特許第6879532号(P6879532)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6879532
(24)【登録日】2021年5月7日
(45)【発行日】2021年6月2日
(54)【発明の名称】接合方法及び接合構造体
(51)【国際特許分類】
   B23K 20/10 20060101AFI20210524BHJP
   C04B 37/02 20060101ALI20210524BHJP
【FI】
   B23K20/10
   C04B37/02 Z
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-161569(P2016-161569)
(22)【出願日】2016年8月19日
(65)【公開番号】特開2017-39169(P2017-39169A)
(43)【公開日】2017年2月23日
【審査請求日】2019年8月15日
(31)【優先権主張番号】特願2015-163236(P2015-163236)
(32)【優先日】2015年8月20日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】594114019
【氏名又は名称】株式会社アルテクス
(74)【代理人】
【識別番号】100154195
【弁理士】
【氏名又は名称】丸林 敬子
(74)【代理人】
【識別番号】100171826
【弁理士】
【氏名又は名称】丸林 啓介
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 茂
(72)【発明者】
【氏名】石井 僚一
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 宜広
(72)【発明者】
【氏名】神谷 真由美
【審査官】 山下 浩平
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭63−188483(JP,A)
【文献】 特開昭61−014092(JP,A)
【文献】 特開2000−176653(JP,A)
【文献】 米国特許第08317078(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 26/00 − 26/70
C04B 37/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方に昇降可能に設けられた加圧部と下方に昇降不可能に設けられた共振器とこの共振器の一端部に取り付けられた振動子とを備えた接合装置が用いられ、接合対象部材が金属部材とセラミックス部材との間に固形に構成されたアルミニウムを主成分とした接合材又は固形に構成された錫を主成分とした接合材を介在させてなる積層状になっており、この接合対象部材が前記加圧部と前記共振器との間に配置された後の前記加圧部の下降により上下方向で加圧された状態において前記共振器が前記振動子から伝達された音波振動又は超音波振動に共振して上記加圧される方向に直交する横方向に振動することにより前記金属部材と前記セラミックス部材とが前記アルミニウムを主成分とした接合材又は前記錫を主成分とした接合材で互いに接合されることを特徴とする接合方法。
【請求項2】
上方に昇降可能に設けられた加圧部と下方に昇降不可能に設けられた共振器とこの共振器の一端部に取り付けられた振動子とを備えた接合装置が用いられ、接合対象部材が金属部材とセラミックス部材との間に固形に構成されたアルミニウムを主成分とした接合材又は固形に構成された錫を主成分とした接合材を介在させてなる積層状になっており、この接合対象部材とこの接合対象部材の上下の一方又は両方に配置されたレジンパッドとが前記加圧部と前記共振器との間に配置された後の前記加圧部の下降により上下方向で加圧された状態において前記共振器が前記振動子から伝達された音波振動又は超音波振動に共振して上記加圧される方向に直交する横方向に振動することにより前記金属部材と前記セラミックス部材とが前記アルミニウムを主成分とした接合材又は前記錫を主成分とした接合材で互いに接合されることを特徴とする接合方法。
【請求項3】
