特許第6879079号(P6879079)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6879079
(24)【登録日】2021年5月7日
(45)【発行日】2021年6月2日
(54)【発明の名称】自動販売機
(51)【国際特許分類】
   G07F 9/10 20060101AFI20210524BHJP
   F25D 17/08 20060101ALI20210524BHJP
   F25D 19/00 20060101ALI20210524BHJP
【FI】
   G07F9/10 102B
   G07F9/10 101B
   F25D17/08 317
   F25D19/00 510Z
   F25D17/08 303
【請求項の数】5
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2017-124718(P2017-124718)
(22)【出願日】2017年6月27日
(65)【公開番号】特開2019-8621(P2019-8621A)
(43)【公開日】2019年1月17日
【審査請求日】2020年5月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161562
【弁理士】
【氏名又は名称】阪本 朗
(72)【発明者】
【氏名】河野 周
(72)【発明者】
【氏名】張 軼広
【審査官】 小島 哲次
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−255135(JP,A)
【文献】 特開平11−232538(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07F 9/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
断熱筐体として構築された本体キャビネットの商品収納庫内に、複数の商品を横倒し姿勢で前後方向に一列に整列して収納する商品収納通路を画成する商品収納棚が上下方向に複数段配設された商品収納ラックと前下がりに傾斜した商品搬出シュータと前記商品収納通路に収納された商品を販売に適した温度に冷却若しくは加熱する庫内下部ファンを有する冷却/加熱手段とが上下の順に配備され、前記商品収納棚は、商品投入口となる前方側に対し商品搬出口となる後方側が低くなるように傾斜するとともに商品搬出口近傍には商品収納通路に横倒し姿勢で収納された商品を一個ずつ切り出して搬出する商品搬出装置が設けられ、前記商品収納棚の後端と本体キャビネットの背壁との間に上下方向に延在する商品落下通路が形成され、前記商品搬出装置から搬出された商品が前記商品落下通路を介して商品搬出シュータ上に送出されてなる自動販売機において、前記商品落下通路に本体キャビネットの背壁に沿って上下方向に延在する態様で配設され、前記庫内下部ファンにより送風される冷却/加熱手段により冷却された冷気若しくは加熱された暖気を上昇させる態様で案内し、その板面の中央領域から下方領域にかけて通気孔を有するダクト部材を設け、最上段の商品収納棚の後端上方に位置して前記ダクト部材を介して上昇した冷気若しくは暖気を前記商品落下通路を介して下方に向けて送風する庫内上部ファンを設け、全体冷却若しくは全体加熱する際には庫内下部ファンを定格回転数となる態様で駆動する一方、庫内上部ファンを駆動停止し、ゾーン冷却若しくはゾーン加熱する際には庫内下部ファンを定格回転数より低い所定の低速回転数となる態様で駆動する一方、庫内上部ファンを定格回転となるよう駆動することを特徴とする自動販売機。
【請求項2】
請求項1に記載の自動販売機において、請求項1に記載の自動販売機において、庫内下部ファンの定格回転数より低い所定の低速回転数は、定格回転数の40%〜60%であることを特徴とする自動販売機。
【請求項3】
請求項1に記載の自動販売機において、庫内上部ファンは商品収納ラックに一体的に取付けられていることを特徴とする自動販売機。
【請求項4】
請求項1に記載の自動販売機において、ダクト部材は下部ダクト部材と上部ダクド部材からなり、上部ダクト部材は商品収納ラックに一体的に取付けられていることを特徴とする自動販売機。
【請求項5】
請求項1に記載の自動販売機において、庫内上部ファンの上方側に位置して庫内上部ファンと間隔を存する態様で商品収納ラックに一体的に取付けられ、ダクト部材を介して上昇する冷気若しくは暖気が本体キャビネットの上壁に直接接触するのを防止する遮蔽部材を有することを特徴とする自動販売機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、断熱筐体として構築された本体キャビネットの商品収納庫内に、複数の商品を横倒し姿勢で前後方向に一列に整列して収納する商品収納通路を画成する態様で商品投入口となる前方側に対し商品搬出口となる後方側が低くなるように傾斜した商品収納棚が上下方向に複数段配設された商品収納ラックを備え、前記商品収納棚における商品搬出口の近傍に配設された商品搬出装置により前記商品収納通路に収納された商品を一個ずつ搬出する自動販売機に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の自動販売機は、断熱筐体として構築された本体キャビネットの商品収納庫内に、複数の商品を横倒し姿勢で前後方向に一列に整列して収納する商品収納通路を画成する商品収納棚が上下方向に複数段配設された商品収納ラック(スラントラックとも称する)を備えている。前記商品収納ラックに上下多段に配設された商品収納棚は、商品投入口となる前方側に対し商品搬出口となる後方側が低くなるように所定の勾配をもって傾斜して配されている。商品収納棚における商品搬出口近傍には商品収納通路に横倒し姿勢で収納された商品を一個ずつ切り出して搬出する商品搬出装置が設けられている。前記商品収納棚の後端と本体キャビネットの背壁との間には上下方向に延在する商品落下通路が形成されている。商品落下通路には、当該商品落下通路に突出する突出位置と、落下する商品により押し開かれて商品落下通路から退避する退避位置との間を回動する姿勢制御板が配備され、この姿勢制御板はコイルばねにより商品落下通路に向けて突出するように付勢されており、商品落下通路を落下する商品により押し開かれて商品落下通路から退避する際、当該商品の姿勢を横倒し姿勢に矯正するとともに当該商品の落下エネルギーを吸収してその落下速度を低減させる。
【0003】
商品収納庫内に配設された商品収納ラックの下部には、前下がり傾斜するとともにその板面の全面に複数の通気孔が穿設された商品搬出シュータおよび前記商品収納通路に収納された商品を販売に適した温度に冷却若しくは加熱するファン付き冷却/加熱ユニットが装備されている。また、本体キャビネットの背壁に沿って上下方向に配設されたダクト部材が設けられている。これにより、ファン付き冷却/加熱ユニットで冷却された冷気若しくは加熱された暖気(これらを総称して庫内空気ともいう)がファンの駆動によりダクト部材を介して商品収納庫内に吹き出されて商品収納庫内を下降したうえで商品搬出シュータの通気孔を経由してファンに戻るように循環し、商品収納庫内を下降する過程で商品収納ラックに収納した商品を販売適温に冷却若しくは加熱するように構成されている。そして、商品収納ラックに収納した商品が販売適温に冷却若しくは加熱されると販売可能状態となり、本体キャビネットの前面開口に開閉自在に取付けられた外扉に設けた商品選択ボタンが押圧操作されると対応する商品収納棚に設けられた商品搬出装置が動作して商品収納通路に収納された商品が一個切り出される。商品搬出装置により切り出された商品は、商品落下通路を落下する過程で姿勢制御板により姿勢を矯正されると同時に落下速度が低減されたうえで商品搬出シュータ上に落下した後、当該商品搬出シュータ上を転動若しくは滑動して商品取出口に送出されるように構成されている(例えば、特許文献1)。
