(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記基準データは、紙葉類のカラー画像を色分解した複数色の画素値から特徴量を算出し、該特徴量を所定の評価式に代入して得られた評価値が、カラー汚損紙葉類であることを示す値か否かを判定するための閾値であり、
前記判定部は、前記画像取得部が取得した紙葉類の画像から前記評価値を算出して前記閾値と比較することにより前記紙葉類がカラー汚損紙葉類であるか否かを判定する
ことを特徴とする請求項1に記載の紙葉類汚損判定装置。
前記評価式は、経年変化による色の変化がない複数枚の紙葉類の画像及び経年変化により色が変化した複数枚の紙葉類の画像から算出した前記特徴量の主成分分析を行って得られた、所定主成分の主成分得点を算出するための式であることを特徴とする請求項2又は3に記載の紙葉類汚損判定装置。
前記経年変化により色が変化した複数枚の紙葉類の画像は、紙葉類を撮像した画像の色成分を変更し、経年変化による色の変化を擬似的に再現して生成した画像であることを特徴とする請求項4に記載の紙葉類汚損判定装置。
前記判定部は、前記評価値に基づいて、複数枚のカラー汚損紙葉類に付いた色汚れが同じ色であるか否かを判定することを特徴とする請求項2〜6のいずれか1項に記載の紙葉類汚損判定装置。
前記判定部は、前記紙葉類上に予めブロックとして設定された部分領域を対象として、前記ブロックを形成する画素の画素値から前記評価値を算出し、前記紙葉類がカラー汚損紙葉類であるか否かを判定することを特徴とする請求項2〜6のいずれか1項に記載の紙葉類汚損判定装置。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面を参照しながら、本発明に係る紙葉類汚損判定装置及び紙葉類汚損判定方法の好適な実施形態について詳細に説明する。紙葉類汚損判定方法は、例えば、複数枚の紙葉類を1枚ずつ連続して処理する紙葉類処理装置内で利用される。汚損判定の判定対象とする紙葉類の種類は特に限定されないが、本実施形態では、紙幣を例に説明する。具体的には、紙幣の金種、真偽、正損等を識別し、識別結果に基づいて紙幣を種類別に分類する紙幣処理装置(紙葉類処理装置)を例に、紙葉類汚損判定装置及び紙葉類汚損
判定方法について説明する。
【0021】
まず、紙葉類汚損判定方法の概要を説明する。
図1は、紙幣処理装置1が実行する紙葉類の汚損判定を説明するための図である。
図1に示す紙幣処理装置1が、紙葉類汚損判定装置として機能する。紙幣処理装置1は、複数枚の紙幣100を受け付けて1枚ずつ装置内に取り込み、各紙幣の金種、真偽、正損等を識別する。紙幣処理装置1は、識別結果に基づいて、リジェクト部、集積部等に紙幣を種類別に分けて排出して集積する。
【0022】
紙幣処理装置1は、正損識別を行って、
図1に示すように、紙幣100を正券101と損券111〜114とに分類する。例えば、市場で再使用可能な紙幣が正券とされ、再使用できない紙幣が損券とされる。紙幣処理装置1は、紙幣を撮像した画像から光学的特徴を示す値を取得して、紙幣の汚れ、皺、破れ等の有無を判定する。また、紙幣の厚みを示す値を取得して、紙幣に貼り付けられたテープの有無等を判定する。判定は、紙幣から取得した値を、正券と損券を分けるために予め準備された閾値と比較することによって行われる。基準データとして利用する閾値を変更することによって、どのような紙幣を損券とするかを変更できるようになっている。
【0023】
損券には、破れた紙幣、一部が欠損した紙幣、折れや皺等の傷みがひどい紙幣、落書きされた紙幣、経年変化により変色した紙幣、インクや染料等による色汚れが付いた紙幣等、様々な紙幣が含まれる。紙幣処理装置1は、これらの損券を区別して種類別に分類することができる。特に、落書きされた紙幣、経年変化により変色した紙幣等の通常汚損券と、色汚れにより変色したカラー汚損券とを区別できる点が、紙幣処理装置1の1つの特徴となっている。本特徴について説明するため、以下では、損券111〜114が、経年変化により変色した通常汚損券、又は色汚れが付いたカラー汚損券のいずれかであるものとして説明を続ける。
【0024】
正損識別を行って正損を分類した紙幣処理装置1は、さらに、損券111〜114を、通常汚損券111と、カラー汚損券112〜114とに分類する。紙幣処理装置1は、さらに、色汚れの色が異なるカラー汚損券112、113を、色別に分類することができる。また、カラー汚損券112〜114を、全体に色汚れが付いたカラー汚損券112、113と、一部の領域のみに色汚れが付いたカラー汚損券114とに分類することもできる。なお、
図1では、例えば、印刷直後の色に比べて、カラー汚損券112は全体が青色に汚れ、カラー汚損券113は全体が緑色に汚れ、カラー汚損券114は一部が赤色に汚れているというように、色汚れの色が異なることを模式的に示している。
