【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成26年度から平成29年度、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「海洋エネルギー技術研究開発/海洋エネルギー発電システム実証研究/水中浮遊式海流発電」共同研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1〜5に開示されたような海流発電および洋上発電のシステムは大規模である。従って、陸上において全ての設備を係留索や水中ケーブル等で接続し、設置場所まで移動させることは現実的ではない。そこで、発電装置を構成する個々の構成物を、設置場所まで構成物単位で運搬した後に、設置場所において連結する工程も考えられる。しかし、連結部分が水中に配置される場合もあり、当該連結部分を水中において連結させることは容易ではない。さらに、メンテナンス等の理由により、水中に配置されている構成物を回収することもあり得る。しかし、連結部分が水中に配置されているので、水中において構成物同士の連結を解除する作業を行うことも容易ではない。
【0006】
そこで、本発明は、水中に配置される発電装置に関する作業性を向上させ得る発電装置の係留構造、発電装置の回収方法、および発電装置の配置方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一形態は、水底に設置された支持具に水中浮遊式の発電装置を係留する発電装置の係留構造であって、一端が支持具に連結される第1係留索と、一端が発電装置に連結される第2係留索と、第1係留索の他端に第2係留索の他端を着脱可能に連結する連結具と、一端が発電装置に着脱可能に連結され、他端が連結具に連結される回収索と、を備える。
【0008】
この係留構造によれば、支持具に対して発電装置が第1係留索と連結具と第2係留索とを介して連結されている。具体的には、第1係留索と第2係留索とは連結具によって互いに連結されている。ここで、連結具には、回収索の他端が連結されており、当該回収索の一端は発電装置に着脱可能に連結されている。そうすると、発電装置を水面上まで移動させると、回収索の一端も水面上まで移動する。一方、この状態では、連結具は未だ水中に配置されている。そして、水面上における回収索の一端を牽引すれば、回収索の他端に連結された連結具を水面まで持ち上げることが可能になる。連結具を水面まで持ち上げることにより、第1係留索の他端および第2係留索の他端の少なくとも一方を容易に連結具から取り外すことができる。第1係留索および第2係留索の少なくとも一方を連結具から取り外せば、支持具と発電装置との連結状態が解除される。従って、この係留構造によれば、支持具と発電装置との連結を解除する作業を水面上で行うことが可能である。そうすると、当該作業を水中において行う場合よりも制約が大幅に少なくなるので、発電装置に関する作業性を向上させることができる。
【0009】
連結具は、第1係留索の他端が機械的に連結される第1連結部と、第2係留索の他端が機械的に連結される第2連結部と、を有してもよい。この連結具によれば、第1係留索と第2係留索とを機械的に連結することができる。
【0010】
本発明の一形態である発電装置の係留構造は、一端が支持具側に延びる第1ケーブルと、一端が発電装置に電気的に接続される第2ケーブルと、第1ケーブルの他端に第2ケーブルの他端を着脱可能に接続するケーブル接続具と、をさらに備え、ケーブル接続具は、連結具に取り付けられてもよい。この係留構造によれば、水面上に引き上げることが可能な連結具にケーブル接続具が取り付けられている。従って、第1係留索と第2係留索との連結を解除する作業を行う際に、第1ケーブルと第2ケーブルとの接続を解除する作業も行うことが可能である。従って、発電装置に関する作業性をさらに向上させることができる。
【0011】
本発明の別の形態は、水底に設置された支持具に係留された水中浮遊式の発電装置を回収する発電装置の回収方法であって、水中に配置された発電装置を水面まで移動させる工程と、発電装置に着脱可能に取り付けられた回収索の一端を保持する工程と、回収索の一端を牽引して、回収索の他端に連結された連結具を水面まで移動させる工程と、一端が支持具に連結されると共に他端が連結具に連結された第1係留索、および、一端が発電装置に連結されると共に他端が連結具に連結された第2係留索の少なくとも一方の他端を、連結具から取り外す工程と、を有する。
【0012】
