特許第6879103号(P6879103)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6879103
(24)【登録日】2021年5月7日
(45)【発行日】2021年6月2日
(54)【発明の名称】洗面カウンタ
(51)【国際特許分類】
   A47K 1/02 20060101AFI20210524BHJP
   A47K 1/00 20060101ALI20210524BHJP
【FI】
   A47K1/02 F
   A47K1/00 P
   A47K1/00 V
【請求項の数】3
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-143581(P2017-143581)
(22)【出願日】2017年7月25日
(65)【公開番号】特開2019-24529(P2019-24529A)
(43)【公開日】2019年2月21日
【審査請求日】2020年5月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【弁理士】
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 浩
(72)【発明者】
【氏名】朝川 秀俊
(72)【発明者】
【氏名】島野 晃輔
(72)【発明者】
【氏名】帖地 彩
【審査官】 家田 政明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−79362(JP,A)
【文献】 特開2010−187784(JP,A)
【文献】 特開2016−187532(JP,A)
【文献】 特開2006−328674(JP,A)
【文献】 特開2001−3409(JP,A)
【文献】 特開2015−86663(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0067658(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 1/00
A47K 1/02
A47B 67/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カウンタ面を有するカウンタと、
前記カウンタに設けられ、前記カウンタ面よりも下方に凹む凹状のボウル部と、
前記カウンタの後端から上方に向かって延び、前方を向く立ち上がり面を有する立ち上がり部と、
前記立ち上がり部の上端から前方に向かって延び、上面及び下面を有する平板状の棚板と、
前記立ち上がり面に取り付けられ、前記ボウル部に向けて水を吐出する水栓部と、
前記立ち上がり面に取り付けられる第1板部と、前記棚板の前記下面に取り付けられる第2板部と、を有し、前記棚板を支持する支持具と、
を備え、
前記立ち上がり部は、上端から下方に向かって凹む凹状の開口を有し、
前記第1板部は、前記開口の前方を覆うとともに、前記開口の一部と対向する貫通孔を有し、
前記水栓部は、前記開口及び前記貫通孔に挿通された状態で前記立ち上がり面に取り付けられ、前記貫通孔を塞ぐことを特徴とする洗面カウンタ。
【請求項2】
前記棚板は、前記下面から下方に突出した凸部を有し、
前記第2板部は、前記下面に取り付けられた状態で前記凸部を入り込ませるための凹部を有し、前記凸部及び前記凹部に対して下方から接合部材を挿通することにより、前記下面に取り付けられることを特徴とする請求項1記載の洗面カウンタ。
【請求項3】
前記水栓部は、2つ設けられ、
前記立ち上がり部は、左右方向に並ぶ2つの前記開口を有し、
前記第1板部は、前記2つの開口に対応する2つの前記貫通孔を有し、
前記凸部及び前記凹部は、前記2つの水栓部の間に設けられていることを特徴とする請求項2記載の洗面カウンタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の態様は、一般的に、洗面カウンタに関する。
【背景技術】
【0002】
