(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御装置は、前記エンジン回転数が前記予め定められた回転数領域内であって、かつ、前記気筒休止装置および前記可変バルブタイミング装置に対して作動を指令する場合に、前記気筒休止装置および前記可変バルブタイミング装置のうちのいずれか一方の機器の作動状態が前記第2オイルポンプに対する制御指令に対応した作動状態でないと判定する回数が予め定められた回数よりも多いときには、前記第2オイルポンプが異常状態であると判定する、請求項1に記載のエンジン。
前記制御装置は、前記エンジン回転数が前記予め定められた回転数領域内であって、かつ、前記気筒休止装置、前記可変バルブタイミング装置および前記第2オイルポンプの各々に対して作動を指令する場合に、前記気筒休止装置および前記可変バルブタイミング装置がいずれも作動停止状態であるときには、前記第2オイルポンプにおいて発生する油圧が上昇しない異常状態であると判定する、請求項1または2に記載のエンジン。
前記制御装置は、前記エンジン回転数が前記予め定められた回転数領域内であって、かつ、前記気筒休止装置および前記可変バルブタイミング装置の各々に対して作動を指令するとともに前記第2オイルポンプに対して作動停止を指令する場合に、前記気筒休止装置および前記可変バルブタイミング装置がいずれも作動状態であるときには、前記第2オイルポンプにおいて発生する油圧が低下しない異常状態であると判定する、請求項1〜3のいずれかに記載のエンジン。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号が付されている。それらの名称および機能も同じである。したがってそれらについての詳細な説明は繰返さない。
【0019】
<エンジン1の構成について>
図1は、本実施の形態に係るエンジン1の概略構成を示す図である。本実施の形態において、エンジン1は、内燃機関であって、たとえば、都市ガスやLPG等の気体燃料を用いて作動するガスエンジンである場合を一例として説明する。エンジン1は、たとえば、空調設備等に用いられるガスヒートポンプ等の動力源として搭載される。
【0020】
エンジン1は、吸気システム2と、排気システム4と、エンジン本体10と、エンジンECU(Electronic Control Unit)200とを備える。
【0021】
吸気システム2は、インテークマニホールド40と、スロットル42と、第1燃料供給装置44と、第2燃料供給装置46と、吸気通路48と、エアクリーナ50と、レギュレータ54と、ソレノイドバルブ56とを含む。
【0022】
吸気通路48の一方端側には、吸入された空気中の異物を除去するエアクリーナ50が設けられる。吸気通路48の他方端には、吸気通路を各気筒の吸気ポートに分岐するインテークマニホールド40が接続される。エアクリーナ50と吸気通路48の他方端との間の所定の位置には、第1燃料供給装置44が設けられる。さらに、吸気通路48には、第1燃料供給装置44よりもエンジン本体10側の所定の位置に第2燃料供給装置46が設けられる。そして、吸気通路48には、第1燃料供給装置44と第2燃料供給装置46との間の所定の位置にスロットル42が設けられる。
【0023】
ソレノイドバルブ56は、エンジンECU200から制御信号に基づいて動作する。ソレノイドバルブ56は、エンジン1の動作時に開状態となり、エンジン1の停止時に閉状態となるように制御される。ソレノイドバルブ56が開状態である場合において、外部の燃料供給源から供給された都市ガスは、ソレノイドバルブ56を経由してレギュレータ54に供給される。
【0024】
レギュレータ54は、燃料供給源から供給される燃料の圧力を調整する。レギュレータ54において圧力が調整された燃料は、第1燃料供給装置44および第2燃料供給装置46に供給される。
【0025】
第1燃料供給装置44は、エンジンECU200の制御信号に基づいて燃料の供給量を調整する調整装置を含む。調整装置は、たとえば、燃料の流路の断面積(開度)を調整することによって燃料の供給量を調整する。調整装置としては、たとえば、ステップモータを用いて開度が変更可能な制御弁が用いられる。
【0026】
第2燃料供給装置46は、レギュレータ54において圧力が調整された燃料を吸気通路48内に噴射するインジェクタを含む。第2燃料供給装置46は、エンジンECU200の制御信号に基づいて燃料の供給量を調整する。
【0027】
スロットル42は、エンジンECU200の制御信号に基づいて吸気通路48内を流通する気体の流量を調整する。スロットル42は、たとえば、スロットルモータを用いて開度が変更可能なスロットルバルブを含む。
【0028】
第1燃料供給装置44あるいは第2燃料供給装置46を経由して吸気通路48内に供給された気体燃料は、エアクリーナ50から吸入された空気と混合されることによって、混合気が形成される。形成された混合気は、インテークマニホールドを経由してエンジン本体10に供給される。
【0029】
エンジン本体10は、複数の気筒11と、複数の点火コイル12と、気筒休止装置14,16と、可変バルブタイミング装置17と、内蔵オイルポンプ18と、外部オイルポンプ20とを含む。
【0030】
本実施の形態において、エンジン本体10には、4個の気筒11が設けられるものとして説明する。気筒11の内部には、ピストン(図示せず)が気筒11の内周面に沿って摺動可能に収納される。吸気行程において、ピストンが気筒11内を下降することによって、筒内の圧力が低下し、インテークマニホールド40から混合気が導入される。圧縮行程において、ピストンが気筒11内を上昇することによって、気筒11内の混合気が圧縮される。ピストンが上死点まで上昇した付近で点火コイル12により点火されると、気筒11内の圧縮された混合気が燃焼する。膨張行程においては、混合気の燃焼圧によってピストンが押し下げられ、クランク機構を介してエンジン本体10のクランクシャフト(出力軸)が回転させられる。そして、排気行程においては、ピストンが上昇することによって、気筒11内の排気がエキゾーストマニホールド70に排出される。
【0031】
気筒休止装置14,16は、複数の気筒11のうちのいずれか2つの気筒11をそれぞれ休止可能に構成される。気筒休止装置14は、リフタ14aと、OSV(Oil Switching Valve)14bとを含む。気筒休止装置16は、リフタ16aとOSV16bとを含む。
【0032】
リフタ14a,16aは、通常時においては、カムの回転動作を吸気バルブおよび排気バルブの開閉動作に変換する場合に、カムの回転によって伝達される力を吸気バルブおよび排気バルブに伝達する。一方、リフタ14a,16aは、気筒休止時においては、カムの回転によって伝達される力を吸気バルブおよび排気バルブに伝達しない。そのため、気筒休止時においては、気筒休止装置14,16が設けられる気筒においては、吸気バルブおよび排気バルブの開閉動作が行なわれないこととなる。
