特許第6879231号(P6879231)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 住友電装株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6879231-コネクタ 図000002
  • 特許6879231-コネクタ 図000003
  • 特許6879231-コネクタ 図000004
  • 特許6879231-コネクタ 図000005
  • 特許6879231-コネクタ 図000006
  • 特許6879231-コネクタ 図000007
  • 特許6879231-コネクタ 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6879231
(24)【登録日】2021年5月7日
(45)【発行日】2021年6月2日
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/52 20060101AFI20210524BHJP
   H01R 13/629 20060101ALI20210524BHJP
【FI】
   H01R13/52 D
   H01R13/629
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-39842(P2018-39842)
(22)【出願日】2018年3月6日
(65)【公開番号】特開2019-153546(P2019-153546A)
(43)【公開日】2019年9月12日
【審査請求日】2020年6月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】特許業務法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】寺本 圭佑
【審査官】 高橋 学
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−115094(JP,A)
【文献】 特開2017−45670(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/52
H01R 13/629
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に接続された状態で前記基板と共にケースに覆われるコネクタであって、
相手方コネクタが嵌合可能とされ、上下に延びた形態で前記相手方コネクタ側と前記基板側とを仕切る仕切壁を有するハウジングを備え、
前記仕切壁には、前記相手方コネクタの嵌合方向に開口し、前記相手方コネクタ側と前記基板側とを連通させる開口部が設けられており、
前記開口部の縁部には、前記開口部の上縁部が前記開口部の下縁部よりも前記相手方コネクタとの嵌合方向の前側に配された段差が設けられているコネクタ。
【請求項2】
前記開口部の上縁部は、前記仕切壁から前方に突出する庇部によって前記開口部の下縁部よりも前側に配されている請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記庇部の上面は、前記仕切壁から離れるほど下方に向かって傾斜する傾斜面とされている請求項2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記ハウジングには、前記相手方コネクタに設けられたレバーと係合するカムピンが前記仕切壁よりも前記相手方コネクタ側に設けられており、
前記開口部は、前記カムピンを成形するための型抜き孔である請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記仕切壁は、前記レバーを収容する収容部の奥壁とされており、前記奥壁に前記開口部が設けられている請求項4に記載のコネクタ。
【請求項6】
前記庇部は、前記ハウジングと前記相手方コネクタとの嵌合および離脱の過程において、前記レバーとの間に隙間を有する請求項4または請求項5に記載のコネクタ。
【請求項7】
前記仕切壁における開口部の下方には、前記仕切壁から離れるほど下方に傾斜する傾斜排出部が設けられている請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書によって開示される技術は、コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、電子制御ユニットを収容したケース体の内部への雨水などの浸入防ぐ電気接続箱として、特開2007−336730号公報(下記特許文献1)に記載のものが知られている。