(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、二次電池においては、容量を大きくするために、ケース内を占める電極組立体の容積を大きくすることが望まれている。このため、ケースと電極組立体との間に介在する絶縁シートは、厚みが薄い方が好ましい。
【0005】
その一方で、電極組立体は絶縁シートを介してケースの内底面に支持されており、二次電池の使用時の振動により、絶縁シートは、電極組立体の底面とケースの内底面との間で破れ、電極組立体とケースが短絡してしまうおそれがある。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、容量を低下させることなく電極組立体とケースの短絡を抑制できる蓄電装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記問題点を解決するための蓄電装置は、複数の正極電極及び複数の負極電極を有する電極組立体と、前記電極組立体を収容する有底筒状のケースと、前記電極組立体と前記ケースとを絶縁する絶縁シートとを備えた蓄電装置であって、前記絶縁シートは、前記ケースの内底面と前記電極組立体の底面との間に介在する底面覆部と、前記電極組立体の側面を覆う側面覆部とを備え、前記底面覆部は、前記側面覆部の厚みよりも厚い肉厚部を有することを要旨とする。
【0008】
これによれば、電極組立体の底面とケースの内底面との間には肉厚部が介在している。肉厚部は、側面覆部よりも厚く、蓄電装置の使用時の振動によりケースの内底面と接触したとしても破れにくい。また、底面覆部に肉厚部を形成しつつも、電極組立体の側面を覆う側面覆部は薄くすることで、ケース内に収容可能な正極電極及び負極電極の枚数を減らさずに済む。よって、蓄電装置の容量を低下させることなく、電極組立体の底面とケースの内底面との短絡を抑制できる。
【0009】
また、蓄電装置について、前記絶縁シートは、前記底面覆部を構成する第1シートと、前記底面覆部及び前記側面覆部を構成する第2シートとを有し、前記第1シートは、前記電極組立体の底面と前記第2シートとの間に位置し、前記肉厚部は、前記第1シートと前記第2シートが重なって構成されるのが好ましい。
【0010】
これによれば、2枚の絶縁シートを重ねて肉厚部を構成するため、1枚の絶縁フィルムに肉厚部と肉厚部よりも薄い部分を製造するよりも、容易に肉厚部を製造できる。
また、蓄電装置について、前記第1シートの前記電極組立体側の面は粘着面であるのが好ましい。
【0011】
これによれば、電極組立体の一部が脱落して異物が発生したとしても、異物は第1シートの粘着面に付着する。よって、異物が蓄電装置内で撒き散らされることを抑制できる。
また、蓄電装置について、前記第1シートの大きさは、前記電極組立体の底面の大きさと同じであるのが好ましい。
【0012】
これによれば、肉厚部(第1シート及び第2シートが重なる部分)の大きさを電極組立体の底面の大きさと同じにできる。よって、底面覆部を構成する第1シート及び第2シートの一方のシートのどの部分が破れても、他方のシートによって電極組立体とケースとの絶縁状態を維持でき、電極組立体とケースとの短絡をより抑制できる。
【0013】
また、蓄電装置について、前記絶縁シートは、前記底面覆部を構成する第1シートと、前記底面覆部及び前記側面覆部を構成する第2シートとを有し、前記第1シートは、前記第2シートと前記ケースの内底面との間に位置し、前記肉厚部は、前記第1シートと前記第2シートが重なって構成されるのが好ましい。
【0014】
これによれば、2枚のシートを重ねて肉厚部を構成するため、1枚の絶縁フィルムに肉厚部と肉厚部よりも薄い部分を製造するよりも、容易に肉厚部を製造できる。また、電極組立体及び第2シートをケースに収容する前に第1シートをケースの底面に配置しておけば、電極組立体と第2シートをケースに収容すると肉厚部を形成できる。
【0015】
また、蓄電装置について、前記第1シートの大きさは、前記ケースの内底面の大きさと同じであるのが好ましい。
これによれば、肉厚部(第1シート及び第2シートが重なる部分)の大きさを電極組立体の底面よりも大きいケースの内底面の大きさと同じにできる。よって、底面覆部を構成する第1シート及び第2シートの一方のシートのどの部分が破れても、他方のシートによって電極組立体とケースとの絶縁状態を維持できる。また、第1シートの大きさを電極組立体の底面の大きさと同じにする場合よりも肉厚部を大きくできるため、電極組立体とケースとの短絡をより抑制できる。また、剛体であるケースの内底面に合わせて第1シートの大きさを決定できるため、第1シートを容易に製造できる。