【0025】
ここで、カラー汚損券(カラー汚損紙葉類)112〜114とは、予め設定した所定面積以上の領域に、インクや染料等による色(色汚れ)が付いた紙幣を言う。紙幣処理装置1は、インクや染料等による色汚れが付いたために、通常の紙幣とは異なる色に変化したカラー汚損券を、他の紙幣と区別して検出することができる。具体的には、文字や線等の落書きがされたり局所的に汚れが付いたりした紙幣と区別して、カラー汚損券を検出することができる。また、印刷直後の状態に比べると広範囲に色が変化しているが、色汚れではなく経年変化による退色が原因である紙幣と区別して、カラー汚損券を検出することができる。
【0026】
紙幣処理装置1は、例えば、紙幣を複数の部分領域に分割した複数ブロックのうち、少なくとも1つのブロック全体に色汚れが付いた紙幣をカラー汚損券と判定する。例えば、縦横の寸法が30mm程度の矩形形状を1つのブロックとし、このブロック全体に色汚れが付いた紙幣をカラー汚損券とする。色汚れが付いたブロックの数によって、紙幣全体に色汚れが付いたカラー汚損券112、113と、一部の領域のみに色が付いたカラー汚損券114とを区別することができる。なお、カラー汚損の有無を判定するブロックの大きさや位置は、設定により変更できるようになっている。
【0027】
紙幣が発行されてから長い年月が経過すると、経年変化による退色が生じ、紙幣全体の色が変化する。具体的には、例えば、紙幣の白地部分(紙の色)が黄ばんだ色になる。また、例えば、赤や青等のインクで鮮やかに印刷された、文字、肖像、幾何学模様等の図柄がくすんだ色になる。紙幣処理装置1は、このように経年変化によって色が変化した通常汚損券111と、染料等によって色が付いたカラー汚損券112〜114とを区別することができる。
【0028】
紙幣処理装置1は、紙幣上に設定されたブロックの色合いを示す値を、特徴量として、カラー汚損の判定に利用する。例えば、紙幣を撮像したカラー画像を利用して、画像上でブロックを形成する各画素のR(赤)、G(緑)、B(青)の色別の画素値(輝度値)の総和を、ブロックの特徴量とする。また、例えば、各画素の色成分の画素値の相関特徴の総和を、ブロックの特徴量とする。具体的には、例えば、RGBの各画素値の高次自己相関特徴(HLAC:Higher−order Local AutoCorrelation)の値を利用するが詳細は後述する。
【0029】
図1の枠121内に示した図は、紙幣を撮像したカラー画像から、ブロックの色合いを示す複数の特徴量を算出して、複数次元の特徴空間上にプロットした状態を模式的に示したものである。特徴量に基づいてブロックのデータをプロットした場合、カラー汚損や退色がない発行後未使用の紙幣(以下「官封券」と記載する)のブロックのデータ131が、1つの集合130を形成する。一方、経年変化によって退色した紙幣(通常汚損券)のブロックのデータ141が、異なる集合140を形成する。
【0030】
発行後の年数や使用状況によって、経年変化による退色の度合いは異なる。退色により大きく変色した紙幣のデータは、退色券の集合140内にプロットされる。退色券の集合140に含まれる程ではないものの退色が見られる紙幣のデータ151は、官封券の集合130の重心と、退色券の集合140の重心とを結ぶ直線上又はその近辺に分布する。退色した紙幣のデータは、退色の度合いが大きいほど退色券の集合140に近い位置にプロットされる。退色により色が変化した紙幣を正券とするか損券とするかは、正損の閾値を設定することにより変更することができる。例えば、官封券の集合130と退色券の集合140との間に境界となる閾値を設定すれば、データが官封券の集合側にプロットされる場合は正券、退色券の集合側にプロットされる場合は損券と判定することができる。閾値の設定によって、データ151が示す紙幣を正券101に分類することもできるし、損券111〜114に分類することもできるが、ここでは正券101に分類するものとして説明を続ける。
【0031】
ブロックの色成分を示す複数色の画素値から算出する特徴量は、経年変化による退色で紙幣の色が徐々に変化するにつれて、官封券の集合130と退色券の集合140とを直線的に接続する帯状領域を移動する。具体的には、退色による色の変化が大きくなるにつれて、官封券の集合130近傍の位置から退色券の集合140近傍の位置へ向かって移動する。一方、ブロックの略全体に色が付いたカラー汚損券のデータ161、162は、官封券の集合130と、退色券の集合140と、これらの集合を直線的に結ぶ帯状領域とから外れた位置にプロットされる。
【0032】