この回収方法によれば、発電装置を水面上まで移動させると回収索の一端も水面上まで移動する。そして、水面上における回収索の一端を牽引すれば、回収索の他端に連結された連結具を水面まで持ち上げることが可能になる。連結具を水面まで持ち上げることにより、第1係留索の他端および第2係留索の他端の少なくとも一方を容易に連結具から取り外すことができる。第1係留索および第2係留索の少なくとも一方を連結具から取り外せば、支持具と発電装置との連結状態が解除される。従って、この回収方法によれば、支持具と発電装置との連結を解除する作業を水面上において行うことが可能である。そうすると、当該作業を水中において行う場合よりも制約が大幅に少なくなるので、発電装置に関する作業性を向上させることができる。
【0013】
本発明のさらに別の形態は、水底に設置された支持具に係留される水中浮遊式の発電装置を配置する発電装置の配置方法であって、一端が水底に設置された支持具に連結されると共に他端が水上に位置された第1係留索を準備する工程と、一端が水上の発電装置に連結されると共に他端が水上に位置された第2係留索を準備する工程と、第1係留索の他端と第2係留索の他端とを連結具を用いて連結する工程と、第1係留索の他端と第2係留索の他端とが連結された連結具を水中に配置する工程と、を有する。
【0014】
この配置方法によれば、運用状態において水中に配置される連結具に対して、第1係留索と第2係留索とを水面上において連結することが可能になる。従って、支持具と発電装置との連結作業を水中において行う場合よりも制約が大幅に少なくなるので、発電装置に関する作業性をさらに向上させることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、水中に配置される発電装置に関する作業性を向上させ得る発電装置の係留構造、発電装置の回収方法、および、発電装置の配置方法が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照しながら本発明を実施するための形態を詳細に説明する。図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0018】
以下の説明において、「上流」または「下流」との語は、水の流れを基準として用いられる。また、「前」との語は、水の流れの上流側を意味し、「後」との語は、水の流れの下流側を意味する。例えば、ダウンウィンド型のタービンが用いられる場合には、ポッドの後部側にブレード(翼)が配置される。
【0019】
図1を参照して、本実施形態の係留構造1が適用される発電システムGについて説明する。
図1に示されるように、発電システムGは、水中浮遊式の発電装置10が係留構造1によってアンカー21に係留された構成を有する。すなわち、発電システムGは、係留構造1と、発電装置10と、アンカー21と、送電ケーブル22とを有する。
【0020】
発電装置10は、例えば海水中に設置されて浮遊し、海流を利用して発電を行う。発電装置10は、左右に離間して配置された一対のポッドである第1ポッド12Aおよび第2ポッド12Bと、第1ポッド12Aおよび第2ポッド12Bを連結するクロスビーム13とを備える。第1ポッド12Aの後部には、発電用タービン14Aが設けられている。
発電用タービン14Aには、第1ブレード16Aが取り付けられている。第2ポッド12Bの後部には、発電用タービン14Bが設けられている。発電用タービン14Bには、第2ブレード16Bが取り付けられている。以下の説明では、発電用タービン14A,14Bを、それぞれ、第1タービン14Aおよび第2タービン14Bという。
【0021】
第1ポッド12Aは、第1タービン14Aを回転可能に支持しつつ、第1タービン14Aに適正な浮力を付与する。第2ポッド12Bは、第2タービン14Bを回転可能に支持しつつ、第2タービン14Bに適正な浮力を付与する。第1ポッド12Aおよび第2ポッド12Bは、円筒状をなしており、例えば、同じ大きさおよび構造を有している。
【0022】
第1ポッド12Aおよび第2ポッド12Bの間には、これらを連結する構造体であるクロスビーム13が延在している(すなわち横断するように延びている)。クロスビーム13は、前後方向に所定の長さを有し、所定の厚みを有する。クロスビーム13は、浮遊する発電装置10の姿勢を安定させるべく、例えば翼形状をなしている。クロスビーム13の左右の両端は、例えば、第1ポッド12Aおよび第2ポッド12Bの胴部の略中央にそれぞれ固定されている。なお、クロスビーム13が固定される位置は、上記の位置に限られない。クロスビーム13は、ポッドの上部または下部に固定されてもよいし、ポッドの前部または後部に固定されてもよい。クロスビーム13は、その延在方向(すなわち横断方向)において等しい断面形状を有してもよく、延在方向において変化する断面形状を有してもよい。クロスビーム13の中央に、ポッドと同様の円筒状の物体が設けられてもよい。
【0023】
