、これらの3つの積層ユニット群G11〜G13を構成する合計12個のユニットに対してアクセスすることができる。
【0089】
この場合、ローカル搬送ロボットLRは、或る液処理ユニットMで処理が終了した一つの基板Wを同一層内に位置する乾燥ユニットDに搬入するように動作してもよい。また、ローカル搬送ロボットLRは、或る液処理ユニットMで処理が終了した一つの基板Wを、アクセス可能な6つの乾燥ユニットDのうちの任意の一つに搬入してもよい。一般的には、処理のために使われていない乾燥ユニットDに基板Wを搬入することにより、生産性を高めることができる。むろん、主搬送室5の反対側に関しても、同様の構成とすることができる。
【0090】
図1Aおよび
図6Aの比較から理解されるとおり、この実施形態の構成により、基板処理装置1Bの占有面積(フットプリント)を小さくすることができる。さらに、
図5Bおよび
図6B等の比較から理解されるとおり、この実施形態の構成により、同じ高さのスペースに、より多くのユニットを配置することができる。換言すれば、同じユニット数の基板処理装置を、より低い高さで構成することができる。
【0091】
図7は、この発明の第4の実施形態に係る基板処理装置1Cの構成を説明するための図解的な立面図であり、主搬送室の一方側の構成が示されている。主搬送室5(
図5A等参照)の一方側に、一対の積層ユニット群G21,G22が配置されており、それらの間にローカル搬送ロボットLR1,LR2が配置されている。この例では、一つの積層ユニット群G21は3つの液処理ユニットM1,M2,M3を三層に積層して構成されている。もう一つの積層ユニット群G22は、一つの液処理ユニットM4と、その上に順に積層された4つの乾燥ユニットD1〜D4とを含む。主搬送室5の反対側にも同様の構成が設けられている。主搬送ロボットCRは、主搬送室5の一方側に配置された4つの液処理ユニットM1〜M4および4つの乾燥ユニットD1〜D4にアクセス可能であり、かつ主搬送室5の反対側に同様に配置された4つの液処理ユニットおよび4つの乾燥ユニットにアクセス可能である。
【0092】
この例では、主搬送室5の一方側に、2つのローカル搬送ロボットLR1,LR2が設けられており、それらは、一つのローカル搬送室C内に配置されている。たとえば、下側のローカル搬送ロボットLR1は、3つの液処理ユニットM1,M2,M4および2つの乾燥ユニットD1,D2にアクセス可能であってもよい。そして、上側のローカル搬送ロボットLR2は、2つの液処理ユニットM2,M3および4つの乾燥ユニットD1〜D4にアクセス可能であってもよい。これらのローカル搬送ロボットLR1,LR2は、液処理ユニットM1〜M4で処理された後の基板Wをいずれかの乾燥ユニットD1〜D4に搬入するように動作する。主搬送室5の反対側にも同様の構成が設けられており、2つのローカル搬送ロボットの動作も同様である。
【0093】
図8は、この発明の第5の実施形態に係る基板処理装置1Dの構成を説明するための図解的な平面図である。この実施形態では、3つの積層ユニット群G31,G32,G33が設けられている。第1の積層ユニット群G31は、液処理ユニットM11,M21,M31を複数層(この実施形態では三層)に積層して構成されている。第2の積層ユニット群G32は、キャリヤ保持部2におけるキャリヤ3の整列方向に沿って、第1の積層ユニット群G31に対向している。この第2の積層ユニット群G32は、液処理ユニットM12,M22,M32を複数層に積層して構成されている。第3の積層ユニット群G33は、第1および第2の積層ユニット群G31,G32の間に配置されている。第3の積層ユニット群G33は、乾燥ユニットD1〜D6を複数層(この実施形態では6層)に積層して構成されており、
図6Aおよび
