特許第6878622号(P6878622)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6878622
(24)【登録日】2021年5月6日
(45)【発行日】2021年5月26日
(54)【発明の名称】ロボット手術器具
(51)【国際特許分類】
   A61B 34/30 20160101AFI20210517BHJP
   A61B 17/29 20060101ALI20210517BHJP
   A61B 34/37 20160101ALI20210517BHJP
   B25J 17/00 20060101ALI20210517BHJP
   A61B 34/35 20160101ALI20210517BHJP
【FI】
   A61B34/30
   A61B17/29
   A61B34/37
   B25J17/00 G
   A61B34/35
【請求項の数】12
【全頁数】30
(21)【出願番号】特願2019-558648(P2019-558648)
(86)(22)【出願日】2019年8月7日
(86)【国際出願番号】JP2019031064
(87)【国際公開番号】WO2020044994
(87)【国際公開日】20200305
【審査請求日】2019年10月25日
(31)【優先権主張番号】特願2018-159336(P2018-159336)
(32)【優先日】2018年8月28日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】514063179
【氏名又は名称】株式会社メディカロイド
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(72)【発明者】
【氏名】戸次 翔太
(72)【発明者】
【氏名】臼木 優
【審査官】 菊地 康彦
(56)【参考文献】
【文献】 特表2017−513678(JP,A)
【文献】 特開2011−045500(JP,A)
【文献】 国際公開第2017/098266(WO,A1)
【文献】 米国特許第06394998(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/29−17/295
A61B 34/30−34/37
B25J 17/00−17/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンドエフェクタと、
前記エンドエフェクタを第1軸について回転可能に支持する第1支持体と、
前記エンドエフェクタを駆動するための細長要素と、
前記第1支持体を第2軸について回転可能に支持する第2支持体と、
前記第1軸と前記第2軸との間の位置で第3軸について回転可能に設けられ、前記細長要素が懸架される第1プーリと、
前記第2軸について回転可能に設けられ、前記細長要素が懸架される第2プーリと、
前記第2支持体に接続されるシャフトとを備え、
前記第1プーリおよび前記第2プーリを少なくとも含み、前記第1プーリおよび前記第2プーリと同じ前記細長要素が懸架される複数のプーリのうちの最も前記シャフトに近い位置に配置されており前記細長要素が斜めに懸架されるシャフト側プーリの溝幅が、前記第1軸と前記シャフト側プーリとの間に配置された他のプーリの溝幅よりも広い溝幅である、ロボット手術器具。
【請求項2】
前記シャフト側プーリの溝幅は、前記他のプーリの溝幅の1.2倍以上2.0倍以下の溝幅である、請求項1に記載のロボット手術器具。
【請求項3】
前記第2軸の軸線方向における前記シャフト側プーリの溝の中央部は、前記第2軸の軸線方向における前記他のプーリの溝の中央部よりも、前記第2軸の軸線方向の前記第2支持体の中央部側に配置されている、請求項1または2に記載のロボット手術器具。
【請求項4】
前記シャフト側プーリの軸線方向の前記第2支持体の中央部とは反対側の端部の位置、および、前記他のプーリの軸線方向の前記第2支持体の中央部とは反対側の端部の位置が、前記シャフトの延びる方向から視て、互いに略同じである、請求項1〜3のいずれか1項に記載のロボット手術器具。
【請求項5】
前記シャフト側プーリの回転中心軸線の位置、および、前記他のプーリの回転中心軸線の位置が、前記第2軸の軸線方向から視て、前記シャフトの延びる方向に沿った直線上に配置されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載のロボット手術器具。
【請求項6】
前記シャフト側プーリは、プーリ軸を挿通する軸挿通孔を有し、
前記他のプーリは、他のプーリ軸を挿通する他の軸挿通孔を有し、
前記他のプーリのうち前記シャフト側プーリに隣接して配置されたプーリの前記他の軸挿通孔と前記他のプーリ軸との隙間は、前記シャフト側プーリの前記軸挿通孔と前記シャフト側プーリの前記プーリ軸との隙間よりも大きい、請求項1〜5のいずれか1項に記載のロボット手術器具。
【請求項7】
前記細長要素は、ワイヤを含み、
前記第2支持体は、前記シャフトとは反対側の端面部を前記シャフトの延びる方向に貫通する連通孔を含み、
前記連通孔を密閉し、前記ワイヤを挿通させる挿通孔を有するシール部材を備える、請求項1〜6のいずれか1項に記載のロボット手術器具。
【請求項8】
前記シール部材は、前記第2支持体と前記シャフトにより圧縮挟持されている、請求項7に記載のロボット手術器具。
【請求項9】
前記シャフト側プーリは、前記シャフトと前記第2軸との間の位置で第4軸について回転可能に設けられ、前記細長要素が懸架される第3プーリであり
前記第3プーリは、前記第1プーリおよび前記第2プーリよりも大きい溝幅を有する、請求項1〜8のいずれか1項に記載のロボット手術器具。
【請求項10】
前記シャフト側プーリは、前記第2プーリであり
前記第2プーリは、前記第1プーリよりも大きい溝幅を有する、請求項1〜8のいずれか1項に記載のロボット手術器具。
【請求項11】
前記第2プーリは、前記第2軸の軸線方向に並んで複数配置され、
前記複数の第2プーリのうち、前記第2軸の軸線方向の前記第1支持体の中央部側の位置に配置された第2プーリは、前記第1プーリよりも大きい溝幅を有している、請求項10に記載のロボット手術器具。
【請求項12】
前記エンドエフェクタは、1個または2個のエンドエフェクタ部材を有している、請求項1〜11のいずれか1項に記載のロボット手術器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ロボット手術器具に関し、特に、エンドエフェクタを第1軸について回転可能に支持する第1支持体と、第1支持体を第2軸について回転可能に支持する第2支持体とを備えるロボット手術器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エンドエフェクタを第1軸について回転可能に支持する第1支持体と、第1支持体を第2軸について回転可能に支持する第2支持体とを備えるロボット手術器具が知られている。このようなロボット手術器具は、たとえば、米国特許6394998号明細書に記載されている。
【0003】
上記米国特許6394998号明細書には、エンドエフェクタと、エンドエフェクタを軸(以下、第1軸)について回動可能に支持するU字状連結具としてのクレビス(以下、第1クレビス)と、第1クレビスを軸(以下、第2軸)について回動可能に支持するシャフト側のクレビス(以下、第2クレビス)とを備える手術器具が開示されている。上記米国特許6394998号明細書の手術器具は、エンドエフェクタを第1軸の軸線方向回りに回動させる回動ケーブルを備えている。また、上記米国特許6394998号明細書の手術器具のエンドエフェクタには、第1軸に回転可能に支持されるプーリ部と、第2軸に平行な回転軸線回りに回転する複数のプーリを含むプーリ群とが設けられている。このプーリ群を構成する各プーリの溝幅は、同じであるとともに、各プーリは、各々の回転軸線方向における端部側に配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許6394998号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、米国特許6394998号明細書の手術器具では、第2軸に平行な回転軸線方向の端部に配置されたプーリ群を通過して引き出された回動ケーブルをシャフトに引き込むと、回動ケーブルがシャフトの内壁に接触する恐れがある。この問題を解決するには、回動ケーブルが引き込まれるシャフト側の第2クレビスの挿入孔を、第2クレビスの中央部(回転軸線方向の中央部)側に配置する必要がある。
【0006】
しかしながら、上記のように、シャフト側の第2クレビスの挿入孔が、第2クレビスの中央部(回転軸線方向の中央部)側に配置されると、プーリ群のうちの最も挿入孔側に配置されるプーリのプーリ溝に対して回動ケーブルが、斜めに懸架される。この場合、斜めに懸架された回動ケーブルがプーリ溝の挿入孔側の側部に当接するため、回動ケーブル(細長要素)にかかる負荷が増大してしまう。その結果、回動ケーブル(細長要素)を円滑にガイドすることが困難であるという問題点がある。
【0007】
この発明は、細長要素を円滑にガイドすることが可能なロボット手術器具を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の一の局面によるロボット手術器具は、エンドエフェクタと、エンドエフェクタを第1軸について回転可能に支持する第1支持体と、エンドエフェクタを駆動するための細長要素と、第1支持体を第2軸について回転可能に支持する第2支持体と、第1軸と第2軸との間の位置で第3軸について回転可能に設けられ、細長要素が懸架される第1プーリと、第2軸について回転可能に設けられ、細長要素が懸架される第2プーリと、第2支持体に接続されるシャフトとを備え、第1プーリおよび第2プーリを少なくとも含み、第1プーリおよび第2プーリと同じ細長要素が懸架される複数のプーリのうちの最もシャフトに近い位置に配置されており細長要素が斜めに懸架されるシャフト側プーリの溝幅が、第1軸とシャフト側プーリとの間に配置された他のプーリの溝幅よりも広い溝幅である。
【0009】
