(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記掻寄板支持機構は、前記回転軸本体の軸方向から見たとき、第1方向に延びて前記掻寄板を支持した第1支持部材と、前記第1方向とは交差する第2方向に延びて掻寄板と別部材のうち少なくとも一方を支持した第2支持部材とを含み、
前記第1固定具および前記第2固定具の少なくとも一方は、前記回転軸本体の軸方向から見たとき、前記回転軸本体の周方向で前記第1支持部材と前記第2支持部材との間に配置される、
請求項2に記載の掻寄ユニット。
前記連結部材の鉛直方向の第1長さは、前記下部回転軸のうち、前記回転軸本体と前記下部回転軸とが前記連結部材により連結された状態で前記下部軸受に挿入される部分の鉛直方向の第2長さよりも長い、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の掻寄ユニット。
前記沈殿槽の上部に配置されて前記回転軸本体の軸方向の荷重を受けることで、前記連結部材が前記回転軸本体および前記下部回転軸から取り外された場合でも前記沈殿槽の槽体に対する前記回転軸本体の鉛直方向の位置を保持する上部軸受をさらに備えた、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の掻寄ユニット。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態の掻寄ユニット、沈殿槽、および沈殿槽の保守方法を、図面を参照して説明する。なお以下の説明では、同一または類似の機能を有する構成に同一の符号を付す。そして、それら構成の重複する説明は省略する場合がある。
【0008】
(第1の実施形態)
図1から
図7を参照し、第1の実施形態について説明する。
本実施形態の沈殿槽1は、例えば、工業廃水などの被処理水に含まれる微小のSS(懸濁物質または浮遊物質)を被処理水から分離させる沈殿槽であり、例えば沈降分離法が用いられる沈殿槽である。
【0009】
まず、沈殿槽1の全体構成について説明する。
図1は、本実施形態の沈殿槽1の全体構成を示す断面図である。
図1に示すように、沈殿槽1は、槽体11、下部回転支持機構12、被処理水供給部13、流入管ユニット14、掻寄ユニット15、溢流堰16、被処理水排出部17、および汚泥引抜管18を有する。なお
図1中では、被処理水の流れを矢印で模式的に示す。
【0010】
槽体11は、円筒状または多角形状などの筒状に形成された容器である。槽体11は、例えば、底壁21と、底壁21の周縁部から上方に向けて起立した周壁22とを含む。槽体11は、筒状の周壁22により形成された上部開口部23を有する。槽体11は、内部に被処理水を貯留するとともに、フロックを沈殿させる。なお「フロック」とは、凝縮作用などによって生成された塊状物を意味し、例えば浮遊物質を含む被処理水中に凝縮剤などが添加されることで生じる綿くず状の塊状物を意味する。槽体11は、内部に貯留する被処理水の流れを均一化できるように、例えば槽体11の中心軸Cを鉛直方向と略一致させて設置されている。また、槽体11の底壁21の中央部は、沈殿物が蓄積する凹部21aを有する。凹部21aには、蓄積した沈殿物を槽体11の外部に排出する排出口21bが設けられている。排出口21bには、汚泥引抜管18が接続されている。底壁21は、凹部21aの内側に位置する底壁中央部21cを有する。
【0011】
下部回転支持機構12は、後述する掻寄ユニット15の回転軸29の下端部を支持する支持機構である。下部回転支持機構12は、槽体11の底壁中央部21cに設けられている。
図2は、
図1中に示された沈殿槽の一点鎖線F2で囲まれた領域を拡大して示す断面図である。
図2に示すように、下部回転支持機構12は、下部軸受24と、下部軸受ホルダ25と、支持台26とを有する。
【0012】
下部軸受24は、回転軸29の下端部が挿入される筒状部材である。本実施形態では、下部軸受24には、回転軸29のなかで後述する下部回転軸36の下端部が挿入される。下部軸受24は、下部回転軸36の下端部を回転可能に支持する。本実施形態では、下部軸受24は、樹脂製である。しかしながら、下部軸受24の材質は樹脂に限定されない。例えば、下部軸受24は、カーボン製などでもよい。
【0013】
下部軸受ホルダ25は、下部軸受24を保持する。下部軸受ホルダ25は、底壁25aと、底壁25aの周縁部から上方に向けて起立した周壁25bとを含む。底壁25aは、下部軸受24の下端を下方から支持する。底壁25aには、下部回転軸36が挿通可能な大きさの開口部25cが形成されている。周壁25bは、例えば円筒状であり、下部軸受24を外周側から支持する。周壁25bの上端部には、フランジ25dが形成されている。
【0014】
支持台26は、槽体11の底壁中央部21cの上面に固定されたベース26aと、ベース26aの上面から上方へ突出する軸受ホルダ支持部26bとを含む。下部軸受ホルダ25は、フランジ25dが軸受ホルダ支持部26bの上端に載置されることで、支持台26に支持される。なお、下部回転支持機構12の構成は、上記例に限定されない。下部回転支持機構12は、掻寄ユニット15の回転軸29の中心軸がずれないように回転軸29を支持するものであれば、任意の構成で実現されてよい。
【0015】
再び
