(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。また、「〜」はとくに断りがなければ、以上から以下を表す。
【0014】
本実施形態に係るハーネスプロテクタは、
山部及び谷部が連なるコルゲートチューブを外周に備えるワイヤハーネスに装着して用いられ、
前記ワイヤハーネスの出入口である電線引出口を備え、
前記電線引出口の内周面からは、凸部と、ストッパとが突出し、
前記凸部は、前記谷部に嵌合し、
前記ストッパの突出端面における幅寸法が、前記谷部の幅寸法よりも大き
く、
前記ストッパの突出寸法は、前記コルゲートチューブの内周面を越えて内周側に突出しない寸法である。
【0015】
また、本実施形態に係るハーネスプロテクタは、
山部及び谷部が連なるコルゲートチューブを外周に備えるワイヤハーネスに装着して用いられ、
前記ワイヤハーネスの出入口である電線引出口を備え、
前記電線引出口の内周面からは、凸部と、ストッパとが突出し、
前記凸部は、前記谷部に嵌合し、
前記ストッパの根元における幅寸法が、前記谷部の幅寸法よりも大き
く、
前記ストッパの突出寸法は、前記コルゲートチューブの内周面を越えて内周側に突出しない寸法である。
【0016】
<ハーネスプロテクタ10の用途>
本実施形態に係る車載部品は、ワイヤハーネスの動きを制限し、保護するために用いられるハーネスプロテクタである。これにより、本実施形態に係る車載部品は、配置される空間の確保が難しいワイヤハーネス、または、周辺部品との干渉を避ける必要のあるワイヤハーネスについて、ワイヤハーネスの摩耗を抑制できる観点で好ましい。
本実施形態に係る車載部品は、例えば、エンジン用のワイヤハーネスの動きを制限し、保護するために有効に用いられる。エンジン用のワイヤハーネスは、他の自動車用ワイヤハーネスと比べて、ワイヤハーネスの配置される空間の制限が大きく、また、エンジンからの振動が加わる。これにより、エンジン用のワイヤハーネスでは、他の自動車用ワイヤハーネスと比べて、ワイヤハーネスの摩耗が大きく、摩耗を抑制したいという要求がある。このようなエンジン用のワイヤハーネスに対して、本実施形態に係る車載部品をハーネスプロテクタとして用いることで、ワイヤハーネスの摩耗を好適に抑制できる観点で好ましい。
【0017】
<ハーネスプロテクタ10>
図1〜5には、本発明の一実施形態としての電線引出口を備えた車載部品であるハーネスプロテクタ10が、示されている。このハーネスプロテクタ10は、樋状に延びるプロテクタ本体12と、プロテクタ本体12の上方開口部14を覆蓋する蓋体16を備えて構成されている。なお、本実施形態において、樋とは、例えば、断面形状が半円弧、凹字、V字、逆台形で上面開口となっている溝、及び、溝の組み合わせを意図する。
かかるハーネスプロテクタ10は、プロテクタ本体12内にワイヤハーネス18を挿通状態で収容して用いられる。
なお、理解を容易とするため、
図4のみ、仮想線でワイヤハーネス18と、ワイヤハーネス18に外挿されているコルゲートチューブ20とを記載している。以下の説明において、上方とは、
図1〜2中の上方、下方とは、
図1〜2中の下方を言うものとする。
【0018】
<プロテクタ本体12>
図1,3に示されているように、プロテクタ本体12は、底壁22と、底壁22の両側から立ち上がる一対の側壁24,24とを含んで平面視で上下および左右方向に樋状に延びる構成とされている(
図3参照)。
プロテクタ本体12は、例えばポリプロピレン(PP)、ポリアミド(PA)といった合成樹脂により射出成形等によって一体形成されている。なお、プロテクタの位置、形状、用途に応じて、プロテクタ本体12に対して、プロテクタ本体12とは別体の部品を取り付けることは限定されない。
また、プロテクタ本体12の側壁24の外面の上方には、外方に向かって突出する平面視で略角括弧形状の係合枠体26が適所に設けられている。かかる係合枠体26が後述する蓋体16の適所に設けられた係合片68とそれぞれ係合することにより、プロテクタ本体12の上方開口部14が蓋体16により覆蓋された状態が安定して保持されるようになっている。なお、
図3には、係合枠体26は、全部で14個設けられているが、側壁24の長さ方向に離隔して、必要に応じてそれぞれ任意の数を設けてもよい。
