(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
バイトサイズ若しくはワードサイズのパラレルデータ・ストリーム、又はバイトサイズ若しくはワードサイズのパラレル命令ストリームの情報を記憶し、プロセッサ駆動用のクロック周波数に同期して、前記情報の流れの方向に沿って計算機システムのプロセッサに向かって前記情報を転送するマーチングメモリであって、
複数の前段セルの列方向アレイをそれぞれ有し、前記情報にセットとして含まれる複数の信号のそれぞれを反転及び記憶する、奇数番目に位置する複数の列と、
前記流れの方向に沿って前記奇数番目に位置する複数の列に対して交互かつ周期的に配置され、複数の後段セルの列方向アレイをそれぞれ有する偶数番目に位置する複数の列と、
を備え、前記複数の後段セルのそれぞれは、入力側に隣接する前記奇数番目に位置する複数の列の一つによって反転された前記信号を再反転及び記憶することを特徴とするマーチングメモリ。
パイプライン化された複数のメモリアレイブロックを有するランダムアクセス可能メモリに用いられ、バイトサイズ若しくはワードサイズのパラレルデータ・ストリーム、又はバイトサイズ若しくはワードサイズのパラレル命令ストリームの情報を記憶し、計算機システムのプロセッサ駆動用のクロック周波数に同期して、前記複数のメモリアレイブロックから前記情報の流れの方向に沿って前記プロセッサに向かって前記情報を転送するマーチングメモリであって、
前記情報にセットとして含まれる複数の信号のそれぞれを反転及び記憶するように、複数の前段セルの列方向アレイをそれぞれ有する、奇数番目に位置する複数の列と、
前記情報の流れの方向に沿って前記奇数番目に位置する複数の列に対して交互かつ周期的に配置され、複数の後段セルの列方向アレイをそれぞれ有する偶数番目に位置する複数の列と、
を備え、前記複数の後段セルのそれぞれは、入力側に隣接する前記奇数番目に位置する複数の列の一つによって反転された前記信号を再反転及び記憶することを特徴とするマーチングメモリ。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の様々な実施形態を、添付の図面を参照して説明する。図面の全体にわたって、同一又は類似の部品や素子には同一又は類似の符号を付し、同一又は類似の部品や素子の説明を省略又は単純化していることに留意すべきである。一般的に、半導体装置の表記においては普通のことであるが、様々な図面間において、尺度は異なっており、図面を簡単に読み取れるようにするために適宜記載していることに留意すべきである。
【0016】
以下に説明する発明の詳細な説明では、本発明を十分に理解できるように、特定の材料、プロセス、装置のような具体的な形態として明らかにされる。しかし、本発明は、これらの発明の詳細な説明がなくても、実施できるであろうことは、当業者にとって自明である。即ち、周知の製造に使われる材料、プロセス、装置は、本発明を不要に曖昧にしないために、あえて以下の発明の詳細な説明において明らかにしない。
【0017】
(MMM & MM計算機システムの概要)
図1に示すように、本発明の第1〜第3実施形態で使用されるべき計算機システムは、プロセッサ11とマーチング主記憶装置(MMM)31を含む。プロセッサ11は、クロック信号を生成するように構成されたクロック発生器113を有する制御装置111と、クロック信号に同期して算術論理演算を実行するように構成された算術論理演算装置(ALU)を含む。
【0018】
例えば、第1、第2、及び第3実施形態で説明されるMMM31は、
図2に示すように、奇数列U
1, U
2, U
3, ……,U
n-1, U
nを含む。奇数列U
1, U
2, U
3, ……,U
n-1, U
nのそれぞれは、進行する情報に含まれる複数の信号のセットを記憶し、かつ情報に含まれる複数の信号のセットを並列に転送する。進行する情報に含まれる複数の信号のセットは、連続する、バイトサイズデータ、ワードサイズデータ、バイトサイズ命令、又はワードサイズ命令の反転データを含む。
【0019】
即ち、奇数列U
1, U
2, U
3, ……,U
n-1, U
nのそれぞれは、バイトサイズ若しくはワードサイズのパラレルデータ・ストリーム、又はバイトサイズ若しくはワードサイズのパラレル命令ストリームの情報を記憶する。MMM31は、更に、アレイの入力端子及びアレイの出力端子を含む。奇数列U
1, U
2, U
3, ……,U
n-1, U
nのそれぞれは、低電源電圧で駆動される場合であっても、入力された情報の対応するパルス波形を整形する。
【0020】
加えて、左から右に向かって、偶数列Ur
1, Ur
2, Ur
3, ……,Ur
n-1, Ur
nのそれぞれは、順番に、隣接奇数列U
1, U
2, U
3, ……,U
n-1, U
nの間に交互に更に挿入される。また、
図2に示すように、最も右にある偶数列Ur
nは、最終ステージの奇数列U
nの後に更に付加される。即ち、偶数列Ur
1, Ur
2, Ur
3, ……,Ur
n-1, Ur
nは、パラレルデータ・ストリーム又はパラレル命令ストリームの方向に沿って、奇数列U
1, U
2, U
3, ……,U
n-1, U
nに対して、交互かつ周期的に配置される。
【0021】
図2に示すように、偶数列Ur
1, Ur
2, Ur
3, ……,Ur
n-1, Ur
nのそれぞれは、並列に、進行する情報に含まれる複数の信号のセットを再反転及び記憶し、進行する情報に含まれる複数の信号のセットは、対応する連続的配置で隣接する奇数列U
1, U
2, U
3, ……,U
n-1, U
nの反転バイトサイズデータ、反転ワードサイズデータ、反転バイトサイズ命令、又は反転ワードサイズ命令を含む。即ち、偶数列Ur
1, Ur
2, Ur
3, ……,Ur
n-1, Ur
nのそれぞれは、バイトサイズ若しくはワードサイズのパラレルデータ・ストリーム、又はバイトサイズ若しくはワードサイズのパラレル命令ストリームの情報を記憶する。
【0022】
そして、奇数列とこれに対応する偶数列のペアのそれぞれ(U
1とUr
1; U
2とUr
2; U
3とUr
3; ……;U
n-1とUr
n-1; U
nとUr
n)は、弱まった入力波形を元のパルス波高に回復することができる。なぜなら、信号”1”の弱まったパルス波高は、奇数列U
1, U
2, U
3, ……,U
n-1, U
nとこれに対応する偶数列Ur
1, Ur
2, Ur
3, ……,Ur
n-1, Ur
nの組合せ動作のそれぞれを通して、電源電圧の電圧レベルに増幅することができるからである。
【0023】
それぞれの奇数列U
1, U
2, U
3, ……,U
n-1, U
n内に記憶された反転情報に含まれる複数の信号のセットは、偶数列Ur
1, Ur
2, Ur
3, ……,Ur
n-1, Ur
nを介して、クロック信号に同期して、ストリームの方向に沿って、出力端子に向かって、連続的に、かつ並列に、再反転され、かつ転送されるので、記憶された情報は、能動的かつ連続的に、ALU112に並列に転送される。
【0024】
即ち、MMM31は、プロセッサ11のクロック周波数に同期して、ストリームの方向に沿って、計算機システムのプロセッサ11に向かって、パラレルデータ・ストリーム又はパラレル命令ストリームを転送するために、バイトサイズ若しくはワードサイズの連続したパラレルデータ・ストリーム又はバイトサイズ若しくはワードサイズの連続したパラレル命令ストリームを記憶する。そして、ALU112は、MMM31から連続的に転送された情報に従って、クロック信号に同期した算術論理演算を実行する。
【0025】
図1に示すように、MMM31とプロセッサ11は、複数の接合部材54によって電気的に接続される。例えば、接合部材54のそれぞれは、MMM31に付加される第1の端子ピンによって構成してもよいし、プロセッサ11に付加される第2の端子ピンによって構成してもよいし、第1の端子ピンと第2の端子ピンの間に挿入される導電性バンプによって構成してもよい。導電性バンプの材料としては、半田ボール、金(Au)バンプ、銀(Ag)バンプ、銅(Cu)バンプ、ニッケル金(Ni-Au)合金バンプ、又はニッケル金インジウム(Ni-Au-In)合金バンプなどを採用することが可能である。
【0026】
ALU112での処理の結果としてのデータは、結合部材54を介してMMM31に送られる。従って、
図1の双方向矢印Φ
12によって表されるように、データは、MMM31とプロセッサ11との間で結合部材54を介して双方向に転送される。これに対し、
図1の単方向矢印η
11によって表されるように、命令の動きについては、MMM31からプロセッサ11への命令ストリームが一方向のみに生じる。
【0027】
図1に示すように、第1〜第3実施形態に関するMM計算機システムの構成は、ディスク、入力装置61、出力装置62、及び入出力(I/O)インターフェース回路63のような2次記憶装置41を更に含む。従来のフォン・ノイマン形コンピュータのように、信号又はデータは、入力装置61によって受け取られ、かつ信号又はデータは、出力装置62に向かって送られる。例えば、周知のモニタ及びプリンタを出力装置62として考慮することができるならば、周知のキーボード及び周知のマウスは、入力装置61として考慮することができる。モデム及びネットワークカードのような、コンピュータ間の情報伝達のための周知の装置は、入力装置61及び出力装置62の双方として一般的に役割を果たす。
【0028】
入力装置61又は出力装置62のいずれとして装置が指定されるかは、その装置の役割をどのように捉えるかに依存することに留意すべきである。入力装置61は、人間のユーザが呈する物理的な移動を入力し、それを第1〜第3実施形態に係る計算機システムが理解できる信号に変換する。例えば、入力装置61は、入力したデータと命令を、第1〜第3実施形態に係る計算機システムが識別可能な2進コードの電気信号のパターンに変換し、入力装置61からの出力は、マーチング主記憶装置31にI/Oインターフェース回路63を介して出力される。
【0029】
出力装置62は、MMM31がI/Oインターフェース回路63を介して提供する入力信号を受け取る。出力装置62は、次に、これらの信号を、人間のユーザが見る又は読むことができる表現方式に変換し、入力装置61の処理と逆の処理を行って、デジタル信号を、ユーザが判読可能な形式に変換する。I/Oインターフェース回路63は、プロセッサ11が入力装置61及び出力装置62を駆動するときに必ず要求される。プロセッサ11は、I/Oインターフェース回路63を介して入力装置61及び出力装置62に通信できる。もし、異なるデータ形式で交換された場合、I/Oインターフェース回路63は、シリアルデータをパラレル形式に、又は、逆にパラレルデータをシリアル形式に変換する。必要に応じて、プロセッサ11による更なる処理のために、インタラプト及び対応する形式番号を生成する方式もある。
【0030】
2次記憶装置41は、MMM31より更に長い時間的な基準でデータ及び情報を記憶する。MMM31は、現在実行中のプログラムと、現在採用されているデータの記憶を主に対象とするが、2次記憶装置41は、コンピュータがオフに切り替えられている場合、又はプログラムが現在実行していない場合でも、維持される必要のある任意のデータ及び情報を記憶するように全体的に意図されている。2次記憶装置41の例は、周知のハードディスク又はハードドライバと周知のCD−ROMドライバのような外部記憶媒体である。
【0031】
これらの記憶アーキテクチャは最も広く用いられている方式であり、コンピュータのオペレーティング・システム、ユーザが所有するソフトウェア、ユーザが望む任意の他のデータを記憶する。ハードドライバは、半永久的な基準で、データとソフトウェアとを記憶するために用いられる。外部記憶媒体は、他のデータを保持するために用いられる。ただし、これらの構成は、入手可能な記憶装置の異なる形式や、記憶装置のそれぞれを利用する際の便宜性に基づいて大きく変わる。双方向矢印Φ
1で表されるように、データは、周知の接続配線53を介して、2次記憶装置41とMMM31とプロセッサ11との間で双方向に転送される。
【0032】
図示を省略するが、
図1に示す第1〜第3実施形態に係るMM計算機システムでは、プロセッサ11は、MMM31から出力端子を介して記憶された情報を入力する複数の演算パイプラインを含むことができ、
図1の双方向矢印Φ
12で表されるように、データは、接合部材54を介して、MMM31と複数の演算パイプラインとの間で双方向に転送される。
【0033】
図1に示す第1〜第3実施形態に係るMM計算機システムでは、データバスとアドレスバスとから成るバスが存在しない。これは、計算機システム全体には、プロセッサ11とMMM31との間における任意のデータ交換でもグローバル配線を必要としないからである。一方、従来の計算機システムでは、配線又はバスがフォン・ノイマン・ボトルネックを形成する。第1〜第3実施形態に係るMM計算機システムでは、MMM31、又は対応するALU112とMMM31との接続部分の内部に短い局部的な配線が存在するだけである。時間的な遅延と浮遊容量とを生成するグローバル配線が存在しないので、第1〜第3実施形態に係る計算機システムは、更に高速の処理速度と小電力消費とを達成できる。
【0034】
(全体的なMMのマトリクス構成)
従来のフォン・ノイマン型コンピュータでは、アドレス解決の単位は、キャラクタ(例えば、バイト)、又はワードとなる。もし、その単位がワードであるなら、所定サイズのアドレスを使って、メモリからより大きな量のデータをアクセスすることができる。他方、もし、その単位がバイトであるなら、アドレスされた(即ち、メモリ動作中に選択された)個別のキャラクタにアクセスすることができる。マシン命令は、通常、アーキテクチャのバイトサイズ若しくはアーキテクチャのワードサイズの分数又は倍数となる。これは、命令及びデータが、通常、同じメモリサブシステムを共有することから当然の結果となる。
【0035】
MMM31は、説明を容易化するために、
図1に例示する構造を用いて説明する。しかし、本発明のマーチングメモリ(MM)は、
図1に示されるMMM31に限定されることはない。MMは、従来のキャッシュメモリや、従来のレジスタファイルなどのような記憶媒体の小サイズ化に適用可能である。
【0036】
それぞれ本発明のMMとして構成される、3トランジスタセル(第1実施形態)、4トランジスタセル(第2実施形態)、25トランジスタセル(第3実施形態)の詳細なトランジスタレベル表記を説明する前に、まず、
図3A、
図3B、及び
図3Cを参照しながら、
図2に示したMMの全体構造の概要を説明する。
【0037】
図3A、
図3B、及び
図3Cに示すように、MMは、奇数列U
1, U
2, U
3, ……, U
n-1, U
nのアレイと、配列の順序が隣接する、奇数列U
1, U
2, U
3, ……, U
n-1, U
nの間に交互に挿入される偶数列Ur
1, Ur
2, Ur
3, ……, Ur
n-1, Ur
nのアレイを含むm×2nマトリクスによって構成される。マトリクスの列の長さを規定する“m”は、バイトサイズ若しくはワードサイズによって決定される整数である。バイトサイズ若しくはワードサイズの選択は任意に行うことができ、コンピュータアーキテクチャが設計されるとき、バイトサイズ若しくはワードサイズは、8ビットの自然数倍、よく使われるものとして、16、32、64ビットとすることができる。
【0038】
即ち、
図3Aに示すように、第1偶数列Ur
1は、第1奇数列U
1と第2奇数列U
2との間に挿入される。第1奇数列U
1 と第1偶数列Ur
1との組み合わせは、第1の2ビットメモリユニットを構成する。2ビットメモリユニットにおいては、水平方向におけるビットレベルセルの隣接するペアが2つの列を構成するように、垂直方向に配列される。従って、情報の流れ(ストリーム)の方向において連続する2つのビットレベルデータは、2ビットメモリユニット内の2つの隣接するビットレベルセルによって共有される。
【0039】
また、
図3Bに示すように、第2偶数列Ur
2 は、第2奇数列U
2と第3奇数列U
3との間に挿入される。第2奇数列U
2と第2偶数列Ur
2との組み合わせは、第2の2ビットメモリユニットを構成する。同様に、第3偶数列Ur
3は、第3奇数列U
3と第4奇数列U4との間に挿入される。第3奇数列U
3と第3偶数列Ur
3との組み合わせは、第3の2ビットメモリユニットを構成する。そして、
図3Cに示すように、第n偶数列Ur
nは、第n奇数列U
nの後に配置される。第n奇数列U
nと第n偶数列Ur
nとの組み合わせは、第nの2ビットメモリユニットを構成する。
【0040】
従って、2ビットメモリユニットの配列に焦点を当てると、MMは、m×nマトリクスによって構成されることになる。m×nマトリクスにおいて、奇数列と、これに対応する偶数列のペアのそれぞれ(U
1とUr
1; U
2とUr
2; U
3とUr
3; ……;U
n-1とUr
n-1; U
nとUr
n)は、奇数列U
1, U
2, U
3, ……, U
n-1, U
nと、これに対応する偶数列Ur
1, Ur
2, Ur
3, ……, Ur
n-1, Ur
nとの結合動作を介して、信号“1”の減衰した電圧レベルを電源電圧の電圧レベルに増幅することによって、歪んだ入力波形を回復することができる。
【0041】
m×2nマトリクス内の左側から第1列は、
図2に示す第1奇数列U
1で表され、かつ
図3Aに示すような前段セルM
11, M
21, M
31, ……, M
(m-1)1, MM
1の垂直方向アレイによって構成される。即ち、前段セルM
11, M
21, M
31, ……, M
(m-1)1, MM
1は、m×2nマトリクスの列方向に並んでいる。前段セルM
11, M
21, M
31, ……, M
(m-1)1, MM
1のそれぞれは、単一ビットのデータを記憶するビットレベルセルである。
【0042】
m×2nマトリクス内の左側から第2列は、
図2に示す第1偶数列Ur
1で表され、かつ
図3Aに示すような後段セルMr
11, Mr
21, Mr
31, ……, Mr
(m-1)1, Mr
m1の垂直方向アレイによって構成される。即ち、後段セルMr
11, Mr
21, Mr
31, ……, Mr
(m-1)1, Mr
m1は、m×2nマトリクスの列方向に並んでいる。後段セルMr
11, Mr
21, Mr
31, ……, Mr
(m-1)1, Mr
m1のそれぞれは、単一ビットのデータを記憶するビットレベルセルである。
【0043】
同様に、m×2nマトリクス内の左側から第3列は、
図2に示す第2奇数列U
2で表され、かつ
図3Bに示すような前段セルM
12, M
22, M
32, ……, M
(m-1)2, MM
2の垂直方向アレイによって構成される。前段セルM
12, M
22, M
32, ……, M
(m-1)2, MM
2のそれぞれは、単一ビットのデータを記憶するビットレベルセルである。m×2nマトリクスを構成する第4列は、第2偶数列Ur
2で表され、かつ後段セルMr
12, Mr
22, Mr
32, ……, Mr
(m-1)2, Mr
m2の垂直方向アレイによって構成される。後段セルMr
12, Mr
22, Mr
32, ……, Mr
(m-1)2, Mr
m2のそれぞれは、単一ビットのデータを記憶するビットレベルセルである。
【0044】
図示を省略するが、m×2nマトリクス内の左側から第5列は、
図3A及び
図3Bの説明によって理解されるように、前段セルM
13, M
23, M
33, ……, M
(m-1)3, MM
3の垂直方向アレイによって構成される。m×2nマトリクス内の左側から第5列は、
図2に示す第3奇数列U
3を表す。
【0045】
前段セルM
13, M
23, M
33, ……, M
(m-1)3, MM
3のそれぞれは、単一ビットのデータを記憶するビットレベルセルである。図示を省略するが、m×2nマトリクスを構成する第6列は、
図3A及び
図3Bの説明によって理解されるように、後段セルMr
13, Mr
23, Mr
33, ……, Mr
(m-1)3, Mr
m3の垂直方向アレイによって構成される。m×2nマトリクス内の左側から第6列は、
図2に示す第3偶数列Ur
3を表す。後段セルMr
13, Mr
23, Mr
33, ……, Mr
(m-1)3, Mr
m3のそれぞれは、単一ビットのデータを記憶するビットレベルセルである。
【0046】
同様に、図示を省略するが、m×2nマトリクス内の右側から第4列は、
図2に示す第(n−1)奇数列U
(n-1)で表され、かつ前段セルM
1(n-1), M
2(n-1), M
3(n-1), ……, M
(m-1)(n-1), MM
(n-1)の垂直方向アレイ(列方向アレイ)によって構成される。前段セルM
1(n-1), M
2(n-1), M
3(n-1), ……, M
(m-1)(n-1), MM
(n-1)のそれぞれは、単一ビットのデータを記憶するビットレベルセルである。
【0047】
同様に、図示を省略するが、m×2nマトリクス内の右側から第3列は、第(n−1)偶数列Ur(n-1)で表され、かつ後段セルMr
1(n-1), Mr
2(n-1), Mr
3(n-1), ……, Mr
(m-1)(n-1), Mr
m(n-1)の垂直方向アレイ(列方向アレイ)によって構成される。後段セルMr
1(n-1), Mr
2(n-1), Mr
3(n-1), ……, Mr
(m-1)(n-1), Mr
m(n-1)のそれぞれは、単一ビットのデータを記憶するビットレベルセルである。
【0048】
m×2nマトリクス内の右側から第2列は、
図2に示す第n奇数列U
nで表され、かつ
図3Cに示すような前段セルM
1n, M
2n, M
3n, ……, M
(m-1)n, MM
nの垂直方向アレイによって構成される。前段セルM
1n, M
2n, M
3n, ……, M
(m-1)n, MM
nのそれぞれは、単一ビットのデータを記憶するビットレベルセルである。m×2nマトリクス内の右側から第1列は、
図2に示す第n偶数列Ur
nで表され、かつ
図3Cに示されるような後段セルMr
1n, Mr
2n, Mr
3n, ……, Mr
(m-1)n, Mr
mnの垂直方向アレイによって構成される。後段セルMr
1n, Mr
2n, Mr
3n, ……, Mr
(m-1)n, Mr
mnのそれぞれは、単一ビットのデータを記憶するビットレベルセルである。
【0049】
<第1列第1行>:
即ち、
図3Aに示すように、マトリクスを構成する第1奇数列U
1において、第1行に配列される前段セルM
11は、入力カラムの第1のビットレベル入力端子IN
1の出力端子に接続された入力端子を有し、更にクロック配線L
clkに接続された制御端子も有する結合素子Tc
11を含む。
図5Aに示すように、第1クロック信号CLKは、論理レベル”1”の高レベルと論理レベル ”0”の低レベルとの間で振動する。前段セルM
11は、更に、前段インバータI
11を含み、前段インバータの入力端子は、結合素子Tc
11の出力端子に接続される。
【0050】
前段インバータI
11は、電源電圧供給配線に接続された第1電源端子と、結合素子Tc
11の出力端子に接続された入力端子と、接地電位に接続された第2電源端子を有する。インバータの本来の性能を構成するために、前段インバータI
11が1V程度の低電源電圧で駆動されたとしても、前段インバータI
11は、減衰したパルス波高を電源電圧の電圧レベルまで増幅することによって、入力された入力信号のパルス波形を整形することができる。
【0051】
記憶コンデンサC
11は、出力端子と接地電位との間に接続される。集積回路のような縮小化された構造において、記憶コンデンサC
11は、前段インバータI
11に寄生する浮遊容量によって構成することができるので、記憶コンデンサC
11の代表例としては、キャパシタに等価な仮想回路素子と考えるべきである。
図3A〜
図3Cは、記憶コンデンサC
11を説明するが、記憶コンデンサC
11は、前段インバータI
11の物理的構成に依存する。記憶コンデンサC
11が寄生容量によって構成される場合は、記憶コンデンサC
11は、物理的な容量素子又はそれと同種なもののような実際の電子部品は不要である。
【0052】
更に、後述する他の記憶コンデンサC
21, C
31, ……,C
(m-1)1, C
m1などは、それぞれ寄生容量によって構成してもよいし、また、記憶コンデンサC
21, C
31, ……,C
(m-1)1, C
m1は、上記と同様に、物理的な容量素子又はそれと同種なもののような実際の電子部品によって構成しなくてもよい。出力端子は、記憶コンデンサC
11内に記憶された信号を、次の第2奇数列U
2内の前段セルM
12の前に配置される後段セルMr
11に出力する。
【0053】
また、
図3Aに示すように、マトリクスを構成する第1偶数列Ur
1において、第1行の後段セルMr
11は、前段セルM
11と第2奇数列U
2内の前段セルM
12との間に挿入される。第1行の後段セルMr
11は、バッファ素子、又は前段の前段セルM
11の出力端子に接続された入力端子と、クロック配線L
clkに接続された制御端子と、後段インバータIr
11の入力端子に接続された出力端子を有する後段結合素子Tr
11を含む。
【0054】
図5Aに示すように、第1クロック信号CLK及び第2クロック信号CLKのそれぞれは、第1クロック信号CLK及び第2クロック信号CLKが互いにτ
clock/2だけ離れるようにして、クロックサイクルτ
clockの高レベルと低レベルの間で周期的に振動する。従って、第2クロック信号CLKが第1クロック信号CLKの立ち下りエッジからτ
clock/6の所定時間後に立ち上がり、かつ第1クロック信号CLKの立ち上がりエッジからτ
clock/6の所定時間後に立ち下がるようなモードにおいて、第1及び第2クロック信号は、準相補的に振動する。
【0055】
そして、第2クロック信号CLKが第1クロック信号CLKの立ち下りエッジからτ