【0004】
かかる特許文献1に開示された発明においては、冷却/加熱ユニットに付属するファンの駆動によって送風される庫内空気を、ダクト部材を介して商品収納庫内に吹き出したうえで商品搬出シュータの通気孔を経由してファンに戻るように循環させることにより商品収納ラックに収納した商品を販売適温に冷却若しくは加熱し、商品収納ラックに収納した商品の全てを販売適温に冷却若しくは加熱(全体冷却若しくは全体加熱ともいう)し、商品収納ラックに収納した全ての商品を販売適温に冷却若しくは加熱した後保冷運転若しくは保温運転に移行するように構成されている。この特許文献1に開示された発明においては、保冷運転若しくは保温運転に移行した際、販売適温に冷却若しくは加熱された商品収納ラックに収納した全ての商品が熱源となって庫内空気の保冷若しくは保温状態を助長するので、保冷運転若しくは保温運転の長大化を図ることができる一方、商品収納ラックに収納した全ての商品を販売適温に冷却若しくは加熱するまでに時間を要し、それまでの期間中は商品の販売が出来ないことから販売機会を逸するという問題を有する。
【0005】
かかる販売機会の喪失を解決する手段として、前記ダクト部材を仕切としてダクト部材の背面側を庫内空気の往路とし、ダクト部材の前面側を庫内空気の復路とし、また、ダクト部材の上下方向の複数個所に吐出口を設け、冷却/加熱ユニットからの庫内空気を前記往路と復路を介して循環させつつ往路を上昇する庫内空気を吐出口から復路に吐出させることにより、商品収納棚(商品収納通路)の後端寄りのゾーンに収納された商品(つまり、販売順位の早い商品)のみを冷却若しくは加熱(ゾーン冷却若しくはゾーン加熱ともいう)するものが知られている(例えば、特許文献2)。なお、特許文献2に開示された発明においては、ダクト部材の上下方向の複数個所に設けた吐出口の近傍に、往路を上昇する庫内空気を復路側に吐出させる風量・風向を調整するために手動調整される風量調整手段が取付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−283556号公報(従来の技術0002段落,0003段落および図5
【特許文献2】特開2005−44293号公報(0066段落〜0072段落および図9図12
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
かかる特許文献2に開示された発明によれば、商品収納ラックに収納された商品の全体、すなわち、各段の商品収納棚に画成された商品収納通路に収納された商品の全てを販売適温に冷却若しくは加熱する場合に対して、商品収納棚(商品収納通路)の後端寄りのゾーンに収納された商品のみを冷却若しくは加熱すればよいので、熱エネルギーの大容量化を回避できる点で優れている。しかしながら、商品収納棚(商品収納通路)の後端寄りのゾーンに収納された商品のみを冷却若しくは加熱する機種に限定され、また、ダクト部材の上下方向の複数個所に設けた吐出口から往路を上昇する庫内空気を復路側に吐出させる風量・風向を任意に調整するために前記吐出口の近傍に配設された風量調整手段を配設し、この風量調整手段を手動調整せねばならないことから手間がかかるという課題を有するものである。
【0008】
本発明は上記の点に鑑みなされたものであり、その目的は前記課題を解決し、全体冷却若しくは全体加熱とゾーン冷却若しくはゾーン加熱とを個別に行うことが可能で、全体冷却時若しくは全体加熱時およびゾーン冷却時若しくはゾーン加熱時に自動的に商品を販売適温に冷却若しくは加熱することが可能な自動販売機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
発明者らは上記課題、特に、ダクト部材の上下方向の複数個所に吐出口の近傍に配設された風量調整手段を手動調整するような手間を省き、かつ、ゾーン冷却若しくはゾーン加熱に限らずに全体冷却若しくは全体加熱を可能とする、という課題を解決するため種々検討した結果、ダクト部材の上下方向の複数個所に吐出口の近傍に配設された風量調整手段を削除した場合、当該ファンを定格回転数で駆動するとダクト部材を上昇する庫内空気の直進性により吐出口から復路側に吐出する吐出量が激減して各段の商品収納棚(商品収納通路)の後端寄りのゾーンに収納された商品に温度差が生じる一方、前記ファンを定格回転数より低い所定の回転数となるように駆動制御するとダクト部材を上昇する庫内空気の直進性が失われて吐出口からの吐出量が増大し、また、前記ファンを定格回転数より低い所定の回転数以下で駆動制御すると各段の商品収納棚(商品収納通路)の後端寄りのゾーンに収納された商品を販売適温に冷却若しくは加熱するまでに長時間を要することを見出した。この場合、ダクト部材に吐出口を上下方向の複数個所に設けても上段側の商品収納棚(商品収納通路)の後端寄りのゾーンに収納された商品の温度とその他の段の商品収納棚(商品収納通路)の後端寄りのゾーンに収納された商品の温度との温度差が大きく、特に、上段側の商品収納棚(商品収納通路)の後端寄りのゾーンに収納された商品が販売適温から外れることを実験により確認した。そこで、冷却/加熱ユニットに付属するファンの駆動制御を適宜に可変とし、かつ、ダクト部材を介して上昇した庫内空気を、商品落下通路を介して下方に向けて送風する庫内上部ファンを追加装備するとともにダクト部材に設けた吐出口の位置を工夫し、ゾーン冷却若しくはゾーン加熱の際には下段側から上段側のそれぞれの商品収納棚(商品収納通路)の後端寄りのゾーンに収納された商品に温度差が生じることなく自動的に冷却若しくは加熱することが可能で、全体冷却若しくは全体加熱の際には商品収納ラックに収納された全ての商品に温度差が生じることなく自動的に万遍なく冷却若しくは加熱可能な次の発明に至ったものである。
【0010】
