(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1作動油流路における前記アキュムレータと前記油圧ポンプとの間に配設され、前記アキュムレータに蓄圧された前記作動油を前記油圧ポンプに向けて放圧する制御弁を更に備えることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項記載の油圧駆動装置。
前記第1作動油流路における前記接続分岐点と前記アキュムレータとの間に配設され、前記接続分岐点側から前記アキュムレータ側への前記作動油の流れのみを許容する逆止弁を更に備えることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項記載の油圧駆動装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術においては、油圧シリンダからの加圧作動油をアキュムレータに貯蔵することにより、器具(昇降物)の動作に関連する位置エネルギーを回収している。ところで、近年では、油圧駆動装置の省スペース化を図ることが要求されている。
【0005】
本発明の目的は、省スペース化を図りつつ、昇降物の位置エネルギーを回収することができる油圧駆動装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る油圧駆動装置は、作動油の給排により昇降物を昇降させる油圧シリンダと、作動油を貯留するタンクと、作動油をタンクから吸い込んで油圧シリンダに供給する油圧ポンプと、油圧ポンプ及びタンクと油圧シリンダとの間に配置され、昇降物を昇降させるための操作部の操作量に応じて作動油の流れを制御する操作弁と、油圧ポンプの吸込口と油圧シリンダとを接続し、油圧シリンダからの作動油が油圧ポンプに向けて流れる第1作動油流路と、第1作動油流路とタンクとを接続し、油圧シリンダからの作動油がタンクに向けて流れる第2作動油流路と、第1作動油流路における第2作動油流路との接続分岐点と油圧ポンプとの間に接続され、油圧シリンダからの作動油を蓄圧するアキュムレータと、第1作動油流路における接続分岐点とアキュムレータとの間に配設され、アキュムレータに供給される作動油の流量を制御する第1流量制御弁と、第2作動油流路に配設され、タンクに排出される作動油の流量を制御する第2流量制御弁とを備え、第1流量制御弁及び第2流量制御弁は、油圧シリンダからの作動油が操作弁を通過する際に生じる圧力差に応じて開度を制御するパイロット式流量制御弁であり、第2流量制御弁及び接続分岐点は、操作弁の内部に配置されていることを特徴とする。
【0007】
このような油圧駆動装置においては、操作部により昇降物の下降操作が行われると、昇降物が下降するように油圧シリンダが動作し、油圧シリンダから作動油が流れ出る。ここで、昇降物に積載された積荷が重いときは、油圧シリンダの圧力が高いため、油圧シリンダからの作動油が第1作動油流路を流れてアキュムレータに蓄圧される。これにより、昇降物の位置エネルギーが回収されることとなる。また、第2作動油流路に配設された第2流量制御弁、及び第1作動油流路と第2作動油流路との接続分岐点は、操作弁の内部に配置されている。これにより、油圧駆動装置の省スペース化が図られる。
【0008】
油圧駆動装置は、第1作動油流路における接続分岐点と第1流量制御弁との間に配設された抵抗要素と、第1流量制御弁における閉弁方向に作用するパイロット操作部と第1作動油流路における操作弁の上流側とを接続する第1パイロットラインと、第1流量制御弁における開弁方向に作用するパイロット操作部と第1作動油流路における抵抗要素の上流側とを接続する第2パイロットラインと、第2流量制御弁における閉弁方向に作用するパイロット操作部と第1作動油流路における操作弁の上流側とを接続する第3パイロットラインと、第2流量制御弁における開弁方向に作用するパイロット操作部と第1作動油流路における抵抗要素の下流側とを接続する第4パイロットラインとを更に備えてもよい。