紙幣処理装置1は、枠121内に示すように、ブロックの特徴量に基づいて特徴空間にプロットした各データ131、141、151、161、162と、官封券の集合130と、退色券の集合140との位置関係に基づいて、紙幣を種類別に分類する。具体的には、データ131が示す紙幣及びデータ151が示す紙幣は、正券101に分類する。データ141が示す紙幣は、通常汚損券111に分類する。データ161が示す紙幣及びデータ162が示す紙幣は、色汚れの面積や色に応じてカラー汚損券112〜114のいずれかに分類する。
【0033】
紙幣処理装置1では、カラー汚損券をさらに高精度に検出するため、主成分分析を利用した汚損判定を行うことができる。色合いを示す複数次元の特徴量を変量として主成分分析を行うと、
図1の枠121内に矢印で示したように、経年変化による色の変化に起因する特徴量の変化が、第1主成分として得られる。これに続いて寄与率の高い第2主成分、第3主成分をカラー汚損券の検出に利用する。
【0034】
図1の枠122内の図は、特徴量から算出した第2主成分及び第3主成分の値を主成分空間上にプロットした状態を模式的に示したものである。枠122内に示すように、第2主成分及び第3主成分を利用すれば、官封券のデータ131及び退色した紙幣のデータ141、151を含む集合171と、カラー汚損券のデータ161、162を含む集合172とを分離することができる。これを利用して、紙幣処理装置1は、カラー汚損券と他の紙幣とを区別する。
【0035】
具体的には、主成分分析を行って得られた、特徴量から第2主成分及び第3主成分の主成分得点を算出する式を、評価式とする。紙幣処理装置1は、ブロックの色成分を示す画素値から特徴量を算出して評価式に代入し、第2主成分及び第3主成分の主成分得点を算出する。そして、算出した値を評価値として、ブロックにカラー汚損があるか否かを評価する。
【0036】
図1の枠122内に示すように、第2主成分及び第3主成分の主成分得点を主成分空間上にプロットしたデータが、カラー汚損券を示す集合172に含まれる場合は、このブロックはカラー汚損券のブロックであると判定する。すなわち、ブロックにはカラー汚損があると判定する。これにより、カラー汚損券112〜114と、正券101や通常汚損券111とを区別することができる。
【0037】
紙幣処理装置1は、各ブロックのカラー汚損有無の判定結果に基づいて、紙幣全体に色汚れが付いたカラー汚損券112、113と、部分的に色が付いたカラー汚損券114とを区別する。また、主成分空間上における、カラー汚損券の2つのデータ161、162の間の距離や方向等の位置関係に基づいて、各データ161、162が示すカラー汚損券の色汚れが同じ色であるか否かを判定する。これにより、紙幣に付いた色汚れの色が異なるカラー汚損券112と、カラー汚損券113とを区別することができる。
【0038】
具体的には、紙幣に設定された全てのブロックのうち1つでもカラー汚損があるブロックがあれば、紙幣処理装置1は、この紙幣をカラー汚損券112〜114と判定する。このとき、複数ブロックのうち一部のブロックにカラー汚損があり、他のブロックにカラー汚損がない場合、紙幣処理装置1は、この紙幣を、部分的に色汚れが付いたカラー汚損券114と判定する。一方、全てのブロックにカラー汚損がある場合、紙幣処理装置1は、この紙幣を、紙幣全面に色汚れが付いたカラー汚損券112、113と判定する。
【0039】
また、紙幣処理装置1は、カラー汚損を示すデータ161とデータ162の位置関係に基づいて、データ161が示すカラー汚損の色と、データ162が示すカラー汚損の色とが異なる色であるか否かを判定する。この判定結果に基づいて、紙幣処理装置1は、紙幣全面に色汚れが付いたカラー汚損券112、113を、色別に分類する。同様に、紙幣の一部に色汚れが付いたカラー汚損券についても、色の違いを区別して、色別に分類することも可能である。
【0040】
説明を簡単にするため、
図1では、経年変化による退色で色が変化した紙幣を通常汚損券111として、カラー汚損券112〜114と区別する例を説明したが、正損識別の設定がこれに限定されるものではない。例えば、経年変化により退色した紙幣を正券に分類する設定とすることもできる、同様に、カラー汚損券112〜114についても、カラー汚損券112〜114を正券に分類する設定とすることもできる。また、例えば黄色に汚れた紙幣は正券とするというように、正券とするか損券とするかを、色汚れの色に基づいて判定するように設定することもできる。また、例えば3つ以上のブロックにカラー汚損があれば損券とするというように、正券とするか損券とするかを、カラー汚損のあるブロックの数に基づいて判定するよう設定することもできる。紙幣処理装置1が行った正損識別、汚損判定の結果に基づいて、紙幣をどのように分類するかについては、設定により変更することができる。
【0041】
続いて、紙幣処理装置1の構成について説明した後、通常汚損券とカラー汚損券とを区別するための特徴量及び主成分の詳細について説明する。