図6Bに示した積層ユニット群G12,G15と類似の構成を有している。乾燥ユニットD1〜D6に対して主搬送ロボットCRとは反対側にローカル搬送室Cが配置されている。ローカル搬送室Cには、ローカル搬送ロボットLRが配置されている。ローカル搬送ロボットLRは、液処理ユニットM11,M12;M21,M22;M31,M32に対応した各層に一つずつ設けられていてもよい。また、複数層(たとえば全ての層)に配置された液処理ユニットMに対して共通に用いられる一つのローカル搬送ロボットLRが設けられていてもよい。
【0094】
主搬送ロボットCRは、主搬送室5Aに配置されている。主搬送室5
Aは、第1〜第3の積層ユニット群G31〜G33とインデクサロボットIRとの間に区画されている。インデクサロボットIRと主搬送ロボットCRとの間の基板Wの受け渡しは、一時的に基板Wを保持する基板受渡しユニット7を介して行われてもよい。主搬送ロボットCRは、インデクサロボットIRから基板受渡しユニット7を介して受け取った未処理の基板Wを、第1または第2の積層ユニット群G31,G32に含まれる一つの液処理ユニットMに搬入する。その液処理ユニットMで処理された後の基板Wは、ローカル搬送ロボットLRによって搬出され、当該ローカル搬送ロボットLRがアクセス可能な乾燥ユニットD1〜D6のいずれかに搬入される。その乾燥ユニットDで処理された後の基板Wは、主搬送ロボットCRによって取り出され、基板受渡しユニット7を介して、インデクサロボットIRへと渡される。
【0095】
図9は、この発明の第6の実施形態に係る基板処理装置の構成を説明するための図であり、乾燥ユニットDの構成例を示す。この乾燥ユニットDは、真空チャンバを構成する減圧乾燥室111を有している。減圧乾燥室111には、排気管112が接続されている。排気管112は、真空ポンプ等の排気ユニット113に接続されている。排気管112には、排気バルブ110が介装されている。
【0096】
減圧乾燥室111には、基板Wを搬入するための基板搬入開口114が側壁115に形成されている。さらに、減圧乾燥室111には、基板Wを搬出するための基板搬出開口116が側壁117に形成されている。基板搬出開口116を開閉するためのシャッタ118が設けられており、シャッタ118はシャッタ駆動ユニット119によって駆動される。シャッタ118の減圧乾燥室111に対向する表面には、シール部材としてのOリング120が設けられている。シャッタ118は、減圧乾燥室111の側壁117に押し付けられ、それによって、Oリング120を介して基板搬出開口116を気密に密閉する。主搬送ロボットCRが乾燥ユニットDによる処理済みの基板Wを搬出するときには、シャッタ駆動ユニット119はシャッタ118を駆動して基板搬出開口116を開放する。その開放された基板搬出開口116に主搬送ロボットCRのハンドHCが進入する。
【0097】
一方、基板搬入開口114は、ローカル搬送ロボットLRのハンドLHに備えられた蓋部材125によって開閉される。蓋部材125の減圧乾燥室111に対向する表面には、シール部材としてのOリング126が設けられている。ローカル搬送ロボットLRは、液処理ユニットMで処理された後の基板Wを減圧乾燥室111に搬入し、さらに、蓋部材125をOリング126を介して減圧乾燥室111の側壁115に押し付けるように動作する。それにより、基板搬入開口114が気密に閉塞される。
【0098】
減圧乾燥室111の天井面には、減圧乾燥室111内の空間に乾燥防止流体としての有機溶剤蒸気(有機溶剤ガス)を導入するための有機溶剤蒸気ノズル71Aが設けられている。この有機溶剤蒸気ノズル71Aに関して、
図3に示した乾燥ユニットの場合と同様の構成が備えられており、有機溶剤蒸気ノズル71Aに有機溶剤の蒸気が供給されている。
図9において、
図3の各部に対応する部分に同一参照符号を付して説明を省略する。
【0099】