この電気接続箱は、第1ケース体と第2ケース体とからなるケース体内に電子制御ユニットが収容されており、端子を保持するコネクタホルダと第1ケース体および第2ケース体とが隙間無く嵌合されると共に、第1ケース体および第2ケース体とが隙間無く嵌合されることで、水抜き孔から排出される雨水などがケース体の内部に直接排出されることを防ぐようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−336730号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、この種の電気接続箱おいて、コネクタホルダに嵌合する相手方コネクタとの諸条件によっては、ケース体の内部に連通する開口部をコネクタホルダに設けなければならない場合がある。しかしながら、コネクタホルダに対して開口部を設けると、例えば、コネクタホルダに対して水分がかかった場合には、コネクタホルダを伝った水分が開口部からケース体内部に浸入する虞がある。
【0005】
本明細書では、開口部から水分が内部に進入することを抑制する技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書によって開示される技術は基板に接続された状態で前記基板と共にケースに覆われるコネクタであって、相手方コネクタが嵌合可能とされ、上下に延びた形態で前記相手方コネクタ側と前記基板側とを仕切る仕切壁を有するハウジングを備え、前記仕切壁には、前記相手方コネクタの嵌合方向に開口し、前記相手方コネクタ側と前記基板側とを連通させる開口部が設けられており、前記開口部の縁部には、前記開口部の上縁部が前記開口部の下縁部よりも前記相手方コネクタとの嵌合方向の前側に配された段差が設けられている構成とした。
【0007】
このような構成のコネクタによると、相手方コネクタ側と基板側とを連通させる開口部の上縁部が開口部の下縁部よりも相手方コネクタ側である前側に配されている。つまり、開口部の上縁部が開口部の下縁部よりも基板から離れた配置となっているから、ハウジングに対して水分が付着し、ハウジングを水分が伝う場合であっても、水分が開口部から基板側に浸入することを抑制することができる。
【0008】
本明細書によって開示されるコネクタは、以下の構成としてもよい。
前記開口部の上縁部は、前記仕切壁から前方に突出する庇部によって前記開口部の下縁部よりも前側に配されている構成としてもよい。
【0009】
開口部の上縁部が開口部の下縁部よりも前側に配された段差を設ける手段として、例えば、開口部よりも上側の仕切壁を、開口部よりも上側の仕切壁よりも前側に配置する方法が考えられる。
しかしながら、開口部よりも上側の仕切壁を前側に配置する場合、上側の仕切壁と下側の仕切壁とが嵌合方向である前後方向にずれた配置となるため、ハウジングが前後方向に大型化してしまう。
【0010】
ところが、上記の構成によると、前側に突出した庇部を設けるだけで開口部の上縁部を開口部の下縁部よりも前側に配された状態にできるから、ハウジングが前後方向に大型化することを抑制しつつ、水分が開口部から基板側に浸入することを抑制することができる。
【0011】
前記庇部の上面は、前記仕切壁から離れるほど下方に向かって傾斜する傾斜面とされている構成としてもよい。
このような構成によると、庇部に付着した水分が傾斜面によって開口部から離れる前方に向かって案内されるから、例えば、庇部の上面が傾斜していない場合に比べて、水分が開口部から基板側に浸入することをさらに抑制することができる。
【0012】
前記ハウジングには、前記相手方コネクタに設けられたレバーと係合するカムピンが前記仕切壁よりも前記相手方コネクタ側に設けられており、前記開口部は、前記カムピンを成形するための型抜き孔である構成としてもよい。
カムピンを成形するために仕切壁に型抜き孔である開口部を設ける必要がある場合に、水分が開口部から基板側に浸入することを抑制することができるから、非常に有効である。
【0013】
前記仕切壁は、前記レバーを収容する収容部の奥壁とされており、前記奥壁に前記開口部が設けられている構成としてもよい。
このような構成によると、開口部が収容部の奥壁に設けられているから、例えば、開口部が収容部の外側に配されている場合に比べて、水分が開口部から基板側に浸入することを抑制することができる。
【0014】
前記庇部は、前記ハウジングと前記相手方コネクタとの嵌合および離脱の過程において、前記レバーとの間に隙間を有する構成としてもよい。
このような構成によると、コネクタと相手方コネクタと嵌合過程および離脱過程の際に、庇部がレバーと干渉することを防ぐことができ、コネクタと相手方コネクタとの嵌合および離脱を円滑に行うことができる。
【0015】
前記仕切壁における開口部の下方には、前記仕切壁から離れるほど下方に傾斜する傾斜排出部が設けられている構成としてもよい。
このような構成によると、開口部の上縁部から落下した水分を、傾斜排水部を伝わせることにより、基板から離れる前方に向けて水分を排出することができる。
【発明の効果】
【0016】