【0016】
また、蓄電装置について、前記第1シートの材料は、前記第2シートの材料と同じであるのが好ましい。
これによれば、第1シートの材料と第2シートの材料を別々に用意せずに済む。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、容量を低下させることなく絶縁シートの破れを抑制できる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(第1の実施形態)
以下、蓄電装置を二次電池に具体化した第1の実施形態を
図1〜
図3にしたがって説明する。
【0020】
図1に示すように、蓄電装置としての二次電池10は、直方体状のケース11を備え、このケース11内には電極組立体12が収容されている。ケース11は、有底四角筒状の金属製(例えば、アルミニウム製又はアルミニウム合金製)のケース本体13と、ケース本体13の開口部13aを塞ぐ蓋14とを有する。ケース本体13は、内底面13b(
図3で図示)と、内底面13bに繋がる4つの側壁13cとを備える。ケース11内には図示しない電解質(電解液)が収容されている。本実施形態の二次電池10は、リチウムイオン二次電池である。
【0021】
二次電池10は、電極組立体12から電気を取り出すための端子としての正極端子15と負極端子16とを備える。正極端子15及び負極端子16は、蓋14の貫通孔14aを貫通してケース11外に突出する。正極端子15及び負極端子16には、ケース11から絶縁するためのリング状の絶縁リング17がそれぞれ取り付けられている。正極端子15は、ケース11内に矩形板状の導電部材としての正極導電部材15aを有する。正極端子15は、正極導電部材15aと電気的に接続されている。負極端子16は、ケース11内に矩形板状の導電部材としての負極導電部材16aを有する。負極端子16は、負極導電部材16aと電気的に接続されている。
【0022】
図2に示すように、電極組立体12は、電極としての正極電極20を収納した電極収納セパレータ30と、正極電極20とは極性の異なる電極としての負極電極40と、を有する。電極組立体12は、複数の電極収納セパレータ30と複数の負極電極40とを交互に積層して層状とした構造である。これにより、複数の正極電極20と複数の負極電極40とが、電極収納セパレータ30のセパレータ部材31を間に挟んだ状態で交互に積層されている。本実施形態では、正極電極20、セパレータ部材31、及び負極電極40が何れも矩形状である。電極収納セパレータ30及び負極電極40が積層された方向を電極組立体12の積層方向とする。
【0023】
正極電極20は、矩形シート状の正極金属箔(例えばアルミニウム箔)21と、正極金属箔21の両面に正極活物質を含む正極活物質層22と、を有する。正極電極20において、一対の長辺に沿う縁部のうちの一方の縁部を第1の縁部20aとすると、正極電極20は、第1の縁部20aから突出した形状の正極タブ23を有する。正極タブ23は、正極金属箔21において正極活物質層22が存在せず、正極金属箔21そのもので構成された部分である。
【0024】
本実施形態では、第1の縁部20aに沿う辺が正極電極20の一辺となる。また、正極電極20において、第1の縁部20aの対辺となる他方の長辺に沿う縁部を第2の縁部20bとし、第1の縁部20aと第2の縁部20b同士を繋ぐ一対の短辺に沿う縁部をそれぞれ第3の縁部20cとする。
【0025】
負極電極40は、矩形シート状の負極金属箔(例えば銅箔)41と、負極金属箔41の両面に負極活物質を含む負極活物質層42と、を有する。負極電極40において、一対の長辺のうちの一方の長辺に沿う縁部を第1の縁部40aとすると、負極電極40は、第1の縁部40aから突出した形状の負極タブ43を有する。負極タブ43は、負極金属箔41において負極活物質層42が存在せず、負極金属箔41そのもので構成された部分である。本実施形態では、第1の縁部40aに沿う辺が負極電極40の一辺となる。また、負極電極40において、第1の縁部40aの対辺となる他方の長辺に沿う縁部を第2の縁部40bとし、第1の縁部40aと第2の縁部40b同士を繋ぐ一対の短辺に沿う縁部をそれぞれ第3の縁部40cとする。