洗面カウンタにおいて、カウンタの後端から上方に向かって延びる立ち上がり部を設けるとともに、立ち上がり部の上端から前方に突き出る棚板を設けることにより、十分な広さの手洗い空間を確保しつつ、十分な広さの荷物置きの空間も確保できるようにすることが提案されている。こうした洗面カウンタにおいては、上方からの荷重によって棚板が撓んだり、破損したりしないよう、棚板の強度を確保する必要がある。
【0003】
一方で、水を吐出する水栓部は、立ち上がり部に開口を設け、この開口に挿通した状態で立ち上がり部に取り付けられる。この際、棚板と水栓部との間の上下方向の距離が離れていると、棚板が過度に高くなって荷物などを置き難くなったり、反対に水栓部が下がり過ぎ、手洗い空間が狭くなったりしてしまう。従って、棚板を適切な高さに設定しつつ、なるべく広い手洗い空間を確保するためには、水栓部を立ち上がり部の上端付近に配置し、水栓部と棚板とを近付ける必要がある。
【0004】
水栓部を立ち上がり部の上端付近に配置する際に、貫通孔状の開口に水栓部を挿通して取り付けると、開口から立ち上がり部の上端までの部分の肉厚が薄くなり、水栓部に外力が加わった際などに、開口上方の薄肉の部分が破損してしまう可能性がある。
【0005】
このため、立ち上がり部の上端から下方に凹む凹状の開口に、水栓部を挿通して取り付けることも提案されている。すなわち、破損する可能性のある薄肉の部分を取り除いた形状に開口を形成することが提案されている。
【0006】
しかしながら、凹状の開口に水栓部を取り付けると、取り付け後に水栓部の上方に隙間が生じてしまう。すなわち、取り除いた薄肉の部分が、隙間となって表れてしまう。このため、立ち上がり部の後方の空間への水の浸入を抑制することが難しくなってしまう。また、棚板の強度を確保するための部材や、水栓部の取付部分を止水するための部材などを個別に用意すると、部品点数が増加し、構成が複雑になってしまう。
【0007】
このため、立ち上がり部の上端に棚板を設ける洗面カウンタでは、立ち上がり部の上端から下方に凹む凹状の開口に水栓部を取り付ける場合にも、部品点数の増加を抑制しつつ、棚板の強度を適切に確保し、かつ水栓部の取付部分を適切に止水できるようにすることが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2013−22030号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、かかる課題の認識に基づいてなされたものであり、立ち上がり部の上端に棚板を設け、立ち上がり部の上端から下方に凹む凹状の開口に水栓部を取り付ける場合にも、部品点数の増加を抑制しつつ、棚板の強度を適切に確保し、かつ水栓部の取付部分を適切に止水できる洗面カウンタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の発明は、カウンタ面を有するカウンタと、前記カウンタに設けられ、前記カウンタ面よりも下方に凹む凹状のボウル部と、前記カウンタの後端から上方に向かって延び、前方を向く立ち上がり面を有する立ち上がり部と、前記立ち上がり部の上端から前方に向かって延び、上面及び下面を有する平板状の棚板と、前記立ち上がり面に取り付けられ、前記ボウル部に向けて水を吐出する水栓部と、前記立ち上がり面に取り付けられる第1板部と、前記棚板の前記下面に取り付けられる第2板部と、を有し、前記棚板を支持する支持具と、を備え、前記立ち上がり部は、上端から下方に向かって凹む凹状の開口を有し、前記第1板部は、前記開口の前方を覆うとともに、前記開口の一部と対向する貫通孔を有し、前記水栓部は、前記開口及び前記貫通孔に挿通された状態で前記立ち上がり面に取り付けられ、前記貫通孔を塞ぐことを特徴とする洗面カウンタである。
【0011】
