特許第6879679号(P6879679)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ スカイワークス ソリューションズ,インコーポレイテッドの特許一覧

特許6879679キャリアアグリゲーションシステム、キャリアアグリゲーションを用いる電力増幅器システム、キャリアアグリゲーション回路、キャリアアグリゲート信号の個別のキャリアと関連付けられる電力を検出する方法、電力増幅器モジュール、およびモバイルワイヤレス通信装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6879679
(24)【登録日】2021年5月7日
(45)【発行日】2021年6月2日
(54)【発明の名称】キャリアアグリゲーションシステム、キャリアアグリゲーションを用いる電力増幅器システム、キャリアアグリゲーション回路、キャリアアグリゲート信号の個別のキャリアと関連付けられる電力を検出する方法、電力増幅器モジュール、およびモバイルワイヤレス通信装置
(51)【国際特許分類】
   H04B 1/04 20060101AFI20210524BHJP
【FI】
   H04B1/04 E
【請求項の数】19
【外国語出願】
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2016-125274(P2016-125274)
(22)【出願日】2016年6月24日
(65)【公開番号】特開2017-17691(P2017-17691A)
(43)【公開日】2017年1月19日
【審査請求日】2019年6月24日
【審判番号】不服2020-10607(P2020-10607/J1)
【審判請求日】2020年7月30日
(31)【優先権主張番号】62/185,507
(32)【優先日】2015年6月26日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】15/190,032
(32)【優先日】2016年6月22日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】15/190,075
(32)【優先日】2016年6月22日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】503031330
【氏名又は名称】スカイワークス ソリューションズ,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】SKYWORKS SOLUTIONS,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】エドワード・ジェームズ・アンソニー
(72)【発明者】
【氏名】レザ・カスナビ
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・ジィ・フリード
【合議体】
【審判長】 北岡 浩
【審判官】 佐藤 智康
【審判官】 丸山 高政
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2014/169954(WO,A1)
【文献】 特表2014−526847(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/92795(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2014/227982(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 1/00,1/02-1/04,1/30,1/59,1/72,11/00-13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャリアアグリゲーションシステムであって、
各々が別個のキャリアと関連付けられた無線周波数源と、
周波数領域多重化を行なうように構成された周波数多重化回路とを備え、前記周波数多重化回路はキャリアアグリゲート信号を提供するように構成された端子を含み、前記キャリアアグリゲート信号は前記無線周波数源と関連付けられた前記別個のキャリアのアグリゲーションを含み、前記周波数多重化回路はダイプレクサまたはトリプレクサであり、前記キャリアアグリゲート信号は、時分割二重化キャリアアグリゲート信号であり、前記キャリアアグリゲーションシステムはさらに、
