(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
中空の筒形状を有するオス部材及び前記オス部材を取り囲む外筒を有するオス本体部と、柔軟なチューブが導出されたグリップ部とを備えたオスコネクタに着脱することができる、患者に固定されないカバーであって、
前記オスコネクタを収納することができる凹部と、
前記凹部を規定する対向する一対の側面と、
前記凹部に前記オスコネクタを収納したとき、前記オスコネクタ及び前記チューブの少なくとも一方を保持する保持部とを備え、
前記保持部は、前記一対の側面で構成され、または、前記一対の側面の少なくとも一方に設けられた突起を含み、
前記オスコネクタの流路と前記チューブとが一直線に沿うように、前記オスコネクタ及び前記チューブが前記凹部内に配置されることを特徴とするオスコネクタ用カバー。
【発明を実施するための形態】
【0014】
上記の本発明のカバーにおいて、前記コネクタの流路と前記チューブとが一直線に沿うように、前記コネクタ及び前記チューブが前記凹部内に配置されてもよい。かかる構成は、チューブに曲がり癖がついたり、チューブが屈曲することによってチューブ内の流路が狭窄または閉塞したりする可能性を低減するのに有利である。
【0015】
前記保持部は、対向する一対の側面で構成されていてもよい。かかる構成は、保持部の構成を簡単化できるので、カバーの製造の容易化とコスト低減に有利である。
【0016】
前記保持部は、対向する一対の側面の少なくとも一方に設けられた突起を含んでいていもよい。かかる構成は、突起がコネクタ及び/又はチューブに局所的に当接するので、カバーをコネクタに安定的に装着するのに有利である。突起は、例えば、凹部の長手方向に対して垂直に延びるリブであってもよい。
【0017】
前記凹部は一直線状に延びていてもよく、前記凹部は、その長手方向の一端に、前記長手方向に沿って開放された開放端を備えていてもよい。かかる構成によれば、コネクタを凹部内に収納したとき、チューブを開放端から導出することができる。これは、チューブに曲がり癖がついたり、チューブが屈曲することによってチューブ内の流路が狭窄または閉塞したりする可能性を低減するのに有利である。
【0018】
上記において、前記開放端に、前記凹部の幅が相対的に狭い狭小部が設けられていてもよい。かかる構成は、チューブに、凹部の長手方向に沿った引張り力が作用した場合に、コネクタが開放端を通って凹部から引き出されるのを防止するのに有利である。
【0019】
前記保持部は、前記コネクタを保持する第1保持部と、前記チューブを保持する第2保持部とを含んでいてもよい。かかる構成は、カバーをコネクタに安定的に装着するのに有利である。また、チューブに引張り力等が作用した場合に、チューブがコネクタから抜けてしまう可能性を低減するのに有利である。
【0020】
あるいは、前記保持部は、前記チューブのみを保持してもよい。かかる構成は、コネクタを凹部から取り出す作業を容易にするのに有利である。また、凹部に収納されるコネクタの向きに関して許容範囲が拡大するので、コネクタにカバーを装着する作業を迅速に行うのに有利である。
【0021】
前記凹部の底面に、前記凹部内に収納された前記コネクタの一部を露出させる貫通孔が設けられていてもよい。かかる構成は、コネクタを凹部から取り出す作業を容易にするのに有利である。
【0022】
前記凹部を規定する対向する一対の側面のうちの少なくとも一方に、前記凹部内に収納された前記コネクタの一部を露出させる切り欠きが設けられていてもよい。かかる構成も、コネクタを凹部から取り出す作業を容易にするのに有利である。
【0023】
上記において、前記切り欠きは、前記カバーを上下方向に貫通するように設けられていてもよい。かかる構成は、コネクタを凹部から取り出す作業を更に容易にするのに有利である。
【0024】
前記凹部は、前記カバーの外表面よりも後退した窪みによって構成されていてもよい。かかる構成は、カバーをコネクタに安定的に装着するのに有利である。また、コネクタを相対的に肉厚のカバーで覆うことができるので、カバーを装着したコネクタが患者の下敷きになった場合に、患者が感じる痛みを軽減し、褥瘡が発生する可能性を低減するのに有利である。
【0025】
あるいは、前記凹部は、前記カバーの外表面に立設された一対の壁の間に設けられていてもよい。かかる構成は、カバーの軽量化と低コスト化に有利である。
【0026】
前記コネクタがオスコネクタであってもよい。この場合、前記凹部は、前記オスコネクタと、前記オスコネクタに接続されたメスコネクタとを収納することができるように構成されていてもよい。かかる構成によれば、メスコネクタが接続されていないオスコネクタ単体の状態のみならず、メスコネクタと接続した状態でも、カバーを装着することができる。このため、接続された状態のオスコネクタ及びメスコネクタが患者の下敷きになることによって患者が感じる痛みを軽減することができ、また、看護師や介護者等がオスコネクタ及びメスコネクタの所在を容易に見つけることができる。
【0027】
前記コネクタが、ISO80369−3に準拠したオスコネクタであってもよい。当該オスコネクタは、硬質材料からなり、患者に留置して使用される。従って、かかる構成によれば、本発明の効果が顕著に発現される。
【0028】
前記カバーは、前記コネクタよりも柔らかい材料からなることが好ましい。かかる構成によれば、カバーがコネクタを傷付ける可能性が低減され、カバーが患者の下敷きになった場合に患者が感じる痛みや褥瘡が発生する可能性が低減され、コネクタに対するカバーの着脱が容易になり、更に、カバーを寸法や形状が異なるコネクタに装着することが可能になる。
【0029】
以下に、本発明を好適な実施形態を示しながら詳細に説明する。但し、本発明は以下の実施形態に限定されないことはいうまでもない。以下の説明において参照する各図は、説明の便宜上、本発明の実施形態を構成する主要部材を簡略化して示したものである。従って、本発明は以下の各図に示されていない任意の部材を備え得る。また、本発明の範囲内において、以下の各図に示された各部材を変更または省略し得る。各実施形態の説明において引用する図面において、先行する実施形態で引用した図面に示された部材に対応する部材には、当該先行する実施形態の図面と同じ符号が付してある。そのような部材については、重複する説明が省略されており、先行する実施形態の説明を適宜参酌すべきである。
【0030】
(オスコネクタ)
本発明のカバーに適合したオスコネクタの一例を説明する。
【0031】
図1A及び
図1Bは、オスコネクタ900の斜視図である。オスコネクタ900は、その一端にオス本体部901を、その他端にグリップ部903を備える。
【0032】
オス本体部901は、中空の筒形状を有するオス部材911と、オス部材911を取り囲む外筒913とを有する。オス部材911の外周面912は、先端に近づくにしたがって外径が小さくなるテーパ面(いわゆるオステーパ面)である。オス部材911には、その長手方向に沿ってオス部材911を貫通する流路917が設けられている。外筒913のオス部材911に対向する内周面には雌ネジ915が設けられている。オス本体部901は、国際標準化に向けて検討中の、栄養系の医療機器に関する国際規格ISO80369−3に準拠している(特許文献2(
