(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6879063
(24)【登録日】2021年5月7日
(45)【発行日】2021年6月2日
(54)【発明の名称】回収砂冷却システム及び回収砂冷却方法
(51)【国際特許分類】
B22C 5/08 20060101AFI20210524BHJP
【FI】
B22C5/08
【請求項の数】7
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-114143(P2017-114143)
(22)【出願日】2017年6月9日
(65)【公開番号】特開2018-202473(P2018-202473A)
(43)【公開日】2018年12月27日
【審査請求日】2019年5月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000191009
【氏名又は名称】新東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】小倉 裕一
(72)【発明者】
【氏名】酒井 毅
(72)【発明者】
【氏名】原田 久
【審査官】
酒井 英夫
(56)【参考文献】
【文献】
特開2017−001064(JP,A)
【文献】
特開2001−259789(JP,A)
【文献】
特開平08−309477(JP,A)
【文献】
国際公開第2013/118477(WO,A1)
【文献】
特開昭57−050236(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22C 5/00−5/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回収砂を冷却し、冷却回収砂の水分量を調整する回収砂冷却システムであって、
前記回収砂の水分量と温度を測定する砂水分温度測定器と、
前記回収砂に加える水の量である、適正加水量を決定する制御装置と、
前記適正加水量の水を前記回収砂に加え、攪拌して水分を分散させて加水回収砂とする散水装置と、
前記加水回収砂を空気に接触させることにより水の蒸発潜熱で冷却して前記冷却回収砂とする冷却装置と、
該冷却装置に空気を導入する空気導入装置と、
前記冷却装置に導入される導入空気の温度を測定する導入空気温度測定器と、
前記散水装置に回収砂を搬送するベルトフィーダーと、
を備え、
前記制御装置は、前記回収砂の水分量と温度、及び、前記導入空気の温度を基に、前記適正加水量を決定し、
前記回収砂の水分量と温度、及び、前記導入空気の温度を含む要素に基づいて、前記ベルトフィーダーを制御する、回収砂冷却システム。
【請求項2】
前記導入空気の風量を測定する風量測定器と、
前記導入空気を加熱する空気加熱装置と、を備え、
前記制御装置は、前記風量を更に基にして前記適正加水量を決定し、
前記回収砂の水分量と温度、及び、前記導入空気の温度を含む要素に基づいて、前記空気加熱装置を制御する、請求項1に記載の回収砂冷却システム。
【請求項3】
回収砂を冷却し、冷却回収砂の水分量を調整する回収砂冷却システムであって、
前記回収砂の水分量と温度を測定する砂水分温度測定器と、
前記回収砂に加える水の量である、適正加水量を決定する制御装置と、
前記適正加水量の水を前記回収砂に加え、攪拌して水分を分散させて加水回収砂とする散水装置と、
前記加水回収砂を空気に接触させることにより水の蒸発潜熱で冷却して前記冷却回収砂とする冷却装置と、
該冷却装置に空気を導入する空気導入装置と、
前記冷却回収砂の水分量と温度を測定する冷却回収砂水分温度測定器と、
を備え、
前記制御装置は、前記回収砂の水分量と温度、及び、前記冷却回収砂の水分量と温度を基に、前記適正加水量を決定し、
前記回収砂の水分量と温度、及び、前記冷却回収砂の水分量と温度を含む要素に基づいて、前記空気導入装置を制御する、回収砂冷却システム。
【請求項4】
前記冷却装置に導入される導入空気の風量を測定する風量測定器と、
前記散水装置に回収砂を搬送するベルトフィーダーと、
前記導入空気を加熱する空気加熱装置と、を備え、
前記制御装置は、前記風量を更に基にして前記適正加水量を決定し、
前記回収砂の水分量と温度、及び、前記冷却回収砂の水分量と温度を含む要素に基づいて、前記ベルトフィーダーと前記空気加熱装置を制御する、請求項3に記載の回収砂冷却システム。
【請求項5】
回収砂を冷却し、冷却回収砂の水分量を調整する回収砂冷却方法であって、
前記回収砂の水分量と温度を測定し、
前記回収砂に加える水の量である、適正加水量を決定し、
前記適正加水量の水を前記回収砂に加え、攪拌して水分を分散させて加水回収砂とし、