この洗面カウンタによれば、棚板を支持する支持具を設けることにより、棚板の強度を確保することができる。そして、支持具の第1板部で開口の前方を覆い、第1板部に設けられた貫通孔を水栓部で塞ぐことにより、立ち上がり部の上端から下方に凹む凹状の開口に水栓部を取り付ける場合にも、水栓部の取付部分を止水することができる。このように、1つの支持具で棚板の強度の確保と、水栓部の取付部の止水とを両立させることができる。従って、部品点数の増加を抑制しつつ、棚板の強度を適切に確保し、かつ水栓部の取付部分を適切に止水できる洗面カウンタを提供することができる。
【0012】
第2の発明は、第1の発明において、前記棚板は、前記下面から下方に突出した凸部を有し、前記第2板部は、前記下面に取り付けられた状態で前記凸部を入り込ませるための凹部を有し、前記凸部及び前記凹部に対して下方から接合部材を挿通することにより、前記下面に取り付けられることを特徴とする洗面カウンタである。
【0013】
この洗面カウンタによれば、接合部材を凸部に挿通することで、平板状の棚板本体に接合部材を挿通する場合と比べて、接合部材を挿通し易くすることができる。例えば、接合部材の挿通にともなう棚板本体の破損などを抑制することができる。
【0014】
また、例えば、接合部材(例えばネジ)と接合する被接合部材(例えばインサートナット)を棚板に設ける場合がある。平板状の棚板本体に被接合部材を設けると、水栓部などの取付位置の異なる複数の製品が存在する場合に、製品毎に被接合部材を棚板本体に逐一取り付けなければならず、棚板本体の製造に手間がかかってしまう。これに対して、凸部に被接合部材を設け、凸部を棚板本体に接着などで取り付けるようにすることにより、水栓部などの取付位置の異なる複数の製品が存在する場合にも、棚板の製造を用意にすることができる。例えば、棚板本体を複数の製品に共通に用いることができ、棚板の製造コストを抑えることができる。
【0015】
第3の発明は、第2の発明において、前記水栓部は、2つ設けられ、前記立ち上がり部は、左右方向に並ぶ2つの前記開口を有し、前記第1板部は、前記2つの開口に対応する2つの前記貫通孔を有し、前記凸部及び前記凹部は、前記2つの水栓部の間に設けられていることを特徴とする洗面カウンタである。
【0016】
この洗面カウンタによれば、1つの凹部及び凸部で2つの水栓部の取り付けを行うことができ、部品点数の増加や支持具の大型化などを抑制することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の態様によれば、立ち上がり部の上端に棚板を設け、立ち上がり部の上端から下方に凹む凹状の開口に水栓部を取り付ける場合にも、部品点数の増加を抑制しつつ、棚板の強度を適切に確保し、かつ水栓部の取付部分を適切に止水できる洗面カウンタが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】実施形態に係る洗面カウンタを表す斜視図である。
図2】実施形態に係る洗面カウンタの一部を拡大して表す部分斜視図である。
図3】実施形態に係る洗面カウンタの一部を拡大して表す部分斜視図である。
図4】実施形態に係る洗面カウンタの一部を拡大して表す分解斜視図である。
図5】実施形態に係る洗面カウンタの一部を拡大して表す部分断面図である。
図6】実施形態に係る洗面カウンタの一部を拡大して表す部分断面図である。
図7】実施形態に係る支持具を表す背面図である。
図8】実施形態に係る洗面カウンタの変形例を表す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、実施形態に係る洗面カウンタを表す斜視図である。
図2及び図3は、実施形態に係る洗面カウンタの一部を拡大して表す部分斜視図である。
図1図3に表したように、洗面カウンタ10は、カウンタ12と、ボウル部14と、立ち上がり部16と、棚板18と、第1水栓部21と、第2水栓部22と、支持具24と、カバー26と、を備えている。
【0020】
図1は、洗面カウンタ10を斜め上方から見た状態を表している。図2は、洗面カウンタ10の第1水栓部21、第2水栓部22、及びカバー26の設けられた部分を斜め下方から見た状態を表している。図3は、図2と実質的に同じ視点において、カバー26を取り外した状態を表している。
【0021】