clock/6の所定時間後に立ち上がり、かつ第1クロック信号CLKの立ち上がりエッジからτ
clock/6の所定時間後に立ち下がるようなモードにおいて、1つの共通クロック配線L
clkは、相補的に振動するクロックパルスを供給することができる。ここで、
図5Aに示す第1クロック信号CLK及び第2クロック信号CLKのクロックサイクルτ
clockは、ALU112における算術論理演算を制御するクロックサイクルと同じである。
【0056】
上述したように、後段インバータIr
11の入力端子は、バッファ素子Tr
11の出力端子に接続される。即ち、バッファ素子Tr
11は、第1偶数列Ur
1の入力側に隣接する第1奇数列U
1の1つに定義される隣接前段セルM
11の出力端子からの進行する情報に含まれる複数の信号のセットに含まれる1つの信号の転送を制御する。後段インバータIr
11は、電源電圧供給配線L
svに接続された第1電源端子と、バッファ素子Tr
11の出力端子に接続された入力端子と、接地電位に接続された第2電源端子を含む。
【0057】
結合素子Tc
11が導電状態であり、かつバッファ素子Tr
11が遮断状態であるとき、及びその逆であるときも同様に、第1及び第2クロック信号は、準相補的モードにおいて周期的に振動するので、結合素子Tc
11及びバッファ素子Tr
11は、準相補的に動作する。従って、前段インバータI
11の記憶コンデンサC
11から後段インバータIr
11に意図せずに信号が転送され、かつその信号の転送が、ドミノ倒しのように発生するといった信号の「ドミノ転送」が防止される。
【0058】
このように、前段インバータI
11から後段インバータIr
11へのドミノ転送が防止されるので、前段セルM
11と後段セルMr
11のそれぞれは、能動的かつ独立したビットレベルセルとして機能することができる。情報の流れ(ストリーム)の方向に連続する2つのビットレベルデータは、最初の2つのビットメモリユニット内の隣接するビットレベルセルM
11, Mr
11によって共有することができるので、記憶容量を増やすことができるように、データ転送密度を最大にすることが可能となる。
【0059】
接地電位と後段インバータIr
11の出力端子との間に後段インバータIr
11用の記憶コンデンサCr
11が接続される。記憶コンデンサCr
11は、後段インバータIr
11内に寄生する寄生容量によって構成してもよい。その他の記憶コンデンサCr
21, Cr
31, ……, Cr
(m-1)1, Cr
m1も、後段インバータIr
21, Ir
31, ……, Ir
(m-1)1, Ir
m1の微細構造内にそれぞれ寄生する寄生容量によって構成してもよい。
【0060】
後段セルMr
11の出力端子は、記憶コンデンサCr
11内に記憶された信号を、次の前段セルM
12に出力する。即ち、後段インバータIr
11は、同一の行に配置された前段セルM
11から転送された反転信号を再反転し、更に、再反転された信号を、後段セルMr
11の出力側に隣接して配置された第2奇数列U
2に出力する。そして、記憶コンデンサCr
11は、再反転された信号を記憶する。
【0061】
<第1列第2行>:
同様に、
図3Aに示すように、第2行に配列される前段セルM
21は、入力カラムの第2のビットレベル入力端子IN
2の出力端子に接続された入力端子を有し、更にクロック配線L
clkに接続された制御端子も有する結合素子Tc
21と、前段インバータI
21を含む。前段インバータI
21の入力端子は、結合素子Tc
21の出力端子に接続される。前段インバータI
21は、電源電圧供給配線L
svに接続された第1電源端子と、結合素子Tc
21の出力端子に接続された入力端子と、接地電位に接続された第2電源端子を有する。
【0062】
インバータの本来の性能を構成するために、前段インバータI
21が1V程度の低電源電圧で駆動されたとしても、前段インバータI
21は、減衰したパルス波高を電源電圧の電圧レベルまで増幅することによって、入力された入力信号のパルス波形を整形することができる。接地電位と前段インバータI
21の出力端子との間において、前段インバータI
21用の記憶コンデンサC
21が接続される。出力端子は、記憶コンデンサC
21内に記憶された信号を、第2奇数列U
2内の次の前段セルM
22の前に配置された後段セルMr
21に出力する。
【0063】
図3Aに示すように、前段セルM
21と前段セルM
22の間に挿入される第2行の後段セルM
21は、前段の前段セルM
21の出力端子に接続された入力端子を有し、更にクロック配線L
clkに接続された制御端子も有するバッファ素子Tr
21と、バッファ素子Tr
21の出力端子に接続された入力端子を有する後段インバータIr
21を含む。即ち、バッファ素子Tr
21は、偶数列Ur
1の入力側に隣接して配置された奇数列U
1に定義される隣接前段セルM
21の出力端子からの信号の転送を制御する。後段インバータIr
21は、電源電圧供給配線L
svに接続された第1電源端子と、バッファ素子Tr
21の出力端子に接続された入力端子と、接地電位に接続された第2電源端子を有する。
【0064】
接地電位と後段インバータIr
21の出力端子との間に後段インバータIr
21用の記憶コンデンサC
21が接続される。後段セルMr
21の出力端子は、記憶コンデンサCr
21内に記憶された信号を、次の前段セルM
22に出力する。即ち、後段インバータIr
21は、同一の行に配置された前段セルM
21から転送された反転信号を再反転し、更に、再反転された信号を、後段セルMr
21の出力側に隣接して配置された奇数列U
2に出力する。そして、記憶コンデンサCr
21は、再反転された信号を記憶する。
【0065】
準相補的モードにおいて周期的に振動する第1及び第2クロック信号CLKに同期するように、第1奇数列U
1の結合素子Tc
21及び第1偶数列Ur1のバッファ素子Tr
21のそれぞれは、結合素子Tc
21が導電状態のとき第1偶数列Ur1のバッファ素子Tr
21が遮断状態となり、その逆に結合素子Tc
21が遮断状態のとき第1偶数列Ur1のバッファ素子Tr
21が導通状態となるように相補的に動作する。従って、前段インバータI
11の記憶コンデンサC
11から後段インバータIr
11へのドミノ転送を防止したのと同様に、前段インバータI
21の記憶コンデンサC
21から後段インバータIr
21へのドミノ転送は、防止される。また、前段インバータI
21と後段インバータIr
21とのペアによって、減衰した信号”1”の電圧レベルは、歪んだ入力信号を整形するために、電源電圧の電圧レベルまでそれぞれ増幅される。
【0066】
<第1列第3行>:
図3Aに示すように、第3行に配列される前段セルM
31は、入力カラムの第3のビットレベル入力端子IN
3の出力端子に接続された入力端子を有し、更にクロック配線L
clkに接続された制御端子も有する結合素子Tc
31と、前段インバータI
31を含む。前段インバータの入力端子は、結合素子Tc
31の出力端子に接続される。前段インバータI
31は、電源電圧供給配線L
svに接続された第1電源端子と、結合素子Tc
31の出力端子に接続された入力端子と、接地電位に接続された第2電源端子を有する。
【0067】
インバータの本来の性能を構成するために、前段インバータI
31が1V程度の低電源電圧で駆動されたとしても、前段インバータI
31は、入力された入力信号のパルス波形を整形することができる。接地電位と前段インバータI
31の出力端子との間において、前段インバータI
31用の記憶コンデンサC
21が接続される。出力端子は、記憶コンデンサC
31内に記憶された信号を、第2奇数列U
2内の次の前段セルM
32の前に配置された後段セルMr
31に出力する。
【0068】
図3Aに示すように、第3行の後段セルMr
31は、前段セルM
31と前段セルM
32との間に挿入される。第3行の後段セルMr
31は、前段の前段セルM
31の出力端子に接続された入力端子を有し、更にクロック配線L
clkに接続された制御端子も有するバッファ素子Tr
31と、バッファ素子Tr
31の出力端子に接続された入力端子を有する後段インバータIr
31を含む。
【0069】
即ち、バッファ素子Tr
31は、偶数列Ur
1の入力側に隣接して配置された奇数列U
1に定義される隣接前段セルM
31の出力端子からの信号の転送を制御する。後段インバータIr
31は、電源電圧供給配線L
svに接続された第1電源端子と、バッファ素子Tr
31の出力端子に接続された入力端子と、接地電位に接続された第2電源端子を有する。接地電位と後段インバータIr
31の出力端子との間に後段インバータIr
31用の記憶コンデンサC
31が接続される。
【0070】
後段セルMr
31の出力端子は、記憶コンデンサCr
31内に記憶された信号を、次の前段セルM
32に出力する。即ち、後段インバータIr
31は、同一の行に配置された前段セルM
31から転送された反転信号を再反転し、更に、再反転された信号を、後段セルMr
31の出力側に隣接して配置された奇数列U
2に出力する。そして、記憶コンデンサCr
31は、再反転された信号を記憶する。
【0071】
周期的に振動する第1及び第2クロック信号CLKに同期するように、第1奇数列U
1の結合素子Tc
31及び第1偶数列Ur
1のバッファ素子Tr
31のそれぞれは、結合素子Tc
31が導電状態のとき第1偶数列Ur1のバッファ素子Tr
31が遮断状態となり、その逆に、結合素子Tc
31が遮断状態のとき第1偶数列Ur1のバッファ素子Tr
31が導電状態となるように動作する。従って、前段インバータI
31の記憶コンデンサC
31から後段インバータIr
31へのドミノ転送は、防止される。また、前段インバータI
31と後段インバータIr
31とのペアによって、減衰した信号”1”の電圧レベルは、歪んだ入力信号を整形するために、電源電圧の電圧レベルまでそれぞれ増幅される。
【0072】
<第1列第(m−1)行>
第(m−1)行に配列される前段セルM
(m-1)1は、入力カラムの第(m−1)のビットレベル入力端子IN
(m-1)の出力端子に接続される入力端子を有し、更にクロック配線L
clkに接続される制御端子も有する結合素子Tc
(m-1)1と、前段インバータI
(m-1)1を含む。前段インバータの入力端子は、結合素子Tc
(m-1)1の出力端子に接続される。前段インバータI
(m-1)1は、電源電圧供給配線L
svに接続される第1電源端子と、結合素子Tc
(m-1)1の出力端子に接続される入力端子と、接地電位に接続される第2電源端子を有する。
【0073】
インバータの本来の性能を構成するために、前段インバータI
(m-1)1が1V程度の低電源電圧で駆動されたとしても、前段インバータI
(m-1)1は、入力された入力信号のパルス波形を整形することができる。接地電位と前段インバータI
(m-1)1の出力端子との間において、前段インバータI
(m-1)1用の記憶コンデンサC
(m-1)1が接続される。出力端子は、記憶コンデンサC
(m-1)1内に記憶された信号を、第2奇数列U
2内の次の前段セルM
(m-1)2の前に配置された後段セルMr
(m-1)1に出力する。
【0074】
図3Aに示すように、前段セルM
(m-1)1と前段セルM
(m-1)2との間に挿入される第(m−1)行の後段セルMr
(m-1)1は、前段の前段セルM
(m-1)1の出力端子に接続される入力端子を有し、更にクロック配線L
clkに接続される制御端子も有するバッファ素子Tr
(m-1)1と、バッファ素子Tr
(m-1)1の出力端子に接続される入力端子を有する後段インバータIr
(m-1)1を含む。即ち、バッファ素子Tr
(m-1)1は、偶数列Ur1の入力側に隣接して配置された奇数列U
1に定義される隣接前段セルM
(m-1)1の出力端子からの信号の転送を制御する。後段インバータIr
(m-1)1は、電源電圧供給配線L
svに接続される第1電源端子と、バッファ素子Tr
(m-1)1の出力端子に接続される入力端子と、接地電位に接続される第2電源端子を有する。
【0075】
接地電位と後段インバータIr
(m-1)1の出力端子との間に後段インバータIr
(m-1)1用の記憶コンデンサC
(m-1)1が接続される。後段セルMr
(m-1)1の出力端子は、記憶コンデンサCr
(m-1)1内に記憶された信号を、次の前段セルM
(m-1)2に出力する。即ち、後段インバータIr
(m-1)1は、同一の行に配置された前段セルM
(m-1)1から転送された反転信号を再反転し、更に、再反転された信号を、後段セルMr
(m-1)1の出力側に隣接して配置された奇数列U
2に出力する。 そして、記憶コンデンサCr
(m-1)1は、再反転された信号を記憶する。
【0076】
周期的に振動する第1及び第2クロック信号CLKに同期するように、第1奇数列U
1の結合素子Tc
(m-1)1及び第1偶数列Ur1のバッファ素子Tr
(m-1)1のそれぞれは、結合素子Tc
(m-1)1が導電状態のとき第1偶数列Ur1のバッファ素子Tr
(m-1)1が遮断状態となり、その逆に、結合素子Tc
(m-1)1が遮断状態のとき第1偶数列Ur1のバッファ素子Tr
(m-1)1が導電状態となるように動作する。従って、前段インバータI
(m-1)1の記憶コンデンサC
(m-1)1から後段インバータIr
(m-1)1へのドミノ転送は、防止される。また、前段インバータI
(m-1)1と後段インバータIr
(m-1)1とのペアによって、減衰した信号”1”の電圧レベルは、歪んだ入力信号を整形するために、電源電圧の電圧レベルまでそれぞれ増幅される。
【0077】
<第1列第m行>
第m行に配列される前段セルMM
1は、入力カラムの第mのビットレベル入力端子IN
mの出力端子に接続される入力端子を有し、更にクロック配線L
clkに接続される制御端子も有する結合素子Tc
m1と、前段インバータI
m1を含む。前段インバータの入力端子は、結合素子Tc
m1の出力端子に接続される。前段インバータI
m1は、電源電圧供給配線L
svに接続される第1電源端子と、結合素子Tc
m1の出力端子に接続される入力端子と、接地電位に接続される第2電源端子を有する。
【0078】
インバータの本来の性能を構成するために、前段インバータI
m1が1V程度の低電源電圧で駆動されたとしても、前段インバータI
m1は、入力された入力信号のパルス波形を整形することができる。接地電位と前段インバータI
m1の出力端子との間において、前段インバータI
m1用の記憶コンデンサC
m1が接続される。出力端子は、記憶コンデンサC
m1内に記憶された信号を、第2奇数列U
2内の次の前段セルMM
2の前に配置された後段セルMr
m1に出力する。
【0079】
図3Aに示すように、前段セルMM
1と前段セルMM
2との間に挿入される第m行の後段セルMr
m1は、前段の前段セルMM
1の出力端子に接続される入力端子を有し、更にクロック配線L
clkに接続される制御端子も有するバッファ素子Tr
m1と、バッファ素子Tr
m1の出力端子に接続される入力端子を有する後段インバータIr
m1を含む。即ち、バッファ素子Tr
m1は、偶数列Ur1の入力側に隣接して配置された奇数列U
1に定義される隣接前段セルMM
1の出力端子からの信号の転送を制御する。
【0080】
後段インバータIr
m1は、電源電圧供給配線L
svに接続される第1電源端子と、バッファ素子Tr
m1の出力端子に接続される入力端子と、接地電位に接続される第2電源端子を有する。接地電位と後段インバータIr
m1の出力端子との間に後段インバータIr
m1用の記憶コンデンサC
m1が接続される。後段セルMr
m1の出力端子は、記憶コンデンサCr
m1内に記憶された信号を、次の前段セルMM
2に出力する。即ち、後段インバータIr
m1は、同一の行に配置された前段セルMM
1から転送された反転信号を再反転し、更に、再反転された信号を、後段セルMr
m1の出力側に隣接して配置された奇数列U
2に出力する。 そして、記憶コンデンサCr
m1は、再反転された信号を記憶する。
【0081】
周期的に振動する第1及び第2クロック信号CLKに同期するように、第1奇数列U
1の結合素子Tc
m1及び第1偶数列Ur1のバッファ素子Tr
m1のそれぞれは、結合素子Tc
m1が導電状態のときは第1偶数列Ur1のバッファ素子Tr
m1が遮断状態となり、その逆に、結合素子Tc
m1が遮断状態のときは第1偶数列Ur1のバッファ素子Tr
m1が導電状態となるように動作する。従って、前段インバータI
m1の記憶コンデンサC
m1から後段インバータIr
m1へのドミノ転送は、防止される。また、前段インバータI
m1と後段インバータIr
m1とのペアによって、減衰した信号”1”の電圧レベルは、歪んだ入力信号を整形するために、電源電圧の電圧レベルまでそれぞれ増幅される。
【0082】
<第2列第1行>
図3Bに示すように、マトリクスを構成する第2奇数列U
2において、第1行に配列される前段セルM
12は、第1偶数列Ur1の後段セルMr
11の出力端子に接続された入力端子を有し、更にクロック配線L
clkに接続された制御端子も有する結合素子Tc
12を含む。前段セルM
12は、更に、前段インバータI
12を含み、前段インバータの入力端子は、結合素子Tc
12の出力端子に接続される。
【0083】
前段インバータI
12は、電源電圧供給配線L
svに接続された第1電源端子と、結合素子Tc
12の出力端子に接続された入力端子と、接地電位に接続された第2電源端子を有する。
【0084】
前段インバータI
12が1V程度の低電源電圧で駆動されたとしても、前段インバータI
12は、入力された入力信号のパルス波形を整形することができる。前段インバータI
12の出力端子において、記憶コンデンサC
12は、出力端子と接地電位1
23との間に接続される。記憶コンデンサC
12は、前段インバータI
12に寄生する浮遊容量によって構成してもよい。他の記憶コンデンサC
22, C
32, ……,C
(m-1)2, C
m2は、それぞれ寄生容量によって構成してもよい。出力端子は、記憶コンデンサC
12内に記憶された信号を、第3奇数列U
3内の次の前段セルM
13の前に配置される後段セルMr
12に出力する。
【0085】
また、
図3Bに示すように、マトリクスを構成する第1偶数列Ur
2において、第1行の後段セルMr
12は、前段セルM
12と第3奇数列U
3内の前段セルM
13との間に挿入される。第1行の後段セルMr
12は、バッファ素子、又は前段の前段セルM
12の出力端子に接続された入力端子と、クロック配線L
clkに接続された制御端子と、後段インバータIr
12の入力端子に接続された出力端子を有する後段結合素子Tr
12を含む。
【0086】
後段インバータIr
12の入力端子は、バッファ素子Tr
12の出力端子に接続される。即ち、バッファ素子Tr
12は、第2偶数列Ur
2の入力側に隣接する第2奇数列U
2に定義される隣接前段セルM
12の出力端子からの信号の転送を制御する。後段インバータIr
12は、電源電圧供給配線L
svに接続された第1電源端子と、バッファ素子Tr
12の出力端子に接続された入力端子と、接地電位に接続された第2電源端子を含む。第1及び第2クロック信号は、準相補的モードにおいて周期的に振動するので、結合素子Tc
12及びバッファ素子Tr
12は、結合素子Tc
12が導電状態のときはバッファ素子Tr
12が遮断状態となり、その逆に、結合素子Tc
12が遮断状態のときはバッファ素子Tr
12が導電状態となるように準相補的に動作する。従って、前段インバータI
12の記憶コンデンサC
12から後段インバータIr
12に意図せずに信号が転送されるといった信号の「ドミノ転送」が防止される。
【0087】
このように、前段インバータI
12から後段インバータIr
12へのドミノ転送が防止されるので、前段セルM
12と後段セルMr
12のそれぞれは、能動的かつ独立したビットレベルセルとして機能することができる。情報の流れ(ストリーム)の方向に連続する2つのビットレベルデータは、隣接するビットレベルセルM
12, Mr
12によって共有することができるので、記憶容量を増やすことができるように、データ転送密度を最大にすることが可能となる。接地電位と後段インバータIr
12の出力端子との間に後段インバータIr
12用の記憶コンデンサCr
12が接続される。記憶コンデンサCr
12は、後段インバータIr
12内に寄生する寄生容量によって構成してもよい。その他の記憶コンデンサCr
22, Cr
32, ……, Cr
(m-1)2, Cr
m2も、後段インバータIr
22, Ir
32, ……, Ir
(m-1)2, Ir
m2の微細構造内にそれぞれ寄生する寄生容量によって構成してもよい。
【0088】
後段セルMr
12の出力端子は、記憶コンデンサCr
12内に記憶された信号を、次の前段セルM
13に出力する。即ち、後段インバータIr
12は、同一の行に配置された前段セルM
12から転送された反転信号を再反転し、更に、再反転された信号を、後段セルMr
12の出力側に隣接して配置された第3奇数列U
3に出力する。そして、記憶コンデンサCr
12は、再反転された信号を記憶する。
【0089】
<第2列第2行>
同様に、
図3Bに示すように、第2行に配列される前段セルM
22は、第1偶数列Ur
1の後段セルMr
21の出力端子に接続された入力端子を有し、更にクロック配線L
clkに接続された制御端子も有する結合素子Tc
22と、前段インバータI
22を含む。前段インバータI
22の入力端子は、結合素子Tc
22の出力端子に接続される。前段インバータI
22は、電源電圧供給配線L
svに接続された第1電源端子と、結合素子Tc
22の出力端子に接続された入力端子と、接地電位に接続された第2電源端子を有する。
【0090】
前段インバータI
22が1V程度の低電源電圧で駆動されたとしても、前段インバータI
22は、減衰したパルス波高を電源電圧の電圧レベルまで増幅することによって、入力された入力信号のパルス波形を整形することができる。接地電位と前段インバータI
22の出力端子との間において、前段インバータI
22用の記憶コンデンサC
22が接続される。出力端子は、記憶コンデンサC
22内に記憶された信号を、第3奇数列U
3内の次の前段セルM
23の前に配置された後段セルMr
22に出力する。
【0091】
図3Bに示すように、前段セルM
22と前段セルM
22の間に挿入される第2行の後段セルMr
22は、前段の前段セルM
22の出力端子に接続された入力端子を有し、更にクロック配線L
clkに接続された制御端子も有するバッファ素子Tr
22と、バッファ素子Tr
22の出力端子に接続された入力端子を有する後段インバータIr
22を含む。即ち、バッファ素子Tr
22は、偶数列Ur
1の入力側に隣接して配置された奇数列U
1に定義される隣接前段セルM
22の出力端子からの信号の転送を制御する。後段インバータIr
22は、電源電圧供給配線L
svに接続された第1電源端子と、バッファ素子Tr
22の出力端子に接続された入力端子と、接地電位に接続された第2電源端子を有する。
【0092】
接地電位と後段インバータIr
22の出力端子との間に後段インバータIr
22用の記憶コンデンサCr
22が接続される。後段セルMr
22の出力端子は、記憶コンデンサCr
22内に記憶された信号を、次の前段セルM
22に出力する。 即ち、後段インバータIr
22は、同一の行に配置された前段セルM
22から転送された反転信号を再反転し、更に、再反転された信号を、後段セルMr
22の出力側に隣接して配置された奇数列U
3に出力する。そして、記憶コンデンサCr
22は、再反転された信号を記憶する。
【0093】
準相補的モードにおいて周期的に振動する第1及び第2クロック信号に同期するように、第2奇数列U
2の結合素子Tc
22及び第2偶数列Ur
2のバッファ素子Tr
22のそれぞれは、結合素子Tc
22が導電状態のときは第2偶数列Ur
2のバッファ素子Tr
22が遮断状態となり、その逆に、結合素子Tc
22が遮断状態のときは第2偶数列Ur
2のバッファ素子Tr
22が導電状態となるように準相補的に動作する。従って、前段インバータI
22の記憶コンデンサC
22から後段インバータIr
22へのドミノ転送は、防止される。また、前段インバータI
22と後段インバータIr
22とのペアによって、減衰した信号”1”の電圧レベルは、歪んだ入力信号を整形するために、電源電圧の電圧レベルまでそれぞれ増幅される。
【0094】
<第2列第3行>
図3Bに示すように、第3行に配列される前段セルM
32は、第1偶数列Ur
1の後段セルM
31の出力端子に接続された入力端子を有し、更にクロック配線L
clkに接続された制御端子も有する結合素子Tc
32と、前段インバータI
32を含む。前段インバータの入力端子は、結合素子Tc
32の出力端子に接続される。前段インバータI
32は、電源電圧供給配線L
svに接続された第1電源端子と、結合素子Tc
32の出力端子に接続された入力端子と、接地電位に接続された第2電源端子を有する。
【0095】
前段インバータI
32が1V程度の低電源電圧で駆動されたとしても、前段インバータI
32は、入力された入力信号のパルス波形を整形することができる。接地電位と前段インバータI
32の出力端子との間において、前段インバータI
32用の記憶コンデンサC
32が接続される。出力端子は、記憶コンデンサC
32内に記憶された信号を、第3奇数列U
3内の次の前段セルM
33の前に配置された後段セルMr
32に出力する。
【0096】
図3Bに示すように、第3行の後段セルMr
32は、前段セルM
32と前段セルM
33との間に挿入される。第3行の後段セルMr
32は、前段の前段セルM
32の出力端子に接続された入力端子を有し、更にクロック配線L
clkに接続された制御端子も有するバッファ素子Tr
32と、バッファ素子Tr
32の出力端子に接続された入力端子を有する後段インバータIr
