(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6878856
(24)【登録日】2021年5月7日
(45)【発行日】2021年6月2日
(54)【発明の名称】ボイラ及びボイラの薬液注入方法
(51)【国際特許分類】
F22B 37/52 20060101AFI20210524BHJP
C02F 1/00 20060101ALI20210524BHJP
C02F 5/00 20060101ALI20210524BHJP
【FI】
F22B37/52 B
C02F1/00 K
C02F5/00 610F
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-234758(P2016-234758)
(22)【出願日】2016年12月2日
(65)【公開番号】特開2018-91543(P2018-91543A)
(43)【公開日】2018年6月14日
【審査請求日】2019年10月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000175272
【氏名又は名称】三浦工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】新藤 貴志
【審査官】
岩▲崎▼ 則昌
(56)【参考文献】
【文献】
特開2015−161494(JP,A)
【文献】
特開2004−321860(JP,A)
【文献】
特開2001−321778(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F22B 37/52
C02F 1/00
C02F 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボイラを制御する制御手段と、前記ボイラに給水を行う給水手段と、前記給水に薬液を注入する薬液注入手段とを備えたボイラであって、
前記給水手段は給水ポンプ及び給水ラインを備え、前記薬液注入手段は前記給水ラインの所定位置に薬注を行うよう構成されており、
前記薬液注入手段は、薬注タンクと、薬注ポンプと、前記所定位置の上流及び下流の電気伝導度をそれぞれ計測する2つの電極棒とを備え、
前記制御手段は、前記給水手段による給水量に応じて薬注量信号を生成して前記薬注ポンプを駆動するとともに、
前記薬注ポンプの所定ストローク数又は所定回転数あたりに注入されるべき薬注量の予め定めた許容量と、前記2つの電極棒により計測される2つの電気伝導度の差から算出される前記薬注タンク内の前記所定ストローク数又は前記所定回転数あたりの薬液の変化量とを比較し、当該変化量が前記許容量を超過した場合に異常を通知する、ボイラ。
【請求項2】
前記給水ポンプは、前記所定位置よりも下流側に配置され、
前記所定位置の下流の電気伝導度を計測する電極棒は、前記給水ポンプよりも下流側に配置される、請求項1に記載のボイラ。
【請求項3】
前記薬注タンクの重量を計測する重量センサをさらに備え、
前記重量センサの計測値から前記薬注タンク内の薬液の前記所定ストローク数又は前記所定回転数あたりの減少量を算出して第1の現実薬注量とし、且つ、前記2つの電極棒により計測される2つの電気伝導度の差から前記薬注タンク内の薬液の前記所定ストローク数又は前記所定回転数あたりの減少量を算出して第2の現実薬注量として、
前記許容量と、前記第1の現実薬注量及び前記第2の現実薬注量とを比較し、前記第1の現実薬注量及び前記第2の現実薬注量の少なくとも一方が前記許容量を超過した場合に異常を通知する、請求項1又は請求項2に記載のボイラ。
【請求項4】
給水ラインを備えた給水手段による給水量に応じて薬注量信号を生成して薬注ポンプを駆動し、薬注タンク内の薬液を前記給水ラインの所定位置に注入するとともに、前記所定位置の上流及び下流の電気伝導度をそれぞれ計測する2つの電極棒により計測される2つの電気伝導度の差から前記薬注タンク内の薬液の所定ストローク数又は所定回転数あたりの変化量を算出し、前記薬注ポンプの前記所定ストローク数又は前記所定回転数あたりに注入されるべき薬注量の予め定めた許容量と、前記変化量とを比較し、当該変化量が前記許容量を超過した場合に異常を通知する、ボイラの薬液注入方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、薬液注入手段を備えたボイラに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ボイラ内の水の水質を改善するために、ボイラの給水ラインに対して酸化剤や凝集剤等の薬液を注入することが行われている。