【実施例】
【0042】
以下、本発明を実施例および比較例によりさらに説明するが、本発明は下記例に制限されるものではない。
【0043】
<試験例1>
(実施例1)
蔗糖5質量%および軟水(市販のミネラルウォーター:硬度28mg/L)95質量%からなる餌剤(水溶液)を調製した。餌剤中に含有される水に対するカルシウム含有濃度は6.2mg/L、マグネシウム含有濃度は3.3mg/Lであった。
【0044】
(比較例1)
蔗糖5質量%および硬水(市販のミネラルウォーター:硬度304mg/L)95質量%からなる餌剤(水溶液)を調製した。餌剤中に含有される水に対するカルシウム含有濃度は80.0mg/L、マグネシウム含有濃度は26.0mg/Lであった。
【0045】
(試験方法)
縦40cm×横25cm×高さ20cmのバット内にシェルター(5cm×15cmのジャバラ状)および水10gを設置し、そこに供試虫としてチャバネゴキブリ50頭(雄雌各25頭)を入れて二日間放置し、チャバネゴキブリをシェルターに定着させた。
続いて、実施例1および比較例1の餌剤5gを、それぞれ4cm×4cmの脱脂綿に含浸させ、φ6cmプラスチック製の皿形状容器に入れてバット内に並置した。チャバネゴキブリに餌剤を自由に喫食させ、3時間経過した後、残った餌剤の質量を測定した。
なお、試験期間中の餌剤の吸湿や乾燥による質量測定の誤差を補正するために、コントロールとしてチャバネゴキブリを用いずに同じ条件で上記試験を行い、試験前後における餌剤の質量を測定した。
【0046】
以下の式(1)により、チャバネゴキブリの喫食量を算出した。
喫食量(g)=A1×(B1/B2)−A2 ・・・(1)
(式(1)中、A1は試験前の餌剤の質量(g)、A2は試験後の餌剤の質量(g)、B1は試験後のコントロールの餌剤の質量(g)、B2は試験前のコントロールの餌剤の質量(g)である。)
【0047】
試験は3回行い、その平均値を求めた。結果を表1および
図1に示す。
【0048】
【表1】
【0049】
表1および
図1の結果から、軟水を使用した実施例1は、硬水を使用した比較例1に比べ、チャバネゴキブリの餌剤の喫食量(平均)が3倍もの高い量を示した。
【0050】
<試験例2>
実施例2および比較例2の餌剤を用いて、試験例1において、供試虫のシェルターへの定着時間を二日間から三日間に変更して試験を行った。
【0051】
(実施例2)
蔗糖5質量%および軟水(市販のミネラルウォーター:硬度28mg/L)95質量%からなる餌剤(水溶液)を調製した。餌剤中に含有される水に対するカルシウム含有濃度は6.2mg/L、マグネシウム含有濃度は3.3mg/Lであった。
【0052】
(比較例2)
蔗糖5質量%および硬水(市販のミネラルウォーター:硬度1468mg/L)95質量%からなる餌剤(水溶液)を調製した。餌剤中に含有される水に対するカルシウム含有濃度は468.0mg/L、マグネシウム含有濃度は74.5mg/Lであった。
【0053】
(試験方法)
縦40cm×横25cm×高さ20cmのバット内にシェルター(5cm×15cmのジャバラ状)および水10gを設置し、そこに供試虫としてチャバネゴキブリ50頭(雄雌各25頭)を入れて三日間放置し、チャバネゴキブリをシェルターに定着させた。
続いて、実施例2および比較例2の餌剤5gを、それぞれ4cm×4cmの脱脂綿に含浸させ、φ6cmプラスチック製の皿形状容器に入れてバット内に並置した。チャバネゴキブリに餌剤を自由に喫食させ、3時間経過した後、残った餌剤の質量を測定した。