発電装置10に適用される第1タービン14Aおよび第2タービン14Bは、いわゆるダウンウィンド型のタービンである。第1ポッド12Aおよび第2ポッド12Bは、海流の向きに対向した姿勢で浮遊する。この浮遊状態において、第1タービン14Aおよび第2タービン14Bの回転軸線は、略水平に維持される。なお、第1タービン14Aおよび第2タービン14Bは、アップウィンド型のタービンであってもよい。
【0024】
発電装置10は、水底WBに固定された支持具としてのアンカー21に対して、係留構造1を介して連結されている。なお、支持具としては、アンカー21に代えてシンカーを用いてもよい。係留構造1は、第1係留索2と一対の第2係留索3A,3Bと送電ケーブル4と、連結具30と、回収索7とを有している。
【0025】
係留構造1は、連結具30がアンカー21と発電装置10との間の途中部分に設けられることで、第1係留索2および第2係留索3A,3BがY字状をなしている。送電ケーブル4は、第1係留索2および第2係留索3A,3Bに沿うように設けられ、発電装置10からアンカー21に電力を送電する。
【0026】
第1係留索2は、ワイヤロープといった索体である。第1係留索2は、一端2a(下端)がシャックル等によりアンカー21に連結されている。また、第1係留索2の一端2aは、アンカー21に対して360度回転可能であるように連結されている。第1係留索2の他端2b(上端)は、シャックル等により連結具30に連結されている。
【0027】
一対の第2係留索3A,3Bのそれぞれは、第1係留索2と同様にワイヤロープといった索体である。一対の第2係留索3A,3Bは、それぞれの一端3a(上端)がシャックル等により発電装置10に連結されている。一対の第2係留索3A,3Bは、それぞれの他端3b(下端)がシャックル等により連結具30に連結されている。発電装置10は、一対の第2係留索3A,3Bによって、異なる2点で係留されている。より詳細には、一方の第2係留索3Aの上端(一端)は、クロスビーム13に対し、上流側から見て左側に接続されている。他方の第2係留索3Bの上端(一端)は、クロスビーム13に対し、上流側から見て右側に接続されている。クロスビーム13に対する一方の第2係留索3Aの係留点と、クロスビーム13に対する他方の第2係留索3Bの係留点とは、クロスビーム13の延在方向に所定の長さ離間している。
【0028】
第1係留索2および第2係留索3A,3Bに沿うようにして、送電ケーブル4が設けられている。送電ケーブル4は、第1タービン14Aおよび第2タービン14Bにおいて発電された電力を送電する。より詳細には、第1タービン14Aで発電された電力を送電する送電ケーブル4bが、第2係留索3Aに沿って設けられており、第2タービン14Bで発電された電力を送電する送電ケーブル4bが、第2係留索3Bに沿って設けられている。送電ケーブル4bのそれぞれの一端は、第1ポッド12Aおよび第2ポッド12B内の発電機に接続されている。送電ケーブル4aの他端は、例えばアンカー21内に設けられた中継器(または変圧器等)に接続されている。中継器には、水底WBに敷設されて地上まで延びる送電ケーブル22が接続されており、これらの送電ケーブル22を介して、第1タービン14Aおよび第2タービン14Bにおいて発電された電力が地上に送電される。
【0029】
なお、各ケーブルが設けられる形態は上記形態に限られない。例えば、送電ケーブル4が、始動時のための給電ケーブルと一体になっていてもよい。第1タービン14Aに接続されたケーブルが給電ケーブルであり、第2タービン14Bに接続されたケーブルが送電ケーブルであってもよい。中継器は、アンカー21外の水底WBに設定されてもよい。また、送電ケーブル4は、アンカー21から発電装置10へ制御信号を送信する通信ケーブルを含んでもよい。
【0030】
図2に示されるように、連結具30は、第1係留索2と一対の第2係留索3A,3Bとを機械的に互いに連結する。さらに、連結具30は、発電装置10から延びる送電ケーブル4a(第1ケーブル)をアンカー21から延びる送電ケーブル4b(第2ケーブル)に接続する。
【0031】
連結具30は、厚板状の連結基体31と、連結基体31に取り付けられた連結索32とを有する。連結基体31は、第1係留索2のための第1連結穴33(第1連結部)と、一対の第2係留索3A,3Bのための一対の第2連結穴34A,34B(第2連結部)とを有する。連結基体31が矩形状である場合、第1連結穴33および第2連結穴34A,34Bは、連結基体31の角部にそれぞれ設けられている。一対の第2連結穴34A,34Bは、互いに対向する角部にそれぞれ設けられている。第1連結穴33は、一対の第2連結穴34A,34Bが設けられた角部の間の別の角部に設けられている。このような第1連結穴33および第2連結穴34A,34Bの配置によれば、第1係留索2における力が一対の第2係留索3A,3Bに分解するように連結されるため、発電装置10を安定して係留させることができる。第1連結穴33には、連結索32の一端がシャックルSにより着脱可能に連結されている。第2連結穴34A,34Bも同様に、第2係留索3A,3Bの他端3bがシャックルSにより着脱可能に連結されている。
