特許第6878249号(P6878249)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6878249
(24)【登録日】2021年5月6日
(45)【発行日】2021年5月26日
(54)【発明の名称】パネル材及びパネル材製造方法
(51)【国際特許分類】
   E04C 2/36 20060101AFI20210517BHJP
   E04C 2/30 20060101ALI20210517BHJP
   B27M 3/00 20060101ALI20210517BHJP
   B32B 3/12 20060101ALI20210517BHJP
   B32B 21/06 20060101ALI20210517BHJP
【FI】
   E04C2/36 G
   E04C2/30 D
   B27M3/00 B
   B32B3/12 B
   B32B21/06
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-216079(P2017-216079)
(22)【出願日】2017年11月9日
(65)【公開番号】特開2019-85799(P2019-85799A)
(43)【公開日】2019年6月6日
【審査請求日】2019年7月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】520322303
【氏名又は名称】千田 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100080746
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 武嗣
(72)【発明者】
【氏名】千田 洋
【審査官】 兼丸 弘道
(56)【参考文献】
【文献】 実開平02−121916(JP,U)
【文献】 特開平10−109370(JP,A)
【文献】 実開昭55−119889(JP,U)
【文献】 特開2016−070040(JP,A)
【文献】 特開平11−032857(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04C 2/30,2/36−2/38
E04B 2/74
E06B 3/82−3/84
A47B 96/02,96/18,96/20
B32B 3/12,21/06
B27M 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベニヤ板製の第1板材(1)と、芯材(3)と、ベニヤ板製の第2板材(2)とを、順次、重ね合わせたパネル材に於て、
上記芯材(3)は、防水処理されると共に三角波型として交互に折り曲げられた多数の帯状紙材(30)(30)を有し、かつ、上記芯材(3)は、隣り合う該帯状紙材(30)(30)同士の三角波の位相が相違して相互に固着された状態で多数の上記帯状紙材(30)(30)によって形成された多数の直方体状空間部(31)を有し、
さらに、上記第1板材(1)と上記芯材(3)と上記第2板材(2)とを重ね合わせて成るパネル中間体(8)の端縁(8d)を、横断面W字状に切削加工して、上記第2板材(2)側へ向くように上記第1板材(1)の端縁(1d)に形成された第1傾斜面(11)と、上記第1板材(1)側へ向くように上記第2板材(2)の端縁(2d)に形成された第2傾斜面(21)とに、横断面扁平台形状のベニヤ板製の帯板材(5)が施蓋状に直接固着されていることを特徴とするパネル材。
【請求項2】
防水処理された多数の帯状紙材(30)(30)を三角波型として交互に折り曲げて配設すると共に、隣り合う上記帯状紙材(30)(30)同士の三角波の位相を相違させて相互に固着して、多数の上記帯状紙材(30)(30)をもって形成した多数の直方体状空間部(31)を有する芯材(3)を作製する芯材作製工程と、
ベニヤ板製の第1板材(1)と、上記芯材(3)と、ベニヤ板製の第2板材(2)とを、重ね合わせて接着する重ね合わせ工程と、
