特許第6878478号(P6878478)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6878478有料道路のキャッシュレス決済方法、コンピュータ、およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6878478
(24)【登録日】2021年5月6日
(45)【発行日】2021年5月26日
(54)【発明の名称】有料道路のキャッシュレス決済方法、コンピュータ、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 20/24 20120101AFI20210517BHJP
   G07B 15/00 20110101ALI20210517BHJP
【FI】
   G06Q20/24
   G07B15/00 P
【請求項の数】3
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2019-25576(P2019-25576)
(22)【出願日】2019年2月15日
(65)【公開番号】特開2020-135201(P2020-135201A)
(43)【公開日】2020年8月31日
【審査請求日】2019年2月15日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 第1回目の公開 公開日:平成30年8月8日 公開場所:株式会社札幌振興公社(札幌市中央区北12条西23丁目2番5号 SDC北12条ビル4階) 第2回目の公開 公開日:平成30年8月20日 公開場所:株式会社札幌振興公社(札幌市中央区北12条西23丁目2番5号 SDC北12条ビル4階) 第3回目の公開 公開日:平成30年11月2日 公開場所:熊谷組(東京都新宿区津久戸町2番1号) 他8回
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】594103301
【氏名又は名称】三井住友カード株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西山 慎哉
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 聡人
【審査官】 久宗 義明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−280215(JP,A)
【文献】 特開2004−213569(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00−99/00
G07B 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータが、第1の地点における第1の撮影カメラによって撮影された通行車両のナンバープレートの画像を解析し、前記通行車両の第1の車両番号を取得するステップと、
前記コンピュータが、前記第1の車両番号に基づいて、クレジットカードデータを取得するステップと、
前記コンピュータが、前記取得されたクレジットカードデータに基づいて、クレジットカードが有効であるかどうかを判定するステップであって、前記クレジットカードが有効であるかどうかの判定は、少なくとも、オーソリゼーションデータをクレジットカード会社のコンピュータに送信することによって行われる、ステップと、
前記コンピュータが、前記クレジットカードが有効であると判定されたことに応じて、前記第1の車両番号、および前記取得されたクレジットカードデータを関連付けた精算データを作成するステップと、
前記コンピュータが、第2の地点における第2の撮影カメラによって撮影された前記通行車両のナンバープレートの画像を解析し、前記通行車両の第2の車両番号を取得するステップと、
前記コンピュータが、前記第2の車両番号に基づいて、前記精算データを取得するステップと、
前記コンピュータが、前記精算データに基づいて、前記第1の地点から前記第2の地点の通行料金の決済データを作成するステップと、
前記コンピュータが、前記作成された決済データをクレジットカード会社のコンピュータに送信するステップと
を備えたことを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラム。
【請求項3】
第1の地点における第1の撮影カメラによって撮影された通行車両のナンバープレートの画像を解析し、前記通行車両の第1の車両番号を取得し、
前記第1の車両番号に基づいて、クレジットカードデータを取得し、
前記取得されたクレジットカードデータに基づいて、クレジットカードが有効であるかどうかを判定し、前記クレジットカードが有効であるかどうかの判定は、少なくとも、オーソリゼーションデータをクレジットカード会社のコンピュータに送信することによって行われ、
前記クレジットカードが有効であると判定されたことに応じて、前記第1の車両番号、および前記取得されたクレジットカードデータを関連付けた精算データを作成し、
