(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する吐水装置の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0021】
(第1の実施形態)
<1.吐水装置の概要>
先ず、
図1および
図2Aを参照して第1の実施形態に係る吐水装置の概要について説明する。
図1は、第1の実施形態に係る吐水装置1の外観図である。また、
図2Aは、
図1に示す吐水装置1の破線閉曲線B付近の模式拡大断面図である。なお、
図1は、吐水装置1の側面を示している。
【0022】
図1に示すように、吐水装置1は、シャワーヘッドであり、たとえば円柱形状の外観を有する。吐水装置1は、基端部にシャワーホース2が接続可能に構成される。また、吐水装置1は、ケース部3と、散水部材4とを備える。
【0023】
ケース部3には、軸線Aの方向(軸方向)の中央よりも先端部側に、複数の挿通孔33が軸方向に並んで形成される。散水部材4は、湯水が流通する流路部42を備える。散水部材4は、かかる流路部42が挿通孔33に挿通された状態で、ケース部3の内側に取り付けられる。そして、流路部42は、給水源からシャワーホース2を介して供給される湯水を吐水する。
【0024】
散水部材4について、
図2Aを参照して説明を続けると、散水部材4は、流体素子40と、フランジ部41とを備える。流体素子40は、上記した流路部42と、湯水衝突部44とを備える。フランジ部41と、流体素子40の流路部42、湯水衝突部44とは、一体的に形成されるが、これに限定されるものではない。
【0025】
フランジ部41は、ケース部3の内面3a側に配置される。フランジ部41は、ケース部3の挿通孔33の開口面積よりも大きく、挿通孔33を覆うように形成される。従って、フランジ部41は、流路部42が挿通孔33からケース部3の外側へ抜けることを防止するストッパとして機能する。
【0026】
さらに、フランジ部41は、後述するよう、ケース部3の内面3a側に押し付けられるようにして配置されることから、たとえば、湯水が挿通孔33から漏れ出ることを防止するパッキンとしても機能する。
【0027】
流体素子40の湯水衝突部44は、流路部42において湯水が流れる流路43の途中に設けられる。なお、湯水衝突部44は、流路43を部分的に塞ぐように設けられる(後述する
図7参照)。従って、湯水衝突部44には、流入口43aから流入して流路43を流通する湯水の一部が衝突する。なお、
図2Aにおいては、湯水の流通方向を矢印Cで示している。
【0028】
これにより、湯水衝突部44の下流側に渦が発生し、かかる渦によって湯水の流れが変化する。流れが変化した湯水は、たとえば波状の吐水態様で吐水口43bから吐水される。このように、流体素子40は、吐水部として機能する。なお、湯水衝突部44の詳しい構成については、
図7および
図8を用いて後述する。
【0029】
上記した流体素子40にあっては、渦を発生させるため、流路部42の流路長Lが比較的長くなるように設定される。
【0030】
ここで、従来技術に係る散水部材204を備えた吐水装置200について、
図2Bを参照して説明する。
図2Bは、従来技術に係る吐水装置200の模式断面図である。なお、
図2Bは、
図2Aと対応している。
【0031】
図2Bに示すように、従来技術に係る散水部材204は、流体素子240を有する。散水部材204において、フランジ部241は、流路部242の流入口243a側の基端付近に設けられる。言い換えると、流路部242は、フランジ部241を起点として、フランジ部241から湯水の流通方向Cに沿ってケース部の外側(
図2Bの紙面下方)へ向けて突出するように形成される。
【0032】
流路部242は、上記したように流路長Lが比較的長くなるように設定されるため、従来技術に係るケース部203にあっては、流路長Lが長くなった分だけ挿通孔233付近の厚さTaも大きくなる。ケース部203の厚さTaが大きくなると、吐水装置200全体が大型化してデザイン性の低下を招くおそれがある。
【0033】
そこで、本実施形態に係る散水部材4にあっては、