カウンタ12は、カウンタ面12aを有する。カウンタ面12aは、上方を向き、荷物などの載置を可能にする。カウンタ面12aは、換言すれば、カウンタ12の上面である。カウンタ面12aは、例えば、水平面である。カウンタ面12aは、荷物などを載置可能な程度の傾きを有していてもよい。また、カウンタ面12aは、例えば、荷物などを載置可能な程度の凹凸や反り(曲面状の部分)などを有していてもよい。
【0022】
ボウル部14は、カウンタ12に設けられ、カウンタ面12aよりも下方に凹む凹状である。ボウル部14は、例えば、凹状のボウル面14aと、ボウル面14aの底部に設けられた排水口14bと、を有する。排水口14bは、下方において図示省略した排水管と接続され、ボウル面14aに吐出された水を排水管に流す。ボウル部14は、例えば、排水口14bを開閉する排水栓や、ボウル面14aからの水の溢れを抑制するオーバーフロー口などを有していてもよい。
【0023】
立ち上がり部16は、カウンタ12の後端から上方に向かって延びる。立ち上がり部16の左右方向の幅は、例えば、カウンタ12の左右方向の幅と実質的に同じである。換言すれば、立ち上がり部16は、カウンタ12の後端全体から上方に向かって延びる。但し、立ち上がり部16の左右方向の幅は、カウンタ12の左右方向の幅と異なってもよい。
【0024】
立ち上がり部16は、前方を向く立ち上がり面16aを有する。立ち上がり面16aは、換言すれば、立ち上がり部16の前面である。立ち上がり面16aは、例えば、垂直面である。但し、立ち上がり面16aは、垂直面に限ることなく、傾斜していてもよいし、凹凸や反りなどを有していてもよい。
【0025】
棚板18は、立ち上がり部16の上端から前方に向かって延びる。棚板18は、例えば、立ち上がり部16の上端を覆う。棚板18の左右方向の幅は、例えば、カウンタ12の左右方向の幅、及び立ち上がり部16の左右方向の幅と実質的に同じである。棚板18は、例えば、立ち上がり部16の上端全体を覆う。但し、棚板18の左右方向の幅は、カウンタ12の左右方向の幅、及び立ち上がり部16の左右方向の幅と異なってもよい。
【0026】
棚板18は、上面18aと下面18bとを有する。上面18aは、上方を向き、荷物などの載置を可能にする。上面18aは、例えば、水平面である。上面18aは、荷物などを載置可能な程度の傾きを有していてもよい。また、上面18aは、例えば、荷物などを載置可能な程度の凹凸や反りなどを有していてもよい。
【0027】
下面18bは、下方を向き、カウンタ面12a及びボウル面14aと対向する。下面18bは、例えば、上面18aと略平行である。棚板18は、例えば、略矩形の平板状である。但し、下面18bは、上面18aと非平行でもよい。下面18bは、凹凸や反りなどを有していてもよい。
【0028】
第1水栓部21は、立ち上がり部16の立ち上がり面16aに取り付けられる。第1水栓部21は、ボウル部14に向けて水を吐出する吐水口21aを有する。第1水栓部21の吐出する水は、例えば、手洗いなどを行うための洗浄水である。洗浄水は、例えば、水道水や地下水などである。また、洗浄水は、給水源から供給されたままの水でもよいし、加熱されたお湯でもよい。
【0029】
第2水栓部22は、立ち上がり部16の立ち上がり面16aに取り付けられる。第2水栓部22は、立ち上がり面16aにおいて第1水栓部21と左右方向に並べて設けられる。第2水栓部22は、ボウル部14に向けて水を吐出する吐水口22aを有する。第2水栓部22の吐出する水は、例えば、石鹸水である。このように、第1水栓部21及び第2水栓部22の吐出する水は、水やお湯でもよいし、石鹸水などでもよい。また、石鹸水は、液状でもよいし、泡状でもよい。
【0030】
洗面カウンタ10は、第1水栓部21及び第2水栓部22の2つの水栓部を有している。洗面カウンタ10に設けられる水栓部の数は、1つでもよいし、3つ以上でもよい。例えば、洗面カウンタ10が公共施設などに設置される場合などに、複数の水栓部を設けることにより、複数の使用者が同時に手洗いなどをできるようにしてもよい。
【0031】