第2の地点における第2の撮影カメラによって撮影された前記通行車両のナンバープレートの画像を解析し、前記通行車両の第2の車両番号を取得し、
前記第2の車両番号に基づいて、前記精算データを取得し、
前記精算データに基づいて、前記第1の地点から前記第2の地点の通行料金の決済データを作成し、
前記作成された決済データをクレジットカード会社のコンピュータに送信する
ように構成されたことを特徴とするコンピュータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有料道路のキャッシュレス決済方法、コンピュータ、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、ETC(Electronic Toll Collection System:電子料金収受システム)の普及率が非常に高まっており、それに伴い、民間道路事業者が運営する有料道路の料金所においてETCの導入が進んでいる。その一方で、ETCは導入および維持コストが高価なため、ETCを導入できずに、有人または自動精算機による料金徴収を行っている道路は少なくない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、有人による料金徴収は、人件費がかかることに加え、通行車両は料金所において一時停止する必要があり渋滞の原因になる。また、自動精算機は無人ではあるが、精算機に対する支払い操作のため、やはり一時停止する必要がある。さらに、通行区間により料金が変わる場合は、有料道路の入り口において、どの入り口から入ったかを証明するための通行券(入口券)を発券する必要があり、その際にも一時停止が必要となる。また、通行券の発券も有人で行っている場合もある。
【0004】
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、コンピューティングシステムを用いて、有料道路の出入口において通行車両のナンバープレートを撮影および解析し、対応するクレジットカードデータを検索し、ナンバープレートに関連付けられたクレジットカードデータに基づいて、キャッシュおよびカードレスでの通行料金の精算および決済を行うことである。なお、本書において、“クレジットカード”は、プリペイドカードやデビットカードなどの他の決済手段を含む用語として使用される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様は、コンピュータが実行する方法であって、前記方法は、
前記コンピュータが、第1の地点における第1の撮影カメラによって撮影された通行車両のナンバープレートの画像を解析し、前記通行車両の第1の車両番号を取得するステップと、
前記コンピュータが、前記第1の車両番号に基づいて、クレジットカードデータを取得するステップ、
前記コンピュータが、前記第1の車両番号、および前記取得されたクレジットカードデータを関連付けた精算データを作成するステップと、
前記コンピュータが、第2の地点における第2の撮影カメラによって撮影された前記通行車両のナンバープレートの画像を解析し、前記通行車両の第2の車両番号を取得するステップと、
前記コンピュータが、前記第2の車両番号に基づいて、前記精算データを取得するステップと、
前記コンピュータが、前記精算データに基づいて、前記第1の地点から前記第2の地点の通行料金の決済データを作成するステップと、
前記コンピュータが、前記作成された決済データをクレジットカード会社のコンピュータに送信するステップと
を備えたことを特徴とする。
【0006】
また、前記方法は、
前記第1の地点を一意に示す第1の識別子、および前記第2の地点を一意に示す第2の識別子に基づいて、前記通行料金を導出するステップをさらに備え、前記第1の識別子および前記第2の識別子は、それぞれ、前記第1の撮影カメラおよび前記第2の撮影カメラから受信されることを特徴とする。
【0007】
さらに、前記方法は、
前記精算データが取得できたことに応答して、前記第2の地点における前記通行車両が通過しようとしているレーンの出口開閉バーにバー開放指示を送信するステップをさらに備えたことを特徴とする。
【0008】
また、前記方法は、
前記精算データが取得できなかったことに応答して、前記第2の地点における精算機に支払い指示を送信するステップをさらに備えたことを特徴とする。
【0009】
そして、前記方法において、
前記支払い指示を受信した前記精算機は、クレジットカードによる支払いを行う場合、前記第2の車両番号に関連付けられたクレジットカードのみでしか支払いを受け付けないように構成されることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の別の態様は、前記方法をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムである。
【0011】
本発明のさらに別の態様は、コンピュータであって、前記コンピュータは、