本明細書によって開示される技術によれば、開口部から水分が内部に進入することを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】雄コネクタの正面図
図2】雄コネクタの側面図
図3図1のA−A線断面図
図4】雄コネクタと雌コネクタとが嵌合する前の状態を示す斜視図
図5図1のA−A線の断面に相当する斜視断面図
図6】雄コネクタと雌コネクタとが嵌合した状態を示す斜視図
図7図3の要部拡大断面図
【発明を実施するための形態】
【0018】
<実施形態>
本明細書に開示された技術における一実施形態について図1から図7を参照して説明する。
本実施形態は、基板Pに接続された状態で図示しない車両の室内に設置される基板用の雄コネクタ10であって、図4および図6に示すように、相手方コネクタである雌コネクタ60と嵌合可能とされている。
【0019】
なお、以下の説明においては、雄コネクタ10と雌コネクタ60との嵌合方向を基準として、それぞれを互いに近づける方向を前方とし、その反対方向を後方とする。また、上下方向とは、図1および図2における上下方向を基準とする。
【0020】
雌コネクタ60は、合成樹脂製であって、図4に示すように、略方形のブロック状をなす雌ハウジング61と、雌ハウジング61内に保持された図示しない複数の雌端子とを備えて構成されている。雌ハウジング61には、雌ハウジング61の側面に設けられた回動軸62を支点にレバー63が回動可能に組み付けられている。
【0021】
レバー63は、図示しないカム溝が設けられた一対のカム板64と、一対のカム板64における一端部を連結する回動操作部65とを備えて構成されており、回動操作部65を操作することで、初期位置と図6に示す嵌合位置との間を回動可能とされている。レバー63は、初期位置と嵌合位置との間で回動変位することにより、雄コネクタ10と雌コネクタ60との嵌合および離脱を助勢するようになっている。
【0022】
雄コネクタ10は、図1から図4に示すように、合成樹脂製の雄ハウジング11と、複数の雄端子40とを備えて構成されている。
【0023】
雄ハウジング11は、上下方向に長い略直方体状に形成されており、前方に開口するフード部12を有している。フード部12内には、雄コネクタ10と雌コネクタ60とが嵌合する際に、雌ハウジング61が嵌合される。また、雄ハウジング11には、図1に示すように、基板Pと共に雄ハウジング11を右方から覆うケースCが右側から組み付けられるようになっている。
【0024】
雄端子40は、図4に示すように、導電性に優れた線材をL字状に折り曲げて形成されている。雄端子40は、図1に示すように、雄端子40の前端部41を前方に向けて突出させた状態でフード部12の奥部に配された保持壁12Aに保持されている。したがって、フード部12内に雌ハウジング61が嵌合されると、各雄端子40の前端部41が、雌コネクタ60の各雌端子と電気的に接続される。
【0025】
各雄端子40の後端部42は、図1に示すように、保持壁12Aから後方に延出された後、左方に向けて直角に曲げられており、雄端子40の後端部42において左方に向けて直角に曲げられた左端部42Aは、基板Pに形成された図示しないスルーホールに挿通され、基板Pに対して半田付け等により接続されるようになっている。
【0026】
雄ハウジング11の左右方向の両側面11Aにおける上下方向略中央部には、図1から図4に示すように、雌ハウジング61のレバー63におけるカム溝と係合する一対のカムピン15が設けられている。一対のカムピン15は、雄ハウジング11の左右方向の両側面11Aにおける前後方向略中央部よりも前側の位置に配されている。各カムピン15は、雄ハウジング11から外側に向かって略円柱状に突出して形成されている。レバー63の回動操作により、一対のカムピン15とレバー63のカム溝の周縁とが係合することにより、倍力作用によって雄コネクタ10と雌コネクタ60とが嵌合および離脱する。
【0027】
また、雄ハウジング11の一方の側面である右側面11ARには、上下に延びる仕切壁20が雄ハウジング11のほぼ全高に亘って設けられている。仕切壁20は、カムピン15の後方であって、雄ハウジング11の右側面11ARにおける前後方向略中央部よりもやや後方寄りの位置に配置されている。仕切壁20は、雌ハウジング61が基板Pと共にケースCによって右側から覆われると、基板Pが配置されるケースCの内側と、ケースCの外側(雌コネクタ60側)とを仕切るようになっている。
【0028】
また、雄ハウジング11の右側面11ARにおけるカムピン15の後側には、雄コネクタ10と雌コネクタ60との嵌合過程において、レバー63における一方のカム板64の一部が収容される収容部25が設けられている。収容部25は、前方に開口する側面視略矩形のフード状に形成されており、仕切壁と連なるように一体に形成されている。
【0029】