【0019】
図1〜5に示されているように、ハーネスプロテクタ10には、外方に向かって開口する8箇所においてそれぞれ、コルゲートチューブ20が外挿された状態のワイヤハーネス18が引き出される中空筒体状の電線引出口28a〜hが形成されている。かかる電線引出口28a〜hは、プロテクタ本体12に設けられた樋形状の収容部30を有している。収容部30は、電線引出口28a〜hの軸方向に所定寸法に亘って形成されている。収容部30はいずれも電線引出口28a〜hの内周面を構成する底壁22と、底壁22の幅方向両側縁部から上方に突出する一対の側壁24,24を有して構成されている。そして、プロテクタ本体12における電線引出口28a〜hのうち、電線引出口28a,28bと電線引出口28e,28fと電線引出口28g,28hはいずれも、各電線引出口の軸方向に直交する軸直方向に隣接配置された側壁24同士が連結されて一体化されている。ここで、電線引出口28a〜hは大きさが異なるだけで基本的には同じ構造であることから、以下では、電線引出口28aを例にとってその詳細について説明を行うことにする。
なお、
図1〜5には、電線引出口28a〜hは、全部で8個設けられたプロテクタ本体12が記載されている。電線引出口は、配置、保護したいワイヤハーネスの数に応じて、任意の数を設けてもよい。
【0020】
<コルゲートチューブ20>
図4に示されているように、ワイヤハーネス18に外挿されているコルゲートチューブ20の先端面32が、プロテクタ本体12の電線引出口28aに固定されるようになっている。
ここで、コルゲートチューブ20は中空筒体構造とされている。コルゲートチューブ20の内部には、例えば、電線束がビニールテープ等の結束テープにより結束されて構成されているワイヤハーネス18が挿入されている。
また、コルゲートチューブ20は、環状に延びる山部34と谷部36が、軸方向(
図4中、上下方向)に交互に連接されてなる構造とされている。
【0021】
<凸部42a、42b>
図3〜4に示されているように、電線引出口28aの収容部30において、電線引出口28aの軸方向の先端側となる収容部30の軸方向先端側(
図3〜4中、下端側)では、内周面を構成する底壁22の底面38と一対の側壁24,24の内面40において、コルゲートチューブ20の谷部36に嵌合する凸部42a,42bが内方に向かって突設されている。より詳細には、電線引出口28aの軸直方向(
図3〜4中、左右方向)において、凸部42aは、底壁22の底面38と一対の側壁24,24の内面40の略全長に亘って略円弧状に延び出して形成されている。かかる凸部42aは、電線引出口28aの軸方向に離隔した2ヶ所において略同形状で設けられている。一方、凸部42bは、2ヶ所に形成された凸部42aの間に形成されており、底壁22の底面38における電線引出口28aの軸直方向(
図4中、左右方向)の略全長に亘って略円弧状に延び出して形成されている。かかる凸部42bも、電線引出口28aの軸方向に離隔した2ヶ所において略同形状で設けられている。このように、電線引出口28aの収容部30の軸方向先端側では、凸部42a,42bが、少なくとも底壁22の底面38に突設されている。さらに、電線引出口28aの軸方向において、2ヶ所に設けられた凸部42b,42bと略同じ位置には、一対の側壁24,24の内面40の上端部において、上方に向かって次第に軸直方向内方に突出する略三角断面形状の一対の抜止突起44,44が設けられている。そして、
図4に示されているように、コルゲートチューブ20の先端面32が電線引出口28aに固定される際には、電線引出口28aの内周面を形成する底壁22の底面38と、一対の側壁24,24の内面40に対してコルゲートチューブ20の山部34が載置されると共に、凸部42a,42bに対してコルゲートチューブ20の谷部36が嵌合されている。しかも、一対の抜止突起44,44がコルゲートチューブ20の外周面を構成する山部34を押圧して、コルゲートチューブ20の山部34が電線引出口28aの内周面となる底壁22の底面38と、一対の側壁24,24の内面40に載置された状態に保持されるようになっている。
【0022】
<ストッパ46>
電線引出口28aの軸方向における凸部42a,42bよりも内方側(