上記重ね合わせ工程後に、上記第1板材(1)と上記芯材(3)と上記第2板材(2)とを重ね合わせて成るパネル中間体(8)の端縁(8d)を、横断面W字状に切削加工して、上記第1板材(1)の端縁(1d)に上記第2板材(2)側へ向くように第1傾斜面(11)を形成すると共に、上記第2板材(2)の端縁(2d)に上記第1板材(1)側へ向くように第2傾斜面(21)を形成する端縁加工工程と、
上記第1板材(1)の上記第1傾斜面(11)と、上記第2板材(2)の上記第2傾斜面(21)とに、横断面扁平台形状のベニヤ板製の帯板材(5)を直接接着するパネル端面形成工程と、を備えたことを特徴とするパネル材製造方法。
【請求項3】
上記端縁加工工程は、上記第1板材(1)の端縁(1d)を第1傾斜面用工具(61)で切削加工して上記第1傾斜面(11)を形成すると共に、上記第2板材(2)の端縁(2d)を上記第1傾斜面用工具(61)とは別の第2傾斜面用工具(62)で切削加工して上記第2傾斜面(21)を形成する請求項2記載のパネル材製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パネル材及びパネル材製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、棚板や間仕切壁等に使用するパネル材は、図6に示すように、第1ベニヤ板材91と第2ベニヤ板材92とに挟まれる板状芯材93やハニカムコア(図示省略)を備えたものがあった。板状芯材93は、図6に示すように、木粉とのり(糊)を混合させて板状に成型固化したものや、図示省略するが、無垢材から成るもの(例えば特許文献1参照)があった。さらに、第1ベニヤ板材91と第2ベニヤ板材92の間、かつ、板状芯材93やハニカムコアの端縁に沿って、角柱状の木枠材95を配設して、固着していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−156804号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述のような従来のパネル材は、棚板や移動間仕切壁、ドア等として用いた場合に、重量が重く、使い勝手が悪いといった問題があった。また、温度と湿度の変化によって、反りが発生しやすいといった問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、強度を保持しながらも軽量で、反りにくいパネル材の提供を目的とする。
また、強度を保持しながらも軽量で反りにくいパネル材を、安定して高品質に、かつ、能率的に製造可能なパネル材製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のパネル材は、ベニヤ板製の第1板材と、芯材と、ベニヤ板製の第2板材とを、
順次、重ね合わせたパネル材に於て、上記芯材は、防水処理されると共に三角波型として
交互に折り曲げられた多数の帯状紙材を有し、かつ、上記芯材は、隣り合う該帯状紙材同
士の三角波の位相が相違して相互に固着された状態で多数の上記帯状紙材によって形成さ
れた多数の直方体状空間部を有し、さらに、上記第1板材と上記芯材と上記第2板材とを重ね合わせて成るパネル中間体の端縁を、横断面W字状に切削加工して、上記第2板材側へ向くように上記第1板材の端縁に形成された第1傾斜面と、上記第1板材側へ向くように上記第2板材の端縁に形成された第2傾斜面とに、横断面扁平台形状のベニヤ板製の帯板材が施蓋状に直接固着されているものである。
【0007】
また、本発明のパネル材製造方法は、防水処理された多数の帯状紙材を三角波型として
交互に折り曲げて配設すると共に、隣り合う上記帯状紙材同士の三角波の位相を相違させ
て相互に固着して、多数の上記帯状紙材をもって形成した多数の直方体状空間部を有する
芯材を作製する芯材作製工程と、ベニヤ板製の第1板材と、上記芯材と、ベニヤ板製の第
2板材とを、重ね合わせて接着する重ね合わせ工程と、上記重ね合わせ工程後に、上記第1板材と上記芯材と上記第2板材とを重ね合わせて成るパネル中間体の端縁を、横断面W字状に切削加工して、上記第1板材の端縁に上記第2板材側へ向くように第1傾斜面を形成すると共に、上記第2板材の端縁に上記第1板材側へ向くように第2傾斜面を形成する端縁加工工程と、上記第1板材の上記第1傾斜面と、上記第2板材の上記第2傾斜面とに、横断面扁平台形状のベニヤ板製の帯板材を直接接着するパネル端面形成工程と、を備えた方法である。
