(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
イオン伝導性構成要素の複数のストリップが形成され、イオン伝導性構成要素の各ストリップがシール構成要素の2つのストリップの間にあり、イオン伝導性構成要素の前記ストリップとシール構成要素の前記ストリップとが交互である、請求項1に記載のプロセス。
シール構成要素の前記ストリップの長さに沿ってシール構成要素の前記ストリップにスリットを形成して、シール構成要素の2つのストリップの間にイオン伝導性構成要素の単一ストリップを設ける、さらなるステップを含む、請求項3に記載のプロセス。
イオン伝導性構成要素の前記1つまたは複数のストリップおよびシール構成要素の前記複数のストリップが、堆積により形成され、前記平坦な補強用部品は、イオン伝導性構成要素の前記1つまたは複数のストリップおよびシール構成要素の前記複数のストリップが堆積された後に設けられる、請求項1から4のいずれか一項に記載のプロセス。
イオン伝導性構成要素の前記1つまたは複数のストリップおよびシール構成要素の前記複数のストリップが、前記平坦な補強用部品の上に堆積によって形成される、請求項1から4のいずれか一項に記載のプロセス。
イオン伝導性構成要素の前記1つまたは複数のストリップおよびシール構成要素の前記複数のストリップが、同時に堆積される、請求項1から6のいずれか一項に記載のプロセス。
イオン伝導性構成要素の前記1つまたは複数のストリップおよび/またはシール構成要素の前記複数のストリップが、スロットダイコーティングによって堆積される、請求項1から7のいずれか一項に記載のプロセス。
イオン伝導性構成要素の前記1つまたは複数のストリップおよび/またはシール構成要素の前記複数のストリップが、複数の逐次的に堆積した層から形成される、請求項1から8のいずれか一項に記載のプロセス。
【背景技術】
【0002】
燃料電池は、電解質により隔てられた2つの電極を備えている電気化学電池である。水素またはメタノールもしくはエタノールなどのアルコールなどの燃料をアノードに供給し、酸素または空気などの酸化剤をカソードに供給する。電気化学反応が電極のところで生じ、燃料および酸化剤の化学エネルギーを電気エネルギーおよび熱に変換する。電気触媒を使用して、アノードのところでの燃料の電気化学酸化およびカソードのところでの酸素の電気化学還元を促進させる。
【0003】
水素燃料型またはアルコール燃料型のプロトン交換膜燃料電池(PEMFC)では、電解質は、電気的に絶縁性でありかつプロトン伝導性である固体ポリマ膜である。アノードのところで生成されたプロトンは、カソードへと膜を横切って輸送され、カソードではプロトンが酸素と結合して水を形成する。最も広く使用されているアルコール燃料は、メタノールであり、PEMFCの上記の変形形態は、直接メタノール燃料電池(DMFC)としばしば呼ばれている。
【0004】
PEMFCの主要部品は、膜電極アセンブリ(MEA)として知られており、基本的に5層から構成されている。中央層は、ポリマイオン伝導性膜である。イオン伝導性膜の両側には、特定の電気触媒反応のために設計された電気触媒を含有する電気触媒層がある。最後に、各電気触媒層に隣接して、ガス拡散層がある。ガス拡散層は、反応物質が電気触媒層に達することを可能にしなければならず、電気化学反応により発生した電流を伝導しなければならない。これゆえ、ガス拡散層は、多孔質かつ導電性でなければならない。
【0005】
従来法では、MEAを以降に概要を示すいくつかの方法により構築することができる。
(i)電気触媒層をガス拡散層に付けることができ、ガス拡散電極を形成することができる。2つのガス拡散電極を、イオン伝導性膜のいずれの側にも設置することができ、一緒に積層して5層MEAを形成することができる;
(ii)電気触媒層をイオン伝導性膜の両面に付けることができ、触媒コーティングしたイオン伝導性膜を形成することができる。引き続いて、ガス拡散層を触媒コーティングしたイオン伝導性膜の両面に付ける。
(iii)電気触媒層を一方の側にコーティングしたイオン伝導性膜、上記電気触媒層に隣接するガス拡散層、およびイオン伝導性膜の他方の側のガス拡散電極から、MEAを形成することができる。
【0006】
従来は、中央ポリマイオン伝導性膜がMEAの端部まで延びるようにMEAを構築し、ガス拡散層および電気触媒層は、膜よりも小さな面積であり、その結果、イオン伝導性膜だけを含むMEAの外周の周囲にエリアがあることをともなう。電気触媒が存在しないエリアは、非電気化学的活性領域である。非イオン伝導性膜ポリマから典型的には形成されるフィルム層を、MEAのエッジをシールするおよび/または補強するために、電気触媒が存在しないイオン伝導性膜の露出した表面のMEAのエッジ領域の周囲に一般に配置する。接着剤層が、シールフィルム層の一方または両方の表面に存在することがある。シールフィルム層を、従来法では、完成したフィルムに開口部をカットすることにより生産して、いわゆるシール「窓枠」を形成し、上記窓枠を、次いで露出したイオン導電性膜表面のMEAのエッジの周囲に配置する。
【0007】
MEA内の層は、典型的には積層プロセスにより貼り合わせられる。ポリマイオン伝導性膜が、膜の厚さ内に埋め込まれている、平坦な多孔質材料などの補強材料をやはり含み、膜の機械的強度を向上させ、したがってMEAの耐久性および燃料電池の寿命を長くすることは、一般的なことである。
【0008】
燃料電池のより速い進度の商業化およびより大きな市場侵入を可能にするために、MEA設計および製造プロセスにさらに改善させ、製造コストを著しく減少させ、MEAについての製造アウトプットレートを増加させることが必要である。それはそうとして、前駆体MEAの連続したロールが高速で生産される連続大量製造プロセスは、個々のMEAが別々の単体のMEA部品から組み立てられる製造プロセスの代替として導入されようとしている。
【0009】
典型的には、膜に使用されるポリマイオン伝導性材料の多くは、多くの場合に最大数センチメートルだけ、非電気化学活性領域の中へと電気化学活性領域を超えて延びる。小さな幾何学的面積のMEAでは、上記の非電気化学活性領域は、全MEA幾何学的面積の50%にもなることがある。電気化学活性領域を超えて延びる膜は、活性度および性能には寄与しない。ポリマイオン伝導性膜は、燃料電池内の最もコストがかかる部品のうちの1つであり、したがってポリマイオン伝導性膜の使用量を最小にすることが望ましい。上記の設計手法は、個別の単体のMEAアセンブリプロセスならびに連続高速アセンブリプロセスの両方にとって一般的に行われる。後者のケースでは、シール窓枠フィルムを、いわゆるシール「ラダー」フィルムとして連続方式で与える。シールフィルム材料は、やはり高コストであることがあり、したがって改善したMEA製造プロセスの開発においてシール材料の使用量をやはり最小にする必要性がある。