図3〜4中、上方側)には、内周面を構成する一対の側壁24,24の内面40から内方に向かって略角丸断面形状で突出すると共に、一対の側壁24,24の内面40の高さ方向の略全長に亘って延び出す一対のストッパ46,46が設けられている。すなわち、電線引出口28aの収容部30において、電線引出口28aの軸方向の基端側となる収容部30の軸方向基端側(
図3〜4中、上方側)には、一対の側壁24,24の内面40にストッパ46が突設されている一方、底壁22の底面38にはストッパ46は突設されていないのである。この結果、
図4に示されているように、コルゲートチューブ20の先端面32が電線引出口28aに固定される際には、コルゲートチューブ20の先端面32が、ストッパ46の先端面48に当接することによりコルゲートチューブ20の電線引出口28aの奥方(
図4中、上方)への入り込み量が制限されるようになっているのである。
【0023】
より詳細に、ストッパ46の形状について説明する。
図4に示されているように、内周面を構成する側壁24からのストッパ46の高さ寸法αが、電線引出口28aの内周面を構成する側壁24にコルゲートチューブ20の山部34が載置された状態における側壁24からのコルゲートチューブ20の内周面50の高さ寸法β以下に設定されている。すなわち、α≦βとされているのである。換言すれば、ストッパ46の高さ寸法αは、コルゲートチューブ20の谷部36の深さ寸法dと谷部36の底壁の厚さ寸法t(
図4参照)の合計値以下(α≦d+t)とされている。
【0024】
ストッパ46の突出端面52において電線引出口28aの軸方向における寸法となる幅寸法γ
1(
図4参照)は、例えば、コルゲートチューブ20の谷部36の開口端部における幅寸法Δよりも大きいことが好ましい。これにより、コルゲートチューブ20が、ストッパ46を超えてハーネスプロテクタ10の奥に侵入することを好適に抑制できる。
【0025】
ストッパ46の根元における幅寸法γ
2(
図4参照)は、例えば、コルゲートチューブ20の谷部36の幅寸法Δよりも大きいことが好ましい。
ストッパ46の根元における幅寸法γ
2の下限値は、例えば、コルゲートチューブ20の谷部36の幅寸法Δと比べて、1.5倍以上であることが好ましく、1.75倍以上であることがより好ましく、2.0倍以上であることが更に好ましく、2.25倍以上であることが一層好ましく、2.5倍以上であることが殊更好ましい。これにより、コルゲートチューブ20が、ストッパ46を超えてハーネスプロテクタ10の奥に侵入することを確実に抑制できる。
また、ストッパ46の根元における幅寸法γ
2の上限値は、例えば、コルゲートチューブ20の谷部36の幅寸法Δと比べて、5.0倍以下でもよく、4.0倍以下でもよい。
【0026】
ストッパ46の突出端面52において電線引出口28aの軸方向における両端縁部54,54は、例えば、面取り形状とされていることが好ましい。
ストッパ46の面取り形状としては、糸面取りやC面取りやR面取りなどの公知の任意の面取りが採用可能である。面取り形状としては、例えば、R面取りであることが好ましい。
また、ストッパ46の面取りの大きさの下限値としては、例えば、0.1mm以上であることが好ましく、0.2mm以上であることがより好ましく、0.3mm以上であることが更に好ましく、0.4mm以上であることが一層好ましく、0.5mm以上であることが殊更好ましい。また、ストッパ46の面取りの大きさの上限値としては、例えば、3.0mm以下でもよく、2.5mm以下でもよい。なお、面取りの大きさとは、面取りにより切り取られる角を構成する2辺における角からの長さのことであり、JIS規格に従う寸法表記において、C面取りを表す補助記号Cや、R面取りを表す補助記号Rの後に付された寸法数値に相当する。
上述のようにストッパ46の面取り形状、面取りの大きさを適切に設定することで、仮にワイヤハーネス18がストッパ46に接触したとしても、ワイヤハーネス18の摩耗が生じる不都合を抑制できる。
【0027】
<目視窓56>
目視窓56は、例えば、底壁22の底面38を貫通して設けられている。
図4に示されているように、電線引出口28aの収容部30の軸方向基端側(
