(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記液体用包装容器は、前記胴部の幅が80〜300mm、前記胴部の高さが120〜400mmであって、前記底部の折り込み幅が20〜70mmであることを特徴とする、請求項1または請求項2のいずれかに記載の液体用包装容器。
前記プラスチックフィルムを基材とする積層体には、無機化合物の蒸着層、または無機化合物のコーティング層、もしくはその両方からなる、ガスバリア層が含まれていることを特徴とする、請求項1〜請求項3のいずれかに記載の液体用包装容器。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を図を参照しながら、更に詳しい説明を加える。ただし本発明は、ここに示す例にのみ限定されるものではない。本発明は、請求項によって限定されるものである。
【0023】
図1は、本発明に係る液体用包装容器の一実施態様を説明するための、透視および断面模式図である。
【0024】
本発明による液体用包装容器(100)は、自立可能な液体用包装容器であって、胴部(1)、底部(2)、および手押しポンプ(3)から構成される。胴部(1)は筒状の形態で包装容器外周を形成している。
【0025】
胴部(1)は、ヒートシール可能なプラスチックフィルム単体、またはプラスチックフィルムを基材として、少なくとも包装容器内側となる面にはヒートシール可能な層が設けられた、積層体からなる。
【0026】
底部(2)は、ヒートシール可能なプラスチックフィルム単体、またはプラスチックフィルムを基材として、少なくとも包装容器内側となる面にはヒートシール可能な層が設けられた、積層体からなる。
【0027】
底部(2)は、胴部(1)の下部に拡張可能に折り込まれて、ヒートシールされて接続されており、底部(2)を拡張することによって、液体用包装容器(100)は自立することが可能となる。
【0028】
筒状の胴部(1)の上部は、胴部内側同士で接着されて、肩部(14)を形成している。
図1に示す例では、肩部ヒートシール(13)によって肩部(14)が形成されている。
【0029】
手押しポンプ(3)は、肩部(14)の中央部分から包装容器上部に突き出した手押し部分(6)、およびノズル(5)を有し、また胴部(1)の筒状の上端部との接着部分である胴部との接着部分(10)を有し、また包装容器内部で底部の中央部分(11)に到達する吸い上げパイプ(4)を有し、かつそれらが組み合わせられ、接続してなる、プラスチックの成型品である。
【0030】
胴部との接着部分(10)には、手押し部分(6)および吸い上げパイプ(4)が、接着部分に対する固定位置を5〜20mm下方に移動可能とする機構を有する。下方に移動可能とする機構は、たとえば螺子構造であってもよい。
図1に示す例においては、胴部との接着部分(10)の上部に螺子構造(15)を設けてある。
【0031】
また手押しポンプ(3)には、液体用包装容器(100)の内容物液体をくみ上げ、ノズル(5)からの排出を可能にする、ポンプ機構が内蔵されている。また吸い上げパイプ(4)の下方先端は、容器の底部の中央部分(11)から、螺子構造(15)によって下方に移動可能な距離以内、より好ましくは接触寸前の距離にまで接近するよう設けることができる。
【0032】
液体用包装容器(100)の、胴部(1)、および底部(2)、および手押しポンプ(3)は、互いがヒートシールによって接続されて、液体用包装容器(100)を構成することができる。
【0033】
胴部(1)、および底部(2)が、ヒートシール可能なプラスチックフィルムであれば、胴部(1)の内側になる面と、底部(2)の内側になる面とのヒートシールを形成することができ、液体用包装容器(100)の底部(2)の密封が可能になる。
【0034】
同様に、胴部(1)、および底部(2)が、プラスチックフィルムを基材とした積層体であれば、それぞれの容器内側となる面に、ヒートシール可能なシーラント層が設けられることによって、胴部(1)の内側になる面と、底部(2)の内側になる面とのヒートシールを形成することができ、液体用包装容器(100)の底部(2)の密封が可能になる。
【0035】
