(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ゴルフグリーン上に位置するゴルフホールに向けてゴルフボールのパットを実行するためのパッティング情報のライブラリを受信する工程であって、前記ライブラリは、少なくとも複数のシミュレートされたパッティングストロークからなり、シミュレートされた各パッティングストロークは、前記ゴルフホールに向けて前記ゴルフボールの前記パットを実行するためにゴルフパターの各使用と関連付けられる、工程と、
一式のゴルファーパッティングデータをコンパイルする工程であって、前記一式のゴルファーパッティングデータは、(i)前記ゴルフグリーンと関連付けられたグリーンスピード、及び(ii)前記ゴルフホールに向けて前記ゴルフボールの前記パットを実行するために前記ゴルフパターを使用するゴルファーが実行する複数の実際のパッティングストロークに固有のデータを含む、工程と、
コンパイルされた前記一式のゴルファーパッティングデータを使用して、前記パットと関連付けられた前記ゴルファーの代表的パッティングストロークを決定する工程と、
前記複数のシミュレートされたパッティングストロークと、前記複数の実際のパッティングストロークとを比較し、パッティングストロークオフセットを決定する工程と、
前記パッティングストロークオフセットを使用して、前記代表的パッティングストロークを調整する工程と、及び、
ユーザーデバイスを介して、前記ゴルファーによる前記ゴルフボールの前記パットの実行に対応する一式の力覚データを使用して前記ゴルファーに対して力覚感覚を付与(レンダリング)することによって、調整された前記代表的パッティングストロークを前記ゴルファーに通信する工程と、を含み、
前記力覚感覚は、(i)前記調整された代表的パッティングストロークのバックスイングを開始するときの触覚フィードバック、(ii)前記調整された代表的パッティングストロークの頂点における触覚フィードバック、及び(iii)前記ゴルファーによる前記ゴルフボールの前記パットの実行のテンポ及び垂直角度のコントロールを改善するときの前記ゴルフボールを打つ前の前記調整された代表的なパッティングストロークの最低部における触覚フィードバックを含む方法。
前記ゴルファーによる前記ゴルフボールの前記パットの実行中に、前記装置から一式のマイクロ エレクトロ メカニカル システム(MEMS)データを収集するMEMSデバイスを更に含む請求項10に記載の装置。
ゴルフボールのパットを実行するためのコンピュータープログラム命令を格納する非一過性コンピューター可読媒体であって、前記コンピュータープログラム命令は、プロセッサー上で実行されるとき、前記プロセッサーに、
ゴルフグリーン上に位置するゴルフホールに向けてゴルフボールのパットを実行するためのパッティング情報のライブラリを受信することであって、前記ライブラリは、少なくとも複数のシミュレートされたパッティングストロークからなり、シミュレートされた各パッティングストロークは、前記ゴルフホールに向けて前記ゴルフボールの前記パットを実行するためにゴルフパターの各使用と関連付けられる、ことと、
一式のゴルファーパッティングデータをコンパイルすることであって、前記一式のゴルファーパッティングデータは、(i)前記ゴルフグリーンと関連付けられたグリーンスピード、及び(ii)前記ゴルフホールに向けて前記ゴルフボールの前記パットを実行するために前記ゴルフパターを使用するゴルファーが実行する複数の実際のパッティングストロークに固有のデータを含む、ことと、
コンパイルされた前記一式のゴルファーパッティングデータを使用して、前記パットと関連付けられた前記ゴルファーの代表的パッティングストロークを決定することと、
前記複数のシミュレートされたパッティングストロークと、前記複数の実際のパッティングストロークとを比較し、パッティングストロークオフセットを決定することと、
前記パッティングストロークオフセットを使用して、前記代表的パッティングストロークを調整することと、
ユーザーデバイスを介して、前記ゴルファーによる前記ゴルフボールの前記パットの実行に対応する一式の力覚データを使用して前記ゴルファーに対して力覚感覚を付与(レンダリング)することによって、調整された前記代表的パッティングストロークを前記ゴルファーに通信することと、を含み、
前記力覚感覚は、(i)前記調整された代表的パッティングストロークのバックスイングを開始するときの触覚フィードバック、(ii)前記調整された代表的パッティングストロークの頂点における触覚フィードバック、及び(iii)前記ゴルファーによる前記ゴルフボールの前記パットの実行のテンポ及び垂直角度のコントロールを改善するときの前記ゴルフボールを打つ前の前記調整された代表的なパッティングストロークの最低部における触覚フィードバックを含む、オペレーションを実行させる、非一過性コンピューター可読媒体。
【発明を実施するための形態】
【0026】
さまざまな実施形態によると、特定のパッティンググリーン特性及びパッティンググリーン上のゴルフホールの位置に基づいて特定のパットを成功裏に行うために、少なくとも目標方向及びスピードを使用した適切なパッティングストロークを決定並びにシミュレートし、ユーザーと双方向通信を可能とすることによって増強されたプレイ体験及び改善されたパッティング結果を提供する方法及び装置が提供される。
【0027】
一実施形態によると、振り子式パター装置にはパッティング診断ツールが接続されており、このパッティング診断ツールは少なくとも4つの入力、すなわち(i)グリーンに特有の地形情報(たとえば輪郭)、(ii)特定時間のグリーンスピード、(iii)ゴルフホールの位置(すなわちゴルフホールの物理的位置)、(iv)グリーン上でのゴルフボールの位置(すなわちゴルフボールの物理的位置)を使用して、特定のパットのための、少なくともボールの目標方向及び最初のスピードを決定する。このように振り子式パター装置は、振り子運動でゴルフボールを打つことによってパットを成功裏に行うために必要なゴルフホールに向けたパット目標の水平方向及び最初のボールスピードで利用される。よく理解されているようにパッティング診断ツールは、ハードウェアとそこで実行されるソフトウェアとの多様な組合せによって構成可能であり、以下に詳細を述べる実施形態は実例としてのものであるが、その性質上、限定的なものである。パッティングストローク装置の一実施形態を述べる前に、パッティング診断ツールの方法及び操作について詳細を述べる。
【0028】
上述したように、一実施形態によると、パッティング診断ツールが利用する1つの入力は、グリーンに特有の地形情報(たとえば輪郭)である。参考的なものとしてこの入力は、ゴルフグリーンの表面モデルの生成を容易にする、複数の三次元(3D)座標軸からなる。
図1Aは、一実施形態に係る生成及び配置された実例としての等高線地
図100を示す。等高線地
図100は、パッティング診断ツールが複数の3D座標軸のうち必須とされる入力を特定するための例示的な入力の1つである。
【0029】
図示するように、グリーン102は個別のグリーンの1つであり、一般的なゴルフコースのレイアウトであれば、そこに位置する18か所のグリーンのうちの1つを想定している。グリーン102は境界部104(又は、時には移行エリアと呼ばれる)を有しており、ここではグリーン面(一般的にはゴルフコース上で最も芝が短く刈られており、芝の種類が異なる)が、縁部106(一般的にはグリーンと異なる長さで芝が刈られており、グリーン面の直近を囲むエリア)を通過し、その後はフェアウエイ108(一般的にはグリーン及び縁部と異なる長さで芝が刈られており、同様に芝の種類が異なる)へと通じている。グリーン表面の輪郭は、グリーンが最初に構築された後、実質的に変更されておらず(当然ながら、表面地形の変更が保証又は希望されているのであれば、輪郭の変更を妨げるものは存在しない)、いわゆる等高線150−1、150−2乃至150−n及び、方向線又は矢印160−1、160−2乃至160−nによって示される、いわゆる「フォールライン」が確定され、参照用に記録することができる。よく理解されているように、このような等高線及び、方向線又は矢印(方向線又は矢印は等高線から引き出されるものである)は、グリーンの形状、スピード、斜面、芝目などの特徴に関する固有の輪郭についての重要な指針である。グリーン102は更にバンカー110を持つことも示されており、バンカー110には一般的に砂が満たされ、この砂がゴルフショットを捉えてグリーン102上への着地及び/又は残留を阻止する。
【0030】
