特許第6878596号(P6878596)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6878596
(24)【登録日】2021年5月6日
(45)【発行日】2021年5月26日
(54)【発明の名称】FXRアゴニストの組合せ
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/46 20060101AFI20210517BHJP
   A61K 31/4178 20060101ALI20210517BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20210517BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20210517BHJP
【FI】
   A61K31/46
   A61K31/4178
   A61P1/16
   A61P43/00 121
【請求項の数】7
【全頁数】29
(21)【出願番号】特願2019-535998(P2019-535998)
(86)(22)【出願日】2017年9月12日
(65)【公表番号】特表2019-526644(P2019-526644A)
(43)【公表日】2019年9月19日
(86)【国際出願番号】IB2017055503
(87)【国際公開番号】WO2018051230
(87)【国際公開日】20180322
【審査請求日】2019年3月22日
(31)【優先権主張番号】62/394,446
(32)【優先日】2016年9月14日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504389991
【氏名又は名称】ノバルティス アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】ラフィット,ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】バウアー,アンドレア
(72)【発明者】
【氏名】ミューラー, パトリック
【審査官】 福山 則明
(56)【参考文献】
【文献】 特表2014−500317(JP,A)
【文献】 国際公開第03/090745(WO,A1)
【文献】 特表2012−509931(JP,A)
【文献】 国際公開第2016/040860(WO,A1)
【文献】 Drug Discovery Today,2012年,Vol.17, No.17/18,p.988-997
【文献】 Ahmad H. Ali et al.,Recent advances in the development of farnesoid X receptor agonists,Annals of Translational Medicine,2015年,Vol.3, No.1: 5
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00−31/80
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
非胆汁酸由来のFXRアゴニストを含む、肝疾患または肝障害を処置または予防するための医薬組成物であって、前記医薬組成物は、1つまたは複数の付加的な治療薬と組合せて、同時、逐次または個別投与のために使用され、
前記1つまたは複数の付加的な治療薬は、CCR2/5阻害薬セニクリビロックを含み
前記FXRアゴニストは、2−[3−({5−シクロプロピル−3−[2−(トリフルオロメトキシ)フェニル]−1,2−オキサゾール−4−イル}メトキシ)−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−8−イル]−4−フルオロ−1,3−ベンゾチアゾール−6−カルボン酸、その立体異性体、エナンチオマー、薬学的に許容可能な塩または溶媒和物であり、
前記セニクリビロックは、その遊離形態または薬学的に許容可能な塩または溶媒和物である、医薬組成物。
【請求項2】
肝疾患または肝障害を予防、遅延または処置するための医薬組成物であって、
非胆汁酸由来のFXRアゴニストを含み、
前記医薬組成物は、非胆汁酸由来のFXRアゴニストと、1つまたは複数の付加的な治療薬とを含有する、治療的に有効な量の組合せを、同時、逐次または個別投与により、投与することを含む方法において使用され、
前記1つまたは複数の付加的な治療薬は、CCR2/5阻害薬セニクリビロックを含み
前記FXRアゴニストは、2−[3−({5−シクロプロピル−3−[2−(トリフルオロメトキシ)フェニル]−1,2−オキサゾール−4−イル}メトキシ)−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−8−イル]−4−フルオロ−1,3−ベンゾチアゾール−6−カルボン酸、その立体異性体、エナンチオマー、薬学的に許容可能な塩または溶媒和物であり、
前記セニクリビロックは、その遊離形態または薬学的に許容可能な塩または溶媒和物である、医薬組成物。
【請求項3】
前記FXRアゴニストが約3μg〜約100μgの範囲の用量で投与される、請求項1または2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
遊離形態またはその薬学的に許容可能な塩または溶媒和物としてのセニクリビロックが、約50mg〜約250mgの範囲の用量で投与される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記FXRアゴニストと前記付加的な治療薬とが、固定用量の組合せである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記FXRアゴニストと前記付加的な治療薬とが、自由な組合せである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項7】
肝疾患または肝障害を処置または予防するための薬剤の製造における、非胆汁酸由来のFXRアゴニストの使用であって、
前記FXRアゴニストは、2−[3−({5−シクロプロピル−3−[2−(トリフルオロメトキシ)フェニル]−1,2−オキサゾール−4−イル}メトキシ)−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−8−イル]−4−フルオロ−1,3−ベンゾチアゾール−6−カルボン酸、その立体異性体、エナンチオマー、薬学的に許容可能な塩または溶媒和物であり、前記FXRアゴニストは、同時、逐次または個別投与のために1つまたは複数の付加的な治療剤と組合せて使用され、
前記1つまたは複数の付加的な治療薬は、CCR2/5阻害薬セニクリビロックを含み、
前記セニクリビロックは、その遊離形態または薬学的に許容可能な塩または溶媒和物である、使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、任意選択的に、薬学的に許容可能な担体の存在下で、少なくとも1つのファルネソイドX受容体(FXR)アゴニストと、別の治療薬、特に、セニクリビロック(Cenicriviroc)などのCCR2/CCR5アンタゴニストとを含む医薬品の組合せ、およびそれを含む医薬組成物に関する。さらに、本発明は、線維性または硬化性の疾患または障害、例えば、肝疾患または肝障害を処置または予防するためのこのような医薬品の組合せの使用、ならびにこのような組合せを含む組成物、方法、使用およびレジメンに関する。
【背景技術】
【0002】
ファルネソイドX受容体アゴニスト(FXR)は、胆汁酸受容体(BAR)としても知られている、胆汁酸により活性化される核内受容体である。FXRは、肝臓、腸および腎臓などの胆汁酸代謝の主要部位において発現され、複数の代謝経路に対する効果を組織特異的に媒介する。
【0003】
肝臓および腸におけるFXRの作用機序はよく知られており、例えば、(Calkin and Tontonoz,(2012),Nature Reviews Molecular Cell Biology 13,213−24)に記載されている。FXRは、肝臓および腸における複数の機構による胆汁酸の産生、結合および排出の調節に関与している。正常な生理機能では、FXRは胆汁酸レベルの上昇を検出し、肝臓内で胆汁酸修飾および分泌を上昇させながら、胆汁酸合成および胆汁酸取込みを低下させることにより応答する。腸内では、FXRは胆汁酸レベルの上昇を検出し、胆汁酸吸収を低下させ、FGF15/19の分泌を上昇させる。最終結果は、胆汁酸の全体のレベルの低下である。肝臓内で、FXRアゴニズムは、肝細胞による基底外側の胆汁酸取込みを阻害し、そして胆汁酸合成を阻害しながら、小管および基底外側の胆汁酸流出に関与する遺伝子ならびに胆汁酸解毒酵素の発現を増大させる。
【0004】
さらに、FXRアゴニストは、肝性トリグリセリド合成を低下させて脂肪症の低減をもたらし、肝星細胞の活性化を阻害して肝線維症を低減し、FGF15/FGF19発現(胆汁酸代謝の主要制御因子)を刺激して肝臓のインスリン感受性の改善をもたらす。従って、FXRは胆汁酸の上昇のセンサーとして働き、胆汁酸レベルを制御するために、胆汁うっ滞では損なわれると考えられるフィードバック機構の恒常性応答を開始させる。FXRアゴニズムは、胆汁うっ滞性障害(Nevens et al.,J.Hepatol.60(1 SUPPL.1):347A−348A(2014))、胆汁酸吸収不良下痢(Walters et al.,Aliment Pharmacol.Ther.41(1):54−64(2014))および非アルコール性脂肪性肝炎(NASH;Neuschwander−Tetri et al 2015)の患者において臨床的利点を示した。
【0005】
胆汁酸は通常生物によって産生される。胆汁酸は洗浄特性を有するので、高用量では種々の副作用(下痢または細胞傷害)を引き起こし得る。さらに、そう痒も引き起こし得る。
【0006】
C−Cケモカイン受容体2型(CCR2)およびCCR5はヒト免疫不全ウイルス(HIV)などのウィルスの細胞内への侵入に関与するが、傷害部位への免疫細胞の動員のためにも重要である。この受容体の活性の阻害は、抗炎症効果を有し得る。そして、最近のデータは、これらの受容体が肝線維症の促進にも関与し得ることを示す。
【0007】
セニクリビロック(CVCとしても知られている)は、(S,E)−8−(4−(2−ブトキシエトキシ)フェニル)−1−(2−メチルプロピル)−N−(4−(((1−プロピル−1H−イミダゾール−5−イル)メチル)スルフィニル)フェニル)−1,2,3,4−テトラヒドロベンゾ[b]アゾシン−5−カルボキサミドである。セニクリビロックはC−Cケモカイン受容体2型(CCR2)およびC−Cケモカイン受容体5型(CCR5)受容体に結合して、その活性を阻害する。
【0008】
非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)は、西洋諸国における慢性肝疾患の最も一般的な原因である(Ratziu et al 2010)。NAFLDの主要な段階は、1−単純な脂肪肝(脂肪症);2−非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)(より重篤なNAFLDの形態);3−線維症(肝臓に持続的な炎症があり、肝臓の細胞および血管周囲に線維性瘢痕組織の発生をもたらす);および4−肝硬変(この損傷は永久的であり、肝不全および肝癌を引き起こし得る)である。
