特許第6878096号(P6878096)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社コーセーの特許一覧

<>
  • 特許6878096-シャンプー組成物 図000004
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6878096
(24)【登録日】2021年5月6日
(45)【発行日】2021年5月26日
(54)【発明の名称】シャンプー組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/46 20060101AFI20210517BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20210517BHJP
   A61K 8/42 20060101ALI20210517BHJP
   A61Q 5/02 20060101ALI20210517BHJP
   A61K 8/81 20060101ALI20210517BHJP
【FI】
   A61K8/46
   A61K8/73
   A61K8/42
   A61Q5/02
   A61K8/81
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-71787(P2017-71787)
(22)【出願日】2017年3月31日
(65)【公開番号】特開2018-172338(P2018-172338A)
(43)【公開日】2018年11月8日
【審査請求日】2020年1月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000145862
【氏名又は名称】株式会社コーセー
(74)【代理人】
【識別番号】110000590
【氏名又は名称】特許業務法人 小野国際特許事務所
(74)【復代理人】
【識別番号】100216611
【弁理士】
【氏名又は名称】井手 浩
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 朗見
【審査官】 小川 慶子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−282565(JP,A)
【文献】 特開2004−143072(JP,A)
【文献】 特開2015−182967(JP,A)
【文献】 特開2004−149436(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00−8/99
A61Q 1/00−90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)〜();
(A)α−オレフィンスルホン酸塩
(B)ヤシ油脂肪酸メチルタウリン塩
(C)両性界面活性剤
(D)カチオン性基を有する水溶性高分子2種以上(成分(E)を除く)
(E)カチオン化グアーガム
ポリオキシアルキレン脂肪酸モノイソプロパノールアミド
を含有するシャンプー組成物。
【請求項2】
前記成分(D)が、少なくとも(D1)カチオン化セルロース、並びに(D2)塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体、アクリルアミド・アクリル酸・塩化ジメチルジアリルアンモニウム共重合体、及び塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリル酸共重合体から選ばれる1種又は2種以上を含むものである請求項1記載のシャンプー組成物。
【請求項3】
前記成分(D)が、少なくとも(D1)カチオン化セルロース、及び(D2)塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体を含むものである請求項1又は2記載のシャンプー組成物。
【請求項4】