上記目的を達成するために請求項1に係る発明は、断熱筐体として構築された本体キャビネットの商品収納庫内に、複数の商品を横倒し姿勢で前後方向に一列に整列して収納する商品収納通路を画成する商品収納棚が上下方向に複数段配設された商品収納ラックと前下がりに傾斜した商品搬出シュータと前記商品収納通路に収納された商品を販売に適した温度に冷却若しくは加熱する庫内下部ファンを有する冷却/加熱手段とが上下の順に配備され、前記商品収納棚は、商品投入口となる前方側に対し商品搬出口となる後方側が低くなるように傾斜するとともに商品搬出口近傍には商品収納通路に横倒し姿勢で収納された商品を一個ずつ切り出して搬出する商品搬出装置が設けられ、前記商品収納棚の後端と本体キャビネットの背壁との間に上下方向に延在する商品落下通路が形成され、前記商品搬出装置から搬出された商品が前記商品落下通路を介して商品搬出シュータ上に送出されてなる自動販売機において、前記商品落下通路に本体キャビネットの背壁に沿って上下方向に延在する態様で配設され、前記庫内下部ファンにより送風される冷却/加熱手段により冷却された冷気若しくは加熱された暖気を上昇させる態様で案内し、その板面の中央領域から下方領域にかけて通気孔を有するダクト部材を設け、最上段の商品収納棚の後端上方に位置して前記ダクト部材を介して上昇した冷気若しくは暖気を前記商品落下通路を介して下方に向けて送風する庫内上部ファンを設け、全体冷却若しくは全体加熱する際には庫内下部ファンを定格回転数となる態様で駆動する一方、庫内上部ファンを駆動停止し、ゾーン冷却若しくはゾーン加熱する際には庫内下部ファンを定格回転数より低い所定の低速回転数で駆動する一方、庫内上部ファンを定格回転となるよう駆動することを特徴とする。
【0011】
また、請求項2に係る発明は、請求項1に記載の自動販売機において、庫内下部ファンの定格回転数より低い所定の低速回転数は、定格回転数の40%〜60%であることを特徴とする。
【0012】
また、請求項3に係る発明は、請求項1に記載の自動販売機において、庫内上部ファンは商品収納ラックに一体的に取付けられていることを特徴とする。
【0013】
また、請求項4に係る発明は、請求項1に記載の自動販売機において、ダクト部材は下部ダクト部材と上部ダクド部材からなり、上部ダクト部材は商品収納ラックに一体的に取付けられていることを特徴とする。
【0014】
また、請求項5に係る発明は、請求項1に記載の自動販売機において、庫内上部ファンの上方側に位置して庫内上部ファンと間隔を存する態様で商品収納ラックに一体的に取付けられ、ダクト部材を介して上昇する冷気若しくは暖気が本体キャビネットの上壁に直接接触するのを防止する遮蔽部材を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の請求項1に係る自動販売機によれば、断熱筐体として構築された本体キャビネットの商品収納庫内に、複数の商品を横倒し姿勢で前後方向に一列に整列して収納する商品収納通路を画成する商品収納棚が上下方向に複数段配設された商品収納ラックと前下がりに傾斜した商品搬出シュータと前記商品収納通路に収納された商品を販売に適した温度に冷却若しくは加熱する庫内下部ファンを有する冷却/加熱手段とが上下の順に配備され、前記商品収納棚は、商品投入口となる前方側に対し商品搬出口となる後方側が低くなるように傾斜するとともに商品搬出口近傍には商品収納通路に横倒し姿勢で収納された商品を一個ずつ切り出して搬出する商品搬出装置が設けられ、前記商品収納棚の後端と本体キャビネットの背壁との間に上下方向に延在する商品落下通路が形成され、前記商品搬出装置から搬出された商品が前記商品落下通路を介して商品搬出シュータ上に送出されてなる自動販売機において、前記商品落下通路に本体キャビネットの背壁に沿って上下方向に延在する態様で配設され、前記庫内下部ファンにより送風される冷却/加熱手段により冷却された冷気若しくは加熱された暖気を上昇させる態様で案内し、その板面の中央領域から下方領域にかけて通気孔を有するダクト部材を設け、最上段の商品収納棚の後端上方に位置して前記ダクト部材を介して上昇した冷気若しくは暖気を前記商品落下通路を介して下方に向けて送風する庫内上部ファンを設け、全体冷却若しくは全体加熱する際には庫内下部ファンを定格回転数となる態様で駆動する一方、庫内上部ファンを駆動停止し、ゾーン冷却若しくはゾーン加熱する際には庫内下部ファンを定格回転数より低い所定の低速回転数となる態様で駆動する一方、庫内上部ファンを定格回転数となる態様で駆動することにより、全体冷却若しくは全体加熱する際には定格回転数となる態様で駆動される庫内下部ファンによりダクト部材内を略直進して上昇した庫内空気が、庫内上部ファンの停止により庫内上部ファンにより下方に送風されることなく商品収納庫の前方(商品収納棚の商品収納通路に収納された商品の前端側)に流れて商品収納ラックに収納された全ての商品を温度差なく販売適温に自動的に冷却若しくは加熱し、ゾーン冷却若しくはゾーン加熱する際には定格回転数より低い所定の低速回転数となる態様で駆動される庫内下部ファンによりダクト部材内を上昇する庫内空気の直進性が失われ、これによりダクト部材内を上昇する庫内空気の一部が当該ダクト部材に穿設した通気孔から庫内側に流入して上下方向に複数段配設された商品収納棚のうちの中段以下の商品収納棚(商品収納通路)の後端寄りのゾーンに収納された商品を冷却若しくは加熱する一方、ダクト部材の上端まで上昇した庫内空気が庫内上部ファンにより商品落下通路の下方に向けて送風されることにより上下方向に複数段配設された商品収納棚のうちの上段側の商品収納棚(商品収納通路)の後端寄りのゾーンに収納された商品を冷却若しくは加熱し、上段側から下段側の商品収納棚の(商品収納通路)の後端寄りのゾーンに収納された商品を温度差なく販売適温に自動的に集中して冷却若しくは加熱することが可能な自動販売機を提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明が対象とする自動販売機の概略側面図である。
図2図1の商品収納ラックを右斜め上方から見た斜視図である。
図3図1の商品収納棚を仕切部材とともに示す斜視図である。
図4図1の庫内上部ファンと取付部材の分解図である。
図5図1の上部ダクト部材と遮蔽部材の分解図である。
図6図1の冷却/加熱ユニットと商品搬出シュータを右斜め上方から見た斜視図である。
図7】ダクトを示し、(a)はダクトの斜視図、(b)は商品搬出シュータを保持するコイルスプリングを取付けたダクトの斜視図である。
図8】ダクトと冷却/加熱ユニットの風洞との接続状態を示し、(a)はダクトに風洞を接続した状態の斜視図、(b)はダクトと風洞とを分解した状態の斜視図である。
図9】商品収納ラックに収納された販売順位の早い商品(商品収納棚の後端寄りのゾーンに収納された商品)を集中して冷却若しくは加熱する際の商品収納庫内を循環する庫内空気(冷気若しくは暖気)の流れを示す説明図である。
図10】商品収納ラックに収納された全体の商品を冷却若しくは加熱する際の商品収納庫内を循環する庫内空気(冷気若しくは暖気)の流れを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態に係る自動販売機を図面に基づいて詳細に説明する。図1は本発明が対象とする自動販売機の一例である缶入り飲料,ペットボトル入り飲料を販売する自動販売機の概略側面図、図2図1の商品収納ラック4を右斜め上方から俯瞰した斜視図である。なお、左右とは、自動販売機の前面から見た場合の左右を指すものである。
【0018】