【0032】
連結索32は、上述したように一端が連結基体31の第1連結穴33に連結されている。連結索32の他端は、第1係留索2の他端2bに連結されている。また、連結索32は、その一端と他端との間に設けられたケーブル保持具37を有している。ケーブル保持具37は、ケーブル接続具4cが着脱可能に取り付けられて、ケーブル接続具4cを機械的に保持するものである。
【0033】
ここで、連結基体31には、さらに第3連結穴36が設けられている。第3連結穴36は、回収索7を連結するためのものである。第3連結穴36は、第1連結穴33が設けられた角部に対抗する別の角部に設けられている。
【0034】
回収索7は、上述したように他端7b(下端)が連結基体31に連結されている。回収索7の一端7aは、発電装置10に着脱可能に連結されている。回収索7の一端7aは、水面上において発電装置10を浮遊状態とさせた場合に、水面上に露出する発電装置10の一部に連結される。例えば、回収索7の一端7aは、発電装置10に設けられた丸カンといった部材によって保持されていてもよい。この場合には、回収索7の一端7aを牽引すると、丸カンを支点として連結具30を発電装置10に引き寄せることが可能になる。
【0035】
この係留構造1によれば、アンカー21に対して発電装置10が、第1係留索2と連結具30と第2係留索3A,3Bとを介して連結されている。具体的には、第1係留索2と第2係留索3A,3Bとは連結具30によって互いに連結されている。ここで、連結具30には、回収索7の他端7bが連結され、回収索7の一端7aは発電装置10に着脱可能に連結されている。そうすると、発電装置10を水面上まで移動させると、回収索7の一端7aも水面WSまで移動する。一方、この状態では、連結具30は未だ水中に配置されている。そして、水面WSにおける回収索7の一端7aを牽引すれば、回収索7の他端7bに連結された連結具30を水面WSまで持ち上げることが可能になる。連結具30を水面WSまで持ち上げることにより、第2係留索3A,3Bの他端3bの少なくとも一方を容易に連結具30から取り外すことができる。第2係留索3A,3Bを連結具30から取り外せば、アンカー21と発電装置10との連結状態が解除される。従って、この係留構造1によれば、アンカー21と発電装置10との連結を解除する作業を水面WSより上において行うことが可能である。そうすると、アンカー21と発電装置10との連結を解除する作業を水中において行う場合よりも制約が大幅に少なくなるので、発電装置10に関する作業性を向上させることができる。
【0036】
<回収方法>
発電装置10を水中から回収する方法を説明する。
図3の(a)部に示されるように、発電装置10を運用している状態では、発電装置10は、水底WBと水面WSとの間に配置されている。発電装置10は、係留構造1によってアンカー21に支持されている。また、発電装置10は、自己が位置すべき水深に留まる機能および水深方向に移動する機能を有する。以下、この発電装置10をメンテナンス等の理由により水中から回収する工程について詳細に説明する。
【0037】
図3の(b)部に示されるように、まず、発電装置10を制御して、発電装置10を水面WSまで移動させる。このとき、発電装置10の一部は、水面WSより上に露出している。露出した部分には、回収索7の一端7aが含まれている。
【0038】
次に、
図4の(a)部に示されるように、作業台船100を発電装置10に近づける。そして、露出している回収索7の一端7aを保持する。
【0039】
次に、
図4の(b)部に示されるように、作業台船100を移動させることにより保持した回収索7の一端7aを牽引する。回収索7の牽引に伴って、回収索7の他端に連結されている連結具30が発電装置10に近づいていく。換言すると、連結具30は水面WSに近づいていく。そして、最終的には、連結具30の一部が水面WSより上に露出する。なお、回収索7の牽引は、作業台船100を移動させることなく、ウインチ等の巻き上げにより行われてもよい。
【0040】
次に、
図5の(a)部に示されるように、水面WSより上に露出した連結具30の一部にワイヤ105を連結する。このとき、回収索7の保持は解除しない。
【0041】
次に
図5の(b)部に示されるように、連結具30に連結したワイヤ105を巻き上げつつ、回収索7の一端7aに連結したワイヤ106を送り出す。そうすると、連結具30をさらに上方に移動させることとなり、最終的には、連結具30の全体が作業台船100上に引き揚げられる。
【0042】
そして、
