特許第6878728号(P6878728)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6878728チップ抵抗素子及びチップ抵抗素子アセンブリー
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6878728
(24)【登録日】2021年5月7日
(45)【発行日】2021年6月2日
(54)【発明の名称】チップ抵抗素子及びチップ抵抗素子アセンブリー
(51)【国際特許分類】
   H01C 7/00 20060101AFI20210524BHJP
【FI】
   H01C7/00 110
   H01C7/00 320
【請求項の数】11
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-17162(P2017-17162)
(22)【出願日】2017年2月1日
(65)【公開番号】特開2018-26519(P2018-26519A)
(43)【公開日】2018年2月15日
【審査請求日】2019年12月27日
(31)【優先権主張番号】10-2016-0102283
(32)【優先日】2016年8月11日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】パク、クァンヒョン
【審査官】 鈴木 駿平
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−030902(JP,A)
【文献】 特開昭59−055090(JP,A)
【文献】 特開昭62−046656(JP,A)
【文献】 特開2000−012305(JP,A)
【文献】 特開2000−058304(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01C 7/00
H01C 17/00−17/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向する第1の面及び第2の面を有する絶縁基板と、
前記第1の面に配置される抵抗層と、
前記第1の面の厚さ方向の両端において前記絶縁基板上に配置され、前記抵抗層とそれぞれ連結される第1及び第2の端子と、を含み、
前記抵抗層は、前記第1及び第2の端子を連結し、第1の軟化点を有するガラス物質を含む第1の領域と、
前記第1の領域と接しながら、前記第1及び第2の端子から離隔して配置され、前記第1の軟化点よりも低い第2の軟化点を有するガラス物質を含む少なくとも1つの第2の領域と、を含み、
前記第1の領域および前記第2の領域のうち前記第2の領域のみは、前記抵抗層の抵抗値調整量に応じて加熱除去された状態の領域を備える、チップ抵抗素子。
【請求項2】
前記第1の軟化点は、640℃〜700℃である、請求項1に記載のチップ抵抗素子。
【請求項3】
前記第2の軟化点は、530℃〜640℃である、請求項1または請求項2に記載のチップ抵抗素子。
【請求項4】
前記第2の領域の幅は、前記第1の領域の幅の30%以下である、請求項1から請求項3の何れか一項に記載のチップ抵抗素子。
【請求項5】
前記第2の領域は、複数備えられ、
複数の前記第2の領域の幅の和は、前記第1の領域の幅の30%以下である、請求項1から請求項4の何れか一項に記載のチップ抵抗素子。
【請求項6】
前記第2の領域は、レーザトリミングされる領域である、請求項1から請求項5の何れか一項に記載のチップ抵抗素子。
【請求項7】
前記第1及び第2の端子はそれぞれ、
前記絶縁基板上に前記第2の領域とそれぞれ接するように配置される第1及び第2の内部電極と、
前記第1及び第2の内部電極をそれぞれ覆う第1及び第2の外部電極と、を含む、請求項1から請求項6の何れか一項に記載のチップ抵抗素子。
【請求項8】
前記第1の領域と前記第2の領域は、重なる領域を有する、請求項1から請求項7の何れか一項に記載のチップ抵抗素子。
【請求項9】
前記第1及び第2の端子の間で前記抵抗層上に配置される抵抗保護層を含み、
前記抵抗保護層は、
前記抵抗層と接しながら、前記第2の軟化点を有するガラス物質を含む第1の抵抗保護層と、
前記第1の抵抗保護層を覆う第2の抵抗保護層と、を含む、請求項1から請求項8の何れか一項に記載のチップ抵抗素子。
【請求項10】
前記第2の領域は、レーザトリミングによる少なくとも1つの溝を有する、請求項1から請求項9の何れか一項に記載のチップ抵抗素子。
【請求項11】
複数の電極パッドを有する印刷回路基板と、
前記印刷回路基板に配置され、前記複数の電極パッドに電気的に連結されたチップ抵抗素子と、を含み、
