(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2の種類の前記サーモスタットは、前記第1の種類の前記サーモスタットと、前記通信部に対する、前記空調対象空間の温度情報の送信の有無、前記空調対象空間の湿度情報の送信の有無、及び前記冷凍サイクル装置の熱源空気の温度情報の送信の有無、の少なくとも1つが異なる、
請求項1から3のいずれか1項に記載の空調システム。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図面を参照しながら、本開示の空調システムの実施形態を説明する。
【0020】
(1)全体構成
本開示の空調システム300について、
図1〜
図7を参照しながら説明する。
図1は、空調システム300及び空調システム300に接続される第1サーモスタット900Aのブロック図である。
図2は、空調システム300及び空調システム300に接続される第2サーモスタット900Bのブロック図である。
図3は、空調システム300及び空調システム300に接続される第3サーモスタット900Cのブロック図である。
図4は、空調システム300が有する空調装置100の概略構成図である。
図5は、空調システム300のコントローラ60及びコントローラ60に接続される第1サーモスタット900Aのブロック図である。
図6は、コントローラ60及びコントローラ60に接続される第2サーモスタット900Bのブロック図である。
図7は、コントローラ60及びコントローラ60に接続される第3サーモスタット900Cのブロック図である。
【0021】
なお、
図1〜
図3の空調システム300は、空調システム300に接続されるサーモスタットの種類が異なる以外は同一である。また、
図4〜
図6の空調システム300のコントローラ60も、コントローラ60に接続されるサーモスタットの種類が異なる以外は同一である。
【0022】
空調システム300は、蒸気圧縮式の空調装置100を用いて、空調対象空間Rの空調を行うシステムである。
図4に示す空調装置100は、冷凍サイクル装置の一例である。空調装置100は、空調対象空間Rの冷房及び暖房を行う空調装置である。ただし、空調装置100は、冷房及び暖房が可能な空調装置でなくてもよい。例えば、空調装置100は、冷房専用の空調装置であってもよい。なお、空調システム300は、本実施形態では空調装置100を1台有するが、台数は1台に限定されるものではなく、複数の空調装置を有してもよい。
【0023】
空調システム300には、通信線800を介してサーモスタットが接続される(
図1〜3、
図5〜7参照)。サーモスタットは、空調システム300や、空調システム300に属さない空調機器に指令を送信して運転/停止させることで、空調対象空間Rの温度を設定温度に調節する機器である。空調システム300の空調装置100は、基本的に、サーモスタットの指令に応じて冷房運転や暖房運転を行う。なお、空調システム300に接続されるサーモスタットには、様々な種類が存在する。ここでは、あるサーモスタットと他のサーモスタットとの種類が異なるとは、サーモスタットが空調システム300に対して送信する信号(情報や指令)の少なくとも一部が異なることを意味する。空調システム300は、複数種類のサーミスタと組み合わせて利用できるように、複数種類のサーモスタットと接続可能に構成されている。
【0024】
空調システム300は、空調装置100の性能を判定する機能を有する。本実施形態では、空調装置100の動作を制御する機能を有するコントローラ60が、空調装置100の性能を判定する機能も有する(
図5〜7参照)。例えば、空調システム300は、空調装置100の設置時に、空調装置100の性能の初期判定を行う。空調装置100の性能の初期判定は、例えば、空調装置100が正常な性能を発揮しているか否かを判定するために行われる。また、空調装置100の性能の初期判定は、例えば、空調装置100が初期性能を把握するために行われる。また、空調システム300は、空調装置100の設置後に、空調装置100の性能が劣化していないかを判定する。
【0025】
なお、空調システム300は、接続されるサーモスタットの種類に応じて異なる性能判定処理を行う。また、空調システム300は、性能判定処理が行われる判定処理時と、性能判定処理が行われない非判定処理時とで、空調システム300に接続されているサーモスタットから受信した情報の利用方法を変更する。詳細は後述する。
【0026】
(2)詳細構成
(2−1)サーモスタット
空調システム300に接続されるサーモスタットについて詳細を説明する。
【0027】
サーモスタットは、空調システム300に指令を送信し、空調装置100を運転又は停止させることで、空調対象空間Rの温度の調節を設定温度に調節する機器である。
【0028】
また、
図3に示す例では、サーモスタット(第3サーモスタット900C)は、空調装置100とは別の、空調対象空間Rの空調を行う第1機器200を運転又は停止させることで、空調対象空間Rの温度の調節を設定温度に調節する。第1機器200は、例えばボイラーを用いた暖房装置や、電気ヒータを用いた暖房装置である。例えば、第1機器200は、特開2015−218940号公報に開示されているようなガスファーネスであってもよい。また、例えば、第1機器200は、空調装置100とは別の冷凍サイクル装置であってもよい。
【0029】
以下で説明するサーモスタットの機能は、図示しない電気回路等のハードウェアで実現されてもよい。また、サーモスタットの機能は、図示しないマイクロコンピュータのCPUがプログラムを実行することでソフトウェア的に実現されてもよい。また、サーモスタットの機能は、ハードウェアとソフトウェアとの組み合わせで実現されてもよい。
【0030】
サーモスタットは、例えば空調対象空間Rに設置される機器である。なお、以下に示すサーモスタットの機能少なくとも一部は、空調対象空間Rとは別の場所に設置されるコンピュータ等により提供されてもよい。
【0031】
空調システム300には、
図1〜3のように、1台のサーモスタット900A,900B,900Cが接続される。サーモスタット900A,900B,900Cは、種類の異なるサーモスタットである。言い換えれば、空調システム300には、複数種類のサーモスタット900A,900B,900Cが接続可能である。ここでは、あるサーモスタットと他のサーモスタットとの種類が異なるとは、上述のように空調システム300に対して送信する信号(情報や指令)の少なくとも一部が異なることを意味する。
【0032】
例えば、空調システム300に接続されるサーモスタットには、空調システム300に運転指令及び停止指令だけを送信する種類のサーモスタットがある。運転指令は、空調システム300に対し、空調装置100の運転を指示する指令である。具体的には、運転指令は、空調装置100の冷凍サイクル運転を指示する指令である。空調装置100の冷凍サイクル運転とは、圧縮機21を運転し、冷媒回路10において冷媒を循環させる空調装置100の運転である。停止指令は、空調システム300に対し、空調装置100の運転停止を指示する指令である。具体的には、停止指令は、空調装置100の冷凍サイクル運転の停止を指示する指令である。停止指令は、冷凍サイクル停止指令の一例である。
【0033】
また、空調システム300に接続されるサーモスタットには、運転指令及び停止指令に加えて、空調システム300に以下に例示する(a)〜(e)の情報の1つ又は複数を送信するサーモスタットが存在する。
【0034】
(a)空調対象空間Rの温度情報
空調対象空間Rの温度情報とは、情報(信号)を受信した空調システム300側で、空調対象空間Rの温度が認識可能な情報である。空調対象空間Rの温度情報を、以後、室内温度情報と呼ぶ場合がある。
【0035】
(b)空調対象空間Rの湿度情報
空調対象空間Rの湿度情報とは、情報(信号)を受信した空調システム300側で、空調対象空間Rの湿度が認識可能な情報である。空調対象空間Rの湿度情報を、以後、室内湿度情報と呼ぶ場合がある。
【0036】
(c)空調装置100の熱源空気の温度情報
空調装置100の熱源空気の温度情報とは、情報(信号)を受信した空調システム300側で、空調装置100の熱源ユニット20の熱源側熱交換器23を流れる冷媒と熱交換する熱源空気の温度が認識可能な情報である。本実施形態では、空調装置100の熱源空気の温度情報は、熱源ユニット20の設置される屋外の空気の温度が認識可能な情報である。空調装置100の熱源空気の温度情報を、以後、外気温度情報と呼ぶ場合がある。
【0037】
(d)空調対象空間Rにおける人の存在に関する情報
空調対象空間Rにおける人の存在に関する情報とは、情報(信号)を受信した空調システム300側で、空調対象空間Rに人が居るか否かを認識可能な情報である。空調対象空間Rにおける人の存在に関する情報を、以後、在室情報と呼ぶ場合がある。
【0038】
(e)空調装置100とは別の空調機器の運転状態に関する情報
空調装置100とは別の空調機器の運転状態に関する情報とは、情報(信号)を受信した空調システム300側で、空調装置100と同じ空調対象空間Rの空調を行う、空調装置100とは別の空調機器(他機器と呼ぶ)の運転状態を認識可能な情報である。例えば、空調装置100とは別の空調機器の運転状態に関する情報とは、情報を受信した空調システム300側で、他機器が運転中であるか否かを少なくとも認識可能な情報である。空調装置100とは別の空調機器の運転状態に関する情報を、以後、他機器運転情報と呼ぶ場合がある。
【0039】
ここでは、空調システム300に接続されるサーモスタットが、以下の第1サーモスタット900A、第2サーモスタット900B及び第3サーモスタット900Cの3種類のいずれかである場合を例に説明する。なお、空調システム300に接続可能なサーモスタットの種類は、例示する3種類に限定されるものではない。空調システム300に接続可能なサーモスタットには、サーモスタット900A,900B,900Cのいずれか又は全てに代えて、又は、サーモスタット900A,900B,900Cに加えて、サーモスタット900A,900B,900C以外の種類のサーモスタットを含んでもよい。また、空調システム300に接続可能なサーモスタットは、サーモスタット900A,900B,900Cのうち、いずれか2種類のサーモスタットだけであってもよい。
【0040】
(2−1−1)第1サーモスタット
第1サーモスタット900Aは、機能部として、主に指示部910を有する。
【0041】
指示部910は、サーモスタットにおいて設定されている設定温度と空調対象空間Rの温度(室内温度)とが所定温度以上乖離すると、第1サーモスタット900Aに接続されている空調システム300に対し運転指令を送信する。また、指示部910は、室内温度が設定温度と概ね等しくなると第1サーモスタット900Aに接続されている空調システム300に対し停止指令を送信する。なお、ここでの停止指令の送信には、運転指令の信号の送信を停止することで、第1サーモスタット900Aに接続されている空調システム300の空調装置100に停止を指示する場合も含むものとする。言い換えれば、ここでの指令の送信は、信号の積極的な送信に限定されず、送信していた信号の送信停止により指令を伝える場合を含む。
【0042】
指示部910は、バイメタルの変形を利用して接点を開閉するような機械的な信号生成部であってもよい。また、指示部910は、サーミスタを用いて計測された室内温度及び設定温度に基づいて指令信号を生成する電子式の信号生成部であってもよい。
【0043】
(2−1−2)第2サーモスタット
第2サーモスタット900Bは、第1サーモスタット900Aの指示部910と機能的に同一の指示部910を有する。なお、第1サーモスタット900A及び第2サーモスタット900Bの指示部910が機能的に同一とは、果たす機能が概ね同一であることを意味し、信号を生成する機構は異なってもよい。