図3〜4中、上方側)における底壁22の底面38には、平面視で略矩形断面形状の目視窓56が貫設されている。
本実施形態では、目視窓56において電線引出口28aの軸方向内方(
図4中、上方)に位置する側縁部58が、ストッパ46において電線引出口28aの軸方向外方(
図4中、下方)に位置する先端面48と略同じ軸方向(
図4中、上下方向)位置に形成されている。これにより、ハーネスプロテクタ10が組み付けられた状態において、目視窓56からコルゲートチューブ20の先端面32がストッパ46を越えて内方(
図4中、上方)に移動していないことが容易に確認できるのである。
【0028】
<取付部62a、62b>
図1〜3に示されているように、電線引出口28c,28dの側壁24の外面間と、電線引出口28aの基端側(
図3中、上側)における電線引出口28bから離隔する側壁24の外面には、例えば図示しないブラケット等に対して固定される平面視で略矩形平板状(
図3参照)の取付部62aが突設されている。かかる取付部62aと、取付部62aが突設された側壁24との間には、略三角形状(
図3参照)で両者を連結する連結部64が設けられている。これにより、取付部62aに荷重が加えられた場合でも、取付部62aと、プロテクタ本体12との接続を保持するために必要な強度が担保されている。
電線引出口28gの電線引出口28hから離隔する側壁24の外面には、例えば図示しないブラケット等の自動車部材に対して固定されるための平面視で略角括弧形状の取付部62bが突設されている(
図3参照)。
【0029】
<係合片68>
蓋体16は、
図1〜2に示されているように、平面視でプロテクタ本体12と略同一形状とされた平板状の天壁66を有している。かかる天壁66の側縁部には、下方に向かって突出する略矩形状の複数の係合片68が板厚方向に撓み変形可能に形成されている。かかる係合片68がプロテクタ本体12に設けられた係合枠体26と係合することにより、プロテクタ本体12の上方開口部14が蓋体16により覆蓋された状態が安定して保持されるようになっている。
なお、本実施形態では、係合片68は、上述の係合枠体26に対応して、14ヶ所に形成されている。係合片68、係合枠体26の個数は、プロテクタに挿入されるワイヤハーネスの本数、分岐に応じて、適切に設定できる。
【0030】
<蓋体16>
蓋体16はプロテクタ本体12と同じく、例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリアミド(PA)といった合成樹脂により射出成形等によって一体形成されている。また、蓋体16は、例えば、プロテクタ本体12とは別体成形とされている。
さらに、蓋体16は、
図1に示されているように、薄肉のヒンジ部72によって天壁66が6つに分割されかつヒンジ部72を介してヒンジ連結された構成を有している。
蓋体16が分割される数としては限定されず、例えば、2つ以上に分割されていることが好ましい。また、蓋体16をプロテクタ本体12に対して嵌める作業性を向上する観点から、分割された蓋体16それぞれに、4つ以下のヒンジ部72が備わるように分割されていることがより好ましい。なお、本実施形態において、分割とは、天壁66が折り曲げられる部分によって、天壁66の領域が分かれることを意図する。これにより、14ヶ所に形成されている係合枠体26と係合片68との係合を同時に行う必要がなく、ヒンジ部72によって分割された天壁66毎に行えばよいことから、良好な作業性を有している。
【0031】
<蓋体16の凸部76>
図5に示されているように、蓋体16の天壁66の下面74には、上述のプロテクタ本体12における電線引出口28a〜hに設けられた凸部42a,42bに対応する平面視で同じ位置において、凸部42a,42bと対応する方向に延びる凸部76が、天壁66の下面74から下方に向かって突設されている。これにより、プロテクタ本体12における電線引出口28a〜hの上方開口部14を蓋体16によって覆蓋することで、コルゲートチューブ20の端末の谷部36に対して、プロテクタ本体12の凸部42a,42bと蓋体16の凸部76を嵌合することができ、ハーネスプロテクタ10の電線引出口28aに対してコルゲートチューブ20を安定して収容保持できる。しかも、凸部42a,42b,76によってコルゲートチューブ20を電線引出口28a〜hにおいて上下左右から安定的に保持できる。なお、本実施形態では、電線引出口28aを例示して説明を行ったが、他の電線引出口28b〜hについても同様の構成とそれに伴う同様の効果が得られることは言うまでもない。
