(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のとおり近年ではスズフリー安定剤が要求されているが、性能面でスズ系安定剤に並ぶものはこれまでに開発されていないのが現状である。安定剤としては、例えば、バリウム亜鉛系安定剤(Ba/Zn系安定剤)やカルシウム亜鉛系安定剤(Ca/Zn系安定剤)が知られているものの、これらを塩素含有樹脂に使用しても耐熱性が充分とはならないため、厳しい成型条件で加工を行うことができない。また、過塩基性のバリウム塩は、耐熱性安定剤として知られているものの、透明性及び色調の点で課題がある。このように従来の安定剤を塩素含有樹脂に使用した場合、樹脂組成物の耐熱性を向上することができても透明性及び色調を大幅に損ないやすく、逆に透明性や色調を向上させると耐熱性が大幅に低下するため、成形品において高透明性と高耐熱性とを両立することができなかった。
【0007】
特許文献1に記載の安定剤は、特に耐熱性が充分ではなく、この点に課題があった。また、特許文献2に記載の安定剤組成物は、同文献〔0071〕に記載のとおり壁紙や床等の内装材用途に好適なものであるが、これらの用途では通常、透明性は要求されない。それゆえ、成形品の透明性向上という課題が認識されていないといえ、耐熱性とともに透明性にも優れる成形品を得るための工夫の余地があった。
【0008】
本発明は、上記現状に鑑み、塩素含有樹脂に用いた場合に、透明性及び耐熱性のいずれにも優れる成形品を与えることができ、かつスズフリー安定剤として有用な液状の安定剤を提供することを目的とする。また、この安定剤を用いた塩素含有樹脂組成物及び成形体を提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、塩素含有樹脂用の安定剤について種々検討するうち、トルイル酸亜鉛と過塩基性バリウム塩とを所定量含む液状の安定剤とすると、成形品において高度な透明性と耐熱性とを両立できることを見いだした。この安定剤は、スズ成分を含まなくとも、従来のスズ系安定剤を用いた場合とほぼ同等以上の透明性及び耐熱性を発揮できるため、スズフリーの安定剤として特に有用である。こうして上記課題をみごとに解決することができることに想到し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち本発明は、トルイル酸亜鉛と過塩基性バリウム塩とを含み、これらの含有量は、該トルイル酸亜鉛と過塩基性バリウム塩との合計量100質量%に対し、トルイル酸亜鉛が1〜50質量%、過塩基性バリウム塩が50〜99質量%である塩素含有樹脂用液状安定剤である。
上記トルイル酸亜鉛は、m−トルイル酸亜鉛であることが好ましい。
【0011】
本発明はまた、上記塩素含有樹脂用液状安定剤と塩素含有樹脂とを含み、該液状安定剤の含有量は、塩素含有樹脂100質量部に対し、トルイル酸亜鉛と過塩基性バリウム塩との合計量として0.1〜10質量部である塩素含有樹脂組成物でもある。
上記塩素含有樹脂組成物は、更に、可塑剤を、前記塩素含有樹脂100質量部に対し、0質量部を超えて50質量部以下含むことが好ましい。可塑剤は、フタル酸エステル、アジピン酸アルキルエステル、非フタル酸系可塑剤及びエポキシ化植物油からなる群より選択される少なくとも1種であることが好適である。
【0012】
本発明は更に、上記塩素含有樹脂組成物を用いてなる成形体でもある。
上記成形体は、透明成形体であることが好ましい。
上記成形体はまた、板状、フィルム状又はシート状であることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の塩素含有樹脂用液状安定剤は、塩素含有樹脂に用いた場合に、透明性及び耐熱性のいずれにも優れる成形品を与えることができるもので、塩素含有樹脂由来の各種物性に優れる成形品を、外観を低下させることなく容易かつ簡便に与えることができる。得られる成形品はまた、初期着色が小さいため、鮮やかな色調を奏することもできる。このような安定剤は、従来のスズ系安定剤を用いた場合とほぼ同等以上の透明性及び耐熱性を発揮できるため、スズフリーの安定剤として特に有用である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の好ましい形態について具体的に説明するが、本発明は以下の記載のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。
【0016】
1、塩素含有樹脂用液状安定剤