【0033】
OSV14b,16bは、エンジンECU200の制御信号に応じて開状態と閉状態とのうちのいずれか一方の状態に変更される。OSV14b,16bが開状態である場合には、内蔵オイルポンプ18および外部オイルポンプ20のうちの少なくともいずれかにおいて発生した油圧がリフタ14a,16aに供給される。この場合、リフタ14a,16bは、油圧が供給されることによってカムの回転によって伝達される力を吸気バルブおよび排気バルブに伝達しない状態となる。
【0034】
一方、OSV14b,16bが閉状態である場合には、内蔵オイルポンプ18および外部オイルポンプ20のうちの少なくともいずれかにおいて発生した油圧は、リフタ14a,16aに供給されない。この場合、リフタ14a,16bは、油圧の供給が停止することによってカムの回転によって伝達される力を吸気バルブおよび排気バルブに伝達しない状態となる。
【0035】
OSV14b,16は、エンジンECU200からの作動指令に応じて開状態となり、エンジンECU200からの作動停止指令に応じて閉状態となる。
【0036】
内蔵オイルポンプ18は、たとえば、エンジン1を動力源とする機械式オイルポンプであって、エンジン回転数に応じた油圧を発生させる。具体的には、内蔵オイルポンプ18は、エンジン回転数が高いほど吐出量が大きくなり(発生する油圧が高くなり)、エンジン回転数が低いほど吐出量が小さくなる(発生する油圧が低くなる)ように動作する。内蔵オイルポンプ18は、気筒休止装置14,16および可変バルブタイミング装置17の各々に油圧を供給可能に構成される。
【0037】
外部オイルポンプ20は、たとえば、電動式オイルポンプであって、エンジンECU200からの制御信号に応じて動作したり、動作を停止したりする。外部オイルポンプ20は、油圧の供給先(気筒休止装置14,16および可変バルブタイミング装置17)に対して内蔵オイルポンプ18と並列に接続される。そのため、外部オイルポンプ20についても、内蔵オイルポンプ18と同様に、気筒休止装置14,16および可変バルブタイミング装置17の各々に油圧を供給可能に構成される。
【0038】
可変バルブタイミング装置17は、エンジンECU200からの制御信号に応じて、吸気バルブおよび排気バルブの作動特性(たとえば、開閉タイミング)を変更可能に構成される。可変バルブタイミング装置17は、クランクシャフトの回転位置(クランク角度)に対する吸気バルブおよび排気バルブの開閉タイミングを変更する。可変バルブタイミング装置17は、たとえば、吸気側油圧アクチュエータ17aと、排気側油圧アクチュエータ17bと、OCV(Oil Control Valve)17cとを含む。
【0039】
エンジン本体10は、いずれも図示しないが、カムシャフトと、カムスプロケットとをさらに含む。カムシャフトは、クランクシャフトの回転に同期するように構成される。カムシャフトは、各気筒に設けられる排気バルブを開閉する排気側カムシャフトと、各気筒に設けられる吸気バルブを開閉する吸気側カムシャフトとを含む。排気側カムシャフトには、排気バルブを開閉するための複数のカムが所定の間隔で固定される。吸気側カムシャフトには、吸気バルブを開閉するための複数のカムが所定の間隔で固定される。
【0040】
吸気側および排気側のカムシャフトの各々の一方端には、カムスプロケットが設けられる。双方のカムスプロケットには同じタイミングチェーンが巻き掛けられる。タイミングチェーンは、クランクシャフトに設けられるタイミングロータにも巻き掛けられる。このような構成によって、クランクシャフトとカムシャフトとはタイミングチェーンによって同期して回転する。
【0041】
吸気側カムシャフトとカムスプロケットとの間には、吸気側油圧アクチュエータ17aが設けられる。吸気側油圧アクチュエータ17aは、吸気側のカムシャフトとカムスプロケットとの間の回転位相を変化させる。また、排気側カムシャフトとカムスプロケットとの間についても排気側油圧アクチュエータ17bが設けられる。排気側油圧アクチュエータ17bは、排気側のカムシャフトとカムスプロケットとの間の回転位相を変化させる。吸気側油圧アクチュエータ17aおよび排気側油圧アクチュエータ17bは、内蔵オイルポンプ18または外部オイルポンプ20からOCV17cを経由して供給される油圧を用いて動作する。OCV17cは、エンジンECU200からの制御信号に応じて内蔵オイルポンプ18または外部オイルポンプ20からの供給される油圧を調整する。
【0042】
吸気側油圧アクチュエータ17aによって吸気側のカムシャフトとカムスプロケットとの回転位相が変化させられると、吸気バルブにおいては、開弁期間が維持されるとともに、開弁タイミングおよび閉弁タイミングが変化する。つまり、クランクシャフトの回転位置に対する吸気バルブのバルブ位置が変化する。また、排気バルブにおいても同様に、排気側油圧アクチュエータ17bによって排気側のカムシャフトとカムスプロケットとの回転位相が変化させられると、開弁期間が維持されるとともに、開弁タイミングおよび閉弁タイミングが変化する。
【0043】
排気システム4は、エキゾーストマニホールド70と、排気通路72と、排気浄化装置74と、マフラ76とを含む。
【0044】
エキゾーストマニホールド70は、エンジン本体10の各気筒の排気ポートに接続される。また、エキゾーストマニホールド70には、排気通路72の一方端が接続される。排気通路72の途中には、排気浄化装置74とマフラ76とが所定の位置に設けられる。
【0045】
排気浄化装置74は、各種触媒であって、たとえば、排気ガス中の炭化水素、一酸化炭素、およい、窒素酸化物を浄化する機能を有する三元触媒を含むようにしてもよい。エキゾーストマニホールド70から排出された排気は、排気浄化装置74およびマフラ76を経由して外部に排出される。
【0046】
エンジンECU200は、いずれも図示しないが、CPU(Central Processing Unit)と、メモリと、入出力バッファとを含んで構成される。エンジンECU200は、後述する各種センサおよび機器からの信号、ならびにメモリに格納されたマップおよびプログラムに基づいて、エンジン1が所望の運転状態となるように各種機器を制御する。なお、各種制御については、ソフトウェアによる処理に限られず、専用のハードウェア(電子回路)により処理することも可能である。
【0047】