図2Aに示すように、流路部42の一部が、フランジ部41よりもケース部3の内側(
図2Aの紙面上方)に突出するようにした。詳しくは、流路部42は、湯水衝突部44より上流側の部位42aが、フランジ部41よりもケース部3の内側に突出するように形成される。
【0034】
これにより、散水部材4は、流路部42のうち、たとえば湯水衝突部44より下流側の部位42bが挿通孔33に挿通された状態で、言い換えれば、上流側の部位42aが挿通孔33に挿入されない状態で、ケース部3に取り付けられることとなる。
【0035】
そのため、ケース部3にあっては、挿通孔33に上流側の部位42aが挿入されない分だけ挿通孔33付近の厚さTを薄くする、すなわち、流路部42の下流側の部位42bの流通長Laに対応する値まで薄くすることが可能となる。このように、本実施形態にあっては、ケース部3の厚さTを、従来技術に係るケース部203の厚さTaに比べて薄くすることが可能となる(T<Ta)。
【0036】
これにより、本実施形態に係る吐水装置1にあっては、流体素子40を備える場合であっても、流路部42の流路長Lを確保しつつ小型化することができ、よってデザイン性の向上を図ることができる。
【0037】
<2.吐水装置の構成>
次に、吐水装置1の詳細な構成について、
図3以降を参照して説明する。
図3は、第1の実施形態に係る吐水装置1の分解図である。
図4は、第1の実施形態に係る吐水装置1の断面図である。なお、
図3は吐水装置1の側面を示し、
図4は吐水装置1の側断面を示している。
【0038】
図3および
図4に示すように、吐水装置1は、上記したケース部3と、散水部材4と、通水部材5と、中間部材6と、位置規制部材7とを備える。ケース部3は、たとえば、金属製であり、筒(円筒)状の部材である。ケース部3は、吐水装置1の組み立て状態では、先端部に蓋31がOリングなどの封止部材32を介して取り付けられ、先端部側の開口が閉鎖される。
【0039】
ケース部3には、後端部側の開口から、散水部材4、通水部材5、中間部材6および位置規制部材7が挿入されて収容される。
【0040】
散水部材4は、弾性を有する部材であり、弾性変形可能に形成される。散水部材4は、たとえば、ゴム製である。散水部材4は、吐水装置1の組み立て状態では、ケース部3の内部に配置される。
【0041】
散水部材4のフランジ部41は、たとえば、矩形板状に形成され、散水部材4がケース部3に配置された状態(すなわち、吐水装置1の組み立て状態)では、ケース部3の挿通孔33が形成された内面3a(
図4参照)側に押し付けられる。
【0042】
なお、以下、フランジ部41において、ケース部3の内面3a側に押し付けられる面41aを「第1の面41a」、第1の面41aとは反対側の面を「第2の面41b」と記載する場合がある。
【0043】
散水部材4において、流体素子40の流路部42は、フランジ部41に軸線Aの方向(ケース部3の軸方向)に並んで複数形成される。流路部42は、上記したように、散水部材4がケース部3に配置された状態でケース部3の挿通孔33に挿通される。なお、散水部材4のさらに詳しい構成については、
図5〜8を用いて後述する。
【0044】
通水部材5は、管状の部材である。通水部材5は、吐水装置1の組み立て状態では、ケース部3の内部に配置され、給水源から供給される湯水を散水部材4の流路部42の流路43へと導く。通水部材5は、ホース接続部51と、湯水流路部52と、押圧部53とを備える。ホース接続部51は、通水部材5の基端部に設けられる。ホース接続部51は、外周面が雄ネジ状に形成されている。ホース接続部51には、シャワーホース2(
図1参照)が接続される。
【0045】
湯水流路部52は、ホース接続部51に連通しており、通水部材5がケース部3に配置された状態で散水部材4の第2の面41bへと湯水W1を導く。散水部材4の第2の面41bに導かれた湯水W1は、散水部材4の第2の面41b側から流路部42の流路43に流れ込む。なお、通水部材5に供給される湯水W1は水勢を有しているため、流路部42の流路43に流れ込んだ湯水W2は、所定の水勢で吐水されるようになる。
【0046】