薬注タンクに貯留された薬液は、薬注ポンプにより薬液注入ラインを介して注入される。例えば、特許文献1に記載のボイラは、管路(給水ライン)内を流れる流体の流量に応じて、薬注ポンプからの吐出薬液を比例制御する薬液注入手段を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平09−264507号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のボイラでは、初期運転時に薬液添加量を設定した後、薬液が適切に注入されているかを検知する手段がなく、薬注ポンプの動作不良や薬液注入ラインの閉塞等により、適切な量の薬液が注入されないままボイラの運転が継続するおそれがあった。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、薬液注入量の異常を検知し、常に適切な量の薬液を注入することができるボイラを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、ボイラを制御する制御手段と、前記ボイラに給水を行う給水手段と、前記給水に薬液を注入する薬液注入手段とを備えたボイラであって、前記薬液注入手段は、薬液タンクと、薬注ポンプと、前記薬液タンク内の薬液量を計測する薬液計測手段とを備え、前記制御手段は、前記給水手段による給水量に応じて薬注量信号を生成して前記薬注ポンプを駆動するとともに、前記薬注ポンプの所定ストローク数又は所定回転数あたりに注入されるべき薬注量の予め定めた許容量と、前記薬液計測手段により計測された前記薬液タンク内の上記所定ストローク数又は上記所定回転数あたりの薬液の変化量とを比較し、当該変化量が前記許容量を超過した場合に異常を通知する、ボイラが提供される。
【0007】
本発明によれば、薬液計測手段により薬液タンク内の薬液量を計測して、薬液タンク内の薬液の変化量が、薬注ポンプの同一ストローク数/回転数あたりに注入されるべき薬注量の許容量を超過した場合に制御手段が異常を通知することで、常に適切な量の薬液を注入することができる。
【0008】
以下、本発明の種々の実施形態を例示する。以下に示す実施形態は互いに組み合わせ可能である。
【0009】
好ましくは、前記給水手段は給水ポンプ及び給水ラインを備え、前記薬液注入手段は前記給水ラインの所定位置に薬注を行うよう構成されており、前記薬液計測手段は、前記所定位置の上流及び下流の電気伝導度をそれぞれ計測する2組の電極棒を備え、2つの電気伝導度の差に基づいて前記薬液の変化量を計測する。
【0010】
好ましくは、前記給水ポンプは、前記所定位置よりも下流側に配置される。
【0011】
好ましくは、前記薬液計測手段は重量センサを備え、当該重量センサは前記薬液の変化量を計測する。
【0012】
また、本発明によれば、給水手段による給水量に応じて薬注量信号を生成して薬注ポンプを駆動し、薬液を注入するとともに、前記薬注ポンプの所定ストローク数又は所定回転数あたりに注入されるべき薬注量の予め定めた許容量と、前記薬液計測手段により計測された前記薬液タンク内の上記所定ストローク数又は上記所定回転数あたりの薬液の変化量とを比較し、当該変化量が前記許容量を超過した場合に異常を通知する、ボイラの薬液注入方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の第1実施形態に係るボイラの概略構成を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。また、各特徴について独立して発明が成立する。
【0015】
<ボイラの構成>
本発明の実施形態に係るボイラ1は、
図1に示すように、略環状の上部ヘッダ2及び下部ヘッダ3を複数本の水管4で連結して構成した缶体5を備える。上部ヘッダ2の上部には、水管4を加熱するバーナ6が設置され、このバーナ6には、電磁弁7が設けられた燃料供給ライン8と、燃焼用空気を供給する送風機(図示せず)が接続される。また、上部ヘッダ2には蒸気弁9を備えた蒸気流出管10が接続され、水管4内で発生した蒸気は蒸気流出管10を介して各機器に供給される。