【0044】
第2サーモスタット900Bは、温度センサ920、湿度センサ930,外気温センサ940、及び人感センサ950を備える。
【0045】
温度センサ920は、空調対象空間Rの温度(以下、室内温度と呼ぶ)を測定するセンサである。第2サーモスタット900Bは、接続されている空調システム300に、温度センサ920で測定した室内温度を室内温度情報として送信する。また、第2サーモスタット900Bは、接続されている空調システム300に、空調対象空間Rの設定温度の情報を更に送信してもよい。
【0046】
湿度センサ930は、空調対象空間Rの湿度(以下、室内湿度と呼ぶ)を測定するセンサである。第2サーモスタット900Bは、接続されている空調システム300に、湿度センサ930で測定した室内湿度を室内湿度情報として送信する。
【0047】
外気温センサ940は、空調装置100の熱源ユニット20が設置されている屋外の温度(以後、外気温度と呼ぶ)を測定するセンサである。言い換えれば、外気温センサ940は、空調装置100の熱源空気の温度を測定するセンサである。第2サーモスタット900Bは、接続されている空調システム300に対し、外気温センサ940で測定した外気温度を外気温度情報として送信する。なお、第2サーモスタット900Bは、外気温センサ940を有さず、インターネット等のネットワークを介して、気象情報サーバから外気温度を取得してもよい。そして、第2サーモスタット900Bは、接続されている空調システム300に、気象情報サーバから取得した外気温度を外気温度情報として送信してもよい。
【0048】
人感センサ950は、空調対象空間Rの人の存在を検知するセンサである。第2サーモスタット900Bは、接続されている空調システム300に、人感センサ950の検知結果を在室情報として送信する。
【0049】
(2−1−3)第3サーモスタット
第3サーモスタット900Cは、第2サーモスタット900Bの上述した構成及び機能と、同様の構成及び機能を有する。
【0050】
第3サーモスタット900Cは、更に、空調装置100とは別の、空調対象空間Rの空調を行う第1機器200に対し運転指令及び停止指令を送信する。
【0051】
また、第3サーモスタット900Cは、空調システム300に対しても、第1機器200に対する運転指令及び停止指令と同じ信号を送信する。言い換えれば、第3サーモスタット900Cは、通信線800を介して接続されている空調システム300に、第1機器200の運転状態に関する情報を他機器運転情報として送信する。なお、第3サーモスタット900Cが空調システム300に対して送信する信号(他機器運転情報)は、空調システム300側で第1機器200の運転状態が把握可能な信号であればよく、第1機器200に対する運転指令及び停止指令とは異なる信号でもよい。
【0052】
(3)空調装置
空調装置100の詳細構成について説明する。
【0053】
空調装置100は、主として、1台の熱源ユニット20と、1台の利用ユニット50と、液冷媒連絡配管2及びガス冷媒連絡配管4と、コントローラ60と、を備えている(
図4参照)。液冷媒連絡配管2及びガス冷媒連絡配管4は、熱源ユニット20と利用ユニット50とを接続する配管である(
図4参照)。コントローラ60は、熱源ユニット20及び利用ユニット50の各種機器や各種部品の動作を制御する。また、コントローラ60は、空調装置100の性能を判定する機能を有する。
【0054】
なお、本実施形態の空調装置100は、利用ユニット50を1台有するが、利用ユニット50の台数は1台に限定されない。空調装置100は、2台以上の利用ユニット50を有してもよい。また、本実施形態の空調装置100は、熱源ユニット20を1台有するが、熱源ユニット20の台数は1台に限定されない。空調装置100は、2台以上の熱源ユニット20を有してもよい。また、空調装置100は、熱源ユニット20及び利用ユニット50が単一のユニットに組み込まれている一体型装置であってもよい。
【0055】
熱源ユニット20と利用ユニット50とは、液冷媒連絡配管2及びガス冷媒連絡配管4を介して接続されることで、冷媒回路10を構成する(
図4参照)。冷媒回路10には、冷媒が封入される。冷媒回路10に封入される冷媒は、限定するものではないが、例えばR32等のフルオロカーボン系の冷媒である。冷媒回路10は、熱源ユニット20の圧縮機21、流向切換機構22、熱源側熱交換器23、及び膨張機構25や、利用ユニット50の利用側熱交換器52を有する(
図4参照)。
【0056】
空調装置100は、通常運転モードとして、冷房運転を実行する冷房運転モードと、暖房運転を実行する暖房運転モードと、を有する。冷房運転は、熱源側熱交換器23を凝縮器として機能させ、利用側熱交換器52を蒸発器として機能させ、利用ユニット50が設置される空調対象空間Rの空気を冷却する運転である。暖房運転は、熱源側熱交換器23を蒸発器として機能させ、利用側熱交換器52を凝縮器として機能させ、利用ユニット50が設置されている空調対象空間Rの空気を加熱する運転である。また、空調装置100は、暖房運転中に、暖房運転を中断しデフロスト運転を行う。デフロスト運転は、熱源側熱交換器23を凝縮器として機能させ、利用側熱交換器52を蒸発器として機能させることで、熱源側熱交換器23に付着した霜を除去するための運転である。
【0057】
また、空調装置100は、コントローラ60が空調装置100の性能の判定を行う際に、空調装置100の性能の判定処理用運転を行う。言い換えれば、空調装置100は、運転モードとして、通常運転モード以外に、判定処理用運転モードを有する。判定処理用運転の具体的内容については後述する。
【0058】
(3−1)利用ユニット
利用ユニット50は、空調対象空間Rに設置されるユニットである。例えば、利用ユニット50は、天井埋込式のユニットである。ただし、空調装置100の利用ユニット50は、天井埋込式に限定されるものではなく、天井吊下式、壁掛式、又は床置式であってもよい。
【0059】
また、利用ユニット50は、被空調空間R以外に設置されてもよい。例えば、利用ユニット50は、屋根裏、機械室、ガレージ等に設置されてもよい。その場合、利用ユニット50から被空調空間Rへと、利用側熱交換器52において冷媒と熱交換した空気を供給する空気通路が設置される。空気通路は、例えばダクトである。ただし、空気通路のタイプは、ダクトに限定されるものではなく適宜選択されればよい。
【0060】
利用ユニット50は、上述のように、液冷媒連絡配管2及びガス冷媒連絡配管4を介して熱源ユニット20に接続され、冷媒回路10の一部を構成している。
【0061】
利用ユニット50は、冷媒回路10の一部を構成する利用側冷媒回路10aを有する(
図4参照)。利用側冷媒回路10aは、主として利用側熱交換器52を有する(
図4参照)。利用ユニット50は、ファンモータ53aにより駆動される利用側ファン53を有する(
図4参照)。利用ユニット50は、各種のセンサを有する。本実施形態では、利用ユニット50が有する各種センサには、液側温度センサ54とガス側温度センサ55とを含む(
図4参照)。利用ユニット50は、利用ユニット50の動作を制御する利用側制御部64を有する(
図4参照)。
【0062】
(3−1−1)利用側熱交換器
利用側熱交換器52では、利用側熱交換器52を流れる冷媒と、空調対象空間Rの空気との間で熱交換が行われる。利用側熱交換器52は、タイプを限定するものではないが、例えば、図示しない複数の伝熱管とフィンとを有するフィン・アンド・チューブ型熱交換器である。
【0063】
利用側熱交換器52の一端は、冷媒配管を介して液冷媒連絡配管2と接続される。利用側熱交換器52の他端は、冷媒配管を介してガス冷媒連絡配管4と接続される。冷房運転時及びデフロスト運転時には、利用側熱交換器52に液冷媒連絡配管2側から冷媒が流入し、利用側熱交換器52は蒸発器として機能する。暖房運転時には、利用側熱交換器52にガス冷媒連絡配管4側から冷媒が流入し、利用側熱交換器52は凝縮器として機能する。
【0064】
(3−1−2)利用側ファン
利用側ファン53は、利用ユニット50のケーシング(図示せず)内に空調対象空間R内の空気を吸入して利用側熱交換器52に供給し、利用側熱交換器52において冷媒と熱交換した空気を、空調対象空間Rへと吹き出す機構である。利用側ファン53は、例えばターボファンである。ただし、利用側ファン53のタイプは、ターボファンに限定されるものではなく適宜選択されればよい。利用側ファン53は、ファンモータ53aによって駆動される。利用側ファン53は、回転数を変更可能なファンモータ53aによって駆動される風量可変のファンである。
【0065】
(3−1−3)センサ
利用ユニット50は、液側温度センサ54とガス側温度センサ55とをセンサとして有する(
図2参照)。温度センサや湿度センサのタイプは、適宜選択されればよい。
【0066】
なお、利用ユニット50は、液側温度センサ54及びガス側温度センサ55以外のセンサを有してもよい。
【0067】
液側温度センサ54は、利用側熱交換器52の液側と液冷媒連絡配管2とを接続する冷媒配管に設けられる。液側温度センサ54は、利用側熱交換器52の液側の冷媒配管を流れる冷媒の温度を計測する。
【0068】
ガス側温度センサ55は、利用側熱交換器52のガス側とガス冷媒連絡配管4とを接続する冷媒配管に設けられる。ガス側温度センサ55は、利用側熱交換器52のガス側の冷媒配管を流れる冷媒の温度を計測する。
【0069】
(3−1−4)利用側制御部
利用側制御部64は、利用ユニット50を構成する各部の動作を制御する。
【0070】
利用側制御部64は、利用ユニット50の制御するために設けられたマイクロコンピュータや、マイクロコンピュータが実施可能な制御プログラムが記憶されているメモリ等を有する。なお、ここで説明する利用側制御部64の構成は一例に過ぎず、以下で説明する利用側制御部64の機能は、矛盾のない限り、ソフトウェアで実現されても、ハードウェアで実現されても、ソフトウェアとハードウェアとの組み合わせで実現されてもよい。
【0071】
利用側制御部64は、利用側ファン53、液側温度センサ54、及びガス側温度センサ55と、制御信号や情報のやりとりを行うことが可能に電気的に接続されている(
図4参照)。
【0072】
利用側制御部64は、伝送線66により、制御信号等のやりとりを行うことが可能な状態で熱源ユニット20の熱源側制御部62に接続されている。なお、利用側制御部64と熱源側制御部62とは、物理的な伝送線66により接続されてなくてもよく、無線により通信可能に接続されてもよい。利用側制御部64及び熱源側制御部62は、協働して空調装置100全体の動作を制御するコントローラ60として機能する。コントローラ60については後述する。
【0073】
(3−2)熱源ユニット
熱源ユニット20は、空調対象空間Rの外に配置されている。熱源ユニット20は、例えば空調装置100の設置される建物の屋上や、建物に隣接して設置されている。
【0074】
熱源ユニット20は、液冷媒連絡配管2及びガス冷媒連絡配管4を介して利用ユニット50に接続されている。熱源ユニット20は、利用ユニット50と共に冷媒回路10を構成する(
図4参照)。
【0075】
熱源ユニット20は、冷媒回路10の一部を構成する熱源側冷媒回路10bを有する(
図4参照)。熱源側冷媒回路10bは、主として、圧縮機21と、流向切換機構22と、熱源側熱交換器23と、膨張機構25と、アキュムレータ24と、液側閉鎖弁14と、ガス側閉鎖弁16と、を有する(
図4参照)。熱源ユニット20は、ファンモータ28aにより駆動される熱源側ファン28を有する(