図4)参照)。
【0033】
グリップ部903は、作業者がオスコネクタ900を把持して回転力を加えやすくするために、薄い略平板形状を有している。オス部材911の長手方向に直交する平面に沿ったグリップ部903の断面形状は略長方形である。グリップ部903の当該断面形状の長辺に沿った寸法は、略円筒面である外筒913の外径とほぼ同じである。グリップ部903の当該断面形状の短辺に沿った寸法(グリップ部903の厚さ)は、外筒913の外径より小さい。
【0034】
グリップ部903の末端から柔軟な中空のチューブ909が導出されている。チューブ909は、オス部材911に形成された流路917と同軸に配置され、且つ、流路917と連通している。チューブ909は、患者に留置されたカテーテル(経鼻カテーテル、PEGカテーテルなど)であってもよい。あるいは、チューブ909は、当該カテーテルに接続されたチューブであってもよい。チューブ909の外径は、オスコネクタ900の用途等に応じて適宜変更可能であり、一般に1〜5mm程度である。
【0035】
オス本体部901とグリップ部903との間に円環状のリング908が装着されている。リング908の外径は、外筒913の外径と略同じである。柔軟な帯状のバンド907が、リング908とキャップ905とをつないでいる。キャップ905は、外筒913の外径とほぼ同じ直径を有する略円板形状を有する。キャップ905の円形の外周端縁のうち、バンド907が接続された位置とは反対側の位置から、タブ906が半径方向に沿って外向きに突出している。キャップ905はオス本体部901の先端に繰り返し着脱可能である。タブ906を指で摘まむことにより、キャップ905の着脱作業が容易になる。
図1Aは、オス本体部901にキャップ905を装着していない状態を示す。経腸栄養法を行わない場合、
図1Bに示すように、オス本体部901にキャップ905が装着される。キャップ905は、オス部材911及び外筒913の先端側の開口を塞ぐ。オス本体部901にキャップ905を装着したとき、タブ906及び湾曲したバンド907が、外筒913の外周面よりも半径方向に沿って外向きに、互いに逆向きに突出する。
【0036】
キャップ905、タブ906、バンド907、及びリング908は、一部品として一体的に成形されうる。キャップ905を含むこれらの一体化品の材料としては、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)等の比較的硬質の樹脂材料、あるいは、イソプレンゴム、シリコーンゴム、ブチルゴム等のゴムや、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー等の熱可塑性エラストマー等の、ゴム弾性を有する軟質の材料(いわゆるエラストマー)を用いることができる。
【0037】
オスコネクタ900の、キャップ905を含む上記の一体化品以外の部分(即ち、オス本体部901及びグリップ部903)の材料としては、外力によって実質的に変形しない程度の機械的強度(剛性)を有する硬い材料(硬質材料)を用いることができる。一般には、硬度が700MPa以上の材料が用いられる。例えば、ポリプロピレン(PP)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)、ポリカーボネート(PC)、ポリアセタール(POM)、ポリスチレン、ポリアミド、ポリエチレン、硬質ポリ塩化ビニル等の樹脂材料を用いることができる。
【0038】
オスコネクタ900は例示に過ぎず、特にISO80369−3で規定されていない部分の形状は任意に変更しうる。例えばグリップ部903の形状を変更してもよく、あるいは、グリップ部903を省略してもよい。キャップ905を含む一体化品の形状は適宜変更しうる。タブ906を省略してもよい。バンド907及びリング908を省略し、キャップ905がオスコネクタ900から分離可能な独立した部材であってもよい。キャップ905を含む一体化品を省略してもよい。
【0039】
(実施形態1)
図2Aは本発明の実施形態1にかかるカバー1の斜視図、
図2Bはカバー1の平面図である。
【0040】
カバー1は、陸上競技場のトラック形状と概略同じ平面視形状を有している。カバー1の上面21に、カバー1の長手方向に沿って一直線状に延びた溝状の凹部30aが設けられている。凹部30aの長手方向の一端は、カバー1の外周面にまで達し、凹部30aの長手方向に沿って開放された開放端301であり、他端は、カバー1の外周面に達することなく終端した閉鎖端302である。凹部30aは、互いに対向する一対の側面303と、一対の側面303をつなぐ底面304とで規定される。側面303及び底面304はいずれも平坦面である。一対の側面303は互いに平行に配置され、一対の側面303間の間隔で定義される凹部30aの幅は、凹部30aの長手方向において一定である。凹部30aの深さ(カバー1の上面21から底面304までの寸法)も、凹部30aの長手方向において一定である。
【0041】
以下の説明の便宜のため、凹部30aの深さ方向を「上下方向」といい、上下方向に垂直な方向を「水平方向」という。上下方向において、凹部30aが開口している側を「上」側、凹部30aの底面304側を「下」側という。水平方向のうち、一対の側面303が対向する方向を「幅方向」という。但し、「上下方向」及び「水平方向」は、カバー1の実際の使用時の向きを意味するものではない。
【0042】
カバー1の材料は、制限はないが、樹脂材料が好ましく、オスコネクタ900を傷付けることがないようにオスコネクタ900の材料より柔らかい材料、具体的には硬度が700MPa以下の材料が好ましい。また、患者に投与する液状物が付着するなどによりカバー1が汚れた場合には簡単に洗浄(例えば水洗い)できる材料が好ましい。具体的には、ポリプロピレンやポリエチレン等の外力が加えられたときに実質的に変形しない樹脂材料を用いることができる。あるいは、天然ゴム、イソプレンゴム、シリコーンゴム等のゴムや、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー等の熱可塑性エラストマー等のゴム弾性を有する材料(以下「エラストマー」という)、または、発泡ウレタンスチロールのような発泡体を用いることができる。エラストマーや発泡体などの軟質材料は、外力によって容易に変形できるので、(1)カバー1が患者の下敷きになった場合に患者が痛みを感じたり、褥瘡が発生したりする可能性を低減することができる、(2)カバー1を変形させることにより、オスコネクタに対するカバー1の着脱が容易になる、(3)カバー1がオスコネクタに応じて適宜変形することにより、寸法や形状が異なるオスコネクタにカバー1を装着することができる、等の点で有利である。カバー1は、上記の材料を用いて、公知の方法(例えば射出成形)によりその全体が一部品として一体的に製造された一体成形品である。
【0043】
カバー1に着色を施してもよい。例えば、赤、黄、青などの比較的目立つ着色を施すことができる。これは、看護師や介護者等がカバー1の所在を容易に見つけるのに有利である。
【0044】
経腸栄養法を行わないとき、オス本体部901の先端にキャップ905が装着される(
図1B参照)。この状態のオスコネクタ900にカバー1が装着される。