図1に戻り説明すると、被処理水供給部13は、例えば槽体11の外側から槽体11の内側に延びた流入トラフ(または供給配管など)である。本願で言う「トラフ」とは、溝を形成する構造体を意味する。被処理水供給部13は、後述する溢流堰16よりも上方に配置され、流入管ユニット14の上端に接続されている。被処理水供給部13は、処理対象の被処理水を流入管ユニット14内に上方から連続的に供給する。
【0016】
流入管ユニット14は、槽体11の内側(すなわち、沈殿槽1の内側)に配置され、被処理水供給部13から供給された被処理水を槽体11内に流入させる。本実施形態の流入管ユニット14は、流入管27と、流入管27から槽体11内に流入する被処理水を鉛直方向とは交差する方向に分散させる分散板ユニット28とを有する。
【0017】
流入管27は、槽体11の内側に配置されている。流入管27は、「センターウェル」または「フィードウェル」などと称されてもよい。被処理水供給部13は、流入管27の上部に接続され、被処理水を流入管27内に上方から供給する。流入管27は、例えば円筒状または多角形状などの筒状に形成されている。流入管27は、流入管27の中心軸を鉛直方向と略一致させて配置されている。例えば、流入管27の中心軸は、槽体11の中心軸Cと略一致する。
【0018】
流入管27の下端27aは、槽体11の底壁21から離れている。流入管27の下端27aと槽体11の底壁21との間には、被処理水が略水平方向に分散して流れる流路が形成されている。被処理水供給部13から流入管27内に供給された被処理水は、流入管27内を下方に向けて流れ、流入管27の下端27aの開口部27bから槽体11内に供給される。流入管27から槽体11内に供給された被処理水は、槽体11の周壁22の内壁面と流入管27の外周面との間をゆっくりと上昇する。例えばこの過程で、フロックの一部が被処理水から分離して沈殿する。
【0019】
分散板ユニット28は、後述する掻寄ユニット15の回転軸29に取り付けられている。分散板ユニット28は、流入管27の下方に配置されている。例えば、分散板ユニット28は、複数の分散板を含む。本実施形態の分散板ユニット28は、例えば3枚の分散板(第1分散板28a、第2分散板28b、第3分散板28c)と、これら分散板28a,28b,28cを連結して支持した分散板支持部材(図示せず)とを有する。なお、分散板ユニット28に含まれる分散板は、1枚でもよく、2枚でもよく、4枚以上でもよい。
【0020】
第1分散板28a、第2分散板28b、および第3分散板28cは、それぞれ略水平方向に沿うとともに、互いに間隔を空けて異なる高さに配置されている。第1分散板28a、第2分散板28b、および第3分散板28cは、例えば流入管27の開口部27bよりも大きな外径を有する。第2分散板28bおよび第3分散板28cは、開口部を有することで、回転軸29の外周面から離れている。
【0021】
第1から第3の分散板28a,28b,28cは、流入管27から槽体11内に流入する被処理水の流れ方向を、被処理水が第1から第3の分散板28a,28b,28cに衝突することで鉛直方向とは交差する方向に変える。これにより、第1から第3の分散板28a,28b,28cは、流入管27から槽体11内に流入する被処理水を、鉛直方向とは交差する方向に分散させる。これにより、第1から第3の分散板28a,28b,28cは、槽体11内で被処理水の流れが局所的に速くなることを抑制し、被処理水の処理効率を高める。
【0022】
掻寄ユニット15は、槽体11の内側に配置されている。なお、本願で言う「槽体の内側に配置される」とは、槽体11の内側に掻寄ユニット15の少なくとも一部が配置されることを意味する。掻寄ユニット15は、槽体11に対して回転する回転軸29と、回転軸29の回転に伴い底壁21に沿って移動する掻寄板33とを有する。これにより、掻寄ユニット15は、槽体11の底壁21に沈殿した沈殿物を底壁21の中央部に向けて掻き寄せる。掻き寄せられた沈殿物は、底壁21の中央部に設けられた凹部21aに蓄積し、凹部21aに設けられた排出口21bおよび汚泥引抜管18を通じて槽体11の外部に排出される。
【0023】
溢流堰16は、槽体11の上部に設けられている。溢流堰16は、この溢流堰16の上端から溢れた被処理水を収容できるように槽体11内に溝状に設けられている。例えば、溢流堰16は、槽体11の周壁22の内壁面に沿って設けられている。溢流堰16は、フロックの分離除去が行われて清浄化された被処理水を被処理水排出部17に流出させる。
【0024】
被処理水排出部17は、例えば溢流堰16の内部に連通するとともに槽体11の外側に延びた流出トラフ(または排出配管など)である。被処理水排出部17は、溢流堰16の上端から溢れた被処理水を槽体11の外部に流出させる。槽体11の外部に流出された被処理水は、例えばさらに他の処理が行われて、ユースポイントに送出される。
【0025】
次に、掻寄ユニット15について詳しく説明する。
図3は、
図1中に示された沈殿槽1のF3−F3線に沿う断面図である。
図1および
図3に示すように、掻寄ユニット15は、回転軸29、駆動モータ30、上部回転支持機構31、掻寄板支持機構32、複数の掻寄板33、および複数の撹拌部材34を有する。撹拌部材34は、「別部材」の一例である。
【0026】
まず、回転軸29について説明する。