【0009】
NASHは、肝臓内の脂肪蓄積と、時間と共に線維症の増大、肝硬変および末期の肝疾患を引き起こし得る炎症とを含む。肝臓移植は、肝不全を伴う進行した肝硬変に対する唯一の処置であり、移植は、NASHを患っている患者でますます実施されている。
【0010】
NAFLDの世界的な有病率の推定値は、一般集団において、6.3%〜33%の範囲であり、中央値は20%である。NASHの推定有病率はより低く、3〜5%の範囲である(Younossi et al.,Hepatology,Vol.64,No.1,2016)。NASHは世界的な問題であり、過去数十年間にわたって有病率が上昇している。過去十年間において、NASHは、米国での肝臓移植の珍しい適応から2番目の適応へと上昇した。2020年までに移植の主要な原因になることが予想される(Wong,et al,Gastro 2015)。NASHは、メタボリック症候群および2型糖尿病と非常に関連性がある。NASHは、進行性線維症および肝硬変の原因である。NASHによる肝硬変は、肝細胞癌腫および肝細胞癌のリスクを増大させる。さらに、心血管性死亡は、NASH患者の重要な死因である。
【0011】
慢性胆汁うっ滞および肝炎は、2つの主要な種類の疾患−原発性胆汁性肝硬変(PBC)および原発性硬化性胆管炎(PSC)−の2つの主要な病態生理学的成分であり、胆管破壊、そして最終的には肝硬変および肝不全を引き起こす。肝臓移植は唯一の救命手順であると思われる。
【0012】
ウルソジオールとしても知られているウルソデオキシコール酸(UCDA)は、PBCの主要な処置である。UCDAは二次胆汁酸であり、すなわち一次胆汁酸が腸内に分泌された後、腸内細菌によって一次胆汁酸(肝臓により産生される)から代謝される。UDCAはFXRアゴニストではない。
【0013】
UDCAは多数の患者において進行を止めるが、集団の約30〜40%では応答しない。2016年5月から、UDCAに対する応答が不十分な成人患者において原発性胆汁性胆管炎(PBC)のためにUDCAと組み合わせる場合、あるいはUDCAに耐容性を示すことができない成人での単独療法として、米国ではPBCの処置のために別の分子が承認されている。この新しい分子は、胆汁酸模倣物のオベチコール酸(OCA)である。OCAはFXRアゴニストである。
【0014】
現在、NASHに対して承認された治療法は存在しない。
【0015】
FXRにより媒介される肝臓状態、特に、NAFLD、NASHまたはPBCなどの肝疾患のため、および後期の肝疾患のための効果的な処置および治療が依然として必要とされている。
【0016】
NASHの発生は、いくつかの機構:肝臓内の脂肪の蓄積(脂肪症)、肝臓の炎症、肝細胞の風船化(ballooning)、および線維症を含む。NAFLD活性スコア(NAS)は、治療試験の間、NAFLDの変化を測定するための手段として開発された。スコアは、脂肪症(0〜3)、小葉炎症(0〜3)、および風船化(0〜2)のスコアの非加重合計として計算される。
【0017】
このような疾患または障害を予防または処置するために、薬剤は、これらの種々の態様のそれぞれに影響を与えれば、特に効率的であり得る。
【0018】
肝線維症を有する成人におけるNASHの処置のためのセニクリビロックの効力および安全性を評価することを目的とした臨床試験において、CVCによる処置は線維症の低減を示したが、NASの改善に対する有意な影響は示さなかった。さらに、CVCは、ごく一部分の患者において疲労または下痢を誘発し得る(“Tobira Therapeutics Announces Clinically and Statistically Significant Improvement in Liver Fibrosis from Phase 2b CENTAUR NASH Trial at One Year”July 25,2016を参照)。
【0019】
非アルコール性脂肪性肝炎患者で試験すると、オベチコール酸は、効力、特にNASの著しい改善を示した。すなわち、炎症および風船化に対する付加的な効果と共に脂肪症に対する強い影響を示した。しかしながら、OCAの長期投与は、そう痒と、LDLコレステロールの上昇とに関連し得るので、安全性への懸念を高める(“Intercept Announces New FLINT Trial Data Showing OCA Treatment Increases Fibrosis Resolution and Cirrhosis Prevention in High−Risk NASH Patients”,April 23,2015を参照)。有害な心血管事象のリスクを回避するために、NASH患者の長期的な処置のためにスタチンの併用投与が必要とされ得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
従って、許容できる安全性および/または耐容性プロファイルを実証しながらこれらの複雑な状態の種々の態様に対処することができる、線維性/硬化性の疾患または障害、例えば、肝疾患または肝障害のための処置を提供することが必要とされている。異なる作用機構(MoA)を有する2つ以上の分子の組合せは、処置効力および奏効率を改善するために付加的な利益を提供する可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明は、FXRアゴニストと、1つまたは複数の付加的な治療薬とを別々または一緒に含有する、同時、逐次または個別投与のための医薬品の組合せを提供する。また、このような組合せを含む薬剤も提供される。
【0022】
本発明によると、FXRアゴニストは、非ステロイド系FXRアゴニストであり、そして/あるいは非胆汁酸由来のFXRアゴニストであり、例えば、非胆汁酸由来のFXRアゴニストである。
【0023】
本発明のいくつかの態様では、FXRアゴニストは、2−[3−({5−シクロプロピル−3−[2−(トリフルオロメトキシ)フェニル]−1,2−オキサゾール−4−イル}メトキシ)−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−8−イル]−4−フルオロ−1,3−ベンゾチアゾール−6−カルボン酸(化合物A)、4−((N−ベンジル−8−クロロ−1−メチル−1,4−ジヒドロクロメノ[4,3−c]ピラゾール−3カルボキサミド)メチル)安息香酸(化合物B)、その薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、プロドラッグ、エステルおよび/またはアミノ酸結合体である。
【0024】
いくつかの態様では、付加的な治療薬はCCR2/5阻害薬、例えば、CVC、その薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、プロドラッグおよび/またはエステル、例えば、CVC、例えば、メシル酸セニクリビロックである。
【0025】
また、(i)FXRアゴニスト、例えば、非ステロイド系FXRアゴニストと、(ii)付加的な治療薬、例えば、CCR2/5阻害薬、例えば、セニクリビロック、またはその薬学的に許容可能な塩、プロドラッグまたは溶媒和物、例えば、メシル酸セニクリビロックとを別々または一緒に含有する、同時、逐次または個別投与のための医薬品の組合せも提供される。
【0026】
成分(i)および(ii)は、1つの結合された単位剤形または2つの別個の単位剤形において、一緒に、交互に、または別々に投与することができる。また単位剤形は、固定された組合せでもよい。
【0027】
いくつかの態様では、医薬品の組合せは、固定された組合せ、例えば、(i)FXRアゴニスト、例えば、非ステロイド系FXRアゴニストと、(ii)付加的な治療薬、例えば、CCR2/5阻害薬、例えば、セニクリビロック(本明細書中で定義される通り、例えば、遊離形態またはその薬学的に許容可能な塩、例えば、メシル酸セニクリビロック)とを含む固定された組合せである。
【0028】
いくつかの態様では、FXRアゴニストおよび付加的な治療薬は、線維性の疾患または障害、例えば、肝疾患または肝障害、例えば、慢性の肝疾患または肝障害、例えば、胆汁うっ滞、肝内胆汁うっ滞、エストロゲン誘発性の胆汁うっ滞、薬物誘発性の胆汁うっ滞、妊娠時胆汁うっ滞、非経口栄養関連の胆汁うっ滞、原発性胆汁性肝硬変(PBC)、原発性硬化性胆管炎(PSC)、進行性家族性胆汁うっ滞(PFIC)、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、薬物誘発性の胆管損傷、胆石、肝硬変、アルコール誘発性の肝硬変、嚢胞性線維症関連の肝疾患(CFLD)、胆管閉塞、胆石症、肝線維症、腎線維症、脂質異常症、アテローム性動脈硬化症、糖尿病、糖尿病性腎症、大腸炎、新生児黄疸、核黄疸の予防、静脈閉塞症、門脈圧亢進症、メタボリック症候群、高コレステロール血症、腸内細菌異常増殖、勃起不全、上記の疾患のいずれかにより、または感染性肝炎により引き起こされる肝臓の進行性線維症からなる群から選択される疾患または障害、例えば、NAFLD、NASH、肝線維症、脂肪肝またはPBCの処置のために提供される。
【0029】
本発明の他の態様では、FXRアゴニストおよび付加的な治療薬は、硬化性の疾患または障害、例えば、慢性の肝疾患または肝障害、例えば、NAFLD、NASH、肝線維症およびPBCの発生を遅延、抑止、または低減するために提供される。
【0030】
さらに別の態様では、FXRアゴニストおよび付加的な治療薬は、慢性の肝疾患または肝障害がそのより進行した段階またはより重篤な状態に進行するのを予防または遅延させるために、例えば、NAFLD、NASH、肝線維症およびPBCからなる群から選択される慢性の肝疾患または肝障害の進行を予防または遅延させるために提供される。
【0031】
いくつかの態様では、FXRアゴニストは、2−[3−({5−シクロプロピル−3−[2−(トリフルオロメトキシ)フェニル]−1,2−オキサゾール−4−イル}メトキシ)−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−8−イル]−4−フルオロ−1,3−ベンゾチアゾール−6−カルボン酸(化合物A)、その立体異性体、エナンチオマー、薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、プロドラッグ、エステル、および/またはそのアミノ酸結合体である。
【0032】
他の態様では、FXRアゴニストは、4−((N−ベンジル−8−クロロ−1−メチル−1,4−ジヒドロクロメノ[4,3−c]ピラゾール−3カルボキサミド)メチル)安息香酸(化合物B)、その薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、プロドラッグ、エステル、および/またはそのアミノ酸結合体である。
【0033】