図4参照)。熱源ユニット20は、各種センサを有する。熱源ユニット20の有するセンサについては後述する。熱源ユニット20は、熱源側制御部62を有する(
図4参照)。
【0076】
ただし、熱源ユニット20は、必ずしも上記構成要素の全てを有する必要はなく、熱源ユニット20の構成要素は適宜選択されればよい。例えば、熱源ユニット20は、膨張機構25を構成として有さず、同様の膨張機構を、熱源ユニット20に代えて、利用ユニット50が有してもよい。
【0077】
また、熱源ユニット20は、吸入管12aと、吐出管12bと、第1ガス冷媒管12cと、液冷媒管12dと、第2ガス冷媒管12eと、を有する(
図4参照)。吸入管12aは、流向切換機構22と圧縮機21の吸入側とを接続する(
図4参照)。吸入管12aには、アキュムレータ24が設けられる(
図4参照)。吐出管12bは、圧縮機21の吐出側と流向切換機構22とを接続する(
図4参照)。第1ガス冷媒管12cは、流向切換機構22と熱源側熱交換器23のガス側とを接続する(
図4参照)。液冷媒管12dは、熱源側熱交換器23の液側と液冷媒連絡配管2とを接続する(
図4参照)。液冷媒管12dには、膨張機構25が設けられている(
図4参照)。液冷媒管12dと液冷媒連絡配管2との接続部には、液側閉鎖弁14が設けられている(
図4参照)。第2ガス冷媒管12eは、流向切換機構22とガス冷媒連絡配管4とを接続する(
図4参照)。第2ガス冷媒管12eとガス冷媒連絡配管4との接続部には、ガス側閉鎖弁16が設けられている(
図4参照)。
【0078】
(3−2−1)圧縮機
圧縮機21は、吸入管12aから冷凍サイクルにおける低圧の冷媒を吸入し、図示しない圧縮機構で冷媒を圧縮して、圧縮した冷媒を吐出管12bへと吐出する機器である。本実施形態では、熱源ユニット20は、圧縮機21を1台だけ有するが、圧縮機21の台数は1台に限定されるものではない。例えば、熱源ユニット20は、複数の圧縮機21を有してもよい。
【0079】
圧縮機21は、タイプを限定するものではないが、例えば、ロータリ式やスクロール式等の容積圧縮機である。圧縮機21の図示しない圧縮機構は、モータ21aによって駆動される(
図4参照)。モータ21aにより圧縮機構(図示せず)が駆動されることで、圧縮機構により冷媒が圧縮される。
【0080】
モータ21aは、例えば定速のモータである。ただし、これに限定されるものではなく、モータ21aは、インバータによる回転数制御が可能なモータであってもよい。
【0081】
(3−2−2)流向切換機構
流向切換機構22は、冷媒の流向を切り換えることで、熱源側熱交換器23の状態を、凝縮器として機能する第1状態と蒸発器として機能する第2状態との間で変更する機構である。なお、流向切換機構22が熱源側熱交換器23の状態を第1状態とする時、利用側熱交換器52は蒸発器として機能する。一方、流向切換機構22が熱源側熱交換器23の状態を第2状態とする時、利用側熱交換器52は凝縮器として機能する。
【0082】
本実施形態では、流向切換機構22は四路切換弁である。ただし、流向切換機構22は四路切換弁に限られるものではない。例えば、流向切換機構22は、複数の電磁弁及び冷媒管が下記のような冷媒の流れ方向の切り換えを実現できるように組み合わせられて構成されてもよい。
【0083】
冷房運転時及びデフロスト運転時には、流向切換機構22は、熱源側熱交換器23の状態を第1状態とする。言い換えれば、冷房運転時及びデフロスト運転時には、流向切換機構22は、吸入管12aを第2ガス冷媒管12eと連通させ、吐出管12bを第1ガス冷媒管12cと連通させる(
図4中の流向切換機構22内の実線参照)。冷房運転時及びデフロスト運転時には、圧縮機21が吐出する冷媒は、冷媒回路10内を、熱源側熱交換器23、膨張機構25、利用側熱交換器52の順に流れ、圧縮機21へと戻る。
【0084】
暖房運転時には、流向切換機構22は、熱源側熱交換器23の状態を第2状態とする。言い換えれば、暖房運転時には、流向切換機構22は、吸入管12aを第1ガス冷媒管12cと連通させ、吐出管12bを第2ガス冷媒管12eと連通させる(
図4中の流向切換機構22内の破線参照)。暖房運転時には、圧縮機21が吐出する冷媒は、冷媒回路10内を、利用側熱交換器52、膨張機構25、熱源側熱交換器23の順に流れ、圧縮機21へと戻る。
【0085】
(3−2−3)熱源側熱交換器
熱源側熱交換器23では、内部を流れる冷媒と熱源ユニット20の設置場所の空気(熱源空気)との間で熱交換が行われる。熱源ユニット20が室外に設置される場合、熱源側熱交換器23では、内部を流れる冷媒と屋外空気との間で熱交換が行われる。
【0086】
熱源側熱交換器23は、タイプを限定するものではないが、例えば、図示しない複数の伝熱管とフィンとを有するフィン・アンド・チューブ型熱交換器である。
【0087】
熱源側熱交換器23の一端は、液冷媒管12dに接続されている。熱源側熱交換器23の他端は、第1ガス冷媒管12cに接続されている。
【0088】
熱源側熱交換器23は、冷房運転時及びデフロスト運転時には凝縮器(放熱器)として機能し、暖房運転時には蒸発器として機能する。
【0089】
(3−2−4)膨張機構
膨張機構25は、冷媒回路10において熱源側熱交換器23と利用側熱交換器52との間に配置される(
図4参照)。膨張機構25は、熱源側熱交換器23と液側閉鎖弁14との間の液冷媒管12dに配置されている(
図4参照)。熱源ユニット20が膨張機構25を有する代わりに、利用ユニット50が膨張機構25と同様の膨張機構を有する場合には、膨張機構は、利用ユニット50の内部の、液冷媒連絡配管2と利用側熱交換器52との間を接続する冷媒管に設けられればよい。
【0090】
膨張機構25は、液冷媒管12dを流れる冷媒の圧力や流量の調節を行う。本実施形態では、膨張機構25は開度可変の電子膨張弁である。ただし、膨張機構25は、電子膨張弁に限定されるものではない。膨張機構25は、感温筒式の膨張弁やキャピラリーチューブであってもよい。
【0091】
(3−2−5)アキュムレータ
アキュムレータ24は、流入する冷媒をガス冷媒と液冷媒とに分離する気液分離機能を有する。また、アキュムレータ24は、利用ユニット50の運転負荷の変動等に応じて発生する余剰冷媒の貯留機能を有する容器である。アキュムレータ24は、吸入管12aに設けられる(
図4参照)。アキュムレータ24に流入する冷媒は、ガス冷媒と液冷媒とに分離され、上部空間に集まるガス冷媒が圧縮機21へと流出する。
【0092】
(3−2−6)液側閉鎖弁及びガス側閉鎖弁
液側閉鎖弁14は、液冷媒管12dと液冷媒連絡配管2との接続部に設けられている弁である。ガス側閉鎖弁16は、第2ガス冷媒管12eとガス冷媒連絡配管4との接続部に設けられている弁である。液側閉鎖弁14及びガス側閉鎖弁16は、例えば、手動で操作される弁である。
【0093】
(3−2−7)熱源側ファン
熱源側ファン28は、熱源ユニット20の図示しないケーシング内に熱源ユニット20外部の熱源空気を吸入して熱源側熱交換器23に供給し、熱源側熱交換器23において冷媒と熱交換した空気を熱源ユニット20のケーシング外に排出するためのファンである。
【0094】
熱源側ファン28は、例えばプロペラファンである。ただし、熱源側ファン28のファンのタイプは、プロペラファンに限定されず、適宜選択されればよい。
【0095】
熱源側ファン28は、ファンモータ28aによって駆動される(
図4参照)。熱源側ファン28は、回転数を変更可能なファンモータ28aによって駆動される風量可変のファンである。
【0096】
(3−2−8)センサ
熱源ユニット20には、各種センサが設けられている。例えば、熱源ユニット20は、以下の温度センサ及び圧力センサを有する。温度センサや圧力センサのタイプは、適宜選択されればよい。
【0097】
熱源ユニット20の有するセンサには、吐出圧力センサ30、吸入圧力センサ31、吸入温度センサ32、吐出温度センサ33、熱交温度センサ34、及び液側温度センサ35を含む(
図4参照)。なお、熱源ユニット20は、上述のセンサ30〜35の一部のみを有してもよい。また、熱源ユニット20は、上述のセンサ30〜35以外のセンサを有してもよい。
【0098】
吐出圧力センサ30は、吐出管12bに設けられている(
図4参照)。吐出圧力センサ30は、吐出圧力Pdを計測するセンサである。
【0099】
吸入圧力センサ31は、吸入管12aに設けられている(
図4参照)。吸入圧力センサ31は、吸入圧力Psを計測するセンサである。
【0100】
吸入温度センサ32は、吸入管12aに設けられている(
図4参照)。吸入温度センサ32は、吸入温度Tsを計測するセンサである。
【0101】
吐出温度センサ33は、吐出管12bに設けられている(
図4参照)。吐出温度センサ33は、吐出温度Tdを計測するセンサである。
【0102】
熱交温度センサ34は、熱源側熱交換器23に設けられている(
図4参照)。熱交温度センサ34は、熱源側熱交換器23を流れる冷媒の温度を計測する。熱交温度センサ34は、冷房運転時には凝縮温度Tcに対応する冷媒温度を計測し、暖房運転時には蒸発温度Teに対応する冷媒温度を計測する。
【0103】
液側温度センサ35は、液冷媒管12d(熱源側熱交換器23の液側)に設けられ、液冷媒管12dを流れる冷媒の温度Tbを計測する。熱源側熱交換器23の状態が第1状態に切り換えられている時には、熱交温度センサ34が計測する凝縮温度Tcから、液側温度センサ35が計測する冷媒の温度Tbを減じることで、冷凍サイクルの過冷却度SCrが算出される。
【0104】
(3−2−9)熱源側制御部
熱源側制御部62は、熱源ユニット20を構成する各部の動作を制御する。
【0105】
熱源側制御部62は、熱源ユニット20の制御するために設けられたマイクロコンピュータやマイクロコンピュータが実施可能な制御プログラムが記憶されているメモリ等を有する。なお、ここで説明する熱源側制御部62の構成は一例に過ぎず、以下で説明する熱源側制御部62の機能は、矛盾のない限り、ソフトウェアで実現されても、ハードウェアで実現されても、ソフトウェアとハードウェアとの組み合わせで実現されてもよい。
【0106】
熱源側制御部62は、圧縮機21、流向切換機構22、膨張機構25、熱源側ファン28、吐出圧力センサ30、吸入圧力センサ31、吸入温度センサ32、吐出温度センサ33、熱交温度センサ34、及び液側温度センサ35と制御信号や情報のやりとりを行うことが可能に電気的に接続されている(
図4参照)。
【0107】
熱源側制御部62は、伝送線66により、制御信号等のやりとりを行うことが可能な状態で、利用ユニット50の利用側制御部64に接続されている。熱源側制御部62と利用側制御部64とは、協働して空調装置100全体の動作の制御するコントローラ60として機能する。また、コントローラ60は、空調装置100の性能を判定する機能を有する。コントローラ60については後述する。
【0108】
(3−3)冷媒連絡配管
空調装置100は、冷媒連絡配管として、液冷媒連絡配管2と、ガス冷媒連絡配管4と、を有する。液冷媒連絡配管2及びガス冷媒連絡配管4は、空調装置100の設置時に、空調装置100の設置サイトで施工される配管である。液冷媒連絡配管2及びガス冷媒連絡配管4には、設置場所や、熱源ユニット20と利用ユニット50との組み合わせ等の設置条件に応じて様々な長さや径の配管が使用される。
【0109】
利用ユニット50の利用側冷媒回路10aと、熱源ユニット20の熱源側冷媒回路10bとが、液冷媒連絡配管2とガス冷媒連絡配管4とにより接続されることで、空調装置100の冷媒回路10が構成される。
【0110】
(3−4)コントローラ