第1水栓部21及び第2水栓部22は、使用者の手などの対象物を検出するためのセンサ部21b、22bを有する。センサ部21b、22bは、使用者の手などの対象物の検出を行い、検出結果を外部のコントローラなどに出力する。コントローラは、センサ部21b、22bによる対象物の検出に応じて、電磁弁などを開閉することにより、吐水口21a、22aから水を吐出する。このように、第1水栓部21及び第2水栓部22は、手などを差し出すだけで水が吐出される、いわゆる自動水栓として用いられる。センサ部21b、22bは、例えば、赤外線を照射し、対象物からの反射波を受光して対象物の有無を検出する赤外線センサである。センサ部21b、22bは、赤外線センサに限ることなく、使用者の手などの対象物を検出可能な任意のセンサでよい。第1水栓部21及び第2水栓部22は、自動水栓に限ることなく、ハンドルやレバーなどの操作に応じて吐止水を切り替える手動式の水栓でもよい。センサ部21b、22bは、必要に応じて設けられ、省略可能である。
【0032】
支持具24は、第1板部31と、第2板部32と、を有する。第1板部31は、立ち上がり部16の立ち上がり面16aに取り付けられる。第1板部31は、例えば、ネジ止めによって立ち上がり面16aに取り付けられる。第1板部31は、例えば、立ち上がり面16aに接する。
【0033】
第2板部32は、棚板18の下面18bに取り付けられる。第2板部32は、例えば、ネジ止めによって下面18bに取り付けられる。第2板部32は、例えば、下面18bに接する。
【0034】
支持具24は、略L字の板状である。支持具24は、例えば、略L字の金属板である。このように、支持具24は、立ち上がり部16の立ち上がり面16aと棚板18の下面18bとを接続することにより、棚板18を支持する。これにより、例えば、棚板18に上方から加わる荷重に対しての強度を高めることができる。換言すれば、支持具24は、棚板18を補強する。
【0035】
カバー26は、第1水栓部21、第2水栓部22、及び支持具24のそれぞれの前方、両側方、及び下方を覆う。これにより、カバー26は、立ち上がり部16及び棚板18とともに、これらの部材の前後左右上下の各方向からの視認を抑制する。これにより、洗面カウンタ10の意匠性を向上させることができる。
【0036】
カバー26は、例えば、ネジ止めなどにより、支持具24に下方から取り付けられる。カバー26は、例えば、立ち上がり部16の立ち上がり面16aに取り付けてもよい。
【0037】
図4は、実施形態に係る洗面カウンタの一部を拡大して表す分解斜視図である。
図4に表したように、立ち上がり部16は、上端から下方に向かって凹む凹状の開口16bを有する。この例において、立ち上がり部16は、左右方向に並ぶ2つの開口16bを有する。各開口16bは、第1水栓部21及び第2水栓部22の2つの水栓部のそれぞれに対応して設けられる。
【0038】
第1板部31は、開口16bの前方を覆うとともに、開口16bの一部と対向する貫通孔31aを有する。この例において、第1板部31は、2つの開口16bのそれぞれの前方を覆う。第1板部31は、2つの開口16bに対応する2つの貫通孔31aを有する。
【0039】
図5は、実施形態に係る洗面カウンタの一部を拡大して表す部分断面図である。
図5に表したように、第1水栓部21は、開口16b及び貫通孔31aに挿通された状態で立ち上がり面16aに取り付けられ、貫通孔31aを塞ぐ。このように、洗面カウンタ10では、立ち上がり部16に設けられた開口16bが、第1板部31によって塞がれ、第1板部31に設けられた貫通孔31aが、第1水栓部21によって塞がれる。これにより、上端から下方に向かって凹む凹状の開口16bを設けた場合においても、第1水栓部21の取付部分を適切に止水することができる。
【0040】
第1水栓部21は、例えば、本体部40と、接続部材41、42と、ネジ43と、を有する。本体部40は、例えば、筒状である。吐水口21aやセンサ部21bなどは、本体部40に設けられる。
【0041】