また本発明は、任意選択的に、薬学的に許容可能な担体の存在下で、(i)FXRアゴニスト、例えば、非ステロイド系FXRアゴニスト(例えば、本明細書中で定義される通り、例えば、遊離形態またはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物としての化合物A);または化合物B(本明細書中で定義される通り、例えば、遊離形態またはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物としての)と、(ii)CCR2/5阻害薬、例えば、セニクリビロック(上記で定義される通り、例えば、遊離形態またはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物)とを含む医薬品の組合せにも関する。
【0034】
例えば、(i)非ステロイド系FXRアゴニスト、例えば、化合物A、化合物B、その薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、プロドラッグ、エステルおよび/またはアミノ酸結合体と、(ii)遊離形態またはその薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、プロドラッグおよび/もしくはエステルとしてのセニクリビロックと、(iii)薬学的に許容可能な担体とを含む医薬品の組合せが提供されている。本発明のいくつかの実施形態では、このような医薬品の組合せは、結合された単位剤形である。
【0035】
いくつかの態様では、線維性または硬化性の疾患または障害、例えば、肝疾患または肝障害、例えば、NAFLD、NASH、肝線維症またはPBCの処置または予防において使用するために、(i)非ステロイド系FXRアゴニストと、(ii)少なくとも1つの付加的な治療薬、例えば、セニクリビロック、その薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、プロドラッグおよび/またはエステルとを、合わせて治療的に有効な量で含む医薬品の組合せが提供されている。
【0036】
さらに、本発明は、線維性または硬化性の疾患または障害、例えば、肝疾患または肝障害の処置、予防または改善において使用するための、このような医薬品の組合せ、例えば、固定された組合せまたは自由な組合せ、例えば、結合された単位用量に関する。いくつかの態様では、このような方法は、FXRアゴニストと、付加的な治療薬、例えば、CCR2/5阻害薬、例えば、セニクリビロック(遊離形態またはその薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、プロドラッグ、および/もしくはエステル、例えば、メシル酸セニクリビロック)とを、それぞれ合わせて治療的に有効な量で、それを必要としている対象に投与することを含む。
【0037】
肝疾患または肝障害、例えば、NAFLD、NASH、脂肪肝、肝線維症、肝硬変、PBCからなる群から選択される肝疾患または肝障害の予防または処置ための薬剤を製造するために、1つまたは複数の付加的な治療薬、例えば、CCR2/5阻害薬、例えば、セニクリビロック(またはその薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、プロドラッグおよび/もしくはエステル、例えば、メシル酸セニクリビロック)との組合せ、例えば、固定された組合せまたは自由な組合せにおける、非胆汁酸由来のFXRアゴニストの使用が提供されている。
【0038】
肝疾患または肝障害の予防、遅延または処置を使用するための医薬品の組合せも提供されており、本組合せは、(i)非胆汁酸由来のFXRアゴニスト、例えば、本明細書中で定義されるような化合物A、化合物B(例えば、遊離形態、またはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物)と、(ii)CCR2/5阻害薬、例えば、セニクリビロック(遊離形態またはその薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、プロドラッグおよび/もしくはエステル、例えば、メシル酸セニクリビロック)とを含む。
【0039】
本発明のいくつかの態様では、例えば、脂肪症、NASH、線維症および肝硬変からなる群から選択される慢性の肝疾患または肝障害、例えば、脂肪症、NASHおよび/または線維症の予防、遅延または処置において使用するための医薬品の組合せが提供されており、本組合せは、(i)非胆汁酸由来のFXRアゴニスト(例えば、本明細書中で定義されるような化合物A、化合物B、例えば、遊離形態、またはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物)と、(ii)CCR2/5阻害薬、例えば、セニクリビロック(遊離形態またはその薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、プロドラッグおよび/もしくはエステル、例えば、遊離形態またはその薬学的に許容可能な塩、例えば、メシル酸セニクリビロック)とを含む。
【0040】
NASHの予防、遅延または処置を使用するための、(i)非胆汁酸由来のFXRアゴニスト(例えば、本明細書中で定義されるような化合物Aまたは化合物B、例えば、遊離形態またはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物)と、(ii)CCR2/5阻害薬、例えば、セニクリビロック(遊離形態またはその薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、プロドラッグ、および/もしくはエステル、例えば、遊離形態またはその薬学的に許容可能な塩、例えば、メシル酸セニクリビロック)とを含む医薬品の組合せがさらに提供されている。
【0041】
さらに、肝線維症の予防、遅延または処置を使用するための、(i)非胆汁酸由来のFXRアゴニスト(例えば、本明細書中で定義されるような化合物Aまたは化合物B、例えば、遊離形態またはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物)と、(ii)CCR2/5阻害薬、例えば、セニクリビロック(遊離形態またはその薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、プロドラッグ、および/もしくはエステル、例えば、遊離形態またはその薬学的に許容可能な塩、例えば、メシル酸セニクリビロック)とを含む医薬品の組合せも提供されている。
【0042】
また、脂肪肝の予防、遅延または処置において使用するための、(i)非胆汁酸由来のFXRアゴニスト(例えば、本明細書中で定義されるような化合物Aまたは化合物B、例えば、遊離形態またはその薬学的に許容可能な塩)と、(ii)CCR2/5阻害薬、例えば、セニクリビロック(遊離形態またはその薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、プロドラッグ、および/もしくはエステル、例えば、遊離形態またはその薬学的に許容可能な塩、例えば、メシル酸セニクリビロック)とを含む医薬品の組合せも提供されている。
【0043】
肝細胞風船化の予防、遅延または処置において使用するための、(i)非胆汁酸由来のFXRアゴニスト(例えば、本明細書中で定義されるような化合物Aまたは化合物B、例えば、遊離形態またはその薬学的に許容可能な塩)と、(ii)CCR2/5阻害薬、例えば、セニクリビロック(遊離形態またはその薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、プロドラッグ、および/もしくはエステル、例えば、遊離形態またはその薬学的に許容可能な塩、例えば、メシル酸セニクリビロック)とを含む医薬品の組合せがさらに提供されている。
【0044】
また、PBCの予防、遅延または処置において使用するための、(i)非胆汁酸由来のFXRアゴニスト(例えば、本明細書中で定義されるような化合物Aまたは化合物B、例えば、遊離形態またはその薬学的に許容可能な塩)と、(ii)CCR2/5阻害薬、例えば、セニクリビロック(遊離形態またはその薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、プロドラッグ、および/もしくはエステル、例えば、遊離形態またはその薬学的に許容可能な塩、例えば、メシル酸セニクリビロック)とを含む医薬品の組合せも提供されている。
【0045】
本発明の更なる態様は、線維性の疾患または障害、例えば、肝疾患または肝障害、例えば、慢性の肝疾患または肝障害の処置、遅延または予防のための方法であり、(i)非胆汁酸由来のFXRアゴニスト、例えば、上記で定義されるような化合物Aまたは化合物B(例えば、遊離形態またはその薬学的に許容可能な塩)と、(ii)本明細書中で定義されるような付加的な治療薬、例えば、CCR2/5、例えば、セニクリビロック(遊離形態またはその薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、プロドラッグ、および/もしくはエステル、例えば、遊離形態またはその薬学的に許容可能な塩)と、薬学的に許容可能な担体との治療的に有効な量の組合せを、このような処置を必要としている対象に投与することを含む。治療的に有効な量の本発明の組合せの成分のそれぞれは、同時にまたは逐次的にそして任意の順序で投与され得る。
【0046】
他の実施形態では、付加的な治療薬は、CCR2/5阻害薬、例えばセニクリビロック(遊離形態またはその薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、プロドラッグ、および/もしくはエステル、例えば、遊離形態またはその薬学的に許容可能な塩)である。いくつかの実施形態では、線維性または硬化性の疾患または障害、例えば、肝疾患または肝障害、例えば、NAFLD、NASH、肝線維症、肝硬変およびPBCからなる群から例えば選択される慢性の肝疾患または肝障害、例えば、NASH、肝線維症またはPBCの予防、遅延または処置において使用するための新しい投薬レジメンが提供される。いくつかの実施形態では、腎線維症を予防、遅延または処置するための新しい投薬レジメンが提供される。
【0047】
また、(i)本明細書中で定義されるような化合物A(例えば、遊離形態またはその薬学的に許容可能な塩)と、(ii)CCR2/5阻害薬、例えば、セニクリビロック(本明細書中で定義される通り、例えば、遊離形態またはその薬学的に許容可能な塩)とを別々または一緒に含有する、例えば同時投与または逐次投与のための医薬品の組合せも提供されており、化合物A対CCR2/5阻害薬の比率(μg/mg(マイクログラム/ミリグラム))は、約3:100〜約100:100、例えば、約5:100〜約40:100、例えば、約3:100、例えば、約60:100である。特に、(i)遊離形態またはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物の化合物Aと、セニクリビロック(上記で定義される通り)、例えば、メシル酸セニクリビロックとを別々または一緒に含有する(特に、化合物Aを含有する)医薬品の組合せが提供されており、化合物A対セニクリビロックの比率(μg/mg(マイクログラム/ミリグラム))は、約3:100〜約100:100、例えば、約5:100〜約40:100、例えば、約3:100、例えば、約60:100である。