コントローラ60は、熱源ユニット20の熱源側制御部62と利用ユニット50の利用側制御部64とが伝送線66を介して通信可能に接続されることによって構成されている。コントローラ60は、熱源側制御部62や利用側制御部64のマイクロコンピュータがメモリに記憶されたプログラムを実行することで、空調装置100全体の動作を制御する。
【0111】
なお、本実施形態では、熱源側制御部62と利用側制御部64とがコントローラ60を構成するが、コントローラ60の構成はこのような形態に限定されない。
【0112】
例えば、空調装置100は、熱源側制御部62及び利用側制御部64に加えて、あるいは熱源側制御部62及び利用側制御部64に代えて、以下で説明するコントローラ60の機能の一部又は全部を実現する制御装置を有してもよい。制御装置は、空調システム300の設置される場所とは別の場所に設置されるサーバでもよい。
【0113】
コントローラ60は、
図4に示されるように、圧縮機21、流向切換機構22,膨張機構25、熱源側ファン28及び利用側ファン53を含む熱源ユニット20及び利用ユニット50の各種機器と電気的に接続されている。また、コントローラ60は、
図4に示されるように、熱源ユニット20に設けられた各種センサ30〜35及び利用ユニット50に設けられた各種センサ54,55と電気的に接続されている。
【0114】
コントローラ60は、
図5〜
図7に示されるように、第1サーモスタット900A、第2サーモスタット900B、又は第3サーモスタット900Cが、通信線800を介して接続される接続部610を有する。言い換えれば、接続部610には、通信線800を介して複数種類のサーモスタット900A,900B,900Cが接続可能である。なお、通信線800は、物理的な信号線に限定されるものではなく、無線であってもよい。また、ここで、接続部610にサーモスタットが接続可能であるとは、コントローラ60が接続部610を介してサーモスタットの発信する信号(指令や情報)を受信可能な状態で、接続部610にサーモスタットが接続できることを意味する。
【0115】
接続部610は、コントローラ60がサーモスタット900A,900B,900Cからの信号を受信することを可能とする、ハードウェアインターフェース、及び/又は、ソフトウェアインタフェースである。空調システム300は、サーモスタットと信号線で接続され、サーモスタットからの接点信号を受ける場合がある。また、空調システム300は、サーモスタットとイーサネット(登録商標)や無線LANで接続される場合がある。
【0116】
また、コントローラ60は、接続部610に接続されているサーモスタット900A,900B,900Cとの通信を行う通信部620を有する。コントローラ60は、接続部610に接続されているサーモスタット900A,900B,900Cから、通信部620を介して信号を受信する。言い換えれば、コントローラ60は、接続部610に接続されているサーモスタット900A,900B,900Cから、通信部620を介して信号として送信されてくる情報を受信する。ここでの情報には、サーモスタット900A,900B,900Cから空調システム300に対する指令を含む。サーモスタット900A,900B,900Cから空調システム300に対する指令には、空調装置100の運転指令及び停止指令を含む。
【0117】
コントローラ60は、機能部として、空調制御部630と、判定処理部640と、を更に有する。
【0118】
空調制御部630は、各種センサ30〜35,54,55の計測信号や、サーモスタット900A,900B,900Cから受信する情報に基づいて、空調装置100の運転及び停止や、空調装置100の各種機器21,22,25,28,53等の動作を制御する。冷房運転時及び暖房運転時の空調装置100の動作の制御については後述する。
【0119】
判定処理部640は、空調装置100の性能判定処理を行う。
【0120】
例えば、判定処理部640は、所定のタイミングで、空調制御部630に対し、空調装置100が所定の判定処理用運転を行うように指示する。そして、判定処理部640は、所定のセンサの計測値を判定指標値として取得し、判定指標値と基準とを比較して性能判定を行う。判定処理部640による空調装置100の性能判定処理の内容については後述する。また、判定処理用運転の内容についても、性能判定の内容の説明と合わせて後述する。
【0121】
(3−5)空調装置の動作
冷房運転時及び暖房運転時の空調装置100の動作の制御について説明する。
【0122】
(3−5−1)冷房運転時の動作
空調装置100に対して冷房運転の実行が指示されると、コントローラ60の空調制御部630は、空調装置100の運転モードを冷房運転モードに設定する。空調制御部630は、熱源側熱交換器23の状態が凝縮器として機能する第1状態になるよう、流向切換機構22を
図4において実線で示す状態に制御し、圧縮機21、熱源側ファン28、及び利用側ファン53を運転する。
【0123】
空調制御部630は、冷房運転時に、例えば以下のように空調装置100の機器を制御する。なお、ここで説明する冷房運転時の空調装置100の動作の制御は一例であって、空調制御部630による冷房運転時の空調装置100の制御方法を限定するものではない。例えば、空調制御部630は、ここで説明する以外のパラメータに基づいて各種機器の動作を制御してもよい。
【0124】
空調制御部630は、熱源側ファン28を駆動するファンモータ28aの回転数や、利用側ファン53を駆動するファンモータ53aの回転数を所定の回転数に制御する。
【0125】
空調制御部630は、熱源側熱交換器23の液側出口における冷媒の過冷却度SCrが所定の目標過冷却度SCrsになるように、膨張機構25の一例である電子膨張弁を開度調節する。熱源側熱交換器23の液側出口における冷媒の過冷却度SCrは、例えば、熱交温度センサ34で計測される凝縮温度Tcから液側温度センサ35の計測値(温度Tb)を差し引くことで算出される。過冷却度SCrは、その他のセンサの計測値に基づいて算出されてもよい。
【0126】
空調制御部630は、圧縮機21の運転容量が一定である場合(可変でない場合)には、圧縮機21の運転及び停止だけを制御する。一方、圧縮機21の運転容量が可変である場合には、空調制御部630は、モータ21aの回転数制御を行い、空調制御部630は、吸入圧力センサ31の計測値(吸入圧力Ps)に相当する蒸発温度Teが所定値になるように圧縮機21の運転容量を制御する。空調制御部630は、例えば、サーモスタット900B,900Cから室内温度と設定温度とが情報として送信されてくる場合には、室内温度と設定温度との温度差により決まる目標蒸発温度に近づくように圧縮機21の運転容量を制御する。
【0127】
冷房運転時に、以上のように空調装置100の機器の動作が制御されると、冷媒は冷媒回路10を以下のように流れる。
【0128】
圧縮機21が起動されると、冷凍サイクルにおける低圧のガス冷媒が圧縮機21に吸入され、圧縮機21で圧縮されて冷凍サイクルにおける高圧のガス冷媒となる。高圧のガス冷媒は、流向切換機構22を経由して熱源側熱交換器23に送られ、熱源側ファン28によって供給される熱源空気と熱交換を行って凝縮し、高圧の液冷媒となる。高圧の液冷媒は、液冷媒管12dを流れ、膨張機構25において圧縮機21の吸入圧力近くまで減圧されて気液二相状態の冷媒となり、利用ユニット50へと送られる。利用ユニット50へと送られた気液二相状態の冷媒は、利用側熱交換器52において、利用側ファン53により利用側熱交換器52へと供給される空調対象空間Rの空気と熱交換を行って蒸発して低圧のガス冷媒となる。低圧のガス冷媒は、ガス冷媒連絡配管4を経由して熱源ユニット20に送られ、流向切換機構22を経由してアキュムレータ24に流入する。アキュムレータ24に流入した低圧のガス冷媒は、再び、圧縮機21に吸入される。一方、利用側熱交換器52に供給された空気の温度は、利用側熱交換器52を流れる冷媒と熱交換することで低下し、利用側熱交換器52で冷却された空気は空調対象空間Rに吹き出す。
【0129】
(3−5−2)暖房運転時の動作
空調装置100に対して暖房運転の実行が指示されると、コントローラ60の空調制御部630は、空調装置100の運転モードを暖房運転モードに設定する。空調制御部630は、熱源側熱交換器23の状態が蒸発器として機能する第2状態になるよう、流向切換機構22を
図4において破線で示す状態に制御し、圧縮機21、熱源側ファン28、利用側ファン53を運転する。
【0130】
空調制御部630は、暖房運転時に、例えば以下のように空調装置100の機器を制御する。なお、ここで説明する暖房運転時の空調装置100の動作の制御は一例であって、空調制御部630による暖房運転時の空調装置100の制御方法を限定するものではない。例えば、空調制御部630は、ここで説明する以外のパラメータに基づいて各種機器の動作を制御してもよい。
【0131】
空調制御部630は、熱源側ファン28を駆動するファンモータ28aの回転数や、利用側ファン53を駆動するファンモータ53aの回転数を所定の回転数に制御する。
【0132】
空調制御部630は、利用側熱交換器52の液側出口における冷媒の過冷却度SCrが所定の目標過冷却度SCrsになるように、膨張機構25の一例である電子膨張弁を開度調節する。利用側熱交換器52の液側出口における冷媒の過冷却度SCrは、例えば、吐出圧力センサ30の計測値(吐出圧力Pd)から換算される凝縮温度Tcから、液側温度センサ54の計測値を差し引くことで算出される。
【0133】
空調制御部630は、圧縮機21の運転容量が一定である場合には、圧縮機21の運転及び停止だけを制御する。一方、圧縮機21の運転容量が可変である場合には、空調制御部630は、モータ21aの回転数制御を行い、空調制御部630は、吐出圧力センサ30の計測値(吐出圧力Pd)に相当する凝縮温度Tcが所定値になるように圧縮機21の運転容量を制御する。空調制御部630は、例えば、サーモスタット900B,900Cから室内温度と設定温度とが情報として送信されてくる場合には、室内温度と設定温度との温度差により決まる目標凝縮温度に近づくように、圧縮機21の運転容量を制御する。
【0134】
暖房運転時に、以上のように空調装置100の機器の動作が制御されると、冷媒は冷媒回路10を以下のように流れる。
【0135】
圧縮機21が起動されると、冷凍サイクルにおける低圧のガス冷媒が圧縮機21に吸入され、圧縮機21で圧縮されて冷凍サイクルにおける高圧のガス冷媒となる。高圧のガス冷媒は、流向切換機構22を経由して利用側熱交換器52に送られ、利用側ファン53によって供給される空調対象空間Rの空気と熱交換を行って凝縮し、高圧の液冷媒となる。利用側熱交換器52へと供給された空気の温度は、利用側熱交換器52を流れる冷媒と熱交換することで上昇し、利用側熱交換器52で加熱された空気は空調対象空間Rに吹き出す。利用側熱交換器52から流出する高圧の液冷媒は、液冷媒連絡配管2を経由して熱源ユニット20に送られ、液冷媒管12dに流入する。液冷媒管12dを流れる冷媒は、膨張機構25を通過する際に圧縮機21の吸入圧力近くまで減圧され、気液二相状態の冷媒となって熱源側熱交換器23に流入する。熱源側熱交換器23に流入した低圧の気液二相状態の冷媒は、熱源側ファン28によって供給される熱源空気と熱交換を行って蒸発して低圧のガス冷媒となり、流向切換機構22を経由してアキュムレータ24に流入する。アキュムレータ24に流入した低圧のガス冷媒は、再び、圧縮機21に吸入される。
【0136】
(3−6)空調装置の性能判定
判定処理部640による、空調装置100の性能判定について説明する。
【0137】