また、液体用包装容器(100)の、胴部(1)、および手押しポンプ(3)とは、胴部の上部において互いが接着され、接続することができる。すなわち、
図1に示す例において、胴部(1)と、胴部との接着部分(10)とは、胴部とのヒートシール(7)によって接続している。
【0036】
胴部(1)はまた、筒状の上部の端部において、表側胴部と裏側胴部とが、ヒートシールされ上部は、肩部ヒートシール(13)によって密閉される。また表側胴部と裏側胴部とは、胴部側面のヒートシールによって筒状の形態を形成することができる。
【0037】
肩部ヒートシール(13)によって、肩部(14)が形成され、また肩部ヒートシール(13)に連続して、上部中央部の、容器内側になる部分は手押しポンプ(3)の、胴部との接着部分(10)にヒートシールされて、手押しポンプ(3)を固定し、液体用包装容器(100)の上部は密封されている。
【0038】
また、肩部(14)の中央部分から包装容器上部外側に突き出した手押し部分(6)にはノズル(5)が接続しており、手押し部分(6)を手指で下方に押圧して押し下げ、手押ポンプ(3)に内蔵されたポンプ機構によって、ノズル(5)からの内容物の液体の、
液体用包装容器(100)外部への取出しが可能である。
【0039】
手押しポンプ(3)は初期において、手押し部分(6)、および吸い上げパイプ(4)が一番高い位置に固定されているが、胴部との接着部分(10)の上部に設けられた螺子構造(15)は、手押し部分(6)、および吸い上げパイプ(4)を接着部分に対して5〜20mm下方に押し下げて、移動することを可能とする。
【0040】
そのため、内容物の液体が取り出されて、徐々にその液面(9)が下がり、液面(9‘)となり、あるいはさらに下方になって、底部の中央部分(11)に近づいた際にも、手押し部分(6)、および吸い上げパイプ(4)の固定位置を、たとえば螺子機構(15)によって下方に押し下げて移動することによって、吸い上げパイプの吸い込み口(12)を、液面(9‘)より下方に持ってくることが可能であって、液面が下がっても安定した吸い込み、吸い上げを続けることが可能である。
【0041】
さらに、手押し部分(6)および吸い上げパイプ(4)の固定位置が、最大限下方に移動する際には、吸い込み口(12)が底面に到達し、更に底部の中央部分(11)を押し下げるために、底部の液体は、底部の中央部分(11)に集まって液溜まりができ、吸い込み口(12)からの液体の吸い上げが可能である。その結果、液残りをさらに少なくすることが可能である。
【0042】
また本発明における液体用包装容器(100)は、胴部(1)がヒートシール可能なプラスチックフィルム単体、またはプラスチックフィルムを基材とした積層体であるために、プラスチック製のボトルなどに比べてかさばらず、かつ軽量であり、廃棄、焼却などの場面においても、より環境適合型である。
【0043】
図2は本発明に係る液体用包装容器の、手押し部と胴部の接続の一実施態様を、容器内側からみた断面模式図である。
【0044】
この断面図には、手押しポンプ(3)、および胴部(1)の一部を、液体用包装容器(100)内側から、下から上に見た図が示されているのであって、
図2の奥側から、手押し部(6)およびノズル(5)、胴部との接着部分(10)、肩部ヒートシール(13)、吸い上げパイプ(4)である。
【0045】
またここに示す
図2の例においては、胴部との接着部分(10)は、胴部(1)とは、胴部とのヒートシール(7)で接続されているのであって、たとえば胴部との接着部分(10)を、ここで示すような舟形形状とすることができる。この舟形形状によって、ヒートシールによる液体用包装容器(100)の密封を、単なる円形形状より、安定して、強固に保つことができる。
【0046】
図3は、従来の液体用包装容器の手押しポンプ、および本発明に係る液体用包装容器の、手押しポンプの手押し部分、および吸い上げパイプの固定位置の移動を説明するための模式図である。
【0047】
図3において示す図において、(A)は、既存品すなわちボトルタイプの液体用包装容器に用いられている手押しポンプの例である。ここでは、手押しポンプはパーツの位置が固定されているため、吸い上げパイプの位置も固定されており、吸い込み口の位置は常に一定である。