32を含む。即ち、バッファ素子Tr
32は、偶数列Ur
2の入力側に隣接して配置された奇数列U
2に定義される隣接前段セルM
32の出力端子からの信号の転送を制御する。後段インバータIr
32は、電源電圧供給配線L
svに接続された第1電源端子と、バッファ素子Tr
32の出力端子に接続された入力端子と、接地電位に接続された第2電源端子を有する。
【0097】
接地電位と後段インバータIr
32の出力端子との間に後段インバータIr
32用の記憶コンデンサC
32が接続される。後段セルMr
32の出力端子は、記憶コンデンサCr
32内に記憶された信号を、次の前段セルM
33に出力する。即ち、後段インバータIr
32は、同一の行に配置された前段セルM
32から転送された反転信号を再反転し、更に、再反転された信号を、後段セルMr
32の出力側に隣接して配置された奇数列U
3に出力する。そして、記憶コンデンサCr
32は、再反転された信号を記憶する。
【0098】
周期的に振動する第1及び第2クロック信号CLKに同期するように、第2奇数列U
2の結合素子Tc
32及び第2偶数列Ur
2のバッファ素子Tr
32のそれぞれは、結合素子Tc
32が導電状態のときは第2偶数列Ur
2のバッファ素子Tr
32が遮断状態となり、その逆に、結合素子Tc
32が遮断状態のときは第2偶数列Ur
2のバッファ素子Tr
32が導電状態となるように動作する。従って、前段インバータI
32の記憶コンデンサC
32から後段インバータIr
32へのドミノ転送は、防止される。また、前段インバータI
32と後段インバータIr
32とのペアによって、減衰した信号”1”の電圧レベルは、歪んだ入力信号を整形するために、電源電圧の電圧レベルまでそれぞれ増幅される。
【0099】
<第2列第(m−1)行>
第(m−1)行に配列される前段セルM
(m-1)2は、第1偶数列Ur
1の後段セルMr
(m-1)2の出力端子に接続される入力端子を有し、更にクロック配線L
clkに接続される制御端子も有する結合素子Tc
(m-1)2と、前段インバータI
(m-1)2を含む。前段インバータI
(m-1)2の入力端子は、結合素子Tc
(m-1)2の出力端子に接続される。前段インバータI
(m-1)2は、電源電圧供給配線L
sv2に接続される第1電源端子と、結合素子Tc
(m-1)2の出力端子に接続される入力端子と、接地電位に接続される第2電源端子を有する。
【0100】
前段インバータI
(m-1)2が1V程度の低電源電圧で駆動されたとしても、前段インバータI
(m-1)2は、入力された入力信号のパルス波形を整形することができる。接地電位と前段インバータI
(m-1)2の出力端子との間において、前段インバータI
(m-1)2用の記憶コンデンサC
(m-1)2が接続される。前段セルM
(m-1)2の出力端子は、記憶コンデンサC
(m-1)2内に記憶された信号を、第3奇数列U
3内の次の前段セルM
(m-1)3の前に配置された後段セルMr
(m-1)2に出力する。
【0101】
図3Bに示すように、前段セルM
(m-1)2と前段セルM
(m-1)3との間に挿入される第(m−1)行の後段セルMr
(m-1)2は、前段の前段セルM
(m-1)2の出力端子に接続される入力端子を有し、更にクロック配線L
clkに接続される制御端子も有するバッファ素子Tr
(m-1)2と、バッファ素子Tr
(m-1)2の出力端子に接続される入力端子を有する後段インバータIr
(m-1)2を含む。即ち、バッファ素子Tr
(m-1)2は、偶数列Ur
2の入力側に隣接して配置された奇数列U
2に定義される隣接前段セルM
(m-1)2の出力端子からの信号の転送を制御する。
【0102】
後段インバータIr
(m-1)2は、電源電圧供給配線L
svに接続される第1電源端子と、バッファ素子Tr
(m-1)2の出力端子に接続される入力端子と、接地電位に接続される第2電源端子を有する。接地電位と後段インバータIr
(m-1)2の出力端子との間に後段インバータIr
(m-1)2用の記憶コンデンサCr
(m-1)2が接続される。後段セルMr
(m-1)2の出力端子は、記憶コンデンサCr
(m-1)2内に記憶された信号を、次の前段セルM
(m-1)3に出力する。即ち、後段インバータIr
(m-1)2は、同一の行に配置された前段セルM
(m-1)2から転送された反転信号を再反転し、更に、再反転された信号を、後段セルMr
(m-1)2の出力側に隣接して配置された奇数列U
3に出力する。 そして、記憶コンデンサCr
(m-1)2は、再反転された信号を記憶する。
【0103】
周期的に振動する第1及び第2クロック信号に同期するように、第2奇数列U
2の結合素子Tc
(m-1)2及び第2偶数列Ur
2のバッファ素子Tr
(m-1)2のそれぞれは、結合素子Tc
(m-1)2が導電状態のときはバッファ素子Tr
(m-1)2が遮断状態となり、その逆に、結合素子Tc
(m-1)2が遮断状態のときはバッファ素子Tr
(m-1)2が導電状態となるように動作する。従って、前段インバータI
(m-1)2の記憶コンデンサC
(m-1)2から後段インバータIr
(m-1)2へのドミノ転送は、防止される。また、前段インバータI
(m-1)2と後段インバータIr
(m-1)2とのペアによって、減衰した信号”1”の電圧レベルは、歪んだ入力信号を整形するために、電源電圧の電圧レベルまでそれぞれ増幅される。
【0104】
<第2列第m行>
第m行に配列される前段セルMM
2は、第1偶数列Ur
1の後段セルMr
m1の出力端子に接続される入力端子を有し、更にクロック配線L
clkに接続される制御端子も有する結合素子Tc
m2と、前段インバータI
m2を含む。前段インバータの入力端子は、結合素子Tc
m2の出力端子に接続される。前段インバータI
m2は、電源電圧供給配線L
svに接続される第1電源端子と、結合素子Tc
m2の出力端子に接続される入力端子と、接地電位に接続される第2電源端子を有する。
【0105】
前段インバータI
m2が1V程度の低電源電圧で駆動されたとしても、前段インバータI
m2は、入力された入力信号のパルス波形を整形することができる。接地電位と前段インバータI
m2の出力端子との間において、前段インバータI
m2用の記憶コンデンサC
m2が接続される。前段セルMM
2の出力端子は、記憶コンデンサC
m2内に記憶された信号を、第3奇数列U
3内の次の前段セルMM
3の前に配置された後段セルMr
m2に出力する。
【0106】
図3Bに示すように、第m行の後段セルMr
m2は、前段セルMM
2と前段セルMM
3との間に挿入される。第m行の後段セルMr
m2は、前段の前段セルMM
2の出力端子に接続される入力端子を有し、更にクロック配線L
clkに接続される制御端子も有するバッファ素子Tr
m2と、バッファ素子Tr
m2の出力端子に接続される入力端子を有する後段インバータIr
m2を含む。即ち、バッファ素子Tr
m2は、偶数列Ur1の入力側に隣接して配置された奇数列U
1に定義される隣接前段セルMM
2の出力端子からの信号の転送を制御する。
【0107】
後段インバータIr
m2は、電源電圧供給配線L
svに接続される第1電源端子と、バッファ素子Tr
m2の出力端子に接続される入力端子と、接地電位に接続される第2電源端子を有する。接地電位と後段インバータIr
m2の出力端子との間に後段インバータIr
m2用の記憶コンデンサCr
m2が接続される。後段セルMr
m2の出力端子は、記憶コンデンサCr
m2内に記憶された信号を、次の前段セルMM
2に出力する。即ち、後段インバータIr
m2は、同一の行に配置された前段セルMM
2から転送された反転信号を再反転し、更に、再反転された信号を、後段セルMr
m2の出力側に隣接して配置された奇数列U
3に出力する。 そして、記憶コンデンサCr
m2は、再反転された信号を記憶する。
【0108】
周期的に振動する第1及び第2クロック信号に同期するように、第2奇数列U
2の結合素子Tc
m2及び第2偶数列Ur
2のバッファ素子Tr
m2のそれぞれは、結合素子Tc
m2が導電状態のときはバッファ素子Tr
m2が遮断状態となり、その逆に、結合素子Tc
m2が遮断状態のときはバッファ素子Tr
m2が導電状態となるように動作する。従って、前段インバータI
m2の記憶コンデンサC
m2から後段インバータIr
m2へのドミノ転送は、防止される。また、前段インバータI
m2と後段インバータIr
m2とのペアによって、減衰した信号”1”の電圧レベルは、歪んだ入力信号を整形するために、電源電圧の電圧レベルまでそれぞれ増幅される。
【0109】
<第n列第1行>
更に、
図3Cに示すように、マトリクスを構成する第n奇数列U
2において、第1行に配列される前段セルM
1nは、前段となる第(n-1)偶数列Ur
1の後段セルMr
1(n-1)の出力端子に接続された入力端子を有し、更にクロック配線L
clkに接続された制御端子も有する結合素子Tc
1n2を含む。前段セルM
1nは、更に、前段インバータI
1nを含み、前段インバータの入力端子は、結合素子Tc
1nの出力端子に接続される。
【0110】
前段インバータI
1nは、電源電圧供給配線L
svに接続された第1電源端子と、結合素子Tc
1nの出力端子に接続された入力端子と、接地電位に接続された第2電源端子を有する。前段インバータI
1nが1V程度の低電源電圧で駆動されたとしても、前段インバータI
1nは、入力された入力信号のパルス波形を整形することができる。前段インバータI
1nの出力端子において、記憶コンデンサC
1nは、出力端子と接地電位
1n3との間に接続される。記憶コンデンサC
1nは、前段インバータI
1nに寄生する浮遊容量によって構成してもよい。他の記憶コンデンサC
2n, C
3n, ……,C
(m-1)n, C
mnは、それぞれ寄生容量によって構成してもよい。出力端子は、記憶コンデンサC
1n内に記憶された信号を、出力カラム内の出力端子OU
T1の前に配置される後段セルMr
1nに出力する。
【0111】
また、
図3Cに示すように、マトリクスを構成する第n偶数列Urnにおいて、第1行の後段セルMr
1nは、前段セルM
1nと出力カラム内の出力端子OU
T1との間に挿入される。第1行の後段セルMr
1nは、バッファ素子、又は前段セルM
1nの出力端子に接続された入力端子と、クロック配線L
clkに接続された制御端子と、CMOSインバータによって構成された後段インバータIr
1nの入力端子に接続された出力端子を有する後段結合素子Tr
1nを含む。
【0112】
CMOSインバータの入力端子は、バッファ素子Tr
1nの出力端子に接続される。即ち、バッファ素子Tr
1nは、第n偶数列Ur
nの入力側に隣接する第n奇数列U
n内に割り当てられる前段セルM
1nの出力端子からの信号の転送を制御する。後段インバータIr
1nは、電源電圧供給配線L
svに接続された第1電源端子と、バッファ素子Tr
1nの出力端子に接続された入力端子と、接地電位に接続された第2電源端子を含む。第1及び第2クロック信号は、準相補的モードにおいて周期的に振動するので、結合素子Tc
1n及びバッファ素子Tr
1nは、結合素子Tc
1nが導電状態のときはバッファ素子Tr
1nが遮断状態となり、その逆に、結合素子Tc
1nが遮断状態のときはバッファ素子Tr
1nが導電状態となるように準相補的に動作する。
【0113】
従って、信号の「ドミノ転送」が防止され、前段セルM
1nと後段セルMr
1nのそれぞれは、能動的かつ独立したビットレベルセルとして機能することができる。情報の流れ(ストリーム)の方向に連続する2つのビットレベルデータは、隣接するビットレベルセルM
1n, Mr
1nによって共有することができるので、記憶容量を増やすことができるように、データ転送密度を最大にすることが可能となる。接地電位と後段インバータIr
1nの出力端子との間に後段インバータIr
1n用の記憶コンデンサCr
1nが接続される。記憶コンデンサCr
1nは、後段インバータIr
1n内に寄生する寄生容量によって構成してもよい。その他の記憶コンデンサCr
2n, Cr
3n, ……, Cr
(m-1)n, Cr
mnも、後段インバータIr
2n, Ir
3n, ……, Ir
(m-1)n, Ir
mnの微細構造内にそれぞれ寄生する寄生容量によって構成してもよい。
【0114】
後段セルMr
1nの出力端子は、記憶コンデンサCr
1n内に記憶された信号を、出力端子OU
T1に出力する。即ち、後段インバータIr
1nは、同一の行に配置された前段セルM
1nから転送された反転信号を再反転し、更に、再反転された信号を、出力カラム内の出力端子OU
T1に出力する。そして、記憶コンデンサCr
1nは、再反転された信号を記憶する。
【0115】
<第n列第2行>
同様に、
図3Cに示すように、第2行に配列される前段セルM
2nは、前段となる第(n-1)偶数列Ur
(n-1)の後段セルMr
2(n-1)の出力端子に接続された入力端子を有し、更にクロック配線L
clkに接続された制御端子も有する結合素子Tc
2n1と、前段インバータI
2nを含む。前段インバータの入力端子は、結合素子Tc
2nの出力端子に接続される。前段インバータI
2nは、電源電圧供給配線L
svに接続された第1電源端子と、結合素子Tc
2nの出力端子に接続された入力端子と、接地電位に接続された第2電源端子を有する。
【0116】
前段インバータI
2nが1V程度の低電源電圧で駆動されたとしても、前段インバータI
2nは、減衰したパルス波高を電源電圧の電圧レベルまで増幅することによって、入力された入力信号のパルス波形を整形することができる。接地電位と前段インバータI
2nの出力端子との間において、前段インバータI
2n用の記憶コンデンサC
2nが接続される。出力端子は、記憶コンデンサC
2n内に記憶された信号を、出力カラム内の出力端子OU
T2の前に配置された後段セルMr
2nに出力する。
【0117】
図3Cに示すように、前段セルM
2nと出力端子OU
T2の間に挿入される第2行の後段セルMr
2nは、前段セルM
2nの出力端子に接続された入力端子を有し、更にクロック配線L
clkに接続された制御端子も有するバッファ素子Tr
2nと、バッファ素子Tr
2nの出力端子に接続された入力端子を有する後段インバータIr
2nを含む。即ち、バッファ素子Tr
2nは、偶数列Ur
nの入力側に隣接して配置された奇数列U
nに割り当てられた前段セルM
2nの出力端子からの信号の転送を制御する。後段インバータIr
2nは、電源電圧供給配線L
svに接続された第1電源端子と、バッファ素子Tr
2nの出力端子に接続された入力端子と、接地電位に接続された第2電源端子を有する。
【0118】
接地電位と後段インバータIr
2nの出力端子との間に後段インバータIr
2n用の記憶コンデンサCr
2nが接続される。後段セルMr
2nの出力端子は、記憶コンデンサCr
2n内に記憶された信号を、出力端子OU
T2に出力する。即ち、後段インバータIr
2nは、同一の行に配置された前段セルM
2nから転送された反転信号を再反転し、更に、再反転された信号を、出力カラム内の出力端子OU
T2に出力する。 そして、記憶コンデンサCr
2nは、再反転された信号を記憶する。
【0119】
準相補的モードにおいて周期的に振動する第1及び第2クロック信号に同期するように、第n奇数列U
nの結合素子Tc
2n及び第n偶数列Ur
nのバッファ素子Tr
2nのそれぞれは、結合素子Tc
2nが導電状態のときはバッファ素子Tr
2nが遮断状態となり、その逆に、結合素子Tc
2nが遮断状態のときはバッファ素子Tr
2nが導電状態となるように準相補的に動作する。従って、前段インバータI
2nの記憶コンデンサC
2nから後段インバータIr
2nへの信号のドミノ転送は、防止される。また、前段インバータI
2nと後段インバータIr
2nとのペアによって、減衰した信号“1”の電圧レベルは、歪んだ入力信号を整形するために、電源電圧の電圧レベルまでそれぞれ増幅される。
【0120】
<第n列第3行>
図3Cに示すように、第3行に配列される前段セルM
3nは、前段となる第(n-1)偶数列Ur
1の後段セルM
31の出力端子に接続された入力端子を有し、更にクロック配線L
clkに接続された制御端子も有する結合素子Tc
3nと、前段インバータI
3nを含む。前段インバータの入力端子は、結合素子Tc
3nの出力端子に接続される。前段インバータI
3nは、電源電圧供給配線L
svに接続された第1電源端子と、結合素子Tc
3nの出力端子に接続された入力端子と、接地電位に接続された第2電源端子を有する。
【0121】
前段インバータI
3nが1V程度の低電源電圧で駆動されたとしても、前段インバータI
3nは、入力された入力信号のパルス波形を整形することができる。接地電位と前段インバータI
3nの出力端子との間において、前段インバータI
3n用の記憶コンデンサC
3nが接続される。出力端子は、記憶コンデンサC
3n内に記憶された信号を、出力カラム内の出力端子OU
T3の前に配置された後段セルMr
3nに出力する。
【0122】
図3Cに示すように、第3行の後段セルMr
3nは、前段セルM
3nと前段セルM
33との間に挿入される。第3行の後段セルMr
3nは、前段セルM
3nの出力端子に接続された入力端子を有し、更にクロック配線L
clkに接続された制御端子も有するバッファ素子Tr
3nと、バッファ素子Tr
3nの出力端子に接続された入力端子を有する後段インバータIr
3nを含む。即ち、バッファ素子Tr
3nは、偶数列Ur
2の入力側に隣接して配置された奇数列U
2に割り当てられた前段セルM
3nの出力端子からの信号の転送を制御する。
【0123】
後段インバータIr
3nは、電源電圧供給配線L
svに接続された第1電源端子と、バッファ素子Tr
3nの出力端子に接続された入力端子と、接地電位に接続された第2電源端子を有する。接地電位と後段インバータIr
3nの出力端子との間に後段インバータIr
3n用の記憶コンデンサCr
3nが接続される。後段セルMr
3nの出力端子は、記憶コンデンサCr
3n内に記憶された信号を、出力端子OU
T3に出力する。即ち、後段インバータIr
3nは、同一の行に配置された前段セルM
3nから転送された反転信号を再反転し、更に、再反転された信号を、出力カラム内の出力端子OU
T3に出力する。そして、記憶コンデンサCr
3nは、再反転された信号を記憶する。
【0124】
周期的に振動する第1及び第2クロック信号CLKに同期するように、第n奇数列U
2の結合素子Tc
3n及び第n偶数列Ur
2のバッファ素子Tr
3nのそれぞれは、結合素子Tc
3nが導電状態のときは第n偶数列Ur
1のバッファ素子Tr
3nが遮断状態となり、その逆に、結合素子Tc
3nが遮断状態のときは第n偶数列Ur
1のバッファ素子Tr
3nが導電状態となるように動作する。従って、前段インバータI
3nの記憶コンデンサC
3nから後段インバータIr
3nへのドミノ転送は、防止される。また、前段インバータI
3nと後段インバータIr
3nとのペアによって、減衰した信号“1”の電圧レベルは、歪んだ入力信号を整形するために、電源電圧の電圧レベルまでそれぞれ増幅される。
【0125】
<第n列第(m−1)行>
第(m−1)行に配列される前段セルM
(m-1)nは、前段となる第(n-1)偶数列Ur1の後段セルMr
(m-1)nの出力端子に接続される入力端子を有し、更にクロック配線L
clkに接続される制御端子も有する結合素子Tc
(m-1)nと、前段インバータI
(m-1)nを含む。前段インバータの入力端子は、結合素子Tc
(m-1)nの出力端子に接続される。前段インバータI
(m-1)nは、電源電圧供給配線L
svに接続される第1電源端子と、結合素子Tc
(m-1)nの出力端子に接続される入力端子と、接地電位に接続される第2電源端子を有する。
【0126】
前段インバータI
(m-1)nが1V程度の低電源電圧で駆動されたとしても、前段インバータI
(m-1)nは、入力された入力信号のパルス波形を整形することができる。接地電位と前段インバータI
(m-1)nの出力端子との間において、前段インバータI
(m-1)n用の記憶コンデンサC
(m-1)nが接続される。前段セルM
(m-1)nの出力端子は、記憶コンデンサC
(m-1)n内に記憶された信号を、出力カラム内の出力端子OUT
(m-1)の前に配置された後段セルMr
(m-1)nに出力する。
【0127】
図3Cに示すように、前段セルM
(m-1)nと前段セルM
(m-1)3との間に挿入される第(m−1)行の後段セルMr
(m-1)nは、前段セルM
(m-1)nの出力端子に接続される入力端子を有し、更にクロック配線L
clkに接続される制御端子も有するバッファ素子Tr
(m-1)nと、バッファ素子Tr
(m-1)nの出力端子に接続される入力端子を有する後段インバータIr
(m-1)nを含む。即ち、バッファ素子Tr
(m-1)nは、偶数列Ur
2の入力側に隣接して配置された奇数列U
2に割り当てられた前段セルM
(m-1)nの出力端子からの信号の転送を制御する。
【0128】
後段インバータIr
(m-1)nは、電源電圧供給配線L
svに接続される第1電源端子と、バッファ素子Tr
(m-1)nの出力端子に接続される入力端子と、接地電位に接続される第2電源端子を有する。接地電位と後段インバータIr
(m-1)nの出力端子との間に後段インバータIr
(m-1)n用の記憶コンデンサCr
(m-1)nが接続される。後段セルMr
(m-1)nの出力端子は、記憶コンデンサCr
(m-1)n内に記憶された信号を、出力端子OUT
(m-1)に出力する。即ち、後段インバータIr
(m-1)nは、同一の行に配置された前段セルM
(m-1)nから転送された反転信号を再反転し、更に、再反転された信号を、出力カラム内の出力端子OUT
(m-1)に出力する。そして、記憶コンデンサCr
(m-1)nは、再反転された信号を記憶する。
【0129】
周期的に振動する第1及び第2クロック信号に同期するように、第n奇数列U
2の結合素子Tc
(m-1)n及び第n偶数列Ur
2のバッファ素子Tr
(m-1)nのそれぞれは、結合素子Tc
(m-1)nが導電状態のときはバッファ素子Tr
(m-1)nが遮断状態となり、その逆に、結合素子Tc
(m-1)nが遮断状態のときはバッファ素子Tr
(m-1)nが導電状態となるように動作する。従って、前段インバータI
(m-1)nの記憶コンデンサC
(m-1)nから後段インバータIr
(m-1)nへのドミノ転送は、防止される。また、前段インバータI
(m-1)nと後段インバータIr
(m-1)nとのペアによって、減衰した信号”1”の電圧レベルは、歪んだ入力信号を整形するために、電源電圧の電圧レベルまでそれぞれ増幅される。
【0130】
<第n列第m行>
第m行に配列される前段セルMM
nは、前段となる第(n-1)偶数列Ur1の後段セルMr
mnの出力端子に接続される入力端子を有し、更にクロック配線L
clkに接続される制御端子も有する結合素子Tc
mnと、前段インバータI
mnを含む。前段インバータの入力端子は、結合素子Tc
mnの出力端子に接続される。前段インバータI
mnは、電源電圧供給配線L
svに接続される第1電源端子と、結合素子Tc
mnの出力端子に接続される入力端子と、接地電位に接続される第2電源端子を有する。
【0131】
前段インバータI
mnが1V程度の低電源電圧で駆動されたとしても、前段インバータI
mnは、入力された入力信号のパルス波形を整形することができる。接地電位と前段インバータI
mnの出力端子との間において、前段インバータI
mn用の記憶コンデンサC
mnが接続される。前段セルMM
nの出力端子は、記憶コンデンサC
mn内に記憶された信号を、出力カラム内の出力端子OUT
mの前に配置された後段セルMr
mnに出力する。
【0132】
図3Cに示すように、第m行の後段セルMr
mnは、前段セルMM
nと前段セルMM
3との間に挿入される。第m行の後段セルMr
mnは、前段セルMM
nの出力端子に接続される入力端子を有し、更にクロック配線L
clkに接続される制御端子も有するバッファ素子Tr
mnと、バッファ素子Tr
mnの出力端子に接続される入力端子を有する後段インバータIr
mnを含む。即ち、バッファ素子Tr
mnは、偶数列Ur1の入力側に隣接して配置された奇数列U
1に割り当てられた前段セルMM
nの出力端子からの信号の転送を制御する。
【0133】
後段インバータIr
mnは、電源電圧供給配線L
svに接続される第1電源端子と、バッファ素子Tr
mnの出力端子に接続される入力端子と、接地電位に接続される第2電源端子を有する。接地電位と後段インバータIr
mnの出力端子との間に後段インバータIr
mn用の記憶コンデンサCr
mnが接続される。後段セルMr
mnの出力端子は、記憶コンデンサCr
mn内に記憶された信号を、出力端子OUT
mに出力する。即ち、後段インバータIr
mnは、同一の行に配置された前段セルMM
nから転送された反転信号を再反転し、更に、再反転された信号を、出力カラム内の出力端子OUT
mに出力する。そして、記憶コンデンサCr
mnは、再反転された信号を記憶する。
【0134】
周期的に振動する第1及び第2クロック信号に同期するように、第n奇数列U
2の結合素子Tc
mn及び第n偶数列Ur
2のバッファ素子Tr
mnのそれぞれは、結合素子Tc
mnが導電状態のときはバッファ素子Tr
mnが遮断状態となり、その逆に、結合素子Tc
mnが遮断状態のときはバッファ素子Tr
mnが導電状態となるように動作する。従って、前段インバータI
mnの記憶コンデンサC
mnから後段インバータIr
mnへのドミノ転送は、防止される。また、前段インバータI
mnと後段インバータIr
mnとのペアによって、減衰した信号”1”の電圧レベルは、歪んだ入力信号を整形するために、電源電圧の電圧レベルまでそれぞれ増幅される。
【0135】
図3A〜
図3Cにおいては、それぞれが1つの制御端子を有する結合素子Tc