接続部材41は、外周にネジが設けられた円筒部41aと、円筒部41aよりも径を広げたフランジ部41bと、を有する。円筒部41aの外径は、開口16bの左右方向の幅と実質的に同じである。また、円筒部41aの長さは、開口部16bの長さよりも長い。開口部16bの長さは、換言すれば、立ち上がり部16の開口部16bが設けられた部分の板厚である。接続部材41は、円筒部41aを開口部16bに挿通し、フランジ部41bを立ち上がり部16の裏面に係合させた状態で、立ち上がり部16に取り付けられる。
【0042】
接続部材42は、内周にネジが設けられたリング状である。接続部材42の内径は、接続部材41の円筒部41aの外径と実質的に同じである。接続部材42は、円筒部41aの外周に設けられたネジと螺合する。
【0043】
接続部材41及び接続部材42は、互いに螺合し、立ち上がり部16と支持具24の第1板部31とを間に挟み込むことにより、立ち上がり部16に取り付けられる。また、接続部材42の外径は、貫通孔31aの径よりも大きい。これにより、接続部材41、42で第1板部31を挟むことにより、貫通孔31aが、接続部材42によって塞がれる。
【0044】
本体部40の後端側の内径は、接続部材42の外径と実質的に同じである。本体部40の後端は、接続部材42の外側に嵌る。接続部材42の外周には、V字状の溝42aが設けられている。ネジ43の先端部は、溝42aに対応した円錐状に形成されている。ネジ43は、本体部40の後端部分に下方から取り付けられ、先端部分を溝42a内に入り込ませる。このように、ネジ43は、溝42aとの係合により、本体部40の接続部材42からの抜けを抑制する。これにより、第1水栓部21が、立ち上がり面16aに取り付けられる。接続部材41、42には、例えば、吐水口21aに水を供給するための配管44や、センサ部21bとの電気的な接続を得るための配線などが挿通される。なお、第2水栓部22の構成は、第1水栓部21の構成と実質的に同じであるから、詳細な説明は省略する。
【0045】
図6は、実施形態に係る洗面カウンタの一部を拡大して表す部分断面図である。
図6に表したように、棚板18は、上面18a及び下面18bを有する平板状の棚板本体18mと、棚板本体18mの下面18bから下方に突出した凸部18pと、を有する。凸部18pは、例えば、棚板本体18mと別体に設けられ、接着などにより、下面18bに略一体に取り付けられる。凸部18pは、棚板本体18mと一体に成形してもよい。棚板本体18m及び凸部18pには、例えば、人工大理石が用いられる。凸部18pの材料は、棚板本体18mの材料と異なってもよい。凸部18pには、例えば、金属材料など、人口大理石よりも加工のし易い材料を用いてもよい。
【0046】
第2板部32は、下面18bに取り付けられた状態で凸部18pを入り込ませるための凹部32aを有する。第2板部32は、凸部18p及び凹部32aに対して下方から接合部材34を挿通することにより、下面18bに取り付けられる。
【0047】
凸部18pには、例えば、接合部材34と接合される被接合部材18nが設けられる。接合部材34は、例えば、ネジである。被接合部材18nは、例えば、インサートナットである。凸部18pに人口大理石を用いる場合、被接合部材18nは、例えば、埋め込み成形によって凸部18pに設けられる。
【0048】
凸部18p及び凹部32aは、第1水栓部21と第2水栓部22との間に設けられている。換言すれば、凸部18p及び凹部32aは、2つの開口16bの間、及び2つの貫通孔31aの間に設けられている。
【0049】
凹部32aは、前後方向に延びる。凹部32aは、例えば、前後方向に延び、第1板部31と接続されている。換言すれば、凹部32aの少なくとも一部は、第1板部31と一体に形成されている。これにより、例えば、第2板部32を平板状に形成した場合と比べて、支持具24の強度をより高めることができる。
【0050】
図7は、実施形態に係る支持具を表す背面図である。