この発明の一の局面によるロボット手術器具は、上記のように、細長要素が懸架される第1プーリと、第2軸について回転可能に設けられ、細長要素が懸架される第2プーリとを備えている。また、第1プーリおよび第2プーリを少なくとも含む複数のプーリのうちの最もシャフト側に近い位置に配置されるシャフト側プーリの溝幅が、他のプーリの溝幅よりも大きい溝幅である。これにより、シャフト側プーリにおいて細長要素が斜めに懸架されたとしても、細長要素がシャフト側プーリのプーリ溝の第1支持体側の側部に当接しにくくなるので、細長要素の延びる方向を変わりにくくすることができる。この結果、シャフト側プーリにより細長要素にかかる負荷の増大を抑制することができるので、細長要素を円滑にガイドすることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、細長要素を円滑にガイドすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1実施形態によるロボット手術システムの概略を示した図である。
図2】第1実施形態によるロボット手術システムの制御的な構成を示したブロック図である。
図3】第1実施形態によるロボットアームにアダプタを介して手術器具が取り付けられた状態を示した斜視図である。
図4】第1実施形態による手術器具を示した斜視図である。
図5】第1実施形態による手術器具の細長要素を示した模式図である。
図6図6Aは第1実施形態による手術器具のフックを示した模式図である。図6Bは第1実施形態による手術器具の第1プーリ部を示した模式図である。
図7】第1実施形態による手術器具をX1方向から視た斜視図である。
図8】第1実施形態による手術器具の第2支持体の斜視図である。
図9】第1実施形態による手術器具のシリコンシールの斜視図である。
図10】第1実施形態による手術器具の第2支持体内にシャフトの接続部を挿入した状態の斜視図である。
図11】第1実施形態による手術器具の第1プーリ群、第2プーリ群および第3プーリ群に第1細長要素を架けた状態を示した模式図である。
図12図12Aは第1実施形態による手術器具の第1(第3)ガイドプーリ部の斜視図である。図12Bは第1実施形態による手術器具の第1(第3)ガイドプーリ部の断面図である。
図13図13Aは第1実施形態による手術器具の第5ガイドプーリ部の斜視図である。図13Bは第1実施形態による手術器具の第5ガイドプーリ部の断面図である。
図14】第1実施形態による手術器具の第1プーリ群、第2プーリ群および第3プーリ群をX1方向から視た側面図である。
図15】第1実施形態による手術器具の第1プーリ群、第2プーリ群および第3プーリ群をY1方向から視た側面図である。
図16】第1実施形態による手術器具の第1プーリ群、第2プーリ群および第3プーリ群に架けた第1細長要素をシリコンシールの挿通孔に挿通させた状態を示した斜視図である。
図17図17Aは第1実施形態による手術器具の第3ガイドプーリ部をY1方向から視た側面図である。図17Bは第1実施形態による手術器具の第5ガイドプーリ部をY1方向から視た側面図である。
図18】第1変形例による手術器具の第1プーリ群、第2プーリ群および第3プーリ群に第1細長要素を架けた状態をX1方向から視た側面図である。
図19】第2実施形態による手術器具を示した斜視図である。
図20図20Aは第1実施形態による手術器具の第1ジョーを示した模式図である。図20Bは第1実施形態による手術器具の第1プーリ部を示した模式図である。
図21図21Aは第1実施形態による手術器具の第2ジョーを示した模式図である。図21Bは第1実施形態による手術器具の第2プーリ部を示した模式図である。
図22】第2実施形態による手術器具の第2支持体の斜視図である。
図23】第2実施形態による手術器具のシリコンシールの斜視図である。
図24】第2実施形態による手術器具の第1プーリ群および第2プーリ群に第1細長要素および第2細長要素を架けた状態を示した模式図である。
図25図25Aは第2実施形態による手術器具の第1内側プーリ部の斜視図である。図25Bは第2実施形態による手術器具の第1内側プーリ部の断面図である。
図26図26Aは第2実施形態による手術器具の第3内側プーリ部の斜視図である。図26Bは第3内側プーリ部の断面図である。
図27】第2実施形態による手術器具の第1プーリ群および第2プーリ群をX1方向から視た側面図である。
図28】第2実施形態による手術器具の第1プーリ群および第2プーリ群をY1方向から視た側面図である。
図29】第2実施形態による手術器具の第1プーリ群および第2プーリ群に架けた第1細長要素および第2細長要素をシリコンシールの挿通孔に挿通させた状態を示した斜視図である。
図30図30Aは第2変形例による手術器具の第1内側プーリ部をY1方向から視た側面図である。図30Bは第2変形例による手術器具の第3内側プーリ部をY1方向から視た側面図である。
図31】第2変形例による手術器具の第1プーリ群および第2プーリ群に第1細長要素および第2細長要素を架けた状態をX1方向から視た側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、実施形態を図面に基づいて説明する。
【0013】
[第1実施形態]
(ロボット手術システムの構成)
図1および図2を参照して、第1実施形態によるロボット手術システム100の構成について説明する。
【0014】
図1に示すように、ロボット手術システム100は、遠隔操作装置10と、患者側装置20と、を備えている。遠隔操作装置10は、患者側装置20に設けられた医療器具(medical equipment)を遠隔操作するために設けられている。患者側装置20によって実行されるべき動作態様指令が術者(surgeon)である操作者Oにより遠隔操作装置10に入力されると、遠隔操作装置10は、動作態様指令をコントローラ26を介して患者側装置20に送信する。そして、患者側装置20は、遠隔操作装置10から送信された動作態様指令に応答して、ロボットアーム21に取り付けられた手術器具(surgical instrument)40、内視鏡50等の医療器具を操作する。これにより、低侵襲手術が行われる。
【0015】
患者側装置20は、患者Pに対して手術を行うインターフェースを構成する。患者側装置20は、患者Pが横たわる手術台30の傍らに配置される。患者側装置20は、複数のロボットアーム21を有し、このうち1つのロボットアーム21(21b)に内視鏡50が取り付けられ、その他のロボットアーム21(21a)に手術器具40が取り付けられる。各ロボットアーム21は、プラットホーム23に共通に支持されている。複数のロボットアーム21は複数の関節を有し、それぞれの関節には、サーボモータを含む駆動部と、エンコーダ等の位置検出器とが設けられている。ロボットアーム21は、コントローラ26を介して与えられた駆動信号によりロボットアーム21に取り付けられた医療器具が所望の動作を行うように制御されるように構成されている。
【0016】
プラットホーム23は、手術室の床の上に載置されたポジショナ22に支持されている。ポジショナ22は、鉛直方向に調整可能な昇降軸を有する柱部24が、車輪を備え床面を移動可能なベース25に連結されている。
【0017】
ロボットアーム21aには、先端部に医療器具としての手術器具40が着脱可能に取り付けられる。手術器具40は、図3に示すように、ロボットアーム21aに取り付けられるハウジング43と、細長形状のシャフト42と、シャフト42の先端部に設けられたエンドエフェクタ41とを備えている。エンドエフェクタ41として、例えば、把持鉗子、シザーズ、フック、高周波ナイフ、スネアワイヤ、クランプ、ステイプラーが挙げられるがこれに限られるものではなく、各種の処置具を適用することができる。患者側装置20を用いた手術において、ロボットアーム21aは、患者Pの体表に留置したカニューラ(トロッカ)を介して患者Pの体内に手術器具40を導入する。そして、手術器具40のエンドエフェクタ41は、手術部位の近傍に配置される。
【0018】
ロボットアーム21bには、先端部に医療器具としての内視鏡50が着脱可能に取り付けられる。内視鏡50は、患者Pの体腔内を撮影するものであり、撮影した画像は、遠隔操作装置10に対して出力される。内視鏡50として、3次元画像を撮影することができる3D内視鏡若しくは2D内視鏡が用いられる。患者側装置20を用いた手術において、ロボットアーム21bは、患者Pに体表に留置したトロッカを介して患者Pの体内に内視鏡50を導入する。そして、内視鏡50が手術部位の近傍に配置される。
【0019】
遠隔操作装置10は、操作者Oとのインターフェースを構成する。遠隔操作装置10は、ロボットアーム21に取り付けられた医療器具を操作者Oが操作するための装置である。すなわち、遠隔操作装置10は、操作者Oによって入力された手術器具40および内視鏡50によって実行されるべき動作態様指令をコントローラ26を介して患者側装置20へ送信可能に構成されている。遠隔操作装置10は、たとえば、マスタの操作をしながらも患者Pの様子がよく見えるように手術台30の傍らに設置される。なお、遠隔操作装置10は、例えば動作態様指令を無線で送信するようにし、手術台30が設置された手術室とは別室に設置することも可能である。
【0020】
手術器具40によって実行されるべき動作態様とは、手術器具40の動作(一連の位置及び姿勢)及び手術器具40個別の機能によって実現される動作の態様である。たとえば、手術器具40が把持鉗子である場合には、手術器具40によって実行されるべき動作態様とは、エンドエフェクタ41の手首のロール回転位置及びピッチ回転位置と、ジョーの開閉を行う動作である。また、手術器具40が高周波ナイフである場合には、手術器具40によって実行されるべき動作態様とは、高周波ナイフの振動動作、具体的には高周波ナイフに対する電流の供給であり得る。また、手術器具40がスネアワイヤである場合には、手術器具40によって実行されるべき動作態様とは、束縛動作および束縛状態の解放動作であり得る。また、バイポーラやモノポーラに電流を供給することによって手術対象部位を焼き切る動作であり得る。
【0021】
内視鏡50によって実行されるべき動作態様とは、たとえば、内視鏡50先端の位置及び姿勢、又はズーム倍率の設定である。
【0022】
遠隔操作装置10は、図1および図2に示すように、操作ハンドル11と、操作ペダル部12と、表示部13と、制御装置14と、を備えている。
【0023】