乾燥ユニットDの動作の概要は次のとおりである。
基板搬出開口116がシャッタ118によって閉塞された状態で、ローカル搬送ロボットLRが基板Wを減圧乾燥室111に搬入する。この基板Wは、その上面に有機溶剤液膜10が形成された状態の基板である。ローカル搬送ロボットLRは、ハンドLHを減圧乾燥室111内に進入させ、かつ、蓋部材125を減圧乾燥室111の側壁115の外面に押し付けて基板搬入開口114を閉塞する。こうして、減圧乾燥室111内は気密な密閉空間となる。この状態で、排気バルブ110が開かれ、排気ユニット113が作動させられることにより、減圧乾燥室111内の空間が大気圧よりも低圧に減圧される。それによって、基板W上の有機溶剤液膜10が瞬時に乾燥する。
【0100】
減圧乾燥室111内の空間の減圧が開始されるまでの期間には、有機溶剤バルブ73およびキャリヤガスバルブ83が開かれ、有機溶剤蒸気ノズル71から減圧乾燥室111内に有機溶剤の蒸気が供給される。それにより、基板Wの表面の有機溶剤液膜10からの有機溶剤の蒸発が抑制され、減圧開始前の乾燥が抑制される。減圧乾燥室111内の減圧が開始されると、減圧を阻害しないように、有機溶剤バルブ73およびキャリヤガスバルブ83が閉じられる。
【0101】
こうして基板Wの乾燥が終了すると、排気ユニット113が動作停止され、必要に応じてキャリヤガスバルブ83が開かれる。それによって、減圧乾燥室111内の空間が大気圧に戻る。次いで、シャッタ駆動ユニット119がシャッタ118を基板搬出開口116から退避させ、それによって、基板搬出開口116が開かれる。その後、主搬送ロボットCRがハンドHCを減圧乾燥室111内に進入させ、ローカル搬送ロボットLRのハンドLHから、乾燥処理済みの基板Wを受け取り、基板搬出開口116からその基板Wを搬出する。
【0102】
このように、ローカル搬送ロボットLRのハンドLHに蓋部材125を設けることによって、基板搬入開口114を開閉するためのシャッタ駆動機構を省くことができる。また、減圧乾燥室111内での基板Wの保持をローカル搬送ロボットLRのハンドLHで行えるので、減圧乾燥室111内に基板保持機構を設ける必要がない。減圧による有機溶剤の乾燥は、瞬時に行えるので、ローカル搬送ロボットLRのハンドLHによる乾燥処理中の基板Wの保持が原因で生産性に大きな影響が生じるおそれはない。
【0103】
また、減圧乾燥室111にハンドで基板Wを搬送する動作により、蓋部材125によって基板搬入開口114を密閉でき、そのまま、減圧乾燥室111内で基板Wを保持して減圧乾燥処理を行える。したがって、基板搬入開口114の開閉専用の動作および基板Wの受け渡し動作を省略できるから、工程全体の所要時間を短縮でき、生産性を向上できる。
なお、この形態の乾燥ユニットDにおいても、
図3に示したようなヒータ53を設けて、基板Wを加熱する構成としてもよい。
【0104】
以上、この発明の実施形態について説明してきたが、この発明は、さらに他の形態で実施することができる。
図2に二点鎖線で示すように、液処理ユニットMは、スピンチャック12に保持された基板Wの上面に対向する対向面19aを有する遮断板19を有していてもよい。この場合、スピンチャック12の上方で遮断板19を上下動させ、遮断板19を基板Wの上面に接近させたり、基板Wの上面から離れさせたりする遮断板昇降ユニットが備えられることが好ましい。たとえば、遮断板19を基板Wの上面に接近させた状態で、リンス工程を行ったり、有機溶剤液盛り工程を行ったりすることにより、周囲から跳ね返った液滴やミストが基板Wの上面に付着することを抑制または防止できる。この場合、リンス液ノズル15および有機溶剤ノズル16は、遮断板19に組み込まれ、たとえば、遮断板19の対向面19aの中央付近から基板Wの中心に向けて液を吐出するように配置されていることが好ましい。