【0045】
図3は、オスコネクタ900にカバー1を装着した状態を示した斜視図である。オスコネクタ900が、キャップ905を閉鎖端302側に向けて凹部30a内に収納されている。凹部30aの長さ(凹部30aの長手方向に沿った寸法)は、キャップ905からグリップ部903までの、キャップ905を含むオスコネクタ900の全長より長い。このため、オスコネクタ900は、凹部30aの開放端301を越えてカバー1から突出することなく、凹部30a内に収納されている。オスコネクタ900に接続されたチューブ909は、凹部30aに案内されて開放端301からカバー1外に導出されている。凹部30aが一直線状に延び、しかも凹部30aの一端が、凹部30aの長手方向に沿って開放された開放端301であるので、オスコネクタ900を凹部30a内に収納したとき、開放端301からチューブ909を導出することができる。凹部30a内においてオス部材911の流路917(
図1A参照)及びチューブ909をほぼ一直線に沿って配置することが可能である。このため、チューブ909に曲がり癖がついたり、チューブ909が屈曲することによってチューブ909内の流路が狭窄または閉塞したりする可能性は低い。
【0046】
凹部30aの幅は、オスコネクタ900の外筒913の外径とほぼ同じか、これより小さく設定されている。このため、凹部30aの対向する一対の側面303が、オスコネクタ900の外筒913を保持している。従って、カバー1は、重力や振動等によってオスコネクタ900から簡単に脱落することはない。チューブ909の外径は、凹部30aの幅より小さい。
【0047】
キャップ905から突出したタブ906が上方を向いた状態で、オスコネクタ900は凹部30a内に収納されている。図示を省略するが、湾曲したバンド907(
図1B参照)は、凹部30aの底面304に向かって突出している。もちろん、タブ906が下方を向き、湾曲したバンド907が上方を向いた状態でオスコネクタ900を凹部30a内に収納することも可能である。タブ906又は湾曲したバンド907がカバー1の上面21よりも上方に向かって突出することがないように、凹部30aの深さは、タブ906及び湾曲したバンド907を結ぶ方向に沿ったオスコネクタ900(
図1B参照)の外寸法と同じかこれより大きいことが好ましい。
【0048】
経腸栄養法を行う場合、オスコネクタ900にメスコネクタを接続するために、オスコネクタ900からカバー1を取り外す。オスコネクタ900を凹部30aから取り出す方法は、様々である。例えば、片方の手でカバー1を保持しながら、他方の手でチューブ909又はタブ906を摘まんで上方に引き上げてもよい。カバー1が変形容易な軟質材料からなる場合には、凹部30aの幅が拡大するようにカバー1を変形させて、拡幅した凹部30a内に指を挿入したり、カバー1の下面の凹部30aに相当する部分を指で押し上げたりすることにより、オスコネクタ900を凹部30aから取り出すことができる。
【0049】
以上のように、本実施形態1のカバー1は、オスコネクタ900を収納することができる凹部30aを備える。このため、当然のことながら、カバー1は、オスコネクタ900より大きな外寸法を有する。カバー1を装着したオスコネクタ900(
図3参照)が患者の下敷きになった場合には、カバー1が装着されていないオスコネクタ900が患者の下敷きになった場合に比べて、患者の体圧はより広い領域に分散されるので、患者が感じる痛みは軽減され、褥瘡が発生する可能性は低減される。カバー1が変形容易な軟質材料からなる場合には、痛みや褥瘡が発生する可能性は更に低減される。また、オスコネクタ900に、これより大きなカバー1が装着されるので、看護師や介護者等はカバー1が装着されたオスコネクタ900の所在を容易に見つけることができる。このため、経腸栄養法を行う際に、オスコネクタ900を探す手間を少なくすることができる。また、オスコネクタ900の所在を容易に発見できることは、カバー1が装着されたオスコネクタ900が患者の下敷きになる可能性自体を低減するのに有利でありうる。
【0050】
カバー1は、凹部30a内に収納されたオスコネクタ900を保持する保持部を備える。従って、カバー1はオスコネクタ900から脱落しにくく、カバー1をオスコネクタ900に長期にわたって安定的に装着し続けることができる。
【0051】
オスコネクタ900を保持する保持部が、凹部30aの幅を規定する一対の側面303で構成される。このため、保持部の構成を簡単化でき、カバー1の製造を容易にし、コストを低減することができる。
【0052】
一対の側面303がオスコネクタ900を保持する方向(即ち、凹部30aの幅方向)は、凹部30aに対してオスコネクタ900を挿抜する方向(上下方向)と垂直である。このため、オスコネクタ900に対するカバー1の着脱作業は、容易である。
【0053】
凹部30aの幅及び深さが凹部30aの長手方向において一定である。このため、カバー1の形状は簡単であり、カバー1の製造は容易である。
【0054】
溝状の凹部30aの一端が閉鎖端302であるので、
図3に示すように、キャップ905を閉鎖端302に当接させた状態でオスコネクタ900を凹部30aに収納することができる。このように、閉鎖端302を凹部30a内でのオスコネクタ900の位置決めに利用することができるので、オスコネクタ900に対するカバー1を迅速に装着することができる。また、閉鎖端302は、カバー1の強度を高める。このため、カバー1が柔軟な材料からなる場合に、振動や小さな外力によってカバー1がオスコネクタ900から容易に脱落してしまうのを防止することができる。
【0055】
但し、溝状の凹部30aの両端が、凹部30aの長手方向に開放された開放端301であってもよい。この場合、チューブ909を2つの開放端301のいずれからでも導出することができる。このため、オスコネクタ900にカバーを装着する際にカバーの向きを考慮する必要がなくなるので、カバーの装着作業を迅速に行うことができる。
【0056】
底面304は、平坦面である必要はない。例えば、凹部30aの深さが、幅方向の中央部で最も深く、一対の側面303に近づくにしたがって凹部30aが浅くなるように、底面304が凹曲面(例えば円筒面)であってもよい。また、開放端301にて凹部30aが浅くなるように、底面304に段差又は傾斜が設けられていてもよい。
【0057】
(実施形態2)
図4Aは本発明の実施形態2にかかるカバー2の斜視図、
図4Bはカバー2の平面図である。実施形態1のカバー1と同様に、カバー2は、オスコネクタ900を収納することができる凹部30bを備える。但し、実施形態1と異なり、本実施形態2では、凹部30bの幅は、凹部30bの長手方向において一定ではない。凹部30bは、主部31と、主部31より狭い幅を有する狭小部32とを含む。狭小部32は、凹部30bの開放端301に設けられている。
【0058】
図5は、オスコネクタ900にカバー2を装着した状態を示した斜視図である。主部31に、キャップ905が装着されたオスコネクタ900(
図1B参照)が収納され、狭小部32にチューブ909が収納されている。主部31の幅は、オスコネクタ900の外筒913の外径とほぼ同じか、これより小さい。このため、主部31の幅を規定する、対向する一対の側面が、実施形態1と同様にオスコネクタ900の外筒913を保持する。狭小部32の幅は、チューブ909の外径と同じか、これより小さい。このため、狭小部32の幅を規定する、対向する一対の側面がチューブ909を保持する。
