(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0020】
図1は、実施形態に係るケーシングのフレームユニットを表す斜視図である。
図2は、実施形態に係るケーシングを表す斜視図である。
【0021】
実施形態に係るケーシング1は、
図1に表したフレームユニット100を備える。また、
図2および
図3に表したように、実施形態に係るケーシング1は、上受具150(第1受具)、中受具160(第2受具)、下受具170(第3受具)、上前面板200(第1前面板)、下前面板240(第2前面板)、および甲板280をさらに備える。
【0022】
本願明細書においては、
図1および
図2に表したように、フレームユニット100に対して、上前面板200および下前面板240が配される方向を、前方FWとする。前方FWと反対の方向を、後方BWとする。前後方向に対して垂直であり、鉛直方向に沿う方向を、上方UWおよび下方DWとする。前後方向および上下方向に対して垂直な方向を、左側方LWおよび右側方RWとする。
【0023】
図1に表したように、フレームユニット100は、左縦フレーム101、右縦フレーム103、左縦バー105、右縦バー107、連結フレーム109、上横フレーム111、下横フレーム113、背面フレーム115、支持フレーム117、固定具119、ブラケット121、および固定フレーム125を有する。
【0024】
左縦フレーム101、右縦フレーム103、左縦バー105、および右縦バー107は、鉛直方向に沿って設けられ、左右方向に並べられる。左縦バー105は、左縦フレーム101の左側方に位置し、右縦バー107は、右縦フレーム103の右側方に位置する。
【0025】
連結フレーム109は、左右方向に沿って設けられ、左縦フレーム101、右縦フレーム103、左縦バー105、および右縦バー107のそれぞれの上端と固定される。
【0026】
上横フレーム111および下横フレーム113は、左右方向に沿って設けられる。上横フレーム111は、連結フレーム109の下方に位置する。下横フレーム113は、上横フレーム111の下方に位置する。上横フレーム111および下横フレーム113は、連結フレーム109よりも短く、左縦フレーム101および右縦フレーム103と固定される。
【0027】
背面フレーム115は、連結フレーム109の後方に設けられ、フレームユニット100後方の壁面に固定される。支持フレーム117は、前後方向に沿って設けられ、連結フレーム109および背面フレーム115と固定される。
【0028】
固定具119は、上横フレーム111および背面フレーム115と固定される。固定具119は、後述するように、便器の洗浄時に機能する衛生器具を固定する。ブラケット121は、例えば、左縦フレーム101に複数取り付けられ、後方に向けて延びる。ブラケット121には、例えば、不図示の吊紐が取り付けられる。この吊紐には、ケーシング1前方の設備に接続される配管や衛生器具に接続される配管が掛けられる。
【0029】
固定フレーム125は、床面に固定される。下横フレーム113および下受具170は、固定フレーム125と固定される。左縦フレーム101の下部および右縦フレーム103の下部は、下横フレーム113および下受具170を介して、固定フレーム125と固定される。左縦バー105および右縦バー107は、下受具170を介して固定フレーム125と固定される。
【0030】
上受具150は、左右方向において複数設けられる。複数の上受具150は、それぞれ、左縦フレーム101の上部前面および右縦フレーム103の上部前面に固定される。複数の上受具150は、同じ高さに設けられる。
【0031】
中受具160は、上受具150の下方において、左右方向に複数設けられる。複数の中受具160は、それぞれ、左縦フレーム101の前面および右縦フレーム103の前面に固定される。複数の中受具160は、同じ高さに設けられる。
【0032】
下受具170は、中受具160の下方において、左縦フレーム101の前面および右縦フレーム103の前面に固定される。
【0033】
上前面板200および下前面板240は、フレームユニット100の前面に固定されるこれらの受具によって、フレームユニット100の前方に係止される。具体的には、上前面板200は、上受具150および中受具160によって係止される。下前面板240は、上前面板200の下方において、中受具160および下受具170によって係止される。甲板280は、連結フレーム109、背面フレーム115、支持フレーム117の上に載置される。
【0034】
なお、上述した各種フレームの一部は、一体に構成されていても良い。例えば、左縦フレーム101と支持フレーム117が一体に構成され、右縦フレーム103と支持フレーム117が一体に構成されていても良い。
各種フレームの一部は、各種受具の一部と一体に構成されていても良い。例えば、連結フレーム109は、複数の上受具150と一体に構成されていても良い。