押圧部53は、円柱状に形成され、湯水流路部52の内部においてケース部3の軸方向と直交する方向に、ケース部3の内周面側に向けて突設される。複数の押圧部53は、ケース部3の軸方向に並んで設けられる。押圧部53は、通水部材5がケース部3に配置された状態において散水部材4をケース部3の内周面側に向けて押し付ける。また、通水部材5は、ホース接続部51に取り付けられるフィルタ部材54をさらに備える。
【0047】
中間部材6は、吐水装置1の組み立て状態では、ケース部3の内面3aと散水部材4との間に配置される。また、中間部材6は、散水部材4の流路部42が挿通孔33に挿通される前に挿通される複数の挿通孔61を有する。なお、挿通孔61は、中間部材6がケース部3に配置された状態でケース部3の軸方向に並んで形成される。
【0048】
位置規制部材7は、スペーサ部材であり、吐水装置1の組み立て状態では、ケース部3の内部において挿通孔33が形成された側とは反対側の空間に配置される。位置規制部材7は、ケース部3の内部において、通水部材5を間に挟んで散水部材4をケース部3の内周面側に押し付ける。位置規制部材7は、ケース部3に配置された状態で、散水部材4を押し付けることで、ケース部3と散水部材4とを密着させて挿通孔33と流路部42との位置関係を規制する。
【0049】
<3.散水部材の構成>
次に、
図5および
図6を参照して散水部材4の詳細について説明する。
図5は、吐水装置1から取り出された散水部材4の模式側面図であり、
図6は流体素子40の模式平面図である。
【0050】
なお、
図5には、理解の便宜のため、吐水装置1の組み立て状態におけるケース部3を想像線で示している。また、
図6にあっては、紙面手前から奥へ向かう方向が流路部42の湯水の流通方向C(
図5参照)である。従って、
図6は、散水部材4を流通方向Cに沿ってみたとき、言い換えれば、流路部42の上流側から下流側をみたときの平面図である。
【0051】
図5に示すように、散水部材4において、流体素子40の流路部42は、湯水衝突部44(
図5で見えず)より上流側の部位42aと、下流側の部位42bとに区画することができる。
【0052】
そして、流路部42の上流側の部位42aは、フランジ部41の第2の面41bからケース部3の内側(紙面左側)へ向けて柱状に突設される。他方、流路部42の下流側の部位42bは、フランジ部41の第1の面41aからケース部3の外側(紙面右側)へ向けて柱状に突設される。
【0053】
流路部42においてフランジ部41から突設する長さ(高さ)は、上流側の部位42aに比べて下流側の部位42bが長くなるように設定されるが、これに限られず、たとえば、同じ長さであっても、下流側の部位42bに比べて上流側の部位42aが長くなるように設定されてもよい。
【0054】
図6に示すように、流路部42は、湯水の流通方向C(
図5参照)から見て矩形形状に形成される。また、流路部42における流路43は、側壁45によって囲まれた空間に形成される。
【0055】
側壁45は、長辺方向の側壁45a(以下「長辺側壁45a」と記載する場合がある)と、短辺方向の側壁45b(以下「短辺側壁45b」と記載する場合がある)とを含む。なお、上記では、流路部42は矩形形状に形成されるようにしたが、これに限定されるものではなく、たとえば、正方形形状やひし形形状、円形状などその他の形状であってもよい。
【0056】
流路部42の流路43には、上記した湯水衝突部44が形成される。ここで、
図7および
図8を参照して流体素子40の湯水衝突部44について詳しく説明する。
図7は、
図6のVII−VII線断面図であり、
図8は、
図6のVIII−VIII線断面図である。
【0057】
湯水衝突部44は、流路部42と一体に形成される。なお、湯水衝突部44は、流路部42と別体に形成されてもよい。
【0058】
湯水衝突部44は、流路部42の流通方向Cと直交する方向に延在するとともに流路43の壁面の間に架設された梁部材である。
図7に示すように、湯水衝突部44は、たとえば、流路部42の長手方向(長辺側壁45aに沿った方向)の断面形状が流路部42の先端側(吐水口43b側)に頂点を向けた二等辺三角形状に形成される。
【0059】