前記チップ抵抗素子は、
互いに対向する第1の面及び第2の面を有する絶縁基板と、
前記第1の面に配置される抵抗層と、
前記第1の面の厚さ方向の両端において前記絶縁基板上に配置され、前記抵抗層とそれぞれ連結される第1及び第2の端子と、を含み、
前記抵抗層は、前記第1及び第2の端子を連結し、第1の軟化点を有するガラス物質を含む第1の領域と、
前記第1の領域と接しながら、前記第1及び第2の端子と離隔して配置され、前記第1の軟化点よりも低い第2の軟化点を有するガラス物質を含む少なくとも1つの第2の領域と、を含み、
前記第1の領域および前記第2の領域のうち前記第2の領域のみは、前記抵抗層の抵抗値調整量に応じて加熱除去された状態の領域を備える、チップ抵抗素子アセンブリー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チップ抵抗素子及びチップ抵抗素子アセンブリーに関する。
【背景技術】
【0002】
チップ抵抗素子は、精密抵抗を実現するためのチップ部品であり、電子回路内で電流を調節し、電圧を降下させる役割を果たす。
【0003】
近年、電子機器が益々小型化及び精密化するにつれて、電子機器に採用される電子回路の大きさも小さくなっており、チップ抵抗素子の大きさも小さくなっている。このようにチップ抵抗素子の大きさの小型化は進んでいるが、電子機器の高性能化に伴いチップ抵抗素子に印加される電流量は逆に増えている。
【0004】
そのため、小型化されつつあるチップ抵抗素子の放熱性能を向上させるための研究が必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】韓国出願公開2001−0014285号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の一実施形態の目的は、耐電圧特性に優れたチップ抵抗素子及びそのアセンブリーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態は、互いに対向する第1の面及び第2の面を有する絶縁基板と、上記第1の面に配置される抵抗層と、上記第1の面の厚さ方向の両端において上記絶縁基板上に配置され、上記抵抗層とそれぞれ連結される第1及び第2の端子と、を含み、上記抵抗層は、上記第1及び第2の端子を連結し、第1の軟化点を有するガラス物質を含む第1の領域と、上記第1の領域と接しながら、上記第1及び第2の端子と離隔して配置され、上記第1の軟化点よりも低い第2の軟化点を有するガラス物質を含む少なくとも1つの第2の領域と、を含むチップ抵抗素子を提供する。
【0008】
本発明の一実施形態は、複数の電極パッドを有する印刷回路基板と、上記印刷回路基板に配置され、上記複数の電極パッドに電気的に連結されたチップ抵抗素子と、を含み、上記チップ抵抗素子は、互いに対向する第1の面及び第2の面を有する絶縁基板と、上記第1の面に配置される抵抗層と、上記第1の面の厚さ方向の両端において上記絶縁基板上に配置され、上記抵抗層とそれぞれ連結される第1及び第2の端子と、を含み、上記抵抗層は、上記第1及び第2の端子を連結し、第1の軟化点を有するガラス物質を含む第1の領域と、上記第1の領域と接しながら、上記第1及び第2の端子と離隔して配置され、上記第1の軟化点よりも低い第2の軟化点を有するガラス物質を含む少なくとも1つの第2の領域と、を含むチップ抵抗素子アセンブリーを提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一実施形態によると、耐電圧特性に優れたチップ抵抗素子及びチップ抵抗素子アセンブリーを提供することができる。
【0010】
本発明の多様且つ有益な長所と効果は、上述の内容に限定されず、本発明の具体的な実施形態を説明する過程で、より容易に理解できるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係る抵抗素子を示す斜視図である。
図2図1に示されたチップ抵抗素子をI方向から見た平面図である。
図3図1に示されたチップ抵抗素子のII−II'線に沿って切断して見た側断面図である。
図4図2において抵抗体のみを示した図面である。
図5図1のチップ抵抗素子の変形例である。
図6図1のチップ抵抗素子の変形例である。
図7図1のチップ抵抗素子の主要製造工程を概略的に示した平面図である。
図8図1のチップ抵抗素子の主要製造工程を概略的に示した平面図である。
図9図1のチップ抵抗素子の主要製造工程を概略的に示した平面図である。
図10図1のチップ抵抗素子の主要製造工程を概略的に示した平面図である。