前記成分(D)と前記成分(E)の含有質量割合(D)/(E)=1.8〜13である請求項1〜3のいずれかの項記載のシャンプー組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャンプー組成物に関し、更に詳細には、α−オレフィンスルホン酸塩と、ヤシ油脂肪酸メチルタウリン塩、両性界面活性剤、カチオン性基を有する水溶性高分子2種以上、及びカチオン化グアーガムを含有するシャンプー組成物であって、泡の弾力感、すすぎ時のなめらかさ、仕上がりのしっとり感、束感の無さ、ふんわり感に優れるシャンプー組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、頭皮毛髪を洗浄するシャンプー組成物においては、その目的や用途に応じ、泡立ちや洗浄力、また使用に適した粘度などを考慮して各種の界面活性剤や増粘剤を選択したり、またそれらを組み合わせて用いることで、上記機能の向上がなされてきた。しかし近年では、ヘアスタイリングの多様化や、より高品質なヘアケア製剤への期待から生活スタイルの多様化に伴い、シャンプーすすぎ後にリンス剤やトリートメント剤を用いない消費者が増加しており、泡立ちや洗浄力といったシャンプー組成物の基本的な機能に加えて、リンス剤やトリートメント剤に求められてきたすすぎ時の指どおりのなめらかさや、ドライ後の仕上がりのしっとり感などの官能品質に関してもシャンプーに強く求められるようになってきている。
【0003】
シャンプー後に毛髪へ付着している、カチオン性高分子と界面活性剤との複合体(コアセルベート)が、洗髪後の使用感に大きく影響を及ぼしていることが知られており(例えば非特許文献1)、従来より、仕上がりのしっとり感に優れたシャンプー組成物について、種々のカチオン性高分子の配合が検討されている。
例えば、特定の両性界面活性剤及びカチオン性糖誘導体を含有することで、使用後の適度な後残り感、うるおい感が得られる洗浄剤組成物(特許文献1)や、コハク酸、ベンジルアルコール、及びアニオン界面活性剤にカチオン化セルロース誘導体やカチオン化グアーガム誘導体などのカチオン性ポリマーを含有することで、乾燥後の髪のまとまりに優れた毛髪洗浄剤(特許文献2)、高重合ポリエチレングリコール及びジメチルジアリルアンモニウムクロリド・アクリルアミド共重合体/ジメチルジアリルアンモニウムクロリド・アクリル酸・アクリルアミド共重合体、アニオンSAAを含有することで、すすぎ後のしなやかさに優れた頭髪用洗浄剤(特許文献3)などが開示されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】日本化粧品技術者会誌 Vol.38 No.3 2004
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−84484号公報
【特許文献2】特開2015−120660号公報
【特許文献3】特開2010−6744号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のように、特定の成分と種々のカチオン性高分子を組み合わせることにより、仕上がりのうるおい感や、まとまり、しなやかさを付与することができるが、乾燥後のしっとり感を高めると、毛髪一本一本が付着して束のようになる束感が生じたり、仕上がりが重たくなりボリュームがでないという問題があった。
【0007】
このため、乾燥後の仕上がりのしっとり感が十分でありながらも、ふんわりとしたボリュームがあり、束感がなく仕上がりに優れたシャンプー組成物の開発が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記実情に鑑み、本発明者は、アニオン性界面活性剤と、両性界面活性剤、カチオン性基を有する水溶性高分子を含有したシャンプー組成物において、乾燥後の毛髪のしっとり感を付与しつつ、重くならずふんわりと仕上がる組成を探求すべく、鋭意研究を重ねて行く過程で、カチオン性基を有する水溶性高分子2種以上とカチオン化グアーガムを含有することが、この課題に対して有効であることを見出した。しかしながら、上記の組成物に、単にカチオン性基を有する水溶性高分子2種以上とカチオン化グアーガムを含有しただけでは、仕上がりのふんわり感や、束感の無さについて十分満足できるものではなかった。そこで、該シャンプー組成物の界面活性剤の組成についてさらに検討した結果、α−オレイフィンスルホン酸塩とヤシ油脂肪酸メチルタウリン塩を組み合わせることで、泡の弾力感、すすぎ時のなめらかさ、仕上がりのしっとり感、束感の無さ、ふんわり感に優れるシャンプー組成物を具現化することができ、本発明を完成させるに至った。
【0009】
すなわち本発明は、次の成分(A)〜(D);
(A)α−オレフィンスルホン酸塩
(B)ヤシ油脂肪酸メチルタウリン塩
(C)両性界面活性剤
(D)カチオン性基を有する水溶性高分子2種以上(成分(E)を除く)
(E)カチオン化グアーガム
を含有するシャンプー組成物に関する。
【0010】