【0016】
一方、下部ヘッダ3には、流量計11、逆止弁12及び給水ポンプ13が接続された給水ライン14と、排水弁15を備えた排水ライン16が接続される。給水ライン14は、給水タンクTに貯留された水を下部ヘッダ3へと導入する。ここで、本実施形態では、流量計11,逆止弁12、給水ポンプ13、給水ライン14及び給水タンクTにより、特許請求の範囲の「給水手段」が構成される。また、給水ライン14には、薬液を注入する薬液注入手段20が接続される。薬液注入手段20の具体的な構成については後述する。なお、流量計11に代えて流速計を配置してもよく、この場合、流速と管路の断面積から流量を算出することができる。
【0017】
加えて、本実施形態に係るボイラ1は、上述した電磁弁7の開閉制御や送風機、給水ポンプ13等の駆動制御によりボイラ1の燃焼制御を行う制御手段30を備えている。本実施形態において、給水ポンプ13は、缶体5内の水位に応じてON/OFF制御されるが、インバータ制御により運転するものであってもよく、給水ポンプ13の制御方式は特に限定されない。この制御手段30は、薬液注入手段20の制御も行う。
【0018】
<薬液注入手段の構成>
次に、薬液注入手段20の構成について説明する。ここで、本実施形態において、薬液とは、ボイラ1の水管内の腐食を防止する腐食防止剤のほか、スケール防止剤、分散剤、微生物コントロール剤などの水処理薬品を指し、ボイラ1内の水質を改善するために使用される任意の薬品を含むこととする。
【0019】
薬液注入手段20は、
図1に示すように、逆止弁21を介して給水ライン14と接続される薬注ライン22と、薬注ポンプ23と、薬注タンク24と、薬液計測手段としての重量センサ25及び二組の電極棒26a,26b(図面では便宜上矢印で表現している)とを備える。なお、本実施形態においては、薬注ライン22は給水ポンプ13よりも上流側の接続位置C(特許請求の範囲における所定位置)において給水ライン14と接続される。この構成により、給水と薬液とが混合された後に給水ポンプ13を通過するため、給水と薬液が混ざりやすくなる。ただし、薬注ライン22が給水ポンプ13の下流側に接続される構成としてもよい。
【0020】
薬注ポンプ23は、薬注タンク24内の薬液を給水ライン14に送り出すポンプであり、本実施形態においてはダイヤフラムポンプが用いられる。この薬注ポンプ23は、制御手段30からの薬注量信号に応じてダイアフラムを往復させ、薬液を吐出する。薬注ポンプ23の薬注量は、ダイヤフラムのストローク数によってカウントされる。なお、薬注ポンプとしては、プランジャーポン
プ、軸ねじポンプ、ギヤポンプなどの他の容積型ポンプとしても良い。軸ねじポンプ又はギヤポンプを用いる場合は、薬注量は軸ねじ又はギヤの回転数によりカウントされる。
【0021】
また、薬注タンク24は、薬液を貯留するタンクであり、その重量は重量センサ25によって計測されていて、薬注タンク24内の薬液量が常にわかるようになっている。
【0022】
電極棒26a,26bは、給水ライン14上の設置した位置における給水の電気伝導度を検出するものであり、二組の電極棒26a,26bのうち一方の電極棒26aは接続位置Cの上流側、他方の電極棒26bは接続位置Cの下流側に設けられる。なお、電極棒26aは接続位置Cの上流側であれば、給水タンクTの内部に設けても良い。
【0023】
<薬液注入手段の動作>
次に、以上のような構成の薬液注入手段20の、制御手段30の制御による動作を説明する。
【0024】
制御手段30は、給水ポンプ13と薬注ポンプ23とを同期させて、すなわち給水ポンプ13の給水量に応じて薬注ポンプ23を駆動させて、給水ライン14に薬液を注入する。具体的には、制御手
段30は、流量計11により検出される流量信号に対して比例係数を乗じて薬注量信号を生成し、この薬注量信号に基づいて薬注ポンプ23を駆動することにより、比例制御を行う。これにより、給水ポンプ13の給水量が変化しても、缶体5へ給水される水には常に適切な割合の薬液が混合され、ボイラ1内の水質を保つことが可能となっている。ここで、薬注量信号により駆動する薬注ポンプ23の所定ストローク数(例えば、10ストローク。ただし、1ストローク毎としてもよく、10ストロークより多くても良い)あたりに注入されるべき薬注量を想定薬注量Deとする。