【0026】
負極電極40の第1の縁部40aの長さは、正極電極20の第1の縁部20aの長さより長く、負極電極40の第2の縁部40bの長さは、正極電極20の第2の縁部20bの長さより長い。さらに、負極電極40の第3の縁部40cの長さは、正極電極20の第3の縁部20cの長さより長い。よって、負極電極40は、正極電極20より一回り大きい。
【0027】
電極組立体12は、蓋14の内側面と対向するタブ側端面12aに、正極タブ23が積層されることによって構成された正極タブ群23aと、負極タブ43が積層されることによって構成された負極タブ群43aとを備える。正極タブ群23a及び負極タブ群43aは、正極タブ23及び負極タブ43を電極組立体12の積層方向の一端に寄せ集めた後、積層方向の他端に向けて折り返して形成されている。正極タブ群23aは、正極導電部材15aと電気的に接続され、負極タブ群43aは、負極導電部材16aと電気的に接続されている。
【0028】
電極収納セパレータ30は、互いに対峙する矩形シート状のセパレータ部材31を含む。各セパレータ部材31は、何れも絶縁性を有する樹脂製(例えばポリエチレン製)である。2枚のセパレータ部材31は同形状、且つ同サイズであり、正極電極20よりも一回り大きなサイズである。
【0029】
各セパレータ部材31は、正極電極20を重ねた状態において、正極電極20の第1の縁部20aから、正極タブ23の突出方向にはみ出した第1はみ出し部31aを有する。また、各セパレータ部材31は、正極電極20の第2の縁部20b及び一対の第3の縁部20cに沿う3辺からはみ出す第2はみ出し部31bを有する。電極収納セパレータ30は、セパレータ部材31の第1はみ出し部31a同士が接合されるとともに、第2はみ出し部31b同士が接合されて形成されている。電極収納セパレータ30は、第2はみ出し部31bのうち、第2の縁部20bに沿う部位同士が接合された部位に底側縁部30aを備える。
【0030】
電極組立体12は、ケース本体13の内底面13b側の端面に底面12bを備える。底面12bは、電極収納セパレータ30の底側縁部30a、及び負極電極40の第2の縁部40bが積層されて構成されている。電極収納セパレータ30の底側縁部30aと、負極電極40の第2の縁部40bとは同一面上に位置している。また、電極組立体12は、ケース本体13の4つの側壁13c側の4つの端面に側面12cを備える。
【0031】
図1及び
図3に示すように、二次電池10は、電極組立体12とケース本体13とを絶縁する絶縁シート50を備える。絶縁シート50は、2枚のシート(第1シート51及び第2シート52)を備える。第1シート51と第2シート52は、同じ樹脂から製造されたシートである。絶縁シート50は、電極組立体12の底面12b全体を覆う底面覆部50aと、電極組立体12の4つの側面12cを覆う筒状の側面覆部50bとを備える。底面覆部50aは、第1シート51及び第2シート52から構成され、側面覆部50bは、第2シート52から構成されている。底面覆部50aは、第1シート51と第2シート52が重なって構成された肉厚部53を有する。
【0032】
第1シート51は、電極組立体12の底面12bを覆うように配置され、底面覆部50aを構成している。第1シート51の大きさは、電極組立体12の底面12bの大きさと同じである。第1シート51の電極組立体12側の面は、粘着性を有する粘着面51aである。この粘着面51aにより、第1シート51は、電極組立体12の底面12bに接着されている。
【0033】
第2シート52は、電極組立体12の底面12b及び4つの側面12cを覆うように配置される。第2シート52は、第1シート51によって底面12bが覆われた電極組立体12の底面12bを覆う第1部位52aと、電極組立体12の4つの側面12cを覆う第2部位52bとを備える。第1部位52aは矩形状であり、第2部位52bは第1部位52aの各縁部から立設している。第2部位52bは、電極組立体12の4つの側面12cとケース本体13の4つの側壁13cとの間に位置し、第1部位52aは、第1シート51とケース本体13の内底面13bとの間に位置する。第1部位52aは第1シート51とともに底面覆部50aを構成し、第2部位52bは側面覆部50bを構成している。なお、第2シート52は、1枚の絶縁フィルムを有底四角筒状に折って形成されており、折り曲げによって互いに重なった部分は、テープ54によって電極組立体12の側面12cに沿うように貼り付けられている。