空気導入装置により空気を導入しながら前記加水回収砂を空気に接触させることにより水の蒸発潜熱で冷却して、前記冷却回収砂とし、
前記空気導入装置により導入される導入空気の温度を測定すること、
前記回収砂をベルトフィーダーにより前記適正加水量の水を加え加水回収砂とする位置に搬送すること、を含むものであり、
前記回収砂の水分量と温度、及び、前記導入空気の温度を基に、前記適正加水量を決定し、
前記回収砂の水分量と温度、及び、前記導入空気の温度を含む要素に基づいて、前記ベルトフィーダーを制御する、回収砂冷却方法。
【請求項6】
回収砂を冷却し、冷却回収砂の水分量を調整する回収砂冷却方法であって、
前記回収砂の水分量と温度を測定し、
前記回収砂に加える水の量である、適正加水量を決定し、
前記適正加水量の水を前記回収砂に加え、攪拌して水分を分散させて加水回収砂とし、
空気導入装置により空気を導入しながら前記加水回収砂を空気に接触させることにより水の蒸発潜熱で冷却して、前記冷却回収砂とし、
前記冷却回収砂の水分量と温度を測定することを含むものであり、
前記回収砂の水分量と温度、及び、前記冷却回収砂の水分量と温度を基に、前記適正加水量を決定し、
前記回収砂の水分量と温度、及び、前記冷却回収砂の水分量と温度を含む要素に基づいて、前記空気導入装置を制御する、回収砂冷却方法。
【請求項7】
前記空気導入装置により導入される導入空気の風量を測定すること、
前記導入空気を空気加熱装置により加熱すること、
を更に含み、
前記風量を更に基にして前記適正加水量を決定し、
前記回収砂の水分量と温度を含む要素に基づいて、前記空気加熱装置を制御する、請求項5又は請求項6に記載の回収砂冷却方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生型鋳型に好適な、回収砂冷却システム及び回収砂冷却方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
周知のように、生型砂を鋳型として使用した鋳造方法である生型鋳造が、広く行われている。生型鋳造においては、鋳型の中に鋳込まれた溶湯金属が凝固した後に、型ばらしがなされて、鋳物から、鋳型として使用された砂が分離される。分離された砂は、回収砂として回収され、異物除去や砂冷却が行われた後に混練調整されて、生型の造型に再度使用される。
【0003】
回収砂の砂温や水分は後の混練工程や造型工程に影響を及ぼす。特に回収砂の砂温が高い状態で混練工程や造型工程に生型砂が送られると、混練機前に設置される生型砂貯留用ホッパの内壁に水分の凝集が原因の砂付着が発生する。また、混練後の砂の乾燥が早まることにより砂同士の結合力が低下し、鋳型の型落ちや砂かみなどの造型不良の原因となる可能性もある。
【0004】
回収砂の冷却は、回収砂に含まれる水分が空気中に蒸発する時の蒸発潜熱を利用して行われることが多い。このような、水分の蒸発潜熱を利用した回収砂の冷却においては、回収砂を目標とする温度に冷却し、なおかつ、冷却後の回収砂が一定の水分量を有するように、冷却前に水が回収砂に散水される。この散水量は、冷却前の回収砂の、量、温度及び水分量の測定値を基に決定される。特許文献1には、上記の各測定値に加え、冷却後の回収砂の温度を基に、散水量を決定することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特公昭62−40098号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
水の蒸発量は、周囲の空気の状態に大きく依存する。しかし、特許文献1は、冷却装置中の空気の状態を考慮することに関して開示がなされていないため、特許文献1に開示されている方法においては、空気の状態によって、回収砂の冷却度合いや、冷却後の回収砂の水分量にばらつきが生じる可能性がある。したがって、安定した冷却、含水結果を得るのが容易ではなく、回収砂の冷却を常に確実に行うことが難しい。
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、回収砂を確実に冷却することが可能な、回収砂冷却システム及び回収砂冷却方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による回収砂冷却システムは、回収砂を冷却し、冷却回収砂の水分量を調整するものであって、前記回収砂の水分量と温度を測定する砂水分温度測定器と、前記回収砂に加える水の量である、適正加水量を決定する制御装置と、前記適正加水量の水を前記回収砂に加え、水の蒸発潜熱で冷却して前記冷却回収砂とする散水冷却装置と、該散水冷却装置に空気を導入する空気導入装置と、前記散水冷却装置に導入される導入空気の温度を測定する導入空気温度測定器と、を備え、前記制御装置は、前記回収砂の水分量と温度、及び、前記導入空気の温度を基に、前記適正加水量を決定する。