また、上述した各種フレームは、直接的に固定されるだけでなく、他の部材を介して互いに固定されていても良い。例えば、連結フレーム109は、他の剛性を有する部材を介して、左縦バー105、右縦バー107、および支持フレーム117と固定される。
【0035】
図3は、実施形態に係るケーシングとトイレ装置を表す側面図である。
なお、
図3において、実施形態に係るケーシングについては、その断面構造が表されている。
【0036】
図3に表したように、上前面板200および下前面板240の前方には、例えば、洋式の腰掛便器(以下、便器という)を備えたトイレ装置300や、背もたれ310などが設けられる。また、上前面板200の前面には、トイレ装置300の便器301を洗浄するための洗浄スイッチや、非常時に使用される呼び出しボタンなどが設けられても良い。
【0037】
ケーシング1の内側には、トイレ装置300と接続される各種配管Pが設けられる。これらの配管Pは、例えば、ブラケット121に掛けられた吊紐123によって支持される。ケーシング1の内側には、さらに、便器301の洗浄時に機能する衛生器具320が設けられる。この衛生器具320は、固定具119に固定される。
【0038】
図3に表した例では、衛生器具320としてのフラッシュバルブが固定具119によって固定されている。フラッシュバルブに代えて、衛生器具320として、ロータンクが設けられても良い。これらの器具は、便器301の洗浄時に、便器301に洗浄水を供給する機能を有する。
【0039】
なお、トイレ装置300の具体的な構成は、任意である。例えば、
図3に表したトイレ装置300の背面は、固定フレーム125と固定されており、トイレ装置300は、床面から離間している。この例に限らず、トイレ装置300は、床面に設置されていても良い。トイレ装置300が床面に設置される場合、固定フレーム125が設けられていなくても良い。この場合、例えば、左縦フレーム101の下端および右縦フレーム103の下端が、床面に固定される。
【0040】
図4は、実施形態に係るケーシングの一部を表す斜視図である。
図5は、実施形態に係るケーシングの一部を表す断面図である。
図4および
図5を参照し、実施形態に係るケーシングが備える各受具、上前面板200、および下前面板240の構造について具体的に説明する。
【0041】
左縦フレーム101および右縦フレーム103の構造は、実質的に同じである。下前面板240は、左右方向において2点で下受具170に係止されるが、これらの係止された部分の構造は、実質的に同じである。
このため、
図5(a)および
図5(b)では、それぞれ、左縦フレーム101に固定された上受具150および中受具160を例示している。
図5(c)では、下受具170の左縦フレーム101に固定された部分を例示している。
【0042】
図4および
図5(a)に表したように、上受具150は、固定部151(第1固定部)および係止部152(第1係止部)を有する。固定部151は、左縦フレーム101の前面に接触して固定される。係止部152は、固定部151よりも前方に位置し、鉛直方向に沿って設けられる。係止部152は、固定部151の下部と連結されている。
【0043】
図4および
図5(b)に表したように、中受具160は、固定部161、上段係止部162、連結部163、下段係止部164、および支持部165を有する。固定部161は、左縦フレーム101の前面に接触して固定される。上段係止部162および下段係止部164は、固定部161よりも前方に位置し、鉛直方向に沿って設けられる。下段係止部164は、上段係止部162の下方に位置する。連結部163は、水平方向に沿って設けられ、固定部161の上部と上段係止部162の下部とを連結している。支持部165は、水平方向に沿って設けられ、固定部161の下部と下段係止部164の下部とを連結している。
【0044】
図4および
図5(c)に表したように、下受具170は、固定部171(第2固定部)、左係止部172(第2係止部の一例)、および右係止部173(第2係止部の他の一例)を有する。固定部171の左側は、左縦フレーム101の前面に固定され、固定部171の右側は、右縦フレーム103の前面に固定される。左係止部172および右係止部173は、固定部171よりも前方に位置し、鉛直方向に沿って設けられる。左係止部172および右係止部173は、それぞれ、固定部171の左側上部および右側上部に連結されている。
【0045】
上前面板200の背面には、上段留め具210(第1留め具)および下段留め具220(第2留め具)が設けられる。下段留め具220は、上段留め具210よりも下方に位置する。上段留め具210および下段留め具220は、左右方向において複数設けられ、これらの留め具は、それぞれ、上前面板200の四隅付近に固定される。
【0046】