【0032】
<ハーネスプロテクタ10>
このような構造とされた本実施形態のハーネスプロテクタ10によれば、ストッパ46の側壁24からの高さ寸法αが、側壁24にコルゲートチューブ20の山部34が載置された状態におけるコルゲートチューブ20の内周面50の側壁24からの高さ寸法βを越えないように設定されている。これにより、ストッパ46の突出端面52がコルゲートチューブ20の内周面を越えて内周側に突出することがなく、コルゲートチューブ20の先端面32から奥方に延びるワイヤハーネス18に対してストッパ46が干渉することを防止して、ワイヤハーネス18の摩耗等を生じる不具合を有利に低減乃至は解消することができる。しかも、ストッパ46の突出端面52における両端縁部54,54が面取り形状とされていることから、ワイヤハーネス18とストッパ46が干渉して摩耗等を生じる不具合をさらに低減できる。
なお、本実施形態では、ストッパ46の突出端面52がコルゲートチューブ20の谷部36の幅寸法Δよりも大きな幅寸法γ
1を有していることから、両端縁部54,54に面取り形状を施しても、ストッパ46の突出端面52には広い平坦面を残すことができるようになっている。それゆえ、従来の如きストッパの突出端面における鋭利な角部の発生を有利に防止することができるのである。
【0033】
また、ストッパ46の突出端面52において、電線引出口28a〜hの軸方向における寸法となる幅寸法γ
1が、コルゲートチューブ20の谷部36の幅寸法Δよりも大きくされている。これにより、ストッパ46の側壁24からの高さ寸法αを従来構造よりも小さく抑えた場合であっても、ストッパ46の突出端面52がコルゲートチューブ20の谷部36に入り込むことができない。それゆえ、コルゲートチューブ20の電線引出口28a〜hへの入り込み量を確実に制限しつつ、ストッパ46とコルゲートチューブ20の干渉の問題を緩和乃至は解消することができる。さらに、電線引出口28a〜hの底壁22にはストッパ46が突設されていない。これにより、ワイヤハーネス18が主要な振動方向となる上下方向に振動した際に、ストッパ46に対してワイヤハーネス18が繰り返し当接して異音を発生したりワイヤハーネス18の摩耗を生じるという不具合も有利に解消することができる。
【0034】
加えて、電線引出口28a〜hの底壁22にはストッパ46が突設されていないことから、かかる底壁22を利用して優れた設計自由度で目視窓56を設けることができる。また、底壁22に設けられた目視窓56は、電線引出口28a〜hに浸入した水等を排水する排水溝としても機能することができる。しかも、底壁22にはストッパ46などが設けられていないことから、コルゲートチューブ20と底壁22との間に毛細管現象等により水滴がとどまるおそれも低減され、目視窓56からの速やかな排水が実現されるようになっている。
【0035】
<ハーネスアセンブリ>
本実施形態にかかるハーネスプロテクタは、例えば、ハーネスプロテクタと、ワイヤハーネスとを備えたハーネスアセンブリとして用いることができる。
ワイヤハーネスとしては限定されず、例えば、コネクタを備えるワイヤハーネスを用いる事ができる。コネクタを備えるワイヤハーネスを用いる場合、例えば、一部の電線引出口と、コネクタとが嵌合しても良い。この場合、本実施形態に係るハーネスプロテクタは、例えば、コネクタカバーとしての性能を発揮することができる。これにより、ワイヤハーネスの動きの制限と、摩耗の低減とを実現しつつ、コネクタの保護を省スペースで実現できる観点で好ましい。
【0036】