図11図1のチップ抵抗素子の主要製造工程を概略的に示した平面図である。
図12】本発明の一実施形態に係るチップ抵抗素子が実装された基板を備えたチップ抵抗素子アセンブリーを示す斜視図である。
図13図12に示されたチップ抵抗素子アセンブリーのIII−III'に沿って切断して見た側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下では、添付の図面を参照し、本発明の好ましい実施形態について説明する。しかし、本発明の実施形態は様々な他の形態に変形することができ、本発明の範囲は以下で説明する実施形態に限定されない。また、本発明の実施形態は、当該技術分野で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために拡大縮小表示(または強調表示や簡略化表示)が誇張されることがあり、図面上において同一の符号で示される要素は同一の要素である。
【0013】
図1は、本発明の一実施形態に係る抵抗素子を示す斜視図であり、図2は、図1に示されたチップ抵抗素子をI方向から見た平面図である。図3は、図1に示されたチップ抵抗素子をII−II'線に沿って切断して見た側断面図であり、図4は、図2において抵抗体のみを示した図面である。
【0014】
図1から図3を参照すると、本発明の一実施形態に係るチップ抵抗素子100は、絶縁基板110と、抵抗層120と、抵抗保護層130と、第1の端子140及び第2の端子150と、を含むことができる。
【0015】
上記絶縁基板110は、互いに対向する第1及び第2の面A、Bを有することができ、第1の面Aに抵抗層120が配置されることができる。上記絶縁基板110は、所定の厚さTh1を有する薄い板状に形成されることができ、幅方向Wよりも厚さ方向Lに長い形状であることができる。上記絶縁基板110は、比較的薄い抵抗層120を支持し、抵抗素子100の強度を確保できる材質からなることができる。上記絶縁基板110は、熱伝導に優れた材質からなり、上記チップ抵抗素子100を使用する際に抵抗層120で発生する熱を外部に効果的に放出させることができる。例えば、上記絶縁基板110は、アルミナ(Al)のようなセラミックもしくはポリマー基材であることができる。特定の例において、上記絶縁基板110は、薄い板状のアルミニウムの表面をアノダイジング(anodizing)処理して得られたアルミナ基板であることができる。
【0016】
抵抗層120は、上記絶縁基板110の第1の面Aに配置されることができる。実施形態によっては、上記抵抗層120が絶縁基板110の第2の面(B)に配置されてもよい。上記抵抗層120は、互いに離間した第1の端子140及び第2の端子150の間を連結する電気的抵抗素子として使用することができる。上記抵抗層120の形成材料としては、様々な金属もしくは合金や、酸化物のような化合物が使用されることができる。例えば、Cu−Ni系合金、Ni−Cr系合金、Ru酸化物、Si酸化物、Mn及びMn系合金のうち少なくとも1つを含むことができる。抵抗層120は、上記絶縁基板110の表面に上記金属もしくは合金や、酸化物のような化合物が混合されたペーストをスクリーン印刷などのような方法により塗布し、所定の温度で焼成して形成することができる。
【0017】
図2及び図4に示されたように、抵抗層120は、第1の領域121と第2の領域122を含むことができる。第1の領域121は、第1及び第2の端子140、150を連結するように配置されることができ、第1の軟化点(softening point)を有するガラス(glass)物質を含むことができる。第1の軟化点は、640℃〜700℃の温度であってもよい。
【0018】
第2の領域122は、第1の領域121と接しながら、第1及び第2の端子140、150と離隔するように配置されることができ、第1の軟化点よりも低い第2の軟化点を有するガラス物質を含むことができる。第2の軟化点は、530℃〜640℃であってもよい。本実施形態の場合、1つの第2の領域122が抵抗層120の一側面に配置されたが、これに限定されるものではなく、複数の第2の領域122が配置されてもよく、第2の領域122が抵抗層120の幅方向の中央に配置されてもよい。実施形態によっては、第2の領域122の一部の領域122bが第1の領域121と重なるように配置されてもよい。
【0019】