【0010】
WO2015/145127は、生産コストを削減することを探し求めているMEA内の膜シールアセンブリ(MSA)の形成に対する手法を開示している。MSAをMEAの製造のためのコアビルディングブロックとして考えることができ、そこでは、コアビルディングブロックがエッジシールフィルム層と統合された膜構成要素の早期形成を包含する。方法は、平坦な補強材料とともにイオン伝導性構成要素およびシール構成要素の堆積によるMSAの形成を包含し、上記の構成要素が燃料電池において機能面で必要とされる領域内にだけ直接堆積する上記の構成要素のためのプロセスを提供する。方法は、両方の構成要素が平坦な補強材料内の気孔を埋めること、および生産されたMSAの平面を横切るシール構成要素により完璧に境界を限られたイオン伝導性構成要素の領域があることを確実にする。結果として、WO2015/145127にしたがって生産された好ましいMSAには、シール材料の窓枠で取り囲まれたイオン伝導性材料の中央部分がある。有利なことに、上記が必要とする高価なイオン伝導性材料の量を削減する。有利なことに、堆積技術は、従来のMEA設計に付随するシール材料の浪費をやはり回避する。説明した方法は、連続高速製造プロセスに対して特に適用可能である。
【0011】
これゆえ、1つの目的は、従来の先行技術に付随する欠点に取り組んでいる改善したプロセスを提供することであり、上記の改善したプロセスは、WO2015/145127に記載されたプロセスよりもさらに改善したプロセスをやはり提供する、または上記の記載プロセスに対する商業的な代替物を少なくとも提供することである。
【0012】
本発明は、これゆえ、補強した膜シールアセンブリ内の膜材料およびシールフィルム材料の高い利用を提供する補強した膜シールアセンブリを製造するための改善したプロセスを提供することを探し求めている。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明は、補強した膜シールアセンブリの製造のためのプロセスを提供する。膜シールアセンブリは、上に論じたようにMEAのコアである。膜シールアセンブリは、少なくともイオン伝導性構成要素を設けることを必要とする。本明細書において説明するように、MSAは、イオン伝導性構成要素、シール構成要素および平坦な補強用部品を含み、平坦な補強用部品の気孔を、イオン伝導性構成要素またはシール構成要素で埋める。疑義の回避のために、平坦な補強用部品が本明細書において論じるストリップのエッジまたは端部を超えて延びる場合には、MSAの一部とは考えない。
【0022】
プロセスは、いくつかのステップを含んでいる。第1のステップは、平面内のストリップの形成を包含する。平面を、xおよびy軸方向に広がると考えることができ、その結果、z軸が平面に付けられたストリップの厚さを与える。典型的には、MSAをロールとして形成することができ、そして好ましくは、本明細書において論じられるストリップは、ロールの最も長い(巻き取られた)長さに沿って延びる。すなわち、ロールを保管するときに、ストリップは、ロールのまわりに互いに平行に存在するであろう。上記の最も長い方向を、縦方向と呼ぶことができ、ストリップを横切る垂直な方向が横方向であることをともなう。
【0023】
本発明は、好ましくは、平行で交互のイオン伝導性構成要素およびシール構成要素の連続的なストリップを有するMSAの連続したロールを提供する。連続したロールは、触媒コーティングしたイオン伝導性膜(CCM)または完全一体型MEAなどの後の製品を形成するための一次ビルディングブロックとして機能し、本明細書において説明する方法を使用して高速で大量に生産することができ、連続したロールがCCMまたはMEA製品へとさらに処理することが必要になるまで仮のキャリア部品上に保管される。
【0024】
本方法は、平面内にイオン伝導性構成要素の1つまたは複数のストリップの形成を含む。イオン伝導性構成要素を、プロトン伝導性ポリマの群から選択する、またはヒドロキシルアニオン伝導性ポリマなどのアニオン伝導性ポリマの群から選択する。好適なプロトン伝導性ポリマの例は、パーフルオロスルホン酸イオノマ(例えば、Nafion(商標)(Chemours Company)、Aquivion(登録商標)(Solvay Specialty Polymers)、Flemion(商標)(旭硝子グループ)およびAciplex(商標)(旭化成ケミカルズ株式会社))、または製品のfumapem(登録商標)P、EもしくはKシリーズとしてFuMA−Tech GmbH、JSR株式会社、東洋紡株式会社、等から入手可能なものなどのスルホン酸化した炭化水素に基づくイオノマを含む。好適なアニオン伝導性ポリマの例は、株式会社トクヤマ製のA901およびFuMA−Tech GmbHからのFumasep FAAを含む。例えば、変化する当量のパーフルオロスルホン酸イオノマを、イオン伝導性構成要素として使用することができる。
【0025】
イオン伝導性構成要素のストリップを形成する方法を、以下に論じる。イオン伝導性構成要素のリボンの形態の1つまたは複数のストリップは、平面を横切って(横方向)延びる幅および平面に沿って(縦方向)延びる長さを有する。
【0026】
イオン伝導性構成要素の各ストリップは、上記MSAの第1の端部から第2の反対の端部まで延びる。すなわち、WO2015/145127とは対照的に、本発明では、ストリップは、シール構成要素によりすべての辺上で境界を限られた個別の領域を形成しない。むしろ、ストリップは、MSAに沿って延びる。第1の端部および第2の反対の端部は、縦方向に生産された材料の始まりと終わりを表している。
【0027】
z軸に測定したMSA内のイオン伝導性構成要素のストリップの厚さは、ストリップの最終的な用途に依存するであろう。しかしながら一般に、厚さは、≦100μmなど、≦50μmなど、≦30μmなどの≦250μm、例えば≦20μmであろう。好適には、厚さは≧5μmである。1つの実施形態では、最終的な補強したMSAは、平面を通る方向(z方向)に8〜50μmの厚さを有する。
【0028】