また、雄ハウジング11の左側面11ALには、雄コネクタ10と雌コネクタ60との嵌合過程において、レバー63における他方のカム板64の一部が収容される大型収容部23が設けられている。大型収容部23は、収容部25と同様に、前方に開口するフード状に形成されている。
収容部25および大型収容部23は、雄コネクタ10と雌コネクタ60との嵌合過程において、カム板64におけるカム溝の周縁とカムピン15とが係合した際に、レバー63におけるそれぞれのカム板64の一部を収容し、カム板64が雌ハウジング61から離れる方向に傾いて開くことを防ぐようになっている。
【0030】
収容部25の後端部は、仕切壁20に連なっており、仕切壁20の一部が収容部25の奥壁25Aを構成している。収容部25の奥壁25Aにおけるカムピン15の後方の位置には、開口部26が形成されている。開口部26は、前後方向に型開きする図示しない成形金型によってカムピン15の後部を成形するための型抜き孔であって、収容部25の奥壁25A(仕切壁20)を前後方向に貫通して形成されている。したがって、収容部25の奥壁(仕切壁20)25Aに設けられた開口部26によりケースCの内外が連通するようになっている。
【0031】
さて、収容部25の奥壁25Aにおける開口部26には、図2図3および図5に示すように、開口部26の上縁部26Aが、開口部26の下縁部26Bよりも前側に配されることで段差が設けられている。
【0032】
詳細には、収容部25の奥壁25Aにおける開口部26の上縁部26Aには、奥壁25A(仕切壁20)から前方に向けて突出する庇部27が開口部26の全幅に亘って形成されている。
【0033】
庇部27の突出寸法は、図6に示すように、雄コネクタ10と雌コネクタ60とが正規の嵌合状態に至った際に、雌コネクタ60のレバー63との間に隙間Sを有する長さ寸法に設定されている。したがって、雄コネクタ10と雌コネクタ60と嵌合過程および離脱過程の際に、庇部27がレバー63に干渉せずに、嵌合操作と離脱操作を円滑に行うことができるようになっている。
【0034】
庇部27の上面は、前方に向かうほど下方に傾斜した傾斜面28とされ、庇部27の下面29は、奥壁25Aを貫通する開口部26の上面26Cと面一状をなしている。
【0035】
庇部27の突出端は、図7に示すように、傾斜面28の前端から下方に向けて円弧状に形成された上側R面30と、上側R面30の下端部から下方に向けて真っ直ぐ延びて形成された先端面31と、先端面31の下端部から庇部27の下面29に連なるように円弧状に形成された下側R面32とによって構成されており、下側R面32の後端32Aが開口部26の下縁部26Bよりも前方に配された設定とされている。
【0036】
したがって、開口部26の上縁部26Aは、庇部27が前方に突出した突出寸法の分だけ開口部26の下縁部26Bよりも前側に配されている。
【0037】
また、収容部25の内底面25Bには、傾斜排出部34が設けられている。傾斜排出部34は、図2および図3に示すように、前方に向かうほど下方に傾斜しており、収容部25の奥壁25Aから収容部25の前端部まで前後方向の全長に亘って設けられている。
【0038】
本実施形態は、以上のような構成であって、続いて、雄コネクタ10の作用および効果について説明する。
雄コネクタ10は、ケースCによって右側から覆われているものの、水などの液体が降りかかった場合、液体が雄ハウジング11と雌ハウジング61との間の隙間に浸入してしまう。
【0039】
したがって、ケースCの内外を仕切る仕切壁20に開口部26が設けられている場合には、仕切壁20よりも前側(雌コネクタ60側)であるケースCの外側から仕切壁20よりも後側(基板P側)であるケースCの内側に開口部26を通して液体が浸入することが懸念される。
【0040】
ところが、本実施形態の雄コネクタ10によると、開口部26は、雌コネクタ60のレバー63を収容するフード状の収容部25の奥壁25Aに設けられているから、液体が開口部26からケースCの内側(基板側)に浸入することを抑制することができる。
【0041】
また、開口部26には、仕切壁20から前方に向かって突出する庇部27が開口部26の上縁部26Aに設けられており、庇部27の上面が仕切壁20から離れるほど下方に傾斜する傾斜面28とされている。
つまり、開口部26には、開口部26の上縁部26Aが開口部26の下縁部26Bよりも前側に配された段差が設けられていると共に、庇部27に傾斜面28が設けられているから、液体が収容部25内に浸入して開口部26の上縁部26Aに液体が伝ってくる場合であっても、液体が庇部27の傾斜面28により基板Pから離れる方向に向かって案内される。これにより、液体が開口部26からケースC内に浸入することを抑制することができる。
【0042】
ところで、収容部25内に浸入した液体は、庇部27の傾斜面28を伝って基板Pから離れる方向に向かって案内されるものの、一部の液体が庇部27を伝って開口部26からケースC内に浸入することが懸念される。