また、上記端縁加工工程は、上記第1板材の端縁を第1傾斜面用工具で切削加工して上
記第1傾斜面を形成すると共に、上記第2板材の端縁を上記第1傾斜面用工具とは別の第
2傾斜面用工具で切削加工して上記第2傾斜面を形成する方法である。
【発明の効果】
【0008】
本発明のパネル材によれば、十分な強度を保持しながらも軽量で、棚板や床パネル、間仕切壁やドア等、様々なものに用いることができて使い勝手が良い(汎用性に優れる)。温度や湿度の変化による悪影響を受けにくく、反り、歪み等の変形を防止できる。容易(安価)に製造可能であって、特に、積載物の変更やレイアウト変更の多い商品棚の棚板として好適である。
また、本発明のパネル材製造方法によれば、十分な強度を保持しながらも軽量で、棚板や床パネル、間仕切壁やドア等、様々なものに用いることが可能な使い勝手の良い(汎用性に優れた)パネル材を得ることができる。温度や湿度の変化による影響を受けにくく、反りや歪みを生じにくい(変形しにくい)高品質のパネル材を、容易かつ能率的に製造できる。特に、積載物の変更やレイアウト変更の多い商品棚の棚板として好適なパネル材を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明に係るパネル材の実施の一形態を示す要部断面斜視図である。
図2】芯材の一例を示す図であって、(a)は平面図であり、(b)は正面図である。
図3】芯材の一例を示す斜視図である。
図4】本発明に係るパネル材製造方法の実施形態を示す断面拡大図であって、(a)は重ね合わせ工程の断面拡大図であり、(b)は第2傾斜面形成状態の端縁加工工程を示す断面拡大図であり、(c)は第1傾斜面形成状態の端縁加工工程を示す断面拡大図であり、(d)はパネル端面形成工程の断面拡大図であり、(e)はパネル材製造完了状態の断面拡大図である。
図5】本発明に係るパネル材製造方法の他の実施形態を示し、(a)は端縁加工工程の断面拡大図であり、(b)はパネル材製造完了状態の断面拡大図である。
図6】従来技術を説明するための要部断面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図示の実施形態に基づき本発明を詳説する。
本発明に係るパネル材は、図1に示すように、ベニヤ板製の第1板材1と、芯材3と、ベニヤ板製の第2板材2とを、順次、重ね合わせている。
【0011】
第1板材1及び第2板材2は、パネル外面側となる表て面1a,2aが、防水処理(耐水処理)されている。具体的には、ビニール等の樹脂で形成された膜状(シート状)の防水層が積層されている。防水処理によって、パネル材内部への水の浸入を防止すると共に温度や湿度変化による反りを防止している。
【0012】
芯材3は、図2及び図3に示すように、多数の帯状紙材30,30を有している。
帯状紙材30は、防水処理(耐水処理)が施されている。言い換えると、撥水性(非吸水性)を有している。防水処理によって、温度や湿度変化による反り(変形)や強度の低下を防止している。
【0013】
帯状紙材30は、第1板材1と第2板材2に直交面状に配設している。言い換えると、パネル材厚さ方向Tに、帯状紙材30の紙材帯幅方向を一致させて配設している。
そして、多数の帯状紙材30,30を、パネル材長手方向(縦方向)Nに並設している。図示省略するが、多数の紙状帯材30,30をパネル材幅方向(横方向)Wに並設したり、パネル材の斜め方向に並設することも自由である。
また、帯状紙材30の帯幅寸法Eは、8mm以上50mm以下とするのが好ましい。8mm未満であると十分な強度が得られなくなる虞がある。また、50mmを超えても十分な強度が得られなくなる虞がある。
【0014】
そして、帯状紙材30は、約90度をもって交互に折り曲げて三角波型(ジグザグ)に形成している。さらに、隣り合う帯状紙材30,30同士の三角波の位相を約90度(約π/2)だけ相違させている。
隣り合う帯状紙材30,30同士は、接着剤にて相互に固着され、隣り合う帯状紙材30,30によって囲まれる直方体状空間部31を形成している。