【0048】
図3において示す例において、(B)は、本発明による液体用包装容器(100)に用いられる手押しポンプ(3)の例である。この例は、実際の液体用包装容器(100)に
装着されて内容物が充填された初期の状態である。
【0049】
すなわち胴部との接着部分(10)には螺子構造(15)が設けられており、手押し部分(6)は、螺子構造(15)のために、5〜20mm高い位置になっている。ただしこの状態において、手押し部分(6)の押圧による、内容物液体の取り出しについては、その使い勝手は既存品すなわち(A)と同様である。
【0050】
図3において示す例において、(C)は、本発明による液体用包装容器(100)に用いられている手押しポンプ(3)の例である。この例においては、実際の液体用包装容器(100)に装着され、螺子構造(15)によって、手押し部分(6)および吸い上げパイプ(4)の位置を、若干下方に移動させた状態を示している。
【0051】
ここに示す例では、胴部との接着部分(10)は、上下方向の位置は不変であって、螺子構造(15)を胴部との接着部分(10)に入り込む形で下方に移動させ、手押し部分(6)および吸い上げパイプ(4)の位置を下方に移動させることができる。
【0052】
すなわち、手押し部分(6)および吸い上げパイプ(4)が、矢印(16)に示すように下方に移動し、吸い込み口(12)も下方に到達するために、内容物の液体の、より下方の液残りを吸い込み、吸い上げることが可能である。
【0053】
図3において示す例において、(D)は、本発明による液体用包装容器(100)に用いられている手押しポンプ(3)の例であって、螺子構造(15)によって、手押し部分(6)および吸い上げパイプ(4)の接着部分に対する位置が、5〜20mm下方に移動した状態を示している。
【0054】
ここに示す例においては、胴部との接着部分(10)は、上下方向の位置は不変であって、螺子構造(15)が胴部との接着部分(10)に5〜20mm入り込む形で、手押し部分(6)および吸い上げパイプ(4)の下方への移動が行なわれる。
【0055】
螺子構造(15)による、下方への移動の結果、手押し部分(6)、および吸い上げパイプ(4)は、矢印(17)に示すように5〜20mm下方に移動し、吸い込み口(12)も5〜20mm下方に到達するために、内容物の液体の、より下方の液残りを吸い込み、吸い上げることが可能である。
【0056】
手押し部分(6)および吸い上げパイプ(4)の下方への移動可能な範囲を、5〜20mmとすることで、吸い込み口(12)が液体用包装容器(100)の底部(2)に到達した後、さらに底部(2)を押し下げ、内容物の液体の液溜まりを形成し易くして、その安定した吸い込み、および吸い上げを確実にする。
【0057】
また我々は鋭意検討を重ねた結果、この範囲の下方移動であれば、液体用包装容器(100)、特に底部(2)を破壊したりする恐れはなく、安定した吸い込み、および吸い上げを阻害することがないこと、また液体用包装容器(100)の自立性を大きく損なうことがないことを見出した。
図4は本発明に係る液体用包装容器の、手押しポンプの固定位置の移動と包装容器と底部の関係を説明するための、模式図である。
【0058】
図4において示す図において、(E)は、本発明による液体用包装容器(100)に、手押しポンプ(3)が装着され、内容物が充填されている初期の状態の例である。この例においては、手押しポンプ(3)には螺子構造(15)が設けられており、手押し部分(6)は、螺子構造(15)のために高い位置になっている。
【0059】
また、吸い込み口(12)は底部の中央部分(11)に近接した位置にまで到達している。手押し部分(6)の押圧による、内容物液体の取り出しについては、その使い勝手はボトルタイプの既存品と同様である。
【0060】
また
図4において示す(E)の例において、この段階では液面(9)は、底部の中央部分(11)近くまで達しているため、内容物液体の吸い込み、および吸い上げには、支障をきたす恐れはなく、螺子構造(15)によって、手押し部分、および吸い上げパイプを、図に示す固定位置から下方に移動する必要はない。