回転軸29は、槽体11の中心部(流入管27の中心部)に配置されている。回転軸29は、流入管27の中心軸Cと略平行な方向で、流入管27よりも上方から、槽体11の底壁21の凹部21aの内側まで延びている。回転軸29は、上部回転支持機構31および槽体11に設けられた下部回転支持機構12によって回転可能に支持されている。回転軸29は、互いに略同軸上に配置された、回転軸本体35、下部回転軸36、および連結部材37を有する。なお、回転軸本体35、下部回転軸36、および連結部材37の詳細については後述する。
【0027】
次に、駆動モータ30について説明する。
駆動モータ30は、槽体11および回転軸29よりも上方に配置されている。駆動モータ30は、直接または伝達機構などを介して回転軸本体35に接続され、回転軸本体35を回転させる。なお、駆動モータ30の位置は、上記例に限定されない。
【0028】
次に、上部回転支持機構31について説明する。
上部回転支持機構31は、例えば、槽体11の上部開口部23を跨ぐように槽体11の周壁22の上端に架け渡された支持部材(フレーム)Fに固定されている。なお、槽体11への上部回転支持機構31の固定方式は、上記例に限定されない。上部回転支持機構31は、上部軸受38と、上部軸受ホルダ39とを有する。
【0029】
上部軸受38は、回転軸29の上端部が挿入される筒状部材である。上部軸受38は、転動体を有してもよい。上部軸受38は、槽体11の周壁22の上端よりも上側に配置されている。ここで、回転軸本体35の上部には、回転軸本体35の直径が大きくなる拡径部35aが形成されている。上部軸受38は、回転軸本体35の拡径部35aを下方から支持することで、回転軸29の軸方向の荷重を受けることができる。すなわち、上部軸受38は、回転軸29に対するスラスト軸受の一例である。本実施形態では、上部軸受38は、回転軸29(回転軸本体35、下部回転軸36、および連結部材37を含む)、掻寄板支持機構32、複数の掻寄板33、複数の撹拌部材34などのすべての軸方向(鉛直方向)の荷重を受けている。これにより、上部軸受38は、後述する連結部材37が回転軸本体35から取り外された場合でも、回転軸本体35、掻寄板支持機構32、複数の掻寄板33、および複数の撹拌部材34の鉛直方向の位置を変わらず保持することができる。なお、回転軸29などの軸方向の荷重を受けるための上部軸受38の構成は、上記例に限定されない。
【0030】
上部軸受ホルダ39は、上部軸受38を保持している。上部軸受ホルダ39は、例えば、槽体11の上部開口部23を跨ぐように架け渡された支持部材Fに固定されている。これにより、上部軸受ホルダ39は、槽体11の上方に配置されている。
【0031】
次に、掻寄板支持機構32、掻寄板33、および撹拌部材34について説明する。
掻寄板支持機構32は、回転軸本体35の下部に連結されている。複数の掻寄板33および複数の撹拌部材34は、掻寄板支持機構32に取り付けられ、槽体11の底部(沈殿槽1の底部)に配置されている。駆動モータ30により回転軸29が回転すると、それに伴い掻寄板支持機構32、掻寄板33、および撹拌部材34も回転する。
【0032】
図4は、
図1中に示された沈殿槽1のF4−F4線に沿う断面図である。
図4に示すように、掻寄板支持機構32は、第1支持部材40および第2支持部材41を有する。第1支持部材40は、回転軸29の軸方向から見たとき(すなわち、上方から見たとき)、第1方向X1に延びている。第1支持部材40は、複数の掻寄板33を支持している(
図1参照)。一方で、第2支持部材41は、回転軸29の軸方向から見たとき、第1方向X1とは交差する(例えば略直交する)第2方向X2に延びている。第2支持部材41は、複数の撹拌部材34を支持している(
図3参照)。
【0033】
第1支持部材40に支持された掻寄板33の数は、任意である。
図1に示す例では、第1支持部材40は、6つの掻寄板33を支持している。6つの掻寄板33と回転軸本体35の中心軸との距離は、それぞれ互いに異なる。これにより、掻寄ユニット15が一回転すると、これらの掻寄板33は、沈殿槽1の底部に沈殿した沈殿物を、効率よく槽体11の底壁21の中央部の凹部21aに向けて掻き寄せることができる。
【0034】
図3に示すように、第2支持部材41は、複数(例えば4つ)の撹拌部材34を支持している。各撹拌部材34下端は、槽体11の底壁21に形成された凹部21a内または凹部21a近傍に配置される。回転軸本体35が回転すると、撹拌部材34は、凹部21aに蓄積した沈殿物を撹拌することができる。これにより、撹拌部材34は、掻寄板33により掻寄せられた沈殿物が凹部21a内で凝集して固化することを抑制する。4つの撹拌部材34と回転軸本体35の中心軸との距離は、それぞれ互いに異なる。これにより、掻寄ユニット15が一回転すると、これらの撹拌部材34は、凹部21a内の沈殿物を効率よく撹拌することができる。なお、第2支持部材41は、撹拌部材34に代えて、または撹拌部材34に加えて、1つ以上の掻寄板33を支持してもよい。
【0035】
次に、
図1に戻り、回転軸29の回転軸本体35、下部回転軸36、および連結部材37について説明する。
【0036】