第1の地点における第1の撮影カメラによって撮影された通行車両のナンバープレートの画像を解析し、前記通行車両の第1の車両番号を取得し、
前記第1の車両番号に基づいて、クレジットカードデータを取得し、
前記第1の車両番号、および前記取得されたクレジットカードデータを関連付けた精算データを作成し、
第2の地点における第2の撮影カメラによって撮影された前記通行車両のナンバープレートの画像を解析し、前記通行車両の第2の車両番号を取得し、
前記第2の車両番号に基づいて、前記精算データを取得し、
前記精算データに基づいて、前記第1の地点から前記第2の地点の通行料金の決済データを作成し、
前記作成された決済データをクレジットカード会社のコンピュータに送信する
ように構成されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、コンピューティングシステムを用いて、有料道路の出入口において通行車両のナンバープレートを撮影および解析し、ナンバープレートに関連付けられたクレジットカードデータを検索し、当該クレジットカードデータに基づいて、キャッシュおよびカードレスでの通行料金の精算および決済を行うことができる。また、本発明によるシステムは、ETCと比較して、民間道路事業者側の導入および維持コストは非常に安価であり、ドライバー側での特別な装置の購入や設置は不要である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態に係るシステムの全体構成を示す図である。
図2】本発明の一実施形態に係る管理サーバの構成例を示す図である。
図3】本発明の一実施形態に係る入口料金所処理を示すフローチャートである。
図4】本発明の一実施形態に係る出口料金所処理を示すフローチャートである。
図5】本発明の一実施形態に係るカードデータ記憶部に格納されたデータを示す図である。
図6】本発明の一実施形態に係る精算データ記憶部に格納されたデータを示す図である。
図7】本発明の一実施形態に係る決済データ記憶部に格納されたデータを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付された図面を参照して、本発明の実施形態に係るシステムを詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るシステムの全体構成を示す図である。図1において、管理サーバ100は、ネットワーク110(例えば、インターネット)を介して、入口前NP撮影カメラ101、入口開閉バー102、出口前NP撮影カメラ103、出口開閉バー104、精算機105、およびカード会社サーバ106と通信を行うように構成される。なお、図1では、管理サーバ100を1つのサーバコンピュータとして表しているが、複数のサーバコンピュータによる分散型コンピューティングシステムとして構築することもできる。
【0015】
管理サーバ100は、本発明におけるメインサーバコンピュータであり、民間道路事業者によって管理される。なお、管理サーバ100は、民間道路事業者以外の会社が提供するクラウドコンピュータであってもよい。管理サーバ100の機能については後述する。
【0016】
入口前NP撮影カメラ101および出口前NP撮影カメラ103は、それぞれ、入口料金所および出口料金所に進入する通行車両を検知してナンバープレートを撮影するためのカメラ装置である。入口前NP撮影カメラ101および出口前NP撮影カメラ103は、各料金所のレーンごとに設置され、各レーンに進入した通行車両のナンバープレートを撮影する。また、入口前NP撮影カメラ101および出口前NP撮影カメラ103は、撮影したナンバープレート画像を管理サーバ100に送信する。なお、NPとは「ナンバープレート」の略である。
【0017】
入口開閉バー102および出口開閉バー104は、それぞれ、入口料金所および出口料金所において通行車両の通行を制御するものである。入口開閉バー102および出口開閉バー104も各料金所のレーンごとに設置される。入口開閉バー102および出口開閉バー104は、ドライバーに通知するための音声出力装置および表示装置を備えてもよい。また、入口開閉バー102は、通行券を発券するための発券機(図示せず)を備えてもよい。さらに、出口開閉バー104は、駐車料金の支払いなどのための精算機105や、利用するクレジットカードを選択するための入出力装置を備えてもよい。入口開閉バー102および出口開閉バー104と、入口前NP撮影カメラ101および出口前NP撮影カメラ103との位置関係は、開閉バーの手前に撮影カメラが設置される。これにより、撮影されたナンバープレートに基づいて通行車両を通過させるか否か判断し、その判断結果により開閉バーを制御することができる。例えば、出口開閉バー104は、現金での支払いが必要な場合にバーを閉じ、通行料金が正常に支払われたことに応答してバーを開くように制御される。なお、本発明の別の実施形態では、入口開閉バー102および出口開閉バー104を設置しなくてもよい。この場合、現金での支払いは、民間道路事業者の従業員などによる有人対応を行う。なお、有人対応を行う場合は、従業員が使用する従業員端末(図示せず)をネットワーク110に接続して管理サーバ100と通信を行うことにより、従業員端末を介して通行料金を表示したり、領収書を発行したりすることができる。