【0061】
図4において示す例において、(G)は、本発明による液体用包装容器(100)に手押しポンプ(3)を装着した例であって、螺子構造(15)によって手押し部分(6)、および吸い上げパイプ(4)を、初期の状態から5〜20mm下方に移動した例である。
【0062】
その結果、螺子構造(15)は、胴部との接着部分(10)の中に入り込む状態となり、手押し部分(6)、および吸い上げパイプ(4)が下方に押し下げられる。また吸い込み口(12)は底部(2)に到達して、さらに底部の中央部分(11)を押し下げ、それによって内容物液体の液溜まりを作りやすい状態にすることが可能である。
【0063】
図4において示す例において、(G)においては、液面(9)は底部の中央部分(11)に接近して液溜まりの表面となっているが、吸い込み口(12)は液面(9)のさらに下に移動しているために、内容物液体の円滑な吸い込み、および吸い上げを保つことが可能である。その結果、液残りを減少させることができる。
【0064】
すなわち本発明において、われわれは、鋭意検討を重ねた結果、螺子構造による、手押しポンプ(3)の、手押し部分(6)および吸い上げパイプ(4)の下降の、可変高さが5mm〜20mmの範囲であることが最適であることを見出した。
【0065】
すなわち、この範囲の下方移動であれば、液体用包装容器(100)、特に底部(2)を破壊したりする恐れはなく、安定した吸い込み、および吸い上げを阻害することがない。また自立性についても、大きく損なわれることがない。
【0066】
また我々は、本発明による液体用包装容器(100)を提案する一方、その使い勝手についても、検討を重ねた。評価した項目としては液体用包装容器(100)の自立性、および操作性である。
【0067】
たとえば、シャンプーやコンディショナーなどの液体の内容物にも適用しようとすれば、容器自体の自立性は重要であり、また片手での操作や持ち運びなど、日用品としての使い勝手も重要である。
【0068】
われわれは検討を重ねた結果、自立性や操作性などの使い勝手に関して、本発明による液体用包装容器(100)は、胴部の幅が80〜300mm、胴部の高さが120〜400mmであって、底部の折り込み幅が20〜70mmであることが最適であることを見出した。
【0069】
このように本発明によれば、手押しポンプつきの包装容器であって、環境適合型であり、かつ液残りが少ない、液体用包装容器を提供することが可能である。
【0070】
また、プラスチックフィルムを基材とする積層体に、無機化合物の蒸着層または無機化合物のコーティング層もしくはその両方からなる、ガスバリア層が含まれていることによ
って、内容物の保存性がよく、また外気の酸素、あるいは水蒸気などによる内容物の変質を防止することのできる、液体用包装容器を実現することができる。
【0071】
これは、液体用包装容器(100)が、そのガスバリア層の構成要素にアルミニウムの蒸着層や、アルミニウム箔層などの金属層を含まない構成が求められるときに、好都合である。
【0072】
以下、本発明による液体用包装容器を構成する各要素について、個々に更に詳細に説明を加える。
【0073】
(プラスチック成型品)
プラスチック成型品は、高分子樹脂組成物を、金型を用いて成型することによって、形作ったものであって、成型方法はたとえばインジェクション成型法、あるいはブロー成型法などを用いることができる。本発明による液体用包装容器(100)においては、手押しポンプ(3)をプラスチック成型品で構成することができる。
【0074】
プラスチック成型品として用いることが可能な樹脂としては、たとえばポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、ポリアミド(ナイロンー6、ナイロンー66等)、ポリイミドなどが使用でき、用途に応じて適宜選択される。特にポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートを成型用樹脂として用いる場合は、強度と価格においてより好ましく、またヒートシール適性を有することは、胴部のプラスチックフィルム、あるいは積層体との、ヒートシールにおいて好都合である。