回転軸本体35は、槽体11の中心軸Cと略同軸上に配置されている。回転軸本体35の上端部は、流入管27よりも上方に位置する。回転軸本体35の上端部は、直接または伝達機構などを介して駆動モータ30に接続されている。また、回転軸本体35の上部は、上部回転支持機構31の上部軸受38によって回転可能に支持されている。これにより、槽体11に対する回転軸本体35の鉛直方向の位置は、上部軸受38により保持される。このため、後述するように、回転軸本体35をクレーンなどで支持することなく、回転軸本体35から下部回転軸36および連結部材37を取り外すことができる。
【0037】
回転軸本体35の下端部は、掻寄板支持機構32よりも下方に位置する。例えば、回転軸本体35の下端部は、第1支持部材40および第2支持部材41よりも下方に位置する。回転軸本体35の下端部は、連結部材37と連結するための第1張出部42(
図2参照)を有する。例えば、第1張出部42は、環状に形成されたフランジである。
【0038】
回転軸本体35は、例えば、金属製の筒部材である。本実施形態では、回転軸本体35は、一般構造用圧延鋼材(SS材)から形成されている。回転軸本体35の表面は、防錆用の塗布を有する。これにより、例えば回転軸本体35がステンレス鋼材で形成される場合に比べて、回転軸29の低コスト化を図ることができる。ただし、回転軸本体35の材質および形状は、上記例に限定されない。
【0039】
下部回転軸36は、槽体11の中心軸Cと略同軸上に配置されている。言い換えると、下部回転軸36は、回転軸本体35と略同軸上に配置されている。下部回転軸36は、回転軸本体35から物理的に離れている。
【0040】
下部回転軸36の上部は、下部回転支持機構12の上端よりも上方に位置する。下部回転軸36の上端部は、第2張出部43を有する(
図2参照)。例えば、第2張出部43は、環状に形成されたフランジである。
【0041】
下部回転軸36の下部は、下部回転支持機構12の下部軸受24に挿入されている(
図2参照)。これにより、下部回転軸36は、下部軸受24によって回転可能に支持されている。後述するように、下部回転軸36は、連結部材37によって、回転軸本体35に連結される。このため、回転軸本体35が駆動モータ30により駆動されると、回転軸本体35と連動して下部回転軸36も回転する。下部回転軸36が下部軸受24により支持されることで、回転軸本体35および連結部材37は、安定して回転することができる。
【0042】
下部軸受24の内径と、下部軸受24に挿入される下部回転軸36の外径との間の隙間は、回転軸29の軸中心がぶれない程度に小さく設定される。例えば、当該隙間は、0.5mm〜1mmである。ただし、隙間の値は、上記例に限定されない。回転軸本体35は、例えば、金属製の筒部材である。ここで、下部回転軸36が一般構造用圧延鋼材から形成されるとともに防錆用の塗装を有する場合、この塗装が下部軸受24との接触により剥がれてしまう可能性がある。そこで、下部回転軸36は、例えばステンレス鋼材(SUS材)で形成されている。これにより、下部回転軸36が錆びることを抑制することができる。ただし、下部回転軸36の材質および形状は、上記例に限定されない。
【0043】
連結部材37は、槽体11の中心軸Cと略同軸上に配置されている。言い換えると、連結部材37は、回転軸本体35および下部回転軸36と略同軸上に配置されている。連結部材37は、回転軸本体35と下部回転軸36との間に挿入されている。連結部材37の上端部は、回転軸本体35の下端部に取り付けられる。一方で、連結部材37の下端部は、下部回転軸36の上端部に取り付けられる。これにより、連結部材37は、回転軸本体35と下部回転軸36とを連結している。連結部材37は、例えば、金属製の筒部材である。例えば、連結部材37は、一般構造用圧延鋼材から形成されている。連結部材37の表面は、防錆用の塗布を有する。また、本実施形態では、連結部材37は、回転軸本体35および下部回転軸36の両方から取り外し可能である。
【0044】
図5は、本実施形態の連結部材37を示す斜視図である。
図5に示すように、連結部材37の上端部は、第3張出部44を有する。例えば、第3張出部44は、円環状に形成されたフランジである。第3張出部44は、複数(例えば4つ)の第1固定具46により回転軸本体35の第1張出部42に取り外し可能に固定される。第1固定具46は、例えばボルトとナットであるが、これに限定されない。第1固定具46は、連結部材37の第3張出部44と回転軸本体35の第1張出部42とを一体に挟持する部材などでもよい。
【0045】
同様に、連結部材37の下端部は、第4張出部45を有する。例えば、第4張出部45は、円環状に形成されたフランジである。第4張出部45は、複数(例えば4つ)の第2固定具47により下部回転軸36の第2張出部43に取り外し可能に固定される。第2固定具47は、例えばボルトとナットであるが、これに限定されない。第2固定具47は、連結部材37の第4張出部45と下部回転軸36の第2張出部43とを一体に挟持する部材などでもよい。
【0046】
以上のような構成によれば、第1固定具46および第2固定具47を取り外すことで、連結部材37は、回転軸本体35および下部回転軸36の両方から取り外し可能である。ただし、第1固定具46および第2固定具47の数は、上記例に限定されない。
【0047】
本実施形態では、4つの第1固定具46はそれぞれ、回転軸本体35の軸方向から見たとき、回転軸本体35を中心として四方対称になるように配置されている。例えば、4つの第1固定具46はそれぞれ、回転軸本体35の軸方向から見たとき、回転軸本体35の周方向で第1支持部材40と第2支持部材41との間に配置されている(