第2の領域122は、絶縁基板110上に第1の領域121を形成するためのペーストをスクリーン印刷した後、第1の領域121と接するように第2の領域122を形成するためのペーストをスクリーン印刷することで形成することができる。このような第2の領域122は、トリミング(trimming)により溝Tを形成してチップ抵抗素子100の抵抗値を調節する領域であり、レーザトリミングにより溝Tの形成が可能となるように、第1の領域121の第1の軟化点よりも低い第2の軟化点を有することができる。
【0020】
以下、これについて詳細に説明する。チップ抵抗素子100の抵抗層120は、トリミングによって抵抗値を調整することができる。トリミングとは、抵抗層120を形成した後、目標の抵抗値を得るために抵抗層120を部分的に除去する工程のことである。トリミングには様々な微細カッティング(cutting)方法を使用することができるが、本実施形態では、YAGレーザ(laser)を用いて抵抗層120の一領域を除去するレーザトリミングを適用することができる。レーザトリミングには、レーザにより除去されるトリミング溝の形状によって、Lカット、Dカット、Pカットといった様々なトリミング方法があるが、本実施形態では、Lカットレーザトリミングが適用される場合を例にして示した。このようなレーザトリミングは、レーザにより抵抗層を除去する過程で焼成されたガラス物質にクラックを発生させ、抵抗値の散布及びノイズ特性を悪化させる恐れがある。その際、このようなクラックの発生は焼成されるガラス物質の軟化点が高いほど酷くなる。にもかかわらず、近年、チップ抵抗素子100の高電圧化、高出力化に伴い、耐電圧特性に優れた、軟化点の高い高軟化点ガラスが含まれた抵抗体が適用されている。その結果、高軟化点ガラスを含む抵抗層には、レーザトリミングを適用することができないという限界がある。そのため、高軟化点ガラスが含まれた抵抗体は、抵抗値のばらつきを精密に調整することができない。
【0021】
本実施形態のチップ抵抗素子100は、1つの抵抗層120に高い軟化点を有するガラス素材が含まれた第1の領域121と、低い軟化点を有するガラス素材が含まれた第2の領域122と、を配置し、第2の領域122のみにレーザトリミングを行うため、高電圧、高出力を満たすチップ抵抗素子100を提供しながら、レーザトリミングにより抵抗値を精密に調整することが可能となる。
【0022】
図4を参照すると、第2の領域122の幅W1は、第1の領域121の幅W2の30%以下で配置されることができる。第2の領域122の幅W1が第1の領域121の幅W2の30%を超えると、高電圧の電流が流れる第1の領域121が十分に確保できず、チップ抵抗素子100の耐電圧特性が悪化するという問題点が発生することが分かった。
【0023】
図3に示されたように、上記第1の端子140及び第2の端子150は、上記絶縁基板110の両端部に配置され、上記抵抗層120の両側に連結されることができる。
【0024】
上記第1の端子140及び第2の端子150はそれぞれ、上記抵抗層120上に配置された第1の内部電極141及び第2の内部電極151と、上記第1及び第2の内部電極141、151の一領域をそれぞれ覆う第1の外部電極142及び第2の外部電極152と、を含むことができる。実施形態によって、上記第1及び第2の内部電極141、151と上記第1及び第2の外部電極142、152とはそれぞれ、多層で構成されてもよい。
【0025】
上記第1及び第2の内部電極141、151は、導電性ペーストを用いた印刷工程(印刷後焼成)もしくは蒸着工程を用いて形成されることができる。上記第1及び第2の内部電極141、151は、第1及び第2の外部電極142、152を形成するためのめっき工程においてシード(seed)としての役割を果たすことができる。例えば、第1及び第2の内部電極141、151は、銀(Ag)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、白金(Pt)のうち少なくとも1つを含むことができる。これに制限されないが、上記第1及び第2の外部電極142、152は、めっき工程により形成されることができる。上記第1及び第2の外部電極142、152は、ニッケル(Ni)、錫(Sn)、鉛(Pd)、クロム(Cr)のうち少なくとも1つを含むことができる。例えば、上記第1及び第2の外部電極142、152は、Niめっき層とSnめっき層の二重層を有することができる。Niめっき層は、素子実装時に内部電極の成分(例えば、Ag)がソルダー成分に浸出(leaching)することを防止することができ、Snめっき層は、素子実装時にソルダー成分との接合が容易になるように提供されることができる。
【0026】
上記抵抗層120の表面には、上記抵抗層120が外部に露出することを防止し、外部の衝撃から抵抗層120を保護するために、抵抗保護層130を配置することができる。