エンジンECU200は、たとえば、エンジン1に対する要求トルクに基づいて第1燃料供給装置44による燃料供給量と、第2燃料供給装置46による燃料の供給量とを設定し、設定された各供給量にしたがって、第1燃料供給装置44および第2燃料供給装置46を制御する。エンジン1が、ガスヒートポンプの動力源として用いられる場合には、エンジンECU200は、たとえば、空調設備において設定された設定温度と現在の温度との差分等に基づいてエンジン1に対する要求トルクを設定してもよい。
【0048】
エンジンECU200には、吸気温センサ100と、吸気圧センサ102と、水温センサ104と、クランク角センサ106と、カム角センサ108と、O
2センサ110とが接続される。
【0049】
吸気温センサ100は、吸気通路48内を流通する吸気の温度(以下、吸気温度と記載する)を検出する。吸気温センサ100は、検出した吸気温度を示す信号をエンジンECU200に送信する。
【0050】
吸気圧センサ102は、インテークマニホールド70内の吸気の圧力(以下、吸気圧と記載する)を検出する。吸気圧センサ102は、検出した吸気圧を示す信号をエンジンECU200に送信する。
【0051】
水温センサ104は、冷却水を流通する通路(以下、冷却水通路と記載する)内の冷却水の温度(以下、水温と記載する)を検出する。冷却水通路は、たとえば、エンジン本体10の内部に設けられる。水温センサ104は、検出した水温を示す信号をエンジンECU200に送信する。
【0052】
クランク角センサ106は、クランク角度を検出する。クランク角センサ106は、検出したクランク角度を示す信号をエンジンECU200に送信する。
【0053】
カム角センサ108は、カムシャフトの回転角度(以下、カム角度と記載する)を検出する。カム角センサ108は、検出したカム角度を示す信号をエンジンECU200に送信する。
【0054】
O
2センサ110は、排気中の酸素濃度を検出する。O
2センサ110は、検出した酸素濃度を示す信号をエンジンECU200に送信する。
【0055】
上述のような気筒休止装置14,16や可変バルブタイミング装置17などの油圧を用いて作動する補機が設けられるエンジン1おいては、外部オイルポンプ20は、特にエンジン回転数が低い予め定められた回転数領域において気筒休止装置14,16および可変バルブタイミング装置17の作動が可能な油圧を確保するために設けられる。
【0056】
このような外部オイルポンプ20に異常が発生する場合には、気筒休止装置14,16や可変バルブタイミング装置17などを適切に作動させることができなくなるため、外部オイルポンプ20の異常の有無をより精度高く検出することが求められる。たとえば、外部オイルポンプ20に油圧センサなどの各種センサ類を新たに設けることによって異常を精度高く検出することも考えられるが、製造コストが上昇する可能性がある。
【0057】
そこで、本実施の形態においては、エンジンECU200が、エンジン回転数が予め定められた回転数領域内であって、かつ、気筒休止装置14,16および可変バルブタイミング装置17に対して作動を指令する場合に、気筒休止装置14,16および可変バルブタイミング装置17のうちの少なくとも一方の機器の作動状態が外部オイルポンプ20に対する制御指令に対応した作動状態でないときには、外部オイルポンプ20が異常状態であると判定するものとする。
【0058】
図2は、外部オイルポンプ20の正常時と異常時とにおける外部オイルポンプ20と気筒休止装置14,16と可変バルブタイミング装置17との作動状態を説明するための図である。
【0059】
たとえば、外部オイルポンプ20の正常時において、
図2の(A)に示すように、外部オイルポンプ20に対して作動停止(オイルポンプOFF)が指令される場合、外部オイルポンプ20は、停止状態になる。このとき、エンジン回転数が低い低回転領域においては、内蔵オイルポンプ18により供給される油圧が低く、気筒休止装置14,16および可変バルブタイミング装置17の両方が作動できない状態となる。一方、エンジン回転数が高い高回転領域においては、内蔵オイルポンプ18により供給される油圧が高く、外部オイルポンプ20が停止状態である場合でも、気筒休止装置14,16および可変バルブタイミング装置17の両方が作動可能な状態となる。
【0060】
外部オイルポンプ20の正常時において、
図2の(B)に示すように、外部オイルポンプ20に対して作動(オイルポンプON)が指令される場合、外部オイルポンプ20は、作動状態になる。このとき、低回転領域においては、内蔵オイルポンプ18により供給される油圧が低くても、外部オイルポンプ20が作動することによって気筒休止装置14,16および可変バルブタイミング装置17の両方が作動可能な状態となる。一方、高回転領域においては、上述したとおり、内蔵オイルポンプ18により供給される油圧が高く、気筒休止装置14,16および可変バルブタイミング装置17の両方が作動可能な状態となる。
【0061】
外部オイルポンプ20の電気回路に断線が発生したり、外部オイルポンプ20の作動箇所が固着したり、異物が噛みこむ場合には、作動を指令しても油圧が上昇しない閉異常が発生する場合がある。
【0062】
このような外部オイルポンプ20の閉異常時において、
図2の(C)に示すように、外部オイルポンプ20に対して作動停止が指令される場合には、気筒休止装置14、16および可変バルブタイミング装置17の状態は、
図2の(A)に示される状態と同様の状態となる。そのため、その詳細な説明は繰り返さない。
【0063】
一方、外部オイルポンプ20の閉異常時において、
図2の(D)に示すように、外部オイルポンプ20に対して作動が指令される場合には、外部オイルポンプ20は、停止状態になる。このとき、低回転領域においては、内蔵オイルポンプ18により供給される油圧が低く、気筒休止装置14,16および可変バルブタイミング装置17の両方が作動できない状態となる。一方、高回転領域においては、内蔵オイルポンプ18により供給される油圧が高く、気筒休止装置14,16および可変バルブタイミング装置17の両方が作動可能な状態となる。
【0064】
さらに、外部オイルポンプ20における電気回路に含まれるスイッチ回路の故障等によって電気回路の通電状態を遮断できない場合には、作動停止を指令しても油圧が低下しない開異常が発生する場合がある。
【0065】
このような外部オイルポンプ20の開異常時において、
図2の(E)に示すように、外部オイルポンプ20に対して作動停止が指令される場合には、外部オイルポンプ20は、作動状態になる。このとき、低回転領域においては、外部オイルポンプ20が作動することによって気筒休止装置14,16および可変バルブタイミング装置17の両方が作動可能な状態となる。
【0066】
一方、外部オイルポンプ20の開異常時において、
図2の(F)に示すように、外部オイルポンプ20に対して作動が指令される場合には、気筒休止装置14,16および可変バルブタイミング装置17の状態は、