ゴルフコース(たとえばグリーン102、縁部106及びフェアウエイ108などのエリア)に適切に水分を供給するためには、所定の時間間隔でこれらの各種エリアに定期的に(たとえば自動的スケジュールで)給水するスプリンクラー・ネットワークを使用することが一般的である。実例として、このスプリンクラー・ネットワークの一部は、グリーン102を囲んで近傍に配置される複数のスプリンクラーヘッド112乃至126によって定められ、何らかの所定配置で縁部106及びフェアウエイ108全体に恒久的に埋設されており、所望の水分供給を行う。複数のスプリンクラーヘッド112乃至126(及び、よく理解されているように、これを一部として構成される所定のゴルフコース全体の、更に広範なスプリンクラー・ネットワーク)は、それらの3D座標が適切な座標系の1つ(たとえば局所式3Dデカルト座標系)で決定された時点における、一式の固定参照地点を構成している。このように複数の固定参照地点(たとえば複数のスプリンクラーヘッド112乃至126)は、グリーン102上でのターゲット(たとえばゴルフボール140又はゴルフホール130)の位置を決定するために利用される。このような固定参照地点を利用した技術の1つは、米国特許出願第14/581,389号に記載されており、ここですべての目的に関して引用として取り込む。また理解されているように、グリーン102近傍又は付近の他の固定物もターゲット位置の決定のために利用可能であり(ただし、3D座標が決定されており、その座標が物理的に安定していることから時間経過後も座標が実質的に一定であることを条件とする)、これには排水溝カバー、プラカード、看板、構築物、観覧席、装備品などを含むが、これらに限定されない。
【0031】
図示するようにゴルフホール130は、ゴルフグリーン102内に掘り抜かれ、そこに旗竿170(又は「ピン」と称することもある)がセットされ、ゴルフボール140はグリーン102上に位置している。よく理解されているように、ゴルフカップ130の位置は一定のゴルフコースでは毎日変更されることがあるが、一般的に同一の日付又はゴルフラウンド内で変更されることはない。上述したように、各種実施形態の原理は、グリーン120上の特定のパッティンググリーン特性及びそのグリーン上のゴルフホール130の位置に基づき、特定のパット(この例では、ゴルフボール140をゴルフホール130に向けてパットすること)を成功裏に行うための目標方向及び最初のボールスピードに関する、適切なパッティングストロークの決定及びシミュレーティングを対象としている。
【0032】
等高線地
図100の生成は、よく理解されている各種の技術を利用して達成される。たとえばグリーン102の測量は、水準器及びトータルステーションなどの周知の測量機器を利用して実行される。結果としての測量値によって3D地点記録リストの生成及び出力が可能となり、これは本発明における入力としてのパッティング診断ツールによって使用される3D表面モデルの生成に利用することができる。よく理解されているように、従来と異なる測量機器(たとえば近距離写真測量用カメラ、リアルタイム・キネマティック(RTK)モードにおける全球航法衛星システム(GNSS)受信機、光検出・測距(Lidar)、3Dレーザスキャナーなど)を利用したその他の技術も、その結果としての3D地点記録及びその他の関連データが十分な正確性を有することを条件として、上述した測量値を生成するために使用してもよい。
【0033】
上述したように、一実施形態によると、パッティング診断ツールが利用する第2の入力は特定時間におけるグリーンスピード、たとえばグリーン102のスピードである。グリーンスピードを測定する周知の技術の1つとして挙げられるのが、いわゆる「スティンプメーター」であり、これは全米ゴルフ協会(米国における周知度、権威、認識度が高いゴルフ管理団体)が使用しているツールである。このツールは基本的に中心部を走るV字型溝を有する斜平面であり、上端付近に切欠部を有しており、ここには一定の高さに上げられるまでゴルフボールが静止状態で留まり、一定の高さになると重力によってゴルフボールが切欠部から転がり出し、平面上を下降する。この操作によって、ゴルフボールは知得されている速度でゴルフグリーンの表面に達する状態となる。こうして、移動した距離をフィートで測定することによって、ゴルフグリーンのスピード特性(たとえば遅い、中間、速い)が得られる。たとえば世界で最も速いグリーンの中には、スティンプメーターで13から15フィート(4.0から4.6m)の測定値を出しているものがある。
【0034】
上述したように、一実施形態によると、パッティング診断ツールが利用する第3及び第4の入力は、ゴルフホールの位置(たとえばゴルフホール130の物理的位置)、及びグリーン上のゴルフボールの位置(たとえばゴルフボール140の物理的位置)に関するものである。これらの各位置(すなわち、それぞれの位置座標)は、上述した等高線地図生成用の測量と同じ座標系で決定され、参考的には、RTKモードにおけるGNSS受信機を使用して突き止められるようにしてもよい。理解されているように、GNSS受信機は全球測地座標系における位置(たとえば3D座標)を提供する。この明細書に記載の実施形態によると、パッティング診断ツールは局所座標系における2D座標を必要とする。そのためには、3D測地座標を局所系の2D座標に変換しなければならない。この変換は当業者によって容易に理解されるものであり、各種の形態を利用することができる。
【0035】
たとえばGNSS受信機が提供する座標は、地球中心・地球固定(ECEF)デカルト座標系(すなわちX、Y、Z座標)、又は緯度、経度、高度(すなわちφ、λ、h)を使用した測地座標系における関連付けられた準拠楕円体で表す数値の両方によって表現することができる。いずれの場合でも、GNSS受信機からの3D座標は、ゴルフグリーン(すなわちグリーン102)の座標系に数学的に変換される必要があり、この座標系は平面構成要素(x、y)と高度構成要素Hとに分離することができる。この変換は一定のパラメータを決定することによって実行可能であり、それを以下に述べる。
【0036】
変換パラメータを決定するためには、3対の直交軸を基礎とする測地及び局所座標系の両方において十分な正確性のレベルで、地表上で物理的にアクセス可能な一式の地点の座標を「知得している」ことが要求される。2つの3D座標系の間の変換には、3つの変位、3つの方位、及び1つの縮尺パラメーターなどの推定パラメータが一般的に利用される。ここでの実施形態によると、ゴルフホール及びゴルフボールの位置を正確に決定するためには、局所座標系における2D平面座標(x、y)が必要となる。
【0037】
よく理解されているように、小型又は局所的周辺部/範囲(たとえばゴルフグリーン102)全体で、GNSS受信機からの全球測地座標(すなわちφ、λ、h)は、局所測地(デカルト)座標系(N、E、U)に置換可能であり、これは置換地点の近傍に特定された原点を有している。このように、局所測地及び局所座標系(すなわちゴルフグリーン102の局所座標系)には共通の縮尺を付与することができる。それぞれの水平座標(N、E)及び(x、y)の間の変換それ自体は、3つのパラメーター、すなわち2つの変位及び1つの方位によって表現することができる。この場合、両方の座標系において知得されている座標を有する2つの管理地点だけが必要であり、これによって3つの変換パラメーターの固有値決定が行われる。当然ながら、冗長的な数の(すなわち2つを超える)管理地点を有することによって、エラー検出能力が向上し、変換パラメーター推定の全体的な正確性が向上するであろう。
【0038】
上述したように、GNSS受信機が提供する各座標は、ECEF座標系(X、Y、Zと称される軸)、又は、楕円体上方での緯度、経度、高度(すなわちφ、λ、h)として表現される測地座標系における関連付けられた準拠楕円体で表す数値の両方によって表現することができる。ECEFの意義は、地球の重心に原点Oを置くことである。X及びY軸は赤道面に置かれている。X軸はグリニッジ子午線に向けられている。Z軸は地球の回転軸と一致し、Y軸は右手系直交座標系を満たしている。
【0039】
図1Bは、一実施形態に係るECEF準拠枠における全球測地系、及び局所測地(LG)座標系(以下に詳述する)を示す。更に、準拠楕円体(たとえばWGS84)における2本の中線及び赤道面の一部が示されている。よく理解されているように、WGS84楕円体の赤道半径は6,378,137メートルであり、2つの地点、たとえば地点P
1145と地点P
2155(これらは同一のゴルフグリーン、たとえばグリーン102上又はその付近に置かれているものと推定する)との間の距離は数十メートルに過ぎないので、
図1Bは一定縮尺で示されていない。図示されているように、
図1Bは、X軸105、Y軸110、及びZ軸115を伴うECEF原点(O)
地点106、並びに、北軸N105、東軸E135、及び上軸U180の各軸を伴うLG座標系、並びに、地点P