【0059】
このように、本実施形態2のカバー2は、オスコネクタ900を保持する第1保持部(主部31の対向する側面)と、チューブ909を保持する第2保持部(狭小部32の対向する側面)とを備える。カバー2は、実施形態1と同様にオスコネクタ900を保持することに加えて、チューブ909をも保持する。従って、カバー2はオスコネクタ900から脱落しにくく、カバー2をオスコネクタ900に長期にわたって更に安定的に装着し続けることができる。
【0060】
主部31及び狭小部32がオスコネクタ900及びチューブ909を、オス部材911の流路917(
図1A参照)及びチューブ909がほぼ一直線に沿うように保持する。このため、チューブ909に曲がり癖がついたり、チューブ909が屈曲することによってチューブ909内の流路が狭窄または閉塞したりする可能性が実施形態1より更に低減される。また、狭小部32がチューブ909を保持するので、チューブ909に引張り力等が作用した場合に、チューブ909がオスコネクタ900から抜けてしまう可能性が低減される。
【0061】
本実施形態2において、狭小部32の幅がチューブ909の外径より大きくてもよい。このような狭小部32は、チューブ909を保持する第2保持部としては機能しない。この場合でも、主部31がオスコネクタ900の外筒913を保持するので、オスコネクタ900にカバー2を長期にわたって安定的に装着し続けることができる。
【0062】
狭小部32がチューブ909を保持するか否かに関わらず、凹部30bの開放端301に相対的に狭幅の狭小部32が設けられているので、チューブ909に、凹部30bの長手方向に沿った引張り力が作用した場合には、狭小部32にオスコネクタ900(グリップ部903または外筒913)が衝突する。このため、狭小部32は、オスコネクタ900が開放端301を通って凹部30bから引き出されるのを防止するのに有利である。
【0063】
本実施形態2は、上記を除いて実施形態1と同じである。実施形態1の説明が本実施形態2に適宜適用されうる。
【0064】
(実施形態3)
図6Aは本発明の実施形態3にかかるカバー3の斜視図、
図6Bはカバー3の平面図である。カバー3は、オスコネクタ900を収納することができる凹部30cを備える。実施形態2と同様に、凹部30cは、オスコネクタ900を収納するための主部33と、チューブ909を収納するための狭小部32とを含む。但し、本実施形態3は、主部33がオスコネクタ900の外筒913の外径より大きな幅を有する点で、実施形態2と異なる。
【0065】
オスコネクタ900にカバー3を装着すると、狭小部32は、実施形態2と同様に、チューブ909を保持する。一方、主部33の幅は外筒913の外径より大きいから、主部33は、実施形態2の主部31と異なり、オスコネクタ900を保持する機能を有しない。
【0066】
このように、本実施形態3のカバー3は、チューブ909を保持する保持部(狭小部32の対向する側面)を備える。従って、カバー3をオスコネクタ900に長期にわたって安定的に装着し続けることができる。
【0067】
実施形態2の主部31と異なり、本実施形態3の主部33はオスコネクタ900を保持しない。これは、オスコネクタ900を凹部30cから取り出す作業を容易にするのに有利である。例えば、上面21を下方に向ければ、狭小部32で保持されたチューブ909が湾曲し、チューブ909にぶら下がるようにしてオスコネクタ900の一部が凹部30cから突出する。オスコネクタ900の突出した部分を摘まめば、オスコネクタ900を凹部30cから容易に取り出すことができる。あるいは、主部33の側面333とオスコネクタ900との間の隙間に指を入れて、オスコネクタ900を凹部30cから引き出すこともできる。
【0068】
実施形態1,2では、凹部30a,30bの対向する側面がオスコネクタ900の外筒913を保持した。このため、タブ906及びバンド907(
図1B参照)が上下方向に沿って配列されるようにオスコネクタ900を凹部30a,30bに収納する必要がある(
図3及び
図5参照)。これに対して、本実施形態3では、主部33の幅を規定する、対向する側面333がオスコネクタ900を保持する必要はない。このため、凹部30c内でのオスコネクタ900のオス部材911周りの回転方向の向きに関して許容範囲が広い。従って、オスコネクタ900にカバー3を装着する作業を迅速に行うことができる。主部33の幅によっては、タブ905及びバンド907が、凹部30cの幅方向に沿って配列されるようにオスコネクタ900を凹部30c内に収納することも可能である。この場合には、凹部30cを浅くしても、タブ905やバンド907がカバー3の上面21よりも上方に向かって突出しない。従って、カバー3の上下方向の寸法を小さく(即ち、カバー3を薄く)することが可能になる。
【0069】
本実施形態3は、上記を除いて実施形態1,2と同じである。実施形態1,2の説明が本実施形態3に適宜適用されうる。
【0070】
(実施形態4)
図7は、本発明の実施形態4にかかるカバー4の斜視図である。カバー4は、オスコネクタ900を収納することができる凹部30dを備える。凹部30dは、第1主部34と、第2主部35と、第1主部34より狭い幅を有する狭小部32とを含む。本実施形態4は、第1主部34と狭小部32との間に、第1主部34より狭く且つ狭小部32よりも広い幅を有する第2主部35を備える点で実施形態3と異なる。
【0071】
図7に示されているように、第2主部35の幅は、上下方向において一定ではない。第2主部35は、下側に相対的に狭幅の狭幅部35aを備え、その上側に相対的に広幅の広幅部35bを備える。
【0072】
図8は、オスコネクタ900にカバー4を装着した状態を示した斜視図である。第1主部34にキャップ905が装着されたオス本体部901が収納され、第2主部35にグリップ部903が収納され、狭小部32にチューブ909が収納されている。
【0073】
第2主部35の狭幅部35a(
図7参照)の幅は、グリップ部903の厚さとほぼ同じか、これより小さく設定されている。このため、詳細な図面を省略するが、狭幅部35aの対向する一対の側面が、グリップ部903を保持する。狭幅部35aよりも上側に配された広幅部35b(
図7参照)は、グリップ部903を保持する機能を有しない。
【0074】
狭小部32は、実施形態2,3と同様に、チューブ909を保持する。
【0075】
このように、本実施形態4のカバー4は、オスコネクタ900のグリップ部903を保持する第1保持部(第2主部35、特にその狭幅部35aの対向する側面)と、チューブ909を保持する第2保持部(狭小部32の対向する側面)とを備える。従って、カバー4をオスコネクタ900に長期にわたって更に安定的に装着し続けることができる。
【0076】
第1主部34の幅は外筒913の外径より大きい。このため、第1主部34は、実施形態3の主部33と同様に、オスコネクタ900の外筒913を保持する機能を有しない。これは、オスコネクタ900を凹部30dから取り出す作業を容易にするのに有利である。即ち、第1主部34の側面343とオス本体部901との間の隙間に指を入れて、オスコネクタ900を凹部30dから引き出すことができる。