図2の(B)に示される状態と同様の状態となる。そのため、その詳細な説明は繰り返さない。
【0067】
このような外部オイルポンプ20の正常時と異常時とにおける外部オイルポンプ20と気筒休止装置14,16と可変バルブタイミング装置17の作動状態(特に、
図2の太枠内の作動状態)に鑑み、本実施の形態において、エンジンECU200は、エンジン回転数が予め定められた回転数領域(エンジン回転数がしきい値以下の低回転数領域)内であって、かつ、気筒休止装置14,16、可変バルブタイミング装置17および外部オイルポンプ20の各々に対して作動を指令する場合に、気筒休止装置14,16および可変バルブタイミング装置17がいずれも作動停止状態であるときには、外部オイルポンプ20において発生する油圧が上昇しない閉異常状態であると判定するものとする。
【0068】
さらに、エンジンECU200は、エンジン回転数が予め定められた回転数領域内であって、かつ、気筒休止装置14,16および可変バルブタイミング装置17の各々に対して作動を指令するとともに外部オイルポンプ20に対して作動停止を指令する場合に、気筒休止装置14,16および可変バルブタイミング装置17がいずれも作動状態であるときには、外部オイルポンプ20において発生する油圧が低下しない開異常状態であると判定するものとする。
【0069】
このようにすると、外部オイルポンプ20の閉異常状態と、開異常状態とを精度高く判定することができる。
【0070】
<閉異常検出処理について>
以下、
図3を参照して、本実施の形態におけるエンジンECU200で実行される、外部オイルポンプ20の閉異常を検出する閉異常検出処理について説明する。
図3は、外部オイルポンプ20の閉異常を検出する閉異常検出処理を示すフローチャートである。エンジンECU200は、
図3に示される閉異常検出処理を予め定められた時間が経過する毎に実行する。なお、
図3に示すフローチャートに示される各ステップは、エンジンECU200によるソフトウェア処理によって実現されるが、その一部がエンジンECU200に作製されたハードウェア(電気回路)によって実現されてもよい。
【0071】
ステップ(以下、ステップをSと記載する)100にて、エンジンECU200は、前提条件が成立するか否かを判定する。前提条件は、たとえば、エンジン1の暖機が完了しているという条件と、エンジン1が始動してから予め定められた時間が経過しているという条件とを含む。エンジンECU200は、たとえば、エンジン1の水温がしきい値よりも高い場合に、エンジンの暖機が完了している条件が成立していると判定する。前提条件が成立すると判定される場合(S100にてYES)、処理はS102に移される。
【0072】
S102にて、エンジンECU200は、気筒休止装置14,16が異常なしの状態であるか否かを判定する。エンジンECU200は、たとえば、気筒休止装置14,16の異常発生時にオン状態にされるフラグがオフ状態である場合に、気筒休止装置14,16が異常なしの状態であると判定する。なお、気筒休止装置14,16に異常があるか否かの判定方法については周知の技術を用いればよく、詳細な説明は行なわない。気筒休止装置14,16が異常なしの状態であると判定される場合(S102にてYES)、処理はS104に移される。
【0073】
S104にて、エンジンECU200は、可変バルブタイミング装置17が異常なしの状態であるか否かを判定する。エンジンECU200は、たとえば、可変バルブタイミング装置17の異常発生時にオン状態にされるフラグがオフ状態である場合に、可変バルブタイミング装置17が異常なしの状態であると判定する。なお、可変バルブタイミング装置17に異常があるか否かの判定方法については周知の技術を用いればよく、詳細な説明は行なわない。可変バルブタイミング装置17が異常なしの状態であると判定される場合(S104にてYES)、処理はS106に移される。
【0074】
S106にて、エンジンECU200は、閉異常の異常検出条件が成立するか否かを判定する。異常検出条件は、たとえば、エンジン回転数がしきい値以下の予め定められた回転数領域内であるという条件と、後述する開異常の異常検出処理が実行中でないという条件とを含む。エンジン回転数のしきい値は、たとえば、内蔵オイルポンプ18において発生する油圧が気筒休止装置14,16および可変バルブタイミング装置17の作動が可能となる油圧よりも低いエンジン回転数を基準として設定される。異常検出条件が成立すると判定される場合(S106にてYES)、処理はS108に移される。
【0075】
S108にて、エンジンECU200は、外部オイルポンプ20の作動を指令する。具体的には、エンジンECU200は、たとえば、外部オイルポンプ20の駆動回路に対してポンプモータに電力が供給されるように作動指令を出力する。
【0076】
S110にて、エンジンECU200は、可変バルブタイミング装置17の作動を指令する。具体的には、エンジンECU200は、たとえば、可変バルブタイミング装置17の作動角(カムシャフトの回転とクランクシャフトの回転との位相のズレ量)が予め定められた量Aになるまで予め定められた速度で変化するようにOCV17cを制御する。
【0077】
S112にて、エンジンECU200は、可変バルブタイミング装置17における実作動角が作動指令に対応する作動角(以下、指令作動角と記載する)に追従しているか否かを判定する。エンジンECU200は、たとえば、可変バルブタイミング装置17の実作動角と指令作動角との差の大きさがしきい値以下である場合に、可変バルブタイミング装置17の実作動角が指令作動角に追従していると判定する。エンジンECU200は、たとえば、クランク角とカム角との位相に基づいて実作動角を算出する。エンジンECU200は、たとえば、OCV17cに対する制御値に基づいて指令作動角を算出する。可変バルブタイミング装置17の実作動角が指令作動角に追従していないと判定される場合(S112にてNO)、処理はS114に移される。
【0078】
S114にて、エンジンECU200は、可変バルブタイミング装置17の異常フラグをオン状態にし、処理をS116に移す。エンジンECU200は、たとえば、実作動角が指令作動角に追従しているか否かの判定時点から予め定められた時間が経過した後に、可変バルブタイミング装置17の異常フラグをオン状態にする。
【0079】
なお、可変バルブタイミング装置17の実作動角が指令作動角に追従していると判定される場合(S112にてYES)、処理はS116に移される。
【0080】
S116にて、エンジンECU200は、気筒休止装置14,16の作動を指令する。具体的には、エンジンECU200は、OSV14b,16bを開状態になるように制御する。エンジンECU200は、たとえば、可変バルブタイミング装置17の実作動角が指令作動角に追従しているか否かの判定時点から予め定められた時間が経過した後に気筒休止装置14,16の作動を指令する。