上段留め具210および下段留め具220は、下方に向けて屈曲した鉤を有する。この鉤により、上段留め具210は、上受具150の係止部152に引っ掛けられ、下段留め具220は、中受具160の上段係止部162に引っ掛けられる。また、これらの鉤は弾性を有し、上段留め具210および下段留め具220は、それぞれ、係止部152および上段係止部162を前後方向から挟み込む。これにより、上前面板200が、各受具を介してフレームユニット100に係止され、上前面板200の前後方向における変位が抑制される。
【0047】
下前面板240の背面には、上段留め具250(第3留め具)および下段留め具260(第4留め具)が設けられる。下段留め具260は、上段留め具250よりも下方に位置する。上段留め具250および下段留め具260は、左右方向において複数設けられ、これらの留め具は、それぞれ、下前面板240の四隅付近に固定される。
【0048】
上段留め具250および下段留め具260は、上段留め具210および下段留め具220と同様に、下方に向けて屈曲した鉤を有する。この鉤により、上段留め具250は、中受具160の下段係止部164に引っ掛けられ、複数の下段留め具260が、それぞれ、下受具170の左係止部172および右係止部173に引っ掛けられる。これらの鉤は弾性を有し、上段留め具250は、下段係止部164を前後方向から挟み込み、複数の下段留め具260が、それぞれ、左係止部172および右係止部173を前後方向から挟み込む。これにより、下前面板240が、各受具を介してフレームユニット100に係止され、下前面板240の前後方向における変位が抑制される。
【0049】
図4に表したように、下前面板240の背面には、ねじ受部270がさらに設けられる。ねじ受部270は、左右方向において複数設けられ、それぞれが上段留め具250の上方に位置する。
図5(b)に表したように、下前面板240をフレームユニット100に係止させた状態において、ねじ受部270は、上下方向において、連結部163と支持部165との間に位置する。
【0050】
ねじ受部270には、孔270aが設けられ、この孔270aの内壁面にはねじ溝が形成されている。ねじ275は、このねじ溝と嵌め合わされて孔270aに挿通される。また、ねじ275は、支持部165と接触する。下前面板240は、ねじ275およびねじ受部270を介して、支持部165によって支持される。
【0051】
ねじ275を回転させることで、支持部165に対するねじ受部270の高さを調整することができる。すなわち、ねじ275を回転させることで、フレームユニット100に対する下前面板240の上下方向における位置を調整することができる。
【0052】
上前面板200は、例えば、下前面板240の上に載置される。この場合、下前面板240の高さを調整することで、上前面板200の高さも調整される。または、上前面板200の上段留め具210近傍に、ねじ受部が設けられていても良い。このねじ受部にねじを挿通し、上受具150に接触させることで、上前面板200の高さ調整を、下前面板240とは別に行うことができる。
【0053】
連結部163には、間隙Gが形成されている。
図4および
図5(b)に表した例では、間隙Gは、連結部163に形成された開口である。間隙Gは、固定部161の一部と上段係止部162の一部との間に位置する。連結部163は、固定部161の他の一部と上段係止部162の他の一部とを連結している。この間隙Gは、
図5(b)に表したように、ねじ受部270の孔270aおよびねじ275の直上に位置する。
【0054】
下前面板240の上段留め具250および下段留め具260は、中受具160および下受具170に引っ掛けられた際に、これらの受具の前面と接触する。これにより、下前面板240に前方から荷重が加えられた際に、下前面板240が中受具160および下受具170によって後方から支持され、下前面板240の撓みが抑制される。
【0055】
同様に、上前面板200について、上段留め具210および下段留め具220は、上受具150および中受具160に引っ掛けられた際に、これらの受具の係止部の前面と接触する。これにより、上前面板200に前方から荷重が加えられた際に、上前面板200が上受具150および中受具160によって後方から支持され、上前面板200の撓みが抑制される。
【0056】
このとき、上前面板200は、さらに、固定具119の前端によって後方から支持される。この点について、
図6を参照して説明する。
【0057】
図6は、実施形態に係るケーシングの一部を表す側面図である。
図6に表したように、固定具119は、上横フレーム111および背面フレーム115と固定される。固定具119の前端119aは、上横フレーム111よりも前方に突出している。前端119aは、例えば、鉛直方向に沿うように、上方または下方に向けて屈曲している。上前面板200が後方に向けて押されて変形した際、上前面板200は、前端119aと接触し、固定具119によって後方から支持される。
【0058】
なお、上前面板200が後方に向けて押されていない状態において、上前面板200は前端119aと接触していても良いし、上前面板200と前端119aとの間に間隙が設けられていても良い。