【0075】
(プラスチックフィルム)
プラスチックフィルム単体、あるいはプラスチックフィルムを基材とする積層体を構成するプラスチックフィルムは高分子樹脂組成物からなるフィルムであって、たとえばポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、ポリアミド(ナイロンー6、ナイロンー66等)、ポリイミドなどが使用でき、用途に応じて適宜選択される。特にポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートを基材フィルムとする場合は、フィルム強度と価格においてより好ましい。
【0076】
(接着剤層)
積層体を構成する各層を積層する際には、接着剤層を介して積層することができる。接着剤の材料としてはたとえば、ポリエステル−イソシアネート形樹脂、ウレタン樹脂、ポリエーテル系樹脂などを用いることができる。
【0077】
また積層の方法については、ドライラミネーションあるいはノンソルベントラミネーションなどの方法を用いることができる。あるいは、熱可塑性樹脂を用いる場合には、押し出し機を用いてラミネートすることが可能である。あるいは押し出し機を用いてシーラント層などの層を直接形成することもできる。
【0078】
(ガスバリア層)
また、内容物の保存性を向上させることなどを目的として、必要な場合には、積層体中に着色フィルムなど紫外線を遮蔽する不透明層を設けることができる。あるいは、積層体中にガスバリア層を設けることができる。
【0079】
ガスバリア層には、たとえばアルミニウム箔などの金属箔、あるいはプラスチックフィルムに金属蒸着したフィルムを用いることができる。しかしアルミニウム箔などの金属箔
や金属蒸着層を用いることができない場合には、プラスチックフィルムに無機化合物のガスバリア層を設けたガスバリアフィルムを用いることができる。この場合には、廃棄、焼却の場面において、より環境適合型でもある。
【0080】
無機化合物のガスバリア層を設けたガスバリアフィルムの場合、ガスバリア層は無機化合物の蒸着層、コーティング層で構成することができ、基材フィルムにアンカーコートを設けた後、蒸着層、コーティング層を順次設ける。
【0081】
無機化合物のガスバリア層を設けたガスバリアフィルムのアンカーコート層には、例えばウレタンアクリレートを用いることができる。アンカーコート層の形成には、樹脂を溶媒に溶解した塗料をグラビアコーティングなど印刷手法を応用したコーティング方法を用いるほか、一般に知られているコーティング方法を用いて塗膜を形成することができる。
【0082】
無機化合物の蒸着層を形成する方法としては,SiOやAlOなどの無機化合物を真空蒸着法を用いて、アンカーコート層を設けた基材フィルム上にコーティングし、真空蒸着法による無機化合物層を形成することができる。蒸着層の厚みは15nm〜30nmが良い。
【0083】
コーティング層を形成する方法としては、水溶性高分子と、(a)一種以上のアルコキシドまたはその加水分解物、または両者、あるいは(b)塩化錫の、少なくともいずれかひとつを含む水溶液あるいは水/アルコール混合水溶液を主剤とするコーティング剤をフィルム上に塗布し、加熱乾燥してコーティング法による無機化合物層を形成しコーティング層とすることができる。このときコーティング剤にはシランモノマーを添加しておくことによってアンカーコート層との密着の向上を図ることができる。
【0084】
無機化合物層は真空蒸着法による塗膜のみでもガスバリア性を有するが、コーティング法による無機化合物層であるコーティング層を真空蒸着法による無機化合物層である蒸着層に重ねて形成し、バリア層とすることができる。
【0085】
これら2層の複合により、真空蒸着法による無機化合物層とコーティング法による無機化合物層との界面に両層の反応層を生じるか、或いはコーティング法による無機化合物層が真空蒸着法による無機化合物層に生じるピンホール、クラック、粒界などの欠陥あるいは微細孔を充填、補強することで、緻密構造が形成されるため、高いガスバリア性、耐湿性、耐水性を実現するとともに、変形に耐えられる可撓性を有するため、柔軟性を有する包装容器である、パウチとしての適性を損なう恐れは無い。