【0081】
S118にて、エンジンECU200は、気筒休止装置14,16が作動しているか否かを判定する。エンジンECU200は、たとえば、気筒休止によって吸入空気量がしきい値よりも増加した場合に気筒休止装置14,16が作動していると判定する。気筒休止装置14,16が作動していないと判定される場合(S118にてNO)、処理はS120に移される。
【0082】
S120にて、エンジンECU200は、気筒休止装置14,16の異常フラグをオン状態にし、処理をS122に移す。エンジンECU200は、たとえば、気筒休止装置14,16が作動しているか否かの判定時点から予め定められた時間が経過した後に、気筒休止装置14,16の異常フラグをオン状態にする。
【0083】
なお、気筒休止装置14,16が作動していると判定される場合(S118にてYES)、処理はS122に移される。
【0084】
S122にて、エンジンECU200は、気筒休止装置14,16および可変バルブタイミング装置17がいずれも異常状態であるか否かを判定する。エンジンECU200は、たとえば、気筒休止装置14,16の異常フラグがオン状態であって、かつ、可変バルブタイミング装置17の異常フラグがオン状態である場合に、気筒休止装置14,16および可変バルブタイミング装置17がいずれも異常状態であると判定する。気筒休止装置14,16および可変バルブタイミング装置17がいずれも異常状態であると判定される場合(S122にてYES)、処理はS124に移される。
【0085】
S124にて、エンジンECU200は、外部オイルポンプ20が閉異常状態であることを示す閉異常フラグをオン状態にする。エンジンECU200は、たとえば、気筒休止装置14,16および可変バルブタイミング装置17がいずれも異常状態であるか否かを判定する時点から予め定められた時間が経過した後に閉異常フラグをオン状態にする。エンジンECU200は、たとえば、閉異常フラグをオン状態にするとともに、外部オイルポンプ20が閉異常状態である旨をユーザに通知してもよい。
【0086】
S126にて、エンジンECU200は、可変バルブタイミング装置17および気筒休止装置14,16の異常フラグをオフ状態にする。
【0087】
S128にて、エンジンECU200は、気筒休止装置14,16および可変バルブタイミング装置17がいずれも正常状態であるか否かを判定する。エンジンECU200は、たとえば、気筒休止装置14,16の異常フラグがオフ状態であって、かつ、可変バルブタイミング装置17の異常フラグがオフ状態である場合に、気筒休止装置14,16および可変バルブタイミング装置17がいずれも正常状態であると判定する。気筒休止装置14,16および可変バルブタイミング装置17がいずれも正常状態であると判定される場合(S128にてYES)、処理はS130に移される。
【0088】
S130にて、エンジンECU200は、外部オイルポンプ20の正常フラグをオン状態にする。なお、気筒休止装置14,16および可変バルブタイミング装置17のうちのいずれか一方が正常状態であって、他方が異常状態であると判定される場合(S128にてNO)、処理はS132に移される。
【0089】
S132にて、エンジンECU200は、仮異常判定回数をカウントアップする処理を実行する。仮異常判定回数は、初期値をゼロとされる。エンジンECU200は、カウントアップの処理時において、仮異常判定回数を示す値をメモリから取得して、取得した値に1を加算し、加算した値を用いて仮異常判定回数を更新する。
【0090】
S134にて、エンジンECU200は、仮異常判定回数を示す値がしきい値以下であるか否かを判定する。しきい値としては、たとえば、2回、あるいは、3回など数回程度の予め定められた値が設定される。仮異常判定回数を示す値がしきい値以下であると判定される場合(S134にてYES)、この処理は終了される。一方、仮異常判定回数を示す値がしきい値よりも大きくなる場合には(S134にてNO)、処理はS124に移される。
【0091】
<開異常検出処理について>
次に、
図4を参照して、本実施の形態におけるエンジンECU200で実行される、外部オイルポンプ20の開異常を検出する開異常検出処理について説明する。
図4は、外部オイルポンプ20の開異常を検出する開異常検出処理を示すフローチャートである。エンジンECU200は、
図4に示される開異常検出処理を予め定められた時間が経過する毎に実行する。なお、
図4に示すフローチャートに示される各ステップは、エンジンECU200によるソフトウェア処理によって実現されるが、その一部がエンジンECU200に作製されたハードウェア(電気回路)によって実現されてもよい。
【0092】
S200にて、エンジンECU200は、前提条件が成立するか否かを判定する。なお、この前提条件については、上述の
図3に示すS100の処理に用いられる前提条件と同様の条件であるため、その詳細な説明は繰り返さない。前提条件が成立すると判定される場合(S200にてYES)、処理はS202に移される。
【0093】
S202にて、エンジンECU200は、気筒休止装置14,16が異常なしの状態であるか否かを判定する。なお、この処理については、上述の
図3に示すS102の処理と同様の処理であるため、その詳細な説明は繰り返さない。気筒休止装置14,16が異常なしの状態であると判定される場合(S202にてYES)、処理はS204に移される。
【0094】
S204にて、エンジンECU200は、可変バルブタイミング装置17が異常なしの状態であるか否かを判定する。なお、この処理は、上述の
図3に示すS104の処理と同様の処理であるため、その詳細な説明は繰り返さない。可変バルブタイミング装置17が異常なしの状態であると判定される場合(S204にてYES)、処理はS206に移される。
【0095】
S206にて、エンジンECU200は、開異常の異常検出条件が成立するか否かを判定する。なお、異常検出条件は、たとえば、エンジン回転数がしきい値以下の予め定められた回転数領域内であるという条件と、上述した閉異常の異常検出処理が実行中でないという条件とを含む。エンジン回転数のしきい値は、たとえば、内蔵オイルポンプ18において発生する油圧が気筒休止装置14,16および可変バルブタイミング装置17の作動が可能となる油圧よりも低いエンジン回転数を基準として設定される。異常検出条件が成立すると判定される場合(S206にてYES)、処理はS208に移される。
【0096】
S208にて、エンジンECU200は、外部オイルポンプ20の作動停止を指令する。具体的には、エンジンECU200は、たとえば、外部オイルポンプ20の駆動回路に対してポンプモータへの電力供給が停止されるように停止指令を出力する。