操作ハンドル11は、ロボットアーム21に取り付けられた医療器具を遠隔で操作するために設けられている。具体的には、操作ハンドル11は、医療器具(手術器具40、内視鏡50)を操作するための操作者Oによる操作を受け付ける。操作ハンドル11は、水平方向に沿って2つ設けられている。つまり、2つの操作ハンドル11のうち一方の操作ハンドル11は、操作者Oの右手により操作され、2つの操作ハンドル11のうち他方の操作ハンドル11は、操作者Oの左手により操作される。
【0024】
また、操作ハンドル11は、遠隔操作装置10の後方側から、前方側に向かって延びるように配置されている。操作ハンドル11は、所定の3次元の操作領域内で動かすことができるように構成されている。すなわち、操作ハンドル11は、上下方向、左右方向、および前後方向に動かすことができるように構成されている。
【0025】
遠隔操作装置10と患者側装置20とは、ロボットアーム21aおよびロボットアーム21bの動作の制御においては、マスタスレーブ型のシステムを構成する。すなわち、操作ハンドル11は、マスタスレーブ型のシステムにおけるマスタ側の操作部を構成し、医療器具が取り付けられたロボットアーム21aおよびロボットアーム21bはスレーブ側の動作部を構成する。そして、操作ハンドル11を操作者Oが操作すると、操作ハンドル11の動きをロボットアーム21aの先端部(手術器具40のエンドエフェクタ41)またはロボットアーム21bの先端部(内視鏡50)がトレースして移動するようにロボットアーム21aまたはロボットアーム21bの動作が制御される。
【0026】
また、患者側装置20は、設定された動作倍率に応じてロボットアーム21aの動作を制御するよう構成されている。たとえば、動作倍率が1/2倍に設定されている場合、手術器具40のエンドエフェクタ41は、操作ハンドル11の移動距離の1/2の移動距離を移動するよう制御される。これによって、精細な手術を正確に行うことができる。
【0027】
操作ペダル部12は、医療器具に関する機能を実行するための複数のペダルを含んでいる。複数のペダルは、凝固ペダルと、切断ペダルと、カメラペダルと、クラッチペダルと、を含んでいる。また、複数のペダルは、操作者Oの足により操作される。
【0028】
凝固ペダルは、手術器具40を用いて手術部位を凝固させる操作を行うことができる。具体的には、凝固ペダルは、操作されることにより、手術器具40に凝固用の電圧が印加されて、手術部位の凝固が行われる。切断ペダルは、手術器具40を用いて手術部位を切断させる操作を行うことができる。具体的には、切断ペダルは、操作されることにより、手術器具40に切断用の電圧が印加されて、手術部位の切断が行われる。
【0029】
カメラペダルは、体腔内を撮像する内視鏡50の位置及び姿勢を操作するために用いられる。具体的には、カメラペダルは、内視鏡50の操作ハンドル11による操作を有効にする。つまり、カメラペダルが押されている間は、操作ハンドル11により内視鏡50の位置および姿勢を操作することが可能である。たとえば、内視鏡50は、左右の操作ハンドル11の両方を用いることにより操作される。具体的には、左右の操作ハンドル11の中間点を中心に左右の操作ハンドル11を回動させることにより、内視鏡50が回動される。また、左右の操作ハンドル11を共に押し込むことにより、内視鏡50が奥に進む。また、左右の操作ハンドル11を共に引っ張ることにより、内視鏡50が手前に戻る。また、左右の操作ハンドル11を共に上下左右に移動させることにより、内視鏡50が上下左右に移動する。
【0030】
クラッチペダルは、ロボットアーム21と、操作ハンドル11との操作接続を一時切断し手術器具40の動作を停止させる場合に用いられる。具体的には、クラッチペダルが操作されている間は、操作ハンドル11を操作しても、患者側装置20のロボットアーム21が動作しない。たとえば、操作により操作ハンドル11が移動可能な範囲の端部近傍に来た場合に、クラッチペダルが操作されることにより、操作接続を一時切断して、操作ハンドル11を中央位置付近に戻すことができる。そして、クラッチペダルの操作を中止するとロボットアーム21と操作ハンドル11とが再び接続され、中央付近で操作ハンドル11の操作を再開することができる。
【0031】
表示部13は、内視鏡50が撮像した画像を表示することができるものである。表示部13は、スコープ型表示部または非スコープ型表示部からなる。スコープ型表示部とは、たとえば、覗き込むタイプの表示部である。また、非スコープ型表示部とは、通常のパーソナルコンピュータのディスプレイのような覗き込むタイプではない平坦な画面を有する開放型の表示部を含む概念である。
【0032】
スコープ型表示部が取り付けられた場合、患者側装置20のロボットアーム21bに取り付けられた内視鏡50により撮像された3D画像が表示される。非スコープ型表示部が取り付けられた場合にも、患者側装置20に設けられた内視鏡50により撮像された3D画像が表示される。なお、非スコープ型表示部が取り付けられた場合、患者側装置20に設けられた内視鏡50により撮像された2D画像が表示されてもよい。
【0033】
図2に示すように、制御装置14は、例えば、CPU等の演算器を有する制御部141と、ROMおよびRAM等のメモリを有する記憶部142と、画像制御部143とを含んでいる。制御装置14は、集中制御する単独の制御装置により構成されていてもよく、互いに協働して分散制御する複数の制御装置により構成されてもよい。制御部141は、操作ハンドル11により入力された動作態様指令を、操作ペダル部12の切替状態に応じて、ロボットアーム21aによって実行されるべき動作態様指令であるか、または、内視鏡50によって実行されるべき動作態様指令であるかを判定する。そして、制御部141は、操作ハンドル11に入力された動作態様指令が手術器具40によって実行されるべき動作態様指令であると判断すると、動作態様指令をロボットアーム21aに対して送信する。これによって、ロボットアーム21aが駆動され、この駆動によってロボットアーム21aに取り付けられた手術器具40の動作が制御される。
【0034】
また、制御部141は、操作ハンドル11に入力された動作態様指令が内視鏡50によって実行されるべき動作態様指令であると判定すると、当該動作態様指令をロボットアーム21bに対して送信する。これによって、ロボットアーム21bが駆動され、この駆動によってロボットアーム21bに取り付けられた内視鏡50の動作が制御される。
【0035】
記憶部142には例えば手術器具40の種類に応じた制御プログラムが記憶されていて、取り付けられた手術器具40の種類に応じて制御部141がこれらの制御プログラムを読み出すことにより、遠隔操作装置10の操作ハンドル11及び/又は操作ペダル部12の動作指令が個別の手術器具40に適合した動作をさせることができる。
【0036】
画像制御部143は、内視鏡50が取得した画像を表示部13に伝送する。画像制御部143は、必要に応じて画像の加工修正処理を行う。
【0037】
(手術器具の構成)
図3図16を参照して、第1実施形態による手術器具40の構成について説明する。
【0038】
図3に示すように、ロボットアーム21は、清潔区域において使用されるため、ドレープ70により覆われる。ここで、手術室では、手術により切開した部分および医療機器が病原菌や異物などにより汚染されることを防ぐため、清潔操作が行われる。この清潔操作においては、清潔区域および清潔区域以外の区域である汚染区域が設定される。手術部位は、清潔区域に配置される。操作者Oを含む手術チームのメンバーは、手術中、清潔区域に殺菌されている物体のみが位置するよう配慮し、かつ、汚染区域に位置している物体を清潔区域に移動させるときは、この物体に滅菌処理を施す。同様に、操作者Oを含む手術チームのメンバーがその手を汚染区域に位置させたときは、清潔区域に位置している物体に直接接触する前に、手の滅菌処理を行う。清潔区域において用いられる器具は、滅菌処理が行われる、または、滅菌処理されたドレープ70により覆われる。
【0039】
(手術器具)
図4に示すように、手術器具40は、ロボットアーム21(図3参照)内の駆動機構(図示せず)による細長要素44の駆動によって、先端部のエンドエフェクタ41を動作させるように構成されている。なお、手術器具40は、「ロボット手術器具」の一例である。
【0040】
具体的には、手術器具40は、細長要素44と、上記したエンドエフェクタ41と、第1支持体45と、第2支持体46と、シリコンシール47と、プーリ群5と、シャフト42とを含んでいる。また、プーリ群5は、第1プーリ群5aと、第2プーリ群5bと、第3プーリ群5cとを含んでいる。なお、プーリ群5は、「複数のプーリ」の一例である。
【0041】
ここで、第1支持体45は、エンドエフェクタ41を第1軸A1について回転可能に支持している。つまり、第1支持体45には、第1軸A1の回転軸線R1回りに回転するようにエンドエフェクタ41が取り付けられている。また、第2支持体46は、第1支持体45を第2軸A2について回転可能に支持している。つまり、第2支持体46には、第2軸A2の回転軸線R2回りに回転するように第1支持体45が取り付けられている。なお、第2軸A2の回転軸線R2は、「他のプーリの回転中心軸線」の一例である。第2軸A2は、「他のプーリ軸」の一例である。
【0042】
なお、第1軸A1の回転軸線R1が延びる方向をX方向とし、X方向のうちの一方側をX1方向とし、他方側をX2方向とする。第2軸A2の回転軸線R2が延びる方向をY方向とし、Y方向のうちの一方側をY1方向とし、他方側をY2方向とする。ここで、X方向とY方向とは、直交する関係である。また、X方向およびY方向に直交する方向をZ方向とし、Z方向のうちの一方側をZ1方向とし、Z方向のうち他方側をZ2方向とする。なお、X方向は、「第1軸の軸線方向」の一例である。また、Y方向は、「第2軸の軸線方向」の一例である。
【0043】
図5に示すように、細長要素44は、ワイヤWと、ワイヤWに固定された留め具Sと、ワイヤWに固定された保護チューブCとを含んでいる。ワイヤWは、ステンレスまたはタングステンなどの金属により構成されている。保護チューブCは、ワイヤWの一部分を覆う硬性チューブにより構成されている。また、ワイヤWには、複数(2個)の保護チューブCが配置されている。留め具Sは、ステンレスなどの金属により構成されている。留め具Sは、球形状または円柱形状に形成されている。また、留め具Sは、ワイヤWにおける複数の保護チューブC同士の間に配置されている。