以上、本発明の複数の実施形態について詳述したが、本発明はこれらの具体的な記載によって限定されない。本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。例えば、電線引出口28a〜hの凸部42aの数は例示のものに限定されない。上記実施形態では、凸部42aは、底壁22の底面38と一対の側壁24,24の内面40に亘って設けられていたが、いずれかの面に設けられていればよく、好ましくは少なくとも底壁22の底面38に設けられていればよい。さらに、凸部42bについても、上記実施形態では底壁22の底面38において、電線引出口28a〜hの軸直方向の略全長に亘って形成されていたが、少なくとも一部に設けられていればよい。また、目視窓56はストッパ46の近傍に設けられていればよく、ストッパ46に対して電線引出口28a〜hの開口側にずれて設けられていてもよいし、電線引出口28a〜hの開口側とは反対の奥方側にずれて設けられていてもよい。
【0037】
以下、参考形態の例を付記する。参考形態では、本発明をハーネスプロテクタを含む車載部品に適用した例を示す。車載部品には、ハーネスプロテクタの他、車載回生システム用充放電コントローラ、電池配線用モジュール、リレーボックス、インテリジェントパワーディストリビューターモジュール、ジャンクションボックス、電源ボックスといった電源系モジュール;ゲートウェイECU、ボディーECUといったエンジンコントロールユニット(Engine Control Unit:ECU)などの電線引出口を備えた車載される部品がいずれも含まれる。
1. 環状の山部と谷部が軸方向に交互に連接されてなるコルゲートチューブが外挿された状態のワイヤハーネスが引き出される、電線引出口を備えた車載部品であって、
上記電線引出口の内周面には、上記コルゲートチューブの上記山部が載置されると共に、上記谷部に嵌合する凸部が設けられている一方、
上記電線引出口の軸方向における上記凸部よりも内方側には、上記内周面から内方に突出して上記コルゲートチューブの先端面に当接して該コルゲートチューブの上記電線引出口への入り込み量を制限するストッパが突設されており、
上記ストッパの上記内周面からの突出寸法が、上記電線引出口の上記内周面に上記山部が載置された上記コルゲートチューブの内周面を越えて内周側に突出しない寸法に設定されていると共に、
上記ストッパの突出端面における上記軸方向の寸法となる幅寸法が、上記コルゲートチューブの上記谷部の幅寸法よりも大きくされている
ことを特徴とする電線引出口を備えた車載部品。
2. 上記ストッパの上記突出端面における端縁部が面取り形状とされている1.に記載の電線引出口を備えた車載部品。
3. 上記電線引出口が、樋形状で上記軸方向に延びる収容部を有していると共に、該収容部は、上記電線引出口の上記内周面を構成する底壁と、該底壁の幅方向両側縁部から上方に突出する一対の側壁を有しており、
上記収容部の軸方向先端側では、少なくとも上記底壁に上記凸部が突設されている一方、上記収容部の軸方向基端側では、上記一対の側壁に上記ストッパがそれぞれ突設されかつ上記底壁には上記ストッパが突設されていない1.または2.に記載の電線引出口を備えた車載部品。
4. 上記収容部の上記軸方向基端側では、上記底壁において目視窓が貫設されている3.に記載の電線引出口を備えた車載部品。
【0038】
1.によれば、コルゲートチューブの外周面を構成する山部が載置される電線引出口の内周面には、コルゲートチューブの谷部に嵌合される凸部が設けられている一方、かかる凸部よりも電線引出口の軸方向内方に位置してコルゲートチューブの先端面に当接してコルゲートチューブの電線引出口への入り込み量を制限するストッパが突設されている。ここで、ストッパの突出端面の高さ位置となるストッパの内周面からの突出寸法が、電線引出口の内周面に山部が載置されたコルゲートチューブの内周面を越えて内周側に突出しない寸法とされている。これにより、ストッパがコルゲートチューブの先端部から奥方に延びるワイヤハーネスに干渉してワイヤハーネスの摩耗等を生じる不具合を有利に低減乃至は解消することができる。
【0039】
このようにストッパの突出高さを従来構造よりも小さく抑えた場合でも、電線引出口の内周面に突設されたストッパの幅寸法が、コルゲートチューブの谷部の幅寸法よりも大きくされている。これにより、コルゲートチューブの先端面が、ストッパを越えて電線引出口の軸方向内方に入り込もうとした場合でも、ストッパの先端部がコルゲートチューブの谷部に入り込むことができず、これによりコルゲートチューブの内方への移動を阻止することができる。その結果、ストッパによるコルゲートチューブの電線引出口への入り込み量を確実に制限しつつ、ストッパとコルゲートチューブの干渉の問題を緩和乃至は解消することができるのである。