1(たとえばグリーン102上のスプリンクラーヘッド116と関連付けられた地点)、緯度185、経度125、及び楕円体上方の高度107(すなわちφ、λ、h)を示している。準拠楕円体は、グリニッジ子午線111の一部、地点P
1145を通過する楕円体法線を含む子午線119、及び赤道面113の一部の図によって示されている。地点Q117は準拠楕円体上かつP
1145を通過する法線上に置かれている。したがって地点P
1145における楕円体上方の高度hは、法線に沿った地点Q117とP
1145との間の距離である。
【0040】
準拠楕円体の一部のパラメーター値(たとえば、その赤道半径及び扁平率)の設定に関しては、デカルト座標(すなわちX、Y、Z)と測地座標(すなわちφ、λ、h)との間に一対一のマッピングが存在しており、その数学的関係及び数式は当業者には周知である。更に、小型又は局所的周辺部(たとえばグリーン102)全体に関して、ECEF座標差(たとえばGNSS受信機から引き出されるもの)をLG座標系に置換可能であることも周知である。座標差は、LG系の原点として指定された地点と、常にその原点との関係で位置するその他の地点との間で計算される。たとえばLG座標系における上軸U180は、LG系の原点において楕円体に向けられた法線と一致し、北軸N105は地点Q117から測地上の北への方向と平行であり、東軸E135は左手系直交座標系を満たしている。
【0041】
実例として、たとえばグリーン102付近のスプリンクラーヘッド(たとえばスプリンクラーヘッド116)と関連付けた座標(X
1、Y
1、Z
1)を有するP
1145がGNSS受信機(図示せず)を有する状態で配置されており、LG座標系の原点として指定されているものとする。P
1の近傍の座標(X
2、Y
2、Z
2)を有する第2地点P
2155も、同様にGNSS受信機を有する状態で配置されているとし、それによってECEF座標系において、地点P
1145及び地点P
2155をそれぞれ配置する。上述したように、座標(X
1、Y
1、Z
1)を有するP
1145は、P
1145(φ
1、λ
1、h
1)に容易に変換可能であり、ここで(φ
1、λ
1、h
1)は測地座標である。続いて、ECEF座標系における地点P
1145及びP
2155の間の座標差(すなわちP
1145からP
2155までの3Dベクトル)を次のように定義する。
[ΔX,ΔY,ΔZ]
T=[X
2−X
1,Y
2−Y
1,Z
2−Z
1]
T
こうして、P
2155のLG座標(N
2、E
2、U
2)は次の行列式によって示される。
方程式(1)は任意の数の地点で適用可能であり、詳細を上述したように、地点P
1145を原点とする座標系におけるLG座標を計算することができる。
【0042】
最終的に、LG座標系に定められた各地点は、ゴルフグリーン(たとえばグリーン102)の座標系に変換する必要があり、これは平面成分(x、y)と高さ成分Hとに分解することができる。この変換は、変換の特定のパラメーターが決定(すなわち推定)可能であれば実行することができる。変換パラメーターを推定するためには、両方の座標系(一方は方程式(1)の変換を介してGNSS受信機が提供するLG座標系、他方はゴルフグリーンに関する座標系)において十分な正確性のレベルで、地面上で物理的にアクセス可能な一式の地点の座標を「知得している」ことが要求され、これは先に使用した、従来から存在する周知の測量方法によって確定される。ここでは、これらの地点は「管理地点」とみなされ、両方の座標系における座標が3対の直交軸を示すものと仮定して、7つの変換パラメーター(すなわち3つの変位、3つの方位、1つの縮尺率)が推定可能となる。
【0043】
もっとも、ここでの各種実施形態によると、水平面におけるカップ(たとえばゴルフカップ130)及びゴルフボール(たとえばゴルフボール140)の位置に関しては、ゴルフグリーン(たとえばグリーン102)に関する座標系における2D平面座標(x、y)だけが必要である。これに関して、LG系の各水平軸(すなわち北軸105及び東軸135)はゴルフグリーンの座標系の共通平面に置かれているものと仮定すると、それぞれの座標(N、E)及び(x、y)の間における2D変換は次の4つのパラメーターによって表すことができる。すなわち、2つの変位、1つの回転、1つの縮尺率である。この場合、両方の座標系において知得されている座標を有する2つの管理地点だけが必要であり、これによって4つの変換パラメーターの固有値決定が可能となる。もっとも、冗長的な数の(すなわち2つを超える)管理地点を有することによって、所定の各座標における潜在的なエラーを検出する機会が増加し、更にその結果、4つの変換パラメーターの推定精度が向上するであろう。なお、NE平面は原点P
1145を通過する楕円体法線と直交しており、その一方でxy平面は同一地点で鉛直線の接線に垂直であると推定されるので、共通平面の推定については、厳格に満足させる必要はない。楕円体の法線と鉛直線の接線との差異は「垂直偏差」と呼ばれ、ここでの各実施形態に関しては十分に無視できる程度まで些少なものとみなされる。
【0044】
LG座標系及びゴルフグリーン座標系の両方において知得されている2D座標を有するn箇所の物理的管理地点(P
1、P
2乃至P
n)一式を設定することによって、LG座標系からゴルフグリーンの座標系に変換するために必要な、いわゆる未知変換パラメーターξ=[ξ
0,ξ
1,ξ
2,ξ
3]
Tに関する推定を、次の数学モデルを使用して行うことができる。
方程式(2)における変数は次のように定義される。
(x
i、y
i)−ターゲット系(すなわちゴルフグリーン)における地点P
1の座標
(N
i、E
i)−ソース系(すなわちLG)における地点P
1の座標
ξ
0−ターゲット系におけるx軸に沿った変位パラメーター
ξ
1−ターゲット系におけるy軸に沿った変位パラメーター
ξ
3−外部パラメーター ω・cosα
ξ
4−外部パラメーター ω・sinα
ω−2つの座標系の間の縮尺パラメーター
α−2つの座標系の間の回転角パラメーター
【0045】
上述した方程式(2)における近似記号は、両方の座標系にランダムな測定誤差が含まれていることを示すために使用しており、これは周知の最小二乗推定値のテクニックで説明されることから、複数の地点nの数が2つより多いこと(n>2)が要求される。
【0046】
たとえば、ここで上述した実例としての計算に関して、
図1Cはソース原点190−1を有するLG座標系190、及びターゲット原点165−1を有するゴルフグリーン座標系165を示す。更に
図1Cには、5つの例示的な管理地点175−1、175−2、175−3、175−4及び175−5を伴う、推定変換パラメーター195−1、195−2及び195−3が示されている。
【0047】
図2は一実施形態に係る正確なパッティングストロークの決定及びシミュレーティングのための参考的なオペレーション200のフローチャートを示す。詳細を上述したように、ステップ205において、所定の一式の入力(すなわち等高線地図/3D表面モデル、ゴルフホールの位置、ゴルフボールの位置、グリーンスピード)を受信する。ステップ210において、受信した入力に基づき、上述した測地座標系から局所座標系への変換が実行される。ステップ215ではパター較正が行われ、この較正値はパットを打つために使用されるパターユニットの特定タイプに固有のものとなる。一実施形態によると、較正は、参考的にはいくつかの周知の方法による、従来から存在するトータルステーション測量機器によって捕捉される、ゴルフグリーン表面上を移動するゴルフボールの特定の出発及び停止位置を利用して実行される。ステップ215の較正は、参考的には1回だけのオペレーション(又は低頻度オペレーション)であり、パターユニットのリアルタイムでの使用から独立して行うことができる。たとえば較正は、工場出荷時の設定又はその他の施設において行うことが可能であり、それによって、振り子式パター装置400の構成配置を含む、しかしそれに限定されない、さまざまなパターユニットの較正が行われる。測定はさまざまなパターのバックスイング角度から行われ、これらはいわゆる「推定値」とみなされる。所定のバックスイング角度について複数回の測定が行われ、測定された最終的な停止位置は、周知の距離加重平均計算式を使用して平均化される。距離加重平均値から求められる位置の使用に関しては、周知の物理原則(たとえばPenner,A.R.,The Physics of Putting,Can.J.Phys.80:1−14,2002;以下「Penner」)が、ゴルフボールの出発及び停止位置に適合する最初のボールスピード及び目標角度を有するパットを特定するために使用される。その後、ここから引き出される最初のボールスピード及び所定のバックスイング角度は、当てはめ非線型関数(以下に詳述する)のパラメーターを推定するために使用され、この当てはめ関数は、何らかの最初のボールスピードと関連付けられたバックスイング角度を計算するために補間可能であり、それによって較正を完了させ、一式のパター較正パラメーター(たとえば当てはめ関数の種類、及び当てはめ関数と関連付けられた推定パラメーターの数値を示す記録)を出力する。