図1に示すように、この自動販売機は、前面が開放した断熱筐体として形成された本体キャビネット1と、本体キャビネット1の前面開口を閉塞する態様で本体キャビネット1の前面に開閉可能に支持された外扉2とを備え、この外扉2には商品取出口2aが設けられている。本体キャビネット1は鋼板製の外箱の内側、すなわち、上壁1a,左右側壁1b,背壁1cおよび底壁1dにウレタンフォームからなる断熱パネルを配設して断熱筐体として構築され、上壁1a,左右側壁1b,背壁1cおよび底壁1dに配設された断熱パネルで囲まれた空間が商品収納庫として形成され、商品収納庫の下部が機械室8として形成されている。本体キャビネット1における商品収納庫の前面は開閉可能な断熱内扉3によって閉塞され、この断熱内扉3には商品収納庫内から送出される商品によって押し開かれるフラッパ3bを有する商品搬出開口3aが設けられている。前記本体キャビネット1の断熱パネルで囲まれた商品収納庫内には上下方向に多段に配設された商品収納棚10を有する商品収納ラック4が、左右方向に複数収納設置されている。商品収納ラック4は、矩形平板状の薄板鋼板製になる左右一対のラック側板41,41を備えており、この左右一対のラック側板41に商品収納棚10が架設される。
【0019】
商品収納棚10は、商品投入口44となる前方側が高く、商品搬出口45となる後方側が低くなるように所定の勾配をもって傾斜する態様で左右一対のラック側板41,41に架設されている。商品収納棚10と左右のラック側板41、若しくは必要に応じて商品収納棚10にセットされる仕切部材42(図2図3参照)に囲まれた内部空間が複数の商品を横倒し姿勢で前後方向に一列に整列して収容する商品収納通路43(商品コラム)として画成され、この商品収納通路43(商品コラム)が上下多段(この実施の形態では10個の商品コラム)に形成されている。前記商品収納棚10の商品搬出口45の近傍であって各商品収納通路43の上部、この実施の形態においては上段側の商品収納棚10の下面に当該商品収納通路43に収容された商品Sを一個ずつ切り出して搬出する商品搬出装置BMが配設されている。商品搬出装置BMは、例えば、特開2012−137949号公報等に開示された周知のものであり、商品収納通路43に出没自在であって販売順位一番の商品(最後端の商品であり、販売商品ともいう)を保持する態様で商品収納通路43に突出する突出位置と前記販売商品の保持を解放する態様で商品収納通路43から退避する退避位置との間を移動可能に設けたペダル部材BM1、商品収納通路43に出没自在であって商品収納通路43から退避する退避位置と販売商品に続く販売順位二番の商品(最後端の商品に続く商品であり、次販売商品ともいう)を保持する態様で商品収納通路43に突出する突出位置との間を移動可能に設けたストッパ部材、前記ペダル部材BM1およびストッパ部材を突出位置と退避位置とに移動させるリンク機構、このリンク機構を駆動する駆動手段(ソレノイド,モータ)等の構成部材が薄い箱形の基板に取付けられ、販売待機時にペダル部材BM1が商品収納通路43に突出して販売商品を保持し、ストッパ部材が商品収納通路43から退避した状態にあり、販売指令に基づいて前記駆動手段を駆動することによりリンク機構を介してストッパ部材を商品収納通路43に突出させて次販売商品を保持した上でペダル部材BM1を商品収納通路43から退避させて販売商品を払い出すように構成されたものである。なお、最上段の商品収納通路43に収納された商品を一個ずつ切り出す商品搬出装置BMを取付けるために、最上段の商品収納通路43の上方にダミーの商品収納棚10からなるメック係止部材100が左右一対のラック側板41,41に架設されている。
【0020】
そして、メック係止部材100の後端上方位置に庫内上部ファンF2が配備されている。メック係止部材100の後端上方域は、メック係止部材100が前方側に対して後方側が低くなるように所定の勾配をもって傾斜して配されることによりデッドスペースとなる部位であり、このデッドスペースを利用して庫内上部ファンF2が配備されている。庫内上部ファンF2は、後述する上部ダクト部材7bを介して上昇した庫内空気を下方に向けて送風するものであり、左右一対のラック側板41,41に架設されている。また、庫内上部ファンF2の上方側には当該庫内上部ファンF2と間隔を存する態様で遮蔽部材200が設けられている。この遮蔽部材200も、左右一対のラック側板41,41に架設されている。この遮蔽部材200は、その後端部が上部ダクト部材7bの上端開口を臨む態様で配設され、前記上部ダクト部材7bを介して上昇した庫内空気が本体キャビネット1の上壁1aに直接接触するのを防止するように構成されている。この遮蔽部材200を設けることにより、特に、商品を冷却する際に前記上部ダクト部材7bを介して上昇した庫内空気(冷気)が本体キャビネット1の上壁1aに直接接触して庫内と庫外の温度差により庫内(上壁1a)に結露が生じるのを防止できるものである。
【0021】
前記各商品収納ラック4に上下多段に配設された商品収納棚10の後端(商品搬出口45)は同一の鉛直線上に位置しており、前記商品搬出口45と上部ダクト部材7bとの間が商品Sの落下する商品落下通路46として形成されている。そして、各商品収納棚10の後端部には、前記商品落下通路46に突出する突出位置と、落下する商品Sにより押し開かれて商品落下通路46から退避する退避位置との間を回動する姿勢制御板47が配備されている。この姿勢制御板47は、不図示のコイルばねにより商品落下通路46に向けて突出するように付勢されており、商品落下通路46を落下する商品Sにより押し開かれて商品落下通路46から退避する際、当該商品Sの姿勢を横倒し姿勢に矯正するとともに当該商品Sの落下エネルギーを吸収してその落下速度を低減させる機能を有している。姿勢制御板47の板面には複数の通気孔47a(図3参照)が穿設されている。
【0022】
商品収納ラック4の下部には、商品落下通路46の下方域と断熱内扉3に設けた商品搬出開口3aとを連繋する態様で前下がりの姿勢に傾斜して配されるとともにその板面に複数の通気孔5a(図6参照)が穿孔された商品搬出シュータ5と、商品収納ラック4に収納した商品Sを冷却若しくは加熱してコールド若しくはホット状態に保存する冷却/加熱ユニット6が配設され、商品収納庫内に商品収納ラック4と商品搬出シュータ5と冷却/加熱ユニット6とが上下の順に配備されている。前記冷却/加熱ユニット6が商品収納通路43に収納された商品Sを販売に適した温度に冷却若しくは加熱する冷却/加熱手段を構成する。
【0023】
冷却/加熱ユニット6は、前下がりの姿勢に傾斜して配された商品搬出シュータ5の背後の空間に配設されている。冷却/加熱ユニット6は、蒸発器6aとヒータ6bと庫内下部ファンF1とが、前方側から蒸発器6a,庫内下部ファンF1,ヒータ6bの順に前後方向に並置されている。前記庫内下部ファンF1は、ファン駆動用モータを電圧制御,PWM制御することにより回転数を可変可能なものである。前記蒸発器6a,庫内下部ファンF1,ヒータ6bは、それぞれを囲繞して保護する風洞内に配されており、ヒータ6bの風洞に連ねてスペーサー用の風洞60が設けられている。前記蒸発器6a,庫内下部ファンF1,ヒータ6bにおけるそれぞれの風洞と風洞60は全体としてトンネル状に連続したものであり、以下では風洞60を蒸発器6a,庫内下部ファンF1,ヒータ6bにおけるそれぞれの風洞を代表するもの、すなわち、冷却/加熱ユニット6の風洞60と称するものとする。そして、この冷却/加熱ユニット6の風洞60に連ねて下部ダクト部材7aが設けられている。この下部ダクト部材7aは、商品落下通路46の下方域まで延在する態様で商品収納庫背面(本体キャビネット1の背壁1c)に沿って配設され、風洞60の出口に対峙する入口側開口74(図7参照)と商品落下通路46の下方域に連通する出口側開口78(図7参照)を備えている。この下部ダクト部材7aの出口側開口78に連通して上部ダクト部材7bが配設される。