本発明の塩素含有樹脂用液状安定剤(単に「安定剤」とも称す)は、トルイル酸亜鉛と過塩基性バリウム塩とを含む。必要に応じて更に他の成分を含んでもよく、各含有成分はそれぞれ1種又は2種以上であってもよい。
ここで、「液状」とは、0〜35℃の任意の温度で液状であることを意味する。
【0017】
−トルイル酸亜鉛−
トルイル酸亜鉛としては、o−、p−、m−のいずれも好ましく使用することができるが、透明性を更に高める観点から、m−トルイル酸亜鉛(メタトルイル酸亜鉛とも称す)が好適である。
【0018】
−過塩基性バリウム塩−
過塩基性バリウム塩としては特に限定されないが、例えば、過塩基性オレイン酸バリウム塩、過塩基性ネオデカン酸バリウム塩等が挙げられる。具体的には、例えば、AMスタビライザーズ社製のプラスチスタブ2106、プラスチスタブ2116、プラスチスタブ2508、プラスチスタブ2513等が好適である。
【0019】
上記安定剤において、トルイル酸亜鉛及び過塩基性バリウム塩の含有量は、これらの合計量100質量%に対し、トルイル酸亜鉛が1〜50質量%、過塩基性バリウム塩が50〜99質量%である。これにより、塩素含有樹脂に用いた場合に、透明性及び耐熱性のいずれにも優れる成形品を与えることができる。好ましくは、トルイル酸亜鉛が3〜35質量%、過塩基性バリウム塩が65〜97質量%であり、より好ましくは、トルイル酸亜鉛が5〜25質量%、過塩基性バリウム塩が75〜95質量%である。
【0020】
−ホスファイト化合物−
本発明の安定剤は、ホスファイト化合物(亜リン酸エステル化合物とも称す)を更に含むことが好適である。これにより、成形品において透明性や色調、耐候性等の種々の物性がより向上される。
【0021】
ホスファイト化合物としては特に限定されないが、例えば、トリフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ジノニルフェニル)ホスファイト、トリス(モノ、ジ混合ノニルフェニル)ホスファイト、ジフェニルアシッドホスファイト、2,2'−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ジフェニルデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、トリブチルホスファイト、トリ(2−エチルヘキシル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリラウリルホスファイト、ジブチルアシッドホスファイト、ジラウリルアシッドホスファイト、トリラウリルトリチオホスファイト、ビス(ネオペンチルグリコール)・1,4−シクロヘキサンジメチルジホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、フェニル−4,4' −イソプロピリデンジフェノール・ペンタエリスリトールジホスファイト、テトラ(C
12〜15混合アルキル)−4,4' −イソプロピリデンジフェニルジホスファイト、水素化−4,4' −イソプロピリデンジフェノールポリホスファイト、ビス(オクチルフェニル)・ビス〔4,4' −n−ブチリデンビス(2−t−ブチル−5−メチルフェノール)〕・1,6−ヘキサンジオール・ジホスファイト、テトラトリデシル・4,4' −ブチリデンビス(2−t−ブチル−5−メチルフェノール)ジホスファイト、ヘキサ(トリデシル)・1,1,3−トリス(2−メチル−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ブタン・トリホスファイト、9,10−ジハイドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキサイド等が挙げられる。
【0022】
上記安定剤がホスファイト化合物を含む場合、その含有量は特に限定されないが、例えば、トルイル酸亜鉛と過塩基性バリウム塩との合計量100質量部に対し、5〜200質量部とすることが好ましい。これにより、ホスファイト化合物由来の効果をより発揮することが可能になる。より好ましくは10〜100質量部、更に好ましくは20〜60質量部である。
【0023】
本発明の安定剤はまた、必要に応じて他の成分を更に含んでもよい。他の成分としては例えば、溶解剤(溶媒)、可塑剤、βジケトン化合物、滑剤、酸化防止剤、エポキシ化合物、リン酸エステル等が挙げられる。ここで、安定剤の総量100質量%に対し、トルイル酸亜鉛、過塩基性バリウム塩及びホスファイト化合物が占める割合が50質量%以上であることが好適である。より好ましくは70質量%以上である。