【0097】
S210にて、エンジンECU200は、可変バルブタイミング装置17の作動を指令する。なお、この処理は、
図3に示すS110の処理と同様の処理であるため、その詳細な説明は繰り返さない。
【0098】
S212にて、エンジンECU200は、可変バルブタイミング装置17における実作動角が指令作動角に追従しているか否かを判定する。エンジンECU200は、たとえば、可変バルブタイミング装置17の実作動角と指令作動角との差の大きさがしきい値以下である場合に、可変バルブタイミング装置17の実作動角が指令作動角に追従していると判定する。可変バルブタイミング装置17の実作動角が指令作動角に追従していると判定される場合(S212にてYES)、処理はS214に移される。
【0099】
S214にて、エンジンECU200は、可変バルブタイミング装置17の追従異常フラグをオン状態にし、処理をS216に移す。エンジンECU200は、たとえば、実作動角が指令作動角に追従しているか否かの判定時点から予め定められた時間が経過した後に、可変バルブタイミング装置17の追従異常フラグをオン状態にする。
【0100】
なお、可変バルブタイミング装置17の実作動角が指令作動角に追従していないと判定される場合(S112にてNO)、処理はS216に移される。
【0101】
S216にて、エンジンECU200は、気筒休止装置14,16の作動を指令する。なお、この処理は、
図3に示すS116の処理と同様であるため、その詳細な説明は繰り返さない。
【0102】
S218にて、エンジンECU200は、気筒休止装置14,16が作動しているか否かを判定する。気筒休止装置14,16が作動していると判定される場合(S218にてYES)、処理はS220に移される。
【0103】
S220にて、エンジンECU200は、気筒休止装置14,16の追従異常フラグをオン状態にし、処理をS222に移す。エンジンECU200は、たとえば、気筒休止装置14,16が作動しているか否かの判定時点から予め定められた時間が経過した後に、気筒休止装置14,16の異常フラグをオン状態にする。
【0104】
なお、気筒休止装置14,16が作動していないと判定される場合(S218にてNO)、処理はS222に移される。
【0105】
S222にて、エンジンECU200は、気筒休止装置14,16および可変バルブタイミング装置17がいずれも追従異常状態であるか否かを判定する。エンジンECU200は、たとえば、気筒休止装置14,16の追従異常フラグがオン状態であって、かつ、可変バルブタイミング装置17の追従異常フラグがオン状態である場合に、気筒休止装置14,16および可変バルブタイミング装置17がいずれも追従異常状態であると判定する。気筒休止装置14,16および可変バルブタイミング装置17がいずれも追従異常状態であると判定される場合(S222にてYES)、処理はS224に移される。
【0106】
S224にて、エンジンECU200は、外部オイルポンプ20が開異常状態であることを示す開異常フラグをオン状態にする。エンジンECU200は、たとえば、気筒休止装置14,16および可変バルブタイミング装置17がいずれも追従異常状態であるか否かを判定する時点から予め定められた時間が経過した後に開異常フラグをオン状態にする。エンジンECU200は、たとえば、開異常フラグをオン状態にするとともに、外部オイルポンプ20が開異常状態である旨をユーザに通知してもよい。
【0107】
S226にて、エンジンECU200は、可変バルブタイミング装置17および気筒休止装置14,16の追従異常フラグをオフ状態にする。
【0108】
S228にて、エンジンECU200は、可変バルブタイミング装置17および可変バルブタイミング装置17がいずれも正常状態であるか否かを判定する。エンジンECU200は、たとえば、気筒休止装置14,16の追従異常フラグがオフ状態であって、かつ、可変バルブタイミング装置17の追従異常フラグがオフ状態である場合に、気筒休止装置14,16および可変バルブタイミング装置17がいずれも正常状態であると判定する。気筒休止装置14,16および可変バルブタイミング装置17がいずれも正常状態であると判定される場合(S228にてYES)、処理はS230に移される。
【0109】
S230にて、エンジンECU200は、外部オイルポンプ20の正常フラグをオン状態にする。なお、気筒休止装置14,16および可変バルブタイミング装置17のうちのいずれか一方が正常状態であって、他方が追従異常状態であると判定される場合(S228にてNO)、処理はS232に移される。
【0110】
S132にて、エンジンECU200は、仮異常判定回数をカウントアップする処理を実行する。この処理については、
図3に示すS132の処理と同様の処理であるため、その詳細な説明は繰り返さない。
【0111】
S234にて、エンジンECU200は、仮異常判定回数を示す値がしきい値以下であるか否かを判定する。仮異常判定回数を示す値がしきい値以下であると判定される場合(S234にてYES)、この処理は終了される。一方、仮異常判定回数を示す値がしきい値よりも大きくなる場合には(S234にてNO)、処理はS224に移される。
【0112】
以上のような構造およびフローチャートに基づく本実施の形態におけるエンジンECU200の動作について説明する。
【0113】
<外部オイルポンプ20の閉異常時>
以下に、外部オイルポンプ20が閉異常状態である場合における、閉異常検出処理の実行時のエンジン1の動作について
図5を参照しつつ説明する。
図5は、閉異常検出処理の実行時のエンジン1の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【0114】
図5のLN1は、可変バルブタイミング装置17の指令作動角の変化を示す。
図5のLN2は、可変バルブタイミング装置17の実作動角の変化を示す。
図5のLN3は、可変バルブタイミング装置17の異常フラグの変化を示す。
図5のLN4は、気筒休止装置14,16の作動指令の変化を示す。
図5のLN5は、気筒休止装置14、16の実作動状態の変化を示す。
図5のLN6は、気筒休止装置14,16の異常フラグの変化を示す。
図5のLN7は、外部オイルポンプ20への作動指令の変化を示す。
図5のLN8は、外部オイルポンプ20の実作動状態の変化を示す。
図5のLN9は、外部オイルポンプ20の閉異常フラグの変化を示す。
【0115】
たとえば、前提条件が成立しており(S100にてYES)、可変バルブタイミング装置17が異常なしの状態であって(S102にてYES)、かつ、気筒休止装置14,16が異常なしの状態である場合(S104にてYES)を想定する。