本方法は、平面内でのシール構成要素の複数のストリップの形成をやはり含む。シール構成要素は、イオン伝導性構成要素および平坦な補強用部品と相性が良いことが要求される。シール構成要素を、仮のキャリア部品の上へと堆積する/付けることができる流体または粘性ペーストとすることができる。シール構成要素は、処理ステップ中に乾燥されるであろう、そしてシール構成要素が受ける温度に耐えなければならない。シール構成要素は、非イオン伝導性であるべきであり、最終的な製品内では、燃料電池スタックにおける動作のために必要な機械的、熱的および化学的特性を所持しなければならない。シール構成要素は、仮のキャリア部品が処理の完了で除去されるときの何らかの変形にも耐えることができなければならない。
【0029】
シール構成要素用の材料を、フルオロシリコーン類、ポリウレタン類、コポリアミド類、エポキシ類およびフルオロアクリレート類から構成される群から選択する。好適なシール構成要素の具体的な例は、フッ化ポリビニリデン(PVDF)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリイミド(PI)、ポリエーテルサルホン(PES)、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、Viton(登録商標)、ポリエチレンオキサイド(PEO)、ポリフェニレンエーテル(PPE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリ(p−ポリフェニレンスルフィド)(PPS)、ポリオレフィン類およびシリコーン類を含む。
【0030】
シール構成要素のストリップを形成するための堆積の方法を、以下に論じる。シール構成要素のリボンの形態のストリップは、平面を横切って(横方向)延びる幅および平面に沿って(縦方向)延びる長さを有する。シール構成要素のストリップの厚さは、好ましくはイオン伝導性構成要素について上に論じた範囲内である。好ましくは、イオン伝導性構成要素およびシール構成要素の厚さは、実質的に一様であり、好ましくは実質的に同じである。
【0031】
1つの実施形態では、シール構成要素の上記ストリップのうちの2つの間に存在するイオン伝導性構成要素の1つのストリップがある。すなわち、生産されたMSAは、イオン伝導性構成要素の単一の中央ストリップを含む。長いロールに作製する場合には、上記のMSAを、その時にはMSAのロール上へと他の部品を付けることによりCCMおよびMEAへとさらに処理することができる、または横方向にカットすることにより、さらなる処理のために複数の個別のMSAへと分割することができ、CCMおよびMEAを形成することができる。
【0032】
代替の実施形態では、イオン伝導性構成要素の複数のストリップならびに交互のイオン伝導性構成要素およびシール構成要素のストリップがある。上記は、シール構成要素のストリップの長さに沿って(縦方向に)シール構成要素のストリップにスリットを形成することによりMSAの単一ストリップの形成を許容して、シール構成要素の2つのストリップの間にイオン伝導性構成要素の単一ストリップを有するMSAの単一ストリップを提供する。上記は、これゆえさらにいっそう効率的な大量製造さえ容易にする。
【0033】
好ましくは、イオン伝導性構成要素のストリップおよびシール構成要素のストリップを、同時に堆積して、製造の速度および均等なストリップ高さの実現を最大にする。
【0034】
あるいは、イオン伝導性構成要素のストリップおよびシール構成要素のストリップを、逐次的に堆積する。
【0035】
イオン伝導性構成要素およびシール構成要素のストリップを、仮のキャリア部品の上に形成する。仮のキャリア部品は、ストリップを形成する表面を与えるが、最終的なMSAの一部を形成しない。仮のキャリア部品を、保管のためのロールに良い形態でMSAの上に保持することができる。好ましくは、本方法は、仮のキャリア部品から補強したMSAを取り外すステップをさらに含む。仮のキャリア部品は、最終的なMSAの一部ではないが、後のステップで取り除かれるものであり、このステップは、MSAが形成された直後であってもよい、またはMSAが他の部品と組み合わせられてCCMまたはMEAを形成するときの生産プロセスにおける下流のある点であってもよい。
【0036】
仮のキャリア部品は、製造中および直ぐに取り除かれない場合にはMSAのための支持部を提供し、何らかの後の保管および/または輸送中には支持部および強度を与えることができる。仮のキャリア部品が作られる材料は、要求される支持部を提供するはずであり、イオン伝導性構成要素およびシール構成要素と相性が良いはずであり、イオン伝導性構成要素およびシール構成要素に不浸透性であるはずであり、MSAを生産する際に包含されるプロセス条件に耐えることができるはずであり、そしてMSAに損傷を与えずに容易に除去されることが可能であるはずである。
【0037】
使用に好適な材料の例は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、パーフルオロアルコキシポリマ(PFA)、フッ素化エチレンプロピレン(FEP−ヘキサフルオロプロピレンとテトラフルオロエチレンとの共重合体)、二フッ化ポリビニリデン(PVDF)などのフルオロポリマ、およびポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、二軸配向ポリプロピレン(BOPP)、ポリメチルペンテン(PMP)などのポリオレフィン類を含む。他の例は、積層物、多層押し出し加工品および高くした温度、例えば最大200℃までの温度で機械的強度/完全性を保持することが可能なコーティングしたフィルム/フォイルを含む。積層物の例は、ポリ(エチレン−共テトラフルオロエチレン)(ETFE)とポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリメチルペンテン(PMP)とPEN、ポリパーフルオロアルコキシ(PFA)とポリエチレンテレフタレート(PET)とポリイミド(PI)との積層物を含む。積層物は、2つ以上の層、例えば、ETFE−PEN−ETFE、PMP−PEN−PMP、PFA−PET−PFA、PEN−PFA、FEP−PI−FEP、PFA−PI−PFAおよびPTFE−PI−PTFEを有することができる。エポキシ、アクリルまたはポリウレタンなどの接着剤を使用して、層を貼り合わせることができる。コーティングしたフィルムの例は、PVDF、ETFE、FEP、PTFEおよびPFAなどのフルオロポリマ類のコーティング、またはPET、熱安定化PET、PI、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、およびポリエーテルサルホン(PES)などのポリマフィルムの上へのPE、PPおよびPMPなどのポリオレフィン類のコーティングを含む。好ましいコーティングしたフィルムは、フルオロポリマおよびポリオレフィンコーティングした熱安定化PETならびにPI(FEP−PI−FEP)の上へのFEPの両面コーティングを含む。好適には、仮のキャリア部品を、ロールに良い材料として与える。