【0024】
さらに、本体キャビネット1の下部の機械室8には、冷却/加熱ユニット6の蒸発器6aと冷凍サイクルを形成する冷凍機コンデンシングユニット9が配設されている。冷凍機コンデンシングユニット9は、圧縮機9a,凝縮器9b,庫外ファン9c,膨張弁(不図示)などからなり、商品収納庫外に配された凝縮器9bと商品収納庫内に配された蒸発器6aとが膨張弁を介して冷媒配管により接続されている。
【0025】
なお、外扉2の前面には、図示は省略するが、商品コラムに対応した複数の商品見本を展示した商品展示室、購入する商品Sを指定する商品選択ボタン、代価としての硬貨を投入する硬貨投入口、代価としての紙幣を挿入する紙幣挿入口、釣銭硬貨若しくは返却指令により返却される硬貨を取り出すための硬貨返却口、釣銭若しくは投入硬貨の返却を指示する返却レバーなど、貨幣の投入により商品Sの自動販売に必要な部品が配設され、さらに、外扉2を本体キャビネット1に閉止鎖錠する扉ロック機構のハンドルなどが設けられている。
【0026】
前記商品収納ラック4は、商品収納棚10が架設される左右一対のラック側板41,41を備えている。この左右のラック側板41,41は、図2に示すように、矩形平板状の薄板鋼板製になる。この左右一対のラック側板41,41に商品収納棚10が上下方向に多段に架設されている。この左右一対のラック側板41,41の上端には、サーペンタイン式商品収納ラックと同様のラック側フック金具40が前後に2個架設され、このラック側フック金具40,40を商品収納庫の天井に敷設された本体側フック金具(不図示)に係止固定することにより、商品収納ラック4が商品収納庫に収設されるものである。
【0027】
前記商品収納棚10には、図2に示すように、複数の仕切部材42を必要に応じて装着可能に構成されている。これらの仕切部材42は、複数の商品を横倒し姿勢で前後方向に一列に整列して収納する商品収納通路43(商品コラム)を画成するものである。なお、商品収納通路43(商品コラム)の左右方向の幅は、商品補充(ローディング)時の商品の投入を容易にする一方、商品収納棚10の上を転動若しくは滑動する商品の姿勢(軸線)が前後方向に直角の姿勢から前後方向に一致する姿勢となるのを防止するため、商品の対角線の長さよりも若干小さい幅に定められており、商品収納通路43(商品コラム)に収納された商品と仕切板42(若しくはラック側板41)との間には若干の隙間が形成されるものである。
【0028】
前記商品収納棚10は、図3に示すように、矩形の板面の左右側縁から下方に折り曲げられたフランジ11,11を形成して補強が図られている。商品収納棚10の前端には中空円筒形状(カール状)に丸めて形成された中空状部12が形成されている。フランジ11,11の前部には切欠きによりピン挿通部11aが形成され、また、フランジ11の略中間部位および後端にも切欠きにより円弧状のピン係合部11b,11cが形成されている。このフランジ11,11に設けたピン挿通部11aおよびピン係合部11b,11cを、左右のラック側板41,41に架設されるピン部材P0〜P2(図2参照)に対峙させる態様で商品収納棚10を配置することにより商品収納棚10が左右のラック側板41,41に取付けられるように構成されている。
【0029】
前記商品収納棚10は、この実施の形態ではロングサイズの商品に対応する幅に定めた板面の幅方向中央より左側には、ショートサイズの3種の長さの商品に対応する前後方向に3連のスリット状の係合溝14が穿設され、そのうちの右端の係合溝14がロングサイズの商品の略半分の長さのハーフサイズの商品の対応している。これらの係合溝14は仕切部材42を係止固定するものであり、その幅が仕切部材42の板厚よりも大きく形成されている。そして、商品収納棚10の板面には複数の通気孔10aが穿孔されている。この通気孔10aは、商品収納棚10の前後方向で穿孔比率が異なるように穿設されている。この実施の形態では、商品収納棚10の前後方向の中間領域MTにおける穿孔比率が最も高く、中間領域MTを挟んだ前方領域FT,後方領域RTの穿孔比率が小さくなるように構成されている。
【0030】
仕切部材42は、薄板鋼板製になり、前後方向に延在する態様で商品収納棚10に装着されて商品収納通路43を画成するものである。仕切部材42は、図3に示すように、その下部に下方に突出する3連の爪421が形成され、これらの爪421は商品収納棚10の板面に形成した前後方向に3連の係合溝14にそれぞれ係合可能に構成されている。前記仕切部材42のセットは、仕切部材42の3連の爪421を対応する3連の係合溝14に対峙させた後、仕切部材42を下降させると、3連の爪421が対応する3連の係止溝14に落ち込んで係合することによりセットされる。このように、仕切部材42を商品収納棚10にセット(例えば、ハーフサイズの商品に対応する箇所にセット)した場合、仕切部材42の両側に2列のハーフサイズの商品の商品収納通路(商品コラム)が形成される一方、前記仕切部材42を取り外した場合にはロングサイズの商品の商品収納通路43(商品コラム)が形成される。このように、この商品収納ラック4は、長さの異なる種類の商品(ロングサイズの商品とショートサイズの商品)の販売に兼用されるものである。この場合、商品搬出装置BMは、ハーフサイズの商品収納通路43に対応してその商品搬出口45の近傍に2個並設され、仕切部材42がハーフサイズの商品に対応する箇所にセットされた場合には2個の商品搬出装置BMを個別に制御し、ハーフサイズ以外の長さの商品に対応する箇所にセットされた場合には2個の商品搬出装置BMを同期制御するように構成されている。また、姿勢制御板47は、2個の商品搬出装置BMに対応して左右方向に2個並設されている。
【0031】
庫内上部ファンF2は、ボックス型ファンからなり、図4に示すように、薄板鋼板製の取付部材410に下方を向く態様で取付けられ、この取付部材410を介して左右一対のラック側板41,41に架設されている。取付部材410は、左右一対のラック側板41,41の間の幅に対応する基台411の略中央位置に開口412が設けられている。基台411の前後両端には折り曲げによりフランジが形成され、その左右両端には前後のフランジに跨るL字状の係合片413,414と、係合片413,414の間に配したフック状の係止片415(右端側には2個、左端側には1個)が外方に突出して形成されている。これらのL字状の係合片413,414に対応して左右一対のラック側板41,41にはL字状の係合片413,414の形状に一致した貫通孔OP1,OP2(図2参照)と、フック状の係止片415に対応して左右一対のラック側板41,41にはフック状の係止片415の形状に一致した貫通孔OP3(図2参照)が形成されている。庫内上部ファンF2は、取付部材410における基台411の開口412に位置を合せてねじ止め固定した後、取付部材410のL字状の係合片413,414およびフック状の係止片415を左右一対のラック側板41,41のそれぞれの貫通孔OP1〜OP3に差し込んだうえで左右一対のラック側板41,41から外方に突出したフック状の係止片415のフックをラック側板41に係止することにより左右一対のラック側板41,41に取付けられる。