ij (i = 1〜m; j = 1〜n)及びバッファ素子Trijについて図示したが、
図3A〜
図3Cに示す回路形態は単なる例にすぎず、結合素子Tc
ij及びバッファ素子Tr
ijは、相補型パストランジスタ行ジック、CMOSトランスミッション・ゲートなどのようなダブル制御端子を持っていてもよい。
【0136】
例えば、結合素子Tc
ij及びバッファ素子Tr
ijのダブル制御端子が相補的方法でバイアスされるように、CMOSトランスミッション・ゲートの第2の制御端子に、第1クロック信号を反転した第2クロック信号を印加している間、CMOSトランスミッション・ゲートの第1の制御端子に第1クロック信号を印加してもよい。尚、結合素子Tc
ij及びバッファ素子Tr
ijのそれぞれがダブル制御端子を有する場合であっても、第1及び第2クロック信号を提供するに当たって、
図3A〜
図3Cに示す1つのクロック配線を有していれば十分である。なぜなら、インバータが第1及び第2クロック信号の間に挿入されることで、第1クロック信号が反転されて容易に第2クロック信号を得ることができるからである。
【0137】
(第1実施形態:3トランジスタ)
図4A及び
図4Bは、第1実施形態に係るMM計算機システムに使用される後段セルのアレイを含むMMセルのそれぞれの2×2アレイのトランジスタレベル表記の例を示す。
図4A及び
図4Bに示す回路構成において、MOS電界効果トランジスタ(FET)のトランジスタシンボルは、能動素子を示すものとして使われるが、MOSFETは、MOS静電誘導トランジスタ(SIT)によって置き換えることもできる。
【0138】
更に、MOSFET及びMOSSITは、シリコン酸化膜(SiO
2膜)以外のゲート絶縁膜を有する金属−絶縁体−半導体(MIS)FET及びMISSITによってそれぞれ置き換えることができる。このようなMMのトランジスタレベル構成を構成する能動素子の同じような置き換えは、第2及び第3実施形態においても適用することができる。
【0139】
従って、第1〜第3実施形態で言及される「MOSトランジスタ」は、実質的には「MISトランジスタ」と同義のものとして解釈されるべきである。例えば、MISトランジスタに使用されるゲート絶縁膜は、シリコン酸化膜(SiO
2膜)、シリコン窒化膜(Si
3N
4膜)、及びシリコン酸化膜(SiO
2膜)を含む3層構造を有するONO膜としてもよい。更に、MISトランジスタに使用されるゲート絶縁膜は、ストロンチウム(Sr)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、イットリウム(Y)、ハフニウム(Hf)、ジルコニウム(Zr)、タンタル(Ta)、ビスマス(Bi)から選択される少なくとも1つの元素を含む酸化物、又は上記の元素から選択される少なくとも1つの元素を含む窒化シリコンを含んでいてもよい。
【0140】
図4Aの上部左側の位置に、MMのマトリクスの第i行に配列された第j列の前段セルM
ij(i=1〜m; j=1〜n)が示される。前段セルM
ijは、前段の前段セルM
i(j-1)との間に挿入された後段セルMr
i(j-1)の出力端子に接続された第1主電極、及び第1のクロック配線L
clk1に接続されたゲート電極を有するnMOSトランジスタQ
ij1によって構成される結合素子と、結合素子Q
ij1の第2主電極に接続された入力端子を有する前段インバータI
ijを含む。
【0141】
即ち、結合素子Q
ij1は、奇数列U
jの入力側に隣接する偶数列Ur
(j-1)に定義される隣接後段セルMr
i(j-1)の出力端子からの信号の転送を制御する。前段インバータI
ijは、電源電圧供給配線L
svに接続される第1主電極、及び結合素子Q
ij1の第2主電極に接続されるゲート電極を有するpMOSトランジスタQ
ij2と、pMOSトランジスタQ
ij2の第2主電極に接続される第1主電極、結合素子Q
ij1の第2主電極に接続されるゲート電極、及び接地電位に接続される第2主電極を有するnMOSトランジスタQ
ij3を含むCMOSインバータによって構成される。
【0142】
前段インバータI
ijの出力端子に対して、前段インバータI
ijに割り当てられた記憶コンデンサC
ijは、nMOSトランジスタQ
ij3と共に並列に接続される。また、pMOS トランジスタQ
ij2の第2主電極及びnMOSトランジスタQ
ij3の第1主電極に接続される出力ノードは、前段セルM
ijの内部出力端子として機能する。
【0143】
前段セルM
ijの内部出力端子は、記憶コンデンサC
ij内に記憶された信号を次列の前段セルM
i(j+1)の前に配置された後段セルMr
ijに出力する。即ち、前段インバータI
ijは、結合素子Q
ij1を介して転送された信号を反転し、更に、反転された信号を、前段セルM
ijの出力側に隣接して配置された偶数列U
rjに出力する。そして、前段記憶コンデンサC
ijは、反転された信号を記憶する。
【0144】
また、前段セルM
ijと前段セルM
i(j+1)との間に挿入された後段セルMr
ijは、前段の前段セルM
ijの内部出力端子に接続される第1主電極、及び第2のクロック配線L
clk2に接続されるゲート電極を有するnMOSトランジスタQ
rij1と、nMOSトランジスタQ
rij1の第2主電極に接続される入力端子を有する後段インバータIrijと、によって構成されるバッファ素子を含む。既に説明したように、第1のクロック配線L
clk1及び第2のクロック配線L
clk2は、
図2に示すように、単一の共通クロック配線Lclkとして共通化することができる。
【0145】
即ち、バッファ素子Qr
ij1は、偶数列Ur
jの入力側に隣接する奇数列U
jに定義される隣接前段セルM
ijの出力端子からの信号の転送を制御する。後段インバータIr
ijは、電源電圧供給配線L
svに接続される第1主電極、及びバッファ素子Qr
ij1の第2主電極に接続されるゲート電極を有するpMOSトランジスタQr
ij2と、pMOSトランジスタQr
ij2の第2主電極に接続される第1主電極、バッファ素子Qr
ij1の第2主電極に接続されるゲート電極、及び接地電位に接続される第2主電極を有するnMOSトランジスタQr
ij3を含むCMOSインバータによって構成される。
【0146】
後段インバータIr
ijの出力端子に対して、後段インバータIr
ijに割り当てられた記憶コンデンサCr
ijは、nMOSトランジスタQr
ij3と共に並列に接続される。また、pMOS トランジスタQr
ij2の第2主電極及びnMOSトランジスタQr
ij3の第1主電極に接続される出力ノードは、後段セルMr
ijの出力端子として機能する。後段セルMr
ijの出力端子は、記憶コンデンサCr
ij内に記憶された信号を次列の前段セルM
i(j+1)に出力する。即ち、後段インバータIr
ijは、同一の行に配置された前段セルM
ijから転送された反転信号を再反転し、更に、再反転された信号を、後段セルMr
ijの出力側に隣接して配置された奇数列U
(j+1)に出力する。そして、記憶コンデンサCr
ijは、再反転された信号を記憶する。
【0147】
そして、
図4Aに示すように、第(i+1)行に配列された第j列の前段セルM
(i+1)jは、前段の前段セルM
(i+1)(j-1)との間に挿入された後段セルMr
(i+1)(j-1)の出力端子に接続された第1主電極、及び第1のクロック配線L
clk1に接続されたゲート電極を有するnMOSトランジスタQ
(i+1)j1によって構成される結合素子と、結合素子Q
(i+1)j1の第2主電極に接続された入力端子を有する前段インバータI
(i+1)jを含む。
【0148】
即ち、結合素子Q
(i+1)j1は、奇数列U
jの入力側に隣接する偶数列Ur
(j-1)に定義される隣接後段セルMr
i(j-1), Mr
(i+1)(j-1)の出力端子からの信号の転送を制御する。前段インバータI
(i+1)jは、電源電圧供給配線L
svに接続される第1主電極、及び結合素子Q
(i+1)j1の第2主電極に接続されるゲート電極を有するpMOSトランジスタQ
(i+1)j2と、pMOSトランジスタQ
(i+1)j2の第2主電極に接続される第1主電極、結合素子Q
(i+1)j1の第2主電極に接続されるゲート電極、及び接地電位に接続される第2主電極を有するnMOSトランジスタQ
(i+1)j3を含むCMOSインバータによって構成される。
【0149】
前段インバータI
(i+1)jの出力端子に対して、前段インバータI
(i+1)jに割り当てられた記憶コンデンサC
(i+1)jは、nMOSトランジスタQ
(i+1)j3と共に並列に接続される。また、pMOS トランジスタQ
(i+1)j2の第2主電極及びnMOSトランジスタQ
(i+1)j3の第1主電極に接続される出力ノードは、前段セルM
(i+1)jの内部出力端子として機能する。前段セルM
(i+1)jの内部出力端子は、記憶コンデンサC
(i+1)j内に記憶された信号を次列の前段セルM
(i+1)(j+1)の前に配置された後段セルMr
(i+1)jに出力する。即ち、前段インバータI
(i+1)jは、結合素子Q
(i+1)j1を介して転送された信号を反転し、更に、反転された信号を、前段セルM
(i+1)jの出力側に隣接して配置された偶数列U
rjに出力する。そして、前段記憶コンデンサC
(i+1)jは、反転された信号を記憶する。
【0150】
また、前段セルM
(i+1)jと前段セルM
(i+1)(j+1)との間に挿入された後段セルMr
(i+1)jは、前段の前段セルM
(i+1)jの内部出力端子に接続される第1主電極、及び第2のクロック配線L
clk2に接続されるゲート電極を有するnMOSトランジスタQr
(i+1)j1と、nMOSトランジスタQr
(i+1)j1の第2主電極に接続される入力端子を有する後段インバータIr
(i+1)jと、によって構成されるバッファ素子を含む。
【0151】
即ち、バッファ素子Qr
(i+1)j1は、偶数列Ur
jの入力側に隣接する奇数列U
jに定義される隣接前段セルM
(i+1)jの出力端子からの信号の転送を制御する。後段インバータIr
(i+1)jは、電源電圧供給配線L
svに接続される第1主電極、及びバッファ素子Qr
(i+1)j1の第2主電極に接続されるゲート電極を有するpMOSトランジスタQr
(i+1)j2と、pMOSトランジスタQr
(i+1)j2の第2主電極に接続される第1主電極、バッファ素子Qr
(i+1)j1の第2主電極に接続されるゲート電極、及び接地電位に接続される第2主電極を有するnMOSトランジスタQr
(i+1)j3を含むCMOSインバータによって構成される。
【0152】
後段インバータIr
(i+1)jの出力端子に対して、後段インバータIr
(i+1)jに割り当てられた記憶コンデンサCr
(i+1)jは、nMOSトランジスタQr
(i+1)j3と共に並列に接続される。また、pMOSトランジスタQr
(i+1)j2の第2主電極及びnMOSトランジスタQr
(i+1)j3の第1主電極に接続される出力ノードは、後段セルMr
(i+1)jの出力端子として機能する。後段セルMr
(i+1)jの出力端子は、記憶コンデンサCr
(i+1)j内に記憶された信号を次列の前段セルM
(i+1)(j+1)に出力する。即ち、後段インバータIr
(i+1)jは、同一の行に配置された前段セルM
(i+1)jから転送された反転信号を再反転し、更に、再反転された信号を、後段セルMr
(i+1)jの出力側に隣接して配置された奇数列U
(j+1)に出力する。そして、記憶コンデンサCr
(i+1)jは、再反転された信号を記憶する。
【0153】
図4Bに示すように、第i行に配列された第(j+1)列の前段セルM
i(j+1)は、前段の前段セルM
ijとの間に挿入された後段セルMr
ijの出力端子に接続された第1主電極、及び第1のクロック配線L
clk1に接続されたゲート電極を有するnMOSトランジスタQ
i(j+1)1によって構成される結合素子と、結合素子Q
i(j+1)1の第2主電極に接続された入力端子を有する前段インバータI
i(j+1)を含む。即ち、結合素子Q
i(j+1)1は、奇数列U
(j+1)の入力側に隣接する偶数列Ur
jに定義される隣接後段セルMr
ijの出力端子からの信号の転送を制御する。
【0154】
前段インバータI
i(j+1)は、電源電圧供給配線L
svに接続される第1主電極、及び結合素子Q
i(j+1)1の第2主電極に接続されるゲート電極を有するpMOSトランジスタQ
i(j+1)2と、pMOSトランジスタQ
i(j+1)2の第2主電極に接続される第1主電極、結合素子Q
i(j+1)1の第2主電極に接続されるゲート電極、及び接地電位に接続される第2主電極を有するnMOSトランジスタQ
i(j+1)3を含むCMOSインバータによって構成される。前段インバータI
i(j+1)の出力端子に対して、前段インバータI
i(j+1)に割り当てられた記憶コンデンサC
i(j+1)は、nMOSトランジスタQ
i(j+1)3と共に並列に接続される。
【0155】
また、pMOS トランジスタQ
i(j+1)2の第2主電極及びnMOSトランジスタQ
i(j+1)3の第1主電極に接続される出力ノードは、前段セルM
i(j+1)の内部出力端子として機能する。前段セルM
i(j+1)の内部出力端子は、記憶コンデンサC
i(j+1)内に記憶された信号を次列の前段セルM
i(j+2)の前に配置された後段セルMr
i(j+1)に出力する。即ち、前段インバータI
i(j+1)は、結合素子Q
i(j+1)1を介して転送された信号を反転し、更に、反転された信号を、前段セルM
i(j+1)の出力側に隣接して配置された偶数列U
r(j+1)に出力する。そして、前段記憶コンデンサC
i(j+1)は、反転された信号を記憶する。
【0156】
また、前段セルM
i(j+1)と前段セルM
i(j+2)との間に挿入された後段セルMr
i(j+1)は、前段の前段セルM
i(j+1)の内部出力端子に接続される第1主電極、及び第2のクロック配線L
clk2に接続されるゲート電極を有するnMOSトランジスタQr
i(j+1)1と、nMOSトランジスタQr
i(j+1)1の第2主電極に接続される入力端子を有する後段インバータIr
i(j+1)と、によって構成されるバッファ素子を含む。即ち、バッファ素子Qr
i(j+1)1は、偶数列Ur
(j+1)の入力側に隣接する奇数列U
(j+1)に定義される隣接前段セルM
i(j+1)の出力端子からの信号の転送を制御する。
【0157】
後段インバータIr
i(j+1)は、電源電圧供給配線L
svに接続される第1主電極、及びバッファ素子Qr
i(j+1)1の第2主電極に接続されるゲート電極を有するpMOSトランジスタQr
i(j+1)2と、pMOSトランジスタQr
i(j+1)2の第2主電極に接続される第1主電極、バッファ素子Qr
i(j+1)1の第2主電極に接続されるゲート電極、及び接地電位に接続される第2主電極を有するnMOSトランジスタQr
i(j+1)3を含むCMOSインバータによって構成される。後段インバータIr
i(j+1)の出力端子に対して、後段インバータIr
i(j+1)に割り当てられた記憶コンデンサCr
i(j+1)は、nMOSトランジスタQr
i(j+1)3と共に並列に接続される。また、pMOSトランジスタQr
i(j+1)2の第2主電極及びnMOSトランジスタQr
i(j+1)3の第1主電極に接続される出力ノードは、後段セルMr
i(j+1)の出力端子として機能する。
【0158】
後段セルMr
i(j+1)の出力端子は、記憶コンデンサCr
i(j+1)内に記憶された信号を次列の前段セルM
i(j+2)に出力する。即ち、後段インバータIr
i(j+1)は、同一の行に配置された前段セルM
i(j+1)から転送された反転信号を再反転し、更に、再反転された信号を、後段セルMr
i(j+1)の出力側に隣接して配置された奇数列U
(j+2)に出力する。そして、記憶コンデンサCr
i(j+1)は、再反転された信号を記憶する。
【0159】
更に、
図4Bに示すように、第(i+1)行に配列された第(j+1)列の前段セルM
(i+1)(j+1)は、前段の前段セルM
(i+1)jとの間に挿入された後段セルMr
(i+1)jの出力端子に接続された第1主電極、及び第1のクロック配線L
clk1に接続されたゲート電極を有するnMOSトランジスタQ
(i+1)(j+1)1によって構成される結合素子と、結合素子Q
(i+1)(j+1)1の第2主電極に接続された入力端子を有する前段インバータI
(i+1)(j+1)を含む。
【0160】
即ち、結合素子Q
(i+1)(j+1)1は、奇数列U
(j+1)の入力側に隣接する偶数列Ur
jに定義される隣接後段セルMr
(i+1)jの出力端子からの信号の転送を制御する。前段インバータI
(i+1)(j+1)は、電源電圧供給配線L
svに接続される第1主電極、及び結合素子Q
(i+1)(j+1)1の第2主電極に接続されるゲート電極を有するpMOSトランジスタQ
(i+1)(j+1)2と、pMOSトランジスタQ
(i+1)(j+1)2の第2主電極に接続される第1主電極、結合素子Q
(i+1)(j+1)1の第2主電極に接続されるゲート電極、及び接地電位に接続される第2主電極を有するnMOSトランジスタQ
(i+1)(j+1)3を含むCMOSインバータによって構成される。
【0161】
前段インバータI
(i+1)(j+1)の出力端子に対して、前段インバータI
(i+1)(j+1)に割り当てられた記憶コンデンサC
(i+1)(j+1)は、nMOSトランジスタQ
(i+1)(j+1)3と共に並列に接続される。また、pMOSトランジスタQ
(i+1)(j+1)2の第2主電極及びnMOSトランジスタQ
(i+1)(j+1)3の第1主電極に接続される出力ノードは、前段セルM
(i+1)(j+1)の内部出力端子として機能する。前段セルM
(i+1)(j+1)の内部出力端子は、記憶コンデンサC
(i+1)(j+1)内に記憶された信号を次列の前段セルM
(i+1)(j+2)の前に配置された後段セルMr
(i+1)(j+1)に出力する。即ち、前段インバータI
(i+1)(j+1)は、結合素子Q
(i+1)(j+1)1を介して転送された信号を反転し、更に、反転された信号を、前段セルM
(i+1)(j+1)の出力側に隣接して配置された偶数列U
r(j+1)に転送する。そして、前段記憶コンデンサC
(i+1)(j+1)は、反転された信号を記憶する。
【0162】
また、前段セルM
(i+1)(j+1)と前段セルM
(i+1)(j+2)との間に挿入された後段セルMr
(i+1)(j+1)は、前段の前段セルM
(i+1)(j+1)の内部出力端子に接続される第1主電極、及び第2のクロック配線L
clk2に接続されるゲート電極を有するnMOSトランジスタQr
(i+1)(j+1)1と、nMOSトランジスタQr
(i+1)(j+1)1の第2主電極に接続される入力端子を有する後段インバータIr
(i+1)(j+1)と、によって構成されるバッファ素子を含む。
【0163】
即ち、バッファ素子Qr
(i+1)(j+1)1は、偶数列Ur
(j+1)の入力側に隣接する奇数列U
(j+1)に定義される隣接前段セルM
(i+1)(j+1)の出力端子からの信号の転送を制御する。後段インバータIr
(i+1)(j+1)は、電源電圧供給配線L
svに接続される第1主電極、及びバッファ素子Qr
(i+1)(j+1)1の第2主電極に接続されるゲート電極を有するpMOSトランジスタQr
(i+1)(j+1)2と、pMOSトランジスタQr
(i+1)(j+1)2の第2主電極に接続される第1主電極、バッファ素子Qr
(i+1)(j+1)1の第2主電極に接続されるゲート電極、及び接地電位に接続される第2主電極を有するnMOSトランジスタQr
(i+1)(j+1)3を含むCMOSインバータによって構成される。
【0164】
後段インバータIr
(i+1)(j+1)の出力端子に対して、後段インバータIr
(i+1)(j+1)に割り当てられた記憶コンデンサCr
(i+1)(j+1)は、nMOSトランジスタQr
(i+1)(j+1)3と共に並列に接続される。また、pMOSトランジスタQr
(i+1)(j+1)2の第2主電極及びnMOSトランジスタQr
(i+1)(j+1)3の第1主電極に接続される出力ノードは、後段セルMr
(i+1)(j+1)の出力端子として機能する。後段セルMr
(i+1)(j+1)の出力端子は、記憶コンデンサCr
(i+1)(j+1)内に記憶された信号を次列の前段セルM
(i+1)(j+2)に出力する。即ち、後段インバータIr
(i+1)(j+1)は、同一の行に配置された前段セルM
(i+1)(j+1)から転送された反転信号を再反転し、更に、再反転された信号を、後段セルMr
(i+1)(j+1)の出力側に隣接して配置された奇数列U
(j+2)に転送する。そして、記憶コンデンサCr
(i+1)(j+1)は、再反転された信号を記憶する。
【0165】
<第1実施形態のクロック信号>
図5A〜
図5Eは、トランジスタレベルでの前段セルと後段セルの動作のタイミングチャートを示す。即ち、
図5A〜
図5Eに示す波形は、第1クロック信号CLK
1及び第2クロック信号CLK
2の波形によって生成される前段セルと後段セルがなす周期的変化を示すトポロジーの構造例である。即ち、
図5A〜
図5Eに示す波形は、
図4Aによって表記される前段セルM
ij及び後段セルMr
ijの動作に係る論理レベルの時間的変動に対応する。
図5Aに示すように、第1クロック信号CLK
1及び第2クロック信号CLK
2のそれぞれは、クロックサイクルτ
clockの周期において、論理レベル“1”と論理レベル“0”との間で周期的に振動する。
【0166】
例えば、第1クロック信号CLK
1は、τ
clock/3の周期において論理レベル“1”を保持する。そして、第1クロック信号CLK
1は、τ
clock/3の周期において論理レベル“1”を保持した後に、2τ
clock/3の周期において論理レベル“0”になる。一方、τ
clock/2の周期において、第2クロック信号CLK
2は、論理レベル“0”を保持する。そして、第2クロック信号CLK
2は、τ
clock/2の周期において論理レベル“0”を保持した後に、τ
clock/3の周期において論理レベル“1”になる。
【0167】
第1クロック信号CLK
1及び第2クロック信号CLK
2は、互いにτ
clock/2だけ時間的に離れている。従って、第2クロック信号CLK
2は、第1クロック信号CLK
1の立ち下りエッジからτ
clock/6の所定の時間が経過した後に立ち上がり、次の第1クロック信号CLK
1の立ち上がりエッジからτ
clock/6だけ前のタイミングで立ち下がる。
図5A〜
図5Eに示すように、t
1〜t
0の期間、及びt
3〜t
2の期間はτ
clock/3で定義され、t
2〜t
1の期間、及びt
4〜t
3の期間はτ
clock/6で定義される。
【0168】
しかし、
図6Aに示す方形波は、無負荷状態の下での理想波形であり、MMを実装した半導体チップ内の第1クロック信号CLK
1及び第2クロック信号CLK
2の実際の波形は、以下に述べる
図7Bに示すような方形波から歪んだ形状となる。浮遊容量及び浮遊抵抗に起因する遅延時間τ
d1, τ
d2により第1クロック信号CLK
1及び第2クロック信号CLK
2の波形歪みを呈する。波形歪みを呈した第1クロック信号CLK
1及び第2クロック信号CLK
2は、
図2に示すように、単一の共通クロック配線L
clkから供給される。
【0169】
<時刻"t
0"から"t
2"までの間におけるNAND/AND動作>
図5Aに示すように、
図4Aに示す前段セルM
ijに関して、その入力側の列(前列)に位置する後段セルMr
i(j-1)の記憶コンデンサCr
i(j-1)の論理レベルが“1”である、即ち前列に位置する後段セルMr
i(j-1)の出力端子が論理レベル“1”であると仮定する。時刻“t
0”において、第1クロック信号CLK
1が高レベルになり、かつその高レベル信号が結合素子Q
ij1のゲート電極に印加されるときに、前段セルM
ijの前段インバータI
ijの入力端子は、論理レベル“1”になる。結合素子Q
ij1は、前列側の後段セルMr
i(j-1)の出力端子と前段セルM
ijの前段インバータI
ijの入力端子との間で導電状態を確立し、かつ第1クロック信号CLK1が時刻"t
1"において低レベルとなるまでの間、その導電状態を保持する。
【0170】
そして、その前列に位置する後段セルMr
i(j-1)の記憶コンデンサCr
i(j-1)内に記憶された信号は、記憶コンデンサCr
i(j-1)から前段セルM
ijの前段インバータI
ijの入力端子に転送される。前列側の後段セルMr
i(j-1)の記憶コンデンサCr
i(j-1)内の信号が前段セルM
ijの前段インバータI
ijの入力端子に転送されるとき、前段インバータI
ijは、
図5B及び
図5Cに示す遅延時間τ
d1, τ
d2だけ遅れて、
図5B及び
図5Cに示すように、後段セルMr
i(j-1)の記憶コンデンサCr
i(j-1)内に記憶された信号を反転し始める。
【0171】
図5Bに示すように、遅延時間τ
d1は、第1クロック信号CLK
1の立ち上がりエッジと、信号レベルが閾値電圧V
th (=0.4V)に落ちたときの時刻との間の期間として定義される。また、
図5Cに示すように、遅延時間τ
d2は、第1クロック信号CLK
1の立ち上がりエッジと、信号レベルが閾値電圧V
thに上昇したときの時刻との間の期間として定義される。遅延時間τ
d1, τ
d2は、記憶コンデンサC
ij及び浮遊抵抗によって決定される。ここで、前段セルM
ijに寄生する浮遊容量は、記憶コンデンサC
ijによって構成してもよい。また、反転信号は、前段セルM
ijの記憶コンデンサC
ijのノードに転送される。
【0172】
例えば、論理レベル“1”が前列側の後段セルMr
i(j-1)から前段セルM
ijの前段インバータI
ijの入力端子に転送されたとすると、即ち、論理レベル“1”がpMOSトランジスタQ