方向性結合器を備え、前記方向性結合器は、前記周波数多重化回路が前記無線周波数源と前記方向性結合器との間の信号経路内にあるように配置され、
前記方向性結合器は、前記別個のキャリアのうちの1つのキャリアの無線周波数電力の表示を提供するように構成される、キャリアアグリゲーションシステム。
【請求項2】
前記キャリアアグリゲート信号は、アドバンスト・ロングタームエボリューション規格に従う、請求項1に記載のキャリアアグリゲーションシステム。
【請求項3】
前記無線周波数源は電力増幅器を含む、請求項1に記載のキャリアアグリゲーションシステム。
【請求項4】
前記周波数多重化回路と前記方向性結合器との間に結合されたアンテナスイッチをさらに備える、請求項1に記載のキャリアアグリゲーションシステム。
【請求項5】
前記方向性結合器とアンテナポートとの間に結合されたアンテナスイッチをさらに備える、請求項1に記載のキャリアアグリゲーションシステム。
【請求項6】
前記方向性結合器の出力を周波数多重化して、前記別個のキャリアのうちの第1のキャリアの電力の表示を第1の電力検出器に提供し、前記別個のキャリアのうちの第2のキャリアの電力の表示を第2の電力検出器に提供するように配置されたダイプレクサをさらに備える、請求項1に記載のキャリアアグリゲーションシステム。
【請求項7】
前記方向性結合器に結合された電力検出器をさらに備える、請求項1に記載のキャリアアグリゲーションシステム。
【請求項8】
キャリアアグリゲーションシステムであって、
各々が別個のキャリアと関連付けられた無線周波数源と、
周波数領域多重化を行なうように構成された周波数多重化回路とを備え、前記周波数多重化回路はキャリアアグリゲート信号を提供するように構成された端子を含み、前記キャリアアグリゲート信号は前記無線周波数源と関連付けられた前記別個のキャリアのアグリゲーションを含み、前記キャリアアグリゲーションシステムはさらに、
前記別個のキャリアのうちの第1の個別のキャリアの無線周波数電力の表示を提供するように構成された方向性結合器と、
前記無線周波数電力の表示を前記方向性結合器から電力検出器に選択的に提供するように構成されたマルチスロースイッチとを備える、キャリアアグリゲーションシステム。
【請求項9】
キャリアアグリゲーションを用いる電力増幅器システムであって、前記電力増幅器システムは、
第1のキャリアと関連付けられた第1の電力増幅器および第2のキャリアと関連付けられた第2の電力増幅器を少なくとも含む電力増幅器を備え、前記第1のキャリアおよび前記第2のキャリアは無線周波数信号であり、前記電力増幅器システムはさらに、
周波数領域多重化を行なうように構成された周波数多重化回路を備え、前記周波数多重化回路は、少なくとも前記第1のキャリアおよび前記第2のキャリアのアグリゲーションを含むキャリアアグリゲート信号を提供するように構成された端子を含み、前記電力増幅器システムはさらに、
前記第1の電力増幅器と前記周波数多重化回路との間に結合されたバンドパスフィルタと、
前記第1の電力増幅器と前記バンドパスフィルタとの間の信号経路内にある方向性結合器とを備え、前記方向性結合器はアグリゲートされた前記キャリアの個別のキャリアの電力の表示を提供するように構成され、前記個別のキャリアは前記第1のキャリアまたは前記第2のキャリアの一方である、電力増幅器システム。
【請求項10】
前記方向性結合器と前記バンドパスフィルタとの間に結合された帯域選択スイッチをさらに備える、請求項に記載の電力増幅器システム。
【請求項11】
前記第2の電力増幅器と関連付けられた第2の方向性結合器をさらに備え、前記周波数多重化回路は、前記方向性結合器および前記第2の方向性結合器に結合された異なる端子を有する、請求項に記載の電力増幅器システム。
【請求項12】
前記電力増幅器システムはアップリンクチャネル通信用に構成される、請求項に記載の電力増幅器システム。
【請求項13】
前記バンドパスフィルタはデュプレクサの送信フィルタである、請求項に記載の電力増幅器システム。
【請求項14】
前記方向性結合器と前記バンドパスフィルタとの間に結合された無線周波数スイッチをさらに備える、請求項に記載の電力増幅器システム。