【0043】
ところが、本実施形態によると、庇部27の突出端は、図7に示すように、上側R面30と先端面31と下側R面32とによって構成されており、下側R面32から庇部27の下面29へ切り替わる高さ位置が開口部26の上縁部26Aにおける最下位置となっている。
つまり、傾斜面28から伝う液体が上側R面30を伝って先端面31へと至り、先端面31に至った液体が下側R面32を経て庇部27の下面29へと切り替わる部分で落下する。
【0044】
そして、庇部27から落下した液体は、傾斜排出部34の上面を伝って、収容部25から斜め前下方に向けて排出される。
【0045】
以上のように、本実施形態の雄コネクタ10によると、開口部26には、収容部25の奥壁25Aから前方に向かって突出する庇部27が設けられることで、開口部26の上縁部26Aが開口部26の下縁部26Bよりも前側に配された段差が設けられている。すなわち、開口部26の上縁部26Aが開口部26の下縁部26Bよりも基板Pから離れた配置となっているから、液体が雄ハウジング11と雌ハウジング61との間の隙間に浸入した場合においても、液体が開口部26からケースC内の基板P側に浸入することを抑制することができる。
【0046】
ところで、例えば、開口部よりも上側の奥壁を、開口部よりも下側の奥壁よりも前側に配置することで、開口部の上縁部が開口部の下縁部よりも前側に配された段差を有する開口部を設けることができる。しかしながら、開口部よりも上側の奥壁を前側に配置する場合、上側の奥壁と下側の奥壁とが前後方向にずれた配置となるため、雄ハウジングが前後方向に大型化してしまう。
【0047】
ところが、本実施形態によると、収容部25の奥壁25Aから前側に突出した庇部27を設けるだけで開口部26の上縁部26Aを開口部26の下縁部26Bよりも前側に配しているから、雄ハウジング11が嵌合方向に大型化することを抑制しつつ、液体が開口部26からケースC内に浸入することを抑制することができる。
【0048】
また、庇部27の上面が収容部25の奥壁25Aから離れるほど下方に傾斜する傾斜面28とされており、庇部27に降りかかった液体が傾斜面28によって開口部26から離れる方向に向かって案内されるから、液体が開口部26からケースC内に浸入することをさらに抑制することができる。
【0049】
また、本実施形態のように、カムピン15を成形するために、収容部25の奥壁25Aに型抜き孔である開口部26を設ける必要がある場合、本実施形態のような技術は、液体が開口部26からケースC内に浸入することを抑制することができ、非常に有効である。
【0050】
さらに、収容部25の奥壁25Aにおける開口部26の下方には、奥壁25Aから離れるほど下方に傾斜する傾斜排出部34が設けられているから、庇部27から落下した液体を、傾斜排出部34を伝わせることによって、液体を収容部25の外側に排出することができ、液体のケースC内への浸入を抑制することができる。
【0051】
<他の実施形態>
本明細書で開示される技術は上記記述及び図面によって説明した本実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような種々の態様も含まれる。
(1)上記実施形態では、収容部25の奥壁25Aに開口部26を設けた構成にした。しかしながら、これに限らず、仕切壁のいずれかの部分に開口部を構成してもよい。
【0052】
(2)上記実施形態では、カムピン15の型抜き孔として開口部26を構成した。しかしながら、これに限らず、他の部材の型抜き孔として構成してもよい。
(3)上記実施形態では、収容部25の奥壁25Aから前方に突出する庇部27によって開口部26の上縁部26Aが開口部26の下縁部26Bよりも前側に配されている構成にした。しかしながら、これに限らず、開口部よりも上側の奥壁を開口部よりも下側の奥壁より前側に配する構成にしてもよい。
【0053】
(4)上記実施形態では、基板Pと共に雄ハウジング11がケースCによって右側から覆われた構成とした。しかしながら、これに限らず、基板と共に雄コネクタが左側や上下から覆われる構成にしてもよい。
(5)上記実施形態では、雄コネクタ10を一例として示した。しかしながら、これに限らず、雌コネクタに本明細書で開示した技術を適用してもよい。
【符号の説明】
【0054】
10:雄コネクタ(「コネクタ」の一例)
11:雄ハウジング(「ハウジング」の一例)
15:カムピン
20:仕切壁
25:収容部
25A:奥壁
26:開口部
26A:開口部の上縁部
26B:開口部の下縁部
27:庇部
28:傾斜面
34:傾斜排出部
60:雌コネクタ(「相手方コネクタ」の一例)
63:レバー
C:ケース
P:基板
S:隙間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7