【0009】
昇降物に積載された積荷が重いときは、抵抗要素における上流側と下流側とで差圧が生じるため、第4パイロットラインの圧力(抵抗要素の下流側の圧力)が第2パイロットラインの圧力(抵抗要素の上流側の圧力)よりも抵抗要素の差圧分だけ低くなる。従って、第2流量制御弁における第3パイロットラインの圧力と第4パイロットラインの圧力との差圧が、第1流量制御弁における第1パイロットラインの圧力と第2パイロットラインの圧力との差圧よりも抵抗要素の差圧分だけ大きくなるため、第1流量制御弁に比べて第2流量制御弁が閉弁しやすくなる。このため、油圧シリンダからの作動油が第1作動油流路側(第1流量制御弁側)に優先的に流れてアキュムレータに蓄圧されるようになる。これにより、昇降物の位置エネルギーの回収効率が向上する。
【0010】
抵抗要素は、操作弁の内部に配置されていてもよい。このような構成では、油圧駆動装置の更なる省スペース化が図られる。
【0011】
油圧駆動装置は、第1作動油流路におけるアキュムレータと油圧ポンプとの間に配設され、アキュムレータに蓄圧された作動油を油圧ポンプに向けて放圧する制御弁を更に備えてもよい。このような構成では、アキュムレータに蓄圧された作動油を適切なタイミングで油圧ポンプに供給することができる。
【0012】
油圧駆動装置は、第1作動油流路における接続分岐点とアキュムレータとの間に配設され、接続分岐点側からアキュムレータ側への作動油の流れのみを許容する逆止弁を更に備えてもよい。このような構成では、アキュムレータに蓄圧された作動油が第1流量制御弁側に逆流することが防止される。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、省スペース化を図りつつ、昇降物の位置エネルギーを回収することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。図中、同一または同等の要素には同じ符号を付し、重複する説明を省略する。
【0016】
図1は、本発明の一実施形態に係る油圧駆動装置を示す油圧回路図である。同図において、本実施形態の油圧駆動装置1は、例えばエンジン式のフォークリフトに搭載されている。
【0017】
油圧駆動装置1は、リフトシリンダ2と、ティルトシリンダ3とを備えている。リフトシリンダ2は、作動油の給排によりフォーク4(昇降物)を昇降させる油圧シリンダである。ティルトシリンダ3は、作動油の給排によりマスト(図示せず)を傾動させる油圧シリンダである。
【0018】
リフトシリンダ2は、フォーク4を昇降させるためのリフト操作レバー5(操作部)の操作によって動作する。ティルトシリンダ3は、マストを傾動させるためのティルト操作レバー(図示せず)の操作によって動作する。
【0019】
また、油圧駆動装置1は、油圧ポンプ6と、この油圧ポンプ6をギア7を介して駆動するエンジン8とを備えている。油圧ポンプ6は、作動油を吸い込む吸込口6aと、作動油を吐出する吐出口6bとを有している。油圧ポンプ6の吸込口6aには、作動油を貯留するタンク9が吸込流路10を介して接続されている。吸込流路10には、タンク9側から油圧ポンプ6側への作動油の流れのみを許容する逆止弁11が配設されている。
【0020】
リフトシリンダ2と油圧ポンプ6及びタンク9との間には、リフト用の操作弁12が配置されている。操作弁12は、リフト操作レバー5の操作状態に応じて作動油の流れを制御する機械式の方向制御弁である。
【0021】
リフトシリンダ2のボトム室2aと操作弁12とは、共通流路13を介して接続されている。油圧ポンプ6の吐出口6bと操作弁12とは、供給流路14を介して接続されている。吸込流路10と操作弁12とは、回生流路15を介して接続されている。操作弁12とタンク9とは、バイパス流路16を介して接続されている。
【0022】