【0034】
肉厚部53は、第1シート51と第2シート52の第1部位52aが重なる部分であり、電極組立体12の底面12b全体を覆うように存在する。底面覆部50aの厚みは、第2シート52のみで構成された側面覆部50bの厚みよりも厚い。そして、肉厚部53上に電極組立体12が支持されている。
【0035】
次に、第1の実施形態の効果を作用と合わせて記載する。
(1)電極組立体12の底面12bとケース本体13の内底面13bとの間には肉厚部53が介在している。肉厚部53は、側面覆部50bよりも厚く、二次電池10の使用時の振動によりケース本体13の内底面13bと接触したとしても破れにくい。また、底面覆部50aに肉厚部53を形成しつつも、電極組立体12の側面12cを覆う側面覆部50bは薄くすることで、ケース本体13内に収容可能な電極収納セパレータ30及び負極電極40の枚数を減らさずに済む。よって、二次電池10の容量を低下させることなく、電極組立体12の底面12bとケース本体13の内底面13bとの短絡を抑制できる。
【0036】
(2)2枚の絶縁シート50(第1シート51及び第2シート52)を重ねて肉厚部53を構成しているため、1枚の絶縁フィルムに肉厚部53と肉厚部53よりも薄い部分を製造するよりも、容易に肉厚部53を製造できる。
【0037】
(3)第1シート51の電極組立体12側の面は粘着面51aである。このため、二次電池10の使用時に電極組立体12の一部(例えば、負極活物質層42)が脱落して異物が発生したとしても、異物は第1シート51の粘着面51aに付着する。よって、異物が二次電池10内で撒き散らされることを抑制できる。
【0038】
(4)第1シート51の大きさは、電極組立体12の底面12bの大きさと同じである。このため、肉厚部53(第1シート51及び第2シート52が重なる部分)の大きさと電極組立体12の底面12bの大きさとを同じにできる。よって、底面覆部50aを構成する第1シート51及び第2シート52の第1部位52aの一方のシートのどの部分が破れても、他方のシートによって電極組立体12とケース本体13との絶縁状態を維持でき、電極組立体12とケース本体13との短絡をより抑制できる。
【0039】
(5)第1シート51と第2シート52は、同じ樹脂から製造されるため、第1シート51の材料と第2シート52の材料を別々に用意せずに済む。
(第2の実施形態)
以下、蓄電装置を二次電池に具体化した第2の実施形態を
図4及び
図5にしたがって説明する。なお、ケース11及び電極組立体12の構成は、第1の実施形態と同一の構成であるため、説明を省略する。
【0040】
図4及び
図5に示すように、二次電池10は、電極組立体12とケース本体13とを絶縁する絶縁シート60を備える。絶縁シート60は、2枚のシート(第1シート61及び第2シート62)を備える。第1シート61と第2シート62は、同じ樹脂から製造されたシートである。絶縁シート60は、電極組立体12の底面12b全体を覆う底面覆部60aと、電極組立体12の4つの側面12cを覆う筒状の側面覆部60bとを備える。底面覆部50aは、第1シート51及び第2シート52から構成され、側面覆部50bは、第2シート52から構成されている。底面覆部60aは、第1シート61と第2シート62が重なって構成された肉厚部63を有する。
【0041】
第2シート62は、電極組立体12の底面12b及び4つの側面12cを覆うように配置される。第2シート62は、電極組立体12の底面12bを覆う第1部位62aと、電極組立体12の4つの側面12cを覆う第2部位62bとを備える。第1部位62aは矩形状であり、第2部位62bは第1部位62aの各縁部から立設している。第1部位62aは底面覆部60aを構成し、第2部位62bは側面覆部60bを構成している。なお、第2シート62は、1枚の絶縁フィルムを有底四角筒状に折って形成されており、折り曲げによって互いに重なった部分は、テープ64によって電極組立体12の側面12cに沿うように貼り付けられている。電極組立体12の底面12bは、第2シート62の第1部位62aに当接している。
【0042】