【0025】
また、制御手段30は、上記比例制御中に、薬注ポンプ23の想定薬注量Deと比較した時の薬注タンク24内の薬液の変化量(減少量)が予め定めた許容量を超過した場合に異常を通知する機能を有している。本実施形態において、この機能は重量センサ25による薬注タンク24の重量の計測と、電極棒26a,26bによる給水ライン14上の接続位置C前後の電気伝導度の計測とにより実現される。
【0026】
具体的には、まず制御手段30は、缶体5への給水開始前に、薬注ポンプ23の所定ストローク数あたりの想定薬液量Deの上限L1と下限L2の許容量(例えば、±10%)を予め記憶しておく。その後、給水及び薬液注入の比例制御を開始し、重量センサ25の計測値から上記所定ストロークあたりの薬注タンク24内の薬液の減少量を算出する。制御手段30はまた、比例制御の開始後、電極棒26a及び電極棒26bにより、接続位置Cの上流側の電気伝導度と接続位置Cの下流側の電気伝導度を取得し、これらの電気伝導度の差からも、薬注タンク24内の薬液の減少量を算出する。ここで、重量センサ25の計測値から算出される薬注タンク24内の薬液の減少量を現実薬注量Dr1、電極棒26a,26bの計測値から算出される薬注タンク24内の薬液の減少量を現実薬注量Dr2とし、これら現実薬注量Dr1,Dr2
を実際に注入された薬液量とみなして、この現実薬注量Dr1及びDr2が想定薬液量Deの上限L1と下限L2の間にあるかどうかを継続的に判定する。
【0027】
そして、判定により、現実薬注量Dr1及びDr2がともに上限L1と下限L2の間にあれば、制御手段30は、適切に薬液注入が行われていると判断して、薬注ポンプ23の比例制御を継続する。一方、現実薬注量Dr1及びDr2の少なくとも一方が上限L1と下限L2の間から外れる、すなわち、許容量を超過したと推定される場合には、制御手段30は、異常を通知する(アラームを発生させる)ようになっている。
【0028】
なお、上記では、異常を通知する機能は、比例制御中、つまり給水中に動作するものとして説明したが、非給水時であっても、薬注ポンプ23を動作させ、薬注タンク24内の薬液の減少量を計測することで、薬注ライン22、薬注ポンプ23及び薬注タンク24に異常があるかどうかを確認することが可能である。
【0029】
<作用効果>
以上説明した実施形態によれば次の作用効果を奏することができる。
(1)制御手段30は、重量センサ25の計測値及び電極棒26a,26bの計測値から算出される現実薬注量Dr1,Dr2が許容量を超過した場合に異常を通知する機能を有していることから、薬液を安定して注入することができ、薬液注入手段20の異常を即座に検知することができる。
(2)薬液注入手段20が重量センサ25を備えていることから、薬注タンク24内の薬液量が低下した場合に、補充をすべき旨の通知をすることも可能である。
【0030】
なお、本発明は、以下の態様でも実施可能である。
・上記実施形態では、薬液計測手段として、薬注タンク24内の薬液の重量を計測する重量センサ25及び給水ライン14上の接続位置C前後の電気伝導度を計測する電極棒26a,26bの2つにより現実の薬注量(Dr1,Dr2)を算出していたが、重量センサ25又は電極棒26a,26bの一方のみにより現実薬注量を算出する構成としても良い。また、これらに加えて、また、これらに代えて、薬注タンク24の水位を計測する水位計を設けても良い。水位計によっても、薬注タンク24内の薬液量を算出することができる。
【0031】
なお、この発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨の範囲内において種々の変形や変更が可能である。
【符号の説明】
【0032】
1 :ボイラ
2 :上部ヘッダ
3 :下部ヘッダ
4 :水管
5 :缶体
6 :バーナ
7 :電磁弁
8 :燃料供給ライン
9 :蒸気弁
10 :蒸気流出管
11 :流量計
12 :逆止弁
13 :給水ポンプ
14 :給水ライン
15 :排水弁
16 :排水ライン
20 :薬液注入手段
21 :逆止弁
22 :薬注ライン
23 :薬注ポンプ
24 :薬注タンク
25 :重量センサ
26a,26b :電極棒
30 :制御手段
De :想定薬液量
Dr1,Dr2 :現実薬注量
L1 :上限
L2 :下限