判定処理部640は、例えば、空調装置100の図示しないリモコン等の操作装置から空調装置100の性能判定の実行が指示された場合や、空調装置100の前回の性能判定から所定期間が経過した時に、性能判定処理の実施条件が成立したと判定する。判定処理部640は、性能判定処理の実施条件が成立したと判定すると、性能判定処理の実施条件成立フラグを立てる。判定処理部640は、性能判定処理の実施条件の成立後、所定のタイミングで、空調制御部630に対し、空調装置100に判定処理用運転を実行させるように指示する。空調制御部630は、判定処理部640から判定処理用運転の実行指示を受けると、空調装置100の運転モードを判定処理用運転モードに設定する。そして、判定処理部640は、判定処理用運転の際に得られる所定の判定指標値に基づき空調装置100の性能を判定する。判定処理部640は、空調装置100の性能判定が終了すると、性能判定処理の実施条件成立フラグを解除する。
【0138】
例えば、判定処理部640は、空調装置100の設置時の判定処理用運転の際に得られる判定指標値に基づき空調装置100の性能を判定する。また、判定処理部640は、空調装置100の設置から所定期間経過した後に行われる判定処理用運転の際に得られる判定指標値に基づき空調装置100の性能を判定する。例えば、判定処理部640は、定期的に空調装置100の性能の劣化を判定する。なお、ここでは、空調装置100の性能の劣化とは、空調装置100の初期性能に対する性能の低下を意味する。
【0139】
判定処理部640による空調装置100の性能判定には、空調装置100の冷媒量に関する性能判定、空調装置100の熱交換器等の汚れに関する性能判定、及び、空調装置100の故障に関する性能判定の少なくとも1つを含む。
【0140】
以下では、初めに、サーモスタットの信号の存在は考慮せずに、判定処理部640による空調装置100の性能判定の一般的方法について説明する。
【0141】
その後、空調装置100の判定処理時と非判定処理時とでサーモスタット900A,900B,900Cからの情報の取り扱いが変更される例について説明する。また、空調システム300に接続されるサーモスタット900A,900B,900Cの種類により、判定処理部640による空調装置100の性能判定処理がどのように異なるかを説明する。
【0142】
(3−6−1)判定処理部による空調装置の性能判定に関する一般的方法の説明
(a)冷媒量に関する性能判定
空調装置100の冷媒量に関する性能判定の例について説明する。
【0143】
初めに、空調装置100の冷媒量に関する性能判定の際に行われる判定処理用運転(以下では第1運転と呼ぶ)について説明する。
【0144】
第1運転では、空調制御部630は、熱源側熱交換器23の状態が凝縮器として機能する第1状態になるように流向切換機構22を制御することが好ましい。言い換えれば、第1運転は、冷媒回路10を冷房運転時と同様の向きに冷媒が流れる運転であることが好ましい。また、第1運転では、空調制御部630は、空調装置100を以下のように制御することが好ましい。
【0145】
空調制御部630は、熱源側熱交換器23における冷媒の凝縮圧力が所定値になるように、ファンモータ28aの回転数を制御する。冷媒の凝縮圧力は、吐出圧力センサ30を用いて検知されてもよいし、熱交温度センサ34によって検知される凝縮温度Tcから算出されてもよい。また、空調制御部630は、蒸発器として機能する利用側熱交換器52の出口の過熱度が正の値(>0)になるように膨張機構25を制御する。なお、過熱度は、例えば、ガス側温度センサ55の計測値と液側温度センサ54の計測値との差として算出される。また、圧縮機21の運転容量が可変である場合には、空調制御部630は、蒸発圧力が所定値になるように、圧縮機21のモータ21aの回転数を制御する。冷媒の蒸発圧力は、吸入圧力センサ31を用いて検知されてもよいし、液側温度センサ54によって検知される蒸発温度Teから算出されてもよい。
【0146】
判定処理部640は、第1運転が行われて空調装置100が所定の運転状態になると、過冷却度を判定指標値として取得する。例えば、判定処理部640は、凝縮圧力、過熱度及び蒸発圧力が目標値で概ね安定すると、過冷却度を判定指標値として取得する。例えば、判定処理部640は、空調装置100から熱交温度センサ34の計測する凝縮温度Tcと液側温度センサ35の計測する温度Tbとを取得する。そして、判定処理部640は、熱交温度センサ34の計測する凝縮温度Tcから液側温度センサ35の計測する温度Tbを差し引いて得られる過冷却度SCrを判定指標値として取得する。あるいは、判定処理部640は、吐出圧力センサ30により計測される吐出圧力Pdを凝縮温度Tcに換算した値から液側温度センサ35の計測する温度Tbを差し引いて得られる過冷却度SCrを判定指標値として取得してもよい。
【0147】
そして、判定処理部640は、取得した判定指標値としての過冷却度SCrに基づき、空調装置100の冷媒量に関して性能判定を行う。具体的には、判定処理部640は、過冷却度SCrが基準よりも小さい場合には、冷媒量が不足していると判定する。
【0148】
判定処理部640は、初回の性能判定時、言い換えれば初期性能の判定時には、過冷却度SCrと予め準備されているデフォルトの基準とを比較して性能判定を行う。判定処理部640は、2回目以降の性能判定時には、過冷却度SCrと、基準としての初回の性能判定時の過冷却度SCrとを比較して性能判定を行ってもよい。また、判定処理部640は、2回目以降の性能判定時にも、過冷却度SCrとデフォルトの基準とを比較して性能判定を行ってもよい。
【0149】
判定処理部640は、空調装置100の冷媒量が不足していると判定した場合、その旨を空調装置100のユーザや空調装置100の設置作業者やメンテナンス作業者等に報知することが好ましい。例えば、判定処理部640は、図示しないディスプレイに冷媒量不足を報知する情報を表示させることが好ましい。また、判定処理部640は、空調装置100の設置作業者やメンテナンス作業者等が保持する携帯端末等に冷媒量不足を報知してもよい。
【0150】
(b)熱交換器等の汚れに関する性能判定
空調装置100の熱交換器等の汚れに関する性能判定の例について説明する。
【0151】
空調装置100の熱交換器等の汚れに関する性能判定は、熱源側熱交換器23の目詰まりの判定と、利用側熱交換器52及び/又は利用ユニット50に設けられるエアフィルタの目詰まりの判定と、を含む。利用ユニット50に設けられるエアフィルタは、利用側熱交換器52へのホコリ等の付着を抑制するための部材である。ここで熱交換器23,52が目詰まりを起こしている状態とは、熱交換器23,52に付着したホコリ等により、熱交換器23,52の空気流路が狭くなったり塞がれたりした影響で、ファン28,53の供給する空気が熱交換器23,52を通過しづらくなっている状態を意味する。また、エアフィルタが目詰まりを起こしている状態とは、エアフィルタに付着したホコリ等の影響で、ファン53の供給する空気がエアフィルタを通過しづらくなっている状態を意味する。
【0152】
初めに、空調装置100の熱源側熱交換器23の目詰まりの判定(以後、記載の簡略化のため、熱源側の目詰まりに関する性能判定と呼ぶ)の際に行われる空調装置100の判定処理用運転(以下では第2運転と呼ぶ)について説明する。
【0153】
第2運転では、空調制御部630は、熱源側熱交換器23の状態が凝縮器として機能する第1状態になるように流向切換機構22を制御することが好ましい。言い換えれば、第2運転は、冷媒回路10を冷房運転時と同様の向きに冷媒が流れる運転であることが好ましい。また、第2運転では、空調制御部630は、空調装置100を以下のように制御することが好ましい。
【0154】
空調制御部630は、第2運転では、過冷却度及び過熱度が正の値(>0)になるように、圧縮機21のモータ21aの回転数(圧縮機21が容量可変である場合)、熱源側ファン28のファンモータ28aの回転数、及び膨張機構25としての電子膨張弁の開度を制御する。過冷却度は、凝縮温度Tcから熱源側熱交換器23の出口の冷媒の温度Tbを引いた値である。過熱度は、利用側熱交換器52の出口の冷媒温度から蒸発温度Teを引いた値である。熱源側ファン28のファンモータ28aの回転数は、過冷却度及び過熱度が正の値になり得る範囲であって、できるだけ小さな所定値に制御されることが好ましい。
【0155】
次に、利用側熱交換器52及び/又は利用ユニット50に設けられるエアフィルタの目詰まりの判定(以後、記載の簡略化のため、利用側の目詰まりに関する性能判定と呼ぶ)の際に行われる空調装置100の判定処理用運転(以下では第3運転と呼ぶ)について説明する。
【0156】
第3運転では、空調制御部630は、熱源側熱交換器23の状態が凝縮器として機能する第1状態になるように流向切換機構22を制御することが好ましい。言い換えれば、第3運転は、冷媒回路10を冷房運転時と同様の向きに冷媒が流れる運転であることが好ましい。また、第3運転では、空調制御部630は、空調装置100を以下のように制御することが好ましい。
【0157】
空調制御部630は、第3運転では、過冷却度及び過熱度が正の値(>0)になるように、圧縮機21のモータ21aの回転数(圧縮機21が容量可変である場合)、熱源側ファン28のファンモータ28aの回転数、及び膨張機構25としての電子膨張弁の開度を制御する。過冷却度は、凝縮温度Tcから熱源側熱交換器23の出口の冷媒の温度Tbを引いた値である。過熱度は、利用側熱交換器52の出口の冷媒温度から蒸発温度Teを引いた値である。利用側ファン53のファンモータ53aの回転数は、比較的小さな所定値に制御されることが好ましい。
【0158】
熱源側の目詰まりに関する性能判定の際には、判定処理部640は、第2運転が行われて、空調装置100が所定の運転状態になると、第1熱交換温度差と、第1熱交換量Q1と、を判定指標値として取得する。例えば、判定処理部640は、第2運転が行われて、空調装置100の各状態量の値がそれぞれ概ね一定値になると、第1熱交換温度差と、第1熱交換量Q1と、を判定指標値として取得する。例えば、具体的には、判定処理部640は、空調装置100が所定の運転状態になると、吐出圧力センサ30の計測値(吐出圧力Pd)、吸入圧力センサ31の計測値(吸入圧力Ps)、吸入温度センサ32の計測値(吸入温度Ts)、吐出温度センサ33の計測値(吐出温度Td)、熱交温度センサ34の計測値、液側温度センサ35の計測値、及び圧縮機21のモータ21aの回転数Nを情報として取得する。そして、判定処理部640は、凝縮温度(例えば熱交温度センサ34の計測値)から熱源空気温度を差し引いて得られる第1熱交換温度差を判定指標値として取得する。なお、熱源空気温度には、サーモスタットから外気温度情報が送信されてくる場合には、送信されてくる外気温度情報が利用される。また、熱源空気温度は、予め定められた所定値で代用されてもよい。また、熱源空気温度は、空調装置100に設けられた図示しない外気温度センサにより計測されてもよい。また、判定処理部640は、以下の式で算出される第1熱交換量Q1を判定指標値として取得する。
(式1)
Q1=G×Δhc=f(Pd,Ps,Ts,N)×(hcin−hcout)
【0159】
なお、ここで、Gは冷媒回路10の冷媒循環量、Δhcは熱源側熱交換器23の入口側エンタルピーhcinと熱源側熱交換器23の出口側エンタルピーhcoutとの差を意味する。なお、入口側エンタルピーhcinは、冷媒の特性と熱源側熱交換器23の入口側の温度及び圧力とに基づいて算出される。出口側エンタルピーhcoutは、冷媒の特性と熱源側熱交換器23の出口側の温度及び圧力とに基づいて算出される。関数f(Pd,Ps,Ts,N)は、圧縮機21の特性等に基づく式であって、吐出圧力Pd、吸入圧力Ps、吸入温度Ts及びモータ21aの回転数Nを変数として冷媒循環量Gを算出するための式である。
【0160】