【0048】
更なる実施形態によると、ステップ215の較正は、低摩擦表面上に近接した間隔で設置された2つの光電式ゲートの間のボールの平均スピードを測定し、これを最初のボールスピード(すなわち接触時)の測定の近似値とみなすことによって、代替的に行うことができる。この測定はさまざまなパットのバックスイング角度から行われ、これらはいわゆる「推定値」とみなされ、当てはめ非線型関数(以下に詳述する)のパラメーターを推定するために使用され、この当てはめ関数は、何らかの最初のボールスピードと関連付けられたバックスイング角度を計算するために補間可能であり、それによって較正を完了させ、一式のパター較正パラメーターを出力することができる。例示的な構成によると、2つの光電式ゲートは一定距離で配置され、水平的な接続は行われておらず、第1光電式ゲートはゴルフボールの発射地点(すなわち打たれる前の静止地点)から数ミリメートルの地点に位置しており、第2光電式ゲートは第1光電式ゲートから約50センチメートルの地点に位置している。これによって、振り子式パター装置400を使用してゴルフボール(たとえばゴルフボール455)が打たれると、ゴルフボールがそれぞれの光電式ゲートを通過することによって、ゴルフボールは合計約50センチメートルの距離を移動する(そして減速していく)。更なる較正の実施形態によると、上述した各光電式ゲートは従来から存在するカメラに取って代わる。
【0049】
上述したように、ステップ215の較正によって収集されたデータは、たとえば二次以上の多項式などの非線型関数に当てはめられる。最初のボールスピード又は距離及びバックスイングのデータが、ランダムな誤差を含む測定値とみなされる場合、一実施形態によると、周知の総最小二乗法(TLS)によるデータ調整を使用して関数の未知パラメーターを推定することができる。更なる実施形態によると、スイングバック角度が誤差なしのデータとして扱われる場合には、周知である通常の最小二乗法(OLS)を使用して未知パラメーターを推定することができる。いずれの場合であっても、推定パラメーターはステップ250においてバックスイング角度の補間のために利用され、このステップでは上述したパター較正パラメーター及び最初のボールスピード(たとえば後述するステップ235による出力)を使用して、特定のパットのバックスイング角度は、ステップ215で述べた当てはめられた関数/多項式の補間によって計算される。
【0050】
この実施形態によると、ステップ220乃至240では、ゴルフボールの所定の最初のスピード及び方向(すなわち初速度)による、特定のゴルフグリーン(すなわちモデル表面)上でのゴルフパットの軌道を決定するシミュレーションが実行される。軌道は特定の速度で打たれたゴルフボールの位置及び速度の数値積分によって決定される。各積分ステップにおいて、位置及び速度がアップデートされ、ゴルフボールが停止するまで(すなわちゼロ速度になるまで)積分が続けられる。このシミュレーションでは、ゴルフボールにその経路上で作用する(一定の二次力を差し引いた)一次力、特に表面摩擦及び斜面地形による重力を考慮する。一連の積分によって、ゴルフボールがゴルフカップのいわゆる「捕捉領域」を横切ったのか否か(すなわち、ゴルフボールがゴルフホールに落ちることが予測されるのか否か)が決定され、これに該当する場合、そのパットは「成功」とみさされ、そうでなければパットは「不成功」とみなされる。この実施形態による積分は、複数の成功パットを確実に決定するために、一定範囲の初期方向及びスピードで、適切な間隔(たとえば左30度から右30度、及び2.3から2.9m/sなど)で繰り返される。
【0051】
ステップ220では調査空間の決定が行われる。具体的には、この実施形態によると、ここで実行されるシミュレーションによって、論理的にパットが成功する結果となる、パット軌道のスピード及び方向からなる2D空間上での調査が行われる。この調査空間は、「最良の」パット(又は複数のパット)を特定する目的で、1回又は複数回の論理的に成功するパットを発見する程度まで十分に大規模なものが要求されるが、演算の実行に悪影響を与える程度まで大規模であってはならない。この実施形態によると、ステップ220では、この2D調査範囲は、複数のボール初速度の範囲を確立し、ゴルフボールがゴルフカップに落ちて(すなわちパットが成功裏に「行われ」)、そこに留まる(すなわちカップから飛び出さない)最終速度(V
f)を決定することによって決定される。上述した周知の物理原則によると、たとえば水準面上におけるこの最終速度は0から1.63m/sの範囲であることが知られている。更に、この実施形態によると、ゴルフグリーンの中間斜度はPennerにおける定率減速特性を有するものと仮定して、ゴルフボールからゴルフカップまでのゴルフグリーンの正味斜度を使用してV
fの最大値を確定することができる。更に具体的には、最小及び最大速度は次のように定義される。
ここでdはカップとボールとの間の初期距離であり、gは重力による加速度であり、θはその間の正味斜度である。
方程式(3)乃至(5)におけるその他の用語は以下で定義する。
【0052】
ステップ225ではパット軌道のシミュレーションが行われ、詳細を上述した方向及びスピード特性に基づき、不成功パットから潜在的な成功パットを決定する。特に、ゴルフボールに作用する接線力は大きさfを有しており、y軸に対して角度φを形成し、これらの力及び角度は次によって求められる。
ここでは次が適用される。
ρ
gはグリーン表面の転がり抵抗の指標である。
βはボール移動の方向である。
θはy軸に沿った平面の斜度である。
φはx軸に沿った平面の斜度である。
Ι
bは慣性モーメントΙの構成要素であり、Ι
b=m/R
2、ここでRはゴルフボールの半径である。
gは重力gによる加速度である。
よく理解されているように、上述した方程式の適用には、Pennerで述べられているように、次のようないくつかの単純化(ゴルフボール軌道上に二次的効果のみを与えるもの)が反映されている。(i)ゴルフボールはその全体経路すべてを純粋に転がる状態とされており、ゴルフボールの最初の跳ね返り状態、滑り、又はゴルフホールの経路の一定部分上での滑り及び転がりの組合せを考慮していない。(ii)ゴルフボールの表面はディンプル状ではなく、むしろ平滑なものとみなされる。(iii)ゴルフボールの減速率は一定とされ、スピードの可変性は考慮されない。
【0053】
複数の軌道シミュレーションを使用して、ステップ230では特定のパットの成功についての決定が行われる。具体的には、ゴルフボールが特定の軌道上でゴルフカップ(ここでは代替的にゴルフホールと称することもある)の捕捉領域内に収まるものと決定された場合、そのパットはステップ235において「成功」とみなされ、後に利用するために記録及び保存される。それ以外の場合、パットはステップ240で「不成功」として削除され、必要に応じてシミュレーションが行われる。こうしてステップ245において、複数の「成功」パットのリスティングがコンパイルされ、これには(ステップ225で)実行された複数のシミュレーションによって決定されたすべての成功パットの最初のスピード及び目標方向が含まれ、ステップ250では上述した補間において使用され、ステップ255ではその結果が出力として提供される。この出力には、参考的には、ゴルフボールの休止地点(すなわち、ゴルフボールのコース上に干渉するゴルフホールが存在しないものとした場合)の距離によって昇順に序列化した複数のパット、及びゴルフカップの中心が含まれる。序列は参考的には2つの判断基準によって確立される。第1の判断基準は、特定のパットがどの程度まで、その軌道に沿ってゴルフカップの「中心」近くにアプローチするのかである。第2の判断基準は、ゴルフボールの休止地点が、カップの中心を通過して放射されておりカップの「X」フィート先に置かれている近隣地点に、どの程度まで接近しているのかであり、ここでたとえば、Xは2フィートである。カップの中心に近づいて通過するパットは、中心から離れて通過するパットと比較して、成功の可能性が高いものとみなされる。また、カップの先の指定地点の更に近くで休止するものと思われる複数のパットは、他のパットと比較して、更に望ましいものとみなすことができる。
【0054】
図3は、
図2のオペレーションに従う正確なパッティングストロークの決定及びシミュレーティングのための結果例300を示しており、これには