図2は、紙幣処理装置1の構成を説明するための図である。
図2(a)は、紙幣処理装置1の外観を示す斜視図である。
図2(b)は、紙幣処理装置1の内部構成概略を示す断面模式図である。紙幣処理装置1は、複数の紙幣を受ける受入部11と、受入部11に受けた複数の紙幣を1枚ずつ装置内へ取り込む取込部10とを有する。装置前面には、設定変更や紙幣処理に関する情報の入力、指示命令に関する入力等を行うための操作部51が設けられている。また、装置前面には、設定内容、紙幣処理結果等の情報を表示するための表示部52が設けられている。
【0042】
図2(b)に示すように、紙幣処理装置1の内部には、取込部10が装置内に取り込んだ紙幣を搬送路に沿って搬送する搬送部70と、搬送部70によって搬送される紙幣を識別計数するための識別部55とが設けられている。紙幣処理装置1には、例えば、処理対象外の紙幣、偽券、偽券の疑いがあるが真偽を確定できないサスペクト紙幣等、予め設定した種類の紙幣をリジェクト紙幣として排出するための2つのリジェクト部65(65a、65b)が設けられている。第1リジェクト部65a及び第2リジェクト部65bに、リジェクト紙幣を種類別に分類して排出することができる。
【0043】
識別部55は、搬送部70によって搬送される紙幣から、該紙幣の金種、真偽、正損等を識別して計数するための各種データを取得する。識別部55が取得するデータには、カラー汚損の有無を判定するためのデータが含まれる。
【0044】
集積部60(60a〜60h)は、搬送部70によって搬送されてきた紙幣を受けて集積する。集積部60は、前面に開口部を有する。紙幣処理装置1を利用する操作者は、集積部60に集積された紙幣を開口部から抜き取ることができる。また、装置前面には、第1集積部60a〜第8集積部60hのそれぞれに対応して、集積紙幣に関する情報を表示するための個別表示部62a〜62hが設けられている。
【0045】
識別部55が取得したデータに基づいて、紙幣の金種、真偽、正損等が識別される。識別結果に基づいて、リジェクト紙幣はリジェクト部65に集積され、その他の紙幣は各集積部60a〜60hに種類別に分類して集積される。各集積部60a〜60hに集積される紙幣の種類は、設定により変更することができる。操作者は、表示部52に表示された設定内容を確認しながら、操作部51を操作することにより、判定処理等に係る設定や、判定結果に基づく紙幣の集積先の設定を変更することができる。
【0046】
例えば、カラー汚損券を、他の紙幣と分けてリジェクト部65に集積する設定とすることもできるし、カラー汚損券を集積部60に集積する設定とすることもできる。このとき、紙幣全体に色汚れが付いたカラー汚損券と、部分的に色汚れが付いたカラー汚損券とを分類して集積する設定とすることもできる。また、紙幣に付いた色汚れの色を区別して、カラー汚損券を色別に分類して集積する設定とすることもできる。
【0047】
図2(b)に示すように、搬送部70には、搬送路を搬送される紙幣を分岐するための複数の分岐部材71が設けられている。また、搬送部70には、搬送路を搬送される紙幣を検知するための複数のセンサ72が設けられている。識別部55が取得したデータを利用して紙幣の識別結果が得られると、識別結果に基づいて、集積部60及びリジェクト部65の中から紙幣の集積先が決定される。センサ72によって紙幣の搬送位置を検知しながら分岐部材71による分岐動作を制御することにより、各紙幣を、決定した集積先へ搬送して集積することができる。各集積部60には、集積部内の紙幣の有無を検知するセンサ73が設けられている。
【0048】
図3は、紙幣処理装置1の機能構成概略を示すブロック図である。
図3に示すように、紙幣処理装置1は、上述した構成に加えて、制御部50及び記憶部56を有する。制御部50が、記憶部56に保存されたデータを参照しながら各部を制御することにより、本実施形態に記載の各機能及び動作を実現することができる。制御部50は、カラー汚損に係る判定処理を行う判定部として機能する。
【0049】
記憶部56は、例えば不揮発性の半導体メモリから成り、制御部50の動作に必要なプログラムや設定等、各種データを保存するために利用される。記憶部56には、識別処理や判定処理に係る設定、閾値やテンプレート等の基準データ、リジェクト部65及び集積部60に集積する紙幣の種類に係る設定等が保存されている。また、記憶部56は、紙幣を撮像した画像、識別結果等の一時保存に利用される。
【0050】
識別部55は、搬送部70が搬送する紙幣に光を照射する光源80と、紙幣を撮像するラインセンサ81とを有する。識別部55は、紙幣の画像を取得する画像取得部として機能する。識別部55は、光源80を点灯して紙幣に光を照射し、ラインセンサ81で紙幣全面の画像を取得する。画像の取得方法は、紙幣に白色光を照射してカラー画像を取得する態様であってもよいし、例えばRGB各色の光を別々に照射して各色の画像を取得する態様であってもよい。