【0086】
またガスバリア層としてSiOを用いる場合には透明であるために、内容物をパウチの外側から目で見ることが可能である。これらは、用途、要求品質によって適宜使い分けをすればよい。また金属を用いていないことから、製造工程中の金属検査機なども使用することができ、必要な場合には電子レンジによる加熱などに対する適性もあり、液体用包装容器が外側から押された際などの、容器形状の復元性などにも利点を有する。
【0087】
(シーラント層)
シーラント層の材質としては、熱可塑性樹脂のうちポリオレフィン系樹脂が一般的に使用され、具体的には、低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)、中密度ポリエチレン樹脂(MDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−αオレフィン共重合体、エチレン−メタアクリル酸樹脂共重合体などのエチレン系樹脂や、ポリエチレンとポリブテンのブレンド樹脂や、ホモポリプロピレン樹脂(PP)、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−エチレンブロック共重合体、プロピレン−αオレフィン共重合体などのポリプロピレン系樹脂等を使
用することができる。
【0088】
また、シーラント層は、あらかじめフィルムに成膜したものを、積層体を構成する層としてラミネートするのでもよく、押出機などを用いて、溶融した樹脂を直接積層するのでも良い。
【0089】
(印刷層)
必要に応じて商品としてのイメージアップや、内容物についての必要な情報を容器外側から見える層に、印刷によって設けることができる。そのための基材フィルムには、高分子材料を素材としたプラスチックフィルムを用いることができる。
【0090】
プラスチックフィルムは高分子樹脂組成物からなるフィルムであって、たとえばポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、ポリアミド(ナイロンー6、ナイロンー66等)、ポリイミドなどが使用でき、用途に応じて適宜選択される。特にポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートを基材フィルムとする場合は、フィルム強度と価格においてより好ましい。
【0091】
印刷方法、および印刷インキには特に制約を設けるものではない。したがって既知の印刷方法の中から適宜選択してよく、たとえばグラビア印刷法、オフセット印刷法、グラビアオフセット印刷法、フレキソ印刷法、インクジェット印刷法、シルクスクリーン印刷法などを用いることができる。
【0092】
中でもグラビア印刷法は、生産性や絵柄の高精細度において好ましく用いることができる。印刷インキも、フィルムへの印刷適性、色調などの意匠性、密着性、必要な場合には食品容器としての安全性などを考慮すれば、商品化された既存のものから適宜選択して用いることができる。
【実施例】
【0093】
以下本発明を、実施例、および比較例によって更に具体的な説明を加える。ただし本発明は、ここに示す例にのみ限定されるものではない。本発明は、請求項によって限定されるものである。
【0094】
図5は本発明に係る液体用包装容器の実施例、および比較例を説明するための、透視および断面模式図である。
【0095】
本発明による液体用包装容器を評価するに当って、評価項目を以下の3項目とした。
(1)本発明による液体用包装容器と、従来のボトル型液体容器との液体内容物の残量の比較。
(2)本発明による液体用包装容器において、手押し部分(6)、および吸い上げパイプの接着部分に対する固定位置の下方への移動可能長さを決める、螺子部の長さ(L)と液体内容物の残量の比較。
(3)本発明による液体用包装容器において、寸法と、自立性、および操作性の評価による使い勝手の比較。
【0096】
(従来のボトル型液体容器との液体内容物の残量の比較)
<評価方法>