図7に示すように、流路部42の流入口43aから流路43に流れ込んだ湯水W2は、その大半が湯水衝突部44に衝突する。流路43を流れる湯水W2は、流路43に流れ込んだ湯水W2が湯水衝突部44に衝突することで、湯水衝突部44の基端側(吐水口43bとは反対側)に交互に発生する渦(カルマン渦)V1,V2によって流れが変化する。この場合における吐水口43bから吐水される湯水W2は、波状の吐水態様で吐水される。
【0060】
ところで、流体素子40の流路部42において、湯水W2の量が増加すると、側壁45(たとえば長辺側壁45a)において変形が繰り返される「ハンチング」が発生することがある。
【0061】
上記したハンチングについて
図9を参照して説明する。
図9は、流体素子40に発生するハンチングを説明する図である。なお、
図9は、流体素子40を有する散水部材4の模式断面図である。
【0062】
図9の左図に示すように、流体素子40の流路部42には、湯水W2が流れている。流路部42は、流路面積が比較的小さいため、たとえば湯水W2の量が増加すると、湯水W2の流速が増加し易い。
【0063】
湯水W2の流速が増加すると、流路部42内に負圧が生じる。流路部42内に負圧が生じると、
図9の中央図に示すように、たとえば流路部42の側壁45(たとえば長辺側壁45a)には、流路43を狭める方向への圧力F1が作用する。流路部42を含む流体素子40は、上記したように弾性変形可能に形成されることから、側壁45(たとえば長辺側壁45a)は、流路43を狭める方向へ変形する。なお、
図9では、流路43の変形を誇張して示している。
【0064】
流路部42において流路43を狭める方向への変形が続くと、流路部42の弾性力F2が増加する。そして、弾性力F2が圧力F1を上回ると、
図9の右図に示すように、流路部42(たとえば長辺側壁45a)は、流路43を膨らます方向へ変形する、正確には元に戻す方向へ変形する。
【0065】
流路部42は、流路43を元に戻す方向へ変形すると、流路部42の弾性力F2は減少する。流路部42には、負圧による圧力F1がまだ作用し続けていることから、圧力F1が弾性力F2を上回り、流路部42は再び流路43を狭める方向へ変形する(
図9の中央図参照)。
【0066】
このように、流体素子40の流路部42においては、流路43を狭める方向への変形と元に戻す方向への変形とが繰り返されることがあり、かかる現象を本明細書では「ハンチング」と称する。
【0067】
そこで、本実施形態に係る散水部材4にあっては、流路部42の変形を抑制することで、ハンチングの発生を抑制できる構成とした。
【0068】
詳しくは、
図5および
図6に示すように、散水部材4は、連結部47と、リブ部48とをさらに備える。なお、連結部47およびリブ部48はいずれも、流路部42の側壁45の変形を抑制する変形抑制部の一例である。
【0069】
連結部47およびリブ部48は、フランジ部41や流路部42と一体的に形成されるが、これに限定されるものではなく、別体に形成されてもよい。
【0070】
連結部47は、複数の流路部42同士を連結するように形成される。具体的には、連結部47は、隣接する流路部42同士を連結するように形成される。
【0071】
これにより、流路部42の側壁45の変形を抑制することができる。すなわち、たとえば、流路部42内に負圧が生じて流路部42に流路43を狭める方向への圧力F1(
図9参照)が作用した場合であっても、流路部42は、隣接する流路部42に連結部47で連結されているため、
図6に示すように、流路部42には、流路43を狭める方向とは反対方向へ引っ張る力F3が連結部47から作用することとなる。
【0072】
これにより、流路部42の側壁45に作用していた圧力F1は、連結部47からの引っ張る力F3により弱まり、よって流路部42の側壁45の変形を抑制することができる。また、流路部42の側壁45は、流路43を狭める方向へ変形しにくいことから、上記したハンチングの発生も抑制することができる。
【0073】
リブ部48は、流路部42とフランジ部41とを連結するように形成される。具体的には、リブ部48は、複数の流路部42のうち、一方の長辺側壁45a側に流路部42が存在しない流路部42(