更には、前記成分(D)が、少なくとも(D1)カチオン化セルロース、並びに(D2)塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体、アクリルアミド・アクリル酸・塩化ジメチルジアリルアンモニウム共重合体、及び塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリル酸共重合体から選ばれる1種又は2種以上を含むものであるシャンプー組成物に関する。
【0011】
更には、前記成分(D)が、少なくとも(D1)カチオン化セルロース、及び(D2)塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体を含むものであるシャンプー組成物に関する。
【0012】
更には、前記成分(D)と前記成分(E)の含有質量割合(D)/(E)=1.8〜13であるシャンプー組成物に関する。
【0013】
更には、成分(F)としてポリオキシアルキレン脂肪酸モノイソプロパノールアミドを含有するシャンプー組成物に関する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、泡の弾力感、すすぎ時のなめらかさ、仕上がりのしっとり感、束感の無さ、ふんわり感に優れるシャンプー組成物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】シャンプー組成物を使用し、タオルドライ後にドライヤーで乾かした後に手ぐしでヘアブラシで整えた状態(左側:本発明品1、右側:比較品7)の写真である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
次に、本発明について詳細に説明する。なお、本明細書において、「〜」はその前後の数値を含む範囲を示すものとする。
【0017】
本発明のシャンプー組成物に用いられる成分(A)であるα−オレフィンスルホン酸塩は、α−オレフィンを無水硫酸でスルホン化した後、アルカリで中和、加水分解したものである。ここでα−オレフィンの炭素数としては、特に限定されるものではないが、概ね炭素原子数10〜18のアルキル基のものが好ましく、炭素数14のテトラデセンスルホン酸塩が特に好ましい。
【0018】
上記成分(A)の対塩基としては特に限定されず、例えばナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属塩、アルミニウム、亜鉛などの無機塩、あるいはアンモニア、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の有機アミンや、アルギニン、リジン等の塩基性アミノ酸等の有機塩が挙げられる。これらのうち、一種類を使用しても良いし、上記群から選ばれる二種以上を混合して使用しても構わない。これらのα−オレフィンスルホン酸塩は必ずしも最初から塩の形である必要はなく、製造中に、中和反応によって生ずる塩を用いてもよい。泡の弾力感や仕上がりの束感の無さという観点からナトリウム塩、トリエタノールアミン塩が好ましく、ナトリウム塩が最も好ましい。本発明で用いられる成分(A)の市販例としては、テトラデセンスルホン酸ナトリウムの水溶液である、リポランLJ−441(ライオン社製)、カフクリンTDS−L430N(交洋ファインケミカル社製)等が挙げられる。
【0019】
本発明における成分(A)の含有量は、特に限定されるものではないが、好ましくはシャンプー組成物全量中0.1〜15質量%(以下、単に「%」と略す)、さらに好ましくは1〜10%である。この範囲とすることにより、泡の弾力感や、仕上がりの束感の無さといった効果に好適である。
【0020】
本発明のシャンプー組成物に用いられる成分(B)であるヤシ油脂肪酸メチルタウリン塩は、ヤシ油脂肪酸とN−メチルタウリンのアミドの塩である。
【0021】
上記成分(A)の対塩基としては特に限定されず、例えばナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属塩、アルミニウム、亜鉛などの無機塩、あるいはアンモニア、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の有機アミンや、アルギニン、リジン等の塩基性アミノ酸等の有機塩が挙げられる。これらのうち、一種類を使用しても良いし、上記群から選ばれる二種以上を混合して使用しても構わない。これらのヤシ油脂肪酸メチルタウリン塩は必ずしも最初から塩の形である必要はなく、製造中に、中和反応によって生ずる塩を用いてもよい。すすぎ時のなめらかさや仕上がりのしっとり感という観点からナトリウム塩が好ましい。本発明で用いられる成分(B)の市販例としては、ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウムの水溶液である、ネオスコープCN−30(東邦化学工業社製)、NIKKOL CMT−30(日光ケミカルズ社製)、ダイヤポンK−SF(日油社製)等が挙げられる。