【0027】
上記抵抗保護層130は、第1及び第2の内部電極141、151を配置した後、素材物質のペーストを露出した抵抗層120の表面を覆うようにスクリーン印刷のような方法で塗布し、乾燥することで形成することができる。
【0028】
このような抵抗保護層130は、多層で構成されることができる。具体的には、上記抵抗保護層130は、第1及び第2の抵抗保護層131、132を含むことができる。
【0029】
図3に示されたように、上記第1の抵抗保護層131は、上記抵抗層120を直接覆うように配置することができる。上記第1の抵抗保護層131は、第2の領域122と同様に、第2の軟化点を有するガラス(glass)を含む材質で形成することができる。これにより、第1の抵抗保護層131は、抵抗層120の第2の領域122をレーザトリミングする過程で、第2の領域122がレーザの高熱により変形することを効果的に防止することができる。上記第1の抵抗保護層131は、スクリーン印刷などのような方法により塗布された後、所定の温度で焼成して形成することができる。
【0030】
図2及び図3に示されたように、上記第2の抵抗保護層132は、上記第1の抵抗保護層131を覆うように配置することができる。上記第2の抵抗保護層132は、高い熱伝導率を有する物質からなることができる。上記第2の抵抗保護層132は、ポリマー(polymer)にAl、AlN、BN、SiOのように熱伝導性の高い物質を混合した物質を含むことができる。
【0031】
図5及び図6は、図1のチップ抵抗素子100の抵抗体の変形例であり、図5は、抵抗体220が第1の領域221及び第2の領域222を含み、第2の領域222にレーザトリミングによって2つの溝T'を形成するためのDカットレーザトリミングが適用された例を示している。上述の一実施形態と同様に、第2の領域222の幅W3は、第1の領域221の幅W4の30%以下となるように配置することができる。
【0032】
図6は、抵抗体320が第1の領域321及び2つの第2の領域322を含み、2つの第2の領域322はそれぞれ第1の領域321の側面に配置され、2つの第2の領域322はそれぞれ1つのトリミングされた溝T''が形成されたPカットレーザトリミングが適用された例を示している。上述の実施形態と同様に、第2の領域322の幅の和(W5+W6)は、第1の領域321の幅W7の30%以下となるように配置することができる。
【0033】
次に、図7から図11を参照しながら、チップ抵抗素子100の製造工程について説明する。図7から図11は、図1のチップ抵抗素子の主要製造工程を概略的に示した平面図である。
【0034】
一実施形態に係るチップ抵抗素子の製造方法は、絶縁基板を準備し、第1及び第2の電極を形成する段階と、上記絶縁基板の一面に抵抗層の第1の領域を形成する段階と、抵抗層の第2の領域を形成する段階と、第1の保護層を形成し、レーザトリミングを行う段階と、第2の保護層を形成する段階と、第1及び第2の端子を形成する段階と、を含む。上述の一実施形態のチップ抵抗素子と同一の内容は省略する。
【0035】
先ず、図7に示されたように、絶縁基板110を設け、絶縁基板110上に互いに離隔するように導電性ペーストを印刷して、第1及び第2の内部電極141、151を形成する。
【0036】
次に、図8に示されたように、絶縁基板110上に第1及び第2の内部電極141、151が連結されるように、素材物質のペーストをスクリーン印刷し、乾燥することで、抵抗層の第1の領域121を形成することができる。このような素材物質のペーストには高軟化点ガラス物質が含まれ、抵抗層の第1の領域121が高電圧、高出力を満たす抵抗体として機能することができる。第1の領域121は、後続工程において、第2の領域を形成するための湾入した領域121aを有することができる。
【0037】
次に、図9に示されたように、第1の領域121と接するようにペーストをスクリーン印刷することで、第2の領域122を形成することができる。実施形態によっては、第2の領域122が第1の領域121と重なる領域122bを有するように印刷されてもよい。第2の領域122にスクリーン印刷されたペーストには、第1の領域121の高軟化点のガラス物質よりも低い軟化点を有する低軟化点のガラス物質が含まれるようにすることができる。このような低軟化点のガラス物質は、高軟化点のガラス物質に比べて、レーザトリミング工程で照射されるレーザにより発生するクラックが相対的に少ないという長所がある。後続工程においてレーザトリミングは、第2の領域122において、第1の領域121と重なる領域122bを除いた領域122aで行われるように調整され、第1の領域121でレーザトリミングが行われることを防止することができる。