つまり、芯材3は、多数(複数)の帯状紙材30,30によって形成された多数(複数)の直方体状空間部31を有している。
【0015】
図3に示すように、直方体状空間部31は、一方の帯状紙材30(第1帯状紙材30A)で形成される第1長辺壁部32A及び第1短辺壁部33Aと、第1帯状紙材30Aと隣り合う他方の帯状紙材30(第2帯状紙材30B)で形成される第2長辺壁部32B及び第2短辺壁部33Bと、によって囲まれている。言い換えると、第1帯状紙材30Aと第2帯状紙材30Bで角筒壁部を形成している。
【0016】
また、第1・第2長辺壁部32A,32Bの(紙材長手方向の)各内寸法K32を、第1・第2短辺壁部33A,33Bの(紙材長手方向の)各内寸法K33の1.75倍以上2.5倍以下に設定している。1.75倍未満であると直方体状空間部31が狭くなって製造が困難になると共に軽量化の効果が下がる。2.5倍を超えると直方体状空間部31が大きくなって、強度が低下する虞がある。
【0017】
第1長辺壁部32Aは、第2帯状紙材30Bとは別の隣り合う帯状紙材30(第3帯状紙材30C)の第3長辺壁部32Cと相互に接着されている。
第2長辺壁部32Bは、第1帯状紙材30Aとは別の隣り合う帯状紙材30(第4の帯状紙材30D)の第4長辺壁部32Dと相互に接着されている。
第1長辺壁部32Aと第3長辺壁部32Cの接着部位と、第2長辺壁部32Bと第4長辺壁部32Dの接着部位とは、各長辺壁部32A,32B,32C,32Dの約半分が(紙材長手方向に)重なって固着している二重壁構造である。
このような二重壁状接着部位Zを形成することで、紙材帯幅方向(パネル材厚さ方向T)の力に対して十分な強度を発揮できる。
【0018】
そして、図1に示すように、第1板材1の端縁1dに第2板材2側へ向くように形成された第1傾斜面11と、第2板材2の端縁2dに第1板材1側へ向くように形成された第2傾斜面21とに、横断面扁平台形状の帯板材5を施蓋状に固着している。
帯板材5は、第1傾斜面11に面状に当接(密着)する第1斜面51と、第2傾斜面21に面状に当接(密着)する第2斜面52と、を有している。
【0019】
帯板材5は、ベニヤ板製であって、パネル外面側となる表て面5aが、防水処理(耐水処理)されている。具体的には、ビニール等の樹脂で形成された膜状(シート状)の防水層が積層されている。防水処理によって、パネル材内部への水の浸入を防止すると共に温度や湿度変化による反りを防止する。
【0020】
第1板材1と第2板材2と帯板材5は、同じ板素材から成り、ベニヤ板(合板)に、木目調等の模様、又は、有彩色や白色や黒色等の単色若しくは模様、が印刷された化粧シートを、固着(貼着又は接着)したラミネート式のプリント・カラー合板、或いは、模様や色等を直接的に印刷したダイレクト式のプリント・カラー合板、又は、塩化ビニール合板やポリエステル化粧合板等が望ましい。
【0021】
次に、パネル材の構成を本発明のパネル材製造方法と合わせて説明する。
先ず、芯材3を作製する芯材作製工程を行う。
芯材作製工程は、防水処理された多数の帯状紙材30を、交互に折り曲げて三角波型に配設すると共に、隣り合う帯状紙材30,30同士の三角波の位相を相違させて相互に固着し、多数の帯状紙材30,30をもって形成された多数の直方体状空間部31を有する芯材3を作製する。
【0022】
芯材作製工程後に、図4(a)に示すように、表て面1aが防水処理された第1板材1と、芯材3と、表て面2aが防水処理された第2板材2と、をパネル材厚さ方向Tに重ね合わせると共に、接着剤にて固着する重ね合わせ工程を行う。
重ね合わせ工程において、芯材3の直方体状空間部31を、第1板材1の裏面(内面)と第2板材2の裏面(内面)とで閉じて、直方体状の空室を形成する。なお、第1板材1と芯材3と第2板材2とが、パネル材厚さ方向Tに重ね合わされて固着されたものをパネル中間体8と呼ぶ場合がある。
【0023】
重ね合わせ工程後に、パネル中間体8の端縁8dを切削加工する端縁加工工程を行う。
端縁加工工程において、パネル中間体8を、水平面状の作業台に、水平状に固定する。そして、図4(b)に示すように、第2傾斜面用工具62を、第2板材2の端縁2dに沿って走行させて第2傾斜面21を形成しつつ、図4(c)に示すように、第1傾斜面用工具61を、第2傾斜面用工具62を追いかけるように、第1板材1の端縁1dに沿って走行させて、第1傾斜面11を形成する。