【請求項15】
前記方向性結合器に結合された電力検出器をさらに備える、請求項に記載の電力増幅器システム。
【請求項16】
前記別個のキャリアのうちの第2の個別のキャリアの無線周波数電力の表示を提供するように構成された第2の方向性結合器をさらに備え、前記マルチスロースイッチは、前記第2の方向性結合器の出力を前記電力検出器に選択的に電気的に接続するように構成される、請求項に記載のキャリアアグリゲーションシステム。
【請求項17】
前記方向性結合器および前記第2の方向性結合器は、異なる周波数帯域におけるパフォーマンスを高めるように構成される、請求項16に記載のキャリアアグリゲーションシステム。
【請求項18】
無線周波数スイッチをさらに備え、前記方向性結合器は前記無線周波数スイッチと前記周波数多重化回路との間に結合される、請求項に記載のキャリアアグリゲーションシステム。
【請求項19】
デュプレクサをさらに備え、前記方向性結合器は前記デュプレクサと前記周波数多重化回路との間に結合される、請求項に記載のキャリアアグリゲーションシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互参照
本願は、2016年6月26日に出願された、「アグリゲートされるキャリアの個別のキャリアの電力検出(POWER DETECTION OF INDIVIDUAL CARRIER OF AGGREGATED CARRIER)」と題された米国仮特許出願番号第62/185,507号の米国特許法第119条(e)に基づく優先権の利益を主張し、上記仮出願の開示はその全体が引用により本明細書に援用される。
【0002】
背景
技術分野
本開示は電子システムに関し、特に無線周波数(RF)回路に関する。
【背景技術】
【0003】
関連技術の説明
ロングタームエボリューション(LTE)用のアップリンクチャネルにおけるシステムの中には、単一のアップリンクキャリアを用いるものがある。アップリンクチャネルは、ハンドセットから基地局までであり得る。キャリアは、入力信号で変調されて情報を送信する信号であり得る。キャリアは典型的に、周波数が入力信号よりもはるかに高い。キャリアは無線周波数信号であり得る。単一のアップリンクキャリアを用いるLTEシステムでは、電力制御は典型的に、1つ以上の方向性結合器および1つ以上の関連付けられる電力検出器を用いて維持される。そのようなシステムでは、典型的に、多重送信の電力を制御する必要はない。
【0004】
アドバンストLTEでは、キャリアアグリゲーションは帯域幅を増加させ、その結果としてデータ送信速度を増加させ得る。キャリアアグリゲーションは、装置においてキャリアを組合せ、セルサービスエリアにわたってユーザデータ速度を増加させ得る。キャリアアグリゲーションは、比較的高いピークデータ速度、セル内のすべてのユーザに対して増加したデータ速度、およびバースト的アプリケーションについてより大容量を提供し得る。アドバンストLTEキャリアアグリゲーションシステムにおける全キャリア電力に対する指定制限を満たすのは困難であり得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
ある発明の局面の概要
請求項に記載されるイノベーションの各々はいくつかの局面を有し、当該局面のいずれもその望ましい属性について単独で原因となることはない。請求項の範囲を限定することなく、本開示のいくつかの顕著な特徴が以下に簡潔に記載される。
【0006】
本開示の局面は、各々が別個のキャリアと関連付けられる、電力増幅器などのRF源を含むキャリアアグリゲーションシステムである。システムは、キャリアアグリゲート信号を提供するように構成される送信出力を含む。たとえば、送信出力は、周波数多重化回路(たとえばダイプレクサまたはトリプレクサ)の送信出力などの、キャリアアグリゲート信号をアンテナに提供するように構成される出力であり得る。キャリアアグリゲート信号は、RF源と関連付けられる別個のキャリアのアグリゲーションを含む。装置はさらに、別個のキャリアのうちの1つのRF電力の表示を提供するように構成される方向性結合器を含む。
【0007】
キャリアアグリゲート信号は、アドバンスト・ロングタームエボリューション規格に従い得る。キャリアアグリゲート信号は、帯域間キャリアアグリゲート信号であり得る。代替的にまたは追加的に、キャリアアグリゲート信号は、帯域内キャリアアグリゲート信号であり得る。