図4参照)。本実施形態では、4つの第1固定具46はそれぞれ、回転軸本体35の軸方向から見たとき、回転軸本体35に対して、第1方向X1および第2方向X2と略45°の角度をなす方向に配置されている。
【0048】
同様に、本実施形態では、4つの第2固定具47はそれぞれ、回転軸本体35の軸方向から見たとき、回転軸本体35を中心として四方対称になるように配置されている。例えば、4つの第2固定具47はそれぞれ、回転軸本体35の軸方向から見たとき、回転軸本体35の周方向で第1支持部材40と第2支持部材41との間に配置されている。本実施形態では、4つの第2固定具47はそれぞれ、回転軸本体35の軸方向から見たとき、回転軸本体35に対して、第1方向X1および第2方向X2と略45°の角度をなす方向に配置されている。
【0049】
図6は、回転軸本体35および下部回転軸36から連結部材37が取り外された状態の沈殿槽1を示す断面図である。
図6に示すように、連結部材37は、回転軸本体35および下部回転軸36から取り外され、回転軸本体35および下部回転軸36の間から外れた位置に移動可能である。「回転軸本体35および下部回転軸36の間から外れた位置に移動可能」とは、連結部材37が回転軸本体35と下部回転軸36との間に挟まれない位置に、すなわち、連結部材37が回転軸本体35と下部回転軸36とを連結しない位置に移動可能であることを意味する。例えば、「回転軸本体35および下部回転軸36の間から外れた位置に移動可能」とは、連結部材37が回転軸本体35および下部回転軸36に対して鉛直方向で重ならない位置に移動可能であることを意味する。なお、「回転軸本体35および下部回転軸36の間から外れた位置」とは、「回転軸本体35および下部回転軸36と接しない位置」と読み替えられてもよい。連結部材37が回転軸本体35および下部回転軸36から取り外されることで、回転軸本体35と下部回転軸36との間には、連結部材37の鉛直方向の第1長さL1に相当するスペースSが生じる。
【0050】
ここで、
図2に示すように、本実施形態では、連結部材37の鉛直方向の第1長さL1は、下部回転軸36のうち、回転軸本体35と下部回転軸36とが連結部材37により連結された状態で下部軸受24に挿入される部分の鉛直方向の第2長さL2よりも長い。このため、連結部材37が回転軸本体35および下部回転軸36から取り外されることで、回転軸本体35を上方に動かすことなく下部回転軸36を下部軸受24から引き抜くためのスペースSが槽体11の内側に生じる。
【0051】
一方で、連結部材37が下部回転軸36から取り外されると、下部回転軸36は、下部軸受24の内側で下方に移動する。ここで、下部軸受24の上端と支持台26のベース26aの上面との間の第1距離d1が、下部回転軸36の第2張出部43の下端と下部回転軸36の下端との間の第2距離d2よりも長ければ、下部回転軸36の下端が支持台26のベース26aに接触する前に、下部回転軸36の第2張出部43が下部軸受24の上端に接する。その結果、下部回転軸36はそれ以上下降しない。これに対し、下部軸受24の上端と支持台26のベース26aの上面との間の第1距離d1が、下部回転軸36の第2張出部43の下端と下部回転軸36の下端との間の第2距離d2よりも短ければ、下部回転軸36の第2張出部43が下部軸受24の上端に接触する前に、下部回転軸36の下端が支持台26のベース26aに接する。その結果、下部回転軸36はそれ以上下降しない。
【0052】
なお、下部軸受24の上端と支持台26のベース26aの上面との間の第1距離d1と、下部回転軸36の第2張出部43の下端と下部回転軸36の下端との間の第2距離d2との大小関係に制限はない。しかしながら、下部軸受24の上端と支持台26のベース26aの上面との間の第1距離d1が下部回転軸36の第2張出部43の下端と下部回転軸36の下端との間の第2距離d2よりも長い場合、下部回転軸36は、第2張出部43が下部軸受24の上端による比較的広い面接触により安定的に支持され得る。
【0053】
次に、本実施形態の沈殿槽1の保守方法について説明する。
図7は、本実施形態の沈殿槽1の保守方法の一例を示すフローチャートである。
図7に示すように、本実施形態の保守方法では、まず、回転軸本体35の第1張出部42と連結部材37の第3張出部44とを固定している第1固定具46が、第1張出部42および第3張出部44から取り外される(S101)。ここで、回転軸本体35の上部が上部軸受38により鉛直方向に支持されている。このため、連結部材37が回転軸本体35から取り外されても、沈殿槽1の槽体11に対する回転軸本体35、掻寄板支持機構32、複数の掻寄板33、および複数の撹拌部材34の鉛直方向の位置は、沈殿槽1の使用時と略同じ位置に保持される。
【0054】
また、下部回転軸36の第2張出部43と連結部材37の第4張出部45とを固定している第2固定具47が、第2張出部43および第4張出部45から取り外される(S102)。なお、S101の作業とS102の作業は、行われる順序が逆でもよいし、並行して行われてもよい。
【0055】