【0116】
時間t(0)にて、閉異常の異常検出条件が成立すると(S106にてYES)、外部オイルポンプ20に対して作動が指令される(S108)。なお、
図5のLN7に示すように、時間t(0)よりも前の期間において外部オイルポンプ20の作動が指令された状態(オン状態)であるため、この場合、作動が指令された状態が継続されることとなる。
【0117】
このとき、可変バルブタイミング装置17に対して作動が指令される(S110)。そのため、
図5のLN1に示すように、時間t(0)以降において、時間の経過とともに可変バルブタイミング装置17の指令作動角が上昇していき、時間t(1)にて、指令作動角はAに到達し、その後、維持される。
【0118】
外部オイルポンプ20が閉異常状態である場合には、
図5のLN7およびLN8に示すように、作動指令がオン状態であるにもかかわらず、実際には動作していない状態となる。そのため、可変バルブタイミング装置17の動作に要する油圧が供給されないことによって、
図5のLN2に示すように、可変バルブタイミング装置17の実作動角がゼロで維持されることとなる。
【0119】
実作動角と指令作動角との差の大きさがしきい値以上となることによって、実作動角が指令作動角に追従していないと判定される場合(S112にてNO)、時間t(2)にて、
図5のLN3に示すように、可変バルブタイミング装置17の異常フラグがオン状態にされる(S114)。
【0120】
時間t(3)にて、
図5のLN4に示すように、気筒休止装置14,16に対して作動が指令される(S116)。そのため、OSV14b,16bが開状態となる。外部オイルポンプ20が閉異常状態である場合には、気筒休止装置14,16の動作に要する油圧が供給されないことによって、
図5のLN5に示すように、気筒休止装置14,16は、停止状態(4気筒運転から2気筒運転に移行しない状態)になる。
【0121】
その結果、気筒休止装置14,16が作動していないと判定されるため(S118にてNO)、時間t(4)にて、
図5のLN6に示すように気筒休止装置14,16の異常フラグがオン状態となる(S120)。
【0122】
気筒休止装置14,16の異常フラグがオン状態であって、かつ、可変バルブタイミング装置17の異常フラグがオン状態であるため(S122にてYES)、時間t(5)にて、
図5のLN9に示すように、外部オイルポンプ20の閉異常フラグがオン状態にされる(S124)。さらに、可変バルブタイミング装置17の異常フラグおよび気筒休止装置14,16の異常フラグがいずれもオフ状態とされる(S126)。
【0123】
<外部オイルポンプ20の開異常時>
以下に、外部オイルポンプ20が開異常状態である場合における、開異常検出処理の実行時のエンジン1の動作について
図6を参照しつつ説明する。
図6は、開異常検出処理の実行時のエンジン1の動作を説明するためのタイミングチャート(その1)である。
【0124】
図6のLN11は、可変バルブタイミング装置17の指令作動角の変化を示す。
図6のLN12は、可変バルブタイミング装置17の実作動角の変化を示す。
図6のLN13は、可変バルブタイミング装置17の追従異常フラグの変化を示す。
図6のLN14は、気筒休止装置14,16の作動指令の変化を示す。
図6のLN15は、気筒休止装置14,16の実作動状態の変化を示す。
図6のLN16は、気筒休止装置14,16の追従異常フラグの変化を示す。
図6のLN17は、外部オイルポンプ20への作動指令の変化を示す。
図6のLN18は、外部オイルポンプ20の実作動状態の変化を示す。
図6のLN19は、外部オイルポンプ20の正常フラグの変化を示す。
図6のLN20は、外部オイルポンプ20の開異常フラグの変化を示す。
【0125】
たとえば、前提条件が成立しており(S200にてYES)、可変バルブタイミング装置17が異常なしの状態であって(S202にてYES)、かつ、気筒休止装置14,16が異常なしの状態である場合を想定する(S204にてYES)。
【0126】
時間t(10)にて、開異常の異常検出条件が成立すると(S206にてYES)、外部オイルポンプ20に対して作動が指令される(S208)。なお、
図6のLN17に示すように、時間t(10)よりも前の期間において外部オイルポンプ20の作動が指令されない状態(オフ状態)であるため、この場合、作動が指令されない状態が継続されることとなる。
【0127】
このとき、可変バルブタイミング装置17に対して作動が指令される(S210)。そのため、
図6のLN11に示すように、時間t(10)以降において、時間の経過とともに可変バルブタイミング装置17の指令作動角が上昇していき、時間t(11)にて、指令作動角はAに到達し、その後、維持される。
【0128】
外部オイルポンプ20が開異常状態である場合には、
図6のLN17およびLN18に示すように、作動指令がオフ状態であるにもかかわらず、実際には動作している状態となる。そのため、可変バルブタイミング装置17の動作に要する油圧が供給されることによって、
図6のLN12に示すように、可変バルブタイミング装置17の実作動角は、指令作動角に追従することとなる。
【0129】
実作動角と指令作動角との差の大きさがしきい値よりも小さいことによって、実作動角が指令作動角に追従していると判定される場合(S212にてYES)、時間t(12)にて、
図6のLN13に示すように、可変バルブタイミング装置17の追従異常フラグがオン状態にされる(S214)。
【0130】
時間t(13)にて、
図6のLN14に示すように、気筒休止装置14,16に対して作動が指令される(S216)。そのため、OSV14b,16bが開状態となる。外部オイルポンプ20が開異常状態である場合には、気筒休止装置14,16の動作に要する油圧が供給されることによって、
図6のLN15に示すように、気筒休止装置14,16は、作動状態(4気筒運転から2気筒運転に移行した状態)になる。
【0131】
その結果、気筒休止装置14,16が作動していると判定されるため(S218にてYES)、時間t(14)にて、
図6のLN16に示すように気筒休止装置14,16の追従異常フラグがオン状態となる(S220)。
【0132】
可変バルブタイミング装置17の追従異常フラグがオン状態であって、かつ、気筒休止装置14,16の追従異常フラグがオン状態であるため(S222にてYES)、時間t(15)にて、
図6のLN20に示すように外部オイルポンプ20の開異常フラグがオン状態にされる(S224)。さらに、可変バルブタイミング装置17の追従異常フラグおよび気筒休止装置14,16の追従異常フラグがいずれもオフ状態とされる(S226)。なお、外部オイルポンプ20の正常フラグは、
図6のLN19に示すように、オフ状態を維持する。