【0051】
識別部55は、光源80及びラインセンサ81の他に、紙幣の磁気特徴に係るデータを取得するための磁気センサ、紙幣の厚みに係るデータを取得するための厚み検知センサ等を有する。各センサで取得したデータを利用して、紙幣の識別処理が行われるが、識別処理は従来技術と同様に行うことができるため詳細な説明は省略する。
【0052】
次に、カラー汚損の判定に用いる特徴量について説明する。
図4は、特徴量の算出に利用する紙幣画像について説明する図である。ラインセンサ81によって、紙幣200の全面を撮像し、
図4に示すように、R画像301、G画像401、B画像501を取得する。R画像301、G画像401及びB画像501は、例えば、紙幣200を縦横数mmの複数の矩形領域に分割して、各矩形領域を1画素として撮像した画像である。
【0053】
紙幣200にRGB各色の光を順に照射する場合には、
図4に示すR画像301、G画像401及びB画像501を直接取得することができる。紙幣200に白色光を照射する場合には、カラーの紙幣画像が得られる。このカラー画像から、RGBの3色に色分解したR画像301、G画像401、B画像501を取得することができる。
【0054】
R画像301は、紙幣200を撮像したカラー画像のR成分の画素値を示す画像である。R画像301は、複数のブロック321に分割されている。例えば、短手方向(
図4縦方向)に2分割、長手方向(
図4横方向)に4分割することにより、R画像301を、8つのブロック321(R1、R2…)に分割する。
【0055】
G画像401は、紙幣200を撮像したカラー画像のG成分の画素値を示す画像である。G画像401の各画素411はR画像301の各画素311に対応し、G画像401の各ブロック421はR画像301の各ブロック321に対応している。B画像501は、紙幣200を撮像したカラー画像のB成分の画素値を示す画像である。B画像501の各画素511はR画像301の各画素311に対応し、B画像501の各ブロック521はR画像301の各ブロック321に対応している。
【0056】
紙幣200のR画像301、G画像401、B画像501が得られると、制御部50は、各ブロックの特徴量を算出する。各ブロックにおける特徴量の算出方法は同一であるため、第1ブロック(R1、G1、B1)を例に算出方法を説明する。
【0057】
図5は、特徴量の算出方法を説明するための図である。制御部50は、
図5(a)に示すように、R画像301の第1ブロックR1、G画像401の第1ブロックG1、B画像501の第1ブロックB1の間で対応する各画素311、411、511の画素値から特徴量を算出する。
【0058】
例えば、R成分の画素値、G成分の画素値、B成分の画素値から高次自己相関特徴(HLAC)を算出して特徴量とする。具体的には、例えば
図5(b)に示すマスクパターン240を適用して、R画像301の第1ブロックR1に含まれる各画素311の画素値の積を算出する。そして、全画素について算出した画素値の積を合算した総和を求めて特徴量の1つとする(
図5(c)のΣ(R×R))。同様に、制御部50は、R画像301の第1ブロックR1に含まれる各画素311の画素値と、G画像401の第1ブロックG1に含まれる、対応する画素411の画素値との積を算出する。そして、全画素について算出した積を合算した総和を算出して特徴量の1つとする(
図5(c)のΣ(R×G))。こうして、各ブロックについて、
図5(c)に示すように、R成分の画素値から算出した特徴量(Σ(R×R))、R成分の画素値とG成分の画素値から算出した特徴量(Σ(R×G))、R成分の画素値とB成分の画素値から算出した特徴量(Σ(R×B))、G成分の画素値から算出した特徴量(Σ(G×G))、G成分の画素値とB成分の画素値から算出した特徴量(Σ(G×B))、B成分の画素値から算出した特徴量(Σ(B×B))の6次元の特徴量が得られる。
【0059】
次に、カラー汚損の有無を判定するための判定条件の設定方法について説明する。まず、カラー汚損の判定対象とする紙幣の現物を多数枚準備する。具体的には、複数枚の官封券現物と、経年変化によって退色した複数枚の退色券現物とを準備する。そして、準備した官封券及び退色券それぞれを撮像し、各画像から、上述したように、各ブロックについて6次元の特徴量を算出する。
【0060】