【0048】
他の実施形態では、(i)本明細書中で定義されるような化合物B(例えば、遊離形態またはその薬学的に許容可能な塩)と、(ii)CCR2/5阻害薬、例えば、セニクリビロック(上記で定義される通り、例えば、遊離形態またはその薬学的に許容可能な塩)とを別々または一緒に含有する、同時投与または逐次投与のための医薬品の組合せが提供されており、化合物B対CCR2/5阻害薬、例えば、セニクリビロック(上記で定義される通り)の比率(mg/mg)は、約0.5:1〜約10:1、例えば、約0.5:1〜約8:1、例えば、約0.5:1〜約5:1、約0.5:1〜約3:1、例えば、約1:1〜約5:1、例えば、約1:1〜約3:1、例えば、約1:1〜約2:1、例えば、約1:1である。特に、(i)本明細書中で定義されるような化合物A(例えば、遊離形態またはその薬学的に許容可能な塩)と、セニクリビロック(上記で定義される通り、例えば、遊離形態またはその薬学的に許容可能な塩、例えば、メシル酸セニクリビロック)とを別々または一緒に含有する(特に、化合物Aを含有する)医薬品の組合せが提供されており、化合物A対セニクリビロックの比率(μg/mg(マイクログラム/ミリグラム))は、約0.5:1〜約10:1、例えば、約0.5:1〜約8:1、例えば、約0.5:1〜約5:1、約0.5:1〜約3:1、例えば、約1:1〜約5:1、例えば、約1:1〜約3:1、例えば、約1:1〜約2:1、例えば、約1:1である。
【0049】
本発明の種々の(列挙される)実施形態が本明細書中に記載される。各実施形態において規定される特徴が他の規定される特徴と組み合わせられて、本発明の更なる実施形態を提供し得ることは認識されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0050】
図1-1】図1:6〜9週および9〜12週の処置期間の非アルコール性脂肪性肝炎のSTAMモデルにおける、化合物A(NVP−CH−4と記載される)および化合物B(NVP−CH−5と記載される)と組み合わせたセニクリビロックのインビボ効力研究を説明する。図1.1は、NAFLD活性スコアにおける結果を示す。図1.2は炎症細胞浸潤スコアを示し、図1.3は肝細胞風船化スコアを示す。
図1-2】(上記の通り。)
図1-3】(上記の通り。)
図2】非アルコール性脂肪性肝炎のSTAMモデルにおける、化合物A(NVP−CH−4と記載される)および化合物B(NVP−CH−5と記載される)と組み合わせたセニクリビロックのインビボ効力研究を説明する。
【発明を実施するための形態】
【0051】
定義
本出願を解釈するために以下の定義が適用され、適切なときは常に、単数形で使用される用語は複数形も含み、逆も同様である。
【0052】
本明細書で使用される場合、数値xに関連する「約」という用語は、文脈が他に指示しない限り、+/−10%を意味する。
【0053】
本明細書で使用される場合、「アミノ酸結合体」という用語は、化合物Aまたは化合物Bと、任意の適切なアミノ酸との結合体を指す。好ましくは、化合物Aまたは化合物Bのこのような適切なアミノ酸結合体は、胆汁または腸液内での完全性の強化という追加利点を有するであろう。適切なアミノ酸は、グリシン、タウリンおよびアシルグルクロニドを含むが、これらに限定されない。従って、本発明は、化合物Aまたは化合物Bのグリシン、タウリンおよびアシルグルクロニド結合体を包含する。
【0054】
本明細書で使用される場合、「FXRアゴニスト」という用語は、FXRに直接結合してその活性を上方制御する薬剤を指す。
【0055】
本明細書で使用される場合、「塩」という用語は、本発明の化合物の酸付加塩または塩基付加塩を指す。「塩」は、特に「薬学的に許容可能な塩」を含む。
【0056】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容可能」という用語は、活性成分の生物活性の有効性を妨害しない無毒性材料を意味する。
【0057】
本明細書で使用される場合、「アミノ酸結合体」という用語は、化合物、例えば、化合物Aまたは化合物Bと、任意の適切なアミノ酸との結合体を指す。好ましくは、化合物Aまたは化合物Bのこのような適切なアミノ酸結合体は、胆汁または腸液内での完全性の強化という追加利点を有するであろう。適切なアミノ酸は、グリシン、タウリンおよびアシルグルクロニドを含むが、これらに限定されない。従って、本発明は、化合物Aまたは化合物Bのグリシン、タウリンおよびアシルグルクロニド結合体を包含する。
【0058】
本明細書で使用される場合「プロドラッグ」という用語は、生体内で本発明の化合物に転換される化合物を指す。プロドラッグは活性または不活性である。プロドラッグは、対象への投与の後、加水分解や代謝などの生体内の生理作用により化学的に修飾されて、本発明の化合物になる。プロドラッグの製造および使用に関与する適合性および技術は当業者に周知である。適切なプロドラッグは、多くの場合、薬学的に許容可能なエステル誘導体である。
【0059】
本明細書で使用される場合、「患者」または「対象」という用語はヒトを指す。
【0060】
本明細書で使用される場合、任意の疾患または障害について「処置する」、「処置すること」または「処置」という用語は、一実施形態では、疾患または障害の改善を指す(すなわち、疾患またはその臨床症状もしくは病理学的特徴の少なくとも1つの発生を遅延または抑止または低減する)。別の実施形態では、「処置する」、「処置すること」または「処置」は、例えば、対象が認識し得ないものを含む、疾患の少なくとも1つの物理的パラメータまたは病理学的特徴の軽減または改善を指す。さらに別の実施形態では、「処置する」、「処置すること」または「処置」は、物理的に(例えば、少なくとも1つの認識できるまたは認識できない症状の安定化)、生理学的に(例えば、物理的パラメータの安定化)またはその両方により、疾患または障害を調節することを指す。さらに別の実施形態では、「処置する」、「処置すること」または「処置」は、疾患もしくは障害またはそれに関連する少なくとも1つの症状もしくは病理学的特徴の発症または発生または進行の予防または遅延を指す。さらに別の実施形態では、「処置する」、「処置すること」または「処置」は、疾患がより進行した段階またはより重篤な状態、例えば肝硬変などに進行するのを予防または遅延させること、あるいは肝臓移植の必要性を予防もしくは遅延させることを指す。
【0061】
例えば、NASHの処置は、NASHに関連する症状または病理学的特徴の少なくとも1つ、例えば、脂肪肝、肝細胞風船化、肝臓炎症および線維症の改善、軽減または調節を指すことができ、例えば、NASHに関連する症状または病理学的特徴の少なくとも1つ、例えば、脂肪肝、肝細胞風船化、肝臓炎症および線維症の進行の遅延、低減または停止を指すことができる。また、肝硬変または肝臓移植の必要性の予防または遅延を指すこともできる。
【0062】
本明細書で使用される場合、「治療的に有効な量」という用語は、記載される効果を達成するために十分である、本発明の化合物、例えば、FXRアゴニスト、例えば、化合物Aまたは化合物B(上記で定義される通り)の量を指す。従って、上記で定義されるような肝疾患または肝障害の治療または予防のために使用されるFXRアゴニスト、例えば、化合物Aまたは化合物B(上記で定義される通り)の治療的に有効な量は、このような疾患または障害の処置または予防のために十分な量である。
【0063】
「治療レジメン」は、病気の処置のパターン、例えば、疾患または障害の処置の間に使用される投薬のパターンを意味する。
【0064】
本明細書で使用される場合、対象がこのような処置から生物学的、医学的または生活の質において利益を得れば、このような対象は処置「を必要としている」。
【0065】
本明細書で使用される場合、「肝疾患または肝障害」という用語は、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、薬物誘発性の胆管損傷、胆石、肝硬変、アルコール誘発性の肝硬変、嚢胞性線維症関連の肝疾患(CFLD)、胆管閉塞、胆石症および肝線維症のうちの1つ、複数、または全てを包含する。
【0066】
本明細書で使用される場合、NAFLDという用語は、疾患の種々の段階:脂肪肝、NASH、線維症および肝硬変を包含し得る。
【0067】
本明細書で使用される場合、NASHという用語は、脂肪症、肝細胞風船化および小葉炎症を包含し得る。
【0068】
本明細書中で定義されるように、「組合せ」は、1つの単位剤形(例えば、カプセル、錠剤、またはサシェ)における固定された組合せ、自由な(すなわち、固定されていない)組合せ、または併用投与のための部分のキットのいずれかを指し、本発明のFXRアゴニストおよび1つまたは複数の「組合せパートナー」(すなわち、例えば、セニクリビロックまたはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物などのまたは「併用薬剤(co−agent)」とも呼ばれる付加的な治療薬)は、同時にまたは時間間隔内で別々に(特に、これらの時間間隔により、組合せパートナーが協同的な効果、例えば、相乗効果を示すことができる場合)独立して投与され得る。
【0069】
本明細書で使用される「共投与(co−administration)」または「併用投与(combined administration)」などの用語は、それを必要としている単一の対象(例えば、患者)への付加的な治療薬の投与を包含することを意味し、付加的な治療薬は、FXRアゴニストおよび付加的な治療薬が必ずしも同じ投与経路で、および/または同時に投与されるとは限らない処置レジメンを含むことが意図される。本発明の組合せの成分のそれぞれは、同時にまたは逐次的にそして任意の順序で投与され得る。共投与は、同時投与、逐次投与、重複投与、間欠投与、連続投与、およびこれらの任意の組合せを含む。
【0070】
本明細書で使用される「医薬品の組合せ」という用語は、2つ以上の活性成分の組合せ(例えば、混合)に起因する医薬組成物を意味し、活性成分の固定された組合せおよび自由な組合せの両方を含む。
【0071】
「固定された組合せ」という用語は、活性成分、すなわちi)非胆汁酸由来のFXRアゴニスト、例えば、化合物Aまたは化合物B(遊離形態または例えば、その薬学的に許容可能な塩もしくはアミノ酸結合体)およびii)付加的な治療薬、例えば、セニクリビロック(本明細書中で定義される通り、例えば、メシル酸セニクリビロック)の両方が、単一の実体または剤形の形態で同時に患者に投与されることを意味する。
【0072】
「自由な組合せ」という用語は、本明細書中で定義されるような活性成分の両方が、別個の実体として、同時に、並行して、または特定の時間制限なくそして任意の順序で逐次的に、患者に投与されることを意味し、このような投与は、患者の体内に治療的に有効なレベルの2つの化合物を提供する。
【0073】
「同時投与」とは、FXRアゴニストおよび付加的な治療薬、例えば、セニクリビロック(本明細書中で定義される通り、例えば、メシル酸セニクリビロック)が同じ日に投与されることを意味する。2つの活性成分は、同時に(固定された組合せまたは自由な組合せ)、または一度に1つずつ(自由な組合せ)投与され得る。