第1シート61は、第2シート62の第1部位62aによって覆われた電極組立体12の底面12bを覆うように配置され、底面覆部60aを構成している。第1シート61の大きさは、ケース本体13の内底面13bの大きさと同じである。第1シート61は、第2シート62の第1部位62aとケース本体13の内底面13bとの間に位置する。第2シート62の第1部位62aは、電極組立体12の底面12bと第1シート61との間に位置し、第2部位62bは、電極組立体12の4つの側面12cとケース本体13の4つの側壁13cとの間に位置する。
【0043】
肉厚部63は、第2シート62の第1部位62aと第1シート61が重なる部分であり、電極組立体12の底面12b全体を覆うように存在する。よって、肉厚部63の厚みは、第2シート62のみで構成された側面覆部60bの厚みよりも厚い。そして、肉厚部63上に電極組立体12が支持されている。
【0044】
次に、第2の実施形態の効果を作用と合わせて記載する。
(6)電極組立体12の底面12bとケース本体13の内底面13bとの間には肉厚部63が介在している。肉厚部63は、側面覆部60bよりも厚く、二次電池10の使用時の振動によりケース本体13の内底面13bと接触したとしても破れにくい。また、底面覆部60aに肉厚部63を形成しつつも、電極組立体12の側面12cを覆う側面覆部60bは薄くすることで、ケース本体13内に収容可能な電極収納セパレータ30及び負極電極40の枚数を減らさずに済む。よって、二次電池10の容量を低下させることなく、電極組立体12の底面12bとケース本体13の内底面13bとの短絡を抑制できる。
【0045】
(7)2枚の絶縁シート60(第1シート61及び第2シート62)を重ねて肉厚部63を構成しているため、1枚の絶縁フィルムに肉厚部63と肉厚部63よりも薄い部分を製造するよりも、容易に肉厚部63を製造できる。また、第2シート62によって覆われた電極組立体12をケース本体13に収容する前に第1シート61をケース本体13の内底面13bに配置しておけば、電極組立体12と第2シート62をケース本体13に収容すると、肉厚部63を形成できる。
【0046】
(8)第1シート61の大きさは、ケース本体13の内底面13bの大きさと同じである。このため、肉厚部63(第1シート61及び第2シート62が重なる部分)の大きさを電極組立体12の底面12bよりも大きいケース本体13の内底面13bの大きさと同じにできる。よって、底面覆部50aを構成する第1シート51及び第2シート52の第1部位52aの一方のシートのどの部分が破れても、他方のシートによって電極組立体12とケース本体13との絶縁状態を維持できる。また、第1シート61の大きさを電極組立体12の底面12bの大きさと同じにする場合よりも肉厚部63を大きくできるため、電極組立体12とケース本体13との短絡をより抑制できる。また、剛体であるケース本体13の内底面13bに合わせて第1シート61の大きさを決定できるため、第1シート61を容易に製造できる。
【0047】
(9)第1シート61と第2シート62は、同じ樹脂から製造されるため、第1シート61の材料と第2シート62の材料を別々に用意せずに済む。
(第3の実施形態)
以下、蓄電装置を二次電池に具体化した第3の実施形態を
図6及び
図7にしたがって説明する。なお、ケース11及び電極組立体12の構成は、第1の実施形態と同一の構成であるため、説明を省略する。
【0048】
図6及び
図7に示すように、二次電池10は、電極組立体12とケース本体13とを絶縁する樹脂製の1枚の絶縁シート70を備える。絶縁シート70は、電極組立体12の底面12b全体及び4つの側面12cを覆うように配置される。絶縁シート70は、電極組立体12の底面12b全体を覆う底面覆部70aと、電極組立体12の4つの側面12cを覆う筒状の側面覆部70bとを備える。底面覆部70aは、電極組立体12の底面12b全体を覆う第1部位71から構成され、側面覆部70bは、電極組立体12の4つの側面12cを覆う第2部位72から構成されている。第1部位71は矩形状であり、第2部位72は第1部位71の各縁部から立設している。底面覆部70aは、側面覆部70bの厚みよりも厚い肉厚部73を有する。本実施形態では、底面覆部70a全体の厚みが側面覆部70bよりも厚くなっている。すなわち、底面覆部70a全体が肉厚部73である。そして、肉厚部73上に電極組立体12が支持されている。なお、絶縁シート70は、1枚の絶縁フィルムを有底四角筒状に折って形成されており、折り曲げによって互いに重なった部分は、テープ74によって電極組立体12の側面12cに沿うように貼り付けられている。
【0049】
次に、第3の実施形態の効果を作用と合わせて記載する。