【0038】
イオン伝導性構成要素およびシール構成要素が複数の気孔を埋めるように、複数の気孔を含んでいる平坦な補強用部品を平面内に設ける。イオン伝導性構成要素の1つのストリップがある実施形態に関して、最終的な構造を
図1の横方向を横切る断面で示している。「気孔を埋める」という句によって、平坦な補強用部品内の全気孔体積の少なくとも90%が埋められる、好ましくは少なくとも95%、好ましくは完全に埋められることを意味する。疑義を回避するために、補強用部品内の気孔は、いずれかイオン伝導性構成要素で埋められるまたはシール構成要素で埋められる、とは言え、イオン伝導性構成要素のストリップとシール構成要素のストリップとの間の境界のところの気孔は両者で埋められることがある(「混合領域」)。
【0039】
平坦な補強用部品は、MSAに強度および補強を与えるために存在する。平坦な補強用部品を、多孔質材料(すなわち、複数の気孔を有するもの)から形成する。多孔質材料は、下記の特性のうちの少なくともいくつかを所持するはずであり、イオン伝導性構成要素およびシール構成要素と相性が良く、その結果、これらの構成要素が多孔質材料の中へと容易に浸透することができ、多孔質材料は、浸透の後で物理的完全性を維持し(すなわち、基本的な気孔構造を保持する)、最終的なMEAの変化する湿度下で機械的強度および寸法安定性の改善を与え、非導電性であり、ならびに燃料電池が動作するであろう温度で化学的および熱的に安定である。
【0040】
好適な平坦な補強用部品は、ナノファイバ構造から形成されたもの(例えば、エレクトロスピニングまたはフォーススピニングにより形成したもの)、拡張ポリマネットワークから形成されたもの(例えば、拡張PTFE(ePTFE))、および平坦な非多孔質構造のエンジニアリングにより形成されたものを含むが、これらに限定されない。平坦な補強用部品を形成する際の使用に好適な材料の例は、典型的にはポリマであり、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、二フッ化ポリビニリデン(PVDF)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリイミド(PI)、ポリエーテルイミド、ポリエーテルサルホン(PES)およびポリプロピレン(PP)を含む。
【0041】
本発明のプロセスにおいて平坦な補強用部品を使用してMSAを形成する前に、平坦な補強用部品は、好適には、少なくとも1μm、ふさわしくは少なくとも5μmの最小厚さ、および40μmの最大厚さ、ふさわしくは25μmの最大厚さを有する。
【0042】
MSAを形成するための使用の前の平坦な補強用部品の気孔率は、好適には30%よりも大きく、好ましくは50%よりも大きく、そして最も好ましくは70%よりも大きい。好適には、気孔率は95%未満である。気孔率(n)を、数式n=V
v/V
t×100により計算し、ここではnが気孔率であり、V
vが空洞体積であり、そしてV
tが多孔質材料の全体積である。多孔質材料の気孔率を、部品質量および寸法の測定値ならびに補強用材料の真の密度の知識から直接計算することができる、または水銀ポロシメトリによるなどの当業者には知られた方法を使用することにより決定することができる。
【0043】
平坦な補強用部品を形成するための多孔質材料は、等方性であっても異方性であってもよい。
【0044】
平坦な補強用部品は、(i)横方向にMSAのエッジまで延びることがあり、または(ii)横方向にMSAのエッジまで延びなくてもよい。
【0045】
平坦な補強用部品を、ストリップに浸入するようにイオン伝導性構成要素およびシール構成要素の濡れたストリップの上へと設けることができ、イオン伝導性構成要素またはシール構成要素で埋められた材料の気孔を有することができる。補強用部品の上記の適用は、ストリップを個別の非接触ストリップとして形成する場合でさえ、典型的には、イオノマおよびシール構成要素ストリップのエッジをわずかに移動させ互いに接触させるであろう。上記は、MSA内のイオン伝導性構成要素とシール構成要素との間に埋められていない空洞領域がないことを確実にする。
【0046】
あるいは、イオン伝導性構成要素およびシール構成要素を、仮のキャリア部品上の平坦な補強用部品の上へと直接堆積することができる。
【0047】
あるいは、平坦な補強用部品は、平坦な補強用部品の一方の側に既に付けられた裏打ち層を供給することができる。上記の事例では、裏打ち層が本明細書において前に記述したような要求される特性を有する場合には、裏打ち層が、仮のキャリア部品になることがある。イオン伝導性構成要素およびシール構成要素を、裏打ち層の上にある平坦な補強用部品の上へと直接堆積することができる。イオン伝導性構成要素およびシール構成要素がストリップとして形成され、平坦な補強用部品に浸透するので、上記の構成要素は、平坦な補強用部品内にそれぞれ第1の領域および第2の領域を形成する。第1の領域は、イオン伝導性構成要素が浸透した平坦な補強用部品のエリアに対応し、一方で第2の領域は、シール構成要素が浸透した平坦な補強用部品のエリアに対応する。
【0048】
イオン伝導性構成要素が第2の領域の気孔の中へと広がることができおよび/またはシール構成要素が第1の領域の気孔の中へと広がることができ、その結果、第1の領域と第2の領域との界面のところにイオン伝導性構成要素とシール構成要素とを含む混合領域があってもよいことが認識されるはずである。任意のこのような混合領域は、第1の領域と第2の領域との界面のところで横方向に最大で5mmまでの幅であってもよい。
【0049】
混合領域内の気孔は、イオン伝導性構成要素およびシール構成要素の両者を含むことができ、上記は、例えば、シール構成要素およびイオン伝導性構成要素が混和性である場合に生じることがある。
【0050】
あるいは、シール構成要素およびイオン伝導性構成要素が混和性でない場合には、混合領域には、イオン伝導性構成要素を含んでいる気孔によって取り囲まれたシール構成要素を含んでいる1つまたは複数の気孔の1つまたは複数の「アイランド」があることがある。あるいは、混合領域には、シール構成要素を含んでいる気孔によって取り囲まれたイオン伝導性構成要素を含んでいる1つまたは複数の気孔の1つまたは複数の「アイランド」があることがある。