【0008】
システムは周波数多重化回路を含み得、方向性結合器は、RF源のうちの1つのRF源と周波数多重化回路との間の信号経路内にある。いくつかの他の実施形態では、システムは、RF源と方向性結合器との間に結合される周波数多重化回路を含み得る。ダイプレクサは周波数多重化回路の例である。
【0009】
システムは帯域選択スイッチを含み得、方向性結合器は、RF源のうちの1つのRF源と帯域選択スイッチとの間の信号経路内にある。システムはバンドパスフィルタをさらに含み得、帯域選択スイッチは、方向性結合器とバンドパスフィルタとの間に結合される。
【0010】
システムは第2の方向性結合器および周波数多重化回路を含み得る。方向性結合器および第2の方向性結合器は、RF源のうちの異なるRF源と関連付けられ得る。周波数多重化回路は、送信出力と方向性結合器との間に結合され得、かつ送信出力と第2の方向性結合器との間に結合され得る。
【0011】
システムは方向性結合器に結合される電力検出器を含み得る。いくつかの実施形態では、システムは方向性結合器と電力検出器との間に結合されるマルチスロー(multi-throw)スイッチを含み得る。
【0012】
本開示の別の局面は、キャリアアグリゲーションを用いる電力増幅器システムである。システムは、電力増幅器と、送信出力と、検出出力とを含む。電力増幅器は、第1のキャリアと関連付けられる第1の電力増幅器および第2のキャリアと関連付けられる第2の電力増幅器を少なくとも含む。送信出力は、少なくとも第1のキャリアおよび第2のキャリアのアグリゲーションを含むキャリアアグリゲート信号を提供するように構成される。たとえば、送信出力は、周波数多重化回路(たとえばダイプレクサまたはトリプレクサ)の送信出力などの、キャリアアグリゲート信号をアンテナに提供するように構成される出力であり得る。検出出力は、アグリゲートされるキャリアの個別のキャリアの電力の表示を提供するように構成される。個別のキャリアは第1のキャリアまたは第2のキャリアのいずれか一方である。検出出力は、たとえば、方向性結合器の出力、電力検出器の出力、または方向性結合器と2つ以上の電力検出器との間に結合される周波数多重化回路の出力であり得る。
【0013】
システムはアップリンクチャネル通信用に構成され得る。いくつかの実施形態では、システムはバンドパスフィルタおよび方向性結合器を含み得、方向性結合器は、第1の電力増幅器とバンドパスフィルタとの間の信号経路内にある。ある実施形態によると、システムは、第1の電力増幅器と関連付けられる第1の方向性結合器と、第2の電力増幅器と関連付けられる第2の方向性結合器と、送信出力と第1の方向性結合器との間に結合され、かつ送信出力と第2の方向性結合器との間に結合される周波数多重化回路とを含み得る。多数の実施形態において、システムは、方向性結合器と、電力増幅器と方向性結合器との間に結合される周波数多重化回路とを含み得る。
【0014】
本開示の別の局面は、第1のキャリアと関連付けられる第1の無線周波数(RF)源および第2のキャリアと関連付けられる第2のRF源を含むRF源と、キャリアアグリゲート信号を提供するように構成される周波数多重化回路とを含むキャリアアグリゲーション回路であり、キャリアアグリゲート信号は、第1のキャリアおよび第2のキャリアのアグリゲーションを含み、キャリアアグリゲーション回路はさらに、別個のキャリアのうちの1つのRF電力の表示を提供するための手段を含む。
【0015】
本開示の別の局面は、モバイルワイヤレス通信装置である。装置は、無線周波数(RF)信号を送信するように構成されるアンテナと、各々が別個のキャリアと関連付けられる電力増幅器と、アンテナと電力増幅器との間に結合される周波数多重化回路と、別個のキャリアのうちの選択された1つのRF電力の表示を提供するように構成される方向性結合器とを含む。周波数多重化回路はキャリアアグリゲート信号をアンテナに提供するように構成され、キャリアアグリゲート信号は、電力増幅器と関連付けられる別個のキャリアのうちの少なくとも2つのアグリゲーションを含む。
【0016】