【0044】
エンドエフェクタ41は、図4に示すように、種類に応じた機能に基づいて、患者P(図1参照)の施術部位に対して処置を行うように構成されている。具体的には、エンドエフェクタ41は、1個のエンドエフェクタ部材6を有している。すなわち、エンドエフェクタ部材6は、フック6aである。フック6aは、第1支持体45に取り付けられている。
【0045】
フック6aは、図6Aおよび図6Bに示すように、細長要素44(以下、第1細長要素1)の留め具S(以下、第1細長要素1の留め具1a)に係合する凹部61aを形成した第1プーリ部61と、第1細長要素1の移動に伴う第1プーリ部61の回転により姿勢を変化させる処置部62とを有している。ここで、第1細長要素1の留め具1aは、円柱形状に形成されている。
【0046】
(第1支持体)
第1支持体45は、図7に示すように、第1突出部45aと、第2突出部45bと、第2プーリ部45cと、貫通孔45dとを有している。第1突出部45aは、第2プーリ部45cのX1方向側の端部からZ1方向に突出している。第1突出部45aは、第1軸A1のX1方向側端部を支持している。第2突出部45bは、第2プーリ部45cのX2方向側の端部からZ1方向に突出している。第2突出部45bは、第1軸A1のX2方向側端部を支持している。第2プーリ部45cは、第2軸A2に回転可能に支持されている。第2プーリ部45cは、第2軸A2の周方向に沿って形成されたプーリ溝45eを有している。第2プーリ部45cには、第1支持体45を回転させるため、細長要素44(以下、第2細長要素2(図4参照))が懸架されている。貫通孔45dは、第2細長要素2を挿通させる大きさを有している。また、貫通孔45dは、第1支持体45をX方向に沿って直線状に貫通するように構成されている。
【0047】
(第2支持体)
第2支持体46は、図8に示すように、第3突出部46aと、第4突出部46bと、接続基部46cとを有している。第3突出部46aは、接続基部46cのY1方向側の端部からZ1方向に突出している。第3突出部46aは、第2軸A2のY1方向側端部を支持している。第4突出部46bは、接続基部46cのY2方向側の端部からZ1方向に突出している。第4突出部46bは、第2軸A2のY2方向側端部を支持している。接続基部46cのZ2方向側の端部は、シャフト42のZ1方向側の端部に接続されている。
【0048】
接続基部46cは、略円筒形状に形成されている。接続基部46cは、Z方向に延びる軸線回りの周方向に沿って設けられた側面部7と、側面部7のシャフト42とは反対側の端部(Z1側の端部)に設けられた端面部8とを有している。また、接続基部46cは、側面部7と端面部8とに囲まれた内部空間9を有している。ここで、接続基部46cの内部空間9は、Z2方向に開放されている。
【0049】
端面部8は、シャフト42の延びる方向(Z方向)に貫通する連通孔8aを有する隔壁8bを有している。ここで、隔壁8bは、接続基部46cの内部空間9と外部空間とを仕切るように構成されている。
【0050】
隔壁8bには、シャフト42の延びる方向(Z方向)に貫通する連通孔8aが形成されている。すなわち、第2支持体46は、シャフト42とは反対側の隔壁8bをシャフト42の延びる方向(Z方向)に貫通する連通孔8aを有している。連通孔8aは、接続基部46cの内部空間9と接続基部46cの外部空間とを連通する。ここで、隔壁8bには、X1方向側に配置された連通孔8a(以下、第1連通孔81)と、X2方向側に配置された連通孔8a(以下、第2連通孔82)とが形成されている。第1連通孔81および第2連通孔82は、それぞれ、Z1方向から視て略T字状に形成されている。
【0051】
また、隔壁8bには、Y1方向側に配置された連通孔8a(以下、第3連通孔83)と、Y2方向側に配置された連通孔8a(以下、第4連通孔84)とが形成されている。第3連通孔83および第4連通孔84は、それぞれ、Z1方向から視て略円形状に形成されている。
【0052】
(シリコンシール)
図8および図9に示すように、第2支持体46の内部空間9には、シリコンシール47が挿入されている。シリコンシール47は、第2支持体46の内部空間9のZ1方向側の端部に配置されている。シリコンシール47は、第1連通孔81および第2連通孔82を密閉する(塞ぐ)ように構成されている。なお、シリコンシール47は、「シール部材」の一例である。
【0053】
ここで、シリコンシール47は、第1シール部47a、第2シール部47bおよび第3シール部47cを有している。第1シール部47aは、Z1方向から視てH状に形成されている。第1シール部47aは、第2支持体46の端面部8のZ2方向側の面に密着する。第1シール部47aには、X1方向側に第2シール部47b、および、X2方向側に第3シール部47cが配置されている。
【0054】
第2シール部47bは、第2支持体46の第1連通孔81に合わせて形成されている。すなわち、第2シール部47bは、第1連通孔81のZ1方向から視た形状に合わせて、Z1方向から視て略T字状に形成されている。第3シール部47cは、第2支持体46の第2連通孔82に合わせて形成されている。すなわち、第3シール部47cは、第2連通孔82のZ1方向から視た形状に合わせて、Z1方向から視て略T字状に形成されている。
【0055】
シリコンシール47は、第1挿通孔群71と、第2挿通孔群72と、第3挿通孔群73とを有している。
【0056】
第1挿通孔群71および第2挿通孔群72は、それぞれ、第1細長要素1のワイヤWを挿通させる第1挿通孔171と、第1細長要素1のワイヤWを挿通させる第2挿通孔172と、第2細長要素2のワイヤWを挿通させる第3挿通孔173とを有している。第1挿通孔群71の第1挿通孔171、第2挿通孔172および第3挿通孔173は、第1シール部47aおよび第2シール部47bをZ方向に貫通している。第2挿通孔群72の第1挿通孔171、第2挿通孔172および第3挿通孔173は、第1シール部47aおよび第3シール部47cをZ方向に貫通している。なお、第1挿通孔171および第2挿通孔172は、各々、「挿通孔」の一例である。
【0057】
これにより、シリコンシール47により第2支持体46内への異物の侵入を抑制しつつ、第1細長要素1のワイヤWを容易に移動させることができる。
【0058】
第3挿通孔群73は、エンドエフェクタ41に電力を供給するための電線を挿通させる第4挿通孔174および第5挿通孔175を有している。第3挿通孔群73の第4挿通孔174および第5挿通孔175は、第1シール部47aのみをZ方向に貫通している。
【0059】
シリコンシール47は、第1切り込み群91と、第2切り込み群92とを有している。第1切り込み群91は、第1挿通孔群71の第1挿通孔171に繋がり、第1細長要素1のワイヤWを第1挿通孔群71の第1挿通孔171にガイドする第1切り込み191を有している。第1切り込み群91は、第1挿通孔群71の第2挿通孔172に繋がり、第1細長要素1のワイヤWを第1挿通孔群71の第2挿通孔172にガイドする第2切り込み192を有している。第1切り込み群91は、第1挿通孔群71の第3挿通孔173に繋がり、第2細長要素2のワイヤWを第1挿通孔群71の第3挿通孔173にガイドする第3切り込み193を有している。
【0060】
第2切り込み群92も同様に、第2挿通孔群72の第1挿通孔171、第2挿通孔172および第3挿通孔173のそれぞれに対応するように、第1切り込み191、第2切り込み192および第3切り込み193を有している。
【0061】
〈シャフト〉
図10に示すように、シャフト42は、Z方向に沿って延びる円筒形状に形成されている。シャフト42内の空間には、第1細長要素1および第2細長要素2のそれぞれが収容されている。シャフト42は、円筒状を有する接続部42aと、円筒状を有する本体部42bとを含んでいる。接続部42aは、本体部42bのZ1方向側の端部からZ1方向に突出している。本体部42bは、Z方向に延びている。シャフト42は、接続部42aと本体部42bとの段差42cを有している。シャフト42の段差42cは、第2支持体46の側面部7のZ2方向側の端部に当接する。
【0062】
上記したように、接続部42aは、第2支持体46に接続されている。詳細には、接続部42aは、第2支持体46の内部空間9に挿入されている。この際、シリコンシール47は、隔壁8bと接続部42aとにより圧縮挟持される。これにより、シリコンシール47により第1連通孔81および第2連通孔82をより強固に密閉することができる。また、第1挿通孔171を挿通する第1細長要素1のワイヤWおよび第2挿通孔172を挿通する第2細長要素2のワイヤWのそれぞれに、シリコンシール47をより強固に密着させることができる。これらの結果、シリコンシール47のシール性能を向上させることができる。
【0063】
(第1プーリ群および第2プーリ群)
図11に示すように、手術器具40は、第1プーリ部61に係合した第1細長要素1をガイドする第1プーリ群5aおよび第2プーリ群5bを有している。
【0064】
第1プーリ群5aは、第1軸A1と第2軸A2との間の位置で第3軸A3について回転可能に設けられ、第1細長要素1を懸架する第1ガイドプーリ部51および第2ガイドプーリ部52を有している。ここで、第1ガイドプーリ部51および第2ガイドプーリ部52は、それぞれ、第3軸A3の回転軸線R3の回りを回転する。第1ガイドプーリ部51および第2ガイドプーリ部52は、それぞれ、第3軸A3のY1方向側の端部および第3軸A3のY2方向側の端部に配置されている。第1ガイドプーリ部51および第2ガイドプーリ部52は、それぞれ、同じ形状であるので、以下ではY1方向側の端部に配置された第1ガイドプーリ部51について説明する。なお、第1ガイドプーリ部51および第2ガイドプーリ部52は、「第1プーリ」および「他のプーリ」の一例である。また、第3軸A3は、「他のプーリ軸」の一例である。また、第3軸A3の回転軸線R3は、「他のプーリの回転中心軸線」の一例である。
【0065】