なお、試験期間中の餌剤の吸湿や乾燥による質量測定の誤差を補正するために、コントロールとしてチャバネゴキブリを用いずに同じ条件で上記試験を行い、試験前後における餌剤の質量を測定した。
【0054】
上記式(1)により、チャバネゴキブリの喫食量を算出した。試験は3回行い、その平均値を求めた。結果を表2および
図2に示す。
【0055】
【表2】
【0056】
表2および
図2の結果から、軟水を使用した実施例2は、硬水を使用した比較例2に比べ、チャバネゴキブリの餌剤の喫食量(平均)が約3.8倍もの高い量を示した。
【0057】
<試験例3>
(実施例3)
蔗糖5質量%および軟水(市販のミネラルウォーター:硬度40mg/L)95質量%からなる餌剤(水溶液)を調製した。餌剤中に含有される水に対するカルシウム含有濃度は10.0mg/L、マグネシウム含有濃度は3.0mg/Lであった。
【0058】
(比較例3)
蔗糖5質量%および硬水(市販のミネラルウォーター:硬度143mg/L)95質量%からなる餌剤(水溶液)を調製した。餌剤中に含有される水に対するカルシウム含有濃度は41.0mg/L、マグネシウム含有濃度は10.0mg/Lであった。
【0059】
(試験方法)
試験例2と同様の方法により、チャバネゴキブリの喫食試験を行い、喫食量を算出した。試験は3回行い、その平均値を求めた。結果を表3および
図3に示す。
【0060】
【表3】
【0061】
表3および
図3の結果から、軟水を使用した実施例3は、硬水を使用した比較例3に比べ、チャバネゴキブリの餌剤の喫食量(平均)が約1.9倍もの高い量を示した。
【0062】
<試験例4>
(実施例4)
蔗糖5質量%および軟水(市販のミネラルウォーター:硬度40mg/L)95質量%からなる餌剤(水溶液)を調製した。餌剤中に含有される水に対するカルシウム含有濃度は10.0mg/L、マグネシウム含有濃度は3.0mg/Lであった。
【0063】
(比較例4)
蔗糖5質量%および硬水(市販のミネラルウォーター:硬度1468mg/L)95質量%からなる餌剤(水溶液)を調製した。餌剤中に含有される水に対するカルシウム含有濃度は468.0mg/L、マグネシウム含有濃度は74.5mg/Lであった。
【0064】
(試験方法)
試験例2と同様の方法により、チャバネゴキブリの喫食試験を行い、喫食量を算出した。試験は3回行い、その平均値を求めた。結果を表4および
図4に示す。
【0065】
【表4】
【0066】
表4および
図4の結果から、軟水を使用した実施例4は、硬水を使用した比較例4に比べ、チャバネゴキブリの餌剤の喫食量(平均)が約2.8倍もの高い量を示した。
【0067】
<試験例5>
(実施例5)
蔗糖5質量%および軟水(市販のミネラルウォーター:硬度119mg/L)95質量%からなる餌剤(水溶液)を調製した。餌剤中に含有される水に対するカルシウム含有濃度は40.8mg/L、マグネシウム含有濃度は4.3mg/Lであった。
【0068】
(比較例5)
蔗糖5質量%および硬水(市販のミネラルウォーター:硬度1468mg/L)95質量%からなる餌剤(水溶液)を調製した。餌剤中に含有される水に対するカルシウム含有濃度は468.0mg/L、マグネシウム含有濃度は74.5mg/Lであった。
【0069】
(試験方法)
試験例2と同様の方法により、チャバネゴキブリの喫食試験を行い、喫食量を算出した。試験は3回行い、その平均値を求めた。結果を表5および
図5に示す。
【0070】
【表5】
【0071】
表5および
図5の結果から、軟水を使用した実施例5は、硬水を使用した比較例5に比べ、チャバネゴキブリの餌剤の喫食量(平均)が約1.7倍もの高い量を示した。
【0072】