操作弁12の内部には、共通流路13と供給流路14とを連通させる内部流路17と、共通流路13と回生流路15とを連通させる内部流路18と、共通流路13とバイパス流路16とを連通させる内部流路19とが配置されている。内部流路19は、内部流路18に対して分岐して接続されている。
【0023】
共通流路13、内部流路18、回生流路15及び吸込流路10は、リフトシリンダ2と油圧ポンプ6の吸込口6aとを接続し、リフトシリンダ2からの作動油が油圧ポンプ6に向けて流れる作動油流路20(第1作動油流路)を構成している。内部流路19及びバイパス流路16は、作動油流路20とタンク9とを接続し、リフトシリンダ2からの作動油がタンク9に向けて流れる作動油流路21(第2作動油流路)を構成している。内部流路18,19の接続分岐点Aは、作動油流路20と作動油流路21との接続分岐点Aに相当する。従って、作動油流路20と作動油流路21との接続分岐点Aは、操作弁12の内部に配置されている。
【0024】
操作弁12は、共通流路13と供給流路14、回生流路15及びバイパス流路16とを遮断する閉位置12a(図示)と、共通流路13と供給流路14とを内部流路17を介して連通させると共に、共通流路13と回生流路15及びバイパス流路16とを遮断する開位置12bと、共通流路13と回生流路15及びバイパス流路16とをそれぞれ内部流路18,19を介して連通させると共に、共通流路13と供給流路14とを遮断する開位置12cとの間で、リフト操作レバー5の操作量に応じて開度が制御される。
【0025】
リフト操作レバー5が上昇操作されると、操作弁12は閉位置12aから開位置12b側に切り換えられ、リフト操作レバー5の操作量に応じた開度で開く。すると、油圧ポンプ6からリフトシリンダ2のボトム室2aに作動油が供給され、リフトシリンダ2が伸長するため、フォーク4が上昇する。
【0026】
リフト操作レバー5が下降操作されると、操作弁12は閉位置12aから開位置12c側に切り換えられ、リフト操作レバー5の操作量に応じた開度で開く。すると、フォーク4が自重で下降するため、リフトシリンダ2が収縮し、リフトシリンダ2のボトム室2aから作動油が流れ出る。そして、リフトシリンダ2からの作動油は、操作弁12を通過する。
【0027】
操作弁12の内部には、バイパス用流量制御弁22(第2流量制御弁)が配置されている。バイパス用流量制御弁22は、内部流路19に配設されている。バイパス用流量制御弁22については、後で詳述する。
【0028】
回生流路15には、リフトシリンダ2からの作動油を蓄圧するアキュムレータ23が接続されている。つまり、アキュムレータ23は、作動油流路20における作動油流路21との接続分岐点Aと油圧ポンプ6との間に接続されている。アキュムレータ23の内部には、窒素ガスが充填されている。アキュムレータ23に供給される作動油が多くなるにつれて窒素ガスが圧縮され、アキュムレータ23の圧力は高まっていく。
【0029】
回生流路15におけるアキュムレータ23の上流側には、蓄圧用流量制御弁24(第1流量制御弁)が配設されている。回生流路15における蓄圧用流量制御弁24の上流側には、アキュムレータ23に供給される作動油の流量を制限する抵抗要素であるオリフィス25が配設されている。つまり、蓄圧用流量制御弁24は、作動油流路20における接続分岐点Aとアキュムレータ23との間に配設されている。オリフィス25は、作動油流路20における接続分岐点Aと蓄圧用流量制御弁24との間に配設されている。
【0030】
蓄圧用流量制御弁24は、リフトシリンダ2のボトム室2aからアキュムレータ23に供給される作動油の流量(蓄圧流量)を制御する。蓄圧用流量制御弁24は、リフトシリンダ2からの作動油が操作弁12を通過する際に生じる圧力差に応じて開度を制御するパイロット式流量制御弁である。蓄圧用流量制御弁24は、作動油の流れを許容する開位置(図示)と作動油の流れを遮断する閉位置との間で開度が制御される。具体的には、蓄圧用流量制御弁24は、操作弁12の上流側及び下流側で発生する圧力差(前後差圧)が一定になるように作動油の流量を制御する。蓄圧用流量制御弁24には、開弁方向に付勢するバネ26が設けられている。