ある実施形態では、モバイルワイヤレス通信装置は帯域選択スイッチを含み、方向性結合器は、電力増幅器のうちの1つの電力増幅器と帯域選択スイッチとの間の信号経路内に配置される。いくつかの実施形態によると、モバイルワイヤレス通信装置はバンドパスフィルタを含み、方向性結合器は、電力増幅器のうちの1つの電力増幅器とバンドパスフィルタとの間の信号経路内に配置される。多数の実施形態において、モバイルワイヤレス通信装置は、別個のキャリアのうちの異なる1つのRF電力の表示を提供するように構成される第2の方向性結合器を含む。ある実施形態によると、方向性結合器は、周波数多重化回路とアンテナとの間に結合される。
【0017】
本開示の別の局面は、各々が別個のキャリアと関連付けられる電力増幅器と、キャリアアグリゲート信号を送信するために提供するように構成される送信ノードと、別個のキャリアのうちの選択された1つの無線周波数(RF)電力の表示を提供するように構成される方向性結合器とを含む、電力増幅器モジュールである。キャリアアグリゲート信号は、電力増幅器と関連付けられる別個のキャリアのアグリゲーションを含む。
【0018】
いくつかの実施形態では、電力増幅器モジュールは帯域選択スイッチを含み、方向性結合器は、帯域選択スイッチと電力増幅器のうちの第1の電力増幅器との間の信号経路内にある。ある実施形態によると、電力増幅器モジュールは送信/受信スイッチを含み、方向性結合器は、帯域選択スイッチと電力増幅器のうちの第1の電力増幅器との間の信号経路内にある。電力増幅器モジュールは、RF電力の表示を受信するように構成される電力検出器を含み得る。
【0019】
電力増幅器モジュールは、送信ノードと電力増幅器の各々との間に結合される周波数多重化回路を含み得る。これらの実現例のうちのいくつかでは、電力増幅器モジュールは、周波数多重化回路と電力増幅器のうちの1つの電力増幅器との間に結合されるデュプレクサを含む。
【0020】
本開示の別の局面は、キャリアアグリゲート信号の個別のキャリアと関連付けられる電力を検出する方法である。方法は、アグリゲートキャリアを提供するステップと、アグリゲートキャリアの第1のキャリアの電力の表示を検出するステップと、第1のキャリアの電力の表示を検出するステップとは別個に、アグリゲートキャリアの第2のキャリアの電力の表示を検出するステップとを含む。
【0021】
方法はモバイル機器において実行され得る。方法はさらに、第1のキャリアの電力の表示に少なくとも部分的に基づいて、第1のキャリアと関連付けられる無線周波数(RF)源に提供されるRF信号と関連付けられる電力を調整するステップを含み得る。
【0022】
いくつかの実施形態では、第1のキャリアの電力の表示を検出するステップは、周波数多重化回路とアンテナとの間に結合される方向性結合器の出力に基づき得る。ある実施形態によると、第1のキャリアの電力の表示を検出するステップは第1の方向性結合器の出力に基づき、第2のキャリアの電力の表示を検出するステップは第2の方向性結合器の出力に基づく。そのような実施形態では、第1の方向性結合器は、電力増幅器とマルチスロー無線周波数スイッチとの間に結合され得る。多数の実施形態において、第1のキャリアの電力の表示を検出するステップおよび第2のキャリアの電力の表示を検出するステップは両方とも、単一の方向性結合器の出力を用いて実行される。たとえば、第1のキャリアの電力の表示を検出するステップは第1の電力検出器を用いて実行され得、第2のキャリアの電力の表示を検出するステップは第2の電力検出器を用いて実行され得る。いくつかのそのような実施形態では、第1のキャリアの電力の表示を検出するステップおよび第2のキャリアの電力の表示を検出するステップは非並行に実行される。
【0023】
本開示の別の局面は、アグリゲートキャリアの個別のキャリアの電力の表示を受信するステップを含む、電子的に実現される方法であり、アグリゲートキャリアは個別のキャリアおよび少なくとも別の個別のキャリアのアグリゲーションを含み、方法はさらに、個別のキャリアの電力の表示に少なくとも部分的に基づいて個別のキャリアと関連付けられて、無線周波数(RF)源に提供されるRF信号と関連付けられる電力を調整するステップを含む。方法は、たとえば、モバイル機器において実行され得る。
【0024】
本開示の別の局面は、フィードバック制御回路および増幅器を含む装置である。フィードバック制御回路は、アグリゲートキャリアの個別のキャリアの電力の表示を受信し、個別のキャリアの電力の表示に少なくとも部分的に基づいて制御信号を生成するように構成される。増幅器は、制御信号を受信し、制御信号に少なくとも部分的に基づいて、個別のキャリアと関連付けられる電力を調整するように構成される。