【0018】
精算機105は、出口料金所における出口開閉バー104に併設され、CPU、メモリ、入出力装置、および表示装置(ディスプレイ)を備えている。精算機105は、現金での支払いが必要な場合に通行車両のドライバーに対し通行料金の支払いを促すことができる。また、精算機105は、現金またはクレジットカードなどでの支払いを受け付け、通行料金が正常に支払われた場合に、管理サーバ100または出口開閉バー104にその旨を通知したり、領収書を発行したりすることができる。なお、精算機105は、出口開閉バー104と一体型であってもよい。
【0019】
カード会社サーバ106は、クレジットカード会社によって管理されるサーバコンピュータである。カード会社サーバ106は、管理サーバ100から受信された決済データに基づいて決済処理を実行する。
【0020】
次に、図1における管理サーバ100の構成を詳細に説明する。図2は、管理サーバ100の構成を示す図である。図2において、管理サーバ100は、システムバス115を介して相互に接続された、CPU110、RAM111、入力装置112、出力装置113、通信制御装置114、および記憶装置116を備えている。記憶装置116は不揮発性記憶媒体(ROMやHDDなど)で構成され、本発明の処理などに関連するソフトウェアプログラムを格納したプログラム格納領域と、当該ソフトウェアプログラムで取り扱うデータを格納したデータ格納領域とを備えている。プログラム格納領域の各処理部120〜123は、独立したソフトウェアプログラム、そのルーチンやコンポーネントなどで実現され、記憶装置116に格納されている。各処理部120〜123は、プログラムの実行時にCPU110によって記憶装置116から呼び出されRAM111のワークエリアに展開されることで、データベースなどに適宜アクセスしながら各機能を実現する。
【0021】
図2では、各処理部120〜123として、NP解析処理部120、顧客検索処理部121、精算処理部122、および決済処理部123を示している。これらの処理部120〜123の機能については後述する。
【0022】
図2の記憶装置116におけるデータ格納領域は、カードデータ記憶部130、精算データ記憶部131、および決済データ記憶部132を備える。
【0023】
次に、記憶装置116の各記憶部130〜132に記憶されるデータ(図5〜7)について説明する。図5は、カードデータd500を示す図である。カードデータd500は、クレジットカード会社と契約した顧客のクレジットカードに関するデータであり、カードデータ記憶部130に格納される。
【0024】
カードデータd500には、クレジットカードを一意に示す「カード番号」d501、クレジットカード会社と契約した顧客の名義を示す「カード名義」d502、クレジットカードの有効期限の年月をそれぞれ示す「有効期限年」d503および「有効期限月」d504、クレジットカードのセキュリティコードを示す「セキュリティコード」d505、ならびにクレジットカードと予め関連付けて登録される車両を一意に示す「登録車両番号1」d506〜「登録車両番号3」d508などを格納することができる。以下、詳述する。
【0025】
カードデータd500は、顧客とクレジットカード会社との間でクレジットカード契約を行った際に、クレジットカード会社によって作成されるマスタデータである。「登録車両番号1」d506〜「登録車両番号3」d508は、クレジットカードに紐付ける車両番号であり、顧客からの申請により予め登録される。なお、紐付ける車両番号の登録および変更は、顧客自身が携帯電話などの顧客端末(図示せず)を介して専用アプリにアクセスして行うこともできる。また、図5では、1枚のクレジットカードに対し3台までの車両を登録できるように示しているが、データ項目を増減することにより車両の登録数を増減させることもできる。また、別の実施形態では、1台の車両に対し複数のクレジットカードを登録し、顧客端末を介して“通常使用するクレジットカード”を顧客に選択させることができる。この場合、カードデータd500には、登録したクレジットカード分のレコードが作成され、「通常使用フラグ」などといったデータ項目を新たに追加し、“通常使用するクレジットカード”の判別がつくようにしておく。ここで、“通常使用するクレジットカード”とは、ナンバープレートによるクレジットカード決済で使用されるカードである。
【0026】
次に、精算データd600について説明する。図6は、精算データd600を示す図である。精算データd600は、有料道路の通行料金の精算に関するデータであり、精算データ記憶部131に格納される。
【0027】