【0051】
あるいは、混合領域は、上に説明した2つ以上の配置の混合物を含むことができる。
【0052】
第1の領域と第2の領域との界面は、完全に直線的でないだけでなく、不規則であってもよく、例えば、「波打った」線を与える。
【0053】
あるいは、不規則な界面および混合領域の混合物であってもよい。
【0054】
横方向を参照して説明したけれども、混合領域および不規則な界面は、特にストリップを本明細書において後で説明するように複数の堆積ステップで形成するケースでは、平面を通る方向(z方向)にもやはり当てはまるはずである。
【0055】
イオン伝導性構成要素および/またはシール構成要素は、厚さ方向には平坦な補強用部品を超えて延びない、その結果、十分なイオン伝導性構成要素および/またはシール構成要素だけを、平坦な補強用部品の気孔を埋めるために必要に応じて使用する。
【0056】
あるいは、イオン伝導性構成要素および/またはシール構成要素は、厚さ方向に平坦な補強用部品を超えて延び、その結果、平坦な補強用部品の片側または両側に平坦な補強用部品の中へと浸透しないイオン伝導性構成要素および/またはシール構成要素の層がある。イオン伝導性構成要素および/またはシール構成要素の上記の未補強の層を、(本明細書において後で説明するような)追加ステップで付けることができる、またはイオン伝導性構成要素および/またはシール構成要素の未補強の層を、乾燥での平坦な補強用部品の収縮によって創り出すことができる。
【0057】
シール構成要素の任意の未補強の層は、イオン伝導性構成要素(平坦な補強用部品の気孔の中へと浸透したイオン伝導性構成要素または平面を通る方向(z方向)に平坦な補強用部品を超えて延びているイオン伝導性構成要素のいずれか)と重なることがある。いずれかの重なりを、1mm以上とすることができる。重なりを、10mm以下とすることができる。あるいは、重なりである代わりに、イオン伝導性構成要素およびシール構成要素の両者を含んでいる本明細書において前に説明したような混合領域があってもよい。
【0058】
シール構成要素は、平坦な補強用部品と同一の広がりを持つことがある。あるいは、シール構成要素は、平坦な横方向に平坦な補強用部品を超えて延びることがある。
【0059】
補強したMSAがイオン伝導性構成要素の1つよりも多くのストリップを含有する場合には、プロセスは、任意選択で、イオン伝導性構成要素の2つ以上のストリップを有する補強したMSAから、シール構成要素の上記のストリップのうちの2つの間にイオン伝導性構成要素の単一ストリップを有する補強したMSAの一部分を分離させることさらに含む。分離は、好ましくは、シール構成要素の1つまたは複数のストリップに沿って縦方向にスリットを形成することによる。上記は、補強したMSAの単一ストリップを与え、補強したMSAを、カットステップを含ませることにより個々の補強したMSAにその後にカットすることができ、カットステップでは、仮のキャリア部品を除去する前または後のいずれかで横方向に、単一ストリップをカットする。
【0060】
シール構成要素およびイオン伝導性構成要素を、適切である場合には適切なマスキングとともに、当業者には知られた任意の好適な技術により、適切な溶媒中の液体または分散液として付ける。このような技術は、グラビアコーティング、スロットダイ(スロット、押し出し)コーティング(これによりコーティングを、仮のキャリア部品の上へとスロットを介して圧力下で搾り出す)、スクリーン印刷、ロータリースクリーン印刷、インクジェット印刷、吹き付け、塗装、バーコーティング、パッドコーティング、ロールの上方のナイフまたはドクターブレードなどのギャップコーティング技術(これにより、コーティングが、仮のキャリア部品に付けられ、次いでナイフと支持ローラとの間のスリットを通過する)、およびメイヤバーを用いるなどのメータリングロッド塗布を含む。イオン伝導性構成要素およびシール構成要素ストリップを、好適にはスロットダイコーティングにより付ける。シール構成要素を、グラビアコーティングによりやはり好適に付けることができる。
【0061】
イオン伝導性構成要素およびシール構成要素を、各々の堆積の後で個々に乾燥させるまたは一旦両者を堆積すると単一ステップで乾燥させることができる。乾燥させることは、一旦、濡れたイオン伝導性構成要素および/またはシール構成要素が平坦な補強用部品に浸透してしまうと行われるに過ぎない。イオン伝導性またはシール構成要素コーティング分散体から溶剤を本質的に除去するために乾燥させることを、当業者には知られた任意の好適な加熱技術、例えば、空気インピンジメント、赤外線、等により成し遂げることができる。好適には、乾燥させることを、70〜120℃の温度で典型的には行うが、溶剤の性質に依存するであろうし、最大200℃であっても200℃を超えてもよい。
【0062】
シール構成要素および、性質に依存してイオン伝導性構成要素を、乾燥させることに加えて硬化させることもでき、構成要素の機械的および/または化学的強さを与えることができる。硬化させることは、架橋反応などの変化を生じさせるための化学反応であり、(例えば、熱もしくはIRにより)熱的に活性化されるはずであるまたは紫外エネルギーにより活性化されるはずである。
【0063】
乾燥させること(および任意選択で硬化させること)に加えて、イオン伝導性構成要素をアニールすることができて、イオノマの結晶構造を変えかつ強くすることができる。いずれのアニールステップも、乾燥ステップと比較して高くした温度、例えば、最大200℃までを利用するはずである。
【0064】
硬化するおよび/またはアニールするステップを、各乾燥するステップの後でまたは仮のキャリア部品の除去の前の堆積プロセスの終わりに行うことができる。シール構成要素およびイオン伝導性構成要素に対して使用する材料に依存して、硬化させることおよびアニールすることを、単一ステップで成し遂げることができる。
【0065】
本発明は、
平面内のイオン伝導性構成要素の1つまたは複数のストリップと、
同じ平面内のシール構成要素の複数のストリップであって、
イオン伝導性構成要素の1つまたは複数のストリップがシール構成要素の上記ストリップのうちの2つと境を接する、シール構成要素の複数のストリップと、
複数の気孔を含んでいる平坦な補強用部品であって、
イオン伝導性構成要素およびシール構成要素が複数の気孔を埋める、平坦な補強用部品と
を備えた補強した膜シールアセンブリであって、
イオン伝導性構成要素の各ストリップが上記アセンブリの第1の端部から第2の反対の端部まで延びる、補強した膜シールアセンブリをさらに提供する。