【0022】
本発明における成分(B)の含有量は、特に限定されるものではないが、好ましくはシャンプー組成物全量中0.1〜15%、さらに好ましくは1〜10%である。この範囲とすることにより、すすぎ時のなめらかさや仕上がりのしっとり感といった効果に好適である。
【0023】
本発明における成分(C)である両性界面活性剤とは、カチオン性基とアニオン性基の双方を併せ持っている界面活性剤を意味する。このような成分(C)としては、通常シャンプー組成物等に用いられる両性の界面活性剤であれば、特に限定はされないが、例えばヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、オクチルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリン酸アミドプロピルベタイン、ヤシ油脂肪酸アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ミリスチルジメチルアミノ酢酸ベタイン、セチルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリルジヒドロキシエチルアミノ酢酸ベタイン、セチルジヒドロキシエチルアミノ酢酸ベタイン等のカルボベタイン型両性界面活性剤、ヤシ油アルキルスルホベタイン、ラウリルスルホベタイン等のスルホベタイン型両性界面活性剤等を挙げることができ、これらを一種又は二種以上用いることができる。これらのうち、カルボベタイン型両性界面活性剤が好ましく、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリン酸アミドプロピルベタインが特に好ましい。成分(C)はシャンプー組成物の重要な基剤の一つであり、洗浄効果だけでなく、成分(A)及び成分(B)と併用することでシャンプー組成物の粘度を調整することも可能である。市販品としては、リカビオンB−200(新日本理化社製)、リカビオンA−100(新日本理化社製)、リカビオンB−300(新日本理化社製)等を用いることができる。
【0024】
本発明における成分(C)の含有量は、特に限定されるものではないが、好ましくはシャンプー組成物全量中0.1〜15%、さらに好ましくは1〜10%である。この範囲とすることにより、泡の弾力感に優れたものとなる。
【0025】
本発明における成分(D)であるカチオン性基を有する水溶性高分子は、通常シャンプー組成物等に使用されるカチオン性基を有する水溶性高分子であれば特に限定されることはない(成分(E)を除く)が、水溶性高分子のポリマー鎖に結合したアミノ基またはアンモニウム基を含むか、またはジメチルジアリルアンモニウムハライドを構成単位として含む水溶性のものが好ましい。
本発明においては、具体的な例では、カチオン化セルロース、カチオン化デンプン、塩化ジメチルジアリルアンモニウムのホモポリマー又はコポリマー(なおここでのコポリマーとは、コポリマーを構成する一方が、塩化ジメチルジアリルアンモニウムのホモポリマーであれば、特に限定されるものではない。以下同じ)、ビニルピロリドン・N,N−ジメチルアミノエチルメタクリル酸共重合体、ポリ塩化ジメチルメチレンジペリニウム等が挙げられ、これらを2種以上組み合わせて用いる。これらの中でも、泡の弾力感、仕上がりのしっとり感、仕上がりの束感の無さの観点から(D1)カチオン化セルロース、並びに(D2)塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体、アクリルアミド・アクリル酸・塩化ジメチルジアリルアンモニウム共重合体、及び塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリル酸共重合体から選ばれる1種又は2種以上を含むものが好ましく、(D1)カチオン化セルロース及び(D2)塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体を含むものがより好ましい。