上方に昇降可能に設けられた加圧部と下方に昇降不可能に設けられた共振器とこの共振器の一端部に取り付けられた振動子とを備えた接合装置が用いられ、接合対象部材が金属部材とセラミックス部材とから積層状になっており、この接合対象部材とこの接合対象部材の上下の一方又は両方に配置されたレジンパッドとが前記加圧部と前記共振器との間に配置された後の前記加圧部の下降により上下方向で加圧された状態において前記共振器が前記振動子から伝達された音波振動又は超音波振動に共振して上記加圧される方向に直交する横方向に振動することにより前記金属部材と前記セラミックス部材とが互いに接合されることを特徴とする接合方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セラミックス部材と金属部材とを大気中の常温で接合する接合方法及び金属接合構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
非特許文献1の1046頁には、セラミックス基板に銅板を銅板の中に含まれる微量な酸化物を利用して酸化銅の共晶液相を生成させてセラミックス基板との接合材に利用したDBC基板、TiやZr等の活性金属を添加したろう材を中間材として介するAMC(Active Metal Brazed Copper)基板が記載されている。
【0003】
しかしながら、非特許文献1で開示されたように、セラミックス基板等のセラミックス部材に金属を接合する方法は、酸化銅の共晶反応を利用したり、活性金属を添加したろう材を利用したり、複雑である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】セラミックス 41(2006)No.12「半導体デバイス用窒化アルミニウム基板」www.ceramic.or.jp/museum/contents/pdf/2006_12_03.pdf
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記背景技術に鑑みてなされたものであり、セラミックス部材と金属部材とを接合する接合方法及び金属接合構造体の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の接合方法は、共振器が共振器の一端部に取り付けられた振動子から伝達された音波振動又は超音波振動に共振して上記加圧される方向に直交する横方向に振動することにより金属部材とセラミックス部材とがアルミニウムを主成分とした接合材又は錫を主成分とした接合材で互いに接合することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、アルミニウムを主成分とした接合材又は錫を主成分とした接合材が加圧と振動エネルギーとを受けて金属部材とセラミックス部材とを互いに接合するので、金属部材とセラミックス部材とが大気中の常温で短時間に接合され、歪みや残留応力が無く品質が良くなる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】発明を実施するための形態1に係る接合方法を示した正面図。
図2】発明を実施するための形態2に係る接合装置を示した正面図。
図3】発明を実施するための形態3に係る接合装置を示した正面図。
図4】発明を実施するための形態4に係る接合装置を示した正面図。
図5】発明を実施するための形態5に係る接合方法を示した正面図。
図6】発明を実施するための形態6に係る接合方法を示した正面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1に示した発明を実施するための形態1に係る接合方法に用いられる接合対象部材1は、金属部材2と、アルミニウムを主成分とした接合材3と、セラミックス部材4とを重ね合わせた積層状になっている。金属部材2としては、銅からなるシート状又はフォイル状又はフィルム状又は板状やブロックの固形に構成された場合を例示した。アルミニウムを主成分とした接合材3としては、シート状又はフォイル状又はフィルム状又は板状又は箔状の固形に構成された場合を例示した。セラミックス部材4としては、シート状又はフォイル状又はフィルム状又は板状やブロックの固形に構成された場合を例示した。
【0010】