【0059】
図7は、実施形態に係るケーシングの一部を表す正面図である。
図7に表したように、フレームユニット100には、上被覆部材131、下被覆部材133、左被覆部材135、および右被覆部材137が設けられる。
【0060】
上被覆部材131は、連結フレーム109の前面および上面に設けられる。上被覆部材131の一部は、連結フレーム109と甲板280との間に位置し、上被覆部材131の他の一部は、上前面板200と連結フレーム109との間に位置する。上前面板200と甲板280の隙間は、上被覆部材131によって後方から被覆される。
【0061】
下被覆部材133は、下受具170の前面下部に設けられ、上前面板200および下前面板240よりも後方に位置する。下被覆部材133の少なくとも一部は、下受具170および下前面板240よりも下方に設けられる。下被覆部材133は、下前面板240と床面との隙間を後方から被覆する。
【0062】
左被覆部材135は、左縦バー105の前面に設けられ、上前面板200および下前面板240よりも後方に位置する。左被覆部材135の少なくとも一部は、左縦バー105、上前面板200、および下前面板240よりも左側方に設けられる。
【0063】
右被覆部材137は、右縦バー107の前面に設けられ、上前面板200および下前面板240よりも後方に位置する。右被覆部材137の少なくとも一部は、右縦バー107、上前面板200、および下前面板240よりも右側方に設けられる。
【0064】
ケーシング1は、例えば、トイレブースまたはトイレ室などの仕切られた空間内に設置される。左被覆部材135および右被覆部材137は、ケーシング1の側方に位置する壁と、上前面板200および下前面板240と、の隙間を、後方から被覆する。
【0065】
図8および
図9は、実施形態に係るケーシングの一部を表す斜視図である。
図8に表したように、左縦バー105の上端および下端には、それぞれ、孔105a(第1孔の一例)および孔105bが設けられている。孔105aおよび孔105bは、左右方向における寸法が、上下方向における寸法よりも長い。
【0066】
左縦バー105と連結フレーム109は、ねじ106aおよびねじ106bを締結することで固定される。孔105aにおけるねじ106aの位置および孔105bにおけるねじ106bの位置を調整することで、連結フレーム109に対する左縦バー105の左右方向における位置を調整できる。
【0067】
同様に、
図9に表したように、右縦バー107の上端および下端には、それぞれ、孔107a(第1孔の他の一例)および孔107bが設けられている。孔107aおよび孔107bは、左右方向における寸法が、上下方向における寸法よりも長い。
【0068】
右縦バー107と連結フレーム109は、ねじ108aおよびねじ108bを締結することで固定される。孔107aにおけるねじ108aの位置および孔107bにおけるねじ108bの位置を調整することで、連結フレーム109に対する右縦バー107の左右方向における位置を調整できる。
【0069】
ここで、本実施形態の効果について説明する。
本実施形態に係るケーシング1では、下前面板240をフレームユニット1の前面に係止させた後、下前面板240のねじ受部270に挿通されたねじ275によって、フレームユニット1に対する下前面板240の高さを調整することができる。このとき、ねじ275の上方に十分な空間があると、ドライバーでねじ275を容易に回すことができ、下前面板240の高さ調整を行う際の作業効率を向上させることができる。
【0070】
本実施形態に係るケーシング1では、下前面板240の高さ調整の作業効率向上のために、連結部163に間隙Gが設けられている。間隙Gが設けられていない場合、作業者は、下前面板240を下段係止部164に係止させた後、下前面板240と上段係止部162との隙間からドライバーを差し込み、ねじ275を回す必要がある。この場合、ねじ275に対してドライバーが斜め上方から差し込まれる。従って、ねじ275が回し難く、かつねじ275が視認し難くいため、作業効率が低下する。
【0071】
連結部163に間隙Gが設けられていることで、下前面板240を下段係止部164に係止させた後でも、ねじ275の上方から間隙Gを通してドライバーを差し込み、下前面板240の高さ調整を行うことが可能となる。このため、本実施形態によれば、下前面板240の高さ調整の作業効率を向上させることが可能である。
【0072】
また、上前面板200は、上段留め具210および下段留め具220を有する。そして、上段留め具210および下段留め具220は、それぞれ、上受具150の係止部152および中受具160の上段係止部162を前後方向から挟み込む。これにより、フレームユニット100に対する上前面板200の前後方向における位置が固定され、上前面板200の前後方向における変位を抑制することができる。
【0073】