図4の参考的な振り子式パター装置を使用するが、それについては更に後述する。参考的に、結果例300はディスプレイ310によって出力及び表示される。結果例300には、ゴルフホール330及びゴルフボール340を示す等高線地
図320、ゴルフグリーンスピード(すなわちスティンプメーター値)305、ゴルフカップ座標315、ゴルフボール座標325、及び詳細を上述した、生成及び序列化されたパットリスト350が含まれている。すなわちパットリスト350−1はリストの最上位であり、それによって、このパット(軌道335参照)が中心に最も近いものを指定しており、その他の中心から遠ざかるもの(たとえば最下位のパットリスト350−2)と比較して、成功の可能性が高いものとみなされる。パットリスト350の詳細に関しては更に、スピード360、目標オフセット370、目標距離380、順位385(最終序列を決定するために使用される)、及びドロップ390(中心からの位置を定める)が含まれており、すべての結果は、たとえばユーザーが「ソリューション出力」375(たとえばタッチスクリーンのラジオボタン)を選択することによって出力することができる。このように、これらのソリューションを利用して、高い成功率での現実のパットを表示及び実行することが可能となる。
【0055】
更に具体的には、上述したように、パッティングストローク装置及び方法によって、特定のパッティンググリーン特性及びそのパッティンググリーン上でのゴルフホールの位置に基づいて、特定のパットを成功裏に行うための目標方向及び最初のボールスピードに関して、適切なパッティングストロークの決定及びシミュレーションが行われる。参考的には、振り子式パター装置にパッティング診断ツールが連結され、詳細を上述したオペレーションを実行し、特定のパットの目標方向及び最初のボールスピードを決定する。
【0056】
この目的で
図4Aは、ゴルフグリーン470上に位置する参考的な振り子式パター装置400を示しており、このパター装置400は、少なくとも(i)
図4Bに拡大図で示す調整可能型パターヘッド410、調整可能型パターシャフト415、及び
図4Cに拡大図で示す取付ブラケット420からなるパターアッセンブリ405、(ii)
図4Dに拡大図で示す垂直角度目盛り425並びに打出し微調整アッセンブリ430−1及び430−2、(iii)
図4Dに示す目標メカニズム430、及び(iv)静止支持アッセンブリ435からなる。一実施形態によると、
図4Bに拡大図を示すように、パターシャフト415上の調整可能型パターヘッド410に設置された、目標決めを補助するためのレーザー445が選択的な特徴とされ、調整可能型支持アーム440は、垂直角度目盛り及び打出し微調整アッセンブリ425に接続されており、支持センターポスト485及び足部440−4と併せて、たとえばそれぞれ個別の足部440−1、440−2及び440−3を有する三脚形式の3本の支持脚435−1、435−2及び435−3を備える静止支持アッセンブリ435を伴う状態で、グリーン470の地表に向けて延伸している。
図4Dに示すように、目標メカニズム430はノブ430−1及び正接ねじ430−2を有しており、ユーザーがノブ430−1を緩め、垂直軸に対して下方のアッセンブリを回転させることによって、大凡の目標が容易に定められる。目標メカニズム430を使用し、ユーザーがノブ430−1及び正接ねじ430−2を締めることによって、更に詳細な調整が可能となる。更に、装置400の上端にあるハンドル490を回すことによってパターアッセンブリ405が垂直方向に変位し、調整可能型パターヘッド410は地面上の特定の地点においてボールを打つことが可能となる。振り子式パター装置400それ自体は機械装置であり、プロ及び/又はアマチュアのゴルファーが使用する、いくつかの周知の市販品の標準パターを表現するものである。
【0057】
このように振り子式パター装置400は、
図2に示す上述した参考的なオペレーションに従い決定される、何らかの特定された最初のボールスピード及び方向における人間のパターのパッティングストロークを模擬的に行う構成となっている。すなわちパターアッセンブリ405は、打出しスタンド450から放出されると、周知の重力に基づき、更に、調整可能型支持アームがスイングする回動軸と回動軸を一定に保持するボールベアリングとの間の摩擦によって主に適用される抵抗力に基づき、スイングする。参考的にボールベアリングは、支持脚435−1、435−2及び435−3に取り付けられた一対の鋼製ロッドに沿って垂直に変位可能な、一対のプレートの下方プレートに堅固に取り付けられた2つの対向するトラニオン内に設置されている。
【0058】
このように、(パターアッセンブリ415による、それを介した)振り子式パター装置400の目標方向は、パターヘッド410が放出地点からゴルフボール455に向けて、それに接触する目的で移動するときに、パター装置と関連付けられた鉛直線と正接する水平面に向けてスイングする、垂直平面上での突出度によって定められる。参考的にこの方向は、上述した一対のプレートの上方プレートに対して、下方プレートを回転させることによって設定することができる。このように構成された場合、レーザー445は、たとえば磁石を有する機械式ブラケットを使用して、パターヘッド410に対して直角に設置され、レーザー445は、振り子式パター装置400の目標方向が正確であることを示すために、ゴルフカップ465から何らかの具体的な距離(D)475を置いて設置されたターゲット460を照射する。この実施形態によると、ターゲット設定(すなわち水平面におけるパターヘッド410の初期方位の確定)が完了した後であって、ゴルフボール455を打つためにパターヘッド410をテイクバックする前に、レーザー445は取り外される。更に、各種の実施形態によると、調整可能型パターシャフト415に鏡(図示せず)を取り付けることによって、(最初にレーザー445から照射された)レーザー光線がターゲット460から反射する状況を容易に観察することが可能となり、この場合の鏡もターゲット設定の完了後に取り外される。更なる実施形態によると、下方プレートの不精密な回転を利用して、そこから一対のプレートの上方プレートに対する下方プレートの回転の正確性を高める、従来から存在する一式の機械式のクランプ及び歯車を使用して初期の目標方向を確定することができる。
【0059】
図5は、一実施形態に係る、パッティング診断ツール525を伴う(詳細を上述した)振り子式パター装置400を適用した、参考的なゴルフパッティングシステム500を示す。パッティング診断ツール525としては、特定のパットの目標方向及び最初のボールスピードの決定に関して、ここで上述したオペレーションを実行可能である、あらゆるタイプの演算装置(たとえば一部を挙げるだけでも、コンピューター、タブレット、スマートフォンなどが含まれる。後述する
図6に関する説明も参照)が考えられる。図示するように振り子式パター装置400及びパッティング診断ツール525は、ゴルフカップ515を有するゴルフグリーン505上の個人520が利用する。これによると、個人520は、ディスプレイ555を観察することによって、又は、通信リンク560(たとえば一部を挙げるだけでも、イーサネット(登録商標)、Wi−Fi、Bluetooth(登録商標)など、デバイス間で信号及び/又はデータを交換するための、あらゆるタイプの通信リンクが含まれる)経由で携帯デバイス565(たとえばスマートフォン)が受信することによって、及び/又は、周知の方法で利用可能である(
図5では不図示の、周知の通信能力を有するよう設定されている)振り子式パター装置400から直接受信することによって、(詳細を上述した)パッティング診断ツール525によって演算された結果/出力550にアクセスすることができる。このように更なる実施形態によると、ゴルフパッティングシステム500によるパットの実行及び完了は完全に自動化が可能であり、人間が大きく関与する必要はない。
【0060】
参考的に個人520は、位置535及び540をそれぞれ利用して、初期位置(すなわち位置535)に調整可能型パターヘッド410を設置し、詳細を上述したように、特定の軌道(すなわち軌道545−1、軌道545−2、乃至軌道545−N)に沿ってゴルフボール510を(位置540において)打つために調整可能型パターヘッド410を放出し、ゴルフボール510をゴルフカップ515方向に送出することに関して、結果/出力550を利用してパットを何回か実行する。上述したように、この実施形態によると、ターゲット設定(すなわち水平面におけるパターヘッド410の初期方位の確定)が完了した後であって、ゴルフボール510を打つためにパターヘッド410をテイクバックする前に、レーザー445は取り外される。一実施形態によると、詳細を上述したように、複数の軌道の1つ(たとえば軌道545−1)が、成功裏にパットを完了させる/行う可能性が最も高い軌道として序列化されている。