【0026】
本発明における成分(D)の市販例としては、例えば、カチオン化セルロースとして、ポリクオタニウムー10である、レオガードGP(ライオン社製)やカチナールHC−100(東邦化学工業社製)、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体として、ポリクオタニウムー7の水溶液である、リポフローMN(ライオン社製)やMERQUAT 550PR(日本ルーブリゾール社製)、アクリルアミド・アクリル酸・塩化ジメチルジアリルアンモニウム共重合体として、ポリクオタニウム−39の水溶液である、MERQUAT3331PR(日本ルーブリゾール社製)、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリル酸共重合体として、ポリクオタニウム−22の水溶液である、MERQUAT295Polymer(日本ルーブリゾール社製)、塩化ヒドロキシプロピルトリモニウムデンプンの水溶液である、SENSOMER CI50(日本ルーブリゾール社製)、ヒアルロン酸ヒドロキシプロピルトリモニウムである、ヒアロベールP(キューピー社製)等が挙げられる。
【0027】
本発明における成分(D)の含有量は、特に限定されるものではないが、好ましくはシャンプー組成物全量中0.01〜5%、さらに好ましくは0.5〜〇3%である。この範囲とすることにより、泡の弾力感や仕上がりのしっとり感、仕上がりの束感の無さといった効果に優れるものとなり、好適である。
【0028】
本発明における成分(E)であるカチオン化グアーガムは、グアーガムに塩化グリシジルトリメチルアンモニウムを反応させて得られる塩化O−[2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロピル]グアーガムであり、市販例としては、例えば、JAGUAR C−14S(ローディア社製)等が挙げられる。
【0029】
本発明における成分(E)の含有量は、特に限定されるものではないが、好ましくはシャンプー組成物全量中0.01〜3%、さらに好ましくは0.05〜2%である。この範囲とすることにより、仕上がりのしっとり感や仕上がりの束感の無さ、仕上がりのふんわり感といった効果に優れるものとなり、好適である。
【0030】
本発明において、上記した成分(D)、成分(E)を組合わせることにより、泡の弾力感や仕上がりに優れるシャンプー組成物とすることが可能となる。このような成分(D)、成分(E)の含有比率は、特に限定されるものではないが、含有質量割合(D)/(E)が1.8〜13の範囲とすることが好ましく、2.5〜6の範囲とすることがより好ましい。このような範囲とすることで、仕上がりのしっとり感や束感の無さ、ふんわり感に優れたものとなり、好適である。
【0031】
本発明には、更に成分(F)ポリオキシアルキレン脂肪酸モノイソプロパノールアミドを含有してもよい。ポリオキシアルキレン脂肪酸モノイソプロパノールアミドは、直鎖又は分岐の、飽和又は不飽和脂肪酸と、モノイソプロパノールアミンとのアミド化合物である、脂肪酸モノイソプロパノールアミドに酸化プロピレンを付加重合したものである。これに用いられる脂肪酸としては、直鎖又は分岐の、飽和又は不飽和の脂肪酸を用いることが可能であるが、炭素数が8〜22の直鎖の飽和脂肪酸、すなわちヤシ油脂肪酸であることが好ましい。また付加重合されるポリオキシプロピレン(以下、単に「POP」と記載することもある)の平均付加モル数としては、1分子あたりでは、0.3〜5モルのものを用いることが可能であるが、平均付加モル数が1であることがより好ましい。よって、ヤシ油脂肪酸と、モノイソプロパノールアミンとのアミド化合物に、平均付加モル数1のポリオキシプロピレンを付加させた、ポリオキシプロピレンヤシ油脂肪酸モノイソプロパノールアミド(1P.O.)が特に好ましい。
本発明における成分(F)の市販例としては、例えば、ポリオキシプロピレンヤシ油脂肪酸モノイソプロパノールアミド(1P.O.)として、PPG−2コカミドであるアミゼット1PC(川研ファインケミカル社製等が挙げられる。
【0032】
本発明における成分(F)の含有量は、特に限定されるものではないが、好ましくはシャンプー組成物全量中0.01〜5%、さらに好ましくは0.1〜3%である。この範囲とすることにより、泡の弾力感に優れるものとなり、好適である。
【0033】