ij2のゲート電極及びnMOSトランジスタQ
ij3のゲート電極に印加されたとすると、pMOSトランジスタQ
ij2は、nMOSトランジスタQ
ij3が導電状態のとき遮断状態となる。その結果、論理レベル“0”は、記憶コンデンサC
ijに一時的に記憶される。
【0173】
このようにして、前段セルM
ijは、
図5Bに示すNAND動作を実行することによって、前列側の後段セルMr
i(j-1)内に記憶された論理レベル“1”の信号を論理レベル“0”に反転し、更に記憶コンデンサC
ijに論理レベル“0”の反転信号を転送するようになる。
【0174】
即ち、第1クロック信号CLK
1によって提供された入力信号“1”と、前列側の後段セルMr
i(j-1)によって出力された他の入力信号“1”とに関して、
1+1=0 ……(1)
となり、(1)式に示す公知のデュアル入力NAND動作を実行することができる。
図5Bは、論理レベル“0”が時刻"t
0"から始まる期間内で、記憶コンデンサC
ij内に一時的に信号が記憶されるときの波形の過渡変化を表す。
図5Bの例において、記憶コンデンサC
ijの理想の論理レベルは実線によって示され、記憶コンデンサC
ijの実際の電位変化は一点鎖線によって示される。
【0175】
論理レベル“0”が前段セルM
ijの記憶コンデンサC
ij内に一時的に記憶された後に、論理レベル“0”は、前段セルM
ijから
図4Aの後段セルMr
ij内の後段インバータIr
ijの入力端子に転送される。即ち、論理レベル“0”は、pMOSトランジスタQr
ij2のゲート電極、及びnMOSトランジスタQr
ij3のゲート電極に印加されるので、pMOSトランジスタQr
ij2は、導電状態になり、nMOSトランジスタQr
ij3の第1及び第2主電極の間は、遮断状態となる。その結果、論理レベル“1”は、記憶コンデンサC
ij内に記憶される。
【0176】
このようにして、後段セルMr
ijは、前段セルM
ijに記憶された論理レベル“0”の信号を論理レベル“1”に反転し、また、反転された信号“1”は、
図5Eに示すように、NAND動作を実行するために、記憶コンデンサCr
ijのノードに転送される。即ち、第2クロック信号CLK
2によって提供された入力信号“1”と、前段セルMr
ijの入力端子を介して入力された他の入力信号“0”とに関して、
0+1=1 ……(2)
となり、(2)式に示す公知のデュアル入力NAND動作を実行することができる。
【0177】
図5Eの例において、論理レベル“0”が時刻"t
0"から"t
2"までの期間内で記憶コンデンサCr
ij内に記憶されている間において、記憶コンデンサCr
ijの理想の論理レベルは、実線によって示され、記憶コンデンサCr
ijの実際の電位変化は、一点鎖線によって示される。pMOSトランジスタQr
ij2の第2主電極及びnMOSトランジスタQr
ij3の第1主電極に接続される出力ノードNr
outは、後段セルMr
ijの出力端子として機能する。後段セルMr
ijの出力端子は、記憶コンデンサCr
ij内に記憶された信号を次列の前段セルM
i(j+1)に出力する。
【0178】
上述のように、第j奇数列U
jと第j偶数列Ur
jとの組み合わせは、前段セルM
ij (1+1=0)及び後段セルMr
ij (0+1=1)の全体動作の図に示すように、第j番目の2ビットメモリユニットを構築するので、
1+1=1 ……(3)
となる。(3)式に示す公知のデュアル入力AND動作は、第(j-1)番目の2ビットメモリユニットの後段セルMr
i(j-1)内に記憶された論理レベル“1”の信号が第j番目の2ビットメモリユニットの前段セルM
ijの入力端子に入力されたと仮定すると、第j番目の2ビットメモリユニット内の前段セルM
ij及び後段セルMr
ij介して達成される。
【0179】
前段セルM
ij及び後段セルMr
ijのそれぞれは、独立したビットレベルセルとして機能するので、それぞれ、情報の流れ(ストリーム)の方向における連続する2つのビットレベルデータは、第j番目の2ビットメモリユニット内の隣り合うビットレベルセルM
ij, Mr
ijで共有することができる。即ち、デュアル入力AND動作による結果は、後段セルMr
ijにおいて現れるけれども、反転されたデュアル入力AND動作による結果、又はデュアル入力NAND動作による結果は、前段セルM
ijにおいて実行される。
【0180】
これに対し、論理レベル“0”の信号が前列側の後段セルMr
i(j-1)の記憶コンデンサCr
i(j-1)内に記憶されたと仮定すると、論理レベル“0”は、前列側の後段セルMr
i(j-1)から前段セルMr
ijの前段インバータI
ijの入力端子に転送される。即ち、論理レベル“0”は、pMOSトランジスタQ
ij2のゲート電極、及びnMOSトランジスタQ
ij3のゲート電極に印加され、pMOSトランジスタQ
ij2は、導電状態になり、nMOSトランジスタQ
ij3は、遮断状態となる。その結果、論理レベル”1”は、記憶コンデンサC
ij内に一時的に記憶される。
【0181】
このようにして、前段セルM
ijは、
図5Cに示すようなNAND動作を実行するために、前列側の後段セルMr
i(j-1)内に記憶された論理レベル“0”の信号を論理レベル“1”に反転し始め、かつ反転された信号“1”は、記憶コンデンサC
ijのノードに転送される。即ち、第1クロック信号CLK
1によって提供された入力信号“1”と、前列側の後段セルMr
i(j-1)によって出力された他の入力信号 “0”とに関して、
0+1=1 ……(4)
となり、(4)式に示す公知のデュアル入力NAND動作を実行することができる。
【0182】
図5Cは、時刻”t
0”から始まる期間内で記憶コンデンサC
ij内に論理レベル”1”が一時的に記憶されるときの波形の過渡変化を表す。
図5Cの例において、記憶コンデンサC
ijの理想の論理レベルは、実線によって示され、記憶コンデンサC
ijの実際の電位変化は、一点鎖線によって示される。
【0183】
pMOSトランジスタQ
ij2の第2主電極及びnMOSトランジスタQ
ij3の第1主電極に接続される出力ノードN
outは、前段セルM
ijの内部出力端子として機能する。前段セルM
ijの内部出力端子は、記憶コンデンサC
ij内に記憶された信号を後段セルMr
ijに出力する。
【0184】
時刻”t
0”から”t
2”までの期間において、低レベルの第2クロック信号CLK
2がバッファ素子を構成するnMOSトランジスタQr
ij1のゲート電極に印加されるとバッファ素子Qr
ij1は遮断状態になり、前段セルM
ijの記憶コンデンサC
ijに割り当てられた出力端子を後段セルMr
ijの後段インバータIr
ijの入力端子から絶縁する。また、バッファ素子Qr
ij1は、第2クロック信号CLK
2が時刻”t
2”において高レベルになるまで、遮断状態に保持される。従って、前段セルM
ijの記憶コンデンサC
ij内に記憶された信号が、意図せずに、後段インバータIr
ijの入力端子に転送されることを防止することが可能となる。即ち、後段インバータIr
ijは、第2クロック信号CLK
2が時刻”t
2”において高レベルになるまで、記憶コンデンサCr
ij内に記憶された信号を、自ら保持する。
【0185】
また、時刻”t
2”において、第2クロック信号CLK2が高レベルになり、かつ第2クロック信号CLK2の高レベル信号がバッファ素子を構成するnMOSトランジスタQr
ij1のゲート電極に印加されたとき、前段セルM
ijの記憶コンデンサC
ijに割り当てられた出力端子から後段セルMr
ijの後段インバータIr
ijの入力端子までの信号経路が導通状態になる。バッファ素子Qr
ij1は、導電状態となり、かつ第2クロック信号CLK
2が時刻”t
3”において低レベルになるまで、その導電状態を保持する。そして、前段セルM
ijの記憶コンデンサC
ij内に記憶された信号は、記憶コンデンサC
ijから後段セルMr
ijの後段インバータIr
ijの入力端子に転送される。
【0186】
前段セルM
ijの記憶コンデンサC
ij内に記憶された信号が後段セルMr
ijの後段インバータIr
ijの入力端子に転送されたとき、
図5D及び
図5Eに示すように、遅延時間τ
d1, τ
d2だけ遅れて、後段インバータIr
ijは、前段セルM
ijの記憶コンデンサC
ij内に記憶された信号を反転し始める。
図5Dに示すように、遅延時間τ
d1は、第2クロック信号CLK
2の立ち上がりエッジと、信号レベルが閾値電圧V
th (=0.4V)に落ちたときの時刻との間の期間として定義される。
【0187】
また、
図5Eに示すように、遅延時間τ
d2は、第2クロック信号CLK
2の立ち上がりエッジと、信号レベルが閾値電圧V
thに上昇したときの時刻との間の期間として定義される。遅延時間τ
d1, τ
d2は、記憶コンデンサCr
ij及び浮遊抵抗によって決定される。記憶コンデンサCr
ijは、後段セルMr
ijに寄生する浮遊容量によって構成してもよい。また、反転信号は、後段セルMr
ijの記憶コンデンサCr
ijのノードに転送される。
【0188】
論理レベル”1”が前段セルM
ijの記憶コンデンサC
ij内に一時的に記憶されたとき、論理レベル”1”は、前段セルM
ijから後段セルMr
ij内の後段インバータIr
ijの入力端子に転送される。即ち、論理レベル”1”は、pMOSトランジスタQr
ij2のゲート電極、及びnMOSトランジスタQr
ij3のゲート電極に転送されるので、pMOSトランジスタQr
ij2は、nMOSトランジスタQr
ij3の第1主電極及び第2主電極が導電状態に設定されている間、遮断状態となる。その結果、論理レベル”0”は、記憶コンデンサCr
ij内に記憶される。
【0189】
このようにして、後段セルMr
ijは、前段セルM
ijに記憶された論理レベル”1”の信号を論理レベル”0”に反転し始め、また、反転された信号”0”は、
図5Dに示すように、NAND動作を実行するために、記憶コンデンサCr
ij内に記憶される。即ち、第2クロック信号CLK
2によって提供された入力信号“1”と、前段セルM
ijの入力端子を介して入力された他の入力信号“1”とに関して、
1+1=0 ……(5)
となり、(5)式に示す公知のデュアル入力NAND動作を実行することができる。
図5Dの例において、記憶コンデンサCr
ijの理想の論理レベルは、実線によって示され、記憶コンデンサCr
ijの実際の電位変化は、一点鎖線によって示される。
【0190】
第j奇数列U
jと第j偶数列Ur
jとの組み合わせは、前段セルM
ij (0+1=1)及び後段セルMr
ij (1+1=0)の全体動作の図に示すように、第j番目の2ビットメモリユニットを構築するので、
0+1=0 ……(6)
となる。(6)式に示す公知のデュアル入力AND動作は、第(j-1)番目の2ビットメモリユニットの後段セルMr
i(j-1)内に記憶された論理レベル“0”の信号が第j番目の2ビットメモリユニットの前段セルM
ijの入力端子に入力されたと仮定すると、第j番目の2ビットメモリユニット内の前段セルM
ij及び後段セルMr
ij介して達成される。
【0191】
<時刻”t
1”及び”t
4”間の信号保持>
次に、
図5Aに示すように、次列の前段セルM
i(j+1)に関して、時刻”t
1”から”t
4”までの期間において、第1クロック信号CLK1が低レベルに設定され、かつ第1クロック信号CLK1の低レベル信号は、第(j-1)番目の2ビットメモリユニット内の次段の結合素子を構成するnMOSトランジスタQ
i(j+1)1のゲート電極に印加される。後段セルMr
ijの記憶コンデンサCr
ijに割り当てられた出力端子から前段セルM
i(j+1)の次段の前段インバータI
i(j+1)の入力端子までの信号経路は遮断状態になる。
【0192】
次段の結合素子Q
i(j+1)1は、第1クロック信号CLK
1が時刻”t
4”において高レベルになるまで遮断状態を保持する。従って、第j番目の2ビットメモリユニットの後段セルMr
ijの記憶コンデンサCr
ij内に記憶された信号が、意図せずに、第(j+1)番目の2ビットメモリユニット内の次段の前段インバータI
i(j+1)の入力端子に転送されることを防止することが可能となる。即ち、次段の前段インバータI
i(j+1)は、第1クロック信号CLK
1が時刻”t
4”において高レベルになるまで、記憶コンデンサC
i(j+1)内に記憶された信号を自ら保持する。
【0193】
==第1実施形態におけるバイト/ワードサイズの信号の進行==
図3A、
図3B及び
図3Cに戻って、時刻”t
0”において、
図6Aに示す第1クロック信号CLK
1が高レベルになる場合を説明する。即ち、高レベルの第1クロック信号CLK
1がnMOSトランジスタのゲート電極に印加されると、
図3Aに示す第1奇数列U
1内の結合素子Q
111, Q
211, Q
311, ……, Q
(m-1)11, Q
m11のシーケンスにおいて、結合素子Q
111, Q
211, Q
311, ……, Q
(m-1)11, Q
m11のそれぞれは導電状態になる。
【0194】
従って、
図6Bに示すように、それぞれが16、32、及び64ビットのような8ビットの倍数となるバイトサイズ若しくはワードサイズの信号のシーケンスが、それぞれ、前段インバータI
11, I
21, I
31, ……, I
(m-1)1, I
m1のシーケンスの入力端子に印加されるとき、前段インバータI
11, I
21, I
31, ……, I
(m-1)1, I
m1の連続配置のそれぞれは、
図6Cに示すように、それぞれ、記憶コンデンサC
11, C
21, C
31, ……, C
(m-1)1, C
m1と浮遊抵抗によって決定される遅延時間τd1だけ遅れて、バイトサイズ若しくはワードサイズの信号を反転し、その反転信号を、それぞれ、前段インバータI
11, I
21, I
31, ……, I
(m-1)1, I
m1内の記憶コンデンサC
11, C
21, C
31, ……, C
(m-1)1, C
m1のノードに転送する。
【0195】
ここで、
図6Bは、第1奇数列U1内の前段インバータI
11, I
21, I
31, ……, I
(m-1)1, I
m1の入力端子に入力される方形波の理想入力信号の例を示す波形図である。
図6Cは、記憶コンデンサC
i1の論理レベルの変化の例を示す波形図である。
図6Cの例において、記憶コンデンサC
i1の理想の論理レベルは、実線によって示され、記憶コンデンサC
i1の実際の電位変化は、一点鎖線によって示される。
【0196】
(a) 時刻”t
1”、即ち、τ
clock/3の期間後においては、低レベルクロック信号が第1奇数列U
1内の結合素子Q
111, Q
211, Q
311, ……, Q
(m-1)11, Q
m11の連続配置を構成するnMOSトランジスタのそれぞれのゲート電極に印加される。低レベルクロック信号がゲート電極に印加されると、結合素子Q
111, Q
211, Q
311, ……, Q
(m-1)11, Q
m11は、それぞれ遮断状態になる。従って、
図6B及び
図6Cに示すように、結合素子Q
111, Q
211, Q
311, ……, Q
(m-1)11, Q
m11の連続配置のそれぞれの第1主電極に入力される信号が変化したとしても、記憶コンデンサC
11, C
21, C
31, ……, C
(m-1)1, C
m1内に既に記憶された信号の電荷又は論理レベルは、それぞれ維持される。
【0197】
(b) また、時刻”t
2”を経過したとき、即ち、τ
clock/2の期間後において第2クロック信号CLK
2は高レベルになる。第2クロック信号CLK
2が高レベルになると、バッファ素子Qr
111, Qr
211, Qr
311, ........, Qr
(m-1)11, Qr
m11が、記憶コンデンサC
11, C
21, C
31, ……, C
(m-1)1, C
m1内に一時的に記憶されたバイトサイズ若しくはワードサイズの信号のシーケンスを、
図3Aに示す第1偶数列Ur
1の後段セルMr
11, Mr
21, Mr
31, ……, Mr
(m-1)1, Mr
m1のそれぞれの後段インバータIr
11, Ir
21, Ir
31, ……, Ir
(m-1)1, Ir
m1の入力端子に転送する。更に、第2クロック信号CLK
2の高レベルクロック信号は、
図3Aに示す第1偶数列Ur
1のバッファ素子Qr
111, Qr
211, Qr
311, ........, Qr
(m-1)11, Qr
m11の連続配置を構成するnMOSトランジスタのそれぞれのゲート電極に印加される。
【0198】
前段セルM
11, M
21, M
31, ……, M
(m-1)1, MM
1の記憶コンデンサC
11, C
21, C
31, ……, C
(m-1)1, C
m1内に一時的に記憶された信号が後段セルMr
11, Mr
21, Mr
31, ……, Mr
(m-1)1, Mr
m1の後段インバータIr
11, Ir
21, Ir
31, ……, Ir
(m-1)1, Ir
m1の入力端子にそれぞれ転送されるとき、後段インバータIr
11, Ir
21, Ir
31, ……, Ir
(m-1)1, Ir
m1は、
図6Dに示すように、遅延時間τ
d2だけ遅れて、前段セルM
11, M
21, M
31, ……, M
(m-1)1, MM
1の記憶コンデンサC
11, C
21, C
31, ……, C
(m-1)1, C
m1内に一時的に記憶された信号をそれぞれ反転する。遅延時間τ
d2は、それぞれ、記憶コンデンサC
11, C
21, C
31, ……, C
(m-1)1, C
m1及び浮遊抵抗によって決定される。
【0199】
ここで、
図6Dは、記憶コンデンサCr
i1の論理レベルの例を示す波形図である。
図6Dの例において、記憶コンデンサCr
i1の理想の論理レベルは、実線によって示され、記憶コンデンサCr
i1の実際の電位変化は、一点鎖線によって示される。
【0200】
(c) 時刻”t
3”、即ち、τ
clock/6の期間後においては、第2クロック信号CLK
2が低レベルになる。第2クロック信号CLK
2の低レベル信号がバッファ素子Qr
111, Qr
211, Qr
311, ……, Qr
(m-1)11, Qr
m11の連続配置を構成するnMOSトランジスタのゲート電極にそれぞれ印加される。この結果、バッファ素子Qr
111, Qr
211, Qr
311, ……, Qr
(m-1)11, Qr
m11の複数の入力端子INから後段インバータIr
11, Ir
21, Ir
31, ……, Ir
(m-1)1の複数の入力端子INへのそれぞれの信号経路は、遮断状態になる。従って、
図6C及び
図6Dに示すように、前段の記憶コンデンサC
11, C
21, C
31, ……, C
(m-1)1, C
m1内に記憶されたバイトサイズ若しくはワードサイズの信号が変化したとしても、信号の論理レベルを規定する記憶コンデンサC
11, C
21, C
31, ……, C
(m-1)1, C
m1内に既に記憶された電荷は、第2クロック信号CLK
2が時刻”t
6”において高レベルになるまで、維持される。
【0201】
(d) 時刻”t
4”、即ち、τ
clockの期間後においては、第1クロック信号CLK
1が高レベルになる。第1クロック信号CLK
1の高レベルクロック信号は、
図3Bに示すように、第2奇数列U
2内の結合素子Q
121, Q
221, Q
321, ……, Q
(m-1)21, Q
m21の連続配置のゲート電極にそれぞれ印加される。第1クロック信号CLK
1の高レベルクロック信号が印加されると、結合素子Q
121, Q
221, Q
321, ……, Q
(m-1)21, Q
m21は導電状態になる。
【0202】
図3Aに示す第1偶数列Ur
1内に定義される前列側の記憶コンデンサCr
11, Cr
21, Cr
31, ……, Cr
(m-1)1, Cr
m1が出力するバイトサイズ若しくはワードサイズの信号のシーケンスが、第2奇数列U
2内の結合素子Q
121, Q
221, Q
321, ……, Q
(m-1)21, Q
m21の連続配置のそれぞれの第1主電極に入力されるとき、結合素子Q
121, Q
221, Q
321, ……, Q
(m-1)21, Q
m21の連続配置のそれぞれは、バイトサイズ若しくはワードサイズの信号を転送する。バイトサイズ若しくはワードサイズの信号の転送は、
図6Eに示すように、記憶コンデンサC
12, C
22, C
32, ……, C
(m-1)2, C
m2及び浮遊抵抗によって決定される遅延時間τd1だけ遅れる。更に、結合素子Q
121, Q
221, Q
321, ……, Q
(m-1)21, Q
m21の連続配置のそれぞれは、反転された信号を、第2奇数列U
2内の前段インバータI
12, I
22, I
32, ……, I
(m-1)2, I
m2内の記憶コンデンサC
12, C
22, C
32, ……, C
(m-1)2, C
m2のノードに転送する。
【0203】
ここで、
図6Eは、第2奇数列U
2内の記憶コンデンサC
i2の論理レベルの例を示す波形図である。
図6Eの例において、記憶コンデンサC
i2の理想の論理レベルは、実線によって示され、記憶コンデンサC
i2の実際の電位変化は、一点鎖線によって示される。
【0204】
(e) 時刻”t
5”、即ち、4τ
clock/3の期間後においては、第1クロック信号CLK
1が低レベルになる。第1クロック信号CLK
1の低レベル信号が第2奇数列U
2内の結合素子Q
121, Q
221, Q
321, ……, Q
(m-1)21, Q
m21の連続配置のゲート電極にそれぞれ印加され、結合素子Q
121, Q
221, Q
321, ……, Q
(m-1)21, Q
m21は遮断状態になる。従って、
図7D及び
図7Eに示すように、第1偶数列Ur
1内の記憶コンデンサCr
11, Cr
21, Cr
31, ……, Cr
(m-1)1, Cr
m1内に記憶されたバイトサイズ若しくはワードサイズの信号が変化したとしても、第2奇数列U
2内の記憶コンデンサC
11, C
21, C
31, ……, C
(m-1)1, C
m1内に既に一時的に記憶された信号のそれぞれの論理レベルは、維持される。
【0205】
(f) 時刻”t
6”、即ち、3τ
clock/2の期間後においては、第2クロック信号CLK
2が高レベルになる。第2クロック信号CLK
2の高レベルクロック信号は、
図3Bに示すように、第2偶数列Ur
2のバッファ素子Qr
121, Qr
221, Qr
321, ……, Qr
(m-1)21, Qr
m21の連続配置のゲート電極にそれぞれ印加され、バッファ素子Qr
121, Qr
221, Qr
321, ……, Qr
(m-1)21, Qr
m21は導電状態になる。従って、第2奇数列U
2内に定義される前列側の記憶コンデンサC
12, C
22, C
32, ……, C
(m-1)2, C
m2内に記憶されるバイトサイズ若しくはワードサイズの信号のシーケンスが第2偶数列Ur
2のバッファ素子Qr
121, Qr
221, Qr
321, ……, Qr
(m-1)21, Qr
m21の連続配置のそれぞれの第1主電極に入力されるとき、バッファ素子Qr
121, Qr
221, Qr
321, ……, Qr
(m-1)21, Qr
m21の連続配置のそれぞれは、バイトサイズ若しくはワードサイズの信号を転送する。
図6Fに示すように、記憶コンデンサCr
12, Cr
22, Cr
32, ……, Cr
(m-1)2, Cr
m2及び浮遊抵抗によって決定される遅延時間τd2だけ遅れて、バイトサイズ若しくはワードサイズの信号が反転される。反転された信号は、第2偶数列Ur
2内の記憶コンデンサCr
12, Cr
22, Cr
32, ……, Cr
(m-1)2, Cr
m2のノードに転送される。
【0206】
そして、第1奇数列U
1の結合素子Q
111, Q
211, Q
311, ……, Q
(m-1)11, Q
m11の第1主電極に入力された信号は、第2偶数列Ur
2内の記憶コンデンサCr
12, Cr
22, Cr
32, ……, Cr
(m-1)2, Cr
m2のノードに転送される。ここで、
図6Fは、第2偶数列Ur
2内の記憶コンデンサCr
i2の論理レベルの例を示す波形図である。
図6Fの例において、記憶コンデンサCr
i2の理想の論理レベルは、実線によって示され、記憶コンデンサCr
i2の実際の電位変化は、一点鎖線によって示される。
【0207】
(g) 時刻”t
7”、即ち、11τ
clock/6の期間後においては、第2クロック信号CLK
2が低レベルになる。第2クロック信号CLK
2の低レベルクロック信号は、
図3Bに示すように、第2偶数列Ur
2のバッファ素子Qr
121, Qr
221, Qr
321, ……, Qr
(m-1)21, Qr
m21の連続配置のゲート電極にそれぞれ印加され、バッファ素子Qr
121, Qr
221, Qr
321, ……, Qr
(m-1)21, Qr
m21は、遮断状態になる。従って、
図6E及び
図6Fに示すように、第2奇数列U
2内に定義される前列側の記憶コンデンサC
12, C
22, C
32, ……, C
(m-1)2, C
m2内に記憶されたバイトサイズ若しくはワードサイズの信号が変化したとしても、
図3Bに示される第2偶数列Ur
2内の記憶コンデンサCr
12, Cr
22, Cr
32, ……, Cr
(m-1)2, Cr
m2内に既に記憶された信号の論理レベルを規定する電荷量は維持される。
【0208】
==第1実施形態における波形整形==
第i行に配列された第(j-1)列の後段セルMr
i(j-1)から転送された論理レベル”1”の信号として、0.7Vの電位、例えば、第i行に配列された第j列の前段セルM
ijのnMOSトランジスタQ
ij3の0.4Vの閾値電圧V
thよりも少し高い電位が、第1実施形態に係るMMを構成する結合素子(nMOSトランジスタ)Q
ij1を介して前段インバータI