<試験例6>
供試虫としてアミメアリを用いて喫食試験を行った。
【0073】
(実施例6)
蔗糖5質量%および軟水(市販のミネラルウォーター:硬度40mg/L)95質量%からなる餌剤(水溶液)を調製した。餌剤中に含有される水に対するカルシウム含有濃度は10.0mg/L、マグネシウム含有濃度は3.0mg/Lであった。
【0074】
(比較例6)
蔗糖5質量%および硬水(市販のミネラルウォーター:硬度1468mg/L)95質量%からなる餌剤(水溶液)を調製した。餌剤中に含有される水に対するカルシウム含有濃度は468.0mg/L、マグネシウム含有濃度は74.5mg/Lであった。
【0075】
(試験方法)
直径φ6cm×高さ4cmのプラスチックカップ内に、供試虫としてアミメアリ20頭を入れて一日間放置し、アミメアリをプラスチックカップに順化させた。
続いて、実施例6および比較例6の餌剤0.5gを、それぞれ1cm×1cmの脱脂綿に含浸し、プラスチックカップ内に並置した。アミメアリに餌剤を自由に喫食させ、5分間観察を行い、1分おきに各例の餌剤を喫食している頭数をカウントし、合計喫食頭数を算出した。
試験は4回行い、その平均値を求めた。結果を表6および
図6に示す。
【0076】
【表6】
【0077】
表6および
図6の結果から、軟水を使用した実施例6は、硬水を使用した比較例6に比べ、アミメアリの合計喫食頭数(平均)が約2.8倍であり、実施例6の方が喫食性が高いことがわかった。
【0078】
<試験例7>
害虫防除用有効成分(ジノテフラン)を含有した毒餌剤に対する喫食試験を行った。
【0079】
(実施例7)
蔗糖5質量%、軟水(市販のミネラルウォーター:硬度40mg/L)94.95質量%およびジノテフラン0.05質量%からなる毒餌剤(水溶液)を調製した。餌剤中に含有される水に対するカルシウム含有濃度は10.0mg/L、マグネシウム含有濃度は3.0mg/Lであった。
【0080】
(比較例7)
蔗糖5質量%、硬水(市販のミネラルウォーター:硬度1468mg/L)94.95質量%およびジノテフラン0.05質量%からなる毒餌剤(水溶液)を調製した。餌剤中に含有される水に対するカルシウム含有濃度は468.0mg/L、マグネシウム含有濃度は74.5mg/Lであった。
【0081】
(試験方法)
縦40cm×横25cm×高さ20cmのバット内にシェルター(5cm×15cmのジャバラ状)および水10gを設置し、そこに供試虫としてチャバネゴキブリ50頭(雄雌各25頭)を入れて三日間放置し、チャバネゴキブリをシェルターに定着させた。
続いて、実施例7および比較例7の餌剤5gを、それぞれ4cm×4cmの脱脂綿に含浸し、φ6cmプラスチック製の皿形状容器に入れてバット内に並置した。チャバネゴキブリに毒餌剤を自由に喫食させ、1時間経過した後、残った毒餌剤の質量を測定した。
なお、試験期間中の毒餌剤の吸湿や乾燥による質量測定の誤差を補正するために、コントロールとしてチャバネゴキブリを用いずに同じ条件で上記試験を行い、試験前後における毒餌剤の質量を測定した。
【0082】
上記式(1)により、チャバネゴキブリの喫食量を算出した。試験は3回行い、その平均値を求めた。結果を表7および
図7に示す。
【0083】
【表7】
【0084】
表7および
図7の結果から、軟水を使用した実施例7は、硬水を使用した比較例7に比べ、チャバネゴキブリの餌剤の喫食量(平均)が4倍もの高い量を示し、毒餌剤とした場合により顕著な効果が得られることがわかった。
なお、1時間後にはほぼ全頭のチャバネゴキブリがノックダウンしており、有効成分の効果も得られることがわかった。