精算データd600には、有料道路を利用した通行車両の車両番号を示す「車両番号」d601、通過した入口料金所およびそのレーンをそれぞれ一意に示す「入口ID」d602および「入口レーンID」d603、入口料金所を通過した日時を示す「入口通過日時」d604、通過した出口料金所およびそのレーンをそれぞれ一意に示す「出口ID」d605および「出口レーンID」d606、出口料金所を通過した日時を示す「出口通過日時」d607、ならびに車両番号に関連付けられたクレジットカード番号を示す「関連カード番号」d608などを格納することができる。以下、詳述する。
【0028】
精算データd600は、入口料金所に設置された入口前NP撮影カメラ101によって通行車両のナンバープレートが撮影された後、管理サーバ100によって作成されるトランザクションデータである。「車両番号」d601は、入口前NP撮影カメラ101によって撮影されたナンバープレート画像を、管理サーバ100が解析することによって取得される車両番号が格納される。「入口レーンID」d603および「出口レーンID」d606は、1つの料金所に複数のレーンがある場合に、どのレーンを車両が通過したかを示すためのデータ項目である。そのため、1つの料金所に1つのレーンしか無い場合は、データ項目自体が不要である。「入口通過日時」d604および「出口通過日時」d607は、それぞれ、例えば、入口前NP撮影カメラ101および出口前NP撮影カメラ103からナンバープレート画像を受信した際の管理サーバ100のシステム日時が格納される。または、画像を撮影した日時を入口前NP撮影カメラ101および出口前NP撮影カメラ103から管理サーバ100が受信して格納してもよい。また、出口ID」d605、「出口レーンID」d606、および「出口通過日時」d607は、車両が出口料金所を通過した後に更新されるデータ項目であるため、精算データd600を作成した直後(すなわち、車両が入口料金所を通過した直後)は、図6に示すように何も格納されていない状態である。「関連カード番号」d608は、「車両番号」d601に関連付けられたクレジットカード番号が格納され、カードデータd500における「カード番号」d501と紐付く。
【0029】
次に、決済データd700について説明する。図7は、決済データd700を示す図である。決済データd700は、クレジットカードを利用して有料道路の通行料金を支払った場合のクレジットカード決済に関するデータであり、決済データ記憶部132に格納される。
【0030】
決済データd700には、利用したクレジットカードを一意に示す「利用カード番号」d701、クレジットカードを利用した加盟店(ここでは、例えば、民間道路事業者)を一意に示す「加盟店ID」d702、クレジットカードを利用した日付を示す「利用日」d703、およびクレジットカードによって利用された金額を示す「利用額」d704などを格納することができる。以下、詳述する。
【0031】
決済データd700は、クレジットカードを利用して通行料金を支払った後、管理サーバ100によって作成されるトランザクションデータである。「利用日」d703は、例えば、決済データd700が作成された際の管理サーバ100のシステム日時が格納される。また、「利用額」d704は、精算データd600に基づいて導出される、有料道路の通行料金が格納される。
【0032】
次に、本発明の入口料金所処理について、図3のフローチャート、ならびに図5および6のデータを参照して説明する。本処理は、有料道路の入口料金所におけるレーンに通行車両が進入したところから始まり、入口前NP撮影カメラ101によってナンバープレートが撮影され、ナンバープレートの解析、およびクレジットカードとの紐付けなどを行うものである。また、入口開閉バー102が設置された入口料金所の場合は、本処理において入口開閉バー102の制御も行う。
【0033】
まず、入口前NP撮影カメラ101は、入口料金所に進入する通行車両を検知してナンバープレートを撮影し(ステップ300)、撮影されたナンバープレート画像を管理サーバ100に送信する(ステップ301)。なお、ナンバープレートの他、入口前NP撮影カメラ101によって通行車両を撮影し、車両画像を管理サーバ100に送信することで車両画像を解析し、車種や車両カラーを特定することもできる。これにより、ナンバープレート、および車種や車両カラーを、予め登録された盗難車データ(図示せず)などとマッチングすることにより、盗難車の発見および警察への通報を行うこともできる。
【0034】
次に、管理サーバ100のNP解析処理部120は、入口前NP撮影カメラ101から送信されたナンバープレート画像を受信すると(ステップ302)、当該ナンバープレート画像を解析する(ステップ303)。ナンバープレート画像の解析は一般的なAI(artificial intelligence:人工知能)映像解析技術によって行われ、これにより車両番号を取得することができる。
【0035】
次に、管理サーバ100の顧客検索処理部121は、ステップ303で取得された車両番号を検索キーとして、カードデータ記憶部130を検索し、カードデータd500を取得する(ステップ304)。より具体的には、ステップ303で取得された車両番号を検索キーとして、カードデータd500における「登録車両番号1」d506〜「登録車両番号3」d508を検索し、いずれかのデータ項目と一致するレコードを取得する。