シャンプー300gを、本発明による液体用包装容器、および従来のボトル型液体容器(市販品)とに充填し、内容物を手押しポンプで取り出し、ポンプから全く出なくなったときの液体内容物の残量を計量した。なお、本発明による液体用包装容器の場合には、螺子構造により手押し部分および該吸い上げパイプの、接着部分に対する固定位置を下方に移動し、内容物を取り出した後の残量である。
【0097】
<実施例1>
本発明による液体用包装容器であって、寸法は下記のとおりである。(
図5参照)
胴部の幅(W):120mm
胴部の高さ(H):200mm
底部の折り込み幅(B):30mm(片道)
螺子部の長さ(L):10mm。
【0098】
<比較例1>
従来のボトル型液体容器(市販品)である。
【0099】
評価結果を表1に示す。
【0100】
【表1】
【0101】
(螺子部の長さ(L)と液体内容物の残量の比較)
<評価方法>
液体用包装容器の螺子部の長さ(L)を変更して、シャンプー300gを充填し、内容物を手押しポンプで取り出し、ポンプから全く出なくなったときの、液体内容物の残量を計量した。
【0102】
<実施例2>
本発明による液体用包装容器であって、寸法は下記のとおりである。(
図5参照)
胴部の幅(W):120mm
胴部の高さ(H):200mm
底部の折り込み幅(B):30mm(片道)
螺子部の長さ(L):5mm。
すなわち実施例1とは、螺子部の長さ(L)のみが異なる。
【0103】
<実施例3>
本発明による液体用包装容器であって、寸法は下記のとおりである。(
図5参照)
胴部の幅(W):120mm
胴部の高さ(H):200mm
底部の折り込み幅(B):30mm(片道)
螺子部の長さ(L):10mm。
すなわち実施例1とは、寸法は同様である。
【0104】
<実施例4>
本発明による液体用包装容器であって、寸法は下記のとおりである。(
図5参照)
胴部の幅(W):120mm
胴部の高さ(H):200mm
底部の折り込み幅(B):30mm(片道)
螺子部の長さ(L):20mm。
すなわち実施例1とは、螺子部の長さ(L)のみが異なる。
【0105】
<比較例2>
手押しポンプつきの液体用包装容器であって、寸法は下記のとおりである。(
図5参照)胴部の幅(W):120mm
胴部の高さ(H):200mm
底部の折り込み幅(B):30mm(片道)
螺子部の長さ(L):2mm。
すなわち実施例1とは、螺子部の長さ(L)のみが異なる。
【0106】
<比較例3>
手押しポンプつきの液体用包装容器であって、寸法は下記のとおりである。(
図5参照)胴部の幅(W):120mm
胴部の高さ(H):200mm
底部の折り込み幅(B):30mm(片道)
螺子部の長さ(L):4mm。
すなわち実施例1とは、螺子部の長さ(L)のみが異なる。
【0107】
<比較例4>
手押しポンプつきの液体用包装容器であって、寸法は下記のとおりである。(
図5参照)胴部の幅(W):120mm
胴部の高さ(H):200mm
底部の折り込み幅(B):30mm(片道)
螺子部の長さ(L):25mm。
すなわち実施例1とは、螺子部の長さ(L)のみが異なる。
【0108】
評価結果を表2に示す。
【0109】
【表2】
【0110】
(寸法と、自立性、および操作性の評価による使い勝手の比較)
<評価方法>
液体用包装容器の胴部の寸法を変化させたものを製作して、シャンプー300gを充填し、内容物を手押しポンプで取り出し、その使い勝手を評価した。使い勝手は、自立性および操作性を評価した。
【0111】
<実施例5>
本発明による液体用包装容器であって、寸法は下記のとおりである。(
図5参照)
胴部の幅(W):100mm
胴部の高さ(H):150mm
底部の折り込み幅(B):25mm(片道)
螺子部の長さ(L):10mm。
すなわち実施例1とは胴部および底部の寸法が異なる。
【0112】
<実施例6>
本発明による液体用包装容器であって、寸法は下記のとおりである。(
図5参照)
胴部の幅(W):200mm
胴部の高さ(H):280mm
底部の折り込み幅(B):35mm(片道)
螺子部の長さ(L):10mm。
すなわち実施例1とは胴部および底部の寸法が異なる。
【0113】
<比較例5>
手押しポンプつきの液体用包装容器であって、寸法は下記のとおりである。(
図5参照)胴部の幅(W):70mm
胴部の高さ(H):100mm