【0032】
図5に示すように、前記庫内上部ファンF2の取付部材410の後方側のフランジには上部ダクト部材7bがねじ止めされている。上部ダクト部材7bは、上下方向に延在する横断面コ字形の薄板鋼板製になり、本体キャビネット1の背壁1cに沿う態様で左右一対のラック側板41,41に架設される。すなわち、上部ダクト部材7bの左右方向の幅は左右一対のラック側板41,41の幅に相当している。そして、コ字形の左右の脚片(フランジ)を左右一対のラック側板41,41にねじ止めし、その板面の上端を前記庫内上部ファンF2の取付部材410の後方側のフランジにねじ止めすることにより左右一対のラック側板41,41に架設される。また、上部ダクト部材7bの板面における上下方向の中央領域から下方領域にかけて複数の通気孔70が分散して穿設されている。上部ダクト部材7bの板面における上下方向の中央領域は、上下方向に多段に配設された商品収納棚10の略中段(この実施の形態では下から5段目の商品収納棚10)に対応し、上下方向に多段に配設された商品収納棚10のうちの中段以下の商品収納棚10に対応して複数の通気孔70が設けられている。前記通気孔70は、図5の図外に拡大して示すようにその板面に穿孔された丸孔からなる。前記上部ダクト部材7bの板面の下端にはねじ挿通穴71a,71aを有する係合片71が段差を有する態様で設けられ、この係合片71を後述の図7に示した下部ダクト部材7aに係止固定させることにより上部ダクト部材7bが下部ダクト部材7aの出口側開口78に連通して庫内空気を案内する。前記係合片71の下部ダクト部材7aへの係止固定については後述する図7にて説明する。
【0033】
図5には、庫内上部ファンF2の上方側に位置して庫内上部ファンF2と間隔を存する態様で配設され、前記上部ダクト部材7bを介して上昇した庫内空気が本体キャビネット1の上壁1aに直接接触するのを防止する遮蔽部材200を示している。この遮蔽部材200は、左右一対のラック側板41,41の間の幅に略一致する幅を有する矩形平板状の薄板鋼板製になる。遮蔽部材200の左右両端にはそれぞれ下方に延在する態様で折り曲げて形成された一対の取付片201が設けられている。これらの取付片201にはねじ穴が形成されている。この遮蔽部材200は、左右一対のラック側板41,41の間に配設したうえで左右一対のラック側板41,41の外側からねじ込まれるねじ(不図示)を前記取付片201のねじ穴に螺合させることにより左右一対のラック側板41,41に架設される。なお、遮蔽部材200の後端には下方に傾斜したガイド板202が一体的に設けられ、前記上部ダクト部材7bを介して上昇した庫内空気を前方側に案内するように構成されている。
【0034】
商品収納ラック4の下部に配された商品搬出シュータ5と冷却/加熱ユニット6の風洞60を図6に示している。図6は、冷却/加熱ユニット6の風洞60の上に商品搬出シュータ5を配した状態の斜視図である。図6に示すように、商品搬出シュータ5は、そのシュータ面に複数の通気孔5aが設けられている。この通気孔5aは、商品搬出シュータ5の後段側を除いた中段および前段側に穿孔されている。商品搬出シュータ5の前端には「く」字状に屈曲したガイド片51が形成されている。このガイド片51における下方に延在する鉛直部511は、本体キャビネット1の前壁に沿うものであって、その板面にはねじ挿通穴511aが形成されて本体キャビネット1の前壁にねじ止めされる。また、商品搬出シュータ5の後端には下方に延在する係止片512が形成され、この係止片512を下部ダクト部材7aに係止する態様で配設されるとともに商品搬出シュータ5の後部側背面が下部ダクト部材7aに取り付けたコイルスプリングSPにより保持されている。なお、図6では、次に示す下部ダクト部材7aの前面壁71に係止固定される上部ダクト部材7bについては割愛している。
【0035】
下部ダクト部材7aは、図7に示すように、横断面凹状に形成した薄板鋼板製になり、矩形平板状の前面壁71と左右側壁72,72と背壁73,73とからなる。前面壁71の略中央下部寄りには風洞60の出口に連通する入口側開口74が形成されるとともに前面壁71の上方側の左右両端寄りの左右にはねじ穴75,75が形成され、これらのねじ穴75の下方に上下一対のねじ穴76,76が形成されている。また、前記入口側開口74の左右両端には風洞60を係止するスリット状の係止溝77,78がそれぞれ形成されている。前面壁71の上方側の左右両端寄りに形成した上下一対のねじ穴76,76には、図7の(b)に示すように、「く」字状のばね固定片50がねじ止めされる。ばね固定片50にはコイルスプリングSPが係止されており、このコイルスプリングSPが前述した商品搬出シュータ5の後部側背面を保持しており、商品搬出シュータ5の後端側に落下する商品の衝撃を緩和するように構成されている。
【0036】
この下部ダクト部材7aは、その下端を本体キャビネット1の底壁1dに載置するとともに背壁73,73を両面テープ等の固着部材により本体キャビネット1の背壁1cに固着させる態様で配設され、下部ダクト部材7aの前面壁71と左右側壁72,73と本体キャビネット1の背壁1cで囲まれた空間が庫内空気の流れる通路となり、その上端が上部ダクト部材7bの下端に連通する出口側開口78となる。図7には上部ダクト部材7bを一点鎖線で示しており、本体キャビネット1の背壁1cに沿って配設された下部ダクト部材7aの前面壁71に上部ダクト部材7bの下端に設けた係合片71を重ね合わせたうえで当該係合片71に形成したねじ挿通穴71a,71aを介してねじSCを前記下部ダクト部材7aの前面壁71に形成したねじ穴75,75に螺合させることにより上部ダクト部材7bの下端が下部ダクト部材7aに係止固定される。これにより、上部ダクト部材7bが下部ダクト部材7aの出口側開口78に連通する。
【0037】
図8は、下部ダクト部材7aと冷却/加熱ユニット6の風洞60との接続状態を示すものであり、(a)は下部ダクト部材7aに風洞60を接続した状態を示し、(b)は下部ダクト部材7aと風洞60とを分解した状態を示している。なお、図8では上部ダクト部材7bを割愛している。
【0038】
風洞60は、図8に示すように、下部ダクト部材7aの入口側開口74を囲う態様の大きさを有し、左右側壁61の後縁には後方側に突出した係止片611,612を備えている。係止片611は、下部ダクト部材7aの前面壁71に形成したスリット状の係止溝77に挿入される台形状の突起として形成されるとともにその板面に膨出部611aが設けられている。係止片612は、下部ダクト部材7aの前面壁71に形成したスリット状の係止溝78に挿入されるフック状の突起として形成されている。なお、係止片611,612の板厚は、下部ダクト部材7aの前面壁71に形成したスリット状の係止溝77,78の溝幅より小さく、係止片611に設けた膨出部611aの高さは、係止片611の板厚と膨出部611aの膨出量とが係止溝77の溝幅よりも僅かに大きくなるように定められている。
【0039】