【0025】
装置は第2の増幅器を含み得る。フィードバック制御信号は、アグリゲートキャリアの別の個別のキャリアの電力の表示を受信し、当該別の個別のキャリアの電力の表示に少なくとも部分的に基づいて第2の制御信号を生成するように構成され得る。第2の増幅器は、第2の制御信号を受信するように構成され得る。第2の増幅器は、第2の制御信号に少なくとも部分的に基づいて、他の個別のキャリアと関連付けられる電力を調整するように構成され得る。
【0026】
開示を要約する目的のために、イノベーションのある局面、利点および新規な特徴が本明細書に記載された。すべてのこのような利点は必ずしもいずれかの特定の実施形態に従って達成されなくてもよいことを理解すべきである。したがってイノベーションは、本明細書中に教示または示唆され得るような他の利点を必ずしも達成することなく、本明細書中に教示されるような1つの利点または利点の群を達成または最適化する態様で具体化または実行されてもよい。
【0027】
添付の図面を参照して、非限定的な例として、本開示の実施形態が記載される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1A】実施形態に係るキャリアアグリゲート信号の個別のキャリアの電力を検出するための電子システムの概略図である。
図1B】別の実施形態に係るキャリアアグリゲート信号の個別のキャリアの電力を検出するための例示的な電子システムの概略図である。
図1C】別の実施形態に係るキャリアアグリゲート信号の個別のキャリアの電力を検出するための例示的な電子システムの概略図である。
図2A】実施形態に係るアップリンクキャリアアグリゲーションおよび個別のキャリアの電力検出を用いる電子システムの概略図である。
図2B】別の実施形態に係るアップリンクキャリアアグリゲーションおよび個別のキャリアの電力検出を用いる電子システムの概略図である。
図2C】別の実施形態に係るアップリンクキャリアアグリゲーションおよび個別のキャリアの電力検出を用いる電子システムの概略図である。
図2D】ある実施形態に係る例示的な電子モジュールの概略図である。
図2E】ある実施形態に係る例示的な電子モジュールの概略図である。
図2F】ある実施形態に係る例示的な電子モジュールの概略図である。
図2G】ある実施形態に係る例示的な電子モジュールの概略図である。
図3A】実施形態に係るアップリンクキャリアアグリゲーションおよび個別のキャリアの電力検出を用いる電子システムの概略図である。
図3B】別の実施形態に係るアップリンクキャリアアグリゲーションおよび個別のキャリアの電力検出を用いる電子システムの概略図である。
図3C図3Bの電子システムにおける非重複送信を用いる時分割二重化のタイミングおよび関連の電力消費の説明図である。
図4A】別の実施形態に係るアップリンクキャリアアグリゲーションおよび個別のキャリアの電力検出を用いる電子システムの概略図である。
図4B図4Aの電子システムにおける重複送信を用いる時分割二重化のタイミングおよび関連の電力消費の説明図である。
図5A】別の実施形態に係るアップリンクキャリアアグリゲーションおよび個別のキャリアの電力検出を用いる電子システムの概略図である。
図5B】別の実施形態に係るキャリアアグリゲーションおよび個別のキャリアの電力検出を用いる電子システムの概略図である。
図5C】別の実施形態に係るキャリアアグリゲーションおよび個別のキャリアの電力検出を用いる電子システムの概略図である。
図6A】実施形態に係る閉ループ電力制御システムの概略図である。
図6B】実施形態に係るキャリアアグリゲート信号の個別のキャリアの電力を制御する説明的な処理のフロー図である。
図6C】別の実施形態に係る閉ループ電力制御システムの概略図である。
図7】本明細書中に議論されるアグリゲート信号の個別のキャリアの電力検出の特徴のいずれかの組合せを含み得る例示的なワイヤレス通信装置の概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
ある実施形態の詳細な説明