次に、沈殿槽1の槽体11に対する回転軸本体35の鉛直方向の位置が沈殿槽1の使用時と略同じ位置に保持された状態のままで、回転軸本体35および下部回転軸36から連結部材37が取り外される(S103)。そして、連結部材37は、回転軸本体35および下部回転軸36の間から外れた位置に移動される。すなわち、連結部材37は、回転軸本体35および下部回転軸36に対して鉛直方向で重ならない位置に移動される。これにより、回転軸本体35と下部回転軸36との間に、連結部材37の第1長さL1に相当するスペースSが生じる(
図6参照)。
【0056】
次に、作業の流れの一例では、沈殿槽1の槽体11に対する回転軸本体35の鉛直方向の位置が沈殿槽1の使用時と略同じ位置に保持された状態のままで、回転軸本体35と下部回転軸36との間に生じたスペースSを利用して、下部回転軸36が下部軸受24から取り外される(S104)。すなわち、回転軸本体35と下部回転軸36との間に生じたスペースSを利用して、下部回転軸36が下部軸受24から真っ直ぐ上に持ち上げられることで、下部回転軸36が下部軸受24から取り外される。
【0057】
ここで、メンテナンスまたは交換の対象が下部回転軸36である場合、上記のように下部軸受24から引き抜かれた下部回転軸36に対して、メンテナンス作業または交換作業が行われる。
【0058】
そして、下部軸受24のメンテナンスまたは交換が必要な場合(S105:YES)は、さらに下部軸受24が下部軸受ホルダ25から取り外される。この場合、沈殿槽1の槽体11に対する回転軸本体35の鉛直方向の位置が沈殿槽1の使用時と略同じ位置に保持された状態のままで、下部軸受24が下部軸受ホルダ25から取り外される(S106)。下部軸受24は、下部回転軸36と同様、回転軸本体35の下方に形成されたスペースSを利用して、下部軸受ホルダ25から取り外される。そして、下部軸受ホルダ25から引き抜かれた下部軸受24に対して、メンテナンス作業または交換作業が行われる。
図2に示すように、本実施形態では、連結部材37の鉛直方向の第1長さL1は、下部軸受24の鉛直方向の第3長さL3よりも長い。これにより、回転軸本体35の下方に形成されるスペースSは、下部軸受ホルダ25から下部軸受24を引き抜くのに十分なスペースとなる。
【0059】
そして、下部軸受24のメンテナンスまたは交換が行われた場合、または下部軸受24のメンテナンスおよび交換が必要ない場合(S105:NO)は、メンテナンスまたは交換を終えた下部回転軸36を用いて上記と逆の手順で組み立てが行われる(S107)。詳しく述べると、まず下部軸受24が下部軸受ホルダ25に挿入される。次に、下部回転軸36が下部軸受24に挿入される。次に、連結部材37が回転軸本体35と下部回転軸36との間に挿入される。次に、連結部材37の第3張出部44が、第1固定具46により回転軸本体35の第1張出部42に固定される。また、連結部材37の第4張出部45が、第2固定具47により下部回転軸36の第2張出部43に固定される。
【0060】
なお、保守作業の作業流れは、上記例に限定されない。作業流れの別の例では、回転軸本体35および下部回転軸36から連結部材37が取り外された後、下部回転軸36と下部軸受24とが一体に下部軸受ホルダ25から取り外されてもよい。この場合、下部回転軸36は、下部回転軸36と下部軸受24とが一体に下部軸受ホルダ25から取り外された後に、下部軸受24から引き抜かれる。
【0061】
作業流れのさらに別の例では、下部軸受24を取り外す際に、下部軸受24は、下部軸受ホルダ25ごと支持台26から取り外されてもよい。
図2に示すように、本実施形態では、連結部材37の鉛直方向の第1長さL1は、下部軸受ホルダ25の鉛直方向の第4長さL4よりも長い。これにより、回転軸本体35の下方に形成されるスペースSは、下部軸受ホルダ25が支持台26から取り外されるのに十分なスペースとなる。また、回転軸本体35および下部回転軸36から連結部材37を取り外した後、下部回転軸36、下部軸受24、および下部軸受ホルダ25をまとめて支持台26から取り外すこともできる。
【0062】
以上のような構成によれば、沈殿槽1の保守作業の容易化を図ることができる。ここで、比較例として、上述のような連結部材37が設けられておらず、回転軸本体35と下部回転軸36とが直接連結された構成について考える。この比較例の場合、下部回転軸36が下部軸受ホルダ25から引き抜かれるためのスペースを確保するため、回転軸本体35、掻寄板支持機構32、複数の掻寄板33、および複数の撹拌部材34を、クレーンやその他の機構を使用して上方に持ち上げることが必要である。このため、当該比較例の構成では、回転軸本体35を持ち上げるための別途の構成ならびに作業負担が必要になる。また、流入管27の直径より大きな分散板ユニット28が回転軸本体35に設けられている場合は、分散板ユニット28が流入管27に接触するのを避けるために、流入管27を回転軸本体35とともに持ち上げることが必要になる。
【0063】
さらに、下部回転軸36の外径と下部軸受24の内径との隙間は比較的狭い。このため、下部軸受24に対する下部回転軸36の引き抜きおよび挿入には高い作業精度が要求される場合が多い。下部回転軸36が下部軸受24に対して正確に軸合わせされずに挿入された場合、下部回転軸36および下部軸受24が損傷するおそれがある。
【0064】