【0024】
つまり、パネル中間体8の端縁8d(第1・第2板材1,2の端縁1d,2d)の長手方向の所定の一点で観察したとき、第2板材2の端縁2dに第2傾斜面21を形成した後に、第1板材1の端縁1dに第1傾斜面11を形成する。
なお、図示省略するが、第1傾斜面用工具61(以下、第1工具61と呼ぶ場合もある)を先に走行させ(先行させ)て、第1傾斜面11を形成しつつ、第2傾斜面用工具62(以下、第2工具62と呼ぶ場合もある)を後追い走行させて、第2傾斜面21を形成するも良い。
【0025】
このように、パネル中間体8を固定し、第1・第2工具61,62を走行させることで、第1・第2傾斜面11,21の第1・第2傾斜角度α1,α2、及び、相対的な位置を高精度に一致させることができる。
また、第1傾斜面11と第2傾斜面21を1つの工具で同時加工しないことで、第1傾斜面11の切削条件と、第2傾斜面21の切削条件とを、個別に調整でき、第1傾斜面11と第2傾斜面21とを、夫々、高精度に仕上げることができる。
【0026】
第1傾斜角度(第1板材1の表て面1aと第1傾斜面11の間の角度)α1と、第2傾斜角度(第2板材2の表て面2aと第2傾斜面21が成す角度)α2とは、30度以上60度未満が好ましい。30度未満であると端縁加工が困難になる。60度を超えると帯板材5が外れやすくなって製造が困難になる。好ましくは、約45度とする。
【0027】
端縁加工工程において、パネル中間体8の加工すべき(一つの)端縁8dを、第1・第2工具61,62の工具走行予定域に対応させて配設して、第1・第2傾斜面11,21を形成し、その後、パネル中間体8の固定を解除し、パネル中間体8の加工すべき他の端縁8dを、上記工具走行予定域に対応させて配設して固定し、他の端縁8dについても同様に、第1・第2傾斜面11,21を形成する。端縁加工は、パネル中間体8の全周に渡って(全ての端縁8dに)行うのが望ましい。
【0028】
そして、端縁加工工程後に、図4(d)に示すように、第1・第2傾斜面11,21が形成されたパネル中間体8の端縁8dに、横断面扁平台形状の帯板材5を接近させて、図4(e)に示すように、パネル中間体8に帯板材5を固着するパネル端面形成工程を行う。
帯板材5の第1斜面51と第1板材1の第1傾斜面11を面状に当接させて接着すると共に、帯板材5の第2斜面52と第2板材2の第2傾斜面21を面状に当接させて接着して、パネル中間体8の端縁8dに帯板材5を施蓋状に接着する。
【0029】
パネル中間体8において端縁加工が行われた端縁8d全てに帯板材5を接着して、パネル端面形成工程を終了する。図4(e)に示すように、帯板材5の表て面5aがパネル端面となる。
パネル中間体8の第1・第2傾斜面11,21と、帯板材5の第1・第2斜面51,52と、による斜面同士の接着により、パネル中間体8と帯板材5の結合の境界は、表て側から見て(外観で)、完成したパネル材においてパネル平面とパネル端面が接する稜線部となり、境界が目立たず、美観に優れる。特に、第1・第2傾斜面11,21が上述の加工方法によって高精度に形成されると共に、小さく単純な形状の帯板材5には高精度寸法に第1・第2斜面51,52が形成され、相互に正確・高精度に一致した接着が行われる結果、上記稜線部(境界)が、一枚板の稜線のように見える。
【0030】
なお、帯板材5を作製する帯板材作製工程は、パネル端面形成工程よりも前であれば、端縁加工工程の前後、何れのタイミングで行うも良い。
帯板材作製工程は、横断面扁平矩形状の帯板素材の内面側の(帯板素材長手方向に沿った)端縁を、面取り状に切削加工すると共に、帯板素材の内面側の他端縁を面取り状に切削加工して、横断面扁平台形形状の帯板材5を作製する。
【0031】
また、図5に示す他の実施形態のように、端縁加工工程において、パネル中間体8の端縁8dを、W字状に切削加工するも良い。図4に示すようにパネル中間体8の端縁8dをくの字状に切削加工した場合に比べて、芯材3の切削加工範囲(除去範囲)が少なく、パネル材端縁部の強度が優れる。また、製造中の切削粉(ゴミ)も少なくなる。他の構成及び作用効果は図1乃至図4の実施形態と同様である。