図1に示した発明を実施するための形態1に係る接合方法は、大気中の常温の状態において、接合対象部材1の金属部材2が共振器14の接合ツール部15の上に載せられ、接合対象部材1の上に配置されたレジンパッド12が加圧部13で下方に加圧され、接合対象部材1とレジンパッド12とが加圧部13と接合ツール部15とで上下方向より加圧され、接合ツール部15が共振器14の一端部に結合された振動子16から伝達された音波振動又は超音波振動に共振し矢印17で示した横方向に振動することよって、金属部材2とアルミニウムを主成分とした接合材3との界面部分、アルミニウムを主成分とした接合材3とセラミックス部材4との界面部分のそれぞれが加圧と振動エネルギーとを受けて互いに接合されるので、金属部材2とセラミックス部材4とが大気中の常温で短時間に接合され、歪みや残留応力が無く品質が良くなる。
【0011】
上記のように音波振動によれば、ブロックのセラミックス部材4と分厚い金属部材2との接合が可能になるため、電気伝導体の接合のみならず、三次元的な機械構造体の接合が可能になる。又、セラミックス部材4と加圧部13との間にレジンパッド12を配置したことで、セラミックス部材4の厚みが薄くてもセラミックス部材4の割れを防止できる。又、超音波接合で不可能な大面積の接合が音波接合では可能になる。又、セラミックス部材として、内部又は外部に電気回路を有するセラミックス回路基板を使用しても、適切に接合できる。
【0012】
又、金属部材2とセラミックス部材4とがアルミニウムを主成分とした接合材3で互いに接合された後、加圧部13による加圧が停止し、その停止状態が0.1から数秒程度保持される。その後、加圧部13と共振器14とによる上下方向からの加圧が解除され、金属接合構造体となった接合対象部材1とレジンパッド12とが加圧部13と共振器14との間から取り出され、接合対象部材1とレジンパッド12とが互いに分離され、接合対象部材1に対する1回の接合動作が終了する。
【0013】
金属部材2としては銅以外の金属部材でも適用可能である。セラミックス部材4としてはSi(窒化ケイ素)、Al(酸化アルミニウム)、それら以外のセラミックス部材であっても適用可能である。
【0014】
レジンパッド12は、テフロン(登録商標)又はシリコン等からなるシート状又はフォイル状又はフィルム状又は板状に構成されている。レジンパッド12としては、接合時の熱に対する耐熱性を有すれば、テフロン(登録商標)やシリコン以外の合成樹脂又はエラストマー等でも適用可能である。レジンパッド12は、接合対象部材1と加圧部13とから分離された構成、接合対象部材1及び加圧部13の一方又は両方に固定された構成のいずれでも適用可能である。
【0015】
図1で示した接合方法を10kHzから20kHzの範囲中の或る1つの周波数に固定された音波振動で実験し、接合された接合対象部材1を調べたところ、接合対象部材1に熱による反りや歪みが小さいこと、アルミニウムを主成分とした接合材3の厚みは数μmから数mmであること、金属部材2としてアルミニウム、銅、金、銀、ニッケルが使用可能であること、接合時間は数秒の短時間であること、接合対象部材1への荷重も低くでき、音波振動でアルミニウムを主成分とした接合材3の大気中での常温接合が数秒で可能になること等を確認できた。又、接合対象部材1への荷重も低くでき、その結果、残留応力の発生も防げることも確認できた。又、上記アルミニウムとした接合材3の場合は、接合後の溶解温度がアルミニウムの溶解温度と同じ約660℃か又はそれ以上で、種々の金属部材2と種々のセラミックス部材4と接合性があることが確認できた。
【0016】
アルミニウムを主成分とした接合材3に替えて、金属部材2とセラミックス部材4の間に図示のされていない錫を主成分とした接合材を挟み、レジンパッド12を用い、加圧部13と接合ツール部15とで上下方向より加圧し、接合ツール部15が共振器14の一端部に結合された振動子16から伝達された音波振動又は超音波振動に共振し矢印17で示した横方向に振動することによって、金属部材2と錫を主成分とした接合材との界面部分、錫を主成分とした接合材とセラミックス部材4との界面部分のそれぞれが加圧と振動エネルギーとを受けて互いに接合され、前記金属部材2とセラミックス部材4とをアルミニウムを主成分とした接合材3で接合した場合のように、金属部材2とセラミックス部材4とが大気中の常温で短時間に接合され、歪みや残留応力が無く品質が良くなることが確認できた。
【0017】
又、金属部材2とセラミックス部材4との間にアルミニウムを主成分とした接合材3又は錫を主成分とした接合材を挟むことなく、レジンパッド12を用い、加圧部13と接合ツール部15とで上下方向より加圧し、接合ツール部15が共振器14の一端部に結合された振動子16から伝達された音波振動又は超音波振動に共振し矢印17で示した横方向に振動することによって、金属部材2とセラミックス部材4との接合が可能であることが確認できた。