【0133】
<外部オイルポンプ20の正常時>
以下に、外部オイルポンプ20が正常状態である場合における、開異常検出処理の実行時のエンジン1の動作について
図7を参照しつつ説明する。
図7は、開異常検出処理の実行時のエンジン1の動作を説明するためのタイミングチャート(その2)である。
【0134】
図7のLN21は、可変バルブタイミング装置17の指令作動角の変化を示す。
図7のLN22は、可変バルブタイミング装置17の実作動角の変化を示す。
図7のLN23は、可変バルブタイミング装置17の追従異常フラグの変化を示す。
図7のLN24は、気筒休止装置14,16の作動指令の変化を示す。
図7のLN25は、気筒休止装置14,16の実作動状態の変化を示す。
図7のLN26は、気筒休止装置14,16の追従異常フラグの変化を示す。
図7のLN27は、外部オイルポンプ20への作動指令の変化を示す。
図7のLN28は、外部オイルポンプ20の実作動状態の変化を示す。
図7のLN29は、外部オイルポンプ20の正常フラグの変化を示す。
図7のLN30は、外部オイルポンプ20の開異常フラグの変化を示す。
【0135】
たとえば、前提条件が成立しており(S200にてYES)、可変バルブタイミング装置17異常なしの状態であって(S202にてYES)、かつ、気筒休止装置14,16が異常なしの状態である場合を想定する(S204にてYES)。
【0136】
時間t(20)にて、開異常の異常検出条件が成立すると(S206にてYES)、外部オイルポンプ20に対して作動が指令される(S208)。なお、
図7のLN27に示すように、時間t(20)よりも前の期間において外部オイルポンプ20に作動が指令されない状態(オフ状態)であるため、この場合、作動が指令されない状態が継続されることとなる。
【0137】
このとき、可変バルブタイミング装置17に対して作動が指令される(S210)。そのため、
図7のLN21に示すように、時間t(20)以降において、時間の経過とともに可変バルブタイミング装置17の指令作動角が上昇していき、時間t(21)にて、指令作動角はAに到達し、その後、維持される。
【0138】
外部オイルポンプ20が正常状態である場合には、
図7のLN27およびLN28に示すように、作動指令がオフ状態であるため、外部オイルポンプ20は停止状態となる。そのため、可変バルブタイミング装置17に対して油圧が供給されないことによって、
図7のLN22に示すように、可変バルブタイミング装置17の実作動角は、指令作動角に追従しないこととなる。
【0139】
実作動角と指令作動角との差の大きさがしきい値以上であることによって、実作動角が指令作動角に追従していないと判定される(S212にてNO)。そのため、
図7のLN23に示すように、可変バルブタイミング装置17の追従異常フラグのオフ状態が維持される。
【0140】
時間t(22)にて、
図7のLN24に示すように、気筒休止装置14,16に対して作動が指令される(S216)。そのため、OSV14b、16bが開状態となる。外部オイルポンプ20が正常状態である場合には、気筒休止装置14,16の動作に要する油圧が供給されないことによって、
図7のLN25に示すように、気筒休止装置14,16は、停止状態(4気筒運転から2気筒運転に移行しない状態)になる。
【0141】
その結果、気筒休止装置14,16が作動していないと判定されるため(S218にてNO)、
図7のLN26に示すように気筒休止装置14,16の追従異常フラグはオフ状態のままとなる。
【0142】
可変バルブタイミング装置17の追従異常フラグがオフ状態であって、かつ、気筒休止装置14,16の追従異常フラグがオフ状態であるため(S222にてNO,S228にてYES)、時間t(23)にて、
図7のLN29に示すように外部オイルポンプ20の正常フラグをオン状態にする(S230)。なお、外部オイルポンプ20の開異常フラグは、
図7のLN30に示すように、オフ状態を維持する。
【0143】
<本実施の形態に係るエンジン1による作用効果について>
以上のようにして、本実施の形態に係るエンジン1によると、外部オイルポンプ20に対して作動を指令している場合に気筒休止装置14,16および可変バルブタイミング装置17が作動しない場合には、外部オイルポンプ20において油圧が上昇しない閉異常状態が発生していることを判定することができる。さらに、外部オイルポンプ20に対して作動停止を指令している場合に気筒休止装置14,16および可変バルブタイミング装置17が作動している場合に、外部オイルポンプ20において油圧が低下しない開異常状態が発生していることを判定することができる。そのため、新たなセンサ類を設けることなく、外部オイルポンプ20が異常状態であるか否かを精度高く判定することができる。したがって、製造コストの上昇を抑制しつつ外部オイルポンプの異常を精度高く検出するエンジンを提供することができる。
【0144】
また、気筒休止装置14,16および可変バルブタイミング装置17のうちのいずれか一方の機器の作動状態が外部オイルポンプ20に対する制御指令に対応した作動状態でないことを複数回判定することによって外部オイルポンプ20が異常状態であるか否かを精度高く判定することができる。
【0145】
以下、変形例について説明する。
上述の実施の形態では、ガスエンジンに本発明を適用した場合を一例として説明したが、エンジンとしては、ガソリンエンジンやディーゼルエンジン等の内燃機関であってもよく、特に、ガスエンジンに限定されるものではない。
【0146】
さらに上述の実施の形態では、気筒休止装置14,16および可変バルブタイミング装置17のうちのいずれか一方の異常フラグまたは追従異常フラグがオン状態であって、他方の異常フラグまたは追従異常フラグがオフ状態である場合に、仮異常判定回数をカウントアップして、仮異常判定回数がしきい値を超える場合に外部オイルポンプ20が閉異常状態または開異常状態であると判定するものとして説明したが、気筒休止装置14,16および可変バルブタイミング装置17のうちのいずれか一方の異常フラグまたは追従異常フラグがオン状態であって、他方の異常フラグまたは追従異常フラグがオフ状態である場合に、外部オイルポンプ20が閉異常状態または開異常状態であると判定してもよい。
【0147】
さらに上述の実施の形態では、可変バルブタイミング装置17は、吸気バルブおよび排気バルブの開閉タイミングを変更するものとして説明したが、吸気バルブおよび排気バルブのうちの少なくともいずれかの開閉タイミングを変更するものであってもよい。
【0148】
なお、上記した変形例は、その全部または一部を組み合わせて実施してもよい。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。