【0077】
本実施形態4において、狭小部32の幅がチューブ909の外径より大きくてもよい。この場合、狭小部32は、チューブ909を保持する第2保持部としては機能しない。この場合でも、第2主部35がオスコネクタ900のグリップ部903を保持するので、オスコネクタ900にカバー4を長期にわたって安定的に装着し続けることができる。
【0078】
狭小部32を省略し、第2主部35が開放端301まで延びていてもよい。この場合も、チューブ909は保持されないが、グリップ部903が第2主部35によって保持される。
【0079】
第2主部35において広幅部35bを省略し、第2主部35の幅が、上下方向において、狭幅部35aと同じ一定の幅を有していてもよい。これにより、第2主部35は、グリップ部903をより広い範囲で保持することができるので、オスコネクタ900にカバー4を長期にわたって更に安定的に装着し続けることができる。
【0080】
第1主部34が、オスコネクタ900の外筒913を保持するように、第1主部34の幅を外筒913の外径とほぼ同じか、これより小さく設定してもよい。この場合、オスコネクタ900にカバー4を長期にわたってより一層安定的に装着し続けることができる。
【0081】
本実施形態4は、上記を除いて実施形態1〜3と同じである。実施形態1〜3の説明が本実施形態4に適宜適用されうる。
【0082】
(実施形態5)
図9Aは、本発明の実施形態5にかかるカバー5の斜視図、
図9Bは、カバー5の平面図である。実施形態1のカバー1と同様に、カバー5は、オスコネクタ900を収納することができる凹部30eを備える。本実施形態5のカバー5は、凹部30eの幅を規定する一対の側面303a,303bのうちの一方の側面303aに、他方の側面303bに向かって突出した突起36が設けられている点で、実施形態1のカバー1と異なる。突起36は、上下方向(即ち、凹部30eの深さ方向)に沿って、側面303aの上端から下端(底面304)にまでリブ状に延びている。
【0083】
図10は、オスコネクタ900にカバー5を装着した状態を示した斜視図である。凹部30eに、キャップ905が装着されたオスコネクタ900(
図1B参照)が収納されている。突起36の位置での凹部30eの幅は、オスコネクタ900の外筒913の外径とほぼ同じか、これより小さい。このため、突起36と側面303b(
図9B参照)がオスコネクタ900の外筒913を保持する。
【0084】
このように、本実施形態5のカバー5は、オスコネクタ900を保持する保持部(突起36とこれに対向する側面303b)を備える。突起36はオスコネクタ900の外筒913に相対的に狭い領域で当接する。このため、当該領域での突起36と外筒913との間の接触圧力は高い。従って、突起36と外筒913との間に大きな摩擦力が発生する。また、カバー5が柔軟な材料からなる場合には、突起36は外筒913によって局所的に大きく圧縮変形せしめられる。これらによって、カバー5をオスコネクタ900に長期にわたって更に安定的に装着し続けることができる。
【0085】
側面303aに突起36を設けることにより、側面303a(突起36を除く部分)とオスコネクタ900との間に隙間ができる。この隙間に指を入れることにより、オスコネクタ900を凹部30eから取り出す作業が容易である。
【0086】
本実施形態5において、突起36の数は任意である。一方の側面303a(または側面303b)に2以上の突起36が設けられていてもよい。一対の側面303a,303bの両方に、1つ以上の突起36がそれぞれ設けられていてもよい。
【0087】
突起36の位置も任意である。オスコネクタ900の外筒913を保持する突起36に加えて、またはこれに代えて、オスコネクタ900のグリップ部903を保持する突起36が設けられていてもよい。
【0089】
例えば、突起36は、側面の上下方向の全領域にわたって延びている必要はなく、オスコネクタ900に当接することができる限られた領域のみに設けられていてもよい。突起36の高さ(凹部30eの幅方向に沿った突出長さ)は、上下方向において一定であってもよいし、変化していてもよい。例えば、突起36の高さが、オスコネクタ900に当接する部分において低くなるように、変化していてもよい。突起36の、その長手方向に垂直な面に沿った断面形状は、上記の例のような半円形状に限定されず、台形、三角形など任意である。
【0090】
突起36は、上下方向に延びたリブ形状を有する必要はない。例えば、離散的に配置された半球状(ドーム状)の複数の突起が側面303a,303bの一方又は両方に設けられていてもよい。
【0091】
本実施形態5は、上記を除いて実施形態1と同じである。実施形態1の説明が本実施形態5に適宜適用されうる。
【0092】
本実施形態5の突起を、実施形態2〜4のカバー2〜4に適用してもよい。具体的には、オスコネクタ900が収納される主部の側面に、オスコネクタ900に当接するように突起を設けてもよく、これに加えて又はこれに代えて、チューブ909が収納される狭小部の側面に、チューブ909に当接するように突起を設けてもよい。
【0093】
(実施形態6)
図11Aは、本発明の実施形態6にかかるカバー6の斜視図、
図11Bは、カバー6の平面図である。実施形態1のカバー1と同様に、カバー6は、オスコネクタ900を収納することができる凹部30fを備える。本実施形態6のカバー6は、凹部30fの底面304に貫通孔37が設けられている点で、実施形態1のカバー1と異なる。
【0094】
カバー6は、実施形態1のカバー1と同様にオスコネクタ900に装着することができる。貫通孔37を介して凹部30f内に収納されたオスコネクタ900の少なくとも一部(特にその下側を向いた面、即ち、下面)が露出される。貫通孔37は、オスコネクタ900からカバー6を分離する際に利用することができる。即ち、指または細い棒を、カバー6の下側から貫通孔37に挿入し、凹部30fに収納されたオスコネクタ900に当てて、オスコネクタ900を上方に向かって押し上げる。これにより、オスコネクタ900を凹部30fから容易に取り出すことができる。
【0095】
このように、本実施形態6のカバー6は、凹部30fの底面304に、凹部30fに収納されたオスコネクタ900の一部を露出させる貫通孔37が設けられているので、オスコネクタ900とカバー6との分離が容易である。
【0096】
貫通孔37の位置、大きさ、形状は任意である。凹部30fの底面304に2以上の貫通孔37を設けてもよい。
【0097】
凹部30fにオスコネクタ900を収納したとき、貫通孔37内に、タブ906又は湾曲したバンド907(
図1B参照)が挿入されるように、貫通孔37が設けられていてもよい。これにより、オスコネクタ900の外筒913及びグリップ部903を底面304に当接させた状態でオスコネクタ900を凹部30f内に収納することができる。これは、オスコネクタ900を凹部30f内に、常に一定の姿勢で深く収納することを可能にするので、カバー6をオスコネクタ900に長期にわたって安定的に装着し続けるのに有利である。また、貫通孔37に挿入されたタブ906又はバンド907がカバー6に係合するので、チューブ909に、凹部30fの長手方向に沿った引張り力が作用した場合に、オスコネクタ900が開放端301を通って凹部30fから引き出されるのを防止することができる。上記の場合、貫通孔37に挿入されたタブ906又はバンド907が、カバー6の下面から突出しないように、底面304の部分でのカバー6の厚さが設定されることが好ましい。