図6の(a)部に示されるように、連結具30と第1係留索2との連結を解除する。具体的には、
図6の(b)部に示されるように、第1連結穴33に取り付けられているシャックルSにおいて、連結状態を解除する。さらに、ケーブル保持具37からケーブル接続具4cを取り外し、ケーブル接続具4cの接続状態も解除する。そうすると、発電装置10は、アンカー21から機械的および電気的に切り離された状態となる。
【0043】
そして、発電装置10から切り離された連結索32の先端37aに浮遊ブイ102を取り付けておき、再び発電装置10を取り付ける際の目印とする。なお、連結具30はその位置が特定できる手段を施した後に、水底WBに配置させてもよい。
【0044】
以上の工程により、水中に配置された発電装置10が回収される。
【0045】
この回収方法によれば、発電装置10を水面WSの上まで移動させると、回収索7の一端7aも水面WSの上まで移動する。そして、回収索7の一端7aを牽引すれば、回収索7の他端7bに連結された連結具30を水面WSまで持ち上げることが可能になる。連結具30を水面WSまで持ち上げることにより、第2係留索3A,3Bの他端3bを容易に連結具30から取り外すことができる。第2係留索3A,3Bを連結具30から取り外せば、アンカー21と発電装置10との連結状態が解除される。従って、この回収方法によれば、アンカー21と発電装置10との連結を解除する作業を水面WSの上において行うことが可能である。そうすると、アンカー21と発電装置10との連結を解除する作業を水中において行う場合よりも制約が大幅に少なくなるので、発電装置10に関する作業性を向上させることができる。
【0046】
<配置方法>
次に、発電装置を水中へ配置する方法を説明する。
【0047】
まず、
図7の(a)部に示されるように、第1係留索2の一端2aが連結されたアンカー21を準備する。この第1係留索2が連結されたアンカー21は、既に水底WBに配置されていてもよいし、作業台船100上に配置されていてもよい。ここで、第1係留索2の他端2bは、水面上に保持しておく。例えば、第1係留索2の他端2bを作業台船100上に保持しておく。また、第1係留索2に沿うように設けられている送電ケーブル4の他端も同様に作業台船100上に保持しておく。また、メンテナンス等が完了した発電装置10を準備する。なお、発電装置10は、新規に竣工されたものであってもよい。
【0048】
次に、
図7の(b)部に示されるように、作業台船100上に保持していた第1係留索2の他端2bを連結具30に連結する。この連結作業には、発電装置10から延びる送電ケーブル4bを、アンカー21から延びる送電ケーブル4aに接続する作業を含む。この工程により、発電装置10とアンカー21とが機械的に連結されると共に電気的に接続される。
【0049】
次に、
図8の(a)部に示されるように、連結具30をクレーン104等により吊り上げる。このとき、クレーン104のワイヤと連結具30とをクイックリリーサ(不図示)等により連結する。クイックリリーサは、リリーサの本体から延びる操作用のワイヤを引っ張ることにより、遠隔的にクレーン104のワイヤと連結具30との連結を解除することができるものである。そして連結具30を水中につり下ろす。所定の水深までつり下ろした後に、クイックリリーサを動作させて、クレーン104のワイヤと連結具30との連結を解除する(
図8の(b)部参照)。最後に、発電装置10を制御して、所定の水深まで移動させる(
図9参照)。以上の工程により、発電装置10が水中へ配置される。
【0050】
この配置方法によれば、運用状態において水中に配置される連結具30に対して、第1係留索2と第2係留索3A,3Bとを水面上において連結することが可能になる。従って、アンカー21と発電装置10との連結作業を水中において行う場合よりも作業に関する制約が大幅に少なくなるので、発電装置10に関する作業性を向上させることができる。
【0051】
以上、本発明をその実施形態に基づいて詳細に説明した。しかし、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
【0052】
発電装置10は、海水中に設置される場合に限定されることはない。例えば、発電装置10は、淡水中に配置されてもよい。
【0053】
発電装置10は、一対の発電用タービンを備える構成に限定されることはない。例えば、発電装置10は、一基のポッドと発電用タービンとを備える構成であってもよい。
【0054】
係留構造1は、全体としてY字形状に限定されることはない。例えば、係留構造1は、全体としてV字形状を呈するものとしてもよい。この場合には、アンカー21から一対の第1係留索が延び、それぞれの第1係留索の上端に連結具30がそれぞれ接続される。そして、それぞれの連結具30に対して第2係留索が連結される。