【0061】
上記した通り、本明細書の種々の実施形態は、その方法を実践するための方法及び装置の形式で具体化することができる。開示する方法は、ユーザー装置へと搭載、及び/又は通信可能に接続される、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、及びコンピューター可読媒体の組み合わせ(集合的に「コンピューター」)によって、行われてもよい。
図6は、本明細書の種々の実施形態による、正確なパッティングストロークを決定及びシミュレーティングするための方法を実行するために、使用することができる例示的なコンピューター600のハイレベルブロック図である。コンピューター600はデータ記憶デバイス620と、メモリ630と動作可能に連結されたプロセッサー610と、を含む。プロセッサー610は、このような動作を定義するコンピュータープログラム命令を実行することによってコンピューター600全体の動作を制御する。コミュニケーションバス660は、コンピューター600の種々の構成部品間の接続及び通信を容易にする。コンピュータープログラム命令は、データ記憶デバイス620又は非一過性コンピューター可読媒体に格納されてもよく、コンピュータープログラム命令の実行が必要なときにメモリ630にロードされてもよい。このように、本明細書で開示する方法の工程(例えば、
図2及び本明細書で上記する関連説明を参照)は、メモリ630及び/又はデータ記憶デバイス620に格納されたコンピュータープログラム命令により定義され、そのコンピュータープログラム命令を実行するプロセッサー610により制御され得る。例えば、開示する方法により定義した例示的な操作を実行するために、当業者によりプログラムされたコンピューター実行可能コードとして、コンピュータープログラム命令を実装することができる。したがって、このコンピュータープログラム命令を実行することにより、プロセッサー610は、開示する方法により定義されたアルゴリズムを実行する。コンピューター600はまた、ネットワーク(例えば、無線通信ネットワーク)又は通信プロトコル(例えば、Bluetooth(登録商標))を介して他のデバイスと通信するための1つ又は2つ以上の通信インターフェイス650を含む。例えば、かかる通信インターフェイスは、多くの周知の様式における、受信機、トランシーバー又は、有線若しくは無線通信交換用モデムであってもよい。コンピューター600はまた、ユーザーのコンピューター600への働きかけを可能にする1つ又は2つ以上の入力/出力デバイス640(例えば、カメラ、ディスプレイ、キーボード、マウス、スピーカー、マイクロフォン、ボタンなど)を含む。
【0062】
プロセッサー610には、汎用及び専用マイクロプロセッサーの両方が含まれてよく、コンピューター600の単独のプロセッサーであっても、複数のプロセッサーのうちの1つであってもよい。プロセッサー610は例えば1つ又は2つ以上の中央演算処理装置(CPU)を備えてもよい。プロセッサー610、データ記憶デバイス620及び/又はメモリ630は、1つ又は2つ以上の特定用途向け集積回路(ASIC)及び/又は1つ又は2つ以上のフィールド・プログラマブル・ゲートアレイ(FPGA)を含むか、これらにより補完されるか、又はこれらに組み込まれてもよい。
【0063】
データ記憶デバイス620及びメモリ630はそれぞれ、有形の非一過性コンピューター可読記憶媒体を含む。データ記憶デバイス620及びメモリ630は、ダイナミック・ランダムアクセスメモリ(DRAM)、スタティック・ランダムアクセスメモリ(SRAM)、ダブル・データ・レート・シンクロナス・ダイナミック・ランダムアクセスメモリ(DDR RAM)、又はその他のランダムアクセス型ソリッドステート記憶デバイスなどの高速ランダムアクセスメモリを各々含んでもよく、また、1つ又は2つ以上の内部ハードディスク及び取り外し可能ディスクなどの磁気ディスク記憶デバイス、光磁気ディスク整理記憶デバイス、光ディスク記憶デバイス、フラッシュメモリ装置、消去可能プログラムマブル読み出し専用メモリ(EPROM)、電気的消去可能プログラムマブル読み出し専用メモリ(EEPROM)などの半導体メモリデバイス、コンパクトディスク読み出し専用メモリ(CD−ROM)、デジタル多用途ディスク読み出し専用メモリ(DVD−ROM)ディスク、又はその他の不揮発性ソリッドステート記憶デバイスなどの不揮発性メモリを含んでいてもよい。
【0064】
入力/出力デバイス640は、カメラ、プリンター、スキャナー、ディスプレイスクリーンなどの周辺機器を含んでいてもよい。例えば、入力/出力デバイス640は、ユーザーへと情報を表示するための、陰極線管(CRT)、プラズマ又は液晶ディスプレイ(LCD)モニターなどのディスプレイデバイス、並びに、ユーザーからコンピューター600への入力を提供し得る、マウス又はトラックボールなどのキーボード及びポインティングデバイス、を含んでいてもよい。
【0065】
各種の実施形態によると、特定のパッティンググリーン特性及びパッティンググリーン上のゴルフホールの位置を基礎として、特定のパットを成功裏に行うための、少なくとも目標方向及びスピードを使用した適切なパッティングストロークを決定並びにシミュレートし、ユーザーと双方向通信を可能とすることによって、増強されたプレイ体験を提供するための方法及び装置が提供される。
【0066】
更に詳細には、一実施形態によると、上述した振り子式パター装置及びパッティング診断ツールを使用してパッティング情報のライブラリがコンパイルされ、このパッティング情報には、振り子運動を利用してゴルフグリーン上の所定距離をゴルフボールが転がすために必要な力量が作用するように、ゴルフパターをテイクバックするために要求される垂直角度近似値が含まれる。それとは別に、コンパイルされたパッティング情報は、ユーザー(たとえばゴルファー)の特定のパッティング体験をカスタマイズするために使用することができる。
【0067】
図7は一実施形態に係る携帯デバイスを使用した正確なパッティングストロークの決定及びシミュレーティングのための参考的なオペレーション700のフローチャートである。参考的に、ゴルファーは携帯デバイス(たとえばスマートフォン)を使用して(たとえば携帯用アプリの実行によって)オペレーションを起動させる。ステップ710では較正プロセスの起動及び実施が行われ、これには特定の距離及びグリーンスピードにおいてプレイヤーが一定セットの数のパット(たとえば10回のパット)を試行し、各パットについて、各パット時の一定の携帯デバイスのオペレーション情報(たとえば携帯デバイスに組み込まれているMEMSコンポーネントからの情報)、並びにプレイヤーが適用する、関連付けられたパッティングストロークの、捕捉及び計算が行われる。ステップ720では、プレイヤーによる複数回のMEMSオフセット測定の平均値が計算される。選択的なユーザープロファイルの作成及び保存が可能であり、ステップ730では、このプロファイルにステップ720からのMEMSオフセット計算の結果を保存することができる。次にステップ740ではコンパイルされたパッティング情報のライブラリを受信し、ステップ750では、計算されたプレイヤーの平均値と、同一のパット距離及び同一のグリーンスピードについてコンパイルされたパッティング情報のライブラリの数値との間で比較が行われ、一式の正確なパッティング距離ガイダンス(たとえば特定距離のパットを行うために必要なテンポ及び垂直角度)が特定される。すなわち、コンパイルされたパッティング情報のライブラリにより特定されたパッティングストローク(すなわちシミュレートされたパッティングストローク)が、そのゴルファーの代表的パッティングストロークと比較される。これによって、所望のパットを成功裏に行う可能性が更に高くなるよう調整された代表的パッティングストロークを特定する目的で、シミュレートされたパッティングストロークを利用して代表的パッティングストロークが調整される。ステップ760では、プレイヤーがパットを成功裏に行うためのパッティングストロークを適用する目的で、フィードバックメカニズム(たとえばここで詳述したように、携帯デバイスに内在する力覚フィードバック)を利用して、一式の正確なパッティング距離ガイダンス(すなわち調整された代表的パッティングストローク)がプレイヤーに通信される。
【0068】
図8は、