【0031】
蓄圧用流量制御弁24は、操作弁12の上流側及び下流側の圧力をパイロット圧として入力している。具体的には、蓄圧用流量制御弁24における閉弁方向に作用するパイロット操作部24aと共通流路13とは、パイロットライン27(第1パイロットライン)を介して接続されている。つまり、パイロットライン27は、蓄圧用流量制御弁24における閉弁方向に作用するパイロット操作部24aと作動油流路20における操作弁12の上流側とを接続している。蓄圧用流量制御弁24における開弁方向に作用するパイロット操作部24bと回生流路15における操作弁12とオリフィス25との間とは、パイロットライン28(第2パイロットライン)を介して接続されている。つまり、パイロットライン28は、蓄圧用流量制御弁24における開弁方向に作用するパイロット操作部24bと作動油流路20におけるオリフィス25の上流側とを接続している。
【0032】
回生流路15におけるアキュムレータ23と油圧ポンプ6との間には、放圧制御弁29が配設されている。つまり、放圧制御弁29は、アキュムレータ23に蓄圧された作動油を油圧ポンプ6に向けて放圧する。放圧制御弁29は、電磁比例弁で構成されている。放圧制御弁29は、作動油の流れを遮断する閉位置(図示)と作動油の流れを許容する開位置との間で開度が制御される。なお、リフト操作レバー5が下降操作されているときは、放圧制御弁29は閉位置(図示)にあり、アキュムレータ23に蓄圧された作動油が油圧ポンプ6に供給されることはない。
【0033】
回生流路15における蓄圧用流量制御弁24と放圧制御弁29との間には、逆止弁30が配設されている。逆止弁30は、作動油流路20と作動油流路21との接続分岐点A側からアキュムレータ23側への作動油の流れのみを許容し、アキュムレータ23側から接続分岐点A側への作動油の流れを遮断する。なお、逆止弁30は、作動油流路20における作動油流路21との接続分岐点Aとアキュムレータ23との間に配設されていればよい。
【0034】
操作弁12の内部に配置された上記のバイパス用流量制御弁22は、リフトシリンダ2のボトム室2aからタンク9に排出される作動油の流量(バイパス流量)を制御する。バイパス用流量制御弁22は、蓄圧用流量制御弁24と同様に、リフトシリンダ2からの作動油が操作弁12を通過する際に生じる圧力差に応じて開度を制御するパイロット式流量制御弁である。バイパス用流量制御弁22は、作動油の流れを許容する開位置(図示)と作動油の流れを遮断する閉位置との間で開度が制御される。具体的には、バイパス用流量制御弁22は、操作弁12の上流側及び下流側で発生する圧力差(前後差圧)が一定になるように作動油の流量を制御する。バイパス用流量制御弁22には、開弁方向に付勢するバネ31が設けられている。
【0035】
バイパス用流量制御弁22は、蓄圧用流量制御弁24と同様に、操作弁12の上流側及び下流側の圧力をパイロット圧として入力している。具体的には、バイパス用流量制御弁22における閉弁方向に作用するパイロット操作部22aと共通流路13とは、パイロットライン32(第3パイロットライン)を介して接続されている。つまり、パイロットライン32は、バイパス用流量制御弁22における閉弁方向に作用するパイロット操作部22aと作動油流路20における操作弁12の上流側とを接続している。バイパス用流量制御弁22における開弁方向に作用するパイロット操作部22bと回生流路15におけるオリフィス25と蓄圧用流量制御弁24との間とは、パイロットライン33(第4パイロットライン)を介して接続されている。つまり、パイロットライン33は、バイパス用流量制御弁22における開弁方向に作用するパイロット操作部22bと作動油流路20におけるオリフィス25の下流側とを接続している。