ijの入力端子に印加される場合を想定する。0.7Vの電位がnMOSトランジスタQ
ij3のゲート電極に印加されると、nMOSトランジスタQ
ij3は、記憶コンデンサC
ij内に記憶された信号の電荷を放電することができるように導電状態になり、そして、記憶コンデンサC
ij内に記憶された信号電荷は、論理レベル“0” (=零ボルト)になる。
【0209】
そして、論理レベル“0”の信号は、第i行に配列された第j列の後段セルMr
ijのpMOSトランジスタQr
ij2のゲート電極に転送され、pMOSトランジスタQr
ij2は、導電状態になる。ここで、pMOSトランジスタQr
ij2は、pMOSトランジスタQr
ij2の第1主電極に印加される電源電圧(=1V)に対して電圧降下を発生させ、記憶コンデンサCr
ijの内部電極電位は、pMOSトランジスタQr
ij2の電圧降下のために、減衰した電位(=0.7V)になり、論理レベル”1”の信号は、記憶コンデンサCr
ij内に記憶される。
【0210】
また、第j列の後段セルMr
ijから第(j+1)列の前段セルM
i(j+1)のnMOSトランジスタQ
i(j+1)3の第1主電極に転送される論理レベル“1”の電位(=0.7V)は、第(j-1)列の後段セルMr
i(j-1)から転送された信号の電位(=0.7V)に等しくなる。従って、入力側に先行する複数の列を通過しても、nMOSトランジスタのゲート電極に印加される信号レベルは、弱められず、信号レベルを、nMOSトランジスタの閾値電圧V
thよりも小さくなることから防止することが可能となる。その結果、記憶された情報は、適切に、次の列の前段セルに出力することができる。
【0211】
==2ビットメモリユニットの最大データ記録密度==
上述のように、第1実施形態に係るMMにおいては、2ビットメモリユニットのそれぞれは、2ビットメモリユニットのそれぞれが元のパルス波高を回復するために弱められた入力波形を整形するような機能を持つ奇数列及び偶数列を含むので、低い電源電圧で動作しても、入力信号”1”の減衰したパルス波高を奇数列及び偶数列の結合された動作を介して電源電圧の電圧レベルに増幅することによって、バイトサイズ若しくはワードサイズの記憶情報の正確なマーチング転送を、低い電源電圧であっても達成することができる。
【0212】
ここで、奇数列に配置される前段セル及び偶数列に配置される後段セルのそれぞれは、情報の流れ(ストリーム)の方向において連続する2つのビットレベルデータが2ビットメモリユニット内の奇数列及び偶数列によって共有されるように、それぞれ、能動的な独立したビットレベルセルとして機能することができるので、データ記録密度は、最大化することができ、従って、第1実施形態に係るMMの記憶容量を増加することができる。
【0213】
情報の流れ(ストリーム)の方向において連続する2つのビットレベルデータが2ビットメモリユニット内の奇数列及び偶数列によって共有することができるという挙動は、マスタースレーブ・フリップフロップ・チェインの動作から区別可能である。なぜなら、マスタースレーブ・フリップフロップ・チェインは、第1ステージ・フリップフロップ(マスター)によって構成され、第1ステージ・フリップフロップに接続される第2ステージ・フリップフロップ(スレーブ)と2つのインバータを備えるので、マスタースレーブ・フリップフロップ・チェインは、これら2つのステージ・フリップフロップ内で単一のビットレベルデータのみしか記憶でないからである。
【0214】
マスタースレーブ・フリップフロップ・チェインにおいて、クロックが高レベルのときは、入力が第1ステージに転送されても、第2ステージ(スレーブ)の出力は変化しない。クロックが再び低レベルになると、第2ステージは、第2ステージの出力が変化するという第1ステージと同じ状態に設定される。従って、第1実施形態の奇数列及び偶数列を含む2ビットメモリユニットは、マスタースレーブ・フリップフロップ・チェインの2倍のデータ記録密度を達成することができる。
【0215】
==第1実施形態の他の効果==
更に、第1実施形態に係るMM計算機システムによれば、MMは、能動的かつ連続的に、ユニット内のバイトサイズ若しくはワードサイズの情報をプロセッサ11に出力するので、プロセッサ11は、連続的に転送された情報の単位を使って、極めて高速に算術論理演算を実行することができる。
【0216】
SRAM又はDRAMのような従来の半導体記憶装置で行われる個別の前段セルに対するランダムアクセスは、要求されないので、プロセッサチップと、従来の半導体記憶装置チップ又は従来のキャッシュメモリチップとの間のフォン・ノイマン・ボトルネックは、取り除くことができる。従って、低い電源電圧で動作すると共に、極めて低消費電力かつ極めて高速動作という効果を達成できる計算機システムを提供することが可能となる。
【0217】
(第2実施形態:4トランジスタセル)
図4A及び
図4Bに示す構成においては、第i行に配列された第(j-1)列の後段セルMr
i(j-1)の信号記憶状態と、第i行に配列された第j列の前段セルM
ijの信号記憶状態との間におけるドミノ転送の分離は、3トランジスタ・ビットレベルセルを構築するための第i行に配列された第j列の前段セルM
ij内の1つのnMOSトランジスタQ
ij1によって構成される結合素子によって達成することができた。
【0218】
また、第i行に配列された第j列の前段セルM
ijの信号記憶状態と、第i行に配列された第j列の後段セルMr
ijの信号記憶状態との間におけるドミノ転送の分離は、他の3トランジスタ・ビットレベルセルを構築するための第i行に配列された第j列の後段セルMr
ij内の1つのnMOSトランジスタQr
ij1によって構成される結合素子によって達成することができた。
【0219】
しかし、第2実施形態に係るMMの説明では、
図7Aに示すように、結合素子及びバッファ素子のそれぞれは、それぞれ、CMOSトランスミッション・ゲート(トランスファー・ゲート)を構築するための2つのパストランジスタによって構成される。即ち、第i行に配列された第j列の前段セルM
ij内の結合素子(Q
ij1, Q
ij4)は、前段トランスミッション・ゲート(Q
ij1, Q
ij4)を構成するためのnMOSトランジスタQ
ij1及びpMOSトランジスタQ
ij4を含む。また、第i行に配列された第j列の後段セルMr
ijのバッファ素子(Qr
ij1, Qr
ij4)は、後段トランスミッション・ゲート(Qr
ij1, Qr
ij4)を構成するためのnMOSトランジスタQr
ij1及びpMOSトランジスタQr
ij4を含む。
【0220】
そして、
図7Aに示すように、前段セルM
ijは、前段トランスミッション・ゲート(Q
ij1, Q
ij4)及び前段インバータI
ijを持つ4トランジスタ・ビットレベルセルを含む。同様に、後段セルMr
ijは、後段トランスミッション・ゲート(Qr
ij1, Qr
ij4)及び後段インバータIr
ijを持つ4トランジスタ・ビットレベルセルを含む。
【0221】
第2実施形態に係るMMにおいて、結合素子(Q
ij1, Q
ij4)内のnMOSトランジスタQ
ij1は、前列側の後段セルMr
i(j-1)の出力端子に接続された第1主電極と、前段セルM
ijの前段インバータI
ijの入力端子に接続された第2主電極と、第1のクロック配線L
clk1に接続されたゲート電極を有する。
図7Aにおいては図示を省略するが、後段セルMr
i(j-1)は、
図3A〜
図3Cに示す偶数列Ur
(j-1)に割り当てられた後段セルMr
1(j-1), Mr
2(j-1), Mr
3(j-1), ……,Mr
(m-1)(j-1), Mr
m(j-1)の1つである。偶数列Ur
(j-1)は、
図2に示す奇数列U
1, U
2, U
3,……, U
n-1, U
nのアレイの入力側に隣接する。
【0222】
また、結合素子(Q
ij1, Q
ij4)内のpMOSトランジスタQ
ij4は、前列側の後段セルMr
i(j-1)の出力端子に接続された第1主電極と、前段セルM
ijの前段インバータI
ijの入力端子に接続された第2主電極と、第2のクロック配線L
clk2に接続されたゲート電極を有する。従来の個別MOSトランジスタ(ディスクリートデバイス)の構造とは異なり、nMOSトランジスタQ
ij1及びpMOSトランジスタQ
ij4の基板端子(バルク)は、それぞれの第1主電極に内部接続されない。そして、nMOSトランジスタQ
ij1及びpMOSトランジスタQ
ij4のそれぞれの第1主電極及び第2主電極が、互いに並列に接続される。
【0223】
図7Bに示すように、第1クロック信号CLK及び第2クロック信号/CLKのそれぞれは、第1クロック信号CLK及び第2クロック信号/CLKが互いにτ
clock/2だけ一時的に離れるようにして、クロックサイクルτ
clockで、高レベルと低レベルとの間を周期的に振動する(ここで、第2クロック信号の符号”/CLK”は
図7B(b)の右側に示すように、記号「CLK」の上に付した「オーバー・バー」を有する標章を表す。”/CLK”は、クロック信号CLKの反転を意味する。)。CMOSトランスミッション・ゲートとしての結合素子(Q
ij1, Q
ij4)は、pMOSトランジスタQ
ij4及びnMOSトランジスタQ
ij1によって構成される。第2クロック信号/CLKは、第1クロック信号CLKの反転信号であるので、結合素子(Q
ij1, Q
ij4)の制御端子は、pMOSトランジスタQ
ij4及びnMOSトランジスタQ
ij1のいずれかがオン又はオフとなるように、第1クロック信号CLK及び第2クロック信号/CLKを介した相補的手段に基づいて駆動される。
【0224】
図5Aに示す波形についても同様に、第1クロック信号CLK及び第2クロック信号/CLKは、第2クロック信号/CLKが第1クロック信号CLK立ち下がりエッジからτ
clock/6の期間後に立ち上がり、かつ第1クロック信号CLKの次の立ち上がりエッジよりτ
clock/6の期間だけ先行するタイミングで立ち下がるようなモードにおいて、準相補的に振動する。ここで、
図7Bに示す第1クロック信号CLK及び第2クロック信号/CLKのクロックサイクルτ
clockは、ALU 112内での算術論理演算を制御するクロックサイクルと同じである。
【0225】
そして、第1クロック信号CLKが高レベルであり、第2クロック信号/CLKが低レベルであるとき、及び前列側の後段セルMr
i(j-1)の出力端子に接続されたnMOSトランジスタQij1の第1主電極が論理レベル“0”であるとき、正のゲート・ソース間電圧(又はゲート・ドレイン間電圧)がnMOSトランジスタQ
ij1で発生し、nMOSトランジスタQ
ij1は導通し始め、前段トランスミッション・ゲート(Q
ij1, Q
ij4)は導通する。
【0226】
前列側の後段セルMri(j-1)の出力端子に接続された第1主電極が論理レベル”1”に連続的に上昇しようとするとき、nMOSトランジスタQ
ij1のゲート・ソース間電圧(又はゲート・ドレイン間電圧)は減少していくので、nMOSトランジスタQ
ij1はターンオフし始める。この時、pMOSトランジスタQ
ij4は負のゲート・ソース間電圧(又はゲート・ドレイン間電圧)を有するので、pMOSトランジスタQ
ij4は導通し始める。即ち、前段トランスミッション・ゲート(Q
ij1, Q
ij4)は、pMOSトランジスタQ
ij4が信号レベルの強い(高い)“1”を転送するのが得意であるが、信号レベルの弱い(低い)“0”を転送するのは不得意である。一方、nMOSトランジスタQ
ij1が信号レベルの強い“0”を転送するのが得意で、信号レベルの弱い“1”を転送するのが不得意である。前段トランスミッション・ゲート(Q
ij1, Q
ij4)では、pMOSトランジスタQ
ij4及びnMOSトランジスタQ
ij1の両方が同時に働くように、切り替わる。
【0227】
従って、結合素子(Q
ij1, Q
ij4)が奇数列U
jの入力側に隣接して配置された偶数列Ur
(j-1)に定義される隣接後段セルMr
i(j-1)の出力端子からの信号の転送を制御でき、かつ結合素子(Q
ij1, Q
ij4)の寄生的な電圧降下が最小化できるように、前段トランスミッション・ゲート(Q
ij1, Q
ij4)が、それらの閾値電圧とは独立に、電圧レンジの全体で信号を通過させることが達成される。そして、前段セルM
ijの前段インバータI
ijの入力端子に向かう第(j-1)列の後段セルMr
i(j-1)の記憶コンデンサCr
i(j-1)内に記憶された信号のドミノ転送は、防止される。
【0228】
即ち、第2実施形態に係るMMにおいては、結合素子(Q
ij1, Q
ij4)は、第1実施形態で示した結合素子Q
ij1と同様に、第j列の前段セルM
ijの信号記憶状態を、入力側に先行して位置する2ビットメモリユニットの第(j-1)列の後段セルMr
i(j-1)の信号記憶状態から分離するために提供される。第2のクロック配線L
clk2から供給される第2クロック信号/CLKが低レベルになるタイミングと同時に、第1のクロック配線L
clk1から供給される第1クロック信号CLKが高レベルになったとき、第(j-1)列の後段セルMr
i(j-1)の出力端子から第j列の前段セルM
ijの前段インバータI
ijの入力端子への信号経路は、導通状態となる。
【0229】
第1実施形態と同様に、前段インバータI
ijは、電源電圧供給配線L
svに接続された第1主電極と、結合素子Q
ij1の第2主電極に接続されたゲート電極を有するpMOSトランジスタQ
ij2、及びpMOSトランジスタQ
ij2の第2主電極に接続された第1主電極と、結合素子Q
ij1の第2主電極に接続されたゲート電極と、接地電位に接続された第2主電極を有するnMOSトランジスタQ
ij3を含むCMOSインバータによって構成される。前段インバータI
ijの出力端子に対して、前段インバータI
ijに割り当てられた記憶コンデンサC
ijは、nMOSトランジスタQ
ij3と並列に接続される。また、pMOSトランジスタQ
ij2の第2主電極及びnMOSトランジスタQ
ij3の第1主電極に接続される出力ノードは、前段セルM
ijの内部出力端子として機能する。
【0230】
前段セルM
ijの内部出力端子は、記憶コンデンサC
ij内に記憶された信号を後段セルMr
ijに出力する。即ち、前段インバータI
ijは、結合素子Q
ij1を介して転送された信号を反転し、更に、反転された信号を、前段セルM
ijの出力側に隣接して配置された偶数列U
rjに出力する。そして、前段記憶コンデンサC
ijは、反転された信号を記憶する。後段セルMr
ijは、後段トランスミッション・ゲート(Qr
ij1, Qr
ij4)を構成するnMOSトランジスタQ
ij1及びpMOSトランジスタQr
ij4を有するバッファ素子(Qr
ij1, Qr
ij4)を含む。
【0231】
前段トランスミッション・ゲート(Q
ij1, Q
ij4)と同様に、バッファ素子(Qr
ij1, Qr
ij4)内のpMOSトランジスタQr
ij4は、前段セルM
ijの出力端子に接続された第1主電極と、後段セルMr
ijの後段インバータIr
ijの入力端子に接続された第2主電極と、第1の信号供給ラインL
clk1に接続されたゲート電極を有する。
【0232】
バッファ素子(Qrij1, Qrij4)内のnMOSトランジスタQrij1は、前段セルM
ijの出力端子に接続された第1主電極と、後段セルMr
ijの後段インバータIr
ijの入力端子に接続された第2主電極と、第2の信号供給ラインL
clk2に接続されたゲート電極を有する。nMOSトランジスタQr
ij1及びpMOSトランジスタQr
ij4の基板端子(バルク)は、それぞれの第1主電極に内部接続されない。更に、nMOSトランジスタQr
ij1及びpMOSトランジスタQr
ij4のそれぞれの第1主電極及び第2主電極が、互いに並列に接続される。
【0233】
第2クロック信号/CLKは、第1クロック信号CLKの反転信号であるので、バッファ素子(Qr
ij1, Qr
ij4)の制御端子は、pMOSトランジスタQr
ij4及びnMOSトランジスタQr
ij1のいずれかがオン又はオフとなるように、第1クロック信号CLK及び第2クロック信号/CLKを介して相補的方法に基づいて駆動される。
【0234】
そして、第1の制御端子に印加される電圧が高レベルであるとき、これに相補的な低レベル信号が第2の制御端子に印加され、pMOSトランジスタQr
ij4及びnMOSトランジスタQr
ij1が導電状態になり、入力端子の信号を出力端子に転送することが許可される。第1の制御端子に印加される電圧が低レベルであるとき、これに相補的な高レベル信号が第2の制御端子に印加され、pMOSトランジスタQr
ij4及びnMOSトランジスタQr
ij1がオフ状態に変化し、入力端子及び出力端子の両方を高インピーダンス状態に強制する。
【0235】
そして、バッファ素子(Qr
ij1, Qr
ij4)は、偶数列Ur
jの入力側に隣接して配置された奇数列U
jに定義される隣接前段セルM
ijの出力端子からの信号の転送を制御する。第1クロック信号CLK及び第2クロック信号/CLKは、
図7Bに示すように、準相補的モードにおいて周期的に振動するので、結合素子(Q
ij1, Q
ij4)が導電状態のときバッファ素子(Qr
ij1, Qr
ij4)が遮断状態となるか、又はその逆に、結合素子(Q
ij1, Q
ij4)が遮断状態になるとバッファ素子(Qr
ij1, Qr
ij4)が導電状態となるように、結合素子(Q
ij1, Q
ij4)及びバッファ素子(Qr
ij1, Qr
ij4)は、準相補的に動作する。従って、前段インバータI
ijの記憶コンデンサC
ijから後段インバータIr
ijへの信号のドミノ転送は、防止される。
【0236】
これに対し、第2のクロック配線L
clk2から供給される第2クロック信号/CLKが低レベルになるタイミングと同時に、第1のクロック配線L
clk1から供給される第1クロック信号CLKが高レベルになったとき、第j列の前段セルM
ijの出力端子から第j列の後段セルMr
ijの後段インバータIr
ijの入力端子への信号経路は、バッファ素子(Qr
ij1, Qr
ij4)によって遮断状態となる。
【0237】
そして、第j列の前段セルM
ijの記憶コンデンサC
ij)内に記憶された信号が後段セルMr
ijの後段インバータIr
ijの入力端子に転送されている間、後段セルMr
ijの後段インバータIr
ijの入力端子に向かう前段セルM
ijの記憶コンデンサC
ij)内に記憶された信号のドミノ転送は、バッファ素子(Qr
ij1, Qr
ij4)によって防止される。また、バッファ素子(Qr
ij1, Qr
ij4)内の寄生的な電圧降下は、最小化することができる。寄生的な電圧降下は、pMOSトランジスタQr
ij4及びnMOSトランジスタQr
ij1の閾値電圧に依存する。
【0238】
後段インバータIr
ijは、後段トランスミッション・ゲート(Qr
ij1, Qr
ij4)の出力端子に接続された入力端子を有する。後段インバータIr
ijは、電源電圧供給配線L
svに接続された第1主電極と、バッファ素子Qr
ij1の第2主電極に接続されたゲート電極を有するpMOSトランジスタQr
ij2、及びpMOSトランジスタQr
ij2の第2主電極に接続された第1主電極と、バッファ素子Qr
ij1の第2主電極に接続されたゲート電極と、接地電位に接続された第2主電極を有するnMOSトランジスタQr
ij3を含むCMOSインバータによって構成される。後段インバータIr
ijの出力端子に対して、後段インバータIr
ijに割り当てられた記憶コンデンサCr
ijは、nMOSトランジスタQr
ij3と並列に接続される。
【0239】
また、pMOSトランジスタQr
ij2の第2主電極及びnMOSトランジスタQr
ij3の第1主電極に接続される出力ノードは、後段セルMr
ijの出力端子として機能する。後段セルMr
ijの出力端子は、記憶コンデンサCr
ij内に記憶された信号を次列の前段セルM
i(j+1)に出力する。即ち、後段インバータIr
ijは、同一行内に配置された前段セルM
ijから転送された反転信号を再反転し、更に、再反転された信号を、後段セルMr
ijの出力側に隣接して配置された奇数列U
(j+1)に出力する。そして、記憶コンデンサCr
ijは、再反転された信号を記憶する。
【0240】
そして、第1クロック信号CLK及び第2クロック信号/CLKに関して、第(j-1)列の後段セルMr
i(j-1)の記憶コンデンサCr
i(j-1)内に記憶された信号は、後段セルMr
ijの記憶コンデンサCr
ijのノードに転送することができる。
【0241】
更に、第1実施形態と同様に、前段インバータI
ij及び後段インバータIr
ijのCMOSインバータは、それぞれ、前段セルM
ij及び後段セルMr
ijのそれぞれが電源電圧供給配線L
svの電位に接続することができ、かつ連続的な信号伝搬チェーンの信号電圧レベルが減少しないように、nMOSトランジスタQ
ij1, Qr
ij1と、pMOSトランジスタQ
ij4, Qr
ij4とで、切り替わる。従って、第2実施形態に係るMMによれば、バイトサイズ若しくはワードサイズの記憶情報の正確なマーチング転送を、低い電源電圧であっても達成することができる。
【0242】
(第3実施形態:25トランジスタセル)
=比較例=
図4A及び
図4Bに示す構成では、第j行に配列された第j列の前段セルM
ijは、1つのインバータによって構成される前段インバータI
ijを有する。また、第j行に配列された第j列の後段セルMr
ijは、1つのインバータによって構成される後段インバータIr
ijを有する。
【0243】
しかし、第3実施形態の比較例に係るMMにおいては、
図8に示すように、前段セル及び後段セルのそれぞれは5トランジスタ・ビットレベルセルを構築するために、2つのインバータを含んでいてもよい。即ち、第i行に配列された第j列の前段セルM
ijは、第1の前段インバータI
ij1と記憶コンデンサC
ijとの間に第2の前段インバータI
ij2を含む。また、第i行に配列された第j列の後段セルMr
ijは、第1の後段インバータIr
ij1と記憶コンデンサCr
ijとの間に第2の後段インバータIr
ij2を含む。
【0244】
第3実施形態の比較例に係るMMにおいては、第2の前段インバータI
ij2は、電源電圧供給配線L
svに接続される第1主電極、及び前段インバータI
ij1の出力端子に接続されるゲート電極を有するpMOSトランジスタQ
ij5と、pMOSトランジスタQ
ij5の第2主電極に接続される第1主電極、第1の前段インバータI
ij1の出力端子に接続されるゲート電極、及び接地電位に接続される第2主電極を有するnMOSトランジスタQ
ij6を含むCMOSインバータによって構成される。記憶コンデンサC
ijは、nMOSトランジスタQ
ij6に並列に接続される。
【0245】
また、pMOSトランジスタQ
ij5の第2主電極及びnMOSトランジスタQ
ij6の第1主電極に接続される出力ノードは、前段セルM
ijの内部出力端子として機能する。前段セルM
ijの内部出力端子は、記憶コンデンサC
ij内に記憶された信号を次列の前段セルM
i(j+1)の前に配置された後段セルMr
ijに出力する。
【0246】
第2の後段インバータIr
ij2は、電源電圧供給配線L
svに接続される第1主電極、及び第1の後段インバータIr
ij1の出力端子に接続されるゲート電極を有するpMOSトランジスタQr
ij5と、pMOSトランジスタQr
ij5の第2主電極に接続される第1主電極、第1の後段インバータIr
ij1の出力端子に接続されるゲート電極、及び接地電位に接続される第2主電極を有するnMOSトランジスタQr
ij6を含むCMOSインバータによって構成される。
【0247】
記憶コンデンサCr
ijは、nMOSトランジスタQr
ij6に並列に接続される。また、pMOSトランジスタQr
ij5の第2主電極及びnMOSトランジスタQr
ij6の第1主電極に接続される出力ノードは、後段セルMr
ijの内部出力端子として機能する。後段セルMr
ijの内部出力端子は、記憶コンデンサCr
ij内に記憶された信号を次段の後段セルMr
i(j+1)の前に配置された前段セルMr
i(j+1)に出力する。
【0248】
第2の前段インバータI
ij2が第1の前段インバータI
ij1と記憶コンデンサC
ijとの間に挿入されるので、第1の前段インバータI
ij1によって反転された信号は、前段インバータI
ij2によって再び反転され、かつ記憶コンデンサC
ij内に記憶される。即ち、前段セルM
ijに送った信号と同じ信号が記憶コンデンサC
ij内に記憶される。同じく、第2の後段インバータIr
ij2が第1の後段インバータIr
ij1と記憶コンデンサCr
ijとの間に挿入されるので、第1の後段インバータIr
ij1によって反転された信号は、第2の後段インバータIr
ij2によって再び反転され、かつ記憶コンデンサCr
ij内に記憶される。即ち、後段セルMr
ijに送った信号と同じ信号が記憶コンデンサCr
ij内に記憶される。
【0249】
第i行に配列された第(j-1)列の後段セルMr
i(j-1)から転送された論理レベル”1”の信号として、0.7Vの電位、例えば、第i行に配列された第j列の前段セルM
ijのnMOSトランジスタQ
ij3の0.4Vの閾値電圧V
thよりも少し高い電位が、比較例に係るMMを構成する結合素子(nMOSトランジスタ)Q
ij1を介して前段インバータI
ijの入力端子に印加される場合を想定する。0.7Vの電位がnMOSトランジスタQ
ij3のゲート電極に印加されると、nMOSトランジスタQ
ij3は、導電状態になり、そして、前段インバータI
ij2の入力端子は、論理レベル”0” (=零ボルト)になる。
【0250】
そして、論理レベル ”0”の信号は、第2の前段インバータI
ij2の入力端子に転送され、pMOSトランジスタQ
ij5は、導電状態になる。ここで、pMOSトランジスタQ
ij5は、pMOSトランジスタQ