【0074】
本発明によると、「逐次投与」は、2日以上の連続した共投与の期間中、FXRアゴニストおよび付加的な治療薬、例えば、セニクリビロック(本明細書中で定義される通り、例えば、メシル酸セニクリビロック)の1つだけが任意の特定の日に投与されることを意味し得る。
【0075】
「重複投与」とは、2日以上の連続した共投与の期間中、少なくとも1日は同時投与であり、少なくとも1日は、FXRアゴニストおよび付加的な治療薬、例えば、セニクリビロック(本明細書中で定義される通り、例えば、メシル酸セニクリビロック)の1つだけが投与されることを意味する。
【0076】
「間欠投与」とは、少なくとも1日の空き日(void day)を伴う共投与の期間、すなわち、少なくとも1日は、FXRアゴニストも付加的な治療薬、例えば、セニクリビロック(本明細書中で定義される通り、例えば、メシル酸セニクリビロック)も投与されないことを意味する。
【0077】
「連続投与」とは、空き日のない共投与の期間を意味する。連続投与は、上記のように、同時的、逐次的、または重複的であり得る。
【0078】
FXRアゴニスト
本発明によると、FXRアゴニストは、化合物A(上記で定義される通り、例えば、その立体異性体、エナンチオマー、薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、プロドラッグ、エステルおよびアミノ酸結合体を含む)、化合物B(上記で定義される通り、例えば、その薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、プロドラッグ、エステルおよびアミノ酸結合体を含む)、GS−9676、GS−9674(いずれもGileadからの非胆汁酸由来のFXRアゴニスト、またはその薬学的に許容可能な塩)、PX102/104からなる群から選択することができる。
【0079】
本発明の一実施形態では、FXRアゴニストは、非胆汁酸由来のFXRアゴニスト、例えば、非ステロイド系FXRアゴニストであり得る。例えば、化合物A(上記で定義される通り、例えば、遊離形態またはその薬学的に許容可能な塩)、化合物B(上記で定義される通り、例えば、遊離形態またはその薬学的に許容可能な塩、例えば、メグルミン塩)、GS−9676、およびこれらの混合物からなる群から選択することができる。
【0080】
化合物Aは、2−[3−({5−シクロプロピル−3−[2−(トリフルオロメトキシ)フェニル]−1,2−オキサゾール−4−イル}メトキシ)−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−8−イル]−4−フルオロ−1,3−ベンゾチアゾール−6−カルボン酸が意図される。化合物Aは、遊離形態またはその薬学的に許容可能な塩もしくはアミノ酸結合体、例えば、グリシン結合体、タウリン結合体またはアシルグルクロニド結合体であり得る。また化合物Aはその立体異性体、エナンチオマーも包含し得る。また化合物Aは、プロドラッグ、エステルとして、多形体、溶媒和物および/または水和物の形態で投与することもできる。
【0081】
化合物Bは4−((N−ベンジル−8−クロロ−1−メチル−1,4−ジヒドロクロメノ[4,3−c]ピラゾール−3カルボキサミド)メチル)安息香酸である。化合物Bは、遊離形態またはその薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、プロドラッグ、エステルおよび/もしくはアミノ酸結合体であり得る。
【0082】
化合物Bは、4−((N−ベンジル−8−クロロ−1−メチル−1,4−ジヒドロクロメノ[4,3−c]ピラゾール−3カルボキサミド)メチル)安息香酸メグルミン塩であり得る。一実施形態では、化合物Bは、4−((N−ベンジル−8−クロロ−1−メチル−1,4−ジヒドロクロメノ[4,3−c]ピラゾール−3カルボキサミド)メチル)安息香酸メグルミン塩形態Aまたは形態Bである。別の実施形態では、化合物Bは4−((N−ベンジル−8−クロロ−1−メチル−1,4−ジヒドロクロメノ[4,3−c]ピラゾール−3カルボキサミド)メチル)安息香酸メグルミン一水和物である。さらに別の実施形態では、化合物Bは、4−((N−ベンジル−8−クロロ−1−メチル−1,4−ジヒドロクロメノ[4,3−c]ピラゾール−3カルボキサミド)メチル)安息香酸メグルミン一水和物形態Hまたは一水和物形態Hである。
【0083】
本明細書で与えられる任意の式は、化合物の非標識化形態および同位体標識化形態を表すことも意図される。
【0084】
組合せパートナー
本発明によると、本発明の組合せパートナーは、CCR2/5阻害薬、例えば、セニクリビロック(遊離形態またはその薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、プロドラッグおよび/もしくはエステル、例えば、メシル酸セニクリビロック)であり得る。
【0085】
別のCC2/5阻害薬は、例えば、国際公開第2011/046916号パンフレットに記載されるような(S)−1−[(1S,2R,4R)−4−イソプロピル(メチル)アミノ)−2−プロピルシクロヘキシル]−3−(6−(トリフルオロメチル)キナゾリン−4−イルアミノ)ピロリジン−2−オンであり得る。
【0086】
別のCC2/5阻害薬はBMS−813160であり得る。
【0087】
投与の形態
本発明の医薬組成物は、その意図される投与経路と適合可能であるように配合され得る(例えば、一般的に不活性希釈剤または食用担体を含む経口組成物)。投与経路の他の非限定的な例としては、非経口(例えば、静脈内)、皮内、皮下、経口(例えば、吸入)、経皮(局所)、経粘膜、および直腸投与が挙げられる。意図される各経路と適合可能な医薬組成物は当該技術分野において周知である。
【0088】
疾患
上記で定義されるように、線維性または硬化性の疾患または障害は、例えば、本明細書において以下で定義されるような肝疾患または肝障害、または腎線維症であり得る。
【0089】
上記で定義されるように、肝疾患または肝障害は、胆汁うっ滞、肝内胆汁うっ滞、エストロゲン誘発性の胆汁うっ滞、薬物誘発性の胆汁うっ滞、妊娠時胆汁うっ滞、非経口栄養関連の胆汁うっ滞、原発性胆汁性肝硬変(PBC)、原発性硬化性胆管炎(PSC)、進行性家族性胆汁うっ滞(PFIC)、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、薬物誘発性の胆管損傷、胆石、肝硬変、アルコール誘発性の肝硬変、嚢胞性線維症関連の肝疾患(CFLD)、胆管閉塞、胆石症、肝線維症、腎線維症、脂質異常症、アテローム性動脈硬化症、糖尿病、糖尿病性腎症、大腸炎、新生児黄疸、核黄疸の予防、静脈閉塞症、門脈圧亢進症、メタボリック症候群、高コレステロール血症、腸内細菌異常増殖、勃起不全、上記の疾患のいずれかにより、または感染性肝炎により引き起こされる肝臓の進行性線維症であり得る。
【0090】
また肝疾患または肝障害は、肝臓移植を指すこともできる。
【0091】
本発明の一実施形態では、医薬品の組合せ(本明細書中で定義される通り)は、線維性の疾患または障害、例えば、肝疾患または肝障害、例えば、慢性肝疾患、例えば、PBC、NAFLD、NASH、薬物誘発性の胆管損傷、胆石、肝硬変、アルコール誘発性の肝硬変、嚢胞性線維症関連の肝疾患(CFLD)、胆管閉塞、胆石症、肝線維症からなる群から選択される肝疾患または肝障害の処置または予防のためのものである。本発明の一実施形態では、医薬品の組合せ(本明細書中で定義される通り)は、線維症、例えば、腎線維症または肝線維症の処置または予防のためのものである。
【0092】
本発明の一実施形態によると、肝疾患または肝障害は、NAFLD、例えば、NAFLDの任意の段階、例えば、脂肪症、NASH、線維症および肝硬変のいずれかを指す。
【0093】
本発明の一実施形態では、脂肪性肝炎を悪化させることなく、肝線維症を改善するための本発明の医薬品の組合せが提供されている。
【0094】
本発明の別の実施形態では、肝線維症を悪化させることなく(例えば、改善する)、脂肪性肝炎の完全回復を得るための本発明の医薬品の組合せが提供されている。
【0095】
本発明の別の実施形態では、脂肪性肝炎および肝線維症を予防または処置するための本発明の医薬品の組合せが提供されている。
【0096】
本発明のさらに別の実施形態では、NASスコアの特徴のうちの少なくとも1つ、すなわち、脂肪肝、肝臓炎症および肝細胞風船化のうちの1つ、例えば、NASスコアの少なくとも2つの特徴、例えば、脂肪肝および肝臓炎症、または脂肪肝および肝細胞風船化、または肝細胞風船化および肝臓炎症を低減するための本発明の医薬品の組合せが提供されている。
【0097】
本発明の更なる実施形態では、NASスコアの少なくとも1つまたは2つの特徴および肝線維症を低減するため、例えば、肝臓炎症および肝線維症、または脂肪肝および肝線維症、または肝細胞風船化および肝線維症を低減するための本発明の医薬品の組合せが提供されている。
【0098】
本発明のまた更なる実施形態では、ステージ3の線維症〜ステージ1の線維症、例えば、ステージ3および/またはステージ2および/またはステージ1の線維症を処置または予防するための医薬品の組合せが提供されている。
【0099】
患者
本発明によると、本発明の組合せを受ける患者は、線維性の疾患または障害、例えば、肝疾患または肝障害、例えば、上記で定義されるような肝疾患または肝障害に罹患しているか、またはそのリスクがあり得る。
【0100】
本発明のいくつかの実施形態では、患者は肥満または過体重である。
【0101】
本発明の他の実施形態では、患者は糖尿病性患者でよく、例えば、2型糖尿病を有し得る。患者は、高血圧および/または高血中コレステロールレベルを有し得る。
【0102】
投薬レジメン
患者の全身状態、標的とされる疾患または障害、およびこのような疾患または障害の段階に応じて、投薬レジメン、すなわち、医薬品の組合せの各成分の投与される用量および/または頻度は異なり得る。
【0103】
例えば、固定用量の組合せとしての本発明のFXRアゴニストおよび付加的な治療薬の投薬の頻度は、1日1回、1日2回、1日3回、1日4回、1日5回、1日6回、または2日に1回、3日に1回、または1週間に1回、例えば、1日1回であり得る。
【0104】
本発明によると、FXRアゴニストおよび付加的な治療薬は同じレジメンに従って投与されなくてもよく、すなわち、同じ頻度および/または期間および/または投薬量、例えば、同じ頻度および/または投薬量で投与されなくてもよい。これは、例えば、自由な組合せの場合も同じであり得る。一例として、FXRアゴニストは1日1回、付加的な治療薬、例えば、CCR2/5阻害薬、例えば、セニクリビロック(遊離形態またはその薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、プロドラッグおよび/もしくはエステル、例えば、メシル酸セニクリビロック)は1日2回、またはその逆で投与され得る。
【0105】
一実施形態では、例えば、同時投与の場合、FXRアゴニストは1日1〜4回投与され、付加的な治療薬、例えば、セニクリビロック(遊離形態またはその薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、プロドラッグおよび/もしくはエステル)は1日1〜4回投与される。