【0036】
バイパス用流量制御弁22及び蓄圧用流量制御弁24は、リフト操作レバー5の操作量に応じて流れる作動油の流量が等しくなるように設定されている。具体的には、例えばバイパス用流量制御弁22のバネ31及び蓄圧用流量制御弁24のバネ26を調整することで、バイパス用流量制御弁22及び蓄圧用流量制御弁24を流れる作動油の流量が等しくなるように設定されている。このとき、バイパス用流量制御弁22及び蓄圧用流量制御弁24を同じ構造の流量制御弁として構成してもよい。
【0037】
バイパス用流量制御弁22及び蓄圧用流量制御弁24は、リフト操作レバー5の操作量、フォーク4の荷重及び作動油の油温等に応じて、リフトシリンダ2からの作動油の流量を自動的に制御する。これにより、リフトシリンダ2の所望の動作速度を得ることが可能である。
【0038】
ティルトシリンダ3と油圧ポンプ6及びタンク9との間には、ティルト用の操作弁34が配置されている。操作弁34は、ティルト操作レバー(図示せず)の操作状態に応じて作動油の流れを制御する電磁比例弁である。
【0039】
供給流路14と操作弁34とは、供給流路35を介して接続されている。供給流路14とタンク9とは、排出流路36を介して接続されている。排出流路36には、アンロード弁37が配設されている。排出流路36におけるタンク9とアンロード弁37との間と操作弁34とは、排出流路38を介して接続されている。
【0040】
操作弁34とティルトシリンダ3のボトム室3a及びロッド室3bとは、共通流路39,40を介してそれぞれ接続されている。操作弁34は、供給流路35及び排出流路38と共通流路39,40とを遮断する閉位置34a(図示)と、供給流路35と共通流路39とを連通させると共に、排出流路38と共通流路40とを連通させる開位置34bと、供給流路35と共通流路40とを連通させると共に、排出流路38と共通流路39とを連通させる開位置34cとの間で、ティルト操作レバー(図示せず)の操作量に応じて開度が制御される。
【0041】
ティルト操作レバーが前傾操作されると、操作弁34は閉位置34aから開位置34b側に切り換えられ、ティルト操作レバーの操作量に応じた開度で開く。すると、油圧ポンプ6からティルトシリンダ3のボトム室3aに作動油が供給され、ティルトシリンダ3が伸長するため、マスト(図示せず)が前傾する。ティルト操作レバーが後傾操作されると、操作弁34は閉位置34aから開位置34c側に切り換えられ、ティルト操作レバーの操作量に応じた開度で開く。すると、油圧ポンプ6からティルトシリンダ3のロッド室3bに作動油が供給され、ティルトシリンダ3が収縮するため、マスト(図示せず)が後傾する。
【0042】
以上のような油圧駆動装置1において、操作者がリフト操作レバー5により下降操作を行うと、上述したように、操作弁12が閉位置12aから開位置12c側に切り換わるため、フォーク4が自重により下降することで、リフトシリンダ2のボトム室2aから作動油が流れ出る。
【0043】
ここで、フォーク4に積載された積荷が重いときは、リフトシリンダ2のボトム室2aの圧力(シリンダ圧)が高くなる。このため、リフトシリンダ2からの作動油は、
図2に示されるように、操作弁12、オリフィス25及び蓄圧用流量制御弁24を通ってアキュムレータ23に蓄圧される。これにより、フォーク4の位置エネルギーが回収されることとなる。その後、例えばフォーク4の上昇時、或いはティルトシリンダ3の動作時に、放圧制御弁29が開くことで、アキュムレータ23に蓄圧された作動油が放圧制御弁29を通って油圧ポンプ6に供給され、回生動作が行われる。これにより、フォーク4の位置エネルギーが再利用されることとなる。
【0044】