【0009】
また、本発明による回収砂冷却システムは、回収砂を冷却し、冷却回収砂の水分量を調整する回収砂冷却システムであって、前記回収砂の水分量と温度を測定する砂水分温度測定器と、前記回収砂に加える水の量である、適正加水量を決定する制御装置と、前記適正加水量の水を前記回収砂に加え、水の蒸発潜熱で冷却して前記冷却回収砂とする散水冷却装置と、該散水冷却装置に空気を導入する空気導入装置と、前記冷却回収砂の水分量と温度を測定する冷却回収砂水分温度測定器と、を備え、前記制御装置は、前記回収砂の水分量と温度、及び、前記冷却回収砂の水分量と温度を基に、前記適正加水量を決定する。
【0010】
また、本発明による回収砂冷却方法は、回収砂を冷却し、冷却回収砂の水分量を調整する回収砂冷却方法であって、前記回収砂の水分量と温度を測定し、前記回収砂に加える水の量である、適正加水量を決定し、前記適正加水量の水を前記回収砂に加え、空気を導入しながら水の蒸発潜熱で冷却して、前記冷却回収砂とし、導入される導入空気の温度を測定することを含むものであり、前記回収砂の水分量と温度、及び、前記導入空気の温度を基に、前記適正加水量を決定する。
【0011】
また、本発明による回収砂冷却方法は、回収砂を冷却し、冷却回収砂の水分量を調整する回収砂冷却方法であって、前記回収砂の水分量と温度を測定し、前記回収砂に加える水の量である、適正加水量を決定し、前記適正加水量の水を前記回収砂に加え、空気を導入しながら水の蒸発潜熱で冷却して、前記冷却回収砂とし、前記冷却回収砂の水分量と温度を測定することを含むものであり、前記回収砂の水分量と温度、及び、前記冷却回収砂の水分量と温度を基に、前記適正加水量を決定する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、回収砂を確実に冷却することが可能な、回収砂冷却システム及び回収砂冷却方法を、提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の第一の実施形態として示した回収砂冷却システムの概略構成図である。
【
図2】本発明の第一の実施形態として示した回収砂冷却システムにおける制御装置のブロック図である。
【
図3】本発明の第二の実施形態として示した回収砂冷却システムの概略構成図である。
【
図4】本発明の第二の実施形態として示した回収砂冷却システムにおける制御装置のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0015】
図1は、本発明の第一の実施形態として示した回収砂冷却システム1の概略構成図である。回収砂とは、生型鋳造において、鋳型の中に鋳込まれた溶湯金属が凝固した後に、鋳型として使用された砂が鋳物から分離されたものである。回収砂は、異物除去や砂冷却が行われた後に混練調整されて、生型の造型に再度使用される。回収砂冷却システム1は、特に生型鋳型における生型回収砂を冷却し、冷却回収砂の水分を調整するシステムである。
【0016】
回収砂冷却システム1は、回収砂の水分量と温度を測定する砂水分温度測定器2と、回収砂に加える水の量である、適正加水量を決定する制御装置3と、適正加水量の水を回収砂に加え、水の蒸発潜熱で冷却して冷却回収砂とする散水冷却装置4、5と、砂冷却装置に空気を導入する空気導入装置6と、砂冷却装置に導入される導入空気の温度を測定する導入空気温度測定器7と、を備えている。
【0017】
以下、回収砂冷却システム1を詳細に説明する。回収砂冷却システム1は、ホッパ8、及びベルトフィーダー9を備えている。ホッパ8には、鋳物から分離された回収砂が貯蔵されている。ベルトフィーダー9は、ホッパ8の下に設けられている。ホッパ8内に貯蔵されている回収砂は、ホッパ8に設けられた回収砂供給口(図示無し)から、ベルトフィーダー9に対して供給される。
【0018】
ベルトフィーダー9は、インバータモータ10を備えており、このインバータモータ10によって駆動されている。インバータモータ10には、後述する制御装置3が電気的に接続されており、制御装置3からの信号に従い、インバータモータ10の回転速度が変化するように構成されている。これにより、ベルトフィーダー9に供給された回収砂は、散水冷却装置4、5へと搬送される。
【0019】
砂水分温度測定器2は、ベルトフィーダー9上に設けられている。ベルトフィーダー9上を搬送される回収砂は、砂水分温度測定器2によって、水分量と温度が測定される。砂水分温度測定器2には、後述する制御装置3が電気的に接続されており、砂水分温度測定器2によって測定された回収砂の水分量と温度は、制御装置3に送信される。