【0040】
2.によれば、ストッパの突出端面における端縁部が、面取り形状とされていることから、コルゲートチューブの端部から奥方に延びるワイヤハーネスとストッパとの干渉具合をさらに低減することができる。特に、ストッパの突出端面は、コルゲート
チューブの谷部の幅寸法よりも大きな幅寸法を有していることから、端縁部に面取り形状を施しても、ストッパの突出端面には広い平坦面を残すことができ、ストッパの突出端面における鋭利な角部の削減を有利に実現することができる。なお、面取り形状としては、C面取りや糸面取り、R面取りなどが採用され得る。
【0041】
3.によれば、電線引出口が樋形状で電線引出口の軸方向に延びる収容部を含んで構成されていることから、ワイヤハーネスおよびそれに外挿されたコルゲートチューブを安定して収容保持することができる。
【0042】
しかも、コルゲートチューブの谷部に嵌合する凸部が収容部の軸方向先端側における少なくとも底壁に突設されていることから、収容部に挿通されるワイヤハーネスおよびコルゲートチューブを下方側から安定して支持することができる。
【0043】
さらに、収容部の軸方向基端側では、一対の側壁にそれぞれストッパが突設され、底壁にはストッパが突設されていない。これにより、コルゲートチューブの先端面から奥方に延びるワイヤハーネスが主要な振動方向となる上下方向に振動した際に、ストッパにワイヤハーネスが繰り返し当接して異音を発生したりワイヤハーネスの摩耗を生じるという不具合も有利に解消することができる。
【0044】
4.によれば、収容部の軸方向基端側では、底壁にストッパが設けられておらず、かかる空きスペースを巧く利用して、目視窓を設けることができた。それゆえ、優れた設計自由度で目視窓を設けることができ、ストッパによるコルゲートチューブの挿入端の位置決めを目視によっても確実に確認することができる。
【0045】
しかも、収容部の底壁に設けられた目視窓は、電線引出口に浸入した水等を排水する排水溝としても機能することができる。その際に、底壁にはストッパなどが設けられていないことから、コルゲートチューブと底壁との間に毛細管現象等により水滴がとどまるおそれも低減されており、目視窓からの速やかな排水が実現される。
【実施例】
【0046】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0047】
(実施例)
実施例のハーネスプロテクタ10として、
図1に記載のハーネスプロテクタ10を作成した。実施例のハーネスプロテクタ10の寸法として、ストッパ46の根元における幅寸法γ
2 は3.0mmとし、ストッパ46の内径の寸法は5.4mmとした。
また、実施例のハーネスプロテクタ10と組み合わせるコルゲートチューブ20を用意した。コルゲートチューブ20の谷部36の幅寸法Δは、1.2mmとし、コルゲートチューブ20の内径の寸法は5.4mmとした。
実施例のコルゲートチューブ20では、ストッパ46の内周面からの突出寸法が、コルゲートチューブ20の内周面50を越えて内周側に突出しない寸法であった。また、ストッパ46の根元における幅寸法γ
2 は、コルゲートチューブ20の谷部36の幅寸法Δと比べて、2.5倍であった。
上記コルゲートチューブ20にワイヤハーネス18を挿通し、実施例のハーネスプロテクタ10と組み合わせて実施例に係るハーネスアセンブリとした。
実施例に係るハーネスアセンブリをエンジンに搭載した結果、従来のハーネスプロテクタを用いる場合と比べて、ワイヤハーネスの摩耗が少なくなり、さらに、コルゲートチューブをハーネスプロテクタ内の所望の位置まで侵入させることができることを確認した。
なお、従来のハーネスプロテクタとは、ストッパの内周面からの突出寸法が、コルゲートチューブの内周面を越えて内周側に突出し、ストッパの突出端面及び根元における幅寸法が、コルゲート
チューブの谷部の幅寸法より小さいハーネスプロテクタである。
【0048】
この出願は、2017年11月8日に出願された日本出願特願2017-215320号を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。