このようにフォーク4に積載された積荷が重く、回生流路15に蓄圧流量が発生している状態では、オリフィス25の作用によりオリフィス25で前後差圧が生じる。つまり、オリフィス25の下流側の圧力は、オリフィス25の上流側の圧力に比べてオリフィス25の差圧分だけ低下する。このため、パイロットライン32のパイロット圧は、パイロットライン33のパイロット圧とバネ31の付勢力との合計よりも高くなる。従って、
図2(a)に示されるように、バイパス用流量制御弁22は閉弁方向に駆動されるため、リフトシリンダ2からの作動油は優先的に回生流路15側に流れるようになり、バイパス流路16には作動油が流れない。つまり、バイパス流量はゼロであり、蓄圧流量のみとなる。その結果、作動油がアキュムレータ23に迅速に蓄圧されるようになる。
【0045】
アキュムレータ23への作動油の蓄圧に伴ってアキュムレータ23の圧力(アキュムレータ圧)が上昇すると、シリンダ圧とアキュムレータ圧との差が小さくなるため、蓄圧流量が減少する。すると、オリフィス25の前後差圧が小さくなり、オリフィス25の下流側の圧力(パイロットライン33のパイロット圧に相当)の低下が抑制される。従って、パイロットライン33のパイロット圧とバネ31の付勢力との合計がパイロットライン32のパイロット圧よりも大きくなる。このため、
図2(b)に示されるように、バイパス用流量制御弁22が開弁するようになり、バイパス流量が増加する。その後、アキュムレータ圧が所定圧に達すると、アキュムレータ23に作動油をそれ以上蓄圧することができなくなるため、蓄圧流量がゼロになり、バイパス流量のみとなる。
【0046】
なお、フォーク4に積載された積荷が軽く、蓄圧流量が流れない状態では、オリフィス25で前後差圧が生じない。このため、バイパス用流量制御弁22によって操作弁12の前後差圧が一定になるようにバイパス流量が制御される。
【0047】
以上のように本実施形態にあっては、リフト操作レバー5によりフォーク4の下降操作が行われると、フォーク4が下降するようにリフトシリンダ2が動作し、リフトシリンダ2から作動油が流れ出る。ここで、フォーク4に積載された積荷が重いときは、リフトシリンダ2の圧力が高いため、リフトシリンダ2からの作動油が作動油流路20を流れてアキュムレータ23に蓄圧される。これにより、フォーク4の位置エネルギーが回収されることとなる。また、作動油流路21に配設されたバイパス用流量制御弁22、及び作動油流路20と作動油流路21との接続分岐点Aは、操作弁12の内部に配置されている。これにより、油圧駆動装置1の省スペース化が図られる。
【0048】
また、本実施形態では、フォーク4に積載された積荷が重いときは、オリフィス25における上流側と下流側とで差圧が生じるため、パイロットライン33の圧力(オリフィス25の下流側の圧力)がパイロットライン28の圧力(オリフィス25の上流側の圧力)よりもオリフィス25の差圧分だけ低くなる。従って、バイパス用流量制御弁22におけるパイロットライン32の圧力とパイロットライン33の圧力との差圧が、蓄圧用流量制御弁24におけるパイロットライン27の圧力とパイロットライン28の圧力との差圧よりもオリフィス25の差圧分だけ大きくなるため、蓄圧用流量制御弁24に比べてバイパス用流量制御弁22が閉弁しやすくなる。このため、リフトシリンダ2からの作動油が作動油流路20側(蓄圧用流量制御弁24側)に優先的に流れてアキュムレータ23に蓄圧されるようになる。これにより、フォーク4の位置エネルギーの回収効率が向上する。
【0049】
また、本実施形態では、バイパス用流量制御弁22及び蓄圧用流量制御弁24は、リフト操作レバー5の操作量に応じて流れる作動油の流量が等しくなるように設定されている。このため、重い積荷が積載されたフォーク4が下降するようにリフトシリンダ2が動作する際に、アキュムレータ23における作動油の蓄圧状態に伴って、リフトシリンダ2からの作動油が流れる先が蓄圧用流量制御弁24側からバイパス用流量制御弁22側に切り換わっても、蓄圧用流量制御弁24及びバイパス用流量制御弁22を流れる作動油の流量は等しい。これにより、リフトシリンダ2の所望の動作速度を維持することができる。