【0020】
散水冷却装置4、5は、散水装置4と、砂冷却装置5を備えている。回収砂冷却システム1は、水源11、及び水量調整弁12を備えており、水源11は散水装置4に接続されて、散水装置4に水を供給する。散水装置4は、ベルトフィーダー9から投入された回収砂に対して水源11から供給される水を散水した後に、回収砂を撹拌して、回収砂中に水分を分散させる。この、散水されて水分が分散された回収砂を、加水回収砂と呼称する。
【0021】
水量調整弁12は、水源11と散水装置4の間に介装されている。水量調整弁12には、後述する制御装置3が電気的に接続されている。水量調整弁12は、水源11から散水装置4に供給される水の量が、制御装置3の算出した、回収砂に加える適正な水の量である適正加水量の値となるように、制御装置3によって制御される。これにより、散水装置4は、適正加水量の水を回収砂に加えて加水回収砂としている。
【0022】
散水装置4により撹拌されて水分が分散された加水回収砂は、散水装置4から排出されて、砂冷却装置5に投入される。砂冷却装置5は、加水回収砂を砂冷却装置5内の空気に接触させることにより冷却する。冷却された回収砂を、冷却回収砂と呼称する。
【0023】
回収砂冷却システム1は、空気加熱装置13と、集塵装置14を備えている。空気加熱装置13、砂冷却装置5、集塵装置14、及び空気導入装置6によって、空気がこの順に流れるように、1本の空気流路が形成されている。この空気流路の末端に設けられた空気導入装置6は、空気を上流の空気加熱装置13の方向から吸引することで空気流路内に空気の流れを作り出し、砂冷却装置5に空気を導入する、吸引型の装置である。
【0024】
空気加熱装置13は、この空気流路の最上流に設けられている。空気加熱装置13は、空気導入装置6の吸引によって外気または室内雰囲気から取り込まれた空気を、必要に応じて加熱して、導入空気として砂冷却装置5へ空気を導入する。空気加熱装置13には、後述する制御装置3が電気的に接続されている。空気加熱装置13は、砂冷却装置5へ導入される導入空気の温度が、制御装置3の算出した適正な空気温度となるように、制御装置3によって制御されて、導入空気を加熱する。
【0025】
砂冷却装置5において、加水回収砂からの水の蒸発と砂からの伝熱により温度、湿度が高まった排出空気は、集塵装置14に導入される。集塵装置14は、集塵装置14に導入された砂冷却装置5内を含む空気流路内の粉塵を除去する。粉塵が除去された空気は、空気導入装置6を介して外気へ排出される。
【0026】
空気導入装置6は、インバータモータ15を備えており、このインバータモータ15によって駆動される。インバータモータ15には、後述する制御装置3が電気的に接続されている。インバータモータ15は、空気導入装置6の空気吸引量が、制御装置3の算出した適正な風量となるように、制御装置3によって制御されている。
【0027】
回収砂冷却システム1は、上記した空気流路における空気の状態を測定するために、導入空気温度測定器7、排出空気温度測定器16、及び、風量測定器17を備えている。導入空気温度測定器7は、空気加熱装置13と砂冷却装置5の間に設けられており、砂冷却装置5に導入される導入空気の温度を測定する。導入空気温度測定器7には、後述する制御装置3が電気的に接続されている。導入空気温度測定器7によって測定された導入空気の温度は、制御装置3に送信される。
【0028】
排出空気温度測定器16は、砂冷却装置5と集塵装置14の間に設けられており、砂冷却装置5から排出される排出空気の温度を測定する。排出空気温度測定器16には、後述する制御装置3が電気的に接続されている。排出空気温度測定器16によって測定された排出空気の温度は、制御装置3に送信される。
【0029】
風量測定器17は、集塵装置14と空気導入装置6の間に設けられており、空気導入装置6によって吸入される空気の量、すなわち、砂冷却装置5へと導入される導入空気の風量を測定する。風量測定器17には、後述する制御装置3が電気的に接続されている。風量測定器17によって測定された導入空気の風量は、制御装置3に送信される。
【0030】
回収砂冷却システム1は、砂冷却装置5の冷却回収砂排出口(図示無し)の下に、ベルトコンベア18を備えている。ベルトコンベア18は、モータ19を備えており、このモータ19によって駆動されている。ベルトコンベア18は、砂冷却装置5から排出された冷却回収砂を、混練装置(図示無し)等の、次の工程に搬送する。
【0031】