【0024】
2、塩素含有樹脂組成物
本発明の塩素含有樹脂組成物(単に「樹脂組成物」とも称す)は、塩素含有樹脂と上述した本発明の安定剤とを含む。必要に応じて更に他の成分を含んでもよく、各含有成分はそれぞれ1種又は2種以上であってもよい。
【0025】
−塩素含有樹脂−
塩素含有樹脂は、塩素原子を含む樹脂(重合体)である限り特に限定されないが、塩化ビニル系樹脂が好ましい。これにより、柔軟性や難燃性に優れる成形体が得られる。
【0026】
塩化ビニル系樹脂としては、例えば、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩素化ポリエチレン等の単独重合体;塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−エチレン共重合体、塩化ビニル−プロピレン共重合体、塩化ビニル−スチレン共重合体、塩化ビニル−イソブチレン共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−ウレタン共重合体、塩化ビニル−アクリル酸エステル共重合体、塩化ビニル−スチレン−無水マレイン酸共重合体、塩化ビニル−スチレン−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−ブタジエン共重合体、塩化ビニル−イソプレン共重合体、塩化ビニル−塩素化プロピレン共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−マレイン酸エステル共重合体、塩化ビニル−メタクリル酸エステル共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−マレイミド共重合体等の共重合体;等が挙げられる。
なお、塩素含有樹脂と塩素非含有樹脂とのブレンド品を使用してもよいし、また塩化ビニル系樹脂を得るための重合方法は特に限定されない。
【0027】
塩化ビニル系樹脂はまた、ペースト塩化ビニル樹脂よりも、ストレート塩化ビニル樹脂であることが好適である。これにより、透明用途により好適なものとなる。
【0028】
−安定剤−
上記樹脂組成物は、上述した本発明の安定剤を含む。その含有量は、塩素含有樹脂100質量部に対し、トルイル酸亜鉛と過塩基性バリウム塩との合計量として0.1〜10質量部である。これにより、耐熱性及び熱安定性が更に向上する。好ましくは、上記合計量として0.2〜8質量部、更に好ましくは0.3〜5質量部である。
【0029】
−可塑剤−
上記樹脂組成物は、必要に応じて可塑剤を更に含んでもよい。
可塑剤として特に限定されないが、例えば、フタル酸エステル、アジピン酸アルキルエステル、非フタル酸系可塑剤及びエポキシ化植物油からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
【0030】
フタル酸エステルとしては例えば、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘプチル、フタル酸ジオクチル(DOP)、テレフタル酸ジ−2−エチルヘキシル(DOTP)、イソフタル酸ジ−2−エチルヘキシル、フタル酸ジイソオクチル、フタル酸ジイソノニル(DINP)、フタル酸ジオクチルデシル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ブチルベンジル等が好適である。
【0031】
アジピン酸アルキルエステルとしては、例えば、アジピン酸ジ−2−エチルヘキシル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ジデシル、アビピン酸ジブチルジグリコール等が好適である。
【0032】
非フタル酸系可塑剤としては、フタル酸エステル骨格を有しない化合物であれば特に限定されるものではないが、例えば、脂肪族環状エステル化合物が好ましく、中でも、脂肪族環を有するジカルボン酸のアルキルエステルが好ましい。アルキル基は、炭素数1〜20であることが好適である。具体的には、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジイソノニルエステル等が挙げられる。
【0033】
エポキシ化植物油としては、例えば、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、エポキシ化ヒマシ油等が挙げられる。中でも、エポキシ化大豆油が好ましい。
【0034】