【0050】
また、本実施形態では、アキュムレータ23に蓄圧された作動油を油圧ポンプ6に向けて放圧する放圧制御弁29が備えられているので、アキュムレータ23に蓄圧された作動油を適切なタイミングで油圧ポンプ6に供給することができる。
【0051】
また、本実施形態では、作動油流路20と作動油流路21との接続分岐点A側からアキュムレータ23側への作動油の流れのみを許容する逆止弁30が備えられているので、アキュムレータ23に蓄圧された作動油が蓄圧用流量制御弁24側に逆流することが防止される。
【0052】
さらに、本実施形態では、荷重センサ及び回生専用の油圧ポンプ・モータ等を必要としないので、油圧駆動装置1の構成の簡素化及び小型化が図られると共に、油圧駆動装置1にかかるコストが安価になる。
【0053】
図3は、本発明の他の実施形態に係る油圧駆動装置を示す油圧回路図である。
図3において、本実施形態は、上述した実施形態におけるオリフィス25に代えて、オリフィス45(抵抗要素)を備えている。オリフィス45は、操作弁12の内部に配置されている。具体的には、オリフィス45は、操作弁12の内部流路18に配設されている。
【0054】
蓄圧用流量制御弁24における開弁方向に作用するパイロット操作部24bと内部流路18における内部流路19との接続分岐点Aとオリフィス41との間とは、パイロットライン28を介して接続されている。つまり、パイロットライン28は、蓄圧用流量制御弁24における開弁方向に作用するパイロット操作部24bと作動油流路20におけるオリフィス45の上流側とを接続している。
【0055】
バイパス用流量制御弁22における開弁方向に作用するパイロット操作部22bと回生流路15における操作弁12と蓄圧用流量制御弁24との間とは、パイロットライン33を介して接続されている。つまり、パイロットライン33は、バイパス用流量制御弁22における開弁方向に作用するパイロット操作部22bと作動油流路20におけるオリフィス45の下流側とを接続している。
【0056】
フォーク4に積載された積荷が重く、回生流路15に蓄圧流量が発生している状態では、オリフィス45の作用によってオリフィス45の下流側の圧力が低下するため、
図4(a)に示されるように、バイパス用流量制御弁22は閉弁方向に駆動され、リフトシリンダ2からの作動油は優先的に回生流路15側に流れるようになる。アキュムレータ23への作動油の蓄圧に伴ってアキュムレータ圧が上昇すると、オリフィス45による圧力低下作用が抑制されるため、
図4(b)に示されるように、バイパス用流量制御弁22が開弁するようになる。
【0057】
本実施形態においては、操作弁12の内部にオリフィス45が配置されているので、油圧駆動装置1の更なる省スペース化が図られる。
【0058】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されない。例えば上記実施形態では、バイパス用流量制御弁22及び蓄圧用流量制御弁24を流れる作動油の流量が等しくなるように設定されているが、特にその形態には限られず、リフトシリンダ2からの作動油が流れる先が蓄圧用流量制御弁24側からバイパス用流量制御弁22側に切り換わったときに、操作者がリフトシリンダ2の動作速度の変化を殆ど感じないようであれば、バイパス用流量制御弁22及び蓄圧用流量制御弁24を流れる作動油の流量が異なっていてもよい。
【0059】
また、上記実施形態の油圧駆動装置1は、エンジン式のフォークリフトに搭載されているが、本発明は、電動式のフォークリフトにも適用可能である。また、本発明は、アタッチメントを備えたフォークリフトにも適用可能である。
【0060】
さらに、上記実施形態の油圧駆動装置1は、フォークリフトに搭載されているが、本発明は、フォークリフト以外の荷役車両の他、油圧昇降装置等の油圧機械にも適用可能である。