【0106】
本発明の一実施形態では、共投与は、少なくとも1週間、少なくとも1ケ月、少なくとも6週間、少なくとも3カ月、少なくとも6ケ月、少なくとも1年間実行される。例えば、本発明の医薬品の組合せは、生涯にわたって患者に投与される。FXRアゴニストおよび付加的な治療薬の投与頻度、および/または用量は、全投与期間の間で異なり得る。
【0107】
処置の間に、本発明のFXRアゴニストも、付加的な治療薬、例えば、CCR2/5阻害薬、例えば、セニクリビロック(遊離形態またはその薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、プロドラッグおよび/もしくはエステル、例えば、メシル酸セニクリビロック)も患者に投与されない1つまたは複数の期間(例えば、数日間)(すなわち、組合せ処置のない期間、例えば、数日間)、またはFXRアゴニストまたは付加的な治療薬の中の1つの薬物だけが患者に投与される期間が存在してもよい。
【0108】
逐次的な共投与の場合、FXRアゴニストは付加的な治療薬の前に投与されてもよいし、その逆でもよい。FXRアゴニストおよび付加的な治療薬の投与間の時間間隔は、数分〜数日、例えば、数分、例えば、数時間、例えば、1日〜1週間で異なり得る。
【0109】
投薬の頻度は、特に、処置レジメンの段階に依存する。
【0110】
本発明によると、非胆汁酸由来のFXRアゴニスト、例えば、化合物A(上記で定義される通り、例えば、遊離形態またはその薬学的に許容可能な塩)は、経口的に送達される約3μg〜約100μg、例えば、約5μg〜約100μg、例えば、約10μg〜約100μg、例えば、約20μg〜100μg、例えば、約30μg〜約90μg、例えば、約40μg〜約60μgの用量で投与される。このような用量は、経口投与のためのものであり得る。このような用量は、毎日の投与、または1日2回の投与または2日に1回の投与、例えば、毎日の経口投与、1日2回の経口投与または2日に1回の経口投与のためのものであり得る。
【0111】
いくつかの態様では、付加的な治療薬、例えば、セニクリビロック(遊離形態またはその薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、プロドラッグおよび/もしくはエステル、例えば、メシル酸セニクリビロック)と共に投与される非胆汁酸由来のFXRアゴニスト、例えば、化合物A(上記で定義される通り、例えば、遊離形態またはその薬学的に許容可能な塩)は、約10μg、約25μg、約30μg、約60μgまたは約90μの用量で投与される。このような用量は、毎日または1日2回、例えば、毎日の投与のためのものであり得る。このような用量は、特に、FXRアゴニスト、例えば、化合物A(遊離形態またはその薬学的に許容可能な塩)の経口投与に適している。
【0112】
いくつかの実施形態では、非胆汁酸由来のFXRアゴニスト、例えば、本明細書中で定義されるような化合物A(例えば、遊離形態またはその薬学的に許容可能な塩)は、経口的に送達される約20μg〜約60μg、例えば、経口的に送達される約30μg〜約60μgの範囲の用量で投与される。このような用量は、毎日の投与(1日用量)、または1日2回の投与または2日に1回の投与、例えば、毎日の投与のためのものであり得る。
【0113】
いくつかの実施形態では、非胆汁酸由来のFXRアゴニスト、例えば、本明細書中で定義されるような化合物A(例えば、遊離形態またはその薬学的に許容可能な塩)は、経口的に送達される約10μg〜60μg、例えば、経口的に送達される約10μg〜約40μg、例えば、経口的に送達される約20μg〜約40μgの用量で投与される。このような用量は、毎日の投与(1日用量)、または1日2回の投与または2日に1回の投与、例えば、毎日の投与のためのものであり得る。
【0114】
いくつかの実施形態では、非胆汁酸由来のFXRアゴニスト、例えば、本明細書中で定義されるような化合物A(例えば、遊離形態またはその薬学的に許容可能な塩)は、経口的に送達される約5μg〜約60μg、例えば、経口的に送達される約5μg〜約40μgの範囲の用量で投与される。このような用量は、毎日の投与(1日用量)、または1日2回の投与または2日に1回の投与、例えば、毎日の投与のためのものであり得る。
【0115】
他の実施形態では、非胆汁酸由来のFXRアゴニスト、例えば、本明細書中で定義されるような化合物A(例えば、遊離形態またはその薬学的に許容可能な塩)は、経口的に送達される約3μg〜約40μg、例えば、経口的に送達される約3μg〜約30μgの範囲の用量で投与される。このような用量は、毎日の投与(1日用量)、または1日2回の投与または2日に1回の投与、例えば、毎日の投与のためのものであり得る。
【0116】
いくつかの実施形態では、非胆汁酸由来のFXRアゴニスト、例えば、本明細書中で定義されるような化合物A(例えば、遊離形態またはその薬学的に許容可能な塩)は、経口的に送達される約3μg、経口的に送達される約4μg、経口的に送達される約5μg、経口的に送達される約10μg、経口的に送達される約20μg、経口的に送達される約25μg、経口的に送達される約30μg、経口的に送達される約40μg、経口的に送達される約60μg、または経口的に送達される約90μgの用量で投与される。このような用量は、経口投与のためのものであり得る。
【0117】
いくつかの実施形態では、非胆汁酸由来のFXRアゴニスト、例えば、本明細書中で定義されるような化合物A(例えば、遊離形態またはその薬学的に許容可能な塩)は、約3μg/日〜約100μg/日、例えば、約5μg/日〜約100μg/日、例えば、約10μg/日〜約100μg/日、例えば、約20μg/日〜100μg/日、例えば、約30μg/日〜約90μg/日、例えば、約40μg/日〜約60μg/日、例えば、約10μg/日〜60μg/日、例えば、約10μg/日〜約40μg/日、例えば、約20μg/日〜40μg/日、例えば、約20μg/日〜約60μg/日、例えば、約30μg/日〜約60μg/日、例えば、約5μg/日〜60μg/日、例えば、約5μg/日〜40μg/日、例えば、約3μg/日〜約40μg/日、約3μg/日〜約30μg/日の範囲の用量で投与される。
【0118】
いくつかの実施形態では、非胆汁酸由来のFXRアゴニスト、例えば、本明細書中で定義されるような化合物A(例えば、遊離形態またはその薬学的に許容可能な塩)は、約3μg/日、約4μg/日、約5μg/日、約10μg/日、約25μg/日、約30μg/日、約60μg/日、または約90μg/日の用量で投与される。このようなレジメンは、経口的に送達され得る。
【0119】
いくつかの実施形態では、非胆汁酸由来のFXRアゴニスト、例えば、本明細書中で定義されるような化合物A(例えば、遊離形態またはその薬学的に許容可能な塩)は、1日2回約3μg、1日2回約4μg、1日2回約5μg、1日2回約10μg、1日2回約25μg、1日2回約30μgの用量で投与される。このようなレジメンは、経口的に送達され得る。
【0120】
いくつかの実施形態では、非胆汁酸由来のFXRアゴニスト、例えば、本明細書中で定義されるような化合物A(例えば、遊離形態またはその薬学的に許容可能な塩)は、2日に1回約5μg、2日に1回約10μg、2日に1回約40μg、2日に1回約60μgの用量で投与される。このようなレジメンは、経口的に送達され得る。
【0121】
このような用量およびレジメンは、特に遊離形態の化合物Aに適している。
【0122】
いくつかの実施形態では、FXRアゴニスト、例えば、非胆汁酸由来のFXRアゴニスト、例えば、本明細書中で定義されるような化合物A(例えば、遊離形態またはその薬学的に許容可能な塩)は、約3μgまたは約5μgの1日用量で投与されるべきである。
【0123】
いくつかの実施形態では、FXRアゴニスト、例えば、非胆汁酸由来のFXRアゴニスト、例えば、本明細書中で定義されるような化合物A(例えば、遊離形態またはその薬学的に許容可能な塩)は、約10μgの1日用量で投与されるべきである。
【0124】
いくつかの実施形態では、FXRアゴニスト、例えば、非胆汁酸由来のFXRアゴニスト、例えば、本明細書中で定義されるような化合物A(例えば、遊離形態またはその薬学的に許容可能な塩)は、約20μgまたは25μgの1日用量で投与されるべきである。
【0125】
いくつかの実施形態では、FXRアゴニスト、例えば、非胆汁酸由来のFXRアゴニスト、例えば、本明細書中で定義されるような化合物A(例えば、遊離形態またはその薬学的に許容可能な塩)は、約30μgの1日用量で投与されるべきである。
【0126】
いくつかの実施形態では、FXRアゴニスト、例えば、非胆汁酸由来のFXRアゴニスト、例えば、本明細書中で定義されるような化合物A(例えば、遊離形態またはその薬学的に許容可能な塩)は、約40μgの1日用量で投与されるべきである。
【0127】
いくつかの実施形態では、FXRアゴニスト、例えば、非胆汁酸由来のFXRアゴニスト、例えば、本明細書中で定義されるような化合物A(例えば、遊離形態またはその薬学的に許容可能な塩)は、約60μgの1日用量で投与されるべきである。
【0128】
いくつかの実施形態では、FXRアゴニスト、例えば、非胆汁酸由来のFXRアゴニスト、例えば、本明細書中で定義されるような化合物A(例えば、遊離形態またはその薬学的に許容可能な塩)は、少なくとも約0.2ng/mL、例えば、約0.2〜約2.0ng/mL、例えば、約0.2〜約1.0ng/mL、例えば、約0.2〜約0.5ng/mLの範囲であるFXRアゴニストのCmaxを提供するように投与される。
【0129】
あるいは、投与される用量は、mg/m/日の単位で表されることもあり、患者の体表面積(BSA)は、患者の身長および体重を使用する種々の利用可能な式を用いてm単位で計算される。患者の身長および体重が与えられれば、1つの単位から別の単位への変換は簡単である。
【0130】
本発明によると、化合物B(上記で定義される通り、例えば、遊離形態またはその薬学的に許容可能な塩)は、約50mg、例えば、約60mg、例えば、約80mg、例えば、約100mg、例えば、約120mg、例えば、約140mg、例えば、約150mg、例えば、約180mg、例えば、約200mg、例えば、約220mg、例えば、約250mgの用量で投与される。このような用量は、化合物Bの経口投与のためのものであり得る。このような用量は、化合物Bの毎日の投与、1日2回の投与または2日に1回の投与、例えば、毎日の経口投与のためのものであり得る。
【0131】
いくつかの態様では、非胆汁酸由来のFXRアゴニスト、例えば、化合物B(上記で定義される通り、例えば、遊離形態またはその薬学的に許容可能な塩)は、約30mg〜約250mg、例えば、約50mg〜約250mg、例えば、約100mg〜約250mg、例えば、約10mg〜約200mg、例えば、約100mg〜約200mg、例えば、約30mg〜約200mg、例えば、約50mg〜約200mgの範囲の用量で投与される。このような用量は、化合物Bの経口投与のためのものであり得る。このような用量は、化合物Bの毎日の投与、1日2回の投与または2日に1回の投与、例えば、毎日の経口投与のためのものであり得る。これらの用量は、特に、化合物Bのメグルミン塩のためのものであり得る。