図7のオペレーションを実行するための例示的な携帯デバイス800の高レベルのブロックダイヤグラムである。図示するように、携帯デバイス800(たとえば一部を挙げるだけでも、スマートフォン、携帯電話、スマートウォッチ、距離計などが含まれる)にはプロセッサー805が含まれ、携帯デバイス800、アンテナ855、高周波(RF)トランシーバー850、GNSSモジュール845など全体のオペレーションを制御することによって、従来から存在する周知の方法による各種の通信ネットワークとの間で情報の送受信を行う。この情報(たとえばデータ)は、データ記憶デバイス840及び/又はメモリ810に保存してもよく、データ記憶デバイス840及びメモリ810はそれぞれ、有形の非一過性コンピューター可読記憶媒体を含む。データ記憶デバイス620及びメモリ630は、ダイナミック・ランダムアクセスメモリ(DRAM)、スタティック・ランダムアクセスメモリ(SRAM)、ダブル・データ・レート・シンクロナス・ダイナミック・ランダムアクセスメモリ(DDR RAM)、又はその他のランダムアクセス型ソリッドステート記憶デバイスなどの高速ランダムアクセスメモリを各々含んでもよく、また、1つ又は2つ以上の内部ハードディスク及び取り外し可能ディスクなどの磁気ディスク記憶デバイス、光磁気ディスク整理記憶デバイス、光ディスク記憶デバイス、フラッシュメモリ装置、消去可能プログラムマブル読み出し専用メモリ(EPROM)、電気的消去可能プログラムマブル読み出し専用メモリ(EEPROM)などの半導体メモリデバイス、コンパクトディスク読み出し専用メモリ(CD−ROM)、デジタル多用途ディスク読み出し専用メモリ(DVD−ROM)ディスク、又はその他の不揮発性ソリッドステート記憶デバイスなどの不揮発性メモリを含んでいてもよい。
【0069】
一実施形態によると、メモリ810には、プロセッサー805が実行するためのパッティング用アプリ860を保存することも可能であり、これには携帯デバイス800が、ここで詳述する力覚ユニット865を使用してユーザーに双方向通信可能なパッティング体験を伝達するためのオペレーションが組み込まれている。MEMSコンポーネント870は、従来から存在するMEMS機能を伝達するものであり、詳細を後述するように、携帯デバイス800から携帯デバイスのオペレーション情報を引き出す目的で、一定のMEMS情報を記録及び収集するために利用される。
【0070】
携帯デバイス800には更に入出力装置815が含まれており、これにはカメラ、プリンター、スマートウォッチ、スキャナー、表示スクリーン、仮想現実(VR)ディスプレイ、拡張現実(AR)ディスプレイなどの周辺機器が含まれる。
図8に示す参考的な実施形態によると、ディスプレイコントローラー820はディスプレイドライバー825と併せて作動し、携帯デバイス800のユーザーに、LCD表示830上の情報を表示する。バッテリ835(たとえばリチウムイオン)は、周知の方法によって携帯デバイス800に全体的な電力を供給する。
【0071】
図9は、一実施形態において、ゴルファー920がゴルフグリーン910上で、携帯デバイス800を使用して正確なパッティングストロークを実行する例示的なダイヤグラム900を示す。この実施形態によるとゴルファー920は、詳細を上述したように、携帯デバイス800及びパッティング用アプリ860を使用して較正プロセスを起動させる。参考的に携帯デバイス800は、従来から存在するクリップ又はその他の適切な取付具(図示せず)を使用して、パター930のシャフト970に一時的に(第1位置に)取り付けられる。このようにパッティング用アプリ860が実行されて処理を起動し、ゴルフグリーン910と関連付けられた特定の距離及びグリーンスピードにおいてゴルファー920が一定セットの数のパット(たとえば10回のパット)を試行し、各パットについて、各パット(たとえばパット960−1、960−2乃至960−n)時の一定の携帯デバイス800の携帯デバイスオペレーション情報(たとえば携帯デバイス800に組み込まれているMEMSコンポーネント870からの情報)、並びに、ゴルフホール950においてゴルファー920がパットでホールインするためにゴルフボール940に適用する、関連付けられたパッティングストロークの、捕捉及び計算が行われる。一実施形態によると、MEMSコンポーネント870が記録及び収集する情報には、少なくとも(i)パター930に適用されるスイングプレーンの角度、(ii)パターヘッド980によって定められるパター930のスターティング角度及びフィニッシング角度、及び(iii)パッティングストロークの完了において、パターヘッド980を使用して形成した最終的な全体のスイングプレーンが含まれる。一実施形態によるとパッティング用アプリ860は、パットでホールインする目的でゴルファー920がパット960−1、960−2乃至960−nを実行するための、初期パッティング軌道(すなわちライン)及び距離を計算する。
【0072】
その後、パッティング用アプリ860は、詳細を上述したように、ゴルファー920についての複数のMEMSオフセット計測の平均値を計算する。本質的には、MEMSオフセット計測値を使用して、ゴルファー920についての特定のパッティングストロークが定められる(たとえばゴルファー920の10フィートのパッティングストローク、ゴルファー920の5フィートのパッティングストローク)。その後、携帯デバイス800(及びパッティング用アプリ860)が、(たとえば、メモリ810にアクセスすることによって、又は、従来から存在する無線通信リンクを介し、入出力装置815経由でリアルタイム情報を受信することによって)アクセスする。パッティング用アプリ860を使用して、計算されたプレイヤーの平均値(たとえばゴルファー920の10フィートのパッティングストローク)と、同一のパット距離(たとえば10フィート)及び同一のグリーンスピードについてコンパイルされたパッティング情報のライブラリとが比較され、一式の正確なパッティング距離ガイダンス(たとえば特定距離におけるパットを行うために必要なテンポ及び垂直角度)が特定される。このように、この実施形態によると、ゴルファー920について記録されているパッティングストローク(たとえば10フィートのパッティングストローク)は、コンパイルされたパッティング情報のライブラリを利用して、必要に応じて、調整され、ゴルファー920が適用するパッティングストロークの全体的な正確性を潜在的に向上させる。
【0073】
一実施形態によると、プレイヤーがパットを成功裏に行うためのパッティングストロークを適用する目的で、フィードバックメカニズム(たとえば携帯デバイス800上の力覚ユニット865)を利用して、一式の正確なパッティング距離ガイダンスがプレイヤーに通信される。より具体的には、携帯デバイス800は一式の正確なパッティング距離ガイダンスを利用して力覚ファイルを生成し、力覚ファイルにはパッティング距離ガイダンス及びゴルファー920に関する一定の力覚データが含まれる。力覚の利用は当業者にとって概して周知であることから、この開示ではこのような既知の特徴について詳細には説明しない。一実施形態によると、携帯デバイス800は体動センサ式(MEMS)携帯電話であり、ゴルファー920の手首に取り付けられた手首(MEMS)スマートウォッチである別の携帯デバイス800と協働して作用しており、複数の協働する携帯デバイスが上半身及び下半身の測定値を捕捉し、全体的な力覚体験を増強させる。プロセッサー805は、(たとえばメモリ810に保存されている)力覚データファイルを利用して、力覚データファイルを力覚ユニット865に通信する。力覚エミュレータユニット865は力覚データを処理して、改善されたテンポ、距離コントロール/範囲を更に改善する目的で、力覚・触覚的な感覚をゴルファー920に対して生成し、パッティング体験をカスタマイズすることによって、可能な限り最良の結果をゴルファー920に提供する。この実施形態によると、次に携帯デバイス800は、
ゴルファー920の身体における第2位置(たとえばベルト上−位置2として示す)に(詳細を上述したように、較正目的でのパターシャフト上の一時的な位置(すなわち第1位置として示すもの)から取り外された状態で)、適切なクリップ又はそれ以外で個人の身体上で携帯デバイスを運搬するために従来から存在する装置を使用して取り付けられ、力覚フィードバックが(詳細を上述したように)調整されたパッティングストロークを通信して、パットを成功裏に行う可能性が更に高いパッティングストロークを促進させる。こうして力覚ユニット865は、力覚フィードバックを利用して、パットの「タッチ及びフィール(感触)」を再現することによって、ユーザーがテンポ、パターの力、その他の力覚効果を感じることを可能とする。
【0074】