そして、判定処理部640は、取得した判定指標値としての第1熱交換温度差及び第1熱交換量Q1に基づき、空調装置100の熱源側の目詰まりに関する性能を判定する。判定処理部640は、第1熱交換温度差から見て第1熱交換量Q1が小さい場合には、熱源側熱交換器23において目詰まりが発生していると判断する。例えば、判定処理部640は、第1熱交換量Q1が第1熱交換温度差の値に対して定められた基準より小さい場合、熱源側熱交換器23において目詰まりが発生していると判断する。
【0161】
利用側の目詰まりに関する性能判定の際には、判定処理部640は、第3運転が行われて、空調装置100が所定の運転状態になると、第2熱交換温度差と、第2熱交換量Q2と、を判定指標値として取得する。例えば、判定処理部640は、第3運転が行われて、空調装置100の各状態量の値がそれぞれ概ね一定値になると、第2熱交換温度差と、第2熱交換量Q2と、を判定指標値として取得する。例えば、判定処理部640は、空調装置100が所定の運転状態になると、吐出圧力センサ30の計測値(吐出圧力Pd)、吸入圧力センサ31の計測値(吸入圧力Ps)、吸入温度センサ32の計測値(吸入温度Ts)、液側温度センサ54の計測値、ガス側温度センサ55の計測値、及び圧縮機21のモータ21aの回転数Nを情報として取得する。そして、判定処理部640は、室内温度から蒸発温度(例えば吸入圧力Psから算出される蒸発温度Te)を差し引いて得られる第2熱交換温度差を判定指標値として取得する。なお、室内温度には、サーモスタットから室内温度情報が送信されてくる場合には、送信されてくる室内温度情報が利用される。また、室内温度は、予め定められた所定値で代用されてもよい。また、室内温度は、空調装置100に設けられた図示しない室内温度センサにより計測されてもよい。また、判定処理部640は、以下の式で算出される第2熱交換量Q2を判定指標値として取得する。
(式2)
Q2=G×Δhe=f(Pd,Ps,Ts,N)×(heout−hein)
【0162】
なお、ここで、Gは冷媒回路10の冷媒循環量、Δheは利用側熱交換器52の出口側エンタルピーheoutと利用側熱交換器52の入口側エンタルピーheinとの差を意味する。なお、出口側エンタルピーheoutは、冷媒の特性と利用側熱交換器52の出口側の温度及び圧力とに基づいて算出される。入口側エンタルピーheinは、冷媒の特性と利用側熱交換器52の入口側の温度及び圧力とに基づいて算出される。関数f(Pd,Ps,Ts,N)は、圧縮機21の特性等に基づく式であって、吐出圧力Pd、吸入圧力Ps、吸入温度Ts及びモータ21aの回転数Nを変数として冷媒循環量Gを算出するための式である。
【0163】
そして、判定処理部640は、取得した判定指標値としての第2熱交換温度差及び第2熱交換量Q2に基づき、空調装置100の利用側の目詰まりを判定する。判定処理部640は、第2熱交換温度差から見て第2熱交換量Q2が小さい場合には、利用側熱交換器52及び/又は利用ユニット50に設けられるエアフィルタにおいて目詰まりが発生していると判断する。例えば、判定処理部640は、第2熱交換量Q2が第2熱交換温度差の値に対して定められた基準より小さい場合、利用側熱交換器52及び/又は利用ユニット50に設けられるエアフィルタにおいて目詰まりが発生していると判断する。
【0164】
なお、判定処理部640は、熱源側の目詰まりに関する性能判定及び利用側の目詰まりに関する性能判定の初回の性能判定時、言い換えれば初期性能の判定時には、基準としてのデフォルトの基準値を用いる。判定処理部640は、2回目以降の性能判定時には、基準として初回の性能判定時に得られた値を用いてもよい。また、判定処理部640は、2回目以降の性能判定時にも、基準としてデフォルトの基準値を用いてもよい。
【0165】
判定処理部640は、熱源側又は利用側で目詰まりが発生していると判定した場合、その旨を空調装置100のユーザや空調装置100の設置作業者やメンテナンス作業者等に報知することが好ましい。例えば、判定処理部640は、図示しないディスプレイに熱源側又は利用側における目詰まりの発生を報知する情報を表示させることが好ましい。また、判定処理部640は、空調装置100の設置作業者やメンテナンス作業者等が保持する携帯端末等に熱源側又は利用側における目詰まりの発生を報知してもよい。
【0166】
(c)故障に関する性能判定
空調装置100の故障に関する性能判定の例について説明する。なお、ここでの空調装置100の故障とは、空調装置100の能力が、空調装置100が発揮すべき能力に対して著しく不足している状態を意味する。
【0167】
空調装置100の故障の判定の際に行われる空調装置100の判定処理用運転の際に、空調制御部630が実行する空調装置100の各種機器の動作の制御内容は、通常の冷房運転又は暖房運転時と同様である。ここでは、判定処理用運転が、通常の冷房運転と同様である場合を例に説明する。
【0168】
判定処理部640は、空調装置100の判定処理用運転の開始から基準時間が経過した後に、室内温度を判定指標値として取得する。室内温度には、通信部620が受信するサーモスタット900B,900Cから送信してくる室内温度情報が利用される。または、室内温度には、空調装置100に設けられた図示しない室内温度センサにより計測されてもよい。なお、接続部610に接続されるサーモスタットが、サーモスタット900Aのように室内温度情報を送信しない種類であって、コントローラ60が室内温度を取得する手段を持たない場合には、判定処理部640は、ここに記載する故障に関する性能判定を実施しなくてもよい。
【0169】
判定処理部640は、判定指標値としての室内温度に基づき、空調装置100の故障を判定する。例えば、判定部212は、室内温度が所定の基準(基準温度)まで下がっていない場合、空調装置100は故障していると判断する。
【0170】
判定処理部640は、空調装置100が故障していると判定した場合、その旨を空調装置100のユーザや空調装置100の設置作業者やメンテナンス作業者等に報知することが好ましい。例えば、判定処理部640は、図示しないディスプレイに故障を報知する情報を表示させることが好ましい。また、判定処理部640は、空調装置100の設置作業者やメンテナンス作業者等が保持する携帯端末等に故障を報知してもよい。
【0171】
(3−6−2)判定処理時と非判定処理時とでサーモスタットからの情報の取り扱いが変更される例
空調システム300が、性能判定処理が行われる判定処理時と、性能判定処理が行われない非判定処理時とで、通信部620がサーモスタット900A,900B,900Cから受信した情報の利用方法を変更する例について説明する。
【0172】
なお、性能判定処理が行われる判定処理時とは、性能判定処理の実施条件が成立してから、性能判定が終了するまでの期間を意味する。言い換えれば、性能判定処理が行われる判定処理時とは、性能判定処理の実施条件成立フラグが立てられてから、性能判定処理の実施条件成立フラグが解除されるまでの期間を意味する。性能判定処理が行われない非判定処理時とは、判定処理時以外の期間を意味する。
【0173】
例えば、空調システム300は、性能判定処理が行われる判定処理時と、性能判定処理が行われない非判定処理時とで、通信部620がサーモスタット900A,900B,900Cから受信した情報の一例としての運転指令の利用方法を以下のように変更する。
【0174】
空調装置100は、通信部620がサーモスタット900A,900B,900Cから受信した情報が運転指令である場合、通常運転を開始する。言い換えれば、通信部620がサーモスタット900A,900B,900Cから受信した情報が、冷房運転の実行を指示する運転指令であれば、通常の冷房運転を開始する。また、通信部620がサーモスタット900A,900B,900Cから受信した情報が、暖房運転の実行を指示する運転指令であれば、通常の暖房運転を開始する。しかし、判定処理時には、通信部620がサーモスタット900A,900B,900Cから受信した情報が運転指令であったとしても、空調装置100は、判定処理用運転を行う。
図8のフローチャートを参照しながら更に説明する。
【0175】
空調装置100の空調制御部630は、通信部620が運転指令を受信した時に、空調装置100の各種機器に判定処理用運転時の動作を実行させているか否かを判断する(ステップS1)。言い換えれば、空調制御部630は、通信部620が運転指令を受信した時に、現在、空調装置100の運転モードが判定処理用運転モードであるか否かを判断する。
【0176】
空調装置100の運転モードが判定処理用運転モードであれば、空調制御部630は、性能判定が終了するまで判定処理用運転をそのまま継続する(ステップS2)。なお、図示は省略しているが、空調制御部630は、判定処理部640による性能判定が終了すると、サーモスタット900A,900B,900Cからの運転指令に応じて、空調装置100の通常運転を開始する。
【0177】
一方、空調装置100の運転モードが判定処理用運転モードで無ければ、空調制御部630は、現在が判定処理時であるか否かを判断する(ステップS3)。言い換えれば、空調制御部630は、現在、性能判定処理の実施条件成立フラグが立てられているか否かを判断する。
【0178】
判定処理時である場合には、空調制御部630は、所定のタイミングで、空調装置100の運転モードを処理用運転モードに設定して、判定処理用運転を開始する(ステップS4)。なお、図示は省略しているが、空調制御部630は、ステップS4の実行後、判定処理部640による性能判定が終了すると、サーモスタット900A,900B,900Cからの運転指令に応じて、空調装置100の通常運転を開始する。
【0179】
一方、ステップS3で判定処理時と判断されなければ、言い換えれば、ステップS3で非判定処理時と判断されれば、空調制御部630は、空調装置100の通常運転を開始する(ステップS5)。
【0180】
このように構成されることで、空調装置100の性能判定の実行の、サーモスタット900A,900B,900Cから送信されてくる情報(運転指令)による阻害が抑制される。
【0181】
また、例えば、空調システム300は、性能判定処理が行われる判定処理時と、性能判定処理が行われない非判定処理時とで、通信部620がサーモスタット900A,900B,900Cから受信した情報の一例としての停止指令の利用方法を以下のように変更する。
【0182】
空調装置100は、通信部620がサーモスタット900A,900B,900Cから受信した情報が停止指令である場合、通常運転を停止する。言い換えれば、通信部620がサーモスタット900A,900B,900Cから受信した情報が、冷房運転の停止を指示する停止指令であれば、冷房運転を停止する。また、通信部620がサーモスタット900A,900B,900Cから受信した情報が、暖房運転の停止を指示する停止指令であれば、暖房運転を停止する。空調装置100は、通信部620がサーモスタット900A,900B,900Cから受信した情報が停止指令である場合、空調装置100は冷凍サイクル運転を停止する。冷凍サイクル運転とは、圧縮機21を運転させて、冷媒回路10において冷媒を循環させる運転である。
【0183】
しかし、判定処理時には、通信部620がサーモスタット900A,900B,900Cから受信した情報が停止指令であったとしても、空調装置100は、判定処理用運転を行う。判定処理用運転は、圧縮機21を運転させて、冷媒回路10において冷媒を循環させる運転である。言い換えれば、判定処理時には、通信部620がサーモスタット900A,900B,900Cから受信した情報が停止指令であったとしても、空調装置100は、冷凍サイクル運転を停止しない。
図9のフローチャートを参照しながら更に説明する。
【0184】