第1ガイドプーリ部51は、図12Aおよび図12Bに示すように、第3軸A3の回転軸線R3の回りを回転するように構成されている。具体的には、第1ガイドプーリ部51は、Y方向に対向する2つの円盤部51aと、2つの円盤部51aの間に設けられたプーリ溝51bと、Y方向に貫通する軸挿通孔51cとを有している。ここで、第1ガイドプーリ部51のプーリ溝51bは、Y方向において、第1所定の溝幅D1を有している。なお、第1所定の溝幅D1は、「他のプーリの溝幅」の一例である。また、第1ガイドプーリ部51のプーリ溝51bは、「他のプーリの溝」の一例である。
【0066】
第2プーリ群5bは、図11に示すように、第2軸A2について回転可能に設けられ、第1細長要素1を懸架する第3ガイドプーリ部53および第4ガイドプーリ部54を有している。ここで、第3ガイドプーリ部53および第4ガイドプーリ部54は、それぞれ、上記した第1ガイドプーリ部51および第2ガイドプーリ部52と同じ構成を有している。なお、第3ガイドプーリ部53および第4ガイドプーリ部54は、「第2プーリ」および「他のプーリ」の一例である。
【0067】
すなわち、第3ガイドプーリ部53および第4ガイドプーリ部54は、それぞれ、第2軸A2のY1方向側の端部および第2軸A2のY2方向側の端部に配置されている。第3ガイドプーリ部53および第4ガイドプーリ部54、それぞれ、同じ形状であるので、以下ではY1方向側の端部に配置された第3ガイドプーリ部53について説明する。
【0068】
第3ガイドプーリ部53は、図12Aおよび図12Bに示すように、第2軸A2の回転軸線R2の回りを回転するように構成されている。具体的には、第3ガイドプーリ部53は、Y方向に対向する2つの円盤部53aと、2つの円盤部53aの間に設けられたプーリ溝53bと、Y方向に貫通する軸挿通孔53cとを有している。ここで、第3ガイドプーリ部53のプーリ溝53bは、Y方向において、第2所定の溝幅D2を有している。なお、第2所定の溝幅D2は、第1所定の溝幅D1と略等しい。また、第3ガイドプーリ部53のプーリ溝53bは、「他のプーリの溝」の一例である。また、第2所定の溝幅D2は、「他のプーリの溝幅」の一例である。
【0069】
(第3プーリ群)
図11に示すように、手術器具40は、第1プーリ部61に係合した第1細長要素1をガイドする第3プーリ群5cを有している。
【0070】
第3プーリ群5cは、シャフト42と第2軸A2との間の位置で第4軸A4について回転可能に設けられ、第1細長要素1を懸架する第5ガイドプーリ部55および第6ガイドプーリ部56を有している。ここで、第4軸A4の回転軸線R4は、第2軸A2の回転軸線R2に沿って平行に設けられている。第5ガイドプーリ部55および第6ガイドプーリ部56は、第4軸A4の回転軸線R4の回りを回転する。第5ガイドプーリ部55および第6ガイドプーリ部56は、それぞれ、第4軸A4のY1方向側の端部および第4軸A4のY2方向側の端部に配置されている。第5ガイドプーリ部55および第6ガイドプーリ部56は、シャフト42に近い位置に配置されている。なお、第5ガイドプーリ部55および第6ガイドプーリ部56は、「第3プーリ」および「シャフト側プーリ」の一例である。また、第4軸A4は、「プーリ軸」の一例である。また、第4軸A4の回転軸線R4は、「シャフト側プーリの回転中心軸線」の一例である。
【0071】
第5ガイドプーリ部55および第6ガイドプーリ部56は、それぞれ、同じ形状であるので、以下ではY1方向側の端部に配置された第5ガイドプーリ部55について説明する。
【0072】
第5ガイドプーリ部55は、図13Aおよび図13Bに示すように、第4軸A4の回転軸線R4の回りを回転するように構成されている。具体的には、第5ガイドプーリ部55は、Y方向に対向する2つの円盤部55aと、2つの円盤部55aの間に設けられたプーリ溝55bと、Y方向に貫通する軸挿通孔55cとを有している。ここで、第5ガイドプーリ部55のプーリ溝55bの幅は、Y方向において、第3所定の溝幅D3を有している。なお、第3所定の溝幅D3は、「シャフト側プーリの溝幅」の一例である。また、第5ガイドプーリ部55のプーリ溝55bは、「シャフト側プーリの溝」の一例である。
【0073】
〈第3所定の溝幅〉
第1実施形態の第5ガイドプーリ部55および第6ガイドプーリ部56は、第1ガイドプーリ部51、第2ガイドプーリ部52、第3ガイドプーリ部53および第4ガイドプーリ部54よりも大きい溝幅を有している。
【0074】
なお、以下では、第1ガイドプーリ部51、第2ガイドプーリ部52、第3ガイドプーリ部53、第4ガイドプーリ部54、第5ガイドプーリ部55および第6ガイドプーリ部56のそれぞれのうち、第1ガイドプーリ部51、第3ガイドプーリ部53および第5ガイドプーリ部55について説明する。
【0075】
図14に示すように、第1ガイドプーリ部51、第3ガイドプーリ部53および第5ガイドプーリ部55(プーリ群5)のうちの最もシャフト42側の第5ガイドプーリ部55の第3所定の溝幅D3が、第1ガイドプーリ部51の第1所定の溝幅D1および第3ガイドプーリ部53の第2所定の溝幅D2よりも大きい溝幅である。つまり、第5ガイドプーリ部55および第6ガイドプーリ部56は、第1ガイドプーリ部51、第2ガイドプーリ部52、第3ガイドプーリ部53および第4ガイドプーリ部54のそれぞれよりも大きい溝幅を有している。
【0076】
これにより、第5ガイドプーリ部55において第1細長要素1のワイヤWが斜めに懸架されたとしても、第1細長要素1のワイヤWが第5ガイドプーリ部55のプーリ溝55bの第1支持体45側の側部(円盤部55a)に当接しにくくなるので、第1細長要素1のワイヤWの延びる方向を変わりにくくすることができる。この結果、第5ガイドプーリ部55により第1細長要素1のワイヤWにかかる負荷の増大を抑制することができるので、第1細長要素1のワイヤWを円滑にガイドすることができる。
【0077】
第3所定の溝幅D3は、第1所定の溝幅D1と第2所定の溝幅D2とを比較していずれか大きい方の溝幅の約1.5倍である。つまり、第3所定の溝幅D3は、第3突出部46aのY2方向側の端部と第2支持体46のY方向の中央部B(一点鎖線により模式的に示す)との間に第5ガイドプーリ部55を配置可能な大きさである。ここで、第3所定の溝幅D3は、第1所定の溝幅D1または第2所定の溝幅D2の1.2倍以上2.0倍以下であることが好ましい。
【0078】
これにより、第5ガイドプーリ部55において第1細長要素1のワイヤWが斜めに懸架されたとしても、第1細長要素1のワイヤWが第5ガイドプーリ部55のプーリ溝55bの側部(円盤部55a)に当接しにくい、第5ガイドプーリ部55の第3所定の溝幅D3を確保することができる。この結果、第5ガイドプーリ部55により第1細長要素1のワイヤWにかかる負荷の増大を抑制することができるので、第1細長要素1のワイヤWをより円滑にガイドすることができる。
【0079】
Y方向における第5ガイドプーリ部55のプーリ溝55bの中央部C3(一点鎖線により模式的に示す)は、Y方向における第3ガイドプーリ部53のプーリ溝53bの中央部C2(一点鎖線により模式的に示す)よりも、Y方向の第2支持体46の中央部B側に配置されている。さらに、Y方向における第5ガイドプーリ部55のプーリ溝55bの中央部C3は、Y方向における第1ガイドプーリ部51のプーリ溝51bの中央部C1(一点鎖線により模式的に示す)よりも、Y方向の第2支持体46の中央部B側に配置されている。
【0080】
これにより、第5ガイドプーリ部55において第1細長要素1のワイヤWが斜めに懸架されたとしても、第1細長要素1のワイヤWが第5ガイドプーリ部55のプーリ溝55bの第1支持体45側の側部(円盤部55a)に容易に当接しにくくすることができる。また、第5ガイドプーリ部55に懸架される第1細長要素1のワイヤWの位置を、第3ガイドプーリ部53に懸架される第1細長要素1のワイヤWの位置よりも、第2支持体46から離すことができるので、第1細長要素1のワイヤWと第2支持体46との接触を抑制することができる。
【0081】
Y方向における第5ガイドプーリ部55のプーリ溝55bの中央部C3は、Y方向の第2支持体46の中央部Bよりも、Y方向において離れた位置に配置されている。
【0082】
Y方向の第2支持体46の中央部Bとは反対側の第5ガイドプーリ部55の端部55dの位置、および、Y方向の第2支持体46の中央部Bとは反対側の第3ガイドプーリ部53の端部53dの位置が、X1方向から視て、互いに略同じである。さらに、Y方向の第2支持体46の中央部Bとは反対側の第5ガイドプーリ部55の端部55dの位置、および、Y方向の第2支持体46の中央部Bとは反対側の第1ガイドプーリ部51の端部51dの位置が、X1方向から視て、互いに略同じである。
【0083】
これにより、第5ガイドプーリ部55の端部55dが、第1ガイドプーリ部51の端部51dおよび第3ガイドプーリ部53の端部53dよりもY1方向側に突出するのを抑制することができる。この結果、第5ガイドプーリ部55を支持する第2軸A2の長さが大きくなるのを抑制することができるので、第2支持体46が大型化してしまうのを抑制することができる。また、第1ガイドプーリ部51、第3ガイドプーリ部53および第5ガイドプーリ部55の各々の配置位置が複雑になることを抑制することができる。この結果、第1ガイドプーリ部51、第3ガイドプーリ部53および第5ガイドプーリ部55を通る細長要素44の経路の複雑化に起因して、第1細長要素1のワイヤWにかかる負荷が増大することをより抑制することができる。
【0084】
すなわち、Y方向の第2支持体46の中央部Bとは反対側の第5ガイドプーリ部55の端部55d、および、Y方向の第2支持体46の中央部Bとは反対側の第3ガイドプーリ部53の端部53dは、X1方向から視て、同一平面(XZ平面)上に配置されている。さらに、Y方向の第2支持体46の中央部Bとは反対側の第5ガイドプーリ部55の端部55d、および、Y方向の第2支持体46の中央部Bとは反対側の第1ガイドプーリ部51の端部51dは、同一平面(XZ平面)上に配置されている。
【0085】
第5ガイドプーリ部55の回転軸線R4の延びる方向と、第3ガイドプーリ部53の回転軸線R2の延びる方向とは、X1方向から視て、略平行である。さらに、第5ガイドプーリ部55の回転軸線R3の延びる方向と、第1ガイドプーリ部51の回転軸線R3の延びる方向とは、X1方向から視て、略平行である。
【0086】