準備する退色券現物は、経年変化による色の変化を検出するため、落書きされた紙幣やインク汚れが付着した紙幣等、経年変化以外の理由による色の変化がない紙幣であることが好ましい。例えば紙幣が新たに発行されたばかりで退色券現物を入手できない等の場合は、入手できる紙幣の画像から擬似的に退色券の画像を生成する。経年変化により、紙幣の白地部分が黄ばみ、赤や青等のインクによる印刷部分が色褪せる。このため、例えば、官封券の紙幣画像のRGB各成分の画素値を低下させるなどして色褪せを再現すると共に、R成分の画素値及びG成分の画素値に比べてB成分の画素値を大きく低下させるなどして黄ばみを再現し、疑似的に退色券の画像を生成する。退色を再現する際のRGB各画素値の変更量については、例えば、他の金種の官封券現物と退色券現物との色の違いを参考に決定する。
【0061】
多数枚の官封券及び退色券それぞれの各ブロックについて特徴量が得られたら、ブロック別に、得られた特徴量を変量とする主成分分析を行う。そして、寄与率が最も高いものから順に第1主成分〜第3主成分を採用する。官封券と退色券とを対象に主成分分析を行うため、第1主成分は、官封券が退色した際の色の変化を示す成分となる。これに対して、第2主成分及び第3主成分は、退色とは異なる色の変化を示す成分となる。各ブロックの第1主成分、第2主成分、第3主成分の各値を算出するための係数等の情報を、各ブロックのカラー汚損に係る判定条件として記憶部56に保存する。すなわち、各ブロックの特徴量から、カラー汚損判定用の評価値として利用する第2主成分及び第3主成分の主成分得点を算出するための評価式を、判定条件として、予め記憶部56に保存しておく。なお、各ブロックとする紙幣上の部分領域についても予め記憶部56に保存されている。例えば、紙幣の種類毎にブロック及び判定条件が設定されている。例えば、紙幣画像を取得した後、先に紙幣の種類を識別し、該種類について設定されたブロックから特徴量を得て、紙幣の種類に対応する判定条件を利用して処理を進めることができる。
【0062】
図6は、第1主成分、第2主成分、第3主成分の主成分得点をプロットした際の集合の例を示す図である。例えば、官封券、退色券(通常汚損券)、カラー汚損券が混在する多数の紙幣の同一ブロックについて、第1主成分の値を求めてプロットする。この結果、
図6(a)に示すように、官封券の集合601と、退色券の集合611及びカラー汚損券の集合612とが分離される。一方、第2主成分及び第3主成分の値を求めてプロットすると、
図6(b)に示すように、官封券の集合601及び退色券の集合611と、カラー汚損券の集合612とが分離される。
【0063】
官封券現物及び退色券現物を準備して、各ブロックについて、
図6(a)に示すように官封券の集合601と退色券の集合611とが得られたら、官封券及び正券と、他の紙幣とを区別できるように、第1主成分の閾値を設定する。そして、各閾値を、各ブロックの判定条件として記憶部56に保存する。紙幣処理装置1によって紙幣を識別する際、制御部50は、記憶部56の判定条件を参照して、判定対象とする紙幣の各ブロックから第1主成分の値を求め、各ブロックについて設定された閾値と比較する。これにより、官封券及び正券と、その他の紙幣とを区別することができる。
【0064】
官封券現物及び退色券現物を準備して、各ブロックについて、
図6(b)に示すように、官封券の集合601と退色券の集合611とが得られたら、例えば、これら2つの集合を含む領域外縁の値に基づいて閾値を設定する。そして、各閾値を、各ブロックの判定条件として記憶部56に保存する。紙幣処理装置1によって紙幣を識別する際、制御部50は、記憶部56の判定条件を参照して、判定対象とする紙幣の各ブロックから第2主成分及び第3主成分の値を求め、各ブロックについて設定された閾値と比較する。そして、ブロックから得られた値が、官封券の集合601及び退色券の集合611に含まれなければ、このブロックはカラー汚損券のブロックであると判定することができる。
【0065】
すなわち、カラー汚損の有無を判定するための基準データとして閾値を設定し、判定条件として予め記憶部56に保存しておく。そして、予め準備された評価式に特徴量の値を代入して算出した主成分得点を、評価値として基準データと比較することにより、カラー汚損の有無を判定するものである。
【0066】
なお、官封券現物及び退色券現物を準備して、カラー汚損判定用の判定条件を設定する例を示したが、判定条件の設定方法がこれに限定されるものではない。例えば、官封券現物及び退色券現物に加えて、カラー汚損券の現物を利用してもよい。官封券、退色券及びカラー汚損券の現物を多数枚準備して、
図6(b)に示すように、第2主成分及び第3主成分の値に基づくカラー汚損券の集合612を調べる。そして、例えば、カラー汚損券の集合612の外縁を形成する第2主成分及び第3主成分の値に基づいて閾値を設定してもよい。これにより、判定対象とする紙幣のブロックから第2主成分及び第3主成分の値を求めて閾値と比較し、カラー汚損券の集合612に含まれていれば、カラー汚損券のブロックであると判定することができる。また、カラー汚損券の集合612と、官封券の集合601及び退色券の集合611とを区別できるように、主成分空間を2つに分割する閾値(境界)を設定してもよい。これにより、判定対象とする紙幣のブロックから第2主成分及び第3主成分の値を求めて、いずれの領域に含まれるかに基づいて、カラー汚損券のブロックであるか否かを判定することができる。なお、カラー汚損券の集合612を調べる際、退色券の場合と同様に、官封券画像のRGBの画素値を変更して、擬似的にカラー汚損券の画像を生成して利用してもよい。