【0098】
本実施形態6は、上記を除いて実施形態1と同じである。実施形態1の説明が本実施形態6に適宜適用されうる。
【0099】
本実施形態6の貫通孔37を、実施形態2〜5のカバー2〜5に適用してもよい。
【0100】
(実施形態7)
図12Aは、本発明の実施形態7にかかるカバー7の斜視図、
図12Bは、カバー7の平面図である。実施形態1のカバー1と同様に、カバー7は、オスコネクタ900を収納することができる凹部30gを備える。本実施形態7のカバー7は、凹部30gの幅を規定する一対の側面303の一方に切り欠き38が設けられている点で、実施形態1のカバー1と異なる。切り欠き38は、凹部30gの長手方向に直交する方向(即ち、凹部30gの幅方向)に沿って延び、カバー7の外周面にまで達している。
【0101】
カバー7は、実施形態1のカバー1と同様にオスコネクタ900に装着することができる。切り欠き38を介してオスコネクタ900の少なくとも一部(特にその切り欠き38に対向する面、即ち、側面)が露出される。切り欠き38は、オスコネクタ900からカバー7を分離する際に利用することができる。即ち、指または細い棒を、切り欠き38に挿入し、凹部30gに収納されたオスコネクタ900の側面または下面(底面304に対向する面)に当てて、オスコネクタ900を上方に向かって持ち上げる。これにより、オスコネクタ900を凹部30gから容易に取り出すことができる。
【0102】
このように、本実施形態7のカバー7は、凹部30gの側面303に、凹部30gに収納されたオスコネクタ900の一部を露出させる切り欠き38が設けられているので、オスコネクタ900とカバー7との分離が容易である。
【0103】
切り欠き38の位置、寸法は任意である。切り欠き38の深さ(カバー7の上面21からの上下方向の寸法)も制限はないが、凹部30g内に収納されたオスコネクタ900の下面が切り欠き38を介して露出されるように、なるべく深いことが好ましく、例えば
図12Aに示されているように凹部30gの深さと同じに設定しうる。
【0104】
一対の側面303の両方に切り欠き38を設けてもよい。この場合、2本の指を2つの切り欠き38に挿入して、凹部30g内に収納されたオスコネクタ900を水平方向(即ち、凹部30gの幅方向)に把持することが可能になる。従って、オスコネクタ900を凹部30gから取り出す作業が更に容易になる。
【0105】
一対の側面303の両方に切り欠き38を設ける場合、タブ906及び湾曲したバンド907(
図1B参照)が2つの切り欠き38に挿入された状態で、オスコネクタ900を凹部30gに収納することが可能になりうる。この場合、一対の側面303に、オスコネクタ900の外筒913及びグリップ部903を当接させ、且つ、底面304に外筒913を当接させた状態でオスコネクタ900を凹部30g内に収納することができる。これは、オスコネクタ900を凹部30g内に、常に一定の姿勢で深く収納することを可能にするので、オスコネクタ900にカバー7を長期にわたって安定的に装着し続けるのに有利である。また、カバー7の上下方向の寸法を小さく(即ち、カバー7を薄く)するのに有利である。更に、切り欠き38に挿入されたタブ906及びバンド907がカバー7に係合するので、チューブ909に、凹部30gの長手方向に沿った引張り力が作用した場合に、オスコネクタ900が開放端301を通って凹部30gから引き出されるのを防止することができる。上記の場合、切り欠き38に挿入されたタブ906及びバンド907が、カバー7の外周面から水平方向に突出しないように、カバー7の外形が設定されることが好ましい。
【0106】
本実施形態7は、上記を除いて実施形態1と同じである。実施形態1の説明が本実施形態7に適宜適用されうる。
【0107】
本実施形態7の切り欠き38を、実施形態2〜6のカバー2〜6に適用してもよい。
【0108】
(実施形態8)
図13Aは、本発明の実施形態8にかかるカバー8の斜視図、
図13Bは、カバー8の平面図である。実施形態1のカバー1と同様に、カバー8は、オスコネクタ900を収納することができる凹部30hを備える。実施形態6のカバー6と同様に、凹部30hの幅を規定する一対の側面303の一方に切り欠き39が設けられている。但し、本実施形態8の切り欠き39は、カバー8を上下方向に貫通している。
【0109】
カバー8は、実施形態1のカバー1と同様にオスコネクタ900に装着することができる。切り欠き39は、実施形態7と同様に、オスコネクタ900からカバー8を分離する際に利用することができる。実施形態7に比べて、本実施形態8では、切り欠き39を介してオスコネクタ900のより広い範囲(即ち、オスコネクタ900の水平方向を向いた面(側面)に加えて、底面304に対向する(下面)の少なくとも一部)が露出される。このため、切り欠き39を介して指または細い棒を凹部30h内に収納されたオスコネクタ900の下面に容易に当てることができ、オスコネクタ900に、上方に向かう力を加えやすい。従って、オスコネクタ900を凹部30hからより容易に取り出すことができる。
【0110】
このように、本実施形態8のカバー8は、凹部30hの側面303に、凹部30h内のオスコネクタ900の一部を露出させる切り欠き39が設けられており、当該切り欠き39はカバー8を上下方向に貫通しているので、オスコネクタ900とカバー8との分離が更に容易である。
【0111】
切り欠き39の位置、寸法は任意であること、及び、一対の側面303の両方に切り欠き39を設けてもよいことは、実施形態7と同様である。一対の側面303の一方に本実施形態8の切り欠き39を設け、他方に実施形態7の切り欠き38を設けてもよい。
【0112】
本実施形態8は、上記を除いて実施形態1,7と同じである。実施形態1,7の説明が本実施形態8に適宜適用されうる。
【0113】
本実施形態8の切り欠き39を、実施形態2〜6のカバー2〜6に適用してもよい。
【0114】
(実施形態9)
図14Aは、本発明の実施形態9にかかるカバー9の斜視図、
図14Bは、カバー9の平面図である。カバー9は、オスコネクタ900を収納することができる凹部30iを備える。凹部30iの長手方向の両端は、それぞれ凹部30iの長手方向に沿って開放された開放端301である。凹部30iは、その長手方向の中央に対して両側に、実施形態4の凹部30d(
図7参照)を対称に配置したのと概略同じ形状を有している。即ち、凹部30iは、その長手方向の中央に第1主部134を備え、第1主部134を挟んでその両外側に第2主部135を備え、更に各第2主部35の外側に狭小部132を備える。第2主部135は、その下側に狭幅部135aを備え、これより上側に、狭幅部135aより広幅の広幅部135bを有する。第1主部134、第2主部135、狭幅部135a、広幅部135b、狭小部132は、順に実施形態4の第1主部34、第2主部35、狭幅部35a、広幅部35b、狭小部32に対応する。
【0115】