【0132】
いくつかの実施形態では、非胆汁酸由来のFXRアゴニスト、例えば、本明細書中で定義されるような化合物B(例えば、遊離形態またはその薬学的に許容可能な塩)は、経口的に送達される約50mg、経口的に送達される約60mg、経口的に送達される約80mg、経口的に送達される約100mg、経口的に送達される約120mg、経口的に送達される約140mg、経口的に送達される約150mg、経口的に送達される約180mg、経口的に送達される約200mg、経口的に送達される約220mg、経口的に送達される約250mgの用量で投与される。このような用量は、特に、体重が約50kg〜約120kg、例えば、約70kg〜約100kgの患者に適し得る。これらの用量は、特に、化合物Bのメグルミン塩のためのものであり得る。
【0133】
いくつかの実施形態では、非胆汁酸由来のFXRアゴニスト、例えば、本明細書中で定義されるような化合物B(例えば、遊離形態またはその薬学的に許容可能な塩)は、約50mg/日、例えば、約60mg/日、例えば、約80mg/日、例えば、約100mg/日、例えば、約120mg/日、例えば、約140mg/日、例えば、約150mg/日、例えば、約180mg/日、例えば、約200mg/日、例えば、約220mg/日、例えば、約250mg/日の範囲の用量で投与される。このようなレジメンは、経口的に送達され得る。これらの用量は、特に、化合物Bのメグルミン塩のためのものであり得る。
【0134】
いくつかの実施形態では、非胆汁酸由来のFXRアゴニスト、例えば、本明細書中で定義されるような化合物B(例えば、遊離形態またはその薬学的に許容可能な塩)は、1日2回約50mg、1日2回約60mg、1日2回約80mg、1日2回約100mg、1日2回約140mg、1日2回約150mg、1日2回約180mg、1日2回約200mg、1日2回約220mg、1日2回約250mgの用量で投与される。このようなレジメンは、経口的に送達され得る。これらの用量は、特に、化合物Bのメグルミン塩のためのものであり得る。
【0135】
本発明によると、CCR2/5阻害薬、例えば、セニクリビロック(上記で定義される通り、例えば、メシル酸セニクリビロック)は、約50mg、例えば、約60mg、例えば、約80mg、例えば、約100mg、例えば、約120mg、例えば、約140mg、例えば、約150mg、例えば、約180mg、例えば、約200mg、例えば、約220mg、例えば、約250mgの用量で投与される。このような用量は、CCR2/5阻害薬、例えば、セニクリビロック(上記で定義される通り、例えば、メシル酸セニクリビロック)の経口投与のためのものであり得る。このような用量は、CCR2/5阻害薬、例えば、セニクリビロック(上記で定義される通り、例えば、メシル酸セニクリビロック)の毎日の投与、1日2回の投与または2日に1回の投与、例えば、毎日の経口投与のためのものであり得る。
【0136】
いくつかの態様では、CCR2/5阻害薬、例えば、セニクリビロック(上記で定義される通り、例えば、メシル酸セニクリビロック)は、約30mg〜約250mg、例えば、約50mg〜約250mg、例えば、約100mg〜約250mg、例えば、約10mg〜約200mg、例えば、約100mg〜約200mg、例えば、約30mg〜約200mg、例えば、約50mg〜約200mgの範囲の用量で投与される。このような用量は、CCR2/5阻害薬、例えば、セニクリビロック(上記で定義される通り、例えば、メシル酸セニクリビロック)の経口投与のためのものであり得る。このような用量は、CCR2/5阻害薬、例えば、セニクリビロック(上記で定義される通り、例えば、メシル酸セニクリビロック)の毎日の投与、1日2回の投与または2日に1回の投与、例えば、毎日の経口投与のためのものであり得る。
【0137】
いくつかの実施形態では、CCR2/5阻害薬、例えば、セニクリビロック(上記で定義される通り、例えば、メシル酸セニクリビロック)は、経口的に送達される約50mg、経口的に送達される約60mg、経口的に送達される約80mg、経口的に送達される約100mg、経口的に送達される約120mg、経口的に送達される約140mg、経口的に送達される約150mg、経口的に送達される約180mg、経口的に送達される約200mg、経口的に送達される約220mg、経口的に送達される約250mgの用量で投与される。このような用量は、特に、体重が50〜120kg、例えば、70〜100kgの患者に適し得る。
【0138】
いくつかの実施形態では、CCR2/5阻害薬、例えば、セニクリビロック(上記で定義される通り、例えば、メシル酸セニクリビロック)は、約50mg/日、例えば、約60mg/日、例えば、約80mg/日、例えば、約100mg/日、例えば、約120mg/日、例えば、約140mg/日、例えば、約150mg/日、例えば、約180mg/日、例えば、約200mg/日、例えば、約220mg/日、例えば、約250mg/日の範囲の用量で投与される。このようなレジメンは、経口的に送達され得る。このようなレジメンは、特に、体重が50〜120kg、例えば、70〜100kgの患者に適し得る。
【0139】
本発明のいくつかの実施形態では、CCR2/5阻害薬、例えば、セニクリビロック(上記で定義される通り、例えば、メシル酸セニクリビロック)は、1日2回約50mg、1日2回約60mg、1日2回約80mg、1日2回約100mg、1日2回約140mg、1日2回約150mg、1日2回約180mg、1日2回約200mg、1日2回約220mg、1日2回約250mgの用量で投与される。このようなレジメンは、経口的に送達され得る。
【0140】
本発明の一実施形態では、医薬品の組合せ、例えば、固定された組合せまたは自由な組合せは、i)約100mg〜約250mgの化合物B(上記で定義される通り、例えば、遊離形態またはその薬学的に許容可能な塩、例えば、メグルミン塩)と、ii)約100〜約250mgのセニクリビロック(上記で定義される通り、例えば、メシル酸セニクリビロック)とを含む。例えば、医薬品の組合せ、例えば、固定された組合せまたは自由な組合せは、i)約100mgの化合物B(上記で定義される通り、例えば、遊離形態またはその薬学的に許容可能な塩)と、ii)約150mgのセニクリビロック(上記で定義される通り、例えば、メシル酸セニクリビロック)とを含む。
【0141】
また、(i)本明細書中で定義されるような化合物A(例えば、遊離形態またはその薬学的に許容可能な塩)と、(ii)CCR2/5阻害薬、例えば、本明細書中で定義されるようなセニクリビロック(例えば、遊離形態またはその薬学的に許容可能な塩)とを別々または一緒に含有する、同時投与または逐次投与のための医薬品の組合せも提供されており、化合物A対CCR2/5阻害薬、例えば、上記で定義されるようなセニクリビロックの比率(μg/mg(マイクログラム/ミリグラム))は、約3:100〜約100:100、例えば、約10:100〜約100:100、例えば、約20:100〜約60:100、例えば、約10:100〜約40:100、例えば、約5:100〜約60:100、例えば、約5:100〜約40:100である。例えば、化合物A対CCR2/5阻害薬、例えば、上記で定義されるようなセニクリビロック、例えば、メシル酸セニクリビロックの比率(μg/mg(マイクログラム/ミリグラム))は、約3:100、約5:100、約10:100、例えば、約40:100、例えば、約60:100である。これらの比率は、特に、化合物Aおよびセニクリビロック(上記で定義される通り、例えば、メシル酸セニクリビロック)を含む医薬品の組合せに適している。
【0142】
他の実施形態では、(i)本明細書中で定義されるような化合物B(例えば、遊離形態またはその薬学的に許容可能な塩、例えば、メグルミン塩)と、(ii)CCR2/5阻害薬、例えば、セニクリビロック(上記で定義される通り、例えば、メシル酸セニクリビロック)とを別々または一緒に含有する、同時投与または逐次投与のための医薬品の組合せが提供されており、化合物B対CCR2/5阻害薬、例えば、セニクリビロック(上記で定義される通り)の比率(mg/mg)は、約0.5:1〜約10:1、例えば、約0.5:1〜約8:1、例えば、約0.5:1〜約5:1、約0.5:1〜約3:1、例えば、約1:1〜約5:1、例えば、約1:1〜約3:1、例えば、約1:1〜約2:1、例えば、約1:1である。これらの比率は、特に、化合物B(遊離形態またはその薬学的に許容可能な塩、例えば、メグルミン塩)およびセニクリビロック(上記で定義される通り、例えば、メシル酸セニクリビロック)を含む医薬品の組合せに適している。
【0143】
本発明の特定の実施形態では、付加的な治療薬、例えば、セニクリビロック(上記で定義される通り、例えば、メシル酸セニクリビロック)と共に投与されるFXRアゴニスト、例えば、非胆汁酸由来のFXRアゴニスト、例えば、本明細書中で定義されるような化合物Aまたは化合物B(例えば、遊離形態またはその薬学的に許容可能な塩、例えば、化合物Bのメグルミン塩)は、3カ月〜生涯にわたって、例えば、6ケ月〜生涯にわたって、例えば、1年〜生涯にわたって、例えば、3カ月〜1年の期間中、例えば、6ケ月〜生涯にわたって、例えば、3カ月、6カ月もしくは1年の期間中、または生涯にわたって投与される。
【0144】
線維性の疾患または障害、例えば、肝疾患または肝障害の処置のためのキット
従って、a)FXRアゴニスト、例えば、非胆汁酸由来のFXRアゴニスト、例えば、化合物Aまたは化合物B(上記で定義される通り、例えば、遊離形態またはその薬学的に許容可能な塩)と、b)付加的な治療薬、例えば、CCR2/5阻害薬、例えば、セニクリビロック(上記で定義される通り、例えば、メシル酸セニクリビロック)と、c)FXRアゴニスト(例えば、本明細書中で定義されるような化合物AまたはB)および付加的な治療薬、例えば、セニクリビロック(上記で定義される通り、例えば、メシル酸セニクリビロック)を肝疾患または肝障害に罹患した対象に投与するための手段と、任意選択的にd)使用説明書とを含む医薬品キットが提供されている。
【0145】
本発明の一実施形態では、a)少なくとも1つの個々の用量のFXRアゴニスト、例えば、非胆汁酸由来のFXRアゴニスト、例えば、本明細書中で定義されるような化合物Aまたは化合物B、例えば、遊離形態またはその薬学的に許容可能な塩と、b)少なくとも1つの個々の用量の上記で定義されるような付加的な治療薬、例えば、CCR2/5阻害薬、例えば、セニクリビロック(上記で定義される通り、例えば、メシル酸セニクリビロック)とを含む組合せパッケージが提供されている。組合せパッケージはさらに使用説明書を含み得る。
【実施例】
【0146】
本明細書に記載される実施例および実施形態は単に説明のためのものであること、そして種々の修正または変化はそれを踏まえて当業者に示唆され、本出願の趣旨および範囲内ならびに特許請求の範囲内に含まれるべきであることが理解される。本明細書において引用される全ての刊行物、特許、および特許出願は、全ての目的のために参照によって本明細書に援用される。
【0147】
実施例:非アルコール性脂肪性肝炎のSTAMモデルにおける、化合物A(「NVP−CH−4」)および化合物B(「NVP−CH−5」)と組み合わせたセニクリビロックのインビボ効力研究(処置期間:6〜9週または9〜12週)