【0066】
好ましくは、補強したMSAは、本明細書において説明する方法にしたがって製造される。
【0067】
好ましくは、補強したMSAは、イオン伝導性構成要素の単一ストリップを備える。
【0068】
本明細書において開示する方法は、CCMまたはMEAを形成するために補強したMSAにさらなる構成要素および層を追加するために必要とされるステップをさらに含むことができる。
【0069】
本発明の触媒コーティングした膜(CCM)は、触媒コーティングした膜を必要とする燃料電池などの電気化学電池において実用的である。CCMでは、補強したMSAには、平面内に広がる第1の面および第2の面があり、プロセスは、イオン伝導性構成要素の少なくとも一部分の上の第1の面および第2の面のうちの一方または両方の上に触媒材料を含む層(触媒層)を形成することをさらに含む。
【0070】
第1の面および第2の面のうちの一方または両方の上に触媒材料を含んでいる層を形成する方法は、従来の間接転写法、補強したMSAの上への直接コーティング法、または付加層プロセスによることがある。従来の転写法では、補強したMSAを、製作プロセスにおいて部品として使用することができ、製作プロセスでは、CCMを形成するために補強したMSAの片側または両側に転写シートの上に事前形成した触媒層のストリップ(すなわち、ホットプレスしたPTFEシート)の使用によってなどで、触媒層を付加する。
【0071】
付加層プロセスが(例えば、WO2015/145128に記載されたように)使用される場合には、触媒層を最初に堆積することができ、次いで本発明の補強したMSAを、上記の基礎触媒層の最上部に形成する。第2の触媒層を、次いで補強したMSAの上側の露出表面の上へと堆積するはずである。
【0072】
あるいは、第1の触媒層および第2の触媒層を、補強したMSAの片面または両面の上へと直接堆積することができる。堆積する場合には、触媒材料を、シール構成要素およびイオン伝導性材料に関して上に開示した方法を使用して付けることができる。触媒材料を、好適にはインク、いずれか有機または水性(しかし好ましくは水性)として付ける。インクは、EP0731520に記載されたようなイオン伝導性ポリマなどの他の構成要素を好適には含むことができ、他の構成要素は、層内のイオン伝導性を向上させるために含まれる。触媒材料を、個別の不連続なパッチとしてまたは連続するストリップとして付け、パッチにより、互いに接続されていない個別のエリアを意味する。
【0073】
好ましくは、触媒層をストリップに設け、上記ストリップはイオン伝導性構成要素のストリップと位置を合わせる。上記が、補強したMSAのロールを用いる作業の製造効率から恩恵を受ける同じ製造技術を適用することを許容する。
【0074】
触媒材料は、1つまたは複数の電気触媒を含む。1つまたは複数の電気触媒は、細かく分割した非担持金属粉末、または金属の小さなナノ粒子が大表面積導電性炭素支持体の上に分散されている担持触媒である。金属を好適には下記から選択する。
(i)白金族金属(白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、イリジウムおよびオスミウム)、
(ii)金もしくは銀、
(iii)卑金属、
または上記の金属もしくはそれらの酸化物のうちの1つもしくは複数を含んでいる合金もしくは混合物。
【0075】
好ましい金属は、白金であり、白金を他の貴金属または卑金属と合金にすることができる。電気触媒が担持触媒である場合には、炭素支持材料上の金属ナノ粒子の装填は、得られる電気触媒の重量の好適には10〜90wt%、好ましくは15〜75wt%の範囲内である。
【0076】
使用する正確な触媒材料は、触媒しようとする反応に依存するであろうし、その選択は当業者の能力の範囲内である。
【0077】
触媒層は、追加の構成要素をさらに含むことができる。このような追加の構成要素は、酸素放出を促進しこれゆえ電池反転およびスタートアップ/シャットダウンの状況で利益をもたらすものであろう触媒、または過酸化水素分解触媒を含むが、これらに限定されない。このような触媒および触媒層に含まれるものに好適ないずれかの他の添加剤の例は、当業者には知られているであろう。
【0078】
触媒材料およびイオン伝導性構成要素を含んでいる領域内で平面を通る方向(z方向)のCCMの厚さは、その最終的な用途に依存するであろう。しかしながら一般に、厚さは、≦150μmなど、≦80μmなどの≦300μm、例えば≦50μmであろう。好適には、厚さは≧10μmである。1つの実施形態では、最終的なCCMは、触媒材料およびイオン伝導性構成要素を含んでいる領域内で平面を通る方向(z方向)に15〜50μmの厚さを有する。
【0079】
バリア層および/または接着剤構成要素などの追加の構成要素を、WO2015/145128により詳細に記述したように組み込むこともできる。
【0080】
本発明は、本発明の補強したMSAならびに補強したMSAの少なくとの一方の面上に存在する触媒層およびガス拡散層を含んでいる膜電極アセンブリをさらに提供する。触媒層およびガス拡散層は、補強したMSAの両方の面上に存在してもよい。
【0081】
本発明の補強したMSAを含んでいるMEAを、下記を含んでいるいくつかのやり方で作ることができるが、これらに限定されない。
(i)本発明の補強したMSAを、2つのガス拡散電極(1つのアノードおよび1つのカソード)の間に挟むことができる、
(ii)補強したMSAが触媒層により一方の側にだけコーティングされている本発明のCCMを、ガス拡散層とガス拡散電極との間に挟むことができ、ガス拡散層が触媒層でコーティングしたCCMの側に接触する、または
(iii)補強したMSAが触媒層で両側の上をコーティングされている本発明のCCMを、2つのガス拡散層の間に挟むことができる。
【0082】
ガス拡散層は、好適には、従来のガス拡散基板に基づいている。典型的な基板は、カーボンファイバのネットワークを含んでいる不織ペーパもしくは織物(例えば、ドイツ、Freudenberg FCCT KGから入手可能なH2315シリーズ、もしくはドイツ、SGL Technologies GmbHから入手可能なSigracet(登録商標)シリーズ、もしくはアメリカ合衆国、AvCarb Material SolutionsからのAvCarb(登録商標)シリーズ)、熱硬化性樹脂バインダ(例えば、日本、東レ株式会社から入手可能なカーボンファイバペーパのTGP−Hシリーズ)またはカーボン織布を含む。MEAをより濡れ性(親水性)またはより防湿性(疎水性)のいずれかにするためにMEAへと組み込むことに先立って、カーボンペーパ、織物または布を、さらなる処理に供することができる。何らかの処理の性質は、燃料電池のタイプおよび使用されるであろう動作条件に依存するであろう。