空調装置100の空調制御部630は、通信部620が停止指令を受信した時に、空調装置100の各種機器に判定処理用運転時の動作を実行させているか否かを判断する(ステップS11)。言い換えれば、空調制御部630は、通信部620が停止指令を受信した時に、現在、空調装置100の運転モードが判定処理用運転モードであるか否かを判断する。
【0185】
空調装置100の運転モードが判定処理用運転モードであれば、空調制御部630は、性能判定が終了するまで判定処理用運転をそのまま継続する(ステップS12)。なお、図示は省略しているが、空調制御部630は、判定処理部640による性能判定が終了すると、空調装置100の運転を停止する。言い換えれば、空調制御部630は、判定処理部640による性能判定が終了すると、空調装置100の冷凍サイクル運転を停止する。
【0186】
一方、空調装置100の運転モードが判定処理用運転モードで無ければ、空調制御部630は、現在が判定処理時であるか否かを判断する(ステップS13)。言い換えれば、空調制御部630は、現在、性能判定処理の実施条件成立フラグが立てられているか否かを判断する。
【0187】
判定処理時である場合には、空調制御部630は、所定のタイミングで、空調装置100の運転モードを処理用運転モードに設定して、判定処理用運転を開始する(ステップS14)。例えば、空調制御部630は、空調装置100が通常運転中である場合には、空調装置100の通常運転を停止し、空調装置100の運転モードを処理用運転モードに設定して判定処理用運転を開始する。なお、図示は省略しているが、空調制御部630は、ステップS14の実行後、判定処理部640による性能判定処理が終了すると、空調装置100の運転を停止する。言い換えれば、空調制御部630は、判定処理部640による性能判定が終了すると、空調装置100の冷凍サイクル運転を停止する。
【0188】
一方、ステップS13で判定処理時と判断されなければ、言い換えれば、ステップS13で非判定処理時と判断されれば、空調制御部630は、空調装置100の通常運転を停止する(ステップS15)。
【0189】
このように構成されることで、空調装置100の性能判定の実行の、サーモスタット900A,900B,900Cから送信されてくる情報(停止指令)による阻害が抑制される。
【0190】
(3−6−3)空調システムに接続されるサーモスタットの種類の違いに応じて性能判定処理が異なる例
次に、空調システム300に接続されるサーモスタット900A,900B,900Cの種類の違いに応じて性能判定処理が異なる例について説明する。なお、ここでの性能判定処理には、性能判定の実施条件が成立してから、性能判定が終了するまでの間に判定処理部640が行う処理の全てを含む。言い換えれば、性能判定処理には、判定処理時に判定処理部640が行う処理、及び、判定処理部640が空調制御部630に実行させる空調装置100の動作の全体を含む。
【0191】
判定処理部640は、接続部610に、第1サーモスタット900Aが接続されている時と、第2サーモスタット900Bが接続されている時と、第3サーモスタット900Cが接続されている時とで、それぞれ異なる性能判定処理を行う。なお、ここで、性能判定処理が互いに異なるとは、判定処理用運転の開始前の空調装置100の準備運転の実行の有無、空調装置100の準備運転の内容、判定処理用運転の開始条件、性能判定処理の処理フロー、及び性能判定処理による判定対象項目の少なくとも1つが異なることを意味する。なお、判定処理用運転の開始前の空調装置100の準備運転とは、判定処理部640が、空調制御部630に、判定処理用運転とは別に実行を指示する、判定処理用運転前に実行される判定処理用運転とは運転条件の異なる運転を意味する。
【0192】
接続部610に、サーモスタット900Aが接続されている時と、サーモスタット900Bが接続されている時と、サーモスタット900Cが接続されている時とのそれぞれについて、判定処理部640の一連の性能判定処理を説明する。なお、以下で説明する処理フローは一例であって、処理フローを限定するものではない。例えば、以下で説明する処理フローにおいて、矛盾のない範囲で、ステップの順番は適宜変更されてもよく、複数のステップが同時に実行されてもよい。
【0193】
(a)第1サーモスタットが接続されている場合
接続部610に第1サーモスタット900Aが接続されている場合の、判定処理部640による一連の性能判定処理について、
図10のフローチャートを参照して説明する。
【0194】
なお、第1サーモスタット900Aは、室内温度情報を送信しない。そのため、空調装置100に室内温度センサが設けられていない場合、判定処理部640は、上記の方法による故障に関する性能の判定をしなくてもよい。
【0195】
判定処理部640は、例えば空調装置100の図示しないリモコン等の操作装置から空調装置100の性能判定の実行が指示された場合や、例えば空調装置100の前回の性能判定から所定期間が経過した時に、性能判定処理の実施条件が成立したと判定する。そして、判定処理部640は、一連の性能判定処理を開始する。
【0196】
接続部610に第1サーモスタット900Aが接続されている場合、判定処理部640は、性能判定処理の実施条件が成立したと判定すると、直ちに、性能判定の対象に応じた判定処理用運転を開始するように空調制御部630に指示する(ステップS21)。
【0197】
そして、判定処理部640は、判定処理用運転の開始後の所定のタイミングで、性能判定の対象に応じた判定指標値を取得する(ステップS22)。
【0198】
そして、判定処理部640は、判定指標値と基準とを比較して性能判定を行う(ステップS23)。
【0199】
(b)第2サーモスタットが接続されている場合
(b−1)第1実施例
接続部610に第2サーモスタット900Bが接続されている場合の、判定処理部640による一連の性能判定処理の第1実施例について、
図11のフローチャートを参照して説明する。
【0200】
判定処理部640は、例えば空調装置100の図示しないリモコン等の操作装置から空調装置100の性能判定の実行が指示された場合や、例えば空調装置100の前回の性能判定から所定期間が経過した時に、性能判定処理の実施条件が成立したと判定する。そして、判定処理部640は、一連の性能判定処理を開始する。
【0201】
空調装置100のある性能判定項目について、初めて性能の判定が行われる時(初期判定時)には、ステップS32へと進む。なお、ある性能判定項目についての空調装置100の性能の初期判定時には、コントローラ600の図示しない記憶部には、初期判定時の外気温度(初期判定時外気温度)、室内温度(初期判定時室内温度)、及び室内湿度(初期判定時室内湿度)、圧縮機21のモータ21aの回転数(容量可変の圧縮機である場合)、利用側ファン53のモータ53aの回転数から導出される風量等が記憶される。
【0202】
空調装置100のある性能判定項目について2回目以降の性能の判定が行われる時には、判定処理部640は、性能判定処理の実施条件が成立したと判定すると、外気温度に関し、空調装置100の判定処理用運転の開始条件が成立したか否かを判断する(ステップS31)。具体的には、判定処理部640は、第2サーモスタット900Bから送信されてくる外気温度から初期判定時外気温度を差し引いた値の絶対値が、所定値α(α>0)より小さいかを判断する(ステップS31)。そして、判定処理部640は、外気温度から初期判定時外気温度を差し引いた値の絶対値が所定値αより小さい場合には、外気温度に関し空調装置100の判定処理用運転の開始条件が成立したと判断しステップS32へ進む。ステップS31の判断は、外気温度から初期判定時外気温度を差し引いた値の絶対値が所定値αより小さいと判断されるまで繰り返し行われる。この処理により、2回目以降の性能判定時の外気温度条件を、初期判定時の外気温度条件と概ね同条件とすることができる。
【0203】
ステップS32では、判定処理部640は、人の在不在に関し、空調装置100の判定処理用運転の開始条件が成立したか否かを判断する。具体的には、判定処理部640は、第2サーモスタット900Bから送信されてくる在室情報から空調対象空間Rに人がいないことを判断する。そして、判定処理部640は、空調対象空間Rに人がいないと判断した場合には、人の在不在に関し空調装置100の判定処理用運転の開始条件が成立したと判断しステップS33へ進む。空調対象空間Rに人がいると判断された場合にはステップS31に戻る。この処理により、判定処理用運転による影響で室内環境が変化することで生じる空調対象空間Rにいる人の不快感が抑制される。
【0204】
ステップS33では、判定処理部640は、性能判定の対象に応じた判定処理用運転を開始するように空調制御部630に指示する。
【0205】
そして、判定処理部640は、判定処理用運転の開始後の所定のタイミングで、性能判定の対象に応じた判定指標値を取得する(ステップS34)。
【0206】
その後、空調装置100の性能判定項目が、上記の冷媒量に関する性能判定、熱源側の目詰まりに関する性能判定、及び故障に関する性能判定である場合には、ステップS36に進む。また、空調装置100の性能判定項目が、上記の利用側の目詰まりに関する性能判定であって、初めて性能の判定が行われる時(初期判定時)には、ステップS36へと進む。
【0207】
一方、空調装置100の性能判定項目が利用側の目詰まりに関する性能判定であって、2回目以降の性能の判定が行われる時には、ステップS35へと進む。
【0208】
ステップS35では、判定処理部640は、第2サーモスタット900Bから送信されてくる室内温度情報及び室内湿度情報に基づいて、性能判定に用いられる基準が補正される。具体的には、判定処理部640は、以下のような処理を行う。
【0209】
判定処理部640は、第2サーモスタット900Bから送信されてくる室内温度情報及び室内湿度情報に基づいて、判定処理用運転時の空調対象空間R内の湿球温度(第1湿球温度)を算出する。また、判定処理部640は、コントローラ600の図示しない記憶部に記憶されている利用側の目詰まりに関する初期判定時の室内温度及び室内湿度に基づいて、初期判定時の空調対象空間R内の湿球温度(第2湿球温度)を算出する。そして、判定処理部640は、第1湿球温度と第2湿球温度との差、初期判定時のモータ21aの回転数から求められる冷媒回路10の冷媒循環量、モータ53aの回転数から求められる利用側ファン53の風量等をパラメータとする計算式から、初期判定時における蒸発温度Teに対して補正を行う。そして、判定処理部640は、この蒸発温度Teを用いて算出した基準を、ステップS36で利用側の目詰まりに関する性能判定に利用する。
【0210】
なお、ここでは、第2サーモスタット900Bが室内温度情報及び室内湿度情報を送信する種類のサーモスタットである。しかし、仮に第2サーモスタット900Bが室内湿度情報を送信しない種類のサーモスタットである場合には、判定処理部640は、室内湿度を所定値(例えば50%)と想定して上記と同様の処理を行う。
【0211】
ステップS36では、判定処理部640は、ステップS34で取得した判定指標値と基準とを利用して性能判定を行う。
【0212】
なお、ここでは、第2サーモスタット900Bは、室内温度情報、室内湿度情報、外気温度情報、及び在室情報を送信するサーモスタットである場合を例に説明している。第2サーモスタット900Bがいずれかの情報を送信しないサーモスタットである場合には、その情報に関する処理ステップが省略されればよい。
【0213】
(b−2)第2実施例
接続部610に第2サーモスタット900Bが接続されている場合の、判定処理部640による一連の性能判定処理の第2実施例について、
図12のフローチャートを参照して説明する。
【0214】
判定処理部640は、例えば空調装置100の図示しないリモコン等の操作装置から空調装置100の性能判定の実行が指示された場合や、例えば空調装置100の前回の性能判定から所定期間が経過した時に、性能判定処理の実施条件が成立したと判定する。そして、判定処理部640は、一連の性能判定処理を開始する。