図15に示すように、第5ガイドプーリ部55の回転軸線R4の位置、および、第3ガイドプーリ部53の回転軸線R2の位置が、Y1方向から視て、Z方向(シャフト42の延びる方向)に沿った直線F1上に配置されている。さらに、第5ガイドプーリ部55の回転軸線R4の位置、および、第1ガイドプーリ部51の回転軸線R3の位置が、Y1方向から視て、Z方向(シャフト42の延びる方向)に沿った直線F1上に配置されている。
【0087】
これにより、第1ガイドプーリ部51、第3ガイドプーリ部53および第5ガイドプーリ部55の各々の配置位置を、Y1方向から視て、Z方向に沿った直線F1上からずらした場合よりも、第1ガイドプーリ部51、第3ガイドプーリ部53および第5ガイドプーリ部55に懸架される第1細長要素1のワイヤWの張力の増大を抑制することができる。この結果、第1ガイドプーリ部51、第1細長要素1のワイヤWにかかる負荷が増大することをより抑制することができる。
【0088】
また、第1ガイドプーリ部51のプーリ溝51bの最もX1方向側の位置、第3ガイドプーリ部53のプーリ溝53bの最もX1方向側の位置、および、第5ガイドプーリ部55のプーリ溝55bの最もX1方向側の位置が、Y1方向から視て、直線F2上に配置されている。第1ガイドプーリ部51のプーリ溝51bの最もX2方向側の位置、第3ガイドプーリ部53のプーリ溝53bの最もX2方向側の位置、および、第5ガイドプーリ部55のプーリ溝55bの最もX2方向側の位置が、Y1方向から視て、直線F3上に配置されている。
【0089】
また、第1ガイドプーリ部51、第3ガイドプーリ部53、および、第5ガイドプーリ部55は、Y1方向から視て略同形状に形成されている。
【0090】
図16に示すように、X1方向から視て、シリコンシール47の第2シール部47bの第1挿通孔171は、第5ガイドプーリ部55のY方向の両端部同士の間に配置されている。すなわち、X1方向から視て、シリコンシール47の第2シール部47bの第1挿通孔171は、第5ガイドプーリ部55の2つの円盤部55a同士の間隔R内に配置されている。
【0091】
これにより、第1細長要素1のワイヤWが第5ガイドプーリ部55のプーリ溝55bの第1支持体45側の側部(円盤部55a)に当接しにくくなるので、第1細長要素1のワイヤWの延びる方向をより変わりにくくすることができる。この結果、第5ガイドプーリ部55により第1細長要素1のワイヤWにかかる負荷の増大を抑制することができるので、第1細長要素1のワイヤWをより円滑にガイドすることができる。
【0092】
ここで、X1方向から視て、シリコンシール47の第2シール部47bの第1挿通孔171のY2方向側の端部の位置は、第5ガイドプーリ部55のY2方向側の端部の位置に略同じ位置である。
【0093】
また、X1方向から視て、第5ガイドプーリ部55のY方向の中央部C3は、シリコンシール47の第2シール部47bの第1挿通孔171のY方向の中央部Hよりも、Y方向において第2支持体46の中央部Bとは反対側に配置されている。つまり、第5ガイドプーリ部55のY方向の中央部C3(一点鎖線により模式的に示す)は、シリコンシール47の第2シール部47bの第1挿通孔171のY方向の中央部Hよりも、Y1方向側に配置されている。
【0094】
なお、第2ガイドプーリ部52、第4ガイドプーリ部54および第6ガイドプーリ部56は、それぞれ、第1ガイドプーリ部51、第3ガイドプーリ部53および第5ガイドプーリ部55と同様の構成となる。
【0095】
(第1変形例)
図17および図18を参照して、第1変形例について説明する。この第1変形例では、上記第1実施形態とは、第2プーリ群205bの構成が異なる例について説明する。なお、図中において上記実施形態と同様の構成には同じ符号を付して図示する。
【0096】
以下では、第3ガイドプーリ部253および第5ガイドプーリ部55について説明する。なお、第3ガイドプーリ部253は、「他のプーリ」の一例である。
【0097】
第3ガイドプーリ部253は、第2軸A2に対してがたつくように構成されている。具体的には、図17Aに示すように、第3ガイドプーリ部253は、第3ガイドプーリ部253の軸挿通孔253cと第2軸A2との間に隙間M1を有している。すなわち、第3ガイドプーリ部253は、所定範囲において揺動可能に設けられている。ここで、図17Bに示すように、第5ガイドプーリ部55は、第5ガイドプーリ部55の軸挿通孔55cと第4軸A4との間に隙間M2を有している。なお、隙間M2は、約0に近い値である。なお、第3ガイドプーリ部253の軸挿通孔253cは、「他の軸挿通孔」の一例である。
【0098】
第5ガイドプーリ部55に隣接して配置された第3ガイドプーリ部253の軸挿通孔253cと第2軸A2との隙間M1は、第5ガイドプーリ部55の軸挿通孔55cと第4軸A4との隙間M2よりも大きい。すなわち、図18に示すように、第5ガイドプーリ部55では、第4軸A4に対して傾くことが抑制されている。一方で、第3ガイドプーリ部253では、懸架される第1細長要素1のワイヤWの延びる方向に沿って、第2軸A2に対して傾くことが許容されている。なお、第3ガイドプーリ部253だけでなく、Y2方向側の第4ガイドプーリ部254についても上記した構成となる。また、第1変形例のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0099】
これにより、第3ガイドプーリ部253を第1細長要素1のワイヤWの延びる方向に沿って傾けることができるので、第1細長要素1のワイヤWにかかる負荷の増大をより抑制することができる。
【0100】
[第2実施形態]
次に、図19図29を参照して、本発明の第2実施形態について説明する。この第2実施形態では、エンドエフェクタ41のエンドエフェクタ部材6の数が1つである上記第1実施形態とは異なり、エンドエフェクタ341のエンドエフェクタ部材306の数が2つである構成の例について説明する。なお、図中において上記第1実施形態と同様の構成には同じ符号を付して図示する。
【0101】
(手術器具)
図19に示すように、手術器具340は、細長要素344と、エンドエフェクタ341と、第1支持体345と、第2支持体346と、シリコンシール347と、プーリ群305と、シャフト42とを含んでいる。また、プーリ群305は、第1プーリ群305aと、第2プーリ群305bとを有している。
【0102】
ここで、第1支持体345は、エンドエフェクタ341を第1軸A1について回転可能に支持している。また、第2支持体346は、第1支持体345を第2軸A2について回転可能に支持している。なお、第2軸A2の回転軸線R2は、「シャフト側プーリの回転中心軸線」の一例である。第2軸A2は、「シャフト側プーリのプーリ軸」の一例である。
【0103】
エンドエフェクタ341は、種類に応じた機能に基づいて、患者Pの施術部位に対して処置を行うように構成されている。具体的には、エンドエフェクタ341は、複数(2個)のエンドエフェクタ部材306を有している。すなわち、複数のエンドエフェクタ部材306は、それぞれ、第1ジョー306aおよび第2ジョー306bである。第1ジョー306aおよび第2ジョー306bは、それぞれ、第1支持体345に取り付けられている。
【0104】
第1ジョー306aは、図20Aおよび図20Bに示すように、細長要素344(以下、第1細長要素1)の留め具S(以下、第1細長要素1の留め具1a)に係合する第1凹部361aを形成した第1プーリ部361と、第1細長要素1の移動に伴う第1プーリ部361の回転により姿勢を変化させる第1処置部362とを有している。ここで、第1細長要素1の留め具1aは、円柱形状に形成されている。第2ジョー306bは、図21Aおよび図21Bに示すように、細長要素344(以下、第2細長要素302)の留め具S(以下、第2細長要素302の留め具302a)に係合する第2凹部363aを形成した第2プーリ部363と、第2細長要素302の移動に伴う第2プーリ部363の回転により姿勢を変化させる第2処置部364とを有している。ここで、第2細長要素302の留め具302aは、円柱形状に形成されている。
【0105】
(第1支持体)
第1支持体345は、図19に示すように、第1突出部45aと、第2突出部45bと、第3プーリ部345cと、貫通孔45dとを有している。第1突出部45aは、第3プーリ部345cのX1方向側の端部からZ1方向に突出している。第1突出部45aは、第1軸A1のX1方向側端部を支持している。第2突出部45bは、第3プーリ部345cのX2方向側の端部からZ1方向に突出している。第2突出部45bは、第1軸A1のX2方向側端部を支持している。第3プーリ部345cは、第2軸A2に回転可能に支持されている。第3プーリ部345cは、第2軸A2の周方向に沿って形成されたプーリ溝45eを有している。第3プーリ部345cには、第1支持体345を回転させるため、細長要素44(以下、第3細長要素303)が懸架されている。貫通孔45dは、第3細長要素303を挿通させる大きさを有している。また、貫通孔45dは、第1支持体345をX方向に沿って直線状に貫通するように構成されている。
【0106】
(第2支持体)
第2支持体346は、図22に示すように、第3突出部46aと、第4突出部46bと、接続基部46cとを有している。第3突出部46aは、接続基部46cのY1方向側の端部からZ1方向に突出している。第3突出部46aは、第2軸A2のY1方向側端部を支持している。第4突出部46bは、接続基部46cのY2方向側の端部からZ1方向に突出している。第4突出部46bは、第2軸A2のY2方向側端部を支持している。接続基部46cのZ2方向側の端部は、シャフト42のZ1方向側の端部に接続されている。
【0107】
接続基部46cは、略円筒形状に形成されている。接続基部46cは、Z方向に延びる軸線回りの周方向に沿って設けられた側面部7と、側面部7のシャフト42とは反対側の端部(Z1側の端部)に設けられた端面部8とを有している。また、接続基部46cは、側面部7と端面部8とに囲まれた内部空間9を有している。ここで、接続基部46cの内部空間9は、Z2方向に開放されている。
【0108】
端面部8は、シャフト42の延びる方向(Z方向)に貫通する連通孔8aを有する隔壁8bを有している。ここで、隔壁8bは、接続基部46cの内部空間9と外部空間とを仕切るように構成されている。
【0109】