しかしながら、上記比較例では、回転軸本体35と下部回転軸36とが直接連結されている。このような構成では、回転軸本体35および下部回転軸36をともに下降させることで下部回転軸36が下部軸受24に挿入される場合、高い作業精度を実現することが難しい場合がある。また、前もって下部回転軸36を下部軸受24に挿入した後、回転軸本体35を下降させて下部回転軸36が回転軸本体35に連結される場合は、連結時の軸合わせの作業に困難が伴う場合がある。
【0065】
一方で、本実施形態では、掻寄ユニット15は、回転軸本体35と下部回転軸36との間に挿入されて回転軸本体35と下部回転軸36とを連結するとともに、回転軸本体35および下部回転軸36から取り外し可能な連結部材37を有する。このような構成によれば、回転軸本体35および下部回転軸36から連結部材37を取り外すことにより、下部軸受24から下部回転軸36を引き抜くためのスペースSを確保することが可能である。このため、下部回転軸36が下部軸受24から取り外される際に、例えば、回転軸本体35および掻寄板支持機構32などを持ち上げる必要がなくなる。下部軸受24が下部軸受ホルダ25から取り外される場合も同様である。これにより、回転軸本体35を持ち上げるための構成を不要とするとともに作業負担を低減することができる。すなわち、沈殿槽1の保守作業の容易化を図ることができる。
【0066】
また、本実施形態では、下部回転軸36を下部軸受24に挿入した後に、連結部材37により下部回転軸36と回転軸本体35とを連結することができる。このため、下部軸受24に対する下部回転軸36の挿入の作業精度を高めることができる。これにより、下部回転軸36の引き抜きまたは挿入時に下部軸受24が損傷する可能性を低減することができる。これにより、より信頼性に優れた沈殿槽1を提供することができる。
【0067】
さらに、回転軸本体35と下部回転軸36との間に連結部分(フランジ結合部分)が1つしかない比較例に対し、本実施形態では、連結部分(フランジ結合部分)が2つ存在する。このため、組み立て時に回転軸本体35、連結部材37、および下部回転軸36の間の位置関係を適宜微調整することができる。従って、本実施形態では、比較例よりも容易で精度の高い軸合わせが可能となる。
【0068】
本実施形態では、連結部材37の上端部は、第1固定具46により回転軸本体35に取り外し可能に固定される。連結部材37の下端部は、第2固定具47により下部回転軸36に取り外し可能に固定される。このような構成によれば、第1固定具46および第2固定具47を取り外せば、回転軸本体35および下部回転軸36から連結部材37を取り外すことができる。すなわち、簡単な作業で連結部材37の取り外しを行うことができるようになる。
【0069】
本実施形態では、掻寄板支持機構32は、第1支持部材40および第2支持部材41を有する。第1支持部材40は、回転軸本体35の軸方向から見たとき、第1方向X1に延びて掻寄板33を支持している。第2支持部材41は、回転軸本体35の軸方向から見たとき、第1方向X1とは交差する第2方向X2に延びて撹拌部材34を支持している。第1固定具46および第2固定具47の少なくとも一方は、回転軸本体35の軸方向から見たとき、回転軸本体35の周方向で第1支持部材40と第2支持部材41との間に配置される。このような構成によれば、第1固定具46および第2固定具47の取り付けられた位置が第1支持部材40および第2支持部材41と重ならないので、取り外し作業が容易となる。
【0070】
本実施形態では、掻寄ユニット15は、沈殿槽1の上部に配置されて回転軸本体35の軸方向の荷重を受けることで、連結部材37が回転軸本体35および下部回転軸36から取り外された場合でも沈殿槽1の槽体11に対する回転軸本体35の鉛直方向の位置を保持する上部軸受38を備える。このような構成によれば、回転軸本体35および下部回転軸36から連結部材37を取り外したときも、槽体11に対する回転軸本体35の鉛直方向の位置が上部軸受38により保持されるので、別途の支持部材またはクレーンなどにより回転軸本体35を支持する必要がない。これにより、さらなる作業負担の低減を図ることができる。
【0071】
(第2の実施形態)
次に、
図8を参照して、第2の実施形態について説明する。第2実施形態では、連結部材37が、回転軸本体35および下部回転軸36のうち下部回転軸36のみから外され、回転軸本体35の内側に収容される点で、第1の実施形態とは異なる。なお、以下に説明する以外の構成は、第1の実施形態と同様である。
【0072】
図8は、第2の実施形態の連結部材37を示す部分断面図である。
図8中の実線は、連結部材37が下部回転軸36から取り外された状態を示す。
図8中の二点鎖線は、沈殿槽1の使用時の状態を示す。
【0073】
図8に示すように、本実施形態では、連結部材37の下端部のみに張出部45が設けられている。連結部材37の上端部は、管状の回転軸本体35の内部に摺動可能に収容されている。摺動可能な連結部材37は、所定位置で回転軸本体35に対して固定可能である。例えば、連結部材37と回転軸本体35とは、固定具48により(例えば、ボルトナット固定やねじ留めなどにより)、所定の位置関係で互いに固定可能である。本実施形態では、回転軸本体35には、固定具48が挿入される第1孔49が形成されている。また、連結部材37には、第1孔49に対応する第2孔50が形成されている。
【0074】