【0083】
基板を、液体懸濁液からの浸透を介して非晶質カーボンブラックなどの材料の取り込みによってより濡れ性にすることができる、またはPTFEもしくはポリフルオロエチレンプロピレン(FEP)などのポリマのコロイド状懸濁液を用いて基板の気孔構造に浸透させることにより、続いて乾燥しそしてポリマの融点よりも高く加熱することによって、より疎水性にすることができる。PEMFCなどの用途に関して、電気触媒層と接触するであろう面上のガス拡散基板に、ミクロ多孔質層を付けることもできる。ミクロ多孔質層は、典型的には、カーボンブラックとポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などのポリマとの混合物を含む。ガス拡散層を、従来技術により取り付ける。
【0084】
補強したMSA、CCMまたはMEAは、添加剤をさらに含むことができる。添加剤は、補強したMSA、CCMまたはMEAの内部に存在することができる、あるいはCCMまたはMEAのケースでは、様々な層間の界面のうちの1つもしくは複数のところにおよび/または層のうちの1つもしくは複数の中に存在することができる。
【0085】
添加剤を、過酸化水素分解触媒、ラジカル消去剤、フリーラジカル分解触媒、自己再生酸化防止剤、水素ドナー(H−ドナー)一次酸化防止剤、フリーラジカル消去二次酸化防止剤、酸素吸収剤(酸素消去剤)から構成される群から選択される1つまたは複数とすることができる。上記の様々な添加剤の例を、WO2009/040571およびWO2009/109780に見出すことができる。好ましい添加剤は、二酸化セリウム(セリア)である。
【0086】
本発明を、添付した図に関連してここで説明しよう。
【0087】
本発明は、シール構成要素により(作られたような)2つの長いエッジに沿って接触する(膜を形成する)イオン伝導性構成要素の連続するストリップを少なくとも含む補強したMSAを提供する。これらを、液体分散液から好ましくは同時に付け、2つの構成要素は、単一の平坦な補強用部品を共有する。上記は、平坦な補強用部品がイオン伝導性構成要素とシール構成要素との間の界面に広がることを意味する。上記の平坦な補強用部品は、横方向に補強したMSAのエッジまで連続的であっても連続的でなくてもよいが、イオン伝導性構成要素および2つの界面を横切って連続的でなければならない。シール構成要素およびイオン伝導性構成要素は、異なる厚さであってもよく、シール構成要素がイオン伝導性構成要素よりも厚いかまたは薄いかのいずれかであることをともなうが、理想的には2つの構成要素間での何らかのステップ高さを回避するように本質的に同じ厚さであるはずである。
図1は、イオン伝導性構成要素の1つのストリップがある実施形態について、このような補強したMSA(1)の(横方向の)断面を示している。特に、
図1は、平坦な補強用部品(25)がシール構成要素(5)およびイオン伝導性構成要素(10)のストリップの間の界面間にどのように広がっているかを示している。
【0088】
図2は、イオン伝導性構成要素の複数のストリップがある実施形態を図示する補強したMSA(1)の平面図を示している。シール構成要素(5)およびイオン伝導性構成要素(10)のストリップが見られるように、補強したMSA(1)の平面が示されている。平坦な補強用部品(25)は、すべてのストリップを横切って延びる。
【0089】
特に、
図2は、補強したMSAがイオン伝導性構成要素の各ストリップ(10)の各々の側にシール構成要素のストリップ(5)を有する状態で製造されている製品設計を示している。これらのコーティングプロセスを、別々にまたは同時に実行することができる。2つの材料を同時にコーティングする利点は、2つの材料が両者とも濡れているときに平坦な補強用部品が層に導入され、それゆえ2つの構成要素の間の界面により容易に広がることである。シール構成要素およびイオン伝導性構成要素を、乾燥層が同じ高さであるように堆積する。
【0090】
横並びで同時に2つの別々の材料をコーティングするスロットダイシステムを使用することにより、製品を作ることができ、上記は、中央にイオン伝導性構成要素そして(イオン伝導性構成要素の各々の側に1つの)シール構成要素の2つのストリップをコーティングすることが可能であろう。2つの材料を、2つの材料の間に小さなギャップのある状態で堆積することができ、ギャップは2つの分散液が互いに接触するために堆積の後で閉じられるであろう。材料がまだ濡れている間に、ePTFEなどの平坦な補強用部品を濡れた構成要素の最上部に置き、その結果、平坦な補強用部品を浸透させるにつれて、平坦な補強用部品は濡れた構成要素の中へと浸漬するようになる。このようにして、平坦な補強用部品は、異なる材料間の界面に広がる。所望の厚さを実現することおよび平坦な補強用部品を十分に浸透させることをやはり確実にすることに役立つように、2つの材料の第2の層を、乾燥後に第1の層の最上部に次いで堆積することができる。第2の層内の界面を、いずれか、第1の層の界面と一致させるまたは要求される製品設計に応じてオフセットさせることができる。次の層を必要に応じて堆積させることができる。
【0091】
イオン伝導性構成要素およびシール構成要素の第2の(または任意の次の)層は、第2の(または次の)平坦な補強用部品も含むことができる。2つ以上の平坦な補強用部品が存在するところでは、これらは同じであっても異なってもよい。平坦な補強用部品が異方性である場合には、隣接する平坦な補強用部品のアイソトロピの方向は、互いに同じであってもよい、または90°などのある角度であってもよく、すべての方向に付加的な安定性を与えることができる。
【0092】
連続リールツーリール製造ラインでは、MSAの多数のストリップを、製造ラインの幅にわたり1つの完全なロールに良い材料として堆積できるはずであることが、やはり想像される。このケースでは、イオノマのx本のストリップが、堆積され、そしてシール構成要素のx+1本のストリップにより境を囲まれるはずである。平坦な補強用部品を、各々の別個のMSAに多数の個別のストリップとしてまたは多数のMSAの全幅にわたる単一の平坦な補強用部品として付けることができるはずである。
【0093】
図3aおよび
図3bは、本発明のプロセスを描いている流れ図を示している。