(10)電極組立体12の底面12bとケース本体13の内底面13bとの間には肉厚部73が介在している。肉厚部73は、側面覆部70bよりも厚く、二次電池10の使用時の振動によりケース本体13の内底面13bと接触したとしても破れにくい。また、底面覆部70aに肉厚部73を形成しつつも、電極組立体12の側面12cを覆う側面覆部70bは薄くすることで、ケース本体13内に収容可能な電極収納セパレータ30及び負極電極40の枚数を減らさずに済む。よって、二次電池10の容量を低下させることなく、電極組立体12の底面12bとケース本体13の内底面13bとの短絡を抑制できる。
【0050】
(11)第1部位71全体の厚みを第2部位72よりも厚くしているため、絶縁シート70の底面覆部70a全体を破れにくくできる。よって、電極組立体12とケース本体13との短絡をより抑制できる。
【0051】
なお、第1〜第3の実施形態は、以下のように変更してもよい。
○ 正極電極20は、正極金属箔21の片面に正極活物質層22が存在する構造でもよい。同様に、負極電極40は、負極金属箔41の片面に負極活物質層42が存在する構成でもよい。
【0052】
○ 電極組立体12は、正極電極20を収納した電極収納セパレータ30と負極電極40とを交互に積層した構造であったが、複数の正極電極20と複数の負極電極40とをセパレータを介して交互に積層した構造であってもよい。
【0053】
○ 正極電極20は、正極タブ23以外に正極活物質層22が存在しない部分を備えていてもよい。同様に、負極電極40は、負極タブ43以外に負極活物質層42が存在しない部分を備えていてもよい。
【0054】
○ 正極金属箔21は、アルミニウム箔に限定されず、正極電極20を構成できる他の金属箔であってもよい。同様に、負極金属箔41は、銅箔に限定されず、負極電極40を構成できる他の金属箔であってもよい。
【0055】
○ 上記実施形態では、正極端子15と正極導電部材15aとは一体化されていたが、別構成にしてもよい。同様に、負極端子16と負極導電部材16aとは一体化されていたが、別構成にしてもよい。
【0056】
○ 絶縁シート50,60,70は、非導電材料であれば樹脂製でなくてもよい。
○ 第1シート51の材料は、第2シート52の材料と異なる材料でもよい。また、第1シート61の材料は、第2シート62の材料と異なる材料でよい。
【0057】
○ 第1の実施形態の第1シート51の大きさは、電極組立体12の底面12bよりも小さくてもよい。この場合、底面覆部50aにおける肉厚部53(第1シート51及び第2シート52が重なる部分)の大きさは小さくなる。同様に、第2の実施形態の第1シート61の大きさは、ケース本体13の内底面13bよりも小さくてもよい。この場合、底面覆部60aにおける肉厚部63(第1シート61及び第2シート62が重なる部分)の大きさは小さくなる。なお、底面覆部50a,60aにおける肉厚部53,63の大きさを電極組立体12の底面12bの大きさの半分以上とすれば、電極組立体12のがたつきを抑制できる。
【0058】
また、第3の実施形態において、底面覆部70aの一部の厚みを側面覆部70bよりも厚くしてもよい。この場合、底面覆部70aにおける肉厚部73の大きさが小さくなる。なお、肉厚部73の大きさを電極組立体12の底面12bの大きさの半分以上とすれば、電極組立体12のがたつきを抑制できる。
【0059】
○ 第1〜第3の実施形態では、側面覆部50bは、電極組立体12の4つの側面12cを覆っていたが、電極組立体12の積層方向の端面としての側面を覆っていれば、4つの側面12cを覆わなくてもよい。ただし、側面覆部50bによって覆われていない側面に関しては、例えば、ケース本体13の側壁13cの内側に絶縁シートを配置したり、皮膜を形成したりするなどして、ケース本体13と絶縁させる必要がある。
【0060】
○ 絶縁シート50,60,70において折り曲げによって重なった部分は、テープ54,64,74によって電極組立体12の側面12cに貼り付けられていたが、重なった部分同士を熱溶着してもよい。
【0061】
○ 二次電池10は、リチウムイオン二次電池でもよいし、他の二次電池であってもよい。要は、正極用の活物質と負極用の活物質との間をイオンが移動するとともに電荷の授受を行うものであればよい。
【0062】
○ 蓄電装置は、例えばキャパシタなど、二次電池以外の蓄電装置にも適用可能である。