隔壁8bには、シャフト42の延びる方向(Z方向)に貫通する連通孔8aが形成されている。すなわち、第2支持体346は、シャフト42とは反対側の端面部8をシャフト42の延びる方向(Z方向)に貫通する連通孔8aを有している。連通孔8aは、接続基部46cの内部空間9と接続基部46cの外部空間とを連通する。ここで、隔壁8bには、X1方向側に配置された連通孔8a(以下、第1連通孔81)と、X2方向側に配置された連通孔8a(以下、第2連通孔82)とが形成されている。第1連通孔81および第2連通孔82は、それぞれ、Z1方向から視て略T字状に形成されている。
【0110】
また、隔壁8bには、Y1方向側に配置された連通孔8a(以下、第3連通孔83)と、Y2方向側に配置された連通孔8a(以下、第4連通孔84)とが形成されている。第3連通孔83および第4連通孔84は、それぞれ、Z1方向から視て略円形状に形成されている。
【0111】
(シリコンシール)
図22および図23に示すように、第2支持体346の内部空間9には、シリコンシール347が挿入されている。シリコンシール347は、第2支持体346の内部空間9のZ1方向側の端部に配置されている。シリコンシール347は、第1連通孔81および第2連通孔82を密閉する(塞ぐ)ように構成されている。なお、シリコンシール347は、「シール部材」の一例である。
【0112】
ここで、シリコンシール347は、第1シール部47a、第2シール部47bおよび第3シール部47cを有している。第1シール部47aは、Z1方向から視てH状に形成されている。第1シール部47aは、第2支持体346の端面部8のZ2方向側の面に密着する。第1シール部47aには、X1方向側に第2シール部47b、および、X2方向側に第3シール部47cが配置されている。
【0113】
第2シール部47bは、第2支持体346の第1連通孔81に合わせて形成されている。すなわち、第2シール部47bは、第1連通孔81のZ1方向から視た形状に合わせて、Z1方向から視て略T字状に形成されている。第3シール部47cは、第2支持体346の第2連通孔82に合わせて形成されている。すなわち、第3シール部47cは、第2連通孔82のZ1方向から視た形状に合わせて、Z1方向から視て略T字状に形成されている。
【0114】
シリコンシール347は、第1挿通孔群71と、第2挿通孔群72と、第3挿通孔群73とを有している。
【0115】
第1挿通孔群71および第2挿通孔群72は、それぞれ、第1細長要素1のワイヤWを挿通させる第1挿通孔171と、第2細長要素302のワイヤWを挿通させる第2挿通孔172と、第3細長要素303のワイヤWを挿通させる第3挿通孔173とを有している。第3挿通孔群73は、エンドエフェクタ341に電力を供給するための電線を挿通させる第4挿通孔174および第5挿通孔175を有している。第3挿通孔群73の第4挿通孔174および第5挿通孔175は、第1シール部47aのみをZ方向に貫通している。
【0116】
シリコンシール347は、第1切り込み群91と、第2切り込み群92とを有している。第1切り込み群91は、第1挿通孔群71の第1挿通孔171に繋がり、第1細長要素1のワイヤWを第1挿通孔群71の第1挿通孔171にガイドする第1切り込み191を有している。第1切り込み群91は、第1挿通孔群71の第2挿通孔172に繋がり、第2細長要素302のワイヤWを第1挿通孔群71の第2挿通孔172にガイドする第2切り込み192を有している。第1切り込み群91は、第1挿通孔群71の第3挿通孔173に繋がり、第3細長要素303のワイヤWを第1挿通孔群71の第3挿通孔173にガイドする第3切り込み193を有している。第2切り込み群92も同様に、第2挿通孔群72の第1挿通孔171、第2挿通孔172および第3挿通孔173のそれぞれに対応するように、第1切り込み191、第2切り込み192および第3切り込み193を有している。
【0117】
(第1プーリ群)
図24に示すように、手術器具340は、第1プーリ部361に係合した第1細長要素1および第2プーリ部363に係合した第2細長要素302をガイドする第1プーリ群305aを有している。
【0118】
第1プーリ群305aは、第1軸A1と第2軸A2との間の位置で第3軸A3について回転可能に設けられる、第1内側プーリ部351および第1外側プーリ部352と、第2内側プーリ部353および第2外側プーリ部354とを有している。第1内側プーリ部351および第1外側プーリ部352と、第2内側プーリ部353および第2外側プーリ部354とは、第1細長要素1および第2細長要素302を懸架する。なお、第1内側プーリ部351、第1外側プーリ部352、第2内側プーリ部353および第2外側プーリ部354は、「第1プーリ」および「他のプーリ」の一例である。また、第3軸A3は、「他のプーリ軸」の一例である。また、第3軸A3の回転軸線R3は、「他のプーリの回転中心軸線」の一例である。
【0119】
ここで、第1内側プーリ部351および第2内側プーリ部353は、それぞれ、第3軸A3の回転軸線R3の回りを回転する。第1外側プーリ部352および第2外側プーリ部354は、それぞれ、第3軸A3の回転軸線R3の回りを回転する。第1外側プーリ部352および第2外側プーリ部354は、それぞれ、第3軸A3のY1方向側の端部および第1軸A1のY2方向側の端部に配置されている。第1内側プーリ部351および第2内側プーリ部353は、それぞれ、第1外側プーリ部352のY2方向側、および、第2外側プーリ部354のY1方向側に配置されている。
【0120】
第1内側プーリ部351、第1外側プーリ部352、第2内側プーリ部353および第2外側プーリ部354は、それぞれ、同じ形状であるので、以下では第1内側プーリ部351について説明する。
【0121】
第1内側プーリ部351は、図25Aおよび図25Bに示すように、第3軸A3の回転軸線R3の回りを回転するように構成されている。具体的には、第1内側プーリ部351は、Y方向に対向する2つの円盤部351aと、2つの円盤部351aの間に設けられたプーリ溝351bと、Y方向に貫通する軸挿通孔351cとを有している。ここで、第1内側プーリ部351のプーリ溝351bの幅は、Y方向において、第4所定の溝幅D4を有している。なお、第4所定の溝幅D4は、「他のプーリの溝幅」の一例である。また、第1内側プーリ部351のプーリ溝351bは、「他のプーリの溝」の一例である。
【0122】
(第2プーリ群)
図24に示すように、手術器具340は、第1プーリ部361に係合した第1細長要素1をガイドする第2プーリ群305bを有している。また、第2プーリ群305bは、第2プーリ部363に係合した第2細長要素302をガイドする。
【0123】
第2プーリ群305bは、第2軸A2について回転可能に設けられる、第3内側プーリ部355および第3外側プーリ部356と、第4内側プーリ部357および第4外側プーリ部358とを有している。すなわち、第2軸A2上には、第3内側プーリ部355、第3外側プーリ部356、第4内側プーリ部357および第4外側プーリ部358が配置されている。なお、第3内側プーリ部355、第3外側プーリ部356、第4内側プーリ部357および第4外側プーリ部358は、「第2プーリ」および「シャフト側プーリ」の一例である。
【0124】
第3内側プーリ部355、第3外側プーリ部356、第4内側プーリ部357および第4外側プーリ部358は、第1細長要素1および第2細長要素302を懸架する。第3内側プーリ部355、第3外側プーリ部356、第4内側プーリ部357および第4外側プーリ部358は、それぞれ、第2軸A2の回転軸線R2の回りを回転する。第3外側プーリ部356および第4外側プーリ部358は、それぞれ、第2軸A2のY1方向側の端部および第2軸A2のY2方向側の端部に配置されている。第3内側プーリ部355および第4内側プーリ部357は、それぞれ、第3外側プーリ部356のY2方向側および第4外側プーリ部358のY1方向側に配置されている。第3内側プーリ部355、第3外側プーリ部356、第4内側プーリ部357および第4外側プーリ部358は、シャフト42に近い位置に配置されている。
【0125】
第3内側プーリ部355、第3外側プーリ部356、第4内側プーリ部357および第4外側プーリ部358、それぞれ、同じ形状であるので、以下では第3内側プーリ部355について説明する。
【0126】
第3内側プーリ部355は、図26Aおよび図26Bに示すように、第2軸A2の回転軸線R2の回りを回転するように構成されている。具体的には、第3内側プーリ部355は、Y方向に対向する2つの円盤部355aと、2つの円盤部355aの間に設けられたプーリ溝355bと、Y方向に貫通する軸挿通孔355cとを有している。ここで、第3内側プーリ部355のプーリ溝355bの幅は、Y方向において、第5所定の溝幅D5を有している。なお、第5所定の溝幅D5は、「シャフト側プーリの溝幅」の一例である。また、第3内側プーリ部355のプーリ溝355bは、「シャフト側プーリの溝」の一例である。
【0127】
〈第5所定の溝幅〉
図27に示すように、第2実施形態の第3内側プーリ部355、第3外側プーリ部356、第4内側プーリ部357および第4外側プーリ部358は、第1内側プーリ部351、第1外側プーリ部352、第2内側プーリ部353および第2外側プーリ部354よりも大きい溝幅を有している。
【0128】
これにより、第1細長要素1のワイヤWおよび第2細長要素2のワイヤWが、第3内側プーリ部355、第3外側プーリ部356、第4内側プーリ部357および第4外側プーリ部358の側部(円盤部355a)に当接しにくくなる。したがって、第1細長要素1のワイヤWおよび第2細長要素302のワイヤWの延びる方向を変わりにくくすることができる。この結果、第3内側プーリ部355、第3外側プーリ部356、第4内側プーリ部357および第4外側プーリ部358により、第1細長要素1のワイヤWおよび第2細長要素2のワイヤWにかかる負荷の増大を抑制することができるので、第1細長要素1のワイヤWおよび第2細長要素302のワイヤWをより円滑にガイドすることができる。
【0129】
なお、以下では、第1内側プーリ部351、第1外側プーリ部352、第2内側プーリ部353および第2外側プーリ部354のそれぞれのうち第1内側プーリ部351と、第3内側プーリ部355、第3外側プーリ部356、第4内側プーリ部357および第4外側プーリ部358のそれぞれのうち第3内側プーリ部355とについて説明する。
【0130】