本発明のシャンプー組成物には、上記の必須成分のほかに、通常シャンプー組成物等に使用する成分、すなわち成分(A)及び成分(B)以外のアニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、成分(E)以外のノニオン界面活性剤、ノニオン性高分子、アニオン性高分子、油性成分、低級アルコール、多価アルコール、保湿剤等の水性成分、紫外線吸収剤、酸化防止剤、美容成分、防腐剤、染料、清涼剤、色素、粉体、香料等を本発明の効果を妨げない範囲で適宜含有することができる。
【0034】
本発明のシャンプー組成物は、ヘア用、ペット用等の各種用途に対して利用可能である。また、その用途目的、方法、使用する環境等に応じ、ボトル、ディスペンサー付きボトル、チューブ、ジャー等、特に制限される様々な容器に適用することができる。
【0035】
次に実施例を挙げて本発明を詳細に説明する。なお、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。
【実施例1】
【0036】
本発明品1〜11及び比較品1〜8:シャンプー組成物
下記表1〜表2に示す組成のシャンプー組成物を下記製造方法により調製し、(イ)泡の弾力感、(ロ)すすぎ時のなめらかさ、(ハ)仕上がりのしっとり感、(ニ)仕上がりの束感の無さ、(ホ)仕上がりのふんわり感の各項目について、以下に示す評価方法及び判定基準により評価判定し、結果を併せて表1〜表2に示した。束感の無さとは、毛髪1本1本がパラパラと離れており、ぺったりとりた毛束のようなまとまりになっていない事を指す。なお、本発明品9は参考例である
【0037】
【表1】
【0038】
【表2】
【0039】
(製造方法)
A:成分1〜27を均一に混合する。
B:Aをポンプ容器に充填し、シャンプー組成物を得た。
【0040】
〔評価項目の評価方法〕
化粧品評価専門パネル20名に、前記発明品及び比較品のシャンプーを使用してもらい、泡の弾力、すすぎ時のなめらかさ、仕上がりのしっとり感、仕上がりの束感の無さの項目については手ざわりの官能評価で、仕上がりのハリ感の項目については見た目により各自が以下の評価基準に従って5段階評価し、更に全パネルの評点の平均点を以下の判定基準に従って判定した。
【0041】
以下に、本発明のシャンプー組成物を使用した際の評価基準を示す。
<評価基準>:泡の弾力感
[評価結果] :[評点]
非常に弾力がある : 5点
弾力がある : 4点
やや弾力がある : 3点
やや弾力がない : 2点
弾力がない : 1点
【0042】
<評価基準>:すすぎ時のなめらかさ
[評価結果] :[評点]
非常になめらかさを感じる : 5点
なめらかさを感じる : 4点
ややなめらかさを感じる : 3点
ややなめらかさを感じない : 2点
なめらかさを感じない : 1点
【0043】
<評価基準>:仕上がりのしっとり感
[評価結果] :[評点]
非常にしっとり感がある : 5点
しっとり感がある : 4点
ややしっとり感がある : 3点
ややしっとり感がない : 2点
しっとり感がない : 1点
【0044】
<評価基準>:仕上がりの束感のなさ
[評価結果] :[評点]
非常に束感がない : 5点
束感がない : 4点
やや束感がない : 3点
やや束感がある : 2点
束感がある : 1点
【0045】
<評価基準>:仕上がりのふんわり感
[評価結果] :[評点]
非常にふんわり感がある : 5点
ふんわり感がある : 4点
ややふんわり感がある : 3点
ややふんわり感がない : 2点
ふんわり感がない : 1点
【0046】
上記評価基準にて、評価した評点の平均値から、以下の判定基準に基づいて判定した。
<判定基準>:
[評点の平均点] :[判定]
4.5以上 : ◎
3.5以上4.5未満 : ○
1.5以上3.5未満 : △
1.5未満 : ×
【0047】
表1〜表2の結果から明らかなごとく、本発明品1〜11のシャンプー組成物は、比較品1〜8のシャンプー組成物に比べ、使用性に優れる「泡の弾力感」、「すすぎ時のなめらかさ」、「仕上がりのしっとり感」、「仕上がりの束感の無さ」、「仕上がりのふんわり感」の全てにおいて優れたものであった。
これに対して、成分(A)を抜いた比較品1は「泡の弾力感」や「毛束感の無さ」が劣っていた。また、成分(B)を抜いた比較品2、成分(C)を抜いた比較品3は「すすぎ時のなめらかさ」や「仕上がりのしっとり感」が満足のいくものではなかった。また、成分(D)を抜いた比較品4、成分(D)が1種のみである比較品5、6は「仕上がりのしっとり感」、「仕上がりの束感の無さ」が満足のいくものではなかった。さらに、成分(E)を抜いた比較品7、8は「仕上がりの束感の無さ」、「仕上がりのふんわり感」において満足のいくものではでなかった。