図15は、オスコネクタ900にカバー9を装着した状態を示した斜視図である。第1主部134にオス本体部901及びキャップ905が収納され、第2主部135にグリップ部903が収納され、狭小部132にチューブ909が収納されている。実施形態4と同様に、第2主部135の狭幅部135aの対向する側面(
図14A及び
図14B参照)がグリップ部903を保持している。
【0116】
このように、本実施形態9のカバー9は、オスコネクタ900のグリップ部903を保持する保持部(第2主部135、特にその狭幅部135aの対向する側面)を備える。従って、カバー9をオスコネクタ900に長期にわたって安定的に装着し続けることができる。
【0117】
本実施形態9のカバー9の狭小部132は、チューブ909を保持していない。しかしながら、実施形態4の狭小部32と同様に、チューブ909を保持するように狭小部132の幅を狭くしてもよい。
【0118】
第1主部134の幅は外筒913の外径より大きい。このため、実施形態4と同様に、オスコネクタ900を凹部30iから取り出す作業は容易である。即ち、第1主部134の側面とオス本体部901との間の隙間に指を入れて、オスコネクタ900を凹部30iから引き出すことができる。
【0119】
本実施形態9では、凹部30iの両端が開放端301であるので、任意の開放端301からチューブ909を導出させることができる。このため、オスコネクタ900にカバー9を装着する際にカバー9の向きを考慮する必要がなくなるので、カバー9の装着作業を迅速に行うことができる。
【0120】
経腸栄養法を行う場合、オスコネクタ900にメスコネクタが接続される。本実施形態9のカバー9は、メスコネクタを接続した状態のオスコネクタ900にも装着することができる。
図16Aは、互いに接続されたオスコネクタ900及びメスコネクタ950をカバー9に装着する直前の状態を示した分解斜視図である。キャップ905が取り外されたオスコネクタ900(
図1A参照)にメスコネクタ950が接続されている。
【0121】
メスコネクタ950は、その一端に、ISO80369−3に準拠したメス本体部951を備える(特許文献2(
図5)参照)。
図16Aでは、メス本体部951の大部分は、オスコネクタ900の外筒913内に収納されている(
図1A参照)ので見えない。図示を省略するが、メス本体部951は、中空円筒形状の管状部(メス部材)を有する。管状部の内周面は、先端に近づくにしたがって内径が大きくなるテーパ面(いわゆるメステーパ面)である。管状部の外周面には螺状突起(雄ネジ)が設けられている。管状部は、オスコネクタ900(
図1A参照)のオス部材911と外筒913との間に挿入される。オス部材911の外周面(オステーパ面)912は管状部のメステーパ面と嵌合する。外筒913の内周面に設けられた雌ネジ915は、管状部の外周面に設けられた螺状突起と螺合する。
【0122】
メスコネクタ950の他端には、グリップ部953が設けられている。グリップ部953は、オスコネクタ900のグリップ部903と同様に、作業者がメスコネクタ950を把持して回転力を加えやすくするために、薄い略平板形状を有している。グリップ部953の末端から、柔軟なチューブ959が導出されている。チューブ959は、メス本体部951に設けられた管状部(図示せず)と同軸に配置され、且つ、管状部に連通している。チューブ959は、患者に投与される液状物が貯留された容器に接続されたチューブであってもよい。
【0123】
メスコネクタ950の材料としては、実施形態1で説明したオスコネクタ900の材料と同様に、外力によって実質的に変形しない程度の機械的強度(剛性)を有する硬い材料(硬質材料)を用いることができる。一般には、硬度が700MPa以上の材料が用いられる。
【0124】
図16Bは、
図16Aに示したオスコネクタ900及びメスコネクタ950にカバー9を装着した状態を示した斜視図である。オス本体部901が第1主部134に、オスコネクタ900のグリップ部903が一方の第2主部135に、メスコネクタ950のグリップ部953が他方の第2主部135に、オスコネクタ900のチューブ909が一方の狭小部132に、メスコネクタ950のチューブ959が他方の狭小部132に、それぞれ収納されている。グリップ部903,953は、それぞれ対応する第2主部135の狭幅部135aの対向する側面(
図14A及び
図14B参照)に保持されている。
【0125】
このように、オスコネクタ900とメスコネクタ950とを接続した状態でこれらに本実施形態9のカバー9を装着することができる。そして、カバー9は、オスコネクタ900のグリップ部903及びメスコネクタ950のグリップ部956を保持する2つの保持部(第2主部135、特にその狭幅部135aの対向する側面)を備える。従って、互いに接続されたオスコネクタ900及びメスコネクタ950にカバー9を長期にわたって安定的に装着し続けることができる。
【0126】
図16A及び
図16Bに示した例では、メスコネクタ950のチューブ959は、オスコネクタ900のチューブ909よりも太く、このため狭小部132の対向する側面で保持されている(
図16B参照)。即ち、本例のカバー9は、チューブ959を保持する保持部(狭小部132の対向する側面)をも備えている。これは、互いに接続されたオスコネクタ900及びメスコネクタ950にカバー9を長期にわたって安定的に装着するのに有利である。
【0127】
上記の例とは異なり、カバー9の凹部30iは、メスコネクタ950及びそのチューブ959の一方又は両方を保持しなくてもよい。この場合であっても、凹部30iは少なくともオスコネクタ900を保持するので、互いに接続されたオスコネクタ900及びメスコネクタ950にカバー9を長期にわたって安定的に装着し続けることができる。
【0128】
図16Bの状態において、オスコネクタ900及びメスコネクタ950を凹部30iからの取り出しは、第1主部134の側面とオス本体部901との間の隙間に指を入れることにより容易に行うことができる。
【0129】
オスコネクタ900及びメスコネクタ950を、その位置を
図16A及び
図16Bとは反転して凹部30iに挿入することもでき、その場合も上記と同様の効果を奏する。
【0130】
実施形態1〜8のカバー1〜8の凹部30a〜30hは、メスコネクタ950が接続されていないオスコネクタ900単体を収納することができるように構成されていた。これに対して、本実施形態9のカバー9の凹部30iには、オスコネクタ900単体(
図15参照)、及び、メスコネクタ950を接続したオスコネクタ900(
図16B参照)のいずれをも収納することができる。従って、経腸栄養法を行わない場合には、オス本体部901にキャップ905を装着した状態のオスコネクタ900にカバー9を装着することができ、経腸栄養法を行っている場合には、オスコネクタ900とメスコネクタ950とを接続した状態でこれらにカバー9を装着することができる。このため、本実施形態9によれば、更に、経腸栄養法を行っている場合に、オスコネクタ900及びメスコネクタ950が患者の下敷きになることによって患者が感じる痛みを軽減することができ、また、看護師や介護者等はカバー9が装着されたオスコネクタ900及びメスコネクタ950の所在を容易に見つけることができる。
【0131】