図27に示すように、第1内側プーリ部351、第3内側プーリ部355のうちの最もシャフト42側の第3内側プーリ部355の第5所定の溝幅D5が、第1内側プーリ部351の第4所定の溝幅D4よりも大きい溝幅である。
【0131】
第5所定の溝幅D5は、第4所定の溝幅D4の溝幅の約1.5倍である。つまり、第5所定の溝幅D5は、第3突出部46aのY2方向側の端部と第2支持体346のY方向の中央部B(一点鎖線により模式的に示す)との間に第3内側プーリ部355を配置可能な大きさである。ここで、第5所定の溝幅D5は、第4所定の溝幅D4の1.2倍以上2.0倍以下であることが好ましい。
【0132】
Y方向における第3内側プーリ部355のプーリ溝355bの中央部C2(一点鎖線により模式的に示す)は、Y方向における第1内側プーリ部351のプーリ溝351bの中央部C1(一点鎖線により模式的に示す)よりも、Y方向の第2支持体346の中央部B側に配置されている。
【0133】
Y方向における第3内側プーリ部355のプーリ溝355bの中央部C2は、Y方向の第2支持体346の中央部Bよりも、Y方向において離れた位置に配置されている。
【0134】
図27に示すように、Y方向の第2支持体346の中央部Bとは反対側の第3内側プーリ部355の端部355dの位置、および、Y方向の第2支持体346の中央部Bとは反対側の第1内側プーリ部351の端部351dの位置が、X1方向から視て、互いに略同じである。すなわち、Y方向の第2支持体346の中央部Bとは反対側の第3内側プーリ部355の端部355d、および、Y方向の第2支持体346の中央部Bとは反対側の第1内側プーリ部351の端部351dは、X1方向から視て、同一平面(XZ平面)上に配置されている。
【0135】
第3内側プーリ部355の回転軸線R2の延びる方向と、第1内側プーリ部351の回転軸線R3の延びる方向とは、X1方向から視て、略平行である。
【0136】
図28に示すように、第3内側プーリ部355の回転軸線R2の位置、および、第1内側プーリ部351の回転軸線R3の位置が、Y1方向から視て、Z方向(シャフト42の延びる方向)に沿った直線F1上に配置されている。
【0137】
また、第1内側プーリ部351のプーリ溝351bの最もX1方向側の位置、および、第3内側プーリ部355のプーリ溝355bの最もX1方向側の位置が、Y1方向から視て、直線F2上に配置されている。第1内側プーリ部351のプーリ溝351bの最もX2方向側の位置、および、第3内側プーリ部355のプーリ溝355bの最もX2方向側の位置が、Y1方向から視て、直線F3上に配置されている。
【0138】
また、第1内側プーリ部351および第3内側プーリ部355は、Y1方向から視て略同形状に形成されている。
【0139】
図29に示すように、X1方向から視て、シリコンシール347の第2シール部47bの第2挿通孔172は、第3内側プーリ部355のY方向の両端部同士の間に配置されている。すなわち、X1方向から視て、シリコンシール347の第2シール部47bの第2挿通孔172は、第3内側プーリ部355の一対の円盤部355a同士の間隔R内に配置されている。
【0140】
ここで、X1方向から視て、シリコンシール347の第2シール部47bの第2挿通孔172のY2方向側の端部の位置は、第3内側プーリ部355のY2方向側の端部の位置に略同じ位置である。
【0141】
また、X1方向から視て、第3内側プーリ部355のY方向の中央部C2は、シリコンシール347の第2シール部47bの第2挿通孔172のY方向の中央部Hよりも、Y方向において第2支持体346の中央部Bとは反対側に配置されている。つまり、第3内側プーリ部355のY方向の中央部C2は、シリコンシール347の第2シール部47bの第2挿通孔172のY方向の中央部Hよりも、Y1方向側に配置されている。
【0142】
なお、第1外側プーリ部352、第2内側プーリ部353、第2外側プーリ部354、第3外側プーリ部356、第4内側プーリ部357および第4外側プーリ部358についても上記した構成となる。
【0143】
このように、エンドエフェクタ部材306の数が2個の場合にも、第3内側プーリ部355、第3外側プーリ部356、第4内側プーリ部357および第4外側プーリ部358により第1細長要素1のワイヤWおよび第2細長要素302のワイヤWにかかる負荷の増大を抑制することができる。
【0144】
(第2変形例)
図30および図31を参照して、第2変形例について説明する。この第2変形例では、上記第2実施形態とは、第1プーリ群405aの構成が異なる例について説明する。なお、図中において上記実施形態と同様の構成には同じ符号を付して図示する。
【0145】
以下では、第1内側プーリ部451および第3内側プーリ部355について説明する。なお、第1内側プーリ部451は、「他のプーリ」の一例である。
【0146】
第1内側プーリ部451は、第3軸A3に対してがたつくように構成されている。具体的には、図30Aに示すように、第1内側プーリ部451は、第1内側プーリ部451の軸挿通孔451cと第3軸A3との間に隙間M1を有している。すなわち、第1内側プーリ部451は、所定範囲において揺動可能に設けられている。ここで、図30Bに示すように、第3内側プーリ部355は、第3内側プーリ部355の軸挿通孔355cと第2軸A2との間に隙間M2を有している。なお、隙間M2は、約0に近い値である。なお、第1内側プーリ部451の軸挿通孔451cは、「他の軸挿通孔」の一例である。
【0147】
第3内側プーリ部355に隣接して配置された第1内側プーリ部451の軸挿通孔451cと第3軸A3との隙間M1は、第3内側プーリ部355の軸挿通孔355cと第2軸A2との隙間M2よりも大きい。すなわち、図31に示すように、第3内側プーリ部355では、第2軸A2に対して傾くことが抑制されている。一方で、第1内側プーリ部451では、懸架される第1細長要素1のワイヤWの延びる方向に沿って、第2軸A2に対して傾くことが許容されている。なお、第1外側プーリ部452、第2内側プーリ部453および第2外側プーリ部454のそれぞれについても上記した構成となる。また、第2変形例のその他の構成は、上記実施形態と同様である。
【0148】
(変形例)
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく請求の範囲によって示され、さらに請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0149】
たとえば、上記第2実施形態では、第3内側プーリ部355、第3外側プーリ部356、第4内側プーリ部357および第4外側プーリ部358が、第1内側プーリ部351、第1外側プーリ部352、第2内側プーリ部353および第2外側プーリ部354よりも広い第5所定の溝幅D5を有している例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、第3内側プーリ部および第4内側プーリ部のみが、Y方向の第1支持体の中央部側の位置に配置され、第1内側プーリ部、第1外側プーリ部、第2内側プーリ部および第2外側プーリ部よりも広い第5所定の溝幅を有していてもよい。これにより、細長要素の延びる方向の変化が生じやすい中央部側の位置に配置された第3内側プーリ部および第4内側プーリ部を少なくとも第1内側プーリ部および第2内側プーリ部よりも広い溝幅とすることにより、第3内側プーリ部および第4内側プーリ部により細長要素にかかる負荷の増大を効果的に抑制することができる。
【0150】
また、上記第1および第2実施形態では、手術器具は、エンドエフェクタ部材として、第1ジョーおよび第2ジョーまたはフックを有している例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、手術器具は、エンドエフェクタ部材として、シザーズ、高周波ナイフ、スネアワイヤ、クランプ、ステイプラーなどを用いてもよい。
【符号の説明】
【0151】
5、305:プーリ群(複数のプーリ)、6、306:エンドエフェクタ部材、8:端面部、8a:連通孔、40、340:手術器具(ロボット手術器具)、41、341:エンドエフェクタ、42:シャフト、44、344:細長要素、45、345:第1支持体、46、346:第2支持体、47、347:シリコンシール(シール部材)、51:第1ガイドプーリ部(第1プーリ、他のプーリ)、51c、53c、55c、351c、355c:軸挿通孔、51d:第1ガイドプーリ部の端部(反対側の端部)、52:第2ガイドプーリ部(第1プーリ、他のプーリ)、53:第3ガイドプーリ部(第2プーリ、他のプーリ)、53d:第3ガイドプーリ部の端部(反対側の端部)、54:第4ガイドプーリ部(第2プーリ、他のプーリ)、55:第5ガイドプーリ部(シャフト側プーリ、第3プーリ)、55a、355a:円盤部(両端部)、55d:第3ガイドプーリ部の端部(反対側の端部)、56:第6ガイドプーリ部(シャフト側プーリ、第3プーリ)、171:第1挿通孔(挿通孔)、172:第2挿通孔(挿通孔)、351:第1内側プーリ部(第1プーリ、他のプーリ)、351d:第1内側プーリ部の端部(反対側の端部)、352:第1外側プーリ部(第1プーリ、他のプーリ)、353:第2内側プーリ部(第1プーリ、他のプーリ)、354:第2外側プーリ部(第1プーリ、他のプーリ)、355:第3内側プーリ部(第2プーリ、シャフト側プーリ)、355d:第3内側プーリ部の端部(反対側の端部)、356:第3外側プーリ部(第2プーリ、シャフト側プーリ)、357:第4内側プーリ部(第2プーリ、シャフト側プーリ)、358:第4外側プーリ部(第2プーリ、シャフト側プーリ)、A1:第1軸、A2:第2軸(プーリ軸、他のプーリ軸)、A3:第3軸(他のプーリ軸)、A4:第4軸(プーリ軸)、B、C1、C2、C3:中央部、D1:第1所定の溝幅(他のプーリの溝幅)、D2:第2所定の溝幅(他のプーリの溝幅)、D3:第3所定の溝幅(シャフト側プーリの溝幅)、D4:第4所定の溝幅(他のプーリの溝幅)、D5:第5所定の溝幅(シャフト側プーリの溝幅)、F1:直線、M1、M2:隙間、R2:第2軸の回転軸線(回転中心軸線)、R3:第3軸の回転軸線(回転中心軸線)、R4:第4軸の回転軸線(回転中心軸線)、W:ワイヤ
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