回収砂冷却システム1は、冷却回収砂水分温度測定器20を備えている。冷却回収砂水分温度測定器20は、ベルトコンベア18上を搬送される冷却回収砂の水分量と温度を測定する。冷却回収砂水分温度測定器20には、後述する制御装置3が電気的に接続されている。冷却回収砂水分温度測定器20によって測定された冷却回収砂の水分量と温度は、制御装置3に送信される。
【0032】
上記したように、砂水分温度測定器2によって測定された回収砂の水分量と温度、冷却回収砂水分温度測定器20によって測定された冷却回収砂の水分量と温度、導入空気温度測定器7によって測定された導入空気の温度、排出空気温度測定器16によって測定された排出空気の温度、及び、風量測定器17によって測定された導入空気の風量は、制御装置3に送信される。制御装置3は、これらの測定値を受信し、当該測定値に基づいて、ベルトフィーダー9のインバータモータ10、水量調整弁12、空気導入装置6のインバータモータ15、及び空気加熱装置13を制御する。
【0033】
この実施の形態において制御装置3は、前記回収砂の水分量と温度、及び前記導入空気の温度に基づいて適正加水量を決定し、散水指示を行う。
また制御装置3は、冷却回収砂の水分量と温度等に基づいてシステムの動作補正を行う。
【0034】
上記のように構成された回収砂冷却システム1は、回収砂の水分量と温度を測定する砂水分温度測定器2と、回収砂に加える水の量である、適正加水量を決定する制御装置3と、適正加水量の水を前記回収砂に加え、水の蒸発潜熱で冷却して前記冷却回収砂とする散水冷却装置4,5と、該散水冷却装置4、5に空気を導入する空気導入装置6と、散水冷却装置4、5に導入される導入空気の温度を測定する導入空気温度測定器7とを備え、制御装置3は、前記回収砂の水分量と温度、及び、前記導入空気の温度を基に、前記適正加水量を決定する。
【0035】
これにより、導入空気の温度を考慮した、回収砂冷却システム内の適切な環境が実現可能であるため、例えば季節により温度や湿度が変化するような状況であったとしても、安定した冷却、含水効果を奏することが可能となる。したがって、導入空気の状態によらず、回収砂を目標温度まで冷却することが可能となる。
【0036】
次に、本発明の第二の実施形態について説明する。
図3は、本発明の第二の実施形態として示した回収砂冷却システム1Aの概略構成図であり、
図4は、回収砂冷却システム1Aにおける制御装置のブロック図である。
これらの図において、第一の実施形態で説明した
図1、
図2に示す構成要素と同一の要素については同一符号を付し、その説明を省略する。
この実施形態が前述した第一の実施形態と異なる点は、制御装置3による適正加水量の決定を、回収砂の水分量と温度、及び、冷却回収砂の水分量と温度を基に行うようにしたことである。
【0037】
すなわち、この実施の形態においては、
図3に示す、回収砂を冷却し、冷却回収砂の水分量を調整する回収砂冷却システムにおいて、前記回収砂の水分量と温度を測定する砂水分温度測定器2と、前記回収砂に加える水の量である、適正加水量を決定する制御装置3と、前記適正加水量の水を前記回収砂に加え、水の蒸発潜熱で冷却して前記冷却回収砂とする散水冷却装置4、5と、該散水冷却装置4、5に空気を導入する空気導入装置6と、前記冷却回収砂の水分量と温度を測定する冷却回収砂水分温度測定器20とを備え、前記制御装置3は、前記回収砂の水分量と温度、及び、前記冷却回収砂の水分量と温度を基に、前記適正加水量を決定する。
【0038】
この実施の形態では、砂水分温度測定器2の出力と冷却回収砂水分温度測定器20の出力で適正加水量を決定するので、第一の実施形態の構成要素である
図1に示す導入空気温度測定器7、及び排出空気温度測定器16を備えていない。
【0039】
この実施の形態においても、前述した第一の実施の形態と同様の効果が得られ、回収砂を目標温度まで冷却することが可能となる。
【0040】
なお、本発明の回収砂冷却システム及び回収砂冷却方法は、図面を参照して説明した上述の実施形態に限定されるものではなく、その技術的範囲において他の様々な変形例が考えられ、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施の形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更したりすることが可能である。
【符号の説明】
【0041】
1、1A 回収砂冷却システム
2 砂水分温度測定器
3 制御装置
4 散水装置(散水冷却装置)
5 砂冷却装置(散水冷却装置)
6 空気導入装置
7 導入空気温度測定器
8 ホッパ
9 ベルトフィーダー
10 インバータモータ
11 水源
12 水量調整弁
13 空気加熱装置
14 集塵装置
15 インバータモータ
16 排出空気温度測定器
17 風量測定器
18 ベルトコンベア
19 モータ
20 冷却回収砂水分温度測定器