【0067】
カラー汚損の判定方法が、各ブロックについて算出した第2主成分及び第3主成分の値を直接利用する態様に限定されるものではない。例えば、第2主成分及び第3主成分の値からマハラノビス距離を算出して判定する態様であってもよい。例えば、第2主成分及び第3主成分の値で規定される判定対象ブロックのデータの位置から、官封券の集合601及び退色券の集合611を含む集合迄のマハラノビス距離を算出する。該マハラノビス距離が、予め設定した閾値を超える場合に、カラー汚損があると判定することができる。また、例えば、第2主成分及び第3主成分の値で規定される判定対象ブロックのデータの位置から、カラー汚損券の集合612迄のマハラノビス距離を算出する。該マハラノビス距離が、予め設定した閾値を超えない場合に、カラー汚損券のブロックであると判定することができる。
【0068】
次に、第1主成分〜第3主成分の値に基づいて行う正損識別及び汚損判定の処理の流れについて説明する。
図7は、正損識別及び汚損判定の処理例を示すフローチャートである。紙幣処理装置1は、紙幣の光学特徴、磁気特徴、厚み等のデータを総合的に判定して紙幣の金種、真偽、正損等を識別するが、
図7は、カラー汚損の判定に関する処理のみを示している。
【0069】
操作者は、カラー汚損の判定対象とする複数枚の紙幣を受入部11に載置して、紙幣処理を開始する。取込部10によって受入部11から1枚ずつ装置内に取り込まれた紙幣は、搬送部70によって、搬送路に沿って搬送される。搬送の途中で、識別部55が、紙幣全体のカラー画像を取得する(ステップS1)。
【0070】
制御部50は、予め紙幣上に設定された複数ブロックのそれぞれについて、紙幣画像のR成分、G成分、B成分の各画素値から、高次自己相関特徴に基づく特徴量を算出する(ステップS2)。続いて、制御部50は、算出した特徴量と、予め記憶部56に保存されている判定条件とに基づいて、複数ブロックのそれぞれについて、第1主成分、第2主成分、第3主成分の各主成分得点を算出する(ステップS3)。制御部50は、第1主成分の値と、予め記憶部56に判定条件として保存されている情報とに基づいて、紙幣が正券であるか否かを判定する(ステップS4)。
【0071】
例えば、制御部50は、各ブロックの第1主成分の値と、
図6(a)に示す官封券の集合601の間のマハラノビス距離を算出する。そして、紙幣について設定された複数ブロック全てのマハラノビス距離が、予め基準データとして設定された閾値以下であれば、制御部50は、紙幣は正券であると判定する(ステップS4;Yes)。複数ブロックのうち1つでも、マハラノビス距離が閾値を超えるものがあれば、制御部50は、紙幣は正券ではないと判定する(ステップS4;No)。
【0072】
紙幣が正券であるとの判定結果が得られた場合(ステップS5)、制御部50は判定処理を終了する。一方、紙幣が正券ではない、すなわち損券であるとの判定結果が得られた場合、制御部50は、続いて、紙幣がカラー汚損券であるか否かを判定する判定処理を実行する(ステップS6)。
【0073】
例えば、制御部50は、各ブロックの第2主成分及び第3主成分の値と、
図6(b)に示すカラー汚損券の集合612の間のマハラノビス距離を算出する。そして、紙幣について設定された複数ブロック全てのマハラノビス距離が、予め基準データとして設定された値を超えていれば、制御部50は、紙幣がカラー汚損券ではないと判定する(ステップS6;No)。複数ブロックのうち1つでも、マハラノビス距離が閾値以下であれば、制御部50は、紙幣はカラー汚損券であると判定する(ステップS6;Yes)。
【0074】
紙幣がカラー汚損券ではない、すなわち経年変化により退色した紙幣等の通常汚損券であるとの判定結果が得られると(ステップS8)、制御部50は判定処理を終了する。また、紙幣がカラー汚損券であるとの判定結果が得られた場合も(ステップS7)、制御部50は判定処理を終了する。
【0075】
ただし、カラー汚損券であるとの判定結果が得られた場合は、さらに処理を続ける設定とすることもできる。例えば、
図6(b)に示すカラー汚損券の集合612と、判定対象ブロックのデータをプロットした点との位置関係から、カラー汚損券を、汚損の色別に分類する処理を行う設定とすることもできる。また、例えば、カラー汚損があると判定されたブロックの数に基づいて、紙幣全体に色汚れが付いたカラー汚損券と、一部のブロックのみに色汚れが付いたカラー汚損券とを分類する処理を行う設定とすることもできる。