【0105】
また、液処理ユニットMは、基板Wを冷却する基板冷却ユニットをさらに備えていてもよい。基板冷却ユニットは、たとえば、スピンチャック12に保持された基板Wの下面に対向するように設けられた冷温プレート20(
図2参照)を含んでいてもよい。冷温プレートを基板Wの下面に対して接近/離隔させるプレート駆動ユニットがさらに備えられていてもよい。冷温プレートは、冷媒が流通する冷媒路が内部に形成されたプレートであってもよい。また、冷温プレートは、電子冷熱素子を備えていてもよい。基板冷却ユニットは、基板を有機溶剤の露点以下の温度に冷却し、基板W表面の有機溶剤の蒸発を抑制または防止する。すなわち、基板冷却ユニットは、有機溶剤液盛り工程から、液盛りされた基板Wが液処理ユニットMから搬出されるまでの期間に、基板Wを有機溶剤の露点以下の温度に保持することが好ましい。このような基板冷却ユニットを設ける代わりに、液処理ユニットMの処理室11の全体を冷却し、処理室11内の雰囲気を有機溶剤の露点以下に冷却してもよい。
【0106】
さらに、液処理ユニットMは、基板W表面の有機溶剤の蒸発を抑制または防止するために、乾燥防止流体(たとえば有機溶剤の蒸気またはミスト(液滴))を基板Wの表面に供給する乾燥防止流体供給手段を備えていてもよい。乾燥防止流体供給手段は、スピンチャック12に保持された基板Wの表面に向けて乾燥防止流体を吐出するノズル130(
図2参照)と、ノズル130に乾燥防止流体を供給する配管131と、配管131に介装されたバルブ132とを含むことが好ましい。配管131は、乾燥防止流体供給源133に接続される。ノズル130は、前述の遮断板19に組み込まれてもよいし、基板Wの上方の処理位置と基板Wの上方から退避した退避位置との間で移動可能な移動ノズルであってもよい。
【0107】
また、前述の実施形態では、液処理ユニットMにおいて、基板Wの表面に有機溶剤液膜10が形成されているが、有機溶剤液膜10の形成を乾燥ユニットDで行ってもよい。より具体的には、液処理ユニットMにおいて、リンス液で基板Wの上面が濡れた状態で処理を終了する。そのリンス液で濡れた状態の基板Wがローカル搬送ロボットLRによって乾燥ユニットDに搬送される。乾燥ユニットDでは、基板Wの上面のリンス液に有機溶剤が供給され、リンス液の蒸発が促進される。この場合、
図3に示すように、基板ホルダ52には、基板冷却手段としての冷却ユニット53Cを内蔵し、基板ホルダ52を温度調節プレートとして構成しておくことが好ましい。冷却ユニット53Cは、基板ホルダ52内を通る冷媒通路を有していてもよいし、電子冷熱素子を有していてもよい。たとえば、冷却ユニット53Cによって基板Wを冷却(好ましくは、有機溶剤の露点以下の温度に冷却)しておく一方で、基板Wの表面に有機溶剤の蒸気またはミスト(液滴)が供給される。それにより、基板Wの表面のリンス液に有機溶剤が混入し、基板Wの表面のリンス液が蒸発しやすくなる。その後、有機溶剤の供給を停止して、基板Wの周囲を減圧雰囲気とすることにより、基板Wの表面の液成分を瞬時に乾燥することができる。この乾燥時には、冷却ユニット53Cを作動停止し、ヒータ53を駆動して、基板Wの加熱を併用することが好ましい。ローカル搬送ロボットLRによる搬送中に基板W表面のリンス液が蒸発することを抑制または防止するために、その搬送中の基板Wの表面には、乾燥防止流体としてリンス液の蒸気(たとえば水蒸気)またはミスト(液滴)が供給される。
【0108】
前述の第1〜第4の実施形態において、インデクサロボットIRと主搬送ロボットCRとの間に、基板Wを一時的に保持する基板受渡しユニットを配置し、第5の実施形態(
図8参照)と同様にして、それらの間の基板受け渡しを行ってもよい。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。