風洞60は、左右側壁61に設けた係止片611,612を下部ダクト部材7aの前面壁71に形成したスリット状の係止溝77,78に差し込んだうえで下方にスライドさせることにより、係止片612のフックが下部ダクト部材7aの前面壁71の背面に係合して下部ダクト部材7aと一体化される(図8の(a)参照)。なお、風洞60の係止片611を下部ダクト部材7aの係止溝77に差し込む際、係止片611の膨出部611aが係止溝77を通過する際に抵抗となるとともに係止溝77を通過した際にクリック感が得られるものである。
【0040】
かかる構成の自動販売機は、図1に示す外扉2および断熱内扉3を開放して商品投入口44から商品収納棚10に画成された商品収納通路43(商品コラム)に商品Sがローディングされる。商品収納通路43(商品コラム)に最初にローディングされた商品は、商品収納通路43に突出した商品搬出装置BMのペダル部材BM1に保持されて販売順位一番の商品(販売商品ともいう)となり、次にローディングされる商品は、ペダル部材BM1により保持された販売商品の前方側に積み重ねられて次販売商品となり、引き続いてローディングされる商品は、次販売商品の前方に順次積み重ねられる。商品のローディング後、商品収納ラック4に収納した商品Sは冷却/加熱ユニット6により冷却若しくは加熱されて販売に適したコールド若しくはホット状態に保存されて販売可能な状態(販売待機状態)となる。
【0041】
ここで、商品収納ラック4に収納した商品を冷却/加熱ユニット6により冷却若しくは加熱する際に商品収納庫内を循環する庫内空気(冷気若しくは暖気)の流れを図9図10を参照して説明する。図9はゾーン冷却若しくはゾーン加熱する際の循環気流の状態を示し、図10は全体冷却若しくは全体加熱する際の循環気流の状態を示すものである。
【0042】
なお、図示は省略したが、自動販売機の全体の制御を司る制御部を有するものであり、この主制御部には各種の実行プログラムを記憶したROM,各種データを格納するRAM,各種入力信号により各種実行プログラムを実行するCPUなどを備え、庫内下部ファンF1,庫内上部ファンF2はゾーン冷却若しくはゾーン加熱、全体冷却若しくは全体加熱するプログラムに従って駆動制御されるものである。
【0043】
図9はゾーン冷却若しくはゾーン加熱する際の循環気流の状態を示し、この場合には冷却/加熱ユニット6の庫内下部ファンF1および庫内上部ファンF2を駆動させる。この場合、庫内下部ファンF1は定格回転数より低い所定の低速回転数となる態様(例えば、定格回転数の40%〜60%)で駆動制御させる一方、庫内上部ファンF2は定格回転数となる態様で駆動制御させる。庫内下部ファンF1が定格回転数より低い所定の低速回転数で駆動されると、庫内空気(冷却器6aにより冷却された冷気若しくはヒータ6bにより加熱された暖気)が冷却/加熱ユニット6の風洞60から下部ダクト部材7aの入口側開口74を介して下部ダクト部材7aの内部に進入した後、下部ダクト部材7aの出口側開口78から上部ダクト部材7bの下端に吹き出される。ダクト部材7aの出口側開口78から上部ダクト部材7bの下端に吹き出されて上部ダクト部材7bを上昇する庫内空気の流速は、庫内下部ファンF1が定格回転数より低い所定の低速回転数で駆動されていることから比較的弱く(つまり、庫内下部ファンF1が定格回転数で駆動されている場合の流速よりも弱い)、上部ダクト部材7bに穿設した通気孔70から循環気流A1となって分流しつつ上部ダクト部材7bの上方(商品収納庫の上端)にまで達する循環気流A0となる。上部ダクト部材7bの上端にまで達した循環気流A0は庫内上部ファンF2が駆動されていることにより下方に折り返す態様で循環気流Bとなる。この循環気流Bは姿勢制御板7により循環気流B1に分流されつつ下方に向かう。循環気流A1,B1は、庫内下部ファンF1の吸引により商品収納棚10に穿孔した通気孔10aを介して循環気流A2,B2に分流されつつ循環気流Cとなって商品搬出シュータ5の通気孔5aを介して庫内下部ファンF1に戻るように循環する。前記循環気流A1,A2は上下方向に多段に配設された商品収納棚10のうちの下から5段目以下の商品収納棚10における商品収納通路43(商品コラム)の後端寄りのゾーンに収納された商品を洗流して冷却若しくは加熱する一方、循環気流B1,B2は上下方向に多段に配設された商品収納棚10のうちの上段側(下から6段目以降)の商品収納棚10における商品収納通路43(商品コラム)の後端寄りのゾーンに収納された商品を洗流して冷却若しくは加熱する。
【0044】
ここで、商品収納棚10に商品Sが載置されている場合、循環気流C,A2,B2の流れ方向上流側から見た商品Sの投影箇所の通気孔10aは商品Sに塞がれるものの、商品Sの投影箇所の外側の隙間、つまり、商品収納通路43(商品コラム)の幅が商品Sの長さよりも若干長く定められていることにより生じる商品と仕切板42(若しくはラック側板41)との間の隙間に対応する通気孔10aは開放されている。従って、商品収納棚10に商品Sが載置されている場合にも循環気流C,A2,B2が形成されるものである(商品Sを和風建築の障子に例えるならば、循環気流Dは隙間風に相当するものである)。このように、ゾーン冷却若しくはゾーン加熱する場合、庫内下部ファンF1を定格回転数より低い所定の低速回転数となる態様(例えば、定格回転数の40%〜60%)で駆動制御する一方、庫内上部ファンF2を定格回転数となる態様で駆動制御ことにより、各段の商品収納棚10の商品収納通路43の後端寄りのゾーンに収納された商品S(商品収納ラック4に収納された販売順位の早い商品S)を集中的に温度差なく販売に適した温度に冷却若しくは加熱することができる。
【0045】
なお、庫内下部ファンF1を定格回転数より低い所定の低速回転数(例えば、定格回転数の40%〜60%)となる態様で駆動制御(庫内上部ファンF2は定格回転数で駆動制御)した場合に対し、庫内下部ファンF1を定格回転数の40%以下で駆動制御した場合には、各段の商品収納棚10の商品収納通路43の後端寄りのゾーンに収納された商品Sを販売適温に冷却若しくは加熱するのに長い時間を要するとともに前記ゾーンにおける各段の商品Sに温度差が生じ、また、庫内下部ファンF1を定格回転数の60%以上で駆動制御した場合には、各段の商品収納棚10の商品収納通路43の後端寄りのゾーンに収納された商品Sを販売適温に冷却若しくは加熱するまでの時間に大差はないものの各段の商品収納棚10の商品収納通路43の後端寄りのゾーンに収納された商品Sに温度差が生じることが発明者らの実験により確認されている。各段の商品収納棚10の商品収納通路43の後端寄りのゾーンに収納された商品Sを販売適温に冷却若しくは加熱するまでの時間に大差のないところの、庫内下部ファンF1を定格回転数の60%以上で駆動制御した場合に前記ゾーンにおける各段の商品Sに温度差が生じる事由は十分には解析されていないものの、庫内下部ファンF1を定格回転数の60%以上で駆動制御した場合には上部ダクト部材7b内を上昇する庫内空気の流速が速くなって直進性を有するようになることから、上部ダクト部材7bに穿設した通気孔70からの循環気流A1が減少することによるものと考えられる。
【0046】