図5及び図7に表したように、第1板部31と立ち上がり面16aとの間には、パッキン36が設けられる。パッキン36は、例えば、第1板部31の背面31b(立ち上がり面16aと対向する面)に接着して取り付けられる。パッキン36は、例えば、立ち上がり部16の開口16bの外縁を囲むように設けられる。換言すれば、パッキン36は、開口16bの側方及び下方を塞ぐように設けられる。これにより、第1板部31と立ち上がり面16aとの間の隙間から開口16bに水が浸入してしまうことを、より確実に抑制することができる。パッキン36は、例えば、2つの開口16bのそれぞれの外縁を囲む。これに限ることなく、2つの開口16bのそれぞれに対応する2つのパッキン36を設けてもよい。
【0051】
以上、説明したように、本実施形態に係る洗面カウンタ10では、棚板18を支持する支持具24を設けることにより、棚板18の強度を確保することができる。そして、支持具24の第1板部31で開口16bの前方を覆い、第1板部31に設けられた貫通孔31aを第1水栓部21、第2水栓部22で塞ぐことにより、立ち上がり部16の上端から下方に凹む凹状の開口16bに第1水栓部21、第2水栓部22を取り付ける場合にも、第1水栓部21、第2水栓部22の取付部分を止水することができる。このように、1つの支持具24で棚板18の強度の確保と、第1水栓部21、第2水栓部22の取付部の止水とを両立させることができる。従って、部品点数の増加を抑制しつつ、棚板18の強度を適切に確保し、かつ第1水栓部21、第2水栓部22の取付部分を適切に止水できる洗面カウンタ10を提供することができる。
【0052】
また、洗面カウンタ10では、接合部材34を凸部18pに挿通することで、平板状の棚板本体18mに接合部材34を挿通する場合と比べて、接合部材34を挿通し易くすることができる。例えば、接合部材34の挿通にともなう棚板本体18mの破損などを抑制することができる。
【0053】
また、平板状の棚板本体18mに被接合部材18nを設けると、第1水栓部21、第2水栓部22などの取付位置の異なる複数の製品が存在する場合に、製品毎に被接合部材18nを棚板本体18mに逐一取り付けなければならず、棚板本体18mの製造に手間がかかってしまう。これに対して、凸部18pに被接合部材18nを設け、凸部18pを棚板本体18mに接着などで取り付けるようにすることにより、第1水栓部21、第2水栓部22などの取付位置の異なる複数の製品が存在する場合にも、棚板18の製造を用意にすることができる。例えば、棚板本体18mを複数の製品に共通に用いることができ、棚板18の製造コストを抑えることができる。
【0054】
また、洗面カウンタ10では、凸部18p及び凹部32aを、第1水栓部21と第2水栓部22との間に設けている。これにより、1つの凹部32a及び凸部18pで第1水栓部21及び第2水栓部22の2つの水栓部の取り付けを行うことができ、部品点数の増加や支持具24の大型化などを抑制することができる。
【0055】
図8は、実施形態に係る洗面カウンタの変形例を表す部分断面図である。
上記実施形態では、第1水栓部21及び第2水栓部22の2つの水栓部を立ち上がり面16aに取り付けた例を示している。これに限ることなく、図8に表したように、1つの水栓部20を立ち上がり面16aに取り付ける場合に、上記の構成を採用してもよい。水栓部20の数は、1つ又は2つに限ることなく、任意の数でよい。
【0056】
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、洗面カウンタ10が備える各要素の形状、寸法、材質、配置などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0057】
10 洗面カウンタ、 12 カウンタ、 14 ボウル部、 16 立ち上がり部、 18 棚板、 20 水栓部、 21 第1水栓部、 22 第2水栓部、 24 支持具、 26 カバー、 31 第1板部、 32 第2板部、 34 接合部材、 36 パッキン、 40 本体部、 41、42 接続部材、 43 ネジ、 44 配管
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8