図5,6に示す例では、紙面最上方と最下方の流路部42)と、フランジ部41とを連結するように形成される。
【0074】
リブ部48についても、連結部47と同様の理由から、流路部42の側壁45の変形を抑制することができる。すなわち、たとえば、流路部42に圧力F1(
図9参照)が作用した場合であっても、流路部42は、フランジ部41にリブ部48で連結されているため、
図6に示すように、流路部42には、流路43を狭める方向とは反対方向へ引っ張る力F4がリブ部48から作用することとなる。
【0075】
これにより、流路部42の側壁45に作用していた圧力F1は、リブ部48からの引っ張る力F4により弱まり、よって流路部42の側壁45の変形を抑制することができる。また、流路部42の側壁45は、流路43を狭める方向へ変形しにくいことから、上記したハンチングの発生も抑制することができる。
【0076】
連結部47およびリブ部48は、流路部42の長辺側壁45aに設けられる、詳しくは、長辺側壁45aの中央付近に設けられる。このように、流路部42の側壁45のうち、短辺側壁45bに比べて変形し易い長辺側壁45aに、連結部47およびリブ部48を設けることで、流路部42の側壁45の変形を効果的に抑制することができる。なお、連結部47やリブ部48は、短辺側壁45bに設けられてもよい。
【0077】
連結部47およびリブ部48は、流路部42の湯水衝突部44より上流側の部位42aに設けられる。たとえば、上流側の部位42aにハンチングが発生すると、湯水衝突部44の下流側に所望の渦が発生しないおそれがあるが、上記のように構成することで、上流側の部位42aの変形を効果的に抑制することができ、よってハンチング自体の発生を防ぐことが可能となる。
【0078】
上述してきたように、第1の実施形態に係る吐水装置1は、ケース部3と、散水部材4とを備える。ケース部3は、挿通孔33を有する。散水部材4は、ケース部3の内側に取り付けられる。また、散水部材4は、ケース部3の内面3a側に配置されるフランジ部41と、フランジ部41に設けられるとともに挿通孔33に挿通され湯水が流通する流路部42と、流路部42に設けられ流通する湯水の衝突により渦を生じさせる湯水衝突部44とを備える。流路部42は、湯水衝突部44より上流側の部位42aが、フランジ部41よりもケース部3の内側に突出するように形成される。
【0079】
また、流路部42は弾性変形可能に構成されることから、たとえば、流路部42の流路43内にスケールが発生した場合であっても、ユーザは流路部42付近を触って変形させるだけで、スケールを除去することが可能となる。
【0080】
(変形例)
次に、第1の実施形態の変形例について
図10A,10Bを参照して説明する。
図10Aは、第1の変形例に係る散水部材4の模式部分平面図であり、
図10Bは、第2の変形例に係る散水部材4の模式部分平面図である。なお、
図10A,10Bは、
図6の散水部材4の模式平面図と対応する図である。
【0081】
図10Aに示すように、第1の変形例にあっては、連結部47およびリブ部48が、流路部42の長辺側壁45aの長辺方向の全長に亘って設けられるようにした。これにより、短辺側壁45bに比べて変形し易い長辺側壁45aの変形をより効果的に抑制することができる。
【0082】
図10Bに示すように、第2の変形例にあっては、連結部47およびリブ部48が、流路部42の長辺側壁45aの長辺方向の両端付近に設けられるようにした。これにより、長辺側壁45aの変形をより効果的に抑制することができる。
【0083】
(第2の実施形態)
<4.第2の実施形態に係る吐水装置>
次に、第2の実施形態に係る吐水装置100について説明する。なお、以下では、上記した実施形態と共通の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0084】
図11は、第2の実施形態に係る吐水装置100の外観図である。また、
図12は、第2の実施形態に係る吐水装置100の分解図である。
【0085】
図11および
図12に示すように、吐水装置100は、ケース部103と、通水部材105と、散水部材4とを備える。また、散水部材4は、流体素子40と、フランジ部41(後述する