【0018】
次に、図2乃至4を参照し、図1に示した接合方法に用いられる発明を実施するための形態2乃至4としての接合装置21について説明する。
【0019】
図2に示した発明を実施するための形態2としての接合装置21の装置躯体部22には、作業空間部23が設けられる。装置躯体部22の作業空間部23よりも下方の部分には、支持具24が設けられる。支持具24は、前後及び上方に貫通する支持空間部25の左右両側に支持部26を備えている。支持具24には、共振器27が設置される。共振器27は、接合ツール部28と被支持部29とを備えた構成である。共振器27は、一端から他端までの長さが振動子30から伝達された音波振動又は超音波振動の共振周波数の少なくとも1波長を有する直線的な棒状になっている。共振器27の長さ方向の両端部及び中央部には、最大振動振幅点が位置する。共振器27の長さ方向の中央部おける最大振動振幅点の位置する外面部には、接合ツール部28が設けられる。
【0020】
接合ツール部28は、共振器27の外側面より突出して設けられた場合又は共振器27の外側面と同一面に設けられた場合又は共振器27の外側面より窪んで設けられた場合のいずれでも適用可能である。共振器27の接合ツール部28より長さ方向の両側に存在する最小振動振幅点に位置する外面部には、被支持部29が設けられる。
【0021】
共振器27の一端部には、振動子30が取り付けられる。共振器27と振動子30との間には、図示のされていないブースターを設けることも適用可能である。支持具24には共振器27の長さ方向が矢印17で示した左右方向に向けられ、共振器27の被支持部29以外の部分が支持具24に接触しないように支持空間部25に配置され、被支持部29が支持部26に支持されることにより、共振器27が支持具24に設置される。
【0022】
装置躯体部22の作業空間部23よりも上方の部分には、加圧機構31が設けられる。加圧機構31の出力部材32は、装置躯体部22の上部から作業空間部23に配置される。出力部材32の作業空間部23に配置された下部は、加圧機構31の駆動によって、作業空間部23の内部を直線的に昇降する。出力部材32の作業空間部23に配置された下部には、支持具33が設けられる。
【0023】
支持具33は、前後及び下方に貫通する支持空間部34の左右両側に支持部35を備えた構成である。支持具33には、共振器36が設置される。共振器36は、接合ツール部37と被支持部38とを備えている。共振器36は、一端から他端までの長さが振動子39から伝達された音波振動又は超音波振動の共振周波数の少なくとも1波長を有する直線的な棒状になっている。共振器36の長さ方向の両端部及び中央部には、最大振動振幅点が位置する。共振器36の長さ方向の中央部おける最大振動振幅点の位置する外面部には、接合ツール部37が設けられる。接合ツール部37は、共振器36の外側面より突出して設けられた場合又は共振器36の外側面と同一面に設けられた場合又は共振器36の外側面より窪んで設けられた場合のいずれでも適用可能である。共振器36の接合ツール部37より長さ方向の両側に存在する最小振動振幅点に位置する外面部には、被支持部38が設けられる。
【0024】
共振器36の一端部には、振動子39が取り付けられる。共振器36と振動子39との間には、図示のされていないブースターを設けることも適用可能である。支持具33には共振器36の長さ方向が矢印17で示した左右方向に向けられ、共振器36の被支持部38以外の部分が支持具33に接触しないように支持空間部34に配置され、被支持部38が支持部35に支持されることにより、共振器36が支持具33に設置される。
【0025】
図2に示した発明を実施するための形態2としての接合装置21にあっては、加圧機構31と出力部材32と支持具33と支持空間部34と支持部35と共振器36と接合ツール部37と被支持部38と振動子39とが図1に示した加圧部13に相当し、共振器27が図1に示した共振器14に相当し、接合ツール部28が図1に示した接合ツール部15に相当し、振動子30が図1に示した振動子16に相当する。
【0026】