ij5の第1主電極に印加される電源電圧(=1V)に対して電圧降下を発生させ、記憶コンデンサC
ijの内部電極電位は、pMOSトランジスタQ
ij5の電圧降下のために、減衰した電位(=0.7V)になり、論理レベル”1”の信号は、記憶コンデンサC
ij内に記憶される。また、同じ動作が第i行上の後段セルMr
ijにおいても実行される。
【0251】
そして、第j列の後段セルMr
ijから第(j+1)列の前段セルM
i(j+1)のnMOSトランジスタQ
i(j+1)3の第1主電極に転送される論理レベル”1”の電位(=0.7V)は、第(j-1)列の後段セルMr
i(j-1)から転送された信号の電位(=0.7V)に等しくなる。従って、入力側に先行する複数の列を通過しても、nMOSトランジスタのゲート電極に印加される信号レベルは、弱められず、信号レベルを、それぞれのnMOSトランジスタの閾値電圧V
thよりも小さくなることから防止することが可能となる。その結果、記憶された情報は、適切に、後段の前段セルに出力することができる。
【0252】
上述のように、比較例に係るMMにおいては、2ビットメモリユニットのそれぞれは、奇数列及び偶数列のそれぞれが元のパルス波高を回復するために弱められた入力波形を整形するような機能を持ち、そのような奇数列及び偶数列を含むので、低い電源電圧で動作しても、入力信号”1”の減衰したパルス波高を電源電圧の電圧レベルに増幅することによって、バイトサイズ若しくはワードサイズの記憶情報の正確なマーチング転送を、低い電源電圧であっても達成することができる。
【0253】
=第3実施形態の25トランジスタセル=
図8に示す構成において、第i行に配列された第j列の前段セルM
ijは、2つの前段インバータI
ij1, I
ij2及び記憶コンデンサC
ijを含む。また、第i行に配列された第j列の後段セルMr
ijは、2つの後段インバータIr
ij1, Ir
ij2及び記憶コンデンサCr
ijを含む。しかし、第3実施形態に係るMMでは、
図9に示すように、前段セル及び後段セルのそれぞれは、第3実施形態で提示された5トランジスタ・ビットレベルセルを分割し、25トランジスタ・ビットレベルセルを達成するために、寄生ロウパスフィルタを含んでいる。
【0254】
第i行に配列された第j列の前段セルM
ijは、第1の前段インバータI
ij1と第2の前段インバータI
ij2との間に寄生ロウパスフィルタLPF
ijを含む。また、第i行に配列された第j列の後段セルMr
ijは、インバータIr
ij1, Ir
ij2間に寄生ロウパスフィルタLPFr
ijを含む。
【0255】
第3実施形態に係るMMにおいては、寄生ロウパスフィルタLPF
ijは、第1の前段インバータI
ij1の出力端子に接続される一端、及び第2の前段インバータI
ij2の入力端子に接続される他端を有する浮遊抵抗Rlpf
ijと、浮遊抵抗Rlpf
ij及び第2の前段インバータI
ij2間に接続される一端、及び接地電位に接続される他端を有する浮遊容量Clpf
ijを含む。
【0256】
寄生ロウパスフィルタLPFr
ijは、第1の後段インバータIr
ij1の出力端子に接続される一端、及び第2の後段インバータIr
ij2の入力端子に接続される他端を有する浮遊抵抗Rlpfr
ijと、浮遊抵抗Rlpfr
ij及び後段インバータIr
ij2間に接続される一端、及び接地電位に接続される他端を有する浮遊容量Crlpf
ijを含む。
【0257】
しかし、
図9に示す浮遊抵抗Rlpf
ij、浮遊容量Clpf
ij、浮遊抵抗Rlpfr
ij、及び浮遊容量Crlpf
ijは、抵抗値又は容量値に関して大きな値を得るために、物理的抵抗素子、物理的容量素子などのような実際の電子部品によって構成してもよい。もし、物理的容量Crlpf
ijとして大きな値が要求されるならば、物理的容量Crlpf
ijを構成するキャパシタ絶縁膜として、Si
3N
4膜、又はシリコン酸化膜(SiO
2膜)を含む3層構造を有するONO膜のようなSiO
2膜以外の絶縁膜を使用してもよい。更に、キャパシタ絶縁膜は、Sr、Al、Mg、Y、Hf、Zr、Ta、Biから選択される少なくとも1つの元素を含む酸化物、又は上記の元素から選択される少なくとも1つの元素を含む窒化シリコンを含んでいる。
【0258】
寄生ロウパスフィルタLPF
ijが第1の前段インバータI
ij1と第2の前段インバータI
ij2との間に挿入されるので、もし、結合素子Q
ij1が第1クロック信号CLKによって高速で遮断状態及び導電状態間で切り替わり、高周波ノイズが結合素子Q
ij1の出力で発生したとしても、その高周波ノイズを寄生ロウパスフィルタLPF
ijによって取り除くことができ、第2の前段インバータI
ij2を高周波ノイズによる誤動作から保護することが可能となる。
【0259】
同様に、寄生ロウパスフィルタLPFr
ijが第1の後段インバータIr
ij1と第2の後段インバータIr
ij2との間に挿入されるので、もし、結合素子Qr
ij1が第1クロック信号CLKによって高速で遮断状態及び導電状態間で切り替わり、高周波ノイズが結合素子Qr
ij1の出力で発生したとしても、その高周波ノイズを寄生ロウパスフィルタLPFr
ijによって取り除くことができ、第2の後段インバータIr
ij2を高周波ノイズによる誤動作から保護することが可能となる。
【0260】
更に、第1及び第2実施形態と同様に、前段インバータI
ij1, I
ij2及び後段インバータIr
ij1, Ir
ij2からなるCMOSインバータは、前段セルM
ij及び後段セルMr
ijの出力のそれぞれが電源電圧供給配線L
svの電位に接続することができ、かつ連続的な信号伝搬チェーンの信号電圧レベルが減少しないように、それぞれ、nMOSトランジスタQ
ij3, Q
ij6, Qr
ij3, Qr
ij6とpMOSトランジスタQ
ij2, Q
ij5, Qr
ij2, Qr
ij5との間で切り替わる。
【0261】
(逆方向MM)
図2は、奇数列U
1, U
2, U
3, ……, U
n-1, U
n及び偶数列Ur
1, Ur
2, Ur
3, ……, Ur
(n-1), Ur
nのそれぞれ内に、バイトサイズデータ、ワードサイズデータ、バイトサイズ命令、又はワードサイズ命令といった情報を記憶し、又は一時的に記憶し、クロック信号に同期して、入力カラムから出力カラムに向かって、順次、情報を連続的に転送するMMM31を含むMMを示すが、ここでは、逆方向MMを説明する。
【0262】
図10は、本発明の他の実施形態に係る逆方向MMを示す。
図10に示すように、他の実施形態の逆方向MMは、奇数列U
1, U
2, U
3, ……, U
n-1, U
nのアレイと、配列の順序が隣接する奇数列U
1, U
2, U
3, ……, U
n-1, U
nの間に交互に挿入される偶数列Ur
1, Ur
2, Ur
3, ……, Ur
(n-1), Ur
nのアレイを含むm×2nマトリクスによって構成される。
【0263】
即ち、偶数列Ur
1, Ur
2, Ur
3, ……, Ur
(n-1), Ur
nは、情報の流れ(ストリーム)の方向に沿って、奇数列U
1, U
2, U
3, ……, U
n-1, U
nに対して交互かつ周期的に配置される。奇数列U
1, U
2, U
3, ……, U
n-1, U
nを通して、情報は、
図10に示すように、出力カラムから入力カラムに向かって、順次、偶数列Ur
1, Ur
2, Ur
3, ……, Ur
(n-1), Ur
nを介して、第1クロック信号に同期して転送される。ここで、”m”は、バイトサイズ若しくはワードサイズによって決定される整数とする。バイトサイズ若しくはワードサイズの選択は、任意であるが、コンピュータアーキテクチャが設計される場合においては、バイトサイズ若しくはワードサイズは、m=16、32、64ビットといった8ビットの自然数倍が一般的によく使用される。
【0264】
即ち、
図10に示すように、第1偶数列Ur
1は、m×2nマトリクスの左側に割り当てられ、第1奇数列U
1は、第1偶数列Ur
1と第2偶数列Ur
2との間に挿入される。第1奇数列U
1と第1偶数列Ur
1との結合は、第1番目の2ビットメモリユニットを構成する。
【0265】
また、
図10に示すように、第2偶数列Ur
2は、第2奇数列U
2と第1奇数列U
1との間に挿入される。第2奇数列U
2と第2偶数列Ur
2との結合は、第2番目の2ビットメモリユニットを構成する。同様に、第3偶数列Ur
3は、第2奇数列U
2と第3奇数列U
3との間に挿入される。第3奇数列U
3と第3偶数列Ur
3との結合は、第3番目の2ビットメモリユニットを構成する。
【0266】
また、
図10に示すように、第n奇数列U
nは、第n偶数列Ur
nの右に配置される。第n奇数列U
nと第n偶数列Ur
nとの結合は、第n番目の2ビットメモリユニットを構成する。従って、2ビットメモリユニットの配列に焦点を当てると、他の実施形態における逆方向MMは、m×nマトリクスによって構成される。
【0267】
図11A及び
図11Bは、
図10に示す本発明の他の実施形態に係る逆方向MMの素子レベル表記におけるm×2nマトリクス(ここで、”m”は、バイトサイズ若しくはワードサイズによって決定される整数である)の第i行のアレイであって、前段セルM
i1, M
i2, M
i3, ……, M
i(n-1), M
inのそれぞれにおいてビットレベルの反転された情報を記憶し、後段セルMr
i1, Mr
i2, Mr
i3, ……, Mr
i(n-1), Mr
inを介して、第1クロック信号に同期して、
図2〜
図5に示すMMに対して逆方向に、順次、情報を連続的に反転し、かつ転送するアレイを示す。
【0268】
m×2nマトリクス内の左側から1番目の列は、
図11Aに示すような第1偶数列Ur
1に相当する後段セルMr
11, Mr
21, Mr
31, ……, Mr
(m-1)1, Mr
m1の垂直方向アレイによって構成される。それぞれの後段セルMr
11, Mr
21, Mr
31, ……, Mr
(m-1)1, Mr
m1の具体的な構成の表示をMr
j1 (j=1〜m)で示される包括的な表記で簡略表現をしているが、後段セルMr
11, Mr
21, Mr
31, ……, Mr
(m-1)1, Mr
m1のそれぞれは、単一ビットのデータを記憶するビットレベルセルである。
【0269】
m×2nマトリクス内の左側から2番目の列は、第1奇数列U
1に相当する前段セルM
11, M
21, M
31, ……, M
(m-1)1, MM
1の垂直方向アレイによって構成される。それぞれの前段セルM
11, M
21, M
31, ……, M
(m-1)1, MM
m1の具体的な構成の表示をM
j1 (j=1〜m)で示される包括的な表記で簡略表現をしているが、前段セルM
11, M
21, M
31, ……, M
(m-1)1, MM
m1のそれぞれは、単一ビットのデータを記憶するビットレベルセルである。
【0270】
同様に、m×2nマトリクス内の3番目の列は、第2偶数列Ur
2に相当する後段セルMr
12, Mr
22, Mr
32, ……, Mr
(m-1)2, Mr
m2の垂直方向アレイによって構成される。それぞれの後段セルMr
12, Mr
22, Mr
32, ……, Mr
(m-1)2, Mr
m2の具体的な構成の表示をMr
j2 (j=1〜m)で示される包括的な表記で簡略表現をしているが、後段セルMr
12, Mr
22, Mr
32, ……, Mr
(m-1)2, Mr
m2のそれぞれは、単一ビットのデータを記憶するビットレベルセルである。
【0271】
m×2nマトリクス内の4番目の列は、第2奇数列U
2に相当する前段セルM
12, M
22, M
32, ……, M
(m-1)2, MM
m2の垂直方向アレイによって構成される。それぞれの前段セルM
12, M
22, M
32, ……, M
(m-1)2, MM
m2の具体的な構成の表示をM
j2 (j=1〜m)で示される包括的な表記で簡略表現をしているが、前段セルM
12, M
22, M
32, ……, M
(m-1)2, MM
m2のそれぞれは、単一ビットのデータを記憶するビットレベルセルである。
【0272】
m×2nマトリクス内の右側から2番目の列は、
図11Bに示すような第n偶数列Ur
nに相当する後段セルMr
1n, Mr
2n, Mr
3n, ……, Mr
(m-1)n, Mr
mnの垂直方向アレイによって構成される。それぞれの後段セルMr
1n, Mr
2n, Mr
3n, ……, Mr
(m-1)n, Mr
mnの具体的な構成の表示をMr
jn (j=1〜m)で示される包括的な表記で簡略表現をしているが、後段セルMr
1n, Mr
2n, Mr
3n, ……, Mr
(m-1)n, Mr
mnのそれぞれは、単一ビットのデータを記憶するビットレベルセルである。
【0273】
m×2nマトリクス内の右側から1番目の列は、第n奇数列U
nに相当する前段セルM
1n, M
2n, M
3n, ……, M
(m-1)n, MM
mnの垂直方向アレイによって構成される。それぞれの前段セルM
1n, M
2n, M
3n, ……, M
(m-1)n, MM
mnの具体的な構成の表示をM
jn (j=1〜m)で示される包括的な表記で簡略表現をしているが、前段セルM
1n, M
2n, M
3n, ……, M
(m-1)n, MM
mnのそれぞれは、単一ビットのデータを記憶するビットレベルセルである。
【0274】
図12に示すように、本発明の他の実施形態に係る逆方向MMにおいて、第i行に配列された第j列の前段セルM
ijは、第(j+1)列の後段セルMr
i(j+1)の出力端子に接続された入力端子と、第1のクロック配線L
clk1に接続されたゲート電極を有する結合素子Q
ij1を含む。即ち、後段セルMr
i(j+1)は、結合素子Q
ij1の右手側に割り当てられる。
【0275】
また、第j列の前段セルM
ijは、更に、結合素子Q
ij1の出力端子に接続された入力端子を有する前段インバータI
ijを含む。前段インバータIijは、電源電圧供給配線L
svに接続される第1主電極、及び結合素子Q
ij1の出力端子に接続されるゲート電極を有するpMOSトランジスタQ
ij2と、pMOSトランジスタQ
ij2の第2主電極に接続される第1主電極、結合素子Q
ij1の入力端子に接続されるゲート電極、及び接地電位に接続される第2主電極を有するnMOSトランジスタQ
ij3を含むCMOSインバータによって構成される。
【0276】
前段インバータI
ijに割り当てられた記憶コンデンサC
ijは、前段インバータI
ijの内部出力端子と接地電位との間に並列に接続される。また、pMOSトランジスタQ
ij2の第2主電極及びnMOSトランジスタQ
ij3の第1主電極に接続される出力ノードは、前段セルM
ijの内部出力端子として機能する。内部出力端子は、記憶コンデンサC
ij内に記憶された信号を前段セルM
ijの左手側に割り当てられた第j列の後段セルMr
ijに出力する。
【0277】
また、第i行に配列された第j列の後段セルMr
ijは、第j列の前段セルM
ijの内部出力端子に接続された入力端子、及び第2のクロック配線L
clk2に接続されたゲート電極を有するバッファ素子Qr
ij1と、バッファ素子Qr
ij1の出力端子に接続された入力端子を有する後段インバータIr
ijを含む。後段インバータIrijは、電源電圧供給配線L
svに接続される第1主電極、及びバッファ素子Qr
ij1の出力端子に接続されるゲート電極を有するpMOSトランジスタQr
ij2と、pMOSトランジスタQr
ij2の第2主電極に接続される第1主電極、バッファ素子Qr
ij1の出力端子に接続されるゲート電極、及び接地電位に接続される第2主電極を有するnMOSトランジスタQr
ij3を含むCMOSインバータによって構成される。
【0278】
後段インバータIr
ijに割り当てられた記憶コンデンサCr
ijは、後段インバータIr
ijの出力端子と接地電位の間に、nMOSトランジスタと並列に接続される。また、pMOSトランジスタQr
ij2の第2主電極及びnMOSトランジスタQr
ij3の第1主電極に接続される出力ノードは、後段セルMr
ijの出力端子として機能する。出力端子は、記憶コンデンサCr
ij内に記憶された信号を後段セルMr
ijの左手側に割り当てられた第(j-1)列の前段セルM
i(j-1)に出力する。
【0279】
上述のように、本発明の他の実施形態に係る逆方向MMにおいては、2ビットメモリユニットのそれぞれは、奇数列及び偶数列のそれぞれが元のパルス波高を回復するために弱められた入力波形を整形するような機能を持ち、そのような奇数列及び偶数列を含むので、信号”1”の減衰したパルス波高を電源電圧の電圧レベルに増幅することによって、バイトサイズ若しくはワードサイズの記憶情報の正確なマーチング転送を、低い電源電圧であっても達成することができる。
【0280】
また、更に、
図10、
図11A、
図11B、及び
図12に示す本発明の他の実施形態に係る逆方向MMにおいては、奇数列U
1, U
2, U
3, ……, U
n-1, U
n及び偶数列Ur
1, Ur
2, Ur
3, ……, Ur
n-1, Ur
nのそれぞれに対するアドレス割り振りが不要となるので、要求された情報を、より低い電源電圧で、メモリチップのエッジ側に配置された宛先ユニットに出力することが可能となる。
【0281】
(双方向MM)
更に、
図10に示す逆方向MM及び
図2に示す順方向MMは、バイトサイズ若しくはワードサイズの情報が入力カラムと出力カラムとの間で双方向に転送される双方向MMを達成するために、それらを組み合わせることも可能である。双方向MMを構成するいくつかの選択肢のうちの1つは、米国特許第8949650号明細書、及び米国特許第9361957号明細書に記載される構成における1つの半導体チップ上に、順方向MM及び逆方向MMのパターンを描画することである。
【0282】
双方向MMを構成するための他の選択肢は、
図13及び
図14に示すように、逆方向MMのパターンが描画される第2の半導体チップ2上に、順方向MMのパターンが描画される第1の半導体チップ1を積み重ねることである。
図14に示すフリップチップ構成において、第1の半導体チップ1と第2の半導体チップ2との内部接続のために、複数の半田バンプB
ijは、それぞれ、第2の半導体チップ2 (i = 1〜m; j = 1〜n)上の複数のチップパッドP
2ij上に配置される。
【0283】
第2の半導体チップ2上に第1の半導体チップ1を実装するために、第1の半導体チップ1は、第1の半導体チップ1の上面側が下を向くように反対向きにされ、第1の半導体チップ1のパッドが第2の半導体チップ2上のパッドに一致するように位置合わせされ、そして、半田バンプB
ijは、両者の内部接続を完了させるためにリフローされる。
【0284】
図12に示す回路構成と同様に、
図13の下部に示す半導体チップ2の上面の右側において、第i行に配置された第j列の前段セルM
ij(2)は、nMOSトランジスタによって構成される面内結合素子Q
ij1を有する。面内結合素子Q
ij1は、第(j+1)列の後段セルの出力端子に接続された入力端子と、第1のクロック配線L
clk1に接続されたゲート電極を有する。図示を省略するが、第(j+1)列の後段セルは、面内結合素子Q
ij1の右手側上に割り当てられる。また、第j列の前段セルM
ij(2)は、更に、面内結合素子Q
ij1の出力端子に接続された入力端子を持つ前段CMOSインバータを有する。
【0285】
前段CMOSインバータは、第1の電源電圧供給配線L
svに接続される第1主電極、及び面内結合素子Q
ij1の出力端子に接続されるゲート電極を有するpMOSトランジスタQ
ij2と、pMOSトランジスタQ
ij2の第2主電極に接続される第1主電極、面内結合素子Q
ij1の出力端子に接続されるゲート電極、及び接地電位に接続される第2主電極を有するnMOSトランジスタQ
ij3を有する。前段CMOSインバータに割り当てられる記憶コンデンサCijは、前段CMOSインバータの内部出力端子と接地電位の間に、nMOSトランジスタと並列に接続される。
【0286】
また、pMOSトランジスタQ
ij2の第2主電極及びnMOSトランジスタQ
ij3の第1主電極に接続される出力ノードは、前段セルM
ij(2)の内部出力端子として機能する。第i行の列と列の間のゾーン(ライン)を通して、内部出力端子は、記憶コンデンサC
ij内に記憶された信号を、前段セルM
ij(2)の左手側に割り当てられた第j列の後段セルMr
ij(2)に出力する。
【0287】
第j列の前段セルM
ij(2)及び第j列の後段セルMr
ij(2)間の第i行の列と列の間のゾーン(ライン)上の中間点に、nMOSトランジスタによって構成されるチップ間結合素子Q
ij4の入力端子が接続される。チップ間結合素子Q
ij4は、チップパッドP
2ijに接続される出力端子と、チップ間クロック配線L
int-1に接続されるゲート電極を有する。
【0288】
また、第i行に配列された第j列の後段セルMr
ij(2)は、nMOSトランジスタによって構成されるバッファ素子Qr
ij1とバッファ素子Qr
ij1の出力端子に接続される入力端子を持つ後段CMOSインバータを有する。バッファ素子Qr
ij1は、第j列の前段セルM
ij(2)の内部出力端子に接続される入力端子と、第2のクロック配線L
clk2に接続されるゲート電極と、後段CMOSインバータの入力端子に接続される出力端子を有する。
【0289】
後段CMOSインバータは、第1の電源電圧供給配線L
svに接続される第1主電極、及びバッファ素子Qr
ij1の出力端子に接続されるゲート電極を有するpMOSトランジスタQr
ij2と、pMOSトランジスタQr
ij2の第2主電極に接続される第1主電極、バッファ素子Qr
ij1の出力端子に接続されるゲート電極、及び接地電位に接続される第2主電極を有するnMOSトランジスタQr
ij3を有する。
【0290】
後段CMOSインバータに割り当てられる記憶コンデンサCrijは、後段CMOSインバータの出力端子と接地電位の間に、nMOSトランジスタと並列に接続される。また、pMOSトランジスタQr
ij2の第2主電極及びnMOSトランジスタQr
ij3の第1主電極に接続される出力ノードは、後段セルMr
ij(2)の出力端子として機能する。その出力端子は、記憶コンデンサCr
ij内に記憶された信号を、後段セルMr
ij(2)の左手側に割り当てられた第(j-1)列の前段セルに出力する。
【0291】
フリップチップ実装された表面上における詳細な回路構成の図については省略するが、
図4Aに示す回路構成と同様に、
図13の上部に示す半導体チップ1のフリップチップ実装された表面の左の位置において、MMのマトリクスを構成する第i行に配列された第j列の前段セルM
ij(1).が配置されている。前段セルM
ij(1).は、第(j-1)列の後段セルの出力端子に接続される第1主電極、及び第1のクロック配線に接続されるゲート電極を有するnMOSトランジスタによって構成される面内結合素子と、その面内結合素子の第2主電極に接続される入力端子を有する前段CMOSインバータを含む。即ち、面内結合素子は、第(j-1)列の後段セルの出力端子からの信号の転送を制御する。
【0292】
前段CMOSインバータは、電源電圧供給配線に接続される第1主電極、及び面内結合素子の第2主電極に接続されるゲート電極を有するpMOSトランジスタと、そのpMOSトランジスタの第2主電極に接続される第1主電極、面内結合素子の第2主電極に接続されるゲート電極、及び接地電位に接続される第2主電極を有するnMOSトランジスタとを備える。
【0293】
前段CMOSインバータに設けられた記憶コンデンサCijは、CMOSインバータの出力端子と接地電位の間に、nMOSトランジスタと並列に接続される。また、前段CMOSインバータの出力ノードは、前段セルM
ij(1)の出力端子として機能する。第i行の列と列の間のゾーン(ライン)を通して、前段セルM
ij(1)の内部出力端子は、記憶コンデンサC
ij内に記憶された信号を、第(j+1)列の前段セルの前に配置された後段セルMr
ij(1)に出力する。
【0294】
第j列の前段セルM
ij(1)及び第j列の後段セルMr
ij(1)間の第i行の列と列の間のゾーン(ライン)上の中間点に、チップパッドP
1ijが接続される。また、後段セルMr
ij(1)は、前段の前段セルM
ij(1)の内部出力端子に接続される第1主電極、及び第2のクロック配線に接続されるゲート電極を有するnMOSトランジスタによって構成されるバッファ素子と、そのnMOSトランジスタによって構成されるバッファ素子の第2主電極に接続される入力端子を有するCMOSインバータとを備える。
【0295】
後段CMOSインバータは、電源電圧供給配線に接続される第1主電極、及びバッファ素子の第2主電極に接続されるゲート電極を有するpMOSトランジスタと、そのpMOSトランジスタの第2主電極に接続される第1主電極、バッファ素子の第2主電極に接続されるゲート電極、及び接地電位に接続される第2主電極を有するnMOSトランジスタとを備える。
【0296】
CMOSインバータの出力端子に対して、後段CMOSインバータに割り当てられた記憶コンデンサCijは、nMOSトランジスタに並列に接続される。また、後段CMOSインバータの出力ノードは、後段セルMr
ij(1)の出力端子として機能する。後段セルMr
ij(1)の出力端子は、記憶キャパシタ内に記憶された信号を、第(j+1)列の前段セルに出力する。
【0297】
フリップチップ構成において、第1の半導体チップ1及び第2の半導体チップ2が複数の中間ノードに配置される複数の半田バンプB
ijを介してそれぞれ内部接続されるとき、第1の半導体チップ1の特定の内部出力ノードは、第2の半導体チップ2の対応する内部入力ノードに接続され、かつ第2の半導体チップ2の第1の半導体チップ1の内部出力ノードとは異なる位置の特定の内部出力ノードは、チップ間結合素子Q