【0038】
次に、図10に示されたように、抵抗層120を覆うように第1の抵抗保護層131をスクリーン印刷し、レーザトリミングを行うことで、第1の抵抗保護層131及び第2の領域122を貫通する溝Tを形成することができる。レーザトリミングは、第2の領域122において、第1の領域121と重なる領域122bを除いた領域122aのみで行われるように調整可能となる。
【0039】
次に、図11に示されたように、ポリマー(polymer)にAl、AlN、BN、SiOのように熱伝導性の高い物質を混合した物質を含むペーストをスクリーン印刷することで、第1の抵抗保護層131を覆う第2の抵抗保護層132を形成することができる。
【0040】
次に、第1及び第2の内部電極141、151をシード層として、めっき層を形成することで、第1及び第2の外部電極142、152を形成すると、図2に示されたチップ抵抗素子100が製造される。
【0041】
図12は、本発明の一実施形態に係るチップ抵抗素子が実装された基板を備えたチップ抵抗素子アセンブリーを示す斜視図であり、図13は、図12に示されたチップ抵抗素子アセンブリーをIII−III'線に沿って切断して見た側断面図である。
【0042】
図12及び図13を参照すると、本実施形態に係るチップ抵抗素子アセンブリー1は、図1に示されたチップ抵抗素子100と、上記チップ抵抗素子100が実装された回路基板10と、を含む。
【0043】
上記回路基板10は、素子実装領域に第1及び第2の電極パッド11、12を含む。上記第1及び第2の電極パッド11、12は、上記回路基板10に実現された回路パターンに連結され、素子実装のために提供されるランドパターンのことである。
【0044】
図12に示されたチップ抵抗素子100は、図1に示されたチップ抵抗素子100と同様に理解することができる。また、本実施形態の構成要素は、特に断わらない限り、図1に示されたチップ抵抗素子100の同一又は類似の構成要素に対する説明を参照して理解されることができる。
【0045】
図13に示されたように、上記チップ抵抗素子100は、絶縁基板110と、上記絶縁基板の一面に配置され、第1の領域121と第2の領域122を有する抵抗層120と、上記抵抗層120を覆う抵抗保護層130と、上記抵抗層120上に離隔して配置された第1及び第2の端子140、150と、を含むことができる。
【0046】
回路基板10は、電子回路が形成される部分であり、電子機器の特定の作動や制御のための集積回路(IC)などが形成され、別の電源から供給される電流が流れるように構成可能である。
【0047】
この場合、回路基板10は、様々な配線ラインを含むか、又は、トランジスタなどのような他種類の半導体素子をさらに含むことができる。また、回路基板10は、導電層を含むか、又は、誘電層を含むなど、必要に応じて多様に構成することができる。
【0048】
第1及び第2の電極パッド11、12は、回路基板10上に互いに離隔するように配置され、抵抗素子の第1及び第2の端子140、150とそれぞれソルダー14により接続されることができる。本実施形態は、抵抗層120の熱が第2の抵抗保護層132を介して第1及び第2の端子140、150に放熱され、チップ抵抗素子の正格電力が向上するという効果がある。
【0049】
チップ抵抗素子アセンブリー1は、第1及び第2の電極パッド11、12を介して、第1及び第2の端子140、150が電気回路と電気的に連結されることで、第1及び第2の端子140、150の間の抵抗層120が回路に連結されることができる。
【0050】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の範囲はこれに限定されず、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から外れない範囲内で多様な修正及び変形が可能であるということは、当技術分野の通常の知識を有するものには明らかである。
【符号の説明】
【0051】
100 チップ抵抗素子
110 絶縁基板
120 抵抗層
121 第1の領域
122 第2の領域
130 抵抗保護層
131 第1の抵抗保護層
132 第2の抵抗保護層
140 第1の端子
141 第1の内部電極
142 第1の外部電極
150 第2の端子
151 第2の内部電極
152 第2の外部電極
1 チップ抵抗素子アセンブリー
T トリミング領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13