上記可塑剤の含有量は特に限定されないが、例えば、塩素含有樹脂100質量部に対し0〜50質量部とすることが好ましい。含有量が0質量部であるとは、可塑剤を含まないことを意味する。可塑剤を含む場合、その含有量は、0質量部を超えて、50質量部以下であることが好ましい。より好ましくは5〜50質量部であることが好適である。なお本発明では、可塑剤を含まない形態も好適である。
ここで、一般には、可塑剤の含有量が少ない樹脂組成物ほど、透明性及び初期着色性が低下することが知られている。だが本発明では、このような技術常識に反して、可塑剤の含有量が上記のような少量であっても又は可塑剤を含まない場合であっても、高度な透明性及び初期着色性を発揮することができる。
【0035】
−その他の成分−
上記樹脂組成物はまた、必要に応じてその他の成分を含んでもよい。例えば、強化剤、加工助剤(好ましくはアクリル系加工助剤)、充填剤、β−ジケトン化合物、耐熱助剤、ワックス、滑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、架橋助剤、顔料等の各種添加剤が挙げられ、塩素含有樹脂の成形体用途で通常用いられる成分を使用することができる。
【0036】
上記樹脂組成物を得る方法は特に限定されず、塩素含有樹脂、安定剤及び必要に応じて使用される任意成分を混合すればよい。混合方法も特に限定されず、例えば、ヘンシェルミキサーやスーパーミキサーで混合し、得られた混合物をロール、バンバリーミキサー、押出機等を用いて均一に混練することが好適である。
【0037】
上記樹脂組成物は、高透明性と高耐熱性とを両立することができ、しかも塩素含有樹脂由来の各種物性に優れる成形品を、外観を低下させることなく与えることができる。それゆえ、成形体用途に特に有用である。
【0038】
3、成形体
本発明の成形体は、上述した本発明の塩素含有樹脂組成物を用いてなるものである。すなわち上記塩素含有樹脂組成物の成形体である。それゆえ、透明性に特に優れる。従って、本発明の成形体は、透明成形体であることが好適である。
【0039】
成形体の形状は特に限定されず、板状、シート状、フィルム状、膜状等の平面形状の他、ひも状、棒状、ペレット状、管状等のその他の形状が挙げられる。中でも、取扱性等の観点から、板状、フィルム状又はシート状であることが好適である。また、成形体として具体的には、各種フィルム、電線、パイプ、樹脂窓枠等が好適である。
【0040】
成形(成型とも称す)方法も限定されず、押出成型、射出成型、ロール成形、ディップ成型、ブロー成型等が挙げられる。なお、上記成形体は、押出成型により得られる成形体(押出成型体)であることが好適である。押出成型(押出成形)は、押出成形機を用いて行うことが好ましいが、この方法によれば、各種物性に優れる成形体を作業性よく、容易かつ簡便に、収率良く与えることができる。
【0041】
上記成形体(特に、板状、フィルム状又はシート状の成形体)は、1mm厚での全光線透過率が85%以上であることが好適である。より好ましくは90%以上である。また、1mm厚でのヘイズが20%以下であることが好ましい。より好ましくは15%以下、更に好ましくは10%以下、特に好ましくは5%以下である。
本明細書中、全光線透過率は、成形体を透過する全ての光の割合であり、ヘイズは、全光線透過光中の拡散透過光の割合である。具体的には、後述する実施例に記載の方法によりヘイズ値を測定することができ、100%からこのヘイズ値を差し引くことで、全光線透過率を求めることができる。
【実施例】
【0042】
本発明を詳細に説明するために以下に具体例を挙げるが、本発明はこれらの例のみに限定されるものではない。なお、各特性の測定方法は以下の通りである。
【0043】
1、静的耐熱性
実施例及び比較例で得られた各シートを200℃のギヤオーブン中で80分まで老化させて、黒化時間を評価した。結果を表1に示す。また、比較例1、比較例2、実施例2の各シートの経時変化を、それぞれ
図1(a)、(b)、(c)に示す。
【0044】
2、透明性(ヘイズ)
実施例及び比較例で得られた各シートを、長さ50mm×幅50mmに裁断し、これを4枚重ね合わせ、電熱プレス機(東洋精機製作所製)にて190℃×10分プレスし1mm厚さの試験片を作成した。この試験片を目視にて透明性を判定した。判定の指標は、比較例1のスズ安定剤を〇とし、やや曇っている場合を△、曇っている場合を×とした。結果を表1に示す。また、比較例1、比較例2、実施例2の各シートから得た試験片を、それぞれ