研究は、14日間の妊娠C57BL/6マウスを含む。出生後に200μgのストレプトゾトシン(Sigma,USA)を単回皮下注射し、4週齢(28±2日)の後に高脂肪食(HFD、57%kcalの脂肪、CLEA Japan、日本)を自由に与えることによりNASHを確立した。処置の開始前日に、12匹の6週齢(42±2日)マウスの6つの群および12匹の9週齢(63±2日)マウスの6つの群にNASHマウスをそれぞれランダム化した。NASH動物は、6〜9週齢(研究1)、または9〜12週齢(研究2)において、媒体、セニクリビロック、化合物A(「NVP−CH−4」)、化合物B(「NVP−CH−5」)、セニクリビロック+化合物Aまたはセニクリビロック+化合物Bのいずれかを投与した。12匹のマウスの非疾患媒体−対照群を研究1および研究2の両方に含めた。これらの動物には正常食(CE−2;CLEA Japan)を自由に与えた。
【0148】
PKサンプルを採取し、−60℃以下で貯蔵した。以下の投薬スケジュールに従って、動物に投薬した。研究処置の最終日の最後の朝の投薬の5時間後に各動物を屠殺した(セニクリビロックまたは媒体の夜の投薬は、屠殺のためにその日に実施した)。
【0149】
投薬:
・注射用滅菌水(USP)中の1%Tween(登録商標)80を含む0.5%(w/v)メチルセルロース中でセニクリビロックを調製した
・逆浸透水中の0.5%(v/v)ポリソルベート80,NFを含有する0.5%(w/v)メチルセルロース(400cPs)水溶液中で化合物Aおよび化合物Bを調製した。
・一般に、セニクリビロック単独療法は、12時間あけて1日2回(AMおよびPM)実施した。化合物Aまたは化合物Bの単独療法群については、朝に1日1回薬物を投与し、夜(朝の投薬の12時間後)に媒体だけを投与した。
【0150】
【表1】
【0151】
測定:
・以下のパラメータを毎日測定またはモニターした:マウスの個々の体重、生存、臨床徴候および挙動。
・薬物動態学的パラメータ:化合物ごとに各時点で4匹の動物からPKサンプルを採取した。PKサンプルは、単独療法群および組合せ群の両方について、6日目の1時および24時(各時点でn=4)に化合物Aおよび化合物Bのためであった。単独療法群および組合せ群の両方について、10日目の2時および12時(各時点でn=4)にセニクリビロックのためにPKサンプルを採取した。以下のスケジュールにより、1つの群につき最初の8匹の動物を用いて1動物あたり1つのPKサンプルだけを採取した。
【0152】
【表2】
【0153】
処置測定の終了:マウスを9週齢(研究1)または12週齢(研究2)で屠殺した。処置動物において観察される任意の線維症の退行事象を比較するために、処置も媒体も受けなかった8匹のNASH動物を「ベースライン」として9週で屠殺した。
【0154】
以下のサンプルを採取した:血漿、肝臓(各動物について、最後の朝(AM)の投薬の5時間後に、遺伝子発現分析のために新鮮な肝臓サンプルを採取した)、糞便。臓器重量を測定した。
【0155】
以下の生化学アッセイを実施した:Life Check(Eidia、日本)による全血中の非空腹時血糖;FUJI DRI−CHEM(富士フィルム、日本)による血清ALT;血清トリグリセリド;市販のELISAキットによる血清MCP−1、RANTES(CCL5)およびMIP−1α/MIP−1の定量化;Triglyceride E−testキット(Wako、日本)による肝臓トリグリセリド;加水分解法による肝臓ヒドロキシプロリンの定量化;肝臓切片の組織学的分析;HE染色およびNAFLD活性スコアの推定;シリウス−レッド染色および線維症領域の推定(血管周囲腔を除去して、および除去せずに);オイルレッド染色および脂肪沈着領域の推定;F4/80免疫組織化学的染色および炎症領域の推定;アルファ−SMA免疫組織化学的染色および肝臓からの全RNAを用いる遺伝子発現アッセイによるα−SMA陽性領域の推定。
【0156】
MCP−1、MIP−1α/β、RANTES、Emr1、CD68、TGF−β1、CCR2/5、TIMP−1、Cola1A1、TNF、IL−10、MMP−9、α−SMAおよびCX3CR1/CX3CL1、SHP(小さいヘテロ二量体パートナー)、BSEP(胆汁酸塩排出ポンプ)、Cyp8b1について、リアルタイムRT−PCR分析を実施した。
【0157】
複数の群比較のために、一元配置ANOVAの後に必要に応じてダネットの検定およびマン−ホイットニー検定を用いて、統計的検定を実施した。P値<0.05は、統計的に有意であると考えられる。
【0158】
結果:
図1.1に記載される通り:
研究1:CVC単独療法群、化合物A単独療法群、化合物B単独療法群、CVC+化合物A群、およびCVC+化合物B群は、STAM−媒体群と比較して、NASの有意な低下を示した。CVC+化合物A群は、CVC単独療法群および化合物A単独療法群の両方と比較して、NASの有意な低下を示し、処置の組合せの相乗効果が実証された。
【0159】
研究2:化合物A単独療法群、化合物B単独療法群、CVC+化合物A群およびCVC+化合物B群は、STAM−媒体群と比較して、NASの有意な低下を示した。
【0160】
図1.2に記載される通り:
研究1:化合物B単独療法群、CVC+化合物A群およびCVC+化合物B群は、STAM−媒体群と比較して、炎症細胞浸潤スコアの有意な低下を示した。CVC+化合物A群は、CVC単独療法群および化合物A単独療法群の両方と比較して、NASの有意な低下を示し、処置の組合せの相乗効果が実証された。
【0161】
研究2:全ての単独療法処置およびCVC+化合物B群は、炎症細胞浸潤スコアの低下の明白な傾向を示した。CVC+化合物B群は統計的に有意な低下を示し、処置の組合せの相乗効果が実証された。
【0162】
図1.3に記載される通り:
研究1:全ての単独療法群は、風船化スコアの低下の傾向を示した。CVC+化合物A群は、CVC単独療法群および化合物A単独療法群の両方と比較して、NASの有意な低下を示し、処置の組合せの相乗効果が実証された。
【0163】
研究2:化合物Bを除いた全ての単独療法群および全ての組合せ群は、風船化スコアの有意な低下を示した。
【0164】
図2に記載される通り:
研究1:全ての単独療法群および全ての組合せ群は、線維症領域の減少の傾向を示した。
【0165】
研究2:全ての単独療法群および全ての組合せ群は、線維症領域の減少の傾向を示した。CVC+化合物B群は、STAM−媒体群と比較して、線維症領域の有意な減少を示し、そしてCVC単独療法および化合物B単独療法と比較して、線維症領域をさらに減少させる明白な傾向を示し、組合せの相乗効果が実証された。

本発明は、以下の態様を包含し得る。
[1]
非胆汁酸由来のFXRアゴニストと、1つまたは複数の付加的な治療薬とを含有する、同時、逐次または個別投与のための医薬品の組合せ。
[2]
前記付加的な治療薬がCCR2/5阻害薬、例えばセニクリビロックである、上記[1]に記載の組合せ。
[3]
前記FXRアゴニストが、2−[3−({5−シクロプロピル−3−[2−(トリフルオロメトキシ)フェニル]−1,2−オキサゾール−4−イル}メトキシ)−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−8−イル]−4−フルオロ−1,3−ベンゾチアゾール−6−カルボン酸、その立体異性体、エナンチオマー、薬学的に許容可能な塩、プロドラッグ、および/もしくはエステル、またはそのアミノ酸結合体である、上記[1]または[2]に記載の組合せ。
[4]
前記FXRアゴニストが、4−((N−ベンジル−8−クロロ−1−メチル−1,4−ジヒドロクロメノ[4,3−c]ピラゾール−3カルボキサミド)メチル)安息香酸、その薬学的に許容可能な塩、プロドラッグおよび/もしくはエステル、ならびに/またはそのアミノ酸結合体、例えばメグルミン塩である、上記[1]または[2]に記載の組合せ。
[5]
線維性または硬化性の疾患または障害、例えば、肝疾患または肝障害、例えば、慢性の肝疾患または肝障害の処置または予防において使用するための、上記[1]〜[4]のいずれか一項に記載の組合せ。
[6]
前記FXRアゴニストが約3μg〜約100μgの範囲の用量で投与されるべきである、肝疾患または肝障害の処置または予防において使用するための、上記[3]〜[5]のいずれか一項に記載の組合せ。
[7]
前記FXRアゴニストが約50mg〜約250mgの範囲の用量で投与されるべきである、肝疾患または肝障害の処置または予防において使用するための、上記[4]または[5]に記載の組合せ。
[8]
前記付加的な治療薬が、遊離形態またはその薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、プロドラッグもしくはエステルとしてのセニクリビロックであり、セニクリビロックが約50mg〜約250mgの範囲の用量で投与されるべきである、上記[6]または[7]に記載の組合せ。
[9]
固定用量の組合せである、上記[1]〜[8]のいずれか一項に記載の組合せ。
[10]
自由な組合せである、上記[1]〜[8]のいずれか一項に記載の組合せ。
[11]
上記[1]〜[10]のいずれか一項に記載の組合せの使用であって、線維性、硬化性の疾患または障害、例えば、肝疾患または肝障害、例えば、慢性の肝疾患、例えば、胆汁うっ滞、肝内胆汁うっ滞、エストロゲン誘発性の胆汁うっ滞、薬物誘発性の胆汁うっ滞、妊娠時胆汁うっ滞、非経口栄養関連の胆汁うっ滞、原発性胆汁性肝硬変(PBC)、原発性硬化性胆管炎(PSC)、進行性家族性胆汁うっ滞(PFIC)、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、薬物誘発性の胆管損傷、胆石、肝硬変、アルコール誘発性の肝硬変、嚢胞性線維症関連の肝疾患(CFLD)、胆管閉塞、胆石症、肝線維症、腎線維症、脂質異常症、アテローム性動脈硬化症、糖尿病、糖尿病性腎症、大腸炎、新生児黄疸、核黄疸の予防、静脈閉塞症、門脈圧亢進症、メタボリック症候群、高コレステロール血症、腸内細菌異常増殖、勃起不全、上記の疾患のいずれかにより、または感染性肝炎により引き起こされる肝臓の進行性線維症からなる群から選択される肝疾患または肝障害、例えば、NAFLD、NASH、肝線維症、またはPBCを処置または予防するための薬剤の製造における、使用。
[12]
上記[11]に記載の肝疾患または肝障害の予防、遅延または処置を、それを必要とする患者において行うための方法であって、i)例えば、上記[3]または[4]に記載のFXRアゴニストと、ii)上記[2]に記載の付加的な治療薬との、治療的に有効な量の組合せを投与することを含み、前記組合せの成分のそれぞれが、同時にまたは逐次的にかつ任意の順序で投与される方法。
[13]
前記付加的な治療薬が、遊離形態またはその薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、プロドラッグおよび/もしくはエステルとしてのセニクリビロック、例えば、メシル酸セニクリビロックである、上記[1]〜[10]のいずれか一項に記載の組合せ、上記[11]に記載の使用、または上記[12]に記載の方法。
図1-1】
図1-2】
図1-3】
図2