図3aでは、仮のキャリア部品を用意し、その上に補強したMSAを構成する構成要素が付けられる。イオン伝導性構成要素およびシール構成要素を、1つまたは複数のストリップとして仮のキャリア部品の上へと同時に堆積する。「同時に」という用語により、プロセスを通して仮のキャリア部品の同じ単一パスでそれらの構成要素をコーティングすることを意味し、その結果、それらの構成要素は、平坦な補強用部品を付ける前には両者ともまだ濡れている。しかしながら、1つのコーティングヘッドを、他のものより先に配置することができ、その結果、同じパスにおいて、1つの構成要素が最初に置かれ、第2の構成要素が続く。
図3aでは、イオン伝導性構成要素をシール構成要素の先に仮のキャリア部品の上へと堆積する。それらの構成要素を、互いに平行なストリップで仮のキャリア部品の上へ堆積する。平坦な補強用部品を、仮のキャリア部品上の濡れたイオン伝導性構成要素およびシール構成要素の上へと置く。平坦な補強用部品の気孔の中へと一旦浸透したイオン伝導性構成要素およびシール構成要素を乾燥する。
図3aに示したプロセスは、仮のキャリア部品の除去で完結する。上記を、直ちにまたはMEAの組み立てにおける下流のある時点で行うことができるはずである。
【0094】
図3bでは、イオン伝導性構成要素およびシール構成要素を以前に浸透させ乾燥させた領域内の平坦な補強用部品に、追加のイオン伝導性構成要素およびシール構成要素を付ける。追加のイオン伝導性構成要素およびシール構成要素を付けることを、(破線により指示した)必要な回数だけ行うことができ、完全な浸透ならびに/または平坦な補強用部品を超えてz方向に延びているイオン伝導性構成要素および/もしくはシール構成要素の未補強層の提供を確実にすることができる。イオン伝導性構成要素およびシール構成要素の両者の追加の堆積が示されているとはいえ、任意の追加のパスでは、上記の構成要素のうちの1つだけを堆積することができることが認識されるであろう。
図3bに示したプロセスは、仮のキャリア部品の除去で完結する。上に指摘したように、上記を、直ちにまたはMEAの組み立てにおける下流のある時点で行うことができるはずである。
【0095】
図3cでは、イオン伝導性構成要素およびシール構成要素の層を、必須のストリップにキャリア層へと最初に付ける。イオン伝導性構成要素およびシール構成要素を乾燥させて、平坦な補強用部品を含有しない層を形成する。さらにイオン伝導性構成要素およびシール構成要素を、後にストリップに対応するであろう領域内の上記の層に付け、平坦な補強用部品を、濡れたイオン伝導性構成要素およびシール構成要素の上に置く。イオン伝導性構成要素およびシール構成要素は、平坦な補強用部品の気孔の中へと浸透し、乾燥される。平坦な補強用部品を含有しないイオン伝導性構成要素およびシール構成要素の層を形成している、以前に上記の構成要素を浸透させ乾燥させた領域内の平坦な補強用部品に、さらなるイオン伝導性構成要素およびシール構成要素を付ける。
図3cに示したプロセスは、仮のキャリア部品の除去で完結する。上に指摘したように、上記を、直ちにまたはMEAの組み立てにおける下流のある時点で行うことができるはずである。
【0096】
図4aおよび
図4bは、本発明の代わりの逐次的な堆積プロセスを描いている流れ図を示している。
図4aでは、仮のキャリア部品を用意し、その上に補強したMSAを構成する構成要素を付ける。最初に、イオン伝導性構成要素を、1つまたは複数のストリップに仮のキャリア部品の上へと付ける。平坦な補強用部品を仮のキャリア部品の上へと置き、イオン伝導性構成要素が平坦な補強用部品の気孔の中へと浸透する。一旦イオン伝導性構成要素が平坦な補強用部品の中へと浸透すると、イオン伝導性構成要素を乾燥させる。シール構成要素の層が、次いでストリップで平坦な補強用部品に付けられ、イオン伝導性構成要素と境を接する。シール構成要素は、平坦な補強用部品の中へと浸透し、一旦浸透すると乾燥される。
図4aに示したプロセスは、次いで仮のキャリア部品の除去で完結する。上に指摘したように、上記を、直ちにまたはMEAの組み立てにおける下流のある時点で行うことができるはずである。
【0097】
図4bでは、イオン伝導性構成要素を以前に浸透させ乾燥させた領域内の平坦な補強用部品に、追加のイオン伝導性構成要素を付ける。追加のシール構成要素を、シール構成要素を以前に浸透させ乾燥させた領域内の平坦な補強用部品に付ける。追加のイオン伝導性構成要素およびシール構成要素を付けることを、(破線により指示した)必要な回数だけ行うことができ、完全な浸透ならびに/または平坦な補強用部品を超えて延びているシール構成要素および/もしくはイオン伝導性構成要素の層の提供を確実にすることができる。
図4bに示したプロセスは、次いで仮のキャリア部品の除去で完結する。上に指摘したように、上記を、直ちにまたはMEAの組み立てにおける下流のある時点で行うことができるはずである。
【0098】
図4aおよび
図4bは、イオン伝導性構成要素が最初に付けられシール構成要素が続くことを示しているとはいえ、プロセスは、シール構成要素が最初に付けられイオン伝導性構成要素が続く場合にも同様に働くはずであることを、当業者なら認識するであろう。
【0099】
図3bおよび
図4bは、イオン伝導性構成要素およびシール構成要素の両者の追加の堆積を示している。しかしながら、イオン伝導性構成要素またはシール構成要素のうちの一方だけの追加の層を堆積することが可能であることを、当業者なら理解し認識するであろう。追加の堆積で使用するイオン伝導性構成要素およびシール構成要素は、以前の堆積において使用したイオン伝導性構成要素およびシール構成要素と同じであっても異なってもよいことを、当業者ならやはり理解し認識するであろう。例えば、変化する当量のパーフルオロスルホン酸イオノマを、イオン伝導性構成要素として使用することができる。
【0100】
CCM製品に関して本明細書において上に説明した実施形態のすべては、プロトン交換膜(PEM)に基づく電気分解装置における使用に同様に当てはまる。上記のPEM電気分解装置では、電圧をCCMの両端に印加し、その結果、デバイスに供給される水を、それぞれカソードおよびアノードのところで水素および酸素へと分離する。CCMは、アノードのところでのIrおよびRu系の材料などのPEM燃料電池に対して異なる触媒部品を必要とすることがあるが、それ以外は、燃料電池用のCCMに対する構成と非常に類似している。
【0101】
前述の詳細な説明は、説明および図説として与えられてきており、別記の特許請求の範囲の範囲を限定するものではない。本明細書において図説した現在の好ましい実施形態における多くの変形形態は、当業者には明らかだろうし、別記の特許請求の範囲およびその等価物の範囲内のままである。