ij4を介して、第1の半導体チップ1の対応する内部入力ノードに接続される。
【0298】
チップ間クロック配線Lint
1を介して供給されるクロック信号によって、第1の半導体チップ1の特定の内部出力ノードを第2の半導体チップ2の対応する内部入力ノードに接続し、かつ、第1の半導体チップ1の内部出力ノードとは異なる位置にある、第2の半導体チップ2の特定の内部出力ノードを、第1の半導体チップ1の対応する内部入力ノードに接続することができる。2つの中間ノードの間を調整することにより、より短いベクトルデータを選択できる。2つの中間ノードを用いて、第1の半導体チップ1及び第2の半導体チップ2間で、短いベクトルデータをローテーション移動させることができる。
【0299】
第1の半導体チップ1及び第2の半導体チップ2間で、ローテーション移動して、行き来する最も短いベクトルデータは、隣接する2つの列内に記憶された2ビットデータによって構成してもよい。連続して隣接する2つの列のセットのいくつかは、ベクトルデータの望ましい長さを決定することができる。ベクトルデータの長さは、ベルトコンベアに用いられる連続する可動ベルトに対応する。ベクトルデータの望ましい長さを、可動ベルトの長さを調整するようにして、第1の半導体チップ1と第2の半導体チップ2の間を、ローテーション方向に沿ってベクトルデータを行き来させることができる。
【0300】
(MM支援ランダムアクセス可能メモリ)
図15は、本発明の更に他の実施形態に係るMM支援ランダムアクセス可能メモリ(MM-SRACM)が描画された半導体チップの概略平面図を示す。特に、MM-SRACMの例の1つとして、
図15は、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、又はダブルデータレート(DDR)シンクロナスDRAM(SDRAM)、及びDDR SDRAMの出力インターフェース22aの平面配置を示す。
図15には出力インターフェース22aが、DDR SDRAMと計算機システムのプロセッサとの間の経路に配置された例が示されているが、
図15の構成に限定されない。出力インターフェース22aは、プロセッサに向かう経路に設けられた他の記憶装置とDDR SDRAMの間に配置された出力インターフェースであってもよい。
【0301】
出力インターフェース22aは、内部バス221と、内部バス221に接続されたインターフェースメモリ222と、インターフェースメモリ222に接続された出力バス223とを備える。出力インターフェース22aは、データディバイダ224と、MMキャッシュメモリ(BLB
1, ……, BLB
13, BLB
14, BLB
15 anDBLB
16)を含む。DDR SDRAMは、DRAMの単なる例であり、
図15に示すDDR SDRAM内のデータは、メモリマトリクス20内に配列されたビットレベルセル内のメモリキャパシタ内の電荷として記憶される。
【0302】
例えば、メモリマトリクス20は、第1のメモリアレイブロックDB
1、第2のメモリアレイブロックDB
2、第3のメモリアレイブロックDB
3、……、第16のメモリアレイブロックDB
16の16個のメモリアレイブロックに分割され、かつこれら16個のメモリアレイブロックは、設計仕様に応じて、
図15に示す例における4つのグループに分類されてもよい。第1のメモリアレイブロックDB
1、第2のメモリアレイブロックDB
2、第3のメモリアレイブロックDB
3、……、第16のメモリアレイブロックDB
16のそれぞれは、128本のビット線を含み、例えば、これら128本のビット線は、それぞれ、電圧差動増幅器によって構成される対応するセンスアンプに接続される。
【0303】
メモリアレイブロックDB
1, DB
2, DB
3, ……, DB
16のそれぞれに割り当てられたセンスアンプの出力は、それぞれに対応する出力バッファに接続される。センスアンプと出力バッファのセットは、
図15に示す例において、「センスアンプ及びバッファ21」として、概略的に示される。
【0304】
読み出し動作でビットレベルセル内の電荷が使い果たされてデータが破壊されても、データがセンスアンプ及びバッファ21に読み出された後に、「メモリリフレッシュ」と呼ばれるメモリキャパシタに対する再チャージで、ビットレベルセルに電圧を印加することによって、データは、直ちにビットレベルセルに書き戻される。例えば、16個のメモリブロックは、メモリバンクの一部を構成してもよく、複数のメモリブロックの三次元(3D)積層構造は、DDR SDRAMを構成してもよい。なぜなら、複数のメモリバンクは、並列動作が可能なように提供され、SDRAMは、個別のデータバスとコマンドバスを持つため、異なるバンクに対するコマンドは、パイプライン動作で提供できるからである。即ち、複数のメモリバンク内において、「活性化」、「プリチャージ」、及び「データ転送」は、並行して行うことができる。
【0305】
DRAM内の複数のビットレベルセルはそれぞれ、メモリマトリクス20の第1のメモリアレイブロックDB
1、第2のメモリアレイブロックDB
2、第3のメモリアレイブロックDB
3、……、第16のメモリアレイブロックDB
16のそれぞれの行及び列のビットレベルセルとして配置される。それぞれの行の各ビットレベルセルには、それぞれの行に沿って延びる「ワード線」と呼ばれる配線が接続されている。それぞれの行の各ビットレベルセルは、ワード線に電圧を印加することによって活性化される。
【0306】
DRAMにおいて、列方向に沿って延びる配線は、「ビット線」と呼ばれる。また、2本の相補的なビット線は、メモリアレイの端部に配置されたセンスアンプ及びバッファ21内のセンスアンプを構成する電圧差動増幅器に接続される。所定のワード線及び所定のビット線の交差部に配置される各ビットレベルセルは、「アドレス」を指定することでアクセス可能である。即ち、ビットレベルセル内のデータは、行及び列の上に沿って延びる同一のビット線によって読み出し及び書き込みを行える。
【0307】
DRAMのアクセス遅延(レイテンシ)は、メモリマトリクス20によって基本的に制限されるので、DDR方式は、非常に高いポテンシャルの帯域幅を形成するために開発された。DDR方式においては、クロックパルスの立ち上がりエッジと立ち下がりエッジの両方でデータの転送が可能となる。DDR方式は、1サイクルで1回だけ同一コマンド使うが、1サイクルで2ワードのデータの読み出し又は書き込みが可能である。
【0308】
バーストモードにおいては、バースト長のデータが、メモリアレイブロックDB
1, DB
2, DB
3, ……, DB
16のそれぞれに対応して接続された、それぞれのセンスアンプにそれぞれ転送される。第1のメモリアレイブロックDB
1、第2のメモリアレイブロックDB
2、第3のメモリアレイブロックDB
3、……、第16のメモリアレイブロックDB
16内に記憶されたそれぞれのデータに対応する、センスアンプ及びバッファ21からのそれぞれの出力は、16ビットバースト長で内部バス221にそれぞれ入力される。例えば、128ビットパラレルデータのそれぞれが、内部バス221を介して内部メモリ222に、それぞれ転送される。
【0309】
バースト長は、DDR SDRAM構成によって決定され、かつバースト長の値は、最小アクセス粒度を直接的に決定するので、バースト長は、「最小キャッシュラインサイズ」と解釈することができる。MMキャッシュメモリ(BLB
1, ……, BLB
13, BLB
14, BLB
15, BLB
16)は、第1のバースト長ブロックBLB
1、……、第13のバースト長ブロックBLB
13、第14のバースト長ブロックBLB
14、第15のバースト長ブロックBLB
15、及び第16のバースト長ブロックBLB
16を備える。
【0310】
図16に示すように、第kのバースト長ブロックBLB
k (k=1〜16)は、
図16に示す8×16マトリクス内において、複数の奇数列U
1, U
2, U
3, ……, U
7, U
8と、複数の奇数列U
1, U
2, U
3, ……, U
7, U
8の行方向に沿って、複数の奇数列U
1, U
2, U
3, ……, U
7, U
8に対して交互かつ周期的に配置される複数の偶数列Ur
1, Ur
2, Ur
3, ……, Ur
7, Ur
8を有する。奇数列U
1, U
2, U
3, ……, U
7, U
8のそれぞれは、8ビットの進行する情報に含まれる複数の信号のセットを、それぞれ反転及び記憶するために、8×16マトリクスの列方向に並んだ前段セルの配列を有する。
【0311】
また、複数の偶数列Ur
1, Ur
2, Ur
3, ……, Ur
7, Ur
8のそれぞれは、隣接する奇数列によって反転された8ビットの進行する情報に含まれる複数の信号のセットを、再反転及び記憶するために、列方向に沿って並んだ後段セルの配列を有する。そして、第kのバースト長ブロックBLB
kの8×16マトリクスを構成する行のそれぞれが、16ビットバースト長のシリアル情報を記憶する。
【0312】
即ち、内部バス221を介して転送される128ビットパラレルデータは、データディバイダ224によって、16ビットバースト長のシリアル情報の8つの並列セットに分割される。また、16ビットバースト長のシリアル情報は、第1のバースト長ブロックBLB
1に転送され、更に、第1のバースト長ブロックBLB
1は、16ビットバースト長で、8つのパラレルデータのストリームの情報をそれぞれ記憶する。そして、第1のバースト長ブロックBLB
1は、計算機システムのプロセッサ駆動用のクロック周波数に同期して、情報の流れ(ストリーム)の方向に沿って、第2のバースト長ブロック(第2のバースト長ブロックの図示は、
図15において省略する)に向かって、16ビットバースト長で、8つのパラレルデータのストリームをそれぞれ転送する。
【0313】
第1のバースト長ブロックと同様に、16ビットバースト長を有する8つのパラレルデータのストリームが、プロセッサ駆動用のクロック周波数に同期して、ストリームの方向に沿って、第2のバースト長ブロックから第3のバースト長ブロック(図示を省略する)に向かってそれぞれ転送される。最終的に、16ビットバースト長を有する8つのパラレルデータのストリームは、プロセッサ駆動用のクロック周波数に同期して、ストリームの方向に沿って、第15のバースト長ブロックBLB
15から第16のバースト長ブロックBLB
16に向かってそれぞれ転送される。そして、16ビットバースト長を有する8つのパラレルデータのストリームは、第16のバースト長ブロックBLB
16からの8ビットパラレル情報として、計算機システムのプロセッサにそれぞれ提供される。
【0314】
図17は、DDR SDRAMと、そのDDR SDRAMの出力インターフェース22bで構成されるMM支援DRAMの他の例の概略平面図を示す。出力インターフェース22bは、DDR SDRAMと計算機システムのプロセッサとの間の経路に配置される。しかし、出力インターフェース22bは、プロセッサに向かう経路に設けられた他の記憶装置とDDR SDRAMの間に配置されたインターフェースデあってもよい。出力インターフェース22bは、第1のMMキャッシュメモリMMC
1、第2のMMキャッシュメモリMMC
2、第3のMMキャッシュメモリMMC
3、……、及び第16のMMキャッシュメモリMMC
16を含む。
図15に示す出力インターフェース22aとは異なり、出力インターフェース22bは、内部バス221を含まない。また、第1のMMキャッシュメモリMMC
1、第2のMMキャッシュメモリMMC
2、第3のMMキャッシュメモリMMC
3、……、及び第16のMMキャッシュメモリMMC
16のそれぞれは、メモリマトリクス20を分割した、対応する第1のメモリアレイブロックDB
1、第2のメモリアレイブロックDB
2、第3のメモリアレイブロックDB
3、……、第16のメモリアレイブロックDB
16の16個のメモリアレイブロックに直接接続される。
【0315】
第1のメモリアレイブロックDB
1、第2のメモリアレイブロックDB
2、第3のメモリアレイブロックDB
3、……、第16のメモリアレイブロックDB
16は、128本のビット線を含み、また、128本のビット線は、対応するセンスアンプに接続され、更に、メモリアレイブロックDB
1, DB
2, DB
3,……, DB
16のそれぞれに割り当てられたセンスアンプの出力は、対応する出力バッファに接続されるので、第1のMMキャッシュメモリMMC
1、第2のMMキャッシュメモリMMC
2、第3のMMキャッシュメモリMMC
3、……、及び第16のMMキャッシュメモリMMC
16は、それぞれ、第1のメモリアレイブロックDB
1、第2のメモリアレイブロックDB
2、第3のメモリアレイブロックDB
3、……、第16のメモリアレイブロックDB
16の対応する出力バッファに直接接続される。センスアンプと出力バッファのセットは、
図17に示す例において、「センスアンプ及びバッファ(センスアンプ及びバッファ)21」として、概略的に示される。
図15に示すトポロジー(構成)でも同様に、
図17における16個のメモリアレイブロックは、メモリバンクの一部を構成してもよいし、複数のメモリブロックの三次元(3D)積層構造は、DDR SDRAMを構成してもよい。
【0316】
なぜなら、複数のメモリバンクは、並列動作が可能なように提供され、SDRAMは、個別のデータバスとコマンドバスを持つため、異なるバンクに対するコマンドは、パイプライン動作で提供できるからである。更に、第1のメモリアレイブロックDB
1、第2のメモリアレイブロックDB
2、第3のメモリアレイブロックDB
3、……、第16のメモリアレイブロックDB
16から第1のMMキャッシュメモリMMC
1、第2のMMキャッシュメモリMMC
2、第3のMMキャッシュメモリMMC
3、……、及び第16のMMキャッシュメモリMMC
16へのデータのストリームは、パラレルに実行することができる。バースト長は、DDR SDRAM構成によって決定され、かつバースト長の値は、最小アクセス粒度を直接的に決定するので、バースト長は、最小キャッシュラインサイズと解釈することができる。
【0317】
図16に示す構造と同様に、第kのMMキャッシュメモリMMC
k (k=1〜16)は、128×16マトリクス内において、複数の奇数列U
1, U
2, U
3, ……, U
7, U
8と、これら行方向に沿う複数の奇数列U
1, U
2, U
3, ……, U
7, U
8に対して交互かつ周期的に配置される複数の偶数列Ur
1, Ur
2, Ur
3, ……, Ur
7, Ur
8を有する。奇数列U
1, U
2, U
3, ……, U
7, U
8のそれぞれは、8ビットの進行する情報に含まれる複数の信号のセットを反転及び記憶するために、128×16マトリクスの列方向に並んだ前段セルの配列を有する。
【0318】
また、複数の偶数列Ur
1, Ur
2, Ur
3, ……, Ur
7, Ur
8のそれぞれは、隣接する奇数列によって反転された8ビットの進行する情報に含まれる複数の信号のセットを再反転及び記憶するために、列方向に沿って並んだ後段セルの配列を有する。そして、第kのMMキャッシュメモリMMC
kの128×16マトリクスを構成する行のそれぞれにおいて、キャッシュラインサイズのシリアル情報が記憶される。また、キャッシュラインサイズの128個のパラレルデータのストリームは、それぞれ記憶されると共に、更にそれぞれ、第1のMMキャッシュメモリMMC
1、第2のMMキャッシュメモリMMC
2、第3のMMキャッシュメモリMMC
3、……、及び第16のMMキャッシュメモリMMC
16を介して、計算機システムのプロセッサに向かって順次転送される。
【0319】
図15に示すインターフェースメモリ222のタンデム構造と同様に、
図17に示すMMキャッシュメモリMMC
1, MMC
2, MMC
3,……, MMC
16をそれぞれ構成する複数のメモリマトリクスが、列方向に沿って直列(タンデム)に多数接続されるならば、MMキャッシュメモリは、より大きなサイズを達成することができる。例えば、仮に、8個の128×16マトリクスが列方向に沿って直列に接続されるとすると、128×128マトリクスサイズのMMキャッシュメモリを達成することができる。仮に、16個の128×16マトリクスが列方向に沿って直列に接続されるとすると、128×256マトリクスサイズのMMキャッシュメモリを達成することができる。更に、より大きなマトリクスサイズを、
図18に示すMM L3キャッシュメモリ22bとして提供することができる。
【0320】
そして、DDR4DRAMとMM L3キャッシュメモリ22bのメモリマトリクス20は、計算機システムのメインメモリとして機能するMM支援DRAM (20,22b)を構成する。
図18に示す計算機システムにおいて、ハードディスクドライブ(HDD)又はフラッシュメモリによって構成される二次メモリ41は、インターフェース26を介して、MM支援DRAM (20,22b)に接続され、かつMM L3キャッシュメモリ22bは、インターフェース27を介して、SRAM-L2キャッシュメモリ23に接続される。更に、インターフェース28を介して、SRAM-L2キャッシュメモリ23は、第1のSRAM-L1キャッシュメモリ24-1、第2のSRAM-L1キャッシュメモリ24-2, ……に接続される。また、第1のSRAM-L1キャッシュメモリ24-1は、第2のSRAM-L1キャッシュメモリ24-2が第2のCPU25-2に接続されている間、第1のCPU25-1に接続される。
【0321】
MM L3キャッシュメモリ22bは、全てのCPU25-1, 25-2, …に共通の高速メモリのプール(データの一時蓄積箇所)として特徴付けられる。MM L3キャッシュメモリ22bは、しばしばCPUコアの残りから独立してゲート化されるので、アクセススピード、電力消費、及び記憶容量を調整するように、ダイナミックに仕切ることが可能となる。従来の技術においては、SRAM L3キャッシュメモリは、SRAM-L1キャッシュメモリ又はSRAM-L2キャッシュメモリに対して十分に高速ではないことが知られている。しかしながら、本発明の更に他の実施形態に係るMM L3キャッシュメモリ22bは、SRAM-L1キャッシュメモリ又はSRAM-L2キャッシュメモリよりも高速に動作させることができる。従って、MM L3キャッシュメモリ22bは、高速計算機システムを動作させるに当たって、より柔軟に、かつ極めて重要な役割を果たすことになる。
【0322】
図18に示すコンピュータ構成において、SRAM-L2キャッシュメモリ23は、MM L2キャッシュメモリに変更することができる。第1のSRAM-L1キャッシュメモリ24-1、第2のSRAM-L1キャッシュメモリ24-2, ……は、複数のMM L1キャッシュメモリに、それぞれ変更することができる。なぜなら、マーチングメモリアーキテクチャを構成するMMキャッシュメモリは、SRAMキャッシュメモリよりも高速であるからである。
【0323】
(その他の実施形態)
様々な変形例が、本明細書及び図面の開示から、本発明の趣旨から逸脱せずに、当業者に明らかとなろう。
【0325】
MOSSITはパンチスルー電流モードを用いるトランジスタであり、ショートチャネルMOSFETの究極かつ極限の構造を有する。よって、MOSSITは三極管のようなドレイン電流対ドレイン電圧特性を示すので、MOSFETに固有の閾値電圧はMOSSITにおいては定義することができない。従って、MOSFETをMOSSITに置き換えたならば、更に低い電源電圧を、第1〜第3実施形態で説明したMMに供給することができる。なぜなら、MOSFETの閾値電圧V
thとなるビットレベルセルの出力端子における寄生的な電圧降下を取り除けるからである。
【0326】
更に、MOSFET及びMOSSITは、それぞれ、シリコン酸化膜(SiO
2膜)以外のゲート絶縁膜を持つMISFET又はMISSITのような絶縁ゲート(IG)トランジスタによって置き換えることができる。IGトランジスタの他の例として、高電子移動度トランジスタ(HEMT)、ヘテロ接合FET、又はヘテロ接合SITは、
図4A、
図4B、
図7A、
図8、
図9、
図11A、
図11B、
図12、及び
図13に示す回路を構成する能動素子として使用することができる。
【0327】
第1〜第3実施形態に関するMMの例においては、CMOSインバータが前段インバータ及び後段インバータとして使用される回路構成を便宜上説明した。しかし、前段インバータ及び後段インバータは、CMOSインバータに限定されることはなく、静的な抵抗負荷を含んだnMOSインバータ又はpMOSインバータを使用することもできる。静的な抵抗負荷を持つnMOSインバータが、それぞれ前段インバータ及び後段インバータに使用されるとすると、上述の3トランジスタセルは、2−トランジスタセルにすることができる。nMOSインバータを用いれば、上述の4トランジスタセルは、3トランジスタセルにすることができる。よって、nMOSインバータを用いれば縮小化されたビットレベルセルの効果を、ますます際立出せることができる。
【0328】
加えて、プルアップ用としてのデプレッションモードの他のnMOSインバータを前段インバータ及び後段インバータとして使用することができる。更に、バイポーラモード接合型SIT (BSIT)は、バイポーラ接合トランジスタ(BJT)によって構成されるTTLインバータに似た構成を持つので、本発明の前段インバータ及び後段インバータに使用可能なインバータを構成することができる。
【0329】
ある種のノーマリオン型SITのp-n接合構造を逆バイアスして、ノーマリオン型SITの信号電荷に対する電位障壁を形成すると可変抵抗特性が実現できる。ノーマリオン型SITによる可変抵抗を、前段結合素子及び後段結合素子としてそれぞれ使用すれば、ビットレベルセル内のトランジスタ数を、更に減らすことができる。
【0330】
図15は、DDR-SDRAMの平面配置を一つの例として示したが、MM-SRACMのアーキテクチャは、NANDフラッシュメモリ又はNORフラッシュメモリの様々なメモリアレイに適用することが可能である。例えば、
図15に示すメモリアレイブロックDB
1, DB
2, DB
3,……, DB
16を、電気的に消去・書き換え可能な読み出し専用メモリ(EEPROM)スキームによって構成されるフラッシュメモリセルのアレイによって置き換えてもよい。フラッシュメモリセルのアレイを用いた場合も、
図15及び
図16で説明したのと同一の技術的思想を使用することができる。
【0331】
フラッシュメモリセルのそれぞれは、例えば半導体基板と、この半導体基板上に積層されたゲート絶縁膜と、このゲート絶縁膜上に積層された浮遊ゲート電極と、この浮遊ゲート電極上に積層された正電荷層を含む電極間誘電体と、この電極間誘電体上に積層された制御ゲート電極とを備えて構成される。フラッシュメモリセルのそれぞれのゲート絶縁膜は、そのゲート絶縁膜を介して電子がトンネリングすることが可能であり、フラッシュメモリセルのそれぞれの浮遊ゲート電極は、電荷を蓄積する。
【0332】
NANDフラッシュメモリ又はNORフラッシュメモリのメモリアレイが、パイプライン化されたメモリアレイブロックを構成すると、そのパイプライン化されたメモリアレイブロックは、バイトサイズ若しくはワードサイズのパラレルデータ・ストリーム、又はバイトサイズ若しくはワードサイズのパラレル命令ストリームの情報を記憶することができる。そして、パイプライン化されたメモリアレイブロックは、パラレルデータ・ストリーム又はパラレル命令ストリームを、複数のメモリアレイブロックからMMによって構成される出力インターフェースに出力するように構成すればよい。この場合、出力インターフェースは、フラッシュメモリと計算機システムのプロセッサとの間の経路に設けられる。
【0333】
フラッシュメモリのバーストモードにおいて、バースト長を有するデータのそれぞれは、メモリブロックのそれぞれに接続された対応するセンスアンプにそれぞれ転送される。更に、センスアンプのそれぞれの出力は、出力バッファにそれぞれ転送される。そして、出力バッファからのそれぞれの出力は、内部バスに入力してもよい。また、内部バスからの出力は、MMによって構成されるインターフェースメモリに転送される。そして、フラッシュメモリのメモリアレイブロック内に記憶されたパラレルデータのそれぞれは、ストリームの方向に沿って、計算機システムのプロセッサに向かって、それぞれ転送することが可能となる。
【0334】
パラレルデータ・ストリーム又はパラレル命令ストリームが、プロセッサからフラッシュメモリに向かって、逆方向に生じる場合は、フラッシュメモリとプロセッサとの間の出力インターフェースは、プロセッサとフラッシュメモリとの間の入力インターフェースに変更される。
【0335】
上述のように、入力/出力インターフェースは、フラッシュメモリと他の記憶装置との間に内部接続されていてもよいし、又は入力/出力インターフェースは、フラッシュメモリと計算機システムのプロセッサとの間に内部接続されていてもよい。
図15及び
図16に示す構成と同様に、フラッシュメモリの入力/出力インターフェースは、MMによって構成される内部バス及びインターフェースメモリを含んでいてもよい。
【0336】
又は、それに代えて、フラッシュメモリの入力/出力インターフェースは、内部バスを含んでいなくてもよい。しかし、MMによって構成されるインターフェースメモリは、
図17に示す構成と同様に、フラッシュメモリのパイプライン化されたメモリアレイブロックに直接接続されている必要がある。フラッシュメモリの出力バッファからの出力がMMキャッシュメモリに直接入力されるならば、
図18に示す計算機システムと同様の構成をフラッシュメモリによって構成できる。即ち、DRAM以外のランダムアクセス可能メモリによって、
図18に示す計算機システムと同様の構成を実現することができる。
【0337】
このように、本発明は、上記の説明で詳述してない様々な実施形態、変形例など含むことは勿論である。従って、本発明の技術的範囲は、以下の特許請求の範囲の記載に規定される。