【0036】
次に、顧客検索処理部121は、ステップ304で取得されたカードデータd500に基づいて、顧客のクレジットカードが有効なカードであるか否かを判定する(ステップ305)。具体的には、取得された「有効期限年」d503および「有効期限月」d504が示す年月が有効期限内であるか否かを、管理サーバ100のシステム日付と比較することなどにより判定する。また、1台の車両に対し複数のクレジットカードを登録している場合は、上述した「通常使用フラグ」を用いて、“通常使用するクレジットカード”が存在し、かつ有効なカードであるか否かを判定する。なお、別の実施形態では、カード有効性の確認を、カード会社サーバ106に対するオーソリゼーションデータ(金額0円のデータ)の送信によって行うこともできる。これにより、カード限度額内での支払いか否かなど、より細かい有効性の確認をリアルタイムに行なうことができる。ネットワーク状況などによってカード会社サーバ106に対するリアルタイム処理が困難な場合は、カード会社サーバ106が有するローカルデータ(例えば、カードデータd500)に基づいて有効性の確認を行なってもよい。当該ローカルデータは、カード会社サーバ106における最新データで定期的に更新することができる。
【0037】
ステップ305において“有効なカードでない”と判定した場合、Noルートに進み、顧客検索処理部121は、通行券発券指示を入口開閉バー102に送信する(ステップ306)。なお、ステップ304においてカードデータd500が取得できなかった場合も、ステップ305のNoルートに進む。当該Noルートの場合は通行料金のクレジットカード決済はできないため、入口開閉バー102に備え付けられた発券機により通行券を発券する。通行車両のドライバーが通行券を受け取ったら、入口開閉バー102はバーを開け通行車両を通す。通行券にはどの入り口から入ったかが示されており、出口料金所にて通行券を用いて通行料金の支払いを行うことができる。
【0038】
一方、ステップ305において“有効なカードである”と判定した場合、Yesルートに進み、管理サーバ100の精算処理部122は、バー開放指示を入口開閉バー102に送信する(ステップ307)。バー開放指示を受信した入口開閉バー102はバーを開け通行車両を通す。なお、別の実施形態では、入口開閉バー102を設置しなくてもよく、この場合はステップ307を実行せず(ステップ307自体が存在しなくてよい)、次のステップ308を実行する。
【0039】
次に、精算処理部122は、精算データd600を作成し(ステップ308)、精算データ記憶部131に格納する(ステップ309)。より具体的には、精算データd600の「車両番号」d601にはステップ303で取得された車両番号、「入口ID」d602および「入口レーンID」d603には通過した入口料金所およびそのレーンを一意に示す各ID、「入口通過日時」d604には管理サーバ100のシステム日時、ならびに「関連カード番号」d608にはステップ304で取得された「カード番号」d501をそれぞれ格納する。通過した入口料金所およびそのレーンを一意に示す各IDは、ステップ302におけるナンバープレート画像の受信と併せて入口前NP撮影カメラ101から受信することができる。これにより、通行車両がどのレーンを通過したかを判別することができる。また、各IDは、例えば、ナンバープレート画像のメタデータとして受信することもできる。なお、この段階では、精算データd600の「出口ID」d605、「出口レーンID」d606、および「出口通過日時」d607には、当然ながら何も格納されない。また、ステップ305において“有効なカードでない”と判定しNoルートに進んだ場合であっても、入口料金所を通過した通行車両を記録しておくために精算データd600を作成してもよい。この場合は、「関連カード番号」d608には何も格納されない。ステップ309の後、本処理は終了する。
【0040】
次に、本発明の出口料金所処理について、図4のフローチャート、および図6および7のデータを参照して説明する。本処理は、有料道路の出口料金所におけるレーンに通行車両が進入したところから始まり、出口前NP撮影カメラ103によってナンバープレートが撮影され、ナンバープレートの解析、対応する精算データの取得および更新、ならびに決済処理などを行うものである。
【0041】
まず、管理サーバ100の出口前NP撮影カメラ103は、出口料金所に進入する通行車両を検知してナンバープレートを撮影し(ステップ400)、撮影されたナンバープレート画像を管理サーバ100に送信する(ステップ401)。
【0042】
次に、管理サーバ100のNP解析処理部120は、出口前NP撮影カメラ103から送信されたナンバープレート画像を受信すると(ステップ402)、当該ナンバープレート画像を解析する(ステップ403)。ステップ400〜403は、図3におけるステップ300〜303と同様である。
【0043】