本実施形態では、下部回転軸36が下部軸受24から取り外される場合、まず連結部材37の下端に設けられた張出部45と下部回転軸36の上端に設けられた第2張出部43とを固定している固定具47が、張出部45および第2張出部43から取り外される。また、連結部材37と回転軸本体35とを固定する固定具48が、連結部材37および回転軸本体35から取り外される。これにより、連結部材37が回転軸本体35の内部を摺動可能になる。次に、連結部材37が回転軸本体35の内部を上方に摺動されることで、連結部材37の少なくとも一部を回転軸本体35の下端と下部回転軸36の上端との間から外れた位置に移動させる。「連結部材37の少なくとも一部を回転軸本体35の下端および下部回転軸36の上端との間から外れた位置に移動させる」とは、連結部材37の少なくとも一部が回転軸本体35と下部回転軸36との間に挟まれない位置に、すなわち、連結部材37が回転軸本体35と下部回転軸36とを連結しない位置に移動可能であることを意味する。本実施形態では、連結部材37を上方に移動させることで、連結部材37を下部回転軸36と接しない位置に移動させる。例えば、
図8に実線で示すように、回転軸本体35の内部を上方に向けて移動された連結部材37の上部は、回転軸本体35の下端よりも上方に位置することで、回転軸本体35の下端と下部回転軸36の上端との間を外れた位置にある。これにより、連結部材37の下端と下部回転軸36の上端との間に、下部回転軸36および下部軸受24などの取り外しに利用されるスペースSが形成される。
【0075】
このような構成によれば、第1の実施形態と同様に、沈殿槽1の保守作業の容易化を図ることができる。なお、上記例では、連結部材37が回転軸本体35の内部に入り込む構成について説明したが、本実施形態の構成は、上記例に限定されない。連結部材37は、下部回転軸36から取り外されて回転軸本体35の内部に移動する構成に代えて、回転軸本体35から取り外されて下部回転軸36の内部に移動する構成でもよい。すなわち、連結部材37を下方に移動させることで、連結部材37を回転軸本体35と接しない位置に移動させてもよい。
【0076】
(第3の実施形態)
次に、
図9を参照して、第3の実施形態について説明する。第3実施形態では、連結部材37は、ヒンジ51により下部回転軸36と結合され、ヒンジ51を回動中心として回動される点で、第1の実施形態とは異なる。なお、以下に説明する以外の構成は、第1の実施形態と同様である。
【0077】
図9は、第3の実施形態の連結部材37を示す側面図である。
図9中の実線は、連結部材37が回転軸本体35から取り外された状態を示す。
図9中の二点鎖線は、沈殿槽1の使用時の状態を示す。
【0078】
本実施形態では、連結部材37の上端部のみに張出部44が設けられている。張出部44は、例えば、水平方向とは斜めに交差する方向に沿って形成されている。連結部材37の下端部は、ヒンジ51および固定具47を介して下部回転軸36に結合されている。連結部材37は、ヒンジ51を回動中心として下部回転軸36に対して回動可能である。
【0079】
本実施形態では、下部回転軸36が下部軸受24から取り外される場合に、まず連結部材37の上端に設けられた張出部44と回転軸本体35の下端部に設けられた第1張出部42とを固定している固定具46が、張出部44および第1張出部42から取り外される。次に、連結部材37の張出部45と下部回転軸36の第2張出部43とを固定する第2固定具47が、連結部材37および下部回転軸36から取り外される。次に、連結部材37がヒンジ51を回動中心として下部回転軸36に対して回動され、連結部材37の少なくとも一部を回転軸本体35の下端と下部回転軸36の上端との間から外れた位置に移動させる。本実施形態では、連結部材37を回動させることで、連結部材37を回転軸本体35と接しない位置に移動させる。これにより、連結部材37の下端と下部回転軸36の上端との間に、下部回転軸36および下部軸受24などの取り外しに利用されるスペースSが形成される。
【0080】
このような構成によれば、第1の実施形態と同様に、沈殿槽1の保守作業の容易化を図ることができる。なお、上記例では、連結部材37が下部回転軸36に回動可能に連結された構成について説明したが、本実施形態の構成は、上記例に限定されない。連結部材37は、下部回転軸36に回動可能に連結される構成に代えて、回転軸本体35に回動可能に連結されてもよい。すなわち、連結部材37を回動させることで、連結部材37を下部回転軸36と接しない位置に移動させてもよい。
【0081】
以上説明した第2の実施形態および第3の実施形態では、連結部材37は、回転軸本体35と下部回転軸36との間に挿入されて回転軸本体35と下部回転軸36とを連結する。また、連結部材37は、回転軸本体35および下部回転軸36の少なくとも一方から取り外されて、回転軸本体35および下部回転軸36の一方と接するとともに回転軸本体35および下部回転軸36の他方と接しない位置に移動可能である。
【0082】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、回転軸本体と下部回転軸との間に挿入されて回転軸本体と下部回転軸とを連結するとともに、回転軸本体および下部回転軸の少なくとも一方から取り外し可能な連結部材が設けられている。このような構成によれば、沈殿槽の保守作業の容易化を図ることができる。
【0083】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。