本実施形態9の凹部は、オスコネクタ900単体、及び、互いに接続されたオスコネクタ900及びメスコネクタ950のいずれをも収納することができれば、その構成は、上記の例に限定されない。例えば、凹部が、その長手方向の中央に対して両側に、実施形態1〜3,5〜8で説明した任意の凹部をそれぞれ配置したのと概略同じ形状を有していてもよい。凹部の形状は、その長手方向の中央に対して対称である必要はない。例えば、凹部が、その長手方向の中央に対して一方の側に実施形態1〜8で説明した任意の凹部が配置され、他方の側に、前記一方の側の凹部とは異なる任意の凹部が配置されたのと概略同じ形状を有していてもよい。また、凹部の長手方向の中央に対して一方の側をオスコネクタ900に対応するように、また、他方の側をメスコネクタ950に対応するように、凹部が非対称に構成されていてもよい。
【0132】
本実施形態9は、上記を除いて実施形態1〜8と同じである。実施形態1〜8の説明が本実施形態9に適宜適用されうる。
【0133】
(実施形態10)
図17は、本発明の実施形態10にかかるカバー10の斜視図である。実施形態1〜9では、オスコネクタ900を収納することができる凹部30a〜30iは、カバー1〜9の外表面(上面21)よりも後退した窪みによって構成されていた。これに対して、本実施形態10の凹部30jは、カバー10の平坦な外表面(上面21)に立設された一対の壁310の間に設けられる。壁310は、平坦な板状物であり、上面21に対して略垂直に、上方に向かって突出している。一対の壁310は、互いに対向し且つ平行である。実施形態1の凹部30aと同様に、凹部30jは、互いに対向する一対の側面303(
図17では、一方の側面303は見えない)と、一対の側面303をつなぐ底面304とで規定される。側面303は、一対の壁310の互いに対向する面(内側面)である。底面304は、上面21のうち一対の壁310間の領域に相当する。
【0134】
図18は、オスコネクタ900にカバー10を装着した状態を示した斜視図である。凹部30jに、キャップ905が装着されたオスコネクタ900(
図1B参照)が収納されている。凹部30jの幅は、オスコネクタ900の外筒913の外径とほぼ同じか、これより小さく設定されている。このため、凹部30jの対向する一対の側面303が、オスコネクタ900の外筒913を保持している。このように、本実施形態10のカバー10は、オスコネクタ900を保持する保持部(一対の側面303)を備える。従って、カバー10は、重力や振動等によってオスコネクタ900から簡単に脱落することはない。
【0135】
本実施形態10では、カバー10の外表面21に立設した一対の壁310の間に凹部30jを設けた。これは、少ない材料でカバー10を構成することができるので、カバー10の軽量化と低コスト化に有利である。カバー10の一対の壁310よりも外側の部分は、相対的に薄肉化できる。カバー10が変形容易な軟質材料からなる場合には、この薄肉化された部分は容易に変形可能であるので、カバー10を装着したコネクタ900が患者の下敷きになった場合に、患者が感じる痛みを軽減し、褥瘡が発生する可能性を低減するのに有利である。
【0136】
本実施形態10では、凹部30jの長手方向の両端は、凹部30jの長手方向に沿って開放された開放端301である。これは、以下の2点で有利である。
【0137】
第1に、チューブ909を2つの開放端301のいずれからでも導出することができる。このため、オスコネクタ900にカバー10を装着する際にカバー10の向きを考慮する必要がなくなるので、カバー10の装着作業を迅速に行うことができる。
【0138】
第2に、カバー10が変形容易な軟質材料からなる場合には、一対の壁310の間隔が拡大するように底面304の部分を曲げ変形させることができる。このようにカバー10を曲げ変形させることにより、オスコネクタ900を凹部30jから容易に取り出すことができる。
【0139】
上記の例では、溝状の凹部30jの両端は開放端301であったが、一対の壁310の一端同士を連結することによって、溝状の凹部30aの長手方向の一端を閉鎖端としてもよい。
【0140】
上記の例では、一対の壁310が設けられたカバー10の外表面(上面21)は平坦であったが、一対の壁301が曲面(凸曲面または凹曲面)に設けられていてもよい。
【0141】
本実施形態10は、上記を除いて実施形態1と同じである。実施形態1の説明が本実施形態10に適宜適用されうる。
【0142】
本実施形態10の、上面21に立設された対向する壁310を、実施形態2〜9のカバー2〜9に適用してもよい。この場合、実施形態2〜9で説明した凹部を規定する側面と同様に壁310の側面303を構成するすることができる。対向する壁310が2組以上設けられてもよい。例えば、オスコネクタ900を収納するための凹部を構成する一対の第1壁と、チューブ909を収納することができるように構成された一対の第2壁とが、互いに独立して設けられてもよい。前記一対の第1壁が、オス本体部901を収納するための一対の壁と、グリップ部903を収納するための一対の壁とに更に分割されていてもよい。
【0143】
上記の実施形態1〜10は例示に過ぎない。本発明は、上記の実施形態1〜10に限定されず、適宜変更することができる。
【0144】
実施形態1〜10では、凹部はカバーの上面に設けられていたが、凹部が設けられる面はこれに限定されない。例えば、凹部は、カバーの下面に設けられてもよい。また、凹部は、カバーの最も大きな面積を有する面に設けられている必要はなく、例えばカバーの側面に設けられていてもよい。凹部が設けられる面は平坦面である必要はなく、例えば任意の曲面(凸曲面または凹曲面)に凹部が設けられていてもよい。
【0145】
実施形態1〜8,10のカバー1〜8,10は陸上競技場のトラック形状と概略同じ平面視形状を有し、実施形態9のカバー9には熊を模したキャラクタが付されていたが、カバーの形状は、これらに限定されず、任意に設定できる。カバーは、例えばラグビーボールのような任意の立体形状を有していてもよい。
【0146】
凹部(特に保持部)の幅は、凹部の深さ方向において変化していてもよい。例えば、凹部(保持部)の幅が、凹部の最も浅い位置又はその近傍において狭くなっていてもよい。この幅が狭い箇所は、凹部に収納されたオスコネクタ又はチューブがこの箇所を通過するのを阻止するように機能するので、カバーがオスコネクタから意図せずに分離してしまう可能性を低減するのに有利である。
【0147】
カバーに、互いに独立した2つ以上の凹部が設けられていてもよい。例えば、規格が異なる複数種類のオスコネクタに対応するように、寸法や形状が異なる複数の凹部をカバーに設けることができる。これにより、共通するカバーを、規格が異なるオスコネクタに装着することができる。
【0148】
上記の実施形態では、カバーが装着されるコネクタは、ISO80369−3に準拠したオス本体部901を備えたオスコネクタ900であったが、本発明はこれに限定されない。コネクタは、ISO80369−3に準拠しない任意のオスコネクタであってもよい。あるいは、コネクタは、メスコネクタ(例えばISO80369−3に準拠したメスコネクタまたはこれ以外の任意のメスコネクタ)であってもよい。コネクタが、キャップ905、タブ906、バンド907、リング908を備えていなくてもよい。