【0215】
ステップS31及びステップS32における処理は、
図11におけるステップS31及びステップS32における処理と同様であるので説明は省略する。
【0216】
本実施例では、ステップS32で空調対象空間Rに人がいると判断された場合であって、判定処理部640が空調装置100のある性能判定項目について、初めて性能の判定を行う時(初期判定時)には、処理フローはステップS33へと進む。
【0217】
一方、本実施例では、ステップS32で空調対象空間Rに人がいると判断された場合であって、判定処理部640が空調装置100のある性能判定項目について、2回目以降の性能の判定を行う時には、処理フローはステップS321へと進む。
【0218】
ステップS321では、判定処理部640は、準備運転を開始するように空調制御部630に指示をする。ここでの準備運転は、空調対象空間Rの温度及び湿度を、目標温度及び目標湿度に近付ける空調装置100の運転である。なお、ここでの目標温度及び目標湿度は、コントローラ60の記憶部に記憶されている同じ性能判定項目について初めて性能の判定が行われた時(初期判定時)の室内温度及び室内湿度である。
【0219】
ステップS322では、判定処理部640は、第2サーモスタット900Bが送信してくる室内温度情報に基づき、室内温度が目標温度範囲であるかを判断する。言い換えれば、判定処理部640は、第2サーモスタット900Bが送信してくる室内温度情報に基づき、室内温度が目標温度に対して所定の数値範囲内にあるかを判断する。ステップS322は室内温度が目標温度範囲であると判断されるまで繰り返される。判定処理部640が、室内温度が目標温度範囲であるかと判断すると、ステップS323に進む。
【0220】
ステップS323では、判定処理部640は、第2サーモスタット900Bが送信してくる室内湿度情報に基づき、室内湿度が目標湿度範囲であるかを判断する。言い換えれば、判定処理部640は、第2サーモスタット900Bが送信してくる室内湿度情報に基づき、室内湿度が目標湿度に対して所定の数値範囲内にあるかを判断する。ステップS322は室内湿度が目標湿度範囲であると判断されるまで繰り返される。判定処理部640が、室内湿度が目標湿度範囲であるかと判断すると、ステップS33に進む。
【0221】
ここでは、ステップS321〜ステップS323のように準備運転が行われることで、空調対象空間Rの環境が初期判定時と同等の条件に調節される。したがって、ここでは、第2サーモスタット900Bが送信してくる室内温度情報及び室内湿度情報に基づいて、空調装置100の性能判定を行うことができる。
【0222】
ステップS33では、判定処理部640は、性能判定の対象に応じた判定処理用運転を開始するように空調制御部630に指示する。
【0223】
そして、判定処理部640は、判定処理用運転の開始後の所定のタイミングで、性能判定の対象に応じた判定指標値を取得する(ステップS34)。その後、ステップS36に進む。
【0224】
ステップS36では、判定処理部640は、ステップS34で取得した判定指標値と基準とを利用して性能判定を行う。
【0225】
なお、ここでは、第2サーモスタット900Bは、室内温度情報、室内湿度情報、外気温度情報、及び在室情報を送信するサーモスタットである場合を例に説明している。第2サーモスタット900Bがいずれかの情報を送信しないサーモスタットである場合には、その情報に関する処理ステップが省略されればよい。
【0226】
(c)第3サーモスタットが接続されている場合
接続部610に第3サーモスタット900Cが接続されている場合の、判定処理部640による一連の性能判定処理の例について、
図13のフローチャートを参照して説明する。なお、
図13のフローチャートは、
図11のフローチャートと概ね同様である。ただし、
図13のフローチャートは、ステップS32とステップS33との間にステップS32Aが存在する点で、
図11のフローチャートと相違する。ここでは、
図11のフローチャートとの相違点についてのみ説明する。
【0227】
ステップS32Aは、ステップS32でYesと判断された後に実行される。判定処理部640は、第3サーモスタット900Cが送信してくる他機器運転情報(第1機器200の運転状態に関する情報)に基づいて、第1機器200が運転中であるか否かを判断する。判定処理部640が、第1機器200が運転中であると判断した場合、処理はステップS31に戻る。判定処理部640が、第1機器200が運転中でないと判断した場合には、処理はステップS33に進む。
【0228】
このようなステップS32Aが性能判定処理に含まれることで、第1機器200の運転が生成する空調対象空間Rの環境が損なわれることが抑制される。
【0229】
(5)特徴
(5−1)
上記実施形態に係る空調システム300は、冷凍サイクル装置の一例である空調装置100と、接続部610と、通信部620と、判定処理部640と、を備える。空調装置100は、空調対象空間Rの空調を行う。接続部610は、複数種類のサーモスタット900A,900B,900Cと接続可能である。通信部620は、接続部610に接続されているサーモスタット900A,900B,900Cとの通信を行う。判定処理部640は、空調装置100の性能判定処理を行う。
【0230】
判定処理部640は、接続部610に第1の種類のサーモスタットが接続されている時と、第1の種類のサーモスタットとは別の第2の種類のサーモスタットが接続されている時とで、異なる性能判定処理を行う。例えば、判定処理部640は、接続部610に第1サーモスタット900Aが接続されている時と、第2サーモスタット900B又は第3サーモスタット900Cが接続されている時とで、異なる性能判定処理を行う。また、判定処理部640は、接続部610に第2サーモスタット900Bが接続されている時と、第3サーモスタット900Cが接続されている時とで、異なる性能判定処理を行う。
【0231】
また、空調装置100は、性能判定処理が行われる判定処理時と、性能判定処理が行われない非判定処理時とで、通信部620がサーモスタット900A,900B,900Cから受信した情報の利用方法を変更する。言い換えれば、空調装置100は、性能判定処理が行われる判定処理時と、性能判定処理が行われない非判定処理時とで、通信部620がサーモスタット900A,900B,900Cから受信した情報の取り扱いを変更する。
【0232】
本実施形態に係る空調システム300では、接続されるサーモスタット900A,900B,900Cが送信する情報によらず、適切な空調装置100の性能判定処理を行うことができる。
【0233】
(5−2)
上記実施形態に係る空調システム300では、第2サーモスタット900Bは、第1サーモスタット900Aと、通信部620に対する、空調対象空間Rの温度情報の送信の有無、空調対象空間Rの湿度情報の送信の有無、及び空調装置100の熱源空気の温度情報の送信の有無、の少なくとも1つが異なる。本実施形態では、第2サーモスタット900Bは、第1サーモスタット900Aと、通信部620に対する、空調対象空間Rの温度情報の送信の有無、空調対象空間Rの湿度情報の送信の有無、及び空調装置100の熱源空気の温度情報の送信の有無、の全てが異なる。
【0234】
本実施形態に係る空調システム300では、接続されるサーモスタット900A,900Bが送信する情報に応じて適切な性能判定処理を行うことができる。
【0235】
(5−3)
上記実施形態に係る空調システム300では、第3サーモスタット900Cは、第2サーモスタット900Bと、通信部620に対する、空調対象空間Rと同じ空間の空調を行う、空調装置100とは別の空調機器の一例である第1機器200の運転状態に関する情報の送信の有無が異なる。
【0236】
上記実施形態に係る空調システム300では、空調システム300に接続されるサーモスタット900B,900Cが、サーモスタット900B,900Cに接続された第1機器200の運転状態を送信するかに応じて適切な性能判定処理を行うことができる。
【0237】
(5−4)
上記実施形態に係る空調システム300では、第2サーモスタット900Bは、第1サーモスタット900Aと、通信部620に対する、空調対象空間Rにおける人の存在に関する情報の送信の有無が異なる。
【0238】
上記実施形態に係る空調システム300では、接続されるサーモスタット900A,900Bが、空調対象空間Rにおける人の存在を送信するかに応じて適切な性能判定処理を行うことができる。
【0239】
(5−5)
上記実施形態に係る空調システム300では、判定処理部640は、接続部610に第1の種類のサーモスタットが接続されている時と、第2の種類のサーモスタットが接続されている時とで、異なる性能判定処理を行う。ある性能判定処理と他の性能判定処理とが異なるとは、準備運転の実行の有無、準備運転の内容、判定処理用運転の開始条件、性能判定処理の処理フロー、及び性能判定処理による判定対象項目の少なくとも1つが変更されていることを意味する。
【0240】
上記実施形態に係る空調システム300では、接続されるサーモスタット900A,900B,900Cの種類に応じて、性能判定処理が変更されるので、サーモスタット900A,900B,900Cの種類に合わせた適切な性能判定を行うことができる。
【0241】
(5−6)
上記実施形態に係る空調システム300では、空調装置100は、通信部620が空調装置100の冷凍サイクル停止指令の一例である停止指令を受信した時に、非判定処理時には冷凍サイクル運転を停止する。空調装置100は、通信部620が空調装置100の停止指令を受信した時に、判定処理時には冷凍サイクル運転を停止しない判定処理用運転を行う。判定処理用運転は、性能判定処理のための空調装置100の運転である。
【0242】
上記実施形態に係る空調システム300では、サーモスタット900A,900B,900Cの信号に阻害されることなく、性能判定処理を実行できる。
【0243】
<変形例>
上記実施形態の変形例について説明する。なお、以下の変形例は、互いに矛盾しない範囲で適宜組み合わされてもよい。
【0244】
(1)変形例A
上記実施形態では、コントローラ60は、第1機器200の運転状態に関する情報を受信し、判定処理部640は、第1機器200が運転中であれば空調装置100の性能評価を行わない。他の形態では、コントローラ60は、サーモスタットを介して第1機器200に対して運転指示や停止指示を送信できるように構成されていてもよい。
【0245】
そして、例えば、以下の条件が成り立つ場合には、コントローラ60は、空調装置100の性能判定を行う際に、サーモスタットを介して第1機器200に対して運転指示を送信してもよい。
1)第1機器200を運転しても空調装置100の性能判定に悪影響を与えることがなく、かつ、第1機器200を運転することで空調対象空間Rの環境を、空調対象空間Rの利用者にとって快適な状態に近付けることができる場合。
2)第1機器200を運転することで、空調対象空間Rの環境を、空調装置100の性能判定に有利な条件にすることができる場合。
【0246】
(2)変形例B
上記実施形態では、空調装置100は熱源として空気を利用するが、冷凍サイクル装置は、熱源として冷却水や温水を利用する空調装置であってもよい。また、冷凍サイクル装置は、冷凍サイクル運転により冷水や温水を製造してラジエータへと送り、ラジエータを利用して空調を行う装置であってもよい。
【0247】
<付記>
以上、本開示の実施形態を説明したが、特許請求の範囲に記載された本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。