同様に、下前面板240は、上段留め具250および下段留め具260を有する。上段留め具250は、中受具160の下段係止部164を前後方向から挟み込む。複数の下段留め具260は、それぞれ、下受具170の左係止部172および右係止部173を前後方向から挟み込む。これにより、フレームユニット100に対する下前面板240の前後方向における位置が固定され、下前面板240の前後方向における変位を抑止することができる。
【0074】
なお、ねじ受部270、ねじ275、および支持部165を介して下前面板240を支持する中受具160は、左縦フレーム101および右縦フレーム103以外に固定されても良いが、左縦フレーム101および右縦フレーム103の少なくともいずれかの縦フレームに固定されることが望ましい。フレームユニット100に上前面板200および下前面板240が係止されると、中受具160には、下方に向けた荷重が加えられる。中受具160が縦フレームに固定されることで、中受具160から縦フレームに加えられる荷重の方向と、床面から縦フレームに加わる反力の方向と、を一致させ、フレームユニット100に伝わる荷重を、効率的に支持することが可能となる。この結果、上前面板200および下前面板240の荷重によるフレームユニット100の撓み等を抑制することができる。
【0075】
トイレ装置に使用者が座った際に、使用者が上前面板200に背をもたせる場合がある。この場合、上前面板200には、後方に向けて大きな荷重が加えられる。実施形態に係るケーシング1では、上前面板200の後方において、固定具119の前端119aが上横フレーム111よりも前方に突出している。このため、上前面板200が後方に向けて押された場合、上前面板200は、上受具150および中受具160に加えて、固定具119によって後方から支持される。これらの複数の点で上前面板200を支持することで、上前面板200が押された際の、上前面板200の撓みを抑制することができる。
【0076】
また、固定具119の前端119aは、上受具150よりも下方に位置し、中受具160よりも上方に位置する。この構成によれば、上前面板200が後方に向けて押された場合、上前面板200に加わる荷重を上下方向に分散して支持できるため、上前面板200の撓みを効果的に抑制することができる。
【0077】
さらに、固定具119の前端119aは、複数の上受具150の1つおよび複数の中受具160の1つよりも右側方に位置し、複数の上受具150の他の1つおよび複数の中受具160の他の1つよりも左側方に位置する。この構成によれば、上前面板200が後方に向けて押された場合、上前面板200に加わる荷重を左右方向に分散して支持できるため、上前面板200の撓みを効果的に抑制することができる。
【0078】
また、上述した構成によれば、上前面板200が後方に向けて押された際に、固定具119には特に大きな荷重が加わる。しかし、固定具119は、壁面に固定される背面フレーム115と固定される。このため、固定具119に大きな荷重が加えられた場合でも、その荷重がフレームユニット100後方の壁面によって効率的に支持される。このため、大きな荷重が固定具119に加えられた場合でも、固定具119の変位を抑制することができる。
【0079】
また、衛生器具としてのフラッシュバルブやロータンクなどを固定する固定具119が、上前面板200を支持する部材としても機能することで、ケーシング1の部材の数を減らすことが可能である。
【0080】
図7に表したように、左縦バー105の前面には、左被覆部材135が設けられる。左被覆部材135を設けることで、上前面板200および下前面板240と、フレームユニット1の左側方の壁面と、の隙間を被覆することができる。この隙間を被覆することで、当該隙間に埃や汚れが溜まり難くなり清掃性が向上する。
【0081】
図8に表したように、左縦バー105の上端および下端には、それぞれ、孔105aおよび孔105bが設けられていることが望ましい。これらの横長の孔が設けられることで、連結フレーム109および下受具170に対する左縦バー105の左右方向における位置を調整することができる。従って、左被覆部材135の位置を、上前面板200および下前面板240と、壁面と、の隙間に応じて調整することができる。例えば、左被覆部材135の左側端を壁面に当接させて押し付けるように左被覆部材135を左縦バー105に取り付けることで、左被覆部材135をより安定させて固定でき、取り付け後の左被覆部材135の位置の変化を抑制することができる。
【0082】
同様に、右縦バー107の前面に右被覆部材137が設けられることで、上前面板200および下前面板240と、フレームユニット1の右側方の壁面と、の隙間を被覆することができる。この結果、フレームユニット1の清掃性を向上させることができる。また、
図9に表したように、右縦バー107の上端および下端に、それぞれ、孔107aおよび孔107bが設けられることで、右被覆部材137の位置を調整することができ、右被覆部材137をより安定させて固定することができる。