底部の折り込み幅(B):15mm(片道)
螺子部の長さ(L):10mm。
すなわち実施例1とは胴部および底部の寸法が異なる。
【0114】
<比較例6>
手押しポンプつきの液体用包装容器であって、寸法は下記のとおりである。(
図5参照)胴部の幅(W):350mm
胴部の高さ(H):500mm
底部の折り込み幅(B):85mm(片道)
螺子部の長さ(L):10mm。
すなわち実施例1とは胴部および底部の寸法が異なる。
【0115】
評価結果を表3に示す。
【0116】
【表3】
【0117】
表1〜表3に示す結果から、本発明による液体用包装容器は、
(1)本発明による液体用包装容器と、従来のボトル型液体容器との液体内容物の残量の比較。
(2)本発明による液体用包装容器において、手押し部分(6)、および吸い上げパイプの接着部分に対する固定位置の下方への移動可能長さを決める、螺子部の長さ(L)と液体内容物の残量の比較。
(3)本発明による液体用包装容器において、寸法と、自立性、および操作性の評価による使い勝手の比較。
のいずれの評価項目においても、比較例より優れており、本発明の課題である手押しポンプつきの包装容器において、環境適合型であり、かつ液残りが少ない、液体用包装容器を提供することが可能であることが明確になった。
【0118】
(1)〜(3)の各評価項目について、さらに、実施例と比較例の評価結果を個々に考察する。
【0119】
本発明による液体用包装容器と、従来のボトル型液体容器との液体内容物残量の比較について考察する。(表1)
比較例1は従来型、すなわち市販品のボトルタイプの容器であり、内容物液体の残量は43.7gであって、内容物の充填量300gに対して14.6%に上る。これに対し、本発明による液体用包装容器は、内容物液体の残量は9.5gであって、内容物の充填量300gに対して3.1%であった。したがって本発明によれば、明らかに内容物液体の残量削減の効果が見られる。
【0120】
本発明による液体用包装容器において、手押し部分(6)、および吸い上げパイプの固定位置の下方への移動可能長さを決める、螺子部の長さ(L)と液体内容物の残量の比較について考察する。(表2)
実施例2、実施例3、実施例4は、螺子部の長さ(L)が5〜20mmの範囲内であって、本発明の要件である、接着部分に対する固定位置を5〜20mm下方に移動可能であること、を実現することができるために、液体内容物の残量は、9g〜15gの範囲となっており、比較例2(34g)、および比較例3(28g)に比べて、少量である。したがって本発明によれば、明らかに内容物液体の残量削減の効果が見られる。
【0121】
また、比較例4においては、螺子部の長さ(L)が25mmであって、接着部分に対する固定位置を20mm下方に移動しようとする場合には、液体用包装容器の底部に接触して、螺子が締まらない不具合を招く結果となった。
【0122】
無理に螺子を締めようとする場合には。吸い上げパイプの先端が、底部中央部をさらに押し下げ、自立性に支障をきたすか、あるいは、容器底部を破壊するおそれがあり、不都合である。
【0123】
本発明による液体用包装容器において、寸法と、自立性、および操作性の評価による使い勝手の比較について考察する。(表3)
前述のとおり、われわれは検討の結果、液体用包装容器胴部の幅が80〜300mm、胴部の高さが120〜400mmであって、底部の折り込み幅が20〜70mmの範囲であることが、より液残りが少なく、自立性を損なうことなく、また操作性にも優れることを見出した、実施例5および実施例6は、この範囲内であるため、自立性および操作性に優れる評価を得ることができた。
【0124】
一方、比較例5においては胴部の幅、および底部の折り込み幅が上記の範囲より小さくそのためにそこが開きにくく自立性の安定が確保出来ない結果となっている。また比較例6においては、液体用包装容器胴部の幅、胴部の高さ、底部の折り込み幅ともに、上記の範囲を超えており、容器自体が大きすぎて、使いにくい結果となった。
【0125】
このように本発明によれば、手押しポンプつきの包装容器であって、環境適合型であり、かつ液残りが少ない、液体用包装容器を提供することが可能であることを検証することができた。