【0076】
また、
図7では、判定対象ブロックのデータを第2主成分及び第3主成分から成る主成分空間にプロットし、カラー汚損券の集合からのマハラノビス距離に基づいてカラー汚損の有無を判定する例を示したが、判定方法がこれに限定されるものではない。例えば、上述したように、官封券及び退色券の集合からのマハラノビス距離を求めて、この距離が、予め設定した閾値を超える場合にカラー汚損券と判定する態様であってもよい。また、退色券のみの集合からマハラノビス距離を求めてカラー汚損の有無を判定する態様であってもよい。
【0077】
本実施形態では、紙幣の全面を複数に分割してブロックとする例を示したが、ブロックの設定がこれに限定されるものではない。紙幣全面の色汚れを判定する必要がない場合は、色汚れを判定したい領域のみにブロックを設定すればよい。例えば、紙幣の盗難等に対応するため、異常を検知すると特殊インクを紙幣に噴射して紙幣に色を付ける装置がある。特殊インクが付着する領域が限定される場合には、この領域の色汚れを検出できるように、一部の領域のみにブロックを設定すればよい。
【0078】
本実施形態では、紙幣上に設定したブロックの色合いを示す特徴量を利用して、カラー汚損券を検出する例を示した。この他、ブロックの色合いを示す特徴量を、紙幣の金種や真偽の識別に利用する態様であってもよい。例えば、同様の図柄が印刷されているが、金種によって図柄の色合いが異なる紙幣や、紙幣の発行年によって図柄の色合いが異なる金種の紙幣があるものとする。この場合、上述したように、RGBの各画素値から求めた特徴量、該特徴量から求めた主成分得点等を利用して、色合いが異なる紙幣を区別することにより、紙幣の金種や発行年を識別することができる。また、例えば、真の紙幣と色合いが異なる偽の紙幣が出現した場合も、同様に、RGB各画素から求めた特徴量、該特徴量から求めた主成分得点等を利用して色合いを区別することにより、紙幣の真偽を識別することができる。すなわち、ブロックの色合いを示す特徴量は、紙幣の色特徴として、該紙幣の種類を特定するために様々な目的で利用することができる。
【0079】
本実施形態では、紙幣を撮像したカラー画像のR成分、G成分、B成分の画素値を利用して特徴量を算出する例を示したが、特徴量の算出に利用する色がRGBに限定されるものではない。紙幣の退色による色の変化を抽出することができれば、他の色の画素値から特徴量を算出する態様であってもよい。例えば、赤外波長の光で紙幣を撮像した画像の画素値をIR成分、緑の光で紙幣を撮像した画像の画素値をG成分、紫の光で紙幣を撮像した画像の画素値をV成分として、これら3つの色成分の画素値から特徴量を算出する態様であってもよい。また、4つ以上の色成分の画素値から特徴量を算出する態様であってもよい。
【0080】
本実施形態では、各ブロックのR成分、G成分、B成分の各画素値から、高次自己相関特徴として6次元の特徴量を算出する例を示したが、特徴量がこれに限定されるものではない。例えば、対象とする画素と、隣接する画素との相関特徴を示す値を、特徴量として利用してもよい。具体的には、例えば、対象とする画素のR成分、G成分、B成分の各画素値と、この画素に隣接する画素のR成分、G成分、B成分の各画素値との積を求めて合算した総和を特徴量に加え、7次元以上の高次自己相関特徴の値を特徴量とする態様であってもよい。
【0081】
本実施形態では、紙幣の片面を撮像した画像を利用してカラー汚損の有無を判定する例を示したが、判定方法がこれに限定されるものではない。例えば、紙幣の表面の画像と、裏面の画像とを取得して、各面の画像について、上述したカラー汚損の判定を行う態様であってもよい。例えば、表面と裏面のいずれか一方の面にカラー汚損があると判定された場合にカラー汚損券であると判定し、両面でカラー汚損がないと判定された場合にカラー汚損券ではないと判定することができる。また、例えば、表面と裏面のいずれか一方の面にカラー汚損があってもカラー汚損券とは判定しないように設定することもできる。
【0082】
上述したように、本実施形態に係る紙幣処理装置1によれば、紙幣を撮像したカラー画像から複数色の画素値を得て、紙幣の色合いを示す特徴量を算出することができる。算出した特徴量を、予め準備された評価式に代入して、カラー汚損の有無を判定するための評価値を算出することができる。算出した評価値を、予め基準データとして設定された閾値と比較することにより、カラー汚損の有無を判定することができる。評価式及び閾値は、多数枚の官封券及び退色券の特徴量を主成分分析して得られたもので、これらを利用することにより、退色により色が変化した紙幣と、色汚れが付いたカラー汚損券とを区別することができる。これにより、色汚れが付いたカラー汚損券を高精度に検出することができる。