図2に示した接合装置21で図1に示した接合対象部材1を接合する接合方法について説明する。先ず、出力部材32が上昇位置に停止し、接合ツール部28,37が互いに接合対象部材1とレジンパッド12とからなる積層状になった物体の挿入可能な空間を形成して上下に対向した状態になっている。その状態おいて、下側の接合ツール部28の上に接合対象部材1とレジンパッド12とからなる積層状になった物体が搭載された後、加圧機構31が駆動し、出力部材32が下降するのに伴って、接合対象部材1とレジンパッド12とが接合ツール部28と接合ツール部37とで上下から挟まれて加圧される。
【0027】
そして、振動子30,39が同時発振するか又はオーバーラップ発振するか又はリレー発振する又は振動子30,39の一方だけが発振することにより、共振器27が振動子30から伝達された音波振動又は超音波振動に共振し、接合ツール部28が共振器27から伝達された振動に共振し、共振器36が振動子39から伝達された音波振動又は超音波振動に共振し、接合ツール部37が共振器36から伝達された振動に共振する。振動子30,39の同時発振は、振動子30,39が同じ時間に発振する態様である。振動子30,39のオーバーラップ発振は、振動子30の発振の一部と振動子39の発振の一部とが互いに重なる態様である。振動子30,39のリレー発振は、振動子30の発振と振動子39の発振とが重ならないで受け継がれる態様である。
【0028】
尚、図1に示した接合方法では、図2に示した接合対象部材1とレジンパッド12とが接合ツール部28と接合ツール部37とで上下から挟まれて加圧され、図2に示した振動子39が発振せず、図2に示した振動子30だけが発振して、図1に示した金属部材2とセラミックス部材4とがアルミニウムを主成分とした接合材3で互いに接合される態様である。その後、図2に示した加圧機構31が駆動し、出力部材32が上昇するのに伴って、接合ツール部37がレジンパッド12から離れ、レジンパッド12と接合構造体になった接合対象部材1とが接合ツール部28の上に残される。この接合ツール部28の上に残されたレジンパッド12と接合対象部材1とが接合ツール部28から取り出され、レジンパッド12と接合対象部材1とが互いに分離され、接合装置21による接合対象部材1に対する1回の接合動作が終了する。
【0029】
図3に示した発明を実施するための形態3に係る接合装置21について説明する。図3に示した接合装置21は、加圧機構31の作業空間部23に配置された下部に受止部40が設けられ、加圧機構31と出力部材32と受止部40とが図1に示した加圧部13に相当し、装置躯体部22の作業空間部23よりも下方の部分に支持具24、支持空間部25、支持部26、共振器27、接合ツール部28、被支持部29、振動子30が設けられる。図3に示した共振器27、接合ツール部28、振動子30が図1に示した共振器14、接合ツール部15、振動子16に相当する。
【0030】
図3に示した接合装置21を用いた接合方法について説明する。先ず、出力部材32が上昇位置に停止し、接合ツール部28と受止部40とが互いに接合対象部材1とレジンパッド12とからなる積層状になった物体の挿入可能な空間を形成して上下方向で対向した状態になっている。その状態において、接合ツール部28の上には、接合対象部材1とレジンパッド12とからなる積層状になった物体が搭載され後、加圧機構31が駆動し、出力部材32が下降するのに伴って、接合対象部材1とレジンパッド12とが接合ツール部28と受止部40とで上下から挟まれて加圧され、共振器27が振動子30から伝達された音波振動又は超音波振動に共振し、接合ツール部28が矢印17で示した横方向に振動し、接合対象部材1における金属部材2とアルミニウムを主成分として接合材3とセラミックス部材4とが上記加圧と上記横方向の振動による振動エネルギーを受けて互いに接合される。
【0031】
その後、加圧機構31が駆動し、出力部材32が上昇するのに伴って、受止部40がレジンパッド12から離れ、レジンパッド12と接合構造体になった接合対象部材1とが接合ツール部28の上に残される。この接合ツール部28の上に残されたレジンパッド12と接合対象部材1とが接合ツール部28から取り出され、レジンパッド12と接合対象部材1とが互いに分離され、接合装置21による接合対象部材1に対する1回の接合動作が終了する。
【0032】