次に、管理サーバ100の精算処理部122は、ステップ403の解析により取得された車両番号を検索キーとして、精算データ記憶部131を検索し、精算データd600を取得する(ステップ404)。より具体的には、ステップ403で取得された車両番号を検索キーとして、精算データd600における「車両番号」d601を検索し、一致するレコードを取得する。
【0044】
ステップ404において精算データd600を取得できなかった場合、ステップ405のNoルートに進み、精算処理部122は、支払い指示を出口開閉バー104に送信する(ステップ406)。当該Noルートは、精算データd600が生成されておらず取得できない、すなわち、図3の入口料金所処理においてステップ305のNoルートに進んだ場合のルートである。この場合、出口開閉バー104を開放せず、備え付けられた精算機により通行車両のドライバーに対し通行料金の支払いを促す。ドライバーが入口料金所で受け取った通行券を精算機に挿入することで、精算機は通行料金を計算し、音声出力やディスプレイ表示によりドライバーに通行料金を伝える。通行料金の支払いが行われると出口開閉バー104はバーを開け通行車両を通す。精算機による支払いではなく有人対応を行う場合は、精算機の代わりに従業員が使用する従業員端末に支払いが必要な旨や通行料金を表示することもできる。なお、通行料金の支払いは、現金で行ってもよいし、クレジットカードや、スマホアプリを介したコード支払いなどで行うこともできる。クレジットカードで支払いを行う場合、ステップ403の解析により取得された車両番号に紐付けられたクレジットカードのみでしか支払いを受け付けないようにすることもできる。これにより、例えば、私用車の通行料金を社用カードで支払うような不正使用を防止することができる。なお、このような不正使用の防止方法は、ガソリンスタンドでの支払いの際にも、ナンバープレートを撮影することにより適用することができる。
【0045】
一方、ステップ404において精算データd600を取得できた場合、ステップ405のYesルートに進み、管理サーバ100の決済処理部123は、バー開放指示を出口開閉バー104に送信する(ステップ407)。バー開放指示を受信した出口開閉バー104はバーを開け通行車両を通す。なお、別の実施形態では、出口開閉バー104を設置しなくてもよく、この場合はステップ407を実行せず(ステップ407自体が存在しなくてよい)、次のステップ408を実行する。
【0046】
次に、決済処理部123は、精算データ記憶部131に格納されている精算データd600を更新する(ステップ408)。より具体的には、精算データd600「出口ID」d605および「出口レーンID」d606には通過した出口料金所およびそのレーンを一意に示す各ID、ならびに「出口通過日時」d607には管理サーバ100のシステム日時をそれぞれ格納する。通過した出口料金所およびそのレーンを一意に示す各IDは、ステップ402におけるナンバープレート画像の受信と併せて出口前NP撮影カメラ103から受信することができる。
【0047】
次に、決済処理部123は、精算データd600に基づいて決済データd700を作成し(ステップ409)、決済データ記憶部132に格納する(ステップ410)。より具体的には、「利用カード番号」d701には「関連カード番号」d608、「加盟店ID」d702には民間道路事業者など通行料金の支払い先の識別子、「利用日」d703には「出口通過日時」d607の年月日部分、および「利用額」d704には通行料金がそれぞれ格納される。当該通行料金が通行区間により変わる場合は、「入口ID」d602および「出口ID」d605により通行区間を判別できるため、対応する通行料金を導出する。例えば、「入口ID」d602および「出口ID」d605を検索キーとして、通行料金マスタ(図示せず)を検索し、対応する通行料金を取得する。作成された決済データd700は、決済処理部123によってカード会社サーバ106に送信される(ステップ411)。ステップ411の後、本処理は終了するが、その後、カード会社サーバ106によって決済データd700に基づいたクレジットカードの決済処理が実行される。また、クレジットカード番号である「利用カード番号」d701の上6桁によりクレジットカード会社を特定することができるため、「利用カード番号」d701によって決済データd700の送信先を判定し、適切なクレジットカード会社のカード会社サーバ106に決済データd700を送信することができる。
【0048】
以上により、本発明によれば、コンピューティングシステムを用いて、有料道路の出入口において通行車両のナンバープレートを撮影および解析し、対応するクレジットカードデータを検索し、ナンバープレートに関連付けられたクレジットカードデータに基づいて、キャッシュおよびカードレスでの通行料金の精算および決済を行うことができる。
図1
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図3
図4
図5
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図7