更なる実施形態によると、パッティング体験は力覚ユニット865を通じて高度に個別化される。力覚エミュレータユニット865が力覚ファイル内に力覚データを作成する前に、携帯デバイス800は、ユーザー(たとえばゴルファー920)個人の身体測定データ875を引き出すことができる。身体測定データは、たとえばユーザーの各種身体部分の二次元または三次元の身体測定値を記載したものであり、これはユーザーの手、腕、頭、脚、及び/又は胴を次元的に記述する。身体測定データは、体重、身長及びボディマス及びゴルフをプレイする上で望ましいその他の特徴を含むユーザーの体全体を次元的に説明することさえできる。身体測定データがどのようなものであっても、携帯デバイス800は(たとえばメモリ810から)ユーザーの個人的な身体測定データを引き出し、その後に携帯デバイス800は、ユーザーの個人的な身体測定データ875を利用して、力覚ファイル内で力覚データを処理する。こうして、ユーザーの個人的な身体測定データに従い、力覚データを力覚ユニット865に作成させる。すなわち、力覚ユニット865はパットの「タッチ及びフィール(感触)」(たとえばパッティングストローク)を再現するが、力覚(及び触覚)効果は、ゴルファー920がその時点で使用しているパター930の任意の寸法またはその他の特徴を含むゴルファーの個人的な寸法によって個別化されている。
【0075】
図10は、一実施形態に係る
図8の携帯デバイスを使用して力覚の付与(レンダリング)及び体験を生成するための例示的なオペレーション1000のフローチャートを示す。ステップ1010では、一式の正確なパッティング距離ガイダンス情報を受信し、ステップ1020では、力覚データが生成され、例示的に保存される。次に1030において、パッティング体験の更なる個別化が望まれる場合には、ステップ1040において個人別の身体測定データが引き出され、生成された力覚データが補完される。その後ステップ1050において、詳細を上述したように、力覚データが携帯デバイス経由でゴルファー920に付与(レンダリング)される。
【0076】
当然ながら、上述したように生成されたゴルファー920の体験は、さまざまな方法及び状況による形式を取ることができる。たとえばゴルファー920は、携帯デバイス800によって特定されたようにパットのアラインメントを定め、パター930でゴルフボール940のアドレスを定め、1回又は複数回の練習ストロークを実行する(すなわち、実際にゴルフボール940を打つのではなく、たとえばゴルフグリーン910上のゴルフボール940の位置の近傍でストロークを行う)。その後、携帯デバイス800は、詳細を上述したオペレーションに従って実際のパッティングセッションが準備完了である旨を伝えるためのゴルファー920への短いカウントダウン信号を開始する。たとえばゴルファー920は、パター930のバックスイングを開始するときに2回のパルス力覚フィードバックを受け、更にゴルフストロークの頂点(すなわち、上述したオペレーションによって定められたパットを成功裏にホールイン/実行するために必要な垂直角度)において、ゴルファー920は携帯デバイス800から3回の短い/クイックな力覚パルスを受ける。パッティングストロークの最低部(すなわち、パター930とゴルフボール940との間にインパクトが予測される時点)において、ゴルファー920がゴルフボール940を打つことによってパターを完了させ、一般的なパッティングストロークの完了と同様にパター930のフォロースルーを行う必要があることを示すために、ゴルファー920は、2回の短い/クイックな力覚パルスを受ける。これによって、パットを行うために必要なテンポ及び垂直角度がゴルファー920に力覚的に通信され、パター930によるパットが実行される。
【0077】
当然ながらゴルファー920は、携帯デバイス800の力覚フィードバックメカニズムを使用してパッティングセッションを体験した後であれば、携帯デバイス800を使用するのか、又はパット練習のために携帯デバイス800を使用しないのか、選択することができる。すなわちゴルファー920は、携帯デバイス800を利用した後、更にアシストなしでのパットを行うために、その前の(力覚アシストを受けていた)パッティングストロークを実行したときの筋肉の記憶を辿るよう希望することも可能であり、それによってゴルファーの全体的なパッティングストロークが改善され、このような改善を、実際のゴルフラウンドにおけるゴルフコース全体に波及させることができる。
【0078】
図11A乃至Eは、
図9及び
図10の実例に係るオペレーションの実行において、一実施形態に係る携帯デバイス800の例示的な表示及び出力を示す。具体的に
図11Aは表示1105を示しており、この表示1105は、携帯アプリのユーザーがたとえば携帯デバイス800を実行した際のウェルカム表示である。ユーザー(たとえばゴルファー920)は、各種の入力1110(たとえば、所望のゴルフコースの選択、特定のゴルフコースのデバイス内での保存、ユーザーアカウントへのアクセス、友人/連絡先リストへのアクセス、及び/又は携帯アプリの操作ガイドの実行など)を選択することができる。
図11Bは表示1115を示しており、この表示1115は正確なパッティングガイダンスの決定において、詳細を上述したように、ゴルファー920が現在プレイ中であるゴルフコースのグリーンについての、関連付けられたグリーンスピード1120(すなわちスティンプメータ計測値)を、ゴルファー920が入力するための入力画面である。
図11Cは表示1125を示しており、この表示1125はヒートマップ1130(すなわち、標高変化1140−1及び1140−2も併せて示す等高線地図)に重ね合わせた、(上述した、
図9に示す)グリーン910及びゴルフホール950、複数のスプリンクラー1140、並びに複数の等高線1135を視覚的に表示している。更に、ホール位置1145は、上述した特性と併せて、ゴルフグリーン910上のゴルフホール950の現在位置を示している。
【0079】
図11Dは表示1145を示しており、この表示1145には正確なパッティング情報を決定するための、上述したオペレーションの実行における例示的な結果が表示されている。具体的に、表示ボックス1150は、ゴルフボール940とゴルフホール950との高低差及び全体距離に関して実行すべき具体的なパット特性1155を表示しており、パット特性1160は、ゴルファー920がパットを行うために使用する、詳細を上述したオペレーションによって決定された正確な目標特性である(すなわち、詳細を上述したように、携帯デバイス800経由でゴルファー920に提供された力覚フィードバックの補助によって、パット軌道1170に沿って、ターゲット範囲1165に向けたパット特性1160に従いパットを打つ)。
図11Eの表示1175は、
図11Dと実質的に同一の情報を示しているが、追加情報としてヒートマップ1130を重ね合わせて表示している。
【0080】
説明を明確にするために、本明細書記載の例示的実施形態は、単一の機能ブロック、又は機能ブロックの組み合わせを含むように示されている場合があることに留意すべきである。これらブロックが示す機能は、専用又は共有ハードウェアのいずれか一方を用いて提供されてもよく、ソフトウェアを実行可能なハードウェアが挙げられるが、これに限定されない。例示的な実施形態は、デジタル信号プロセッサー(「DSP」)ハードウェア、及び/又は本明細書に記載の操作を実行するソフトウェアを含んでいてもよい。このように、例えば本明細書のブロック図は、当業者には、本明細書の種々の実施形態で説明する例示的な機能、操作、及び/又は回路原理の概念図であると考えられよう。同様に、任意のフローチャート、フロー図、状態遷移図、擬似コード、プログラムコードなどは、コンピューター可読媒体内に実質的に表され、コンピューター、機械若しくはプロセッサーによって実行され得る種々のプロセスを、そのようなコンピューター、機械又はプロセッサーが明確に示されているかどうかに関わらず、表していることが理解されるであろう。当業者であれば、実際のコンピューター又はコンピューターシステムの実装においては、他の構造を有していてもよく、同様に他の構成要素を含んでいてもよいこと、及び、かかるコンピューターのいくつかの構成要素のハイレベル表現は、例示的な目的のためであることを認識するであろう。
【0081】
上述の発明を実施するための形態は、あらゆる点で例示を目的とするものであり、本発明を限定するものとして理解すべきではなく、本明細書に開示された本発明の範囲は、発明を実施するための形態から判断すべきものではなく、特許請求の範囲を、特許法で許容される最大限の範囲によって解釈して判断すべきである。本明細書に記載かつ示された諸実施形態が単に本発明の原理を例示するものにすぎないこと、及び、種々の変更が本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく当業者により実施され得るものであることを理解されたい。当業者であれば、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、様々な他の特徴の組み合わせを実施することが可能である。