図4に示した発明を実施するための形態4に係る接合装置21について説明する。図4に示した接合装置21は、加圧機構31の作業空間部23に配置された下部に支持具33、支持空間部34、支持部35、共振器36、接合ツール部37、被支持部38,振動子39が設けられ、装置躯体部22の作業空間部23よりも下部に受止部40が設けられる。図4に示した共振器36、接合ツール部37、振動子39が上下方向の位置はことなるが図1に示した共振器14、接合ツール部15、振動子16に相当し、図4に示した加圧機構31、出力部材32が図1に示した加圧部13に相当する。
【0033】
図4に示した接合装置21を用いた接合方法について説明する。先ず、出力部材32が上昇位置に停止し、接合ツール部37と受止部40とが互いに接合対象部材1とレジンパッド12とからなる積層状になった物体の挿入可能な空間を形成して上下方向で対向した状態になっている。その状態において、受止部40の上には、接合対象部材1とレジンパッド12とからなる積層状になった物体が搭載され後、加圧機構31が駆動し、出力部材32が下降するのに伴って、接合対象部材1とレジンパッド12とが接合ツール部37と受止部40とで上下から挟まれて加圧され、共振器36が振動子39から伝達された音波振動又は超音波振動に共振し、接合ツール部37が矢印17で示した横方向に振動し、接合対象部材1における複数個の金属部材が上記加圧と上記横方向の振動による振動エネルギーを受けて互いに接合される。
【0034】
その後、加圧機構31が駆動し、出力部材32が上昇するのに伴って、接合ツール部37がレジンパッド12から離れ、レジンパッド12と接合構造体になった接合対象部材1とが受止部40の上に残される。この受止部40の上に残されたレジンパッド12と接合対象部材1とが受止部40から取り出され、レジンパッド12と接合対象部材1とが互いに分離され、接合装置21による接合対象部材1に対する1回の接合動作が終了する。
【0035】
前記図1乃至4では接合対象部材1として金属部材2の上にアルミニウムを主成分とした接合材3を積層し、そのアルミニウムを主成分とした接合材3の上にセラミックス部材4を積層した態様を例示したが、セラミックス部材4の上にアルミニウムを主成分とした接合材3を積層し、そのアルミニウムを主成分とした接合材3に金属部材2を積層した態様でも適用可能である。
【0036】
前記図1乃至4ではレジンパッド12をセラミックス部材4の側に配置した態様を例示したが、セラミックス部材4が接合時の加圧と振動エネルギーとに耐えて割れない厚みを有する場合は、レジンパッド12を金属部材2の側に配置してもレジンパッド12を用いなくても適用可能である。
【0037】
前記図1乃至4ではレジンパッド12を接合対象部材1の上に配置した態様を例示したが、図5に示したように、接合対象部材1の上下にレジンパッド12、18を配置しても適用可能である。レジンパッド18は、レジンパッド12と同じ材料又は異なる材料で構成されても良い。又、図示はしないが、レジンパッド12が接合対象部材1と加圧部13との間に配置されることなく接合対象部材1と接合ツール部15との間に配置されても良い。即ち、レジンパッド12は接合対象部材1の上下の一方又は両方に配置されれば適用可能である。
【0038】
前記図1乃至4では、接合対象部材1として、金属部材2とアルミニウムを主成分とした接合材3とセラミックス部材4とを重ね合わせた積層状に構成したが、図6に示したように、接合対象部材1として、金属部材2とセラミックス部材4とを重ね合わせた積層状に構成しても、前記図1乃至4と同様に適用可能である。図6においても、レジンパッド12は接合対象部材1の上下の一方又は両方に配置されれば適用可能である。図6では、金属部材2をアルミニウムシートで構成し、セラミックス部材4を酸化アルミニウムで構成することが考えられる。
【符号の説明】
【0039】
1 接合対象部材
2 金属部材
3 アルミニウムを主成分とした接合材(アルミニウム接合材)
4 セラミックス部材
12 レジンパッド
13 加圧部
14 共振器
15 接合ツール部
16 振動子
17 振動方向を示した矢印
18 レジンパッド
21 金属接合装置
22 装置躯体部
23 作業空間部
24 支持具
25 支持空間部
26 支持部
27 共振器
28 接合ツール部
29 被支持部
30 振動子
31 加圧機構
32 出力部材
33 支持具
34 支持空間部
35 支持部
36 共振器
37 接合ツール部
38 被支持部
39 振動子
40 受止部
図1
図2
図3
図4
図5
図6