【0032】
なお、本発明は、設計変更可能であって、本発明のパネル材は、図示のような矩形板型に限らず、三角形型や多角形型等自由である。
【0033】
以上のように、本発明のパネル材は、ベニヤ板製の第1板材1と、芯材3と、ベニヤ板製の第2板材2とを、順次、重ね合わせたパネル材に於て、上記芯材3は、防水処理されると共に三角波型として交互に折り曲げられた多数の帯状紙材30,30を有し、かつ、上記芯材3は、隣り合う該帯状紙材30,30同士の三角波の位相が相違して相互に固着された状態で多数の上記帯状紙材30,30によって形成された多数の直方体状空間部31を有し、さらに、上記第2板材2側へ向くように上記第1板材1の端縁1dに形成された第1傾斜面11と、上記第1板材1側へ向くように上記第2板材2の端縁2dに形成された第2傾斜面21とに、横断面扁平台形状のベニヤ板製の帯板材5が施蓋状に固着されているので、第1板材1と第2板材2と帯板材5とでパネル外面側を枠状に包囲して十分な強度を得ることができる。パネル内部を軽量な紙製の芯材3としながらも十分な強度を得ることができ、撓みを防止できる。芯材3が空気中の水分(湿気)を吸水せず、気温や湿度の変化による悪影響を受けず反り(変形)を防止できる。容易(安価)に製造できる。十分な強度を保持しながらも軽量で、棚板や間仕切壁、ドア、天井パネル、床パネル等、様々なものに用いることができて使い勝手が良い(汎用性に優れる)。また、軽量であるため、玄関やクローゼット等のドアや、間仕切壁、天井パネル等に用いた場合に、組み付けが容易となる。また、積載物の変更やレイアウト変更の多い商品棚の棚板として好適である。しかも、第1・第2板材1,2と、帯板材5との境界(境い目)が目立ちにくく、美観に優れる。
【0034】
また、本発明のパネル材製造方法は、防水処理された多数の帯状紙材30,30を三角波型として交互に折り曲げて配設すると共に、隣り合う上記帯状紙材30,30同士の三角波の位相を相違させて相互に固着して、多数の上記帯状紙材30,30をもって形成した多数の直方体状空間部31を有する芯材3を作製する芯材作製工程と、ベニヤ板製の第1板材1と、上記芯材3と、ベニヤ板製の第2板材2とを、重ね合わせて接着する重ね合わせ工程と、上記重ね合わせ工程後に、上記第1板材1の端縁1dに上記第2板材2側へ向くように第1傾斜面11を形成すると共に、上記第2板材2の端縁2dに上記第1板材1側へ向くように第2傾斜面21を形成する端縁加工工程と、上記第1板材1の上記第1傾斜面11と、上記第2板材2の上記第2傾斜面21とに、横断面扁平台形状のベニヤ板製の帯板材5を接着するパネル端面形成工程と、を備えたので、十分な強度を保持しながらも軽量で、棚板や間仕切壁、ドア等、様々なものに用いることが可能な使い勝手の良い(汎用性に優れた)パネル材を得ることができる。温度や湿度の変化による悪影響を受けにくく、反りにくい(変形しにくい)パネル材を、容易(安価)に製造できる。特に、積載物の変更やレイアウト変更の多い商品棚の棚板として好適なパネル材を得ることができる。第1・第2板材1,2と、帯板材5との境界(境い目)が目立ちにくい美観に優れたパネル材を製造できる。
【0035】
また、上記端縁加工工程は、上記第1板材1の端縁1dを第1傾斜面用工具61で切削加工して上記第1傾斜面11を形成すると共に、上記第2板材2の端縁2dを上記第1傾斜面用工具61とは別の第2傾斜面用工具62で切削加工して上記第2傾斜面21を形成するので、第1傾斜面11の切削条件と、第2傾斜面21の切削条件とを、個別に調整でき、美しく、かつ、高精度に、効率良く切削加工することができる。帯板材5と密着するために重要な、第1傾斜面11と第2傾斜面21を、夫々、高精度に仕上げることができる。第1・第2板材1,2と、帯板材5との境界(境い目)が目立たないように美しく製造できる。
【符号の説明】
【0036】
1 第1板材
1d 端縁
2 第2板材
2d 端縁
3 芯材
5 帯板材
11 第1傾斜面
21 第2傾斜面
30 帯状紙材
31 直方体状空間部
61 第1傾斜面用工具
62 第2傾斜面用工具
図1
図2
図3
図4
図5
図6