図13参照)と、吐水部170とを備える。
【0086】
ケース部103は、第1のケース部103aと、第2のケース部103bとを備える。第1のケース部103aは、通水部材105および散水部材4を収容可能に形成され、通水部材105等を収容した状態で、開口103a1が第2のケース部103bによって塞がれる。また、第1のケース部103aの基端部には、シャワーホース2(
図11参照)が接続可能とされる。
【0087】
第2のケース部103bは、円盤状に形成されるとともに、流路部42が挿通される挿通孔33と、吐水部170と対応する散水孔134が形成される。
【0088】
通水部材105は、第1の通水部材105aと、第2の通水部材105bとを備える。第1の通水部材105aは、給水源に接続され、給水源から供給される湯水を第2の通水部材105bへと導く。第2の通水部材105bは、第1の通水部材105aから供給された湯水を散水部材4の流路部42や吐水部170へ導く。
【0089】
散水部材4は、円盤状の部材であり、吐水装置100の組み立て状態では、第2のケース部103bの内面と第1の通水部材105aとの間に配置される。
【0090】
吐水部170は、湯水衝突部44を備えない流路部であり、第2の通水部材105bから供給された湯水を散水孔134からそのまま吐水させる。すなわち、第2の実施形態に係る吐水装置100は、流体素子40からの波状の吐水と、吐水部170からの通常の吐水とを行うことが可能に構成される。なお、吐水装置100にあっては、波状の吐水および通常の吐水のいずれか一方を行うようにしても、同時に行うようにしてもよい。
【0091】
次に、第2の実施形態に係る散水部材4について
図13を参照して説明する。
図13は、流体素子40を有する散水部材4の平面図である。
図13は、散水部材4を第2の通水部材105b側からみたとき、言い換えれば、流路部42の上流側から下流側をみたときの平面図である。
【0092】
散水部材4は、流路部42を複数(たとえば4個)備える。複数の流路部42は、散水部材4の中心点Eを中心とした周方向に沿って略等角度間隔に配置される。流路部42はそれぞれ、対向する短辺側壁45bが散水部材4の径方向に並ぶとともに、対向する長辺側壁45aが周方向に並ぶ向きで配置される。なお、流路部42が配置される位置や向き、個数は、あくまでも一例であって限定されるものではない。
【0093】
散水部材4は、複数の流路部42同士、詳しくは、隣接する流路部42の長辺側壁45a同士を連結する連結部47を備える。なお、
図13にあっては、理解の便宜のため、連結部47をドットで示した。連結部47は、周方向に沿うとともに、外周側に突出するように湾曲して形成される。
【0094】
これにより、第2の実施形態にあっては、第1の実施形態と同様、流路部42の側壁45(たとえば長辺側壁45a)の変形を抑制することができる。
【0095】
なお、上記した第1、第2の実施形態では、隣接する流路部42がある場合、隣接する流路部42同士を連結する連結部47を設けるようにしたが、これに限定されるものではなく、リブ部48を設けるようにしてもよく、さらには連結部47とリブ部48とを適宜に組み合わせて流路部42に設けるようにしてもよい。
【0096】
なお、散水部材4において、上記あるいは図示した連結部47やリブ部48を全て備えることを要さず、一部を除去するように構成してもよい。また、上記では、散水部材4は、複数の流路部42を備えるようにしたが、1個であってもよい。かかる場合は、1個の流路部42にリブ部48を設けることができる。
【0097】
また、上記では、変形抑制部の例として連結部47やリブ部48を挙げたが、これらに限定されるものではない。例えば、湯水の流通方向から見て矩形形状で中空に形成された硬質の部材(たとえば金属製の部材)を、流路部42の側壁45の内周側(すなわち流路43内)や外周側に取り付けて、流路部42の側壁45の変形を抑制する変形抑制部として機能させてもよい。
【0098】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。