【0083】
孔105aおよび孔105bについては、少なくとも一方が設けられていれば、左縦バー105の位置調整を行うことができる。孔105aおよび孔105bの両方が設けられることで、位置調整を行った左縦バー105を、より強固に固定することが可能となる。
【0084】
同様に、孔107aおよび孔107bについても、少なくとも一方が設けられていれば、右縦バー107の位置調整を行うことができる。孔107aおよび孔107bの両方が設けられることで、位置調整を行った右縦バー107を、より強固に固定することが可能となる。
【0085】
図10は、実施形態に係るケーシングの中受具の変形例を表す斜視図である。
図10に表した中受具160は、上段係止部162および連結部163のそれぞれの一部を切り欠くことで、連結部163に間隙Gが形成されている。このように、間隙Gの形態は、
図3および
図4に限らず、適宜変更することができる。
【0086】
ただし、
図4および
図5(b)に表したように、間隙Gが開口である場合、左右方向において間隙Gが形成された位置にも、上段係止部162を設けることができる。この場合、上段係止部162に係止された下段留め具220と、ねじ受部270と、下段係止部164に係止された上段留め具250と、を上下方向に並べて設けることができる。
【0087】
図10に表した中受具160の場合、左右方向において間隙Gが形成された位置には下段留め具220を係止させることができない。一方で、間隙Gを通してねじ275を回すためには、ねじ受部270は、間隙Gの下方に位置することが望ましい。従って、上段係止部162に係止された下段留め具220の左右方向における位置と、上段留め具250およびねじ受部270の左右方向における位置と、をずらす必要がある。
【0088】
図4および
図5(b)に表したように、下段留め具220と、ねじ受部270と、上段留め具250と、を上下方向に並べて設けることができると、上前面板200および下前面板240を係止させる際に、これらの前面板の左右方向における位置合わせが容易となる。従って、間隙Gは、連結部163に設けられた開口であることがより望ましい。
【0089】
図11は、実施形態に係る他のケーシングを表す斜視図である。
図11に表したケーシング2では、フレームユニット100の前面に、上前面板200および下前面板240以外の、他の前面板290が係止される。前面板290は、例えば、上前面板200および下前面板240の左側方または右側方に設けられる。
【0090】
前面板290の背面には、上前面板200および下前面板240と同様に、複数の留め具が設けられる。左縦フレーム101の上受具150および下受具170には、上前面板200の留め具および前面板290の留め具が引っ掛けられる。
【0091】
上受具150の幅は、
図1に表したように、左縦フレーム101または右縦フレーム103の幅よりも広い。これにより、上受具150に、複数の留め具を係止することが可能となる。また、下受具170の幅は、左縦フレーム101と右縦フレーム103との距離よりも広い。これにより、下受具170の左縦フレーム101または右縦フレーム103近傍において、複数の留め具を係止することが可能となる。
【0092】
図11に表した例では、前面板290には、トイレ装置の使用者のための手すり330が取り付けられる。このように、ケーシング1が備える前面板の数は、ケーシング1に付設される設備の具体的構成に応じて適宜変更可能である。
【0093】
例えば、フレームユニット100の前面には、3つの前面板が係止されても良い。この場合、中段の前面板の下部と下段の前面板の上部とを係止し、下段の前面板の高さを調整するために、中受具160、ねじ受部270、およびねじ275を用いることができる。
【0094】
また、ケーシング1のフレームユニット100の構成も、
図1および
図2などに表される構成に限定されず、適宜変更することが可能である。
図1に表した例では、左右方向において、2つの縦フレームが設けられているが、1つまたは3つ以上の縦フレームが設けられていても良い。縦フレームの数に応じて、左右方向において、1つまたは3つ以上の上受具150および中受具160が設けられていても良い。
【0095】
実施形態に係るケーシング1には、例えば
図3に表したように、トイレ装置300が付設されるが、他の水周り機器が付設されても良い。例えば、実施形態に係るケーシング1には、小便器や手洗い器などが付設され、ケーシング1の内側には、これらの水周り機器に接続される配管等が設けられても良い。
【0096】
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、フレームユニット100、上前面板200、下前面板240、甲板280などが備える各要素の形状、寸法、材質、配置、設置形態などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。