図2(a)、(b)、(c)に示す。実施例2、比較例1の各シートから得た試験片については、日本電色工業社製の測定機器(Haze Meter NDH4000)にてヘイズ値も測定した。結果を表1に示す。
【0045】
3、初期着色性
上記「2、透明性」試験で得られた各試験片を、色差計(東京電色製)にて、色度を測定した。b値によって着色度合を判定した。この数値が低いほど、初期着色性が良好であることを示す。結果を表1に示す。
【0046】
実施例1
メタトルイル酸亜鉛(堺化学工業社製)を0.2質量部、過塩基性バリウム塩(AMスタビライザーズ社製、プラスチスタブ2513)を3.0質量部、ジフェニルデシルホスファイト(城北化学工業社製、JPM−311)1.0質量部を混合し、更に、溶媒としてAFソルベント4号(JXエネルギー社製)を0.7質量部、βジケトン化合物としてDBM(油脂製品社製)0.1質量部を加え、混合して液状安定剤を作成した。ポリ塩化ビニル樹脂(新第一塩ビ社製、ZEST1000Z)100質量部に、アクリル系加工助剤(カネカ社製、カネエース(R)B−513)8部、更に前記液状安定剤の全量を加えて混合し、塩化ビニル樹脂組成物を調製した。
上記のようにして得られた塩化ビニル樹脂組成物を、180℃のテストロールで5分間混練し、厚さ400μmのシートに成形した。得られたシートを上記の評価に供した。
【0047】
実施例2〜7、比較例1〜6
塩化ビニル樹脂組成物の配合が表1となるようにした以外は、実施例1と同様に塩化ビニル樹脂組成物を調製し、厚さ400μmのシートをそれぞれ成型した。
表1中、ジオクチルスズとは、堺化学工業社製の製品(KS−273M)である。
【0048】
【表1】
【0049】
実施例8
メタトルイル酸亜鉛(堺化学工業社製)を0.2質量部、過塩基性バリウム塩(AMスタビライザーズ社製、プラスチスタブ2513)を1.5質量部、ジフェニルデシルホスファイト(城北化学工業社製、JPM−311)1.0質量部を混合し、更に、溶媒としてAFソルベント4号(JXエネルギー社製)を0.4質量部、βジケトン化合物としてDBM(油脂製品社製)0.1質量部を加え、混合して液状安定剤を作成した。ポリ塩化ビニル樹脂(新第一塩ビ社製、ZEST1000Z)100質量部に、可塑剤(ジェイプラス社製、DOP(フタル酸ジオクチル))40質量部、エポキシ化大豆油(堺化学工業社製、インブラフレックスA−6)1質量部、更に前記液状安定剤の全量を加えて混合し、塩化ビニル樹脂組成物を調製した。
上記のようにして得られた塩化ビニル樹脂組成物を、170℃のテストロールで5分間混練し、厚さ400μmのシートに成形した。得られたシートを上記の評価に供した。
【0050】
実施例9、比較例7〜10
塩化ビニル樹脂組成物の配合が表2となるようにした以外は、実施例8と同様に塩化ビニル樹脂組成物を調製し、厚さ400μmのシートをそれぞれ成型した。
表2中、DINP(フタル酸ジイソノニル)とは、ジェイプラス社製の可塑剤である。
【0051】
【表2】
【0052】
実施例及び比較例より、以下の事項を確認した。
実施例1〜7は、トルイル酸亜鉛と過塩基性バリウム塩とを含み、これらの含有量が、該トルイル酸亜鉛と過塩基性バリウム塩との合計量100質量%に対し、トルイル酸亜鉛が1〜50質量%、過塩基性バリウム塩が50〜99質量%であるという本発明の液状安定剤を使用した例である。一方、比較例1は、従来のスズ系安定剤を使用した例であるが、実施例1〜7で得たシートは、比較例1と同等以上の高い耐熱性及び透明性を有し、しかも初期着色性にも優れることが分かった(表1、
図1、2参照)。一方、従来のBa/Zn系安定剤を用いた比較例2や、トルイル酸亜鉛又は過塩基性バリウム塩のいずれかを含まない安定剤を用いた比較例3、4、トルイル酸亜鉛及び過塩基性バリウム塩を含む安定剤であってもこれらの含有量が本発明で規定された上記範囲を満たさない比較例5、6では、耐熱性及び/又は透明性が劣り、本発明の液状安定剤を用いた実施例1〜7とは著しい差異が確認できる。また初期着色性も良好でない。実施例8、9、比較例7〜10は可塑剤を使用した例であるが、可塑剤を使用した例においても、上記と同様の結果が得られている(表2参照)。なお、実施例8、比較例7〜9は可塑剤としてDOPを使用し、実施例9、比較例10は可塑剤としてDINPを使用した。
従って、トルイル酸亜鉛と過塩基性バリウム塩とを含み、これらの含有量がそれぞれ上記範囲内にある構成の液状安定剤であることによって初めて、スズフリーである場合にも、透明性及び耐熱性のいずれにも優れ、初期着色性も良好な成形品を与えることができることが分かった。