図10は全体冷却若しくは全体加熱する際の循環気流の状態を示し、この場合には、冷却/加熱ユニット6の庫内下部ファンF1を駆動させる一方、庫内上部ファンF2を駆動停止させる。この場合、庫内下部ファンF1は定格回転数で高速回転するように駆動制御される。庫内下部ファンF1が高速回転で駆動制御されることにより下部ダクト部材7aを介して上部ダクト部材7bを上昇する庫内空気(循環気流A0)の流速は直進性の強い速いものとなり、上部ダクト部材7bの内部から上部ダクト部材7の通気孔70を通して商品収納庫内側へ吐出する分流(図9に示したような循環気流A1に相当する分流)が低減する。このため、下部ダクト部材7aの出口側開口78から上部ダクト部材7bの下端に吹き出された庫内空気の殆どが上部ダクト部材7bの上端にまで達する。
【0047】
上部ダクト部材7bの上端にまで達した循環気流A0は、庫内上部ファンF2の上方側に位置して庫内上部ファンF2と間隔を存する態様で配設された遮蔽部材200の後端に設けたガイド板202に吹き付けられる。このように、遮蔽部材200により前記上部ダクト部材7bを介して上昇した循環気流A0が本体キャビネット1の上壁1aに直接接触するのを防止するように構成されているので、特に商品を冷却する際に前記上部ダクト部材7bを介して上昇した循環気流A0(冷気)が本体キャビネット1の上壁1aに直接接触して庫内と庫外の温度差により上壁1aに結露が生じるのを防止することができる。
【0048】
ここで、遮蔽部材200のガイド板202は下方に傾斜する態様で設けられていることにより、前記上部ダクト部材7bを介して上昇した循環気流A0はガイド板202を経由して遮蔽板200によって前方に案内される循環気流Dとなる。循環気流Eは、商品収納庫の前方まで到達して商品収納棚10の商品収納通路43(商品コラム)の前端寄りに収納された商品を洗流して冷却若しくは加熱したうえで商品収納庫内を下降した後、商品搬出シュータ5の通気孔5aを介して庫内下部ファンF1に戻る。このように、庫内下部ファンF1の駆動により商品収納庫内の空気が商品搬出シュータ5の通気孔5aを介して庫内下部ファンF1に吸引されることから、庫内下部ファンF1の吸引によって遮蔽板200によって前方に案内される循環気流Dも商品収納棚10に穿孔した通気孔10aを介して少しずつ商品収納庫内を下方に向かう循環気流D1に分流して商品収納庫内を下降する過程で商品収納棚10の商品収納通路43(商品コラム)に収納された全ての商品を洗流して冷却若しくは加熱する。このように、全体冷却若しくは全体加熱する場合、庫内下部ファンF1を定格回転数となる態様で駆動制御する一方、庫内上部ファンF2を駆動停止することにより、上部ダクト部材7bを上昇する庫内空気が通気孔70を介して商品収納庫内側に分流することなく上部ダクト部材7bの上端にまで達した後、遮蔽部材200により前方に案内される循環気流D,D1となって商品収納ラック4に収納された全ての領域の商品を販売に適した温度に冷却若しくは加熱することができる。
【0049】
前述したように、この実施の形態に係る自動販売機によれば、断熱筐体として構築された本体キャビネット1の商品収納庫内に、複数の商品を横倒し姿勢で前後方向に一列に整列して収納する商品収納通路43を画成する商品収納棚10が上下方向に複数段配設された商品収納ラック4と前下がりに傾斜した商品搬出シュータ5と前記商品収納通路43に収納された商品Sを販売に適した温度に冷却若しくは加熱する庫内下部ファンF1を有する冷却/加熱手段(冷却/加熱ユニット6)とが上下の順に配備され、前記商品収納棚10は、商品投入口44となる前方側に対し商品搬出口45となる後方側が低くなるように傾斜するとともに商品搬出口45近傍には商品収納通路43に横倒し姿勢で収納された商品Sを一個ずつ切り出して搬出する商品搬出装置BMが設けられ、前記商品収納棚10の後端と本体キャビネット1の背壁1cとの間に上下方向に延在する商品落下通路46が形成され、前記商品搬出装置BMから搬出された商品Sが前記商品落下通路46を介して商品搬出シュータ5上に送出されてなる自動販売機において、前記商品落下通路46に本体キャビネット1の背壁1cに沿って上下方向に延在する態様で配設され、前記庫内下部ファンF1により送風される冷却/加熱手段(冷却/加熱ユニット6)により冷却された冷気若しくは加熱された暖気を上昇させる態様で案内し、その板面の中央領域から下方領域にかけて通気孔70を有するダクト部材(上部ダクト部材7b)を設け、最上段の商品収納棚10の後端上方に位置して前記ダクト部材(上部ダクト部材7b)を介して上昇した冷気若しくは暖気を前記商品落下通路46を介して下方に向けて送風する庫内上部ファンF2を設け、全体冷却若しくは全体加熱する際には庫内下部ファンF1を定格回転数となる態様で駆動する一方、庫内上部ファンF2を駆動停止し、ゾーン冷却若しくはゾーン加熱する際には庫内下部ファンF1を定格回転数より低い所定の低速回転数となる態様で駆動する一方、庫内上部ファンF2を定格回転数となる態様で駆動することにより、全体冷却若しくは全体加熱する際には定格回転数となる態様で駆動される庫内下部ファンF1によりダクト部材(上部ダクト部材7b)内を略直進して上昇した庫内空気が庫内上部ファンF2の停止によって商品収納庫内の前方に吹き出されて商品収納ラック4に収納された全ての商品Sを温度差なく販売適温に自動的に冷却若しくは加熱し、ゾーン冷却若しくはゾーン加熱する際には定格回転数より低い所定の低速回転数となる態様で駆動される庫内下部ファンF1によりダクト部材(上部ダクト部材7b)内を上昇する庫内空気の直進性が失われ、これによりダクト部材(上部ダクト部材7b)内を上昇する庫内空気の一部が当該ダクト部材(上部ダクト部材7b)に穿設した通気孔70から庫内側に流入して上下方向に複数段配設された商品収納棚10のうちの中段以下の商品収納棚10の商品収納通路43の後端寄りのゾーンに収納された商品Sを集中して冷却若しくは加熱する一方、ダクト部材(上部ダクト部材7b)の上端まで上昇した庫内空気が庫内上部ファンF2により商品落下通路46の下方に向けて送風されることにより上下方向に複数段配設された商品収納棚10のうちの上段側の商品収納棚10の商品収納通路43の後端寄りのゾーンに収納された商品Sを集中して冷却若しくは加熱し、上段側から下段側の商品収納棚10の商品収納通路43の後端寄りのゾーンに収納された商品Sを温度差なく販売適温に自動的に集中して冷却若しくは加熱することが可能な自動販売機を提供することができるという効果を奏する。
【0050】
なお、前述した実施の形態においては、ダクト部材として下部ダクト部材7aと上部ダクト部材7bとを設け、上部ダクト部材7bを商品収納ラック4に一体的に取付けた例について説明したが、下部ダクト部材7aと上部ダクト部材7bとに分割することなく下部ダクト部材7aと上部ダクト部材7bとが連続した一つのダクト部材とし、かつ、このダクト部材を本体キャビネット1の背壁1cに沿って配設するように構成することができるものであり、実施の形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0051】
1…本体キャビネット、4…商品収納ラック、5…商品搬出シュータ、6…冷却/加熱ユニット(冷却/加熱手段)、7a…下部ダクト部材、7b…上部ダクト部材、10…商品収納棚、42…仕切部材、43…商品収納通路、44…商品投入口、45…商品搬出口、46…商品落下通路、70…通気孔、BM…商品搬出装置、F1…庫内下部ファン、F2…庫内上部ファン。
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