また、(ホ)仕上がりのふんわり感について、シャンプー組成物を使用し、タオルドライ後にドライヤーで乾かした後に手ぐしヘアブラシで整えた状態(左側:本発明品1、右側:比較品7)の写真を図1に示す。本発明品1はふんわりとした仕上がりであるが、比較品7は前髪をふんわり仕上げようとしても、本発明品のようには上がらず、重たい印象の仕上がりになった。
【0048】
実施例2:シャンプー組成物
(成分) (%)
1 テトラデセンスルホン酸ナトリウム(37%水溶液) 18
2 ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム(30%水溶液) 18
3 ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン(30%水溶液) 13
4 カチオン化セルロース(*1) 1
5 塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体
(9%水溶液)(*2) 1
6 カチオン化グアーガム 0.3
7 ポリオキシプロピレンヤシ油脂肪酸モノイソプロパノールアミド
(1P.O.) 0.3
8 クエン酸 0.7
9 塩化ナトリウム 0.1
10 安息香酸ナトリウム 0.5
11 精製水 残量
【0049】
(製造方法)
A:成分1〜11を均一に混合する。
B:Aをポンプ容器に充填し、シャンプー組成物を得た。
【0050】
実施例2のシャンプー組成物は、「泡の弾力感」、「すすぎ時のなめらかさ」、「仕上がりのしっとり感」、「仕上がりの束感の無さ」、「仕上がりのふんわり感」に優れるシャンプー組成物であった。
【0051】
実施例3:シャンプー組成物(パール様外観)
(成分) (%)
1 テトラデセンスルホン酸ナトリウム(37%水溶液) 18
2 ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム(30%水溶液) 18
3 ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン(30%水溶液) 13
4 カチオン化セルロース(*1) 1.5
5 アクリルアミド・アクリル酸・塩化ジメチルジアリルアンモニウム共重合体
(9.55%水溶液)(*4) 1
6 カチオン化グアーガム 0.3
7 ポリオキシプロピレンヤシ油脂肪酸モノイソプロパノールアミド
(1P.O.) 0.3
8 ジステアリン酸エチレングリコール 2
9 クエン酸 0.7
10 塩化ナトリウム 0.1
11 安息香酸ナトリウム 0.5
12 精製水 残量
【0052】
(製造方法)
A:成分1〜12を均一に混合する。
B:Aをポンプ容器に充填し、シャンプー組成物を得た。
【0053】
実施例3のシャンプー組成物は、「泡の弾力感」、「すすぎ時のなめらかさ」、「仕上がりのしっとり感」、「仕上がりの束感の無さ」、「仕上がりのふんわり感」に優れるシャンプー組成物であった。
【0054】
実施例4:シャンプー組成物
(成分) (%)
1 テトラデセンスルホン酸ナトリウム(37%水溶液) 18
2 ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム(30%水溶液) 18
3 ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン(30%水溶液) 13
4 カチオン化セルロース(*1) 1.2
5 塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体
(9%水溶液)(*2) 0.1
6 カチオン化グアーガム 0.1
7 ポリオキシプロピレンヤシ油脂肪酸モノイソプロパノールアミド
(1P.O.) 0.3
8 クエン酸 0.7
9 塩化ナトリウム 0.1
10 安息香酸ナトリウム 0.5
11 精製水 残量
【0055】
(製造方法)
A:成分1〜11を均一に混合する。
B:Aをポンプ容器に充填し、シャンプー組成物を得た。
【0056】
実施例2のシャンプー組成物は、「泡の弾力感」、「すすぎ時のなめらかさ」、「仕上がりのしっとり感」、「仕上がりの束感の無さ」、「仕上がりのふんわり感」に優れるシャンプー組成物であった。
図1