ある実施形態の以下の詳細な説明は、具体的な実施形態のさまざまな説明を提示する。しかし、本明細書中に記載されるイノベーションは、たとえば、請求項によって規定および包含されるような多数の異なる方法で実施可能である。この説明では、同様の参照番号および/または記号は同一のまたは機能的に同様の要素を示し得る図面を参照する。図面に示される要素は必ずしも一定の縮尺で描かれているとは限らないことが理解されるであろう。さらに、ある実施形態は、図面に示されるよりも多い要素、および/または図面に示される要素のサブセットを含んでもよいことが理解されるであろう。さらに、いくつかの実施形態は、2つ以上の図面からの特徴の任意の好適な組合せを組込んでもよい。
【0030】
上述のように、アドバンストLTEでは、キャリアアグリゲーションは帯域幅を増加させ、その結果としてデータ送信速度を増加させ得る。キャリアは、LTEシステムにおける無線周波数(RF)信号について約500MHzから約5GHzの範囲内などの、300MHzから300GHzの範囲内の周波数を有する無線周波数信号であり得る。本明細書中に議論されるRF回路は、キャリアアグリゲートRF信号と、キャリアアグリゲート信号の個別のキャリアの電力の表示とを提供し得る。キャリアアグリゲーションは、周波数分割二重化(FDD)および時分割二重化(TDD)の両方に用いられ得る。複数のキャリアまたはチャネルがキャリアアグリゲーションでアグリゲートされ得る。たとえば、あるアプリケーションでは最大5個のキャリアがアグリゲートされ得る。キャリアアグリゲーションは、同じ動作周波数帯域内の隣接キャリアがアグリゲートされる隣接アグリゲーションによって実現され得る。キャリアアグリゲーションは、代替的にまたは追加的に隣接していなくてもよく、共通帯域内でまたは異なる帯域内で周波数が分離されたキャリアを含んでもよい。有利なことに、キャリアアグリゲーションは、比較的高いピークデータ速度、セル内のすべてのユーザに対して増加したデータ速度、およびバースト的アプリケーションについてより大容量を提供し得る。
【0031】
アドバンストLTEシステムのためのアップリンクキャリアアグリゲーションは、同時に送信される複数のキャリアの電力制御から利益を得ることができる。アグリゲートされるキャリアの結合電力が単一のキャリアについての認可電力仕様を超えないようにキャリア電力を制御することが有利であり得る。これは、たとえば、あるアプリケーションにおいてキャリア毎に約3dBの電力低減をもたらし得るが、全電力が指定制限内に維持されるように異なり得る。
【0032】
本開示は、アグリゲートされるキャリアの個別のキャリアの電力を検出するための方法、システム、および装置を提供する。したがって、アグリゲートされるキャリアの2つ以上の個別のキャリアについて別個の電力測定が行なわれ得る。これにより、正確な電力検出と、アグリゲートされるキャリアの全電力を指定制限内に維持するようにアグリゲートされるキャリアの個別の各キャリアを制御することとを提供することができる。そのような方法は、FDDシステムおよび/またはTDDシステムにおいて、帯域間キャリアアグリゲーションおよび/または帯域内キャリアアグリゲーションにおいて、さまざまな帯域間隔を有するキャリアアグリゲーションおよび/またはシステムにおいて、ターゲット出力電力が変化するシステムにおいて、等で実現され得る。アグリゲートされるキャリアの個別のキャリアの電力および対応のシステムを検出および/または制御する方法は、とりわけ、システムの種類(たとえばFDDシステム対TDDシステム)、キャリアアグリゲーションの特性(たとえば帯域内対帯域間)および/または特定のシステム仕様(たとえばターゲット出力電力)に依存し得る。本明細書中に議論される方法、システム、および/または装置のいずれの好適な原理および利点も、モバイル機器において、および/またはハンドセットから基地局へのアップリンクチャネルに関連して実現され得る。
【0033】
実施形態によると、キャリアアグリゲーションシステムは、電力増幅器などのRF源と、送信出力と、方向性結合器とを含む。電源の各々は別個のキャリアと関連付けられている。送信出力は、RF源と関連付けられる別個のキャリアのアグリゲーションを含むキャリアアグリゲート信号を提供し得る。方向性結合器は、別個のキャリアのうちの1つのRF電力の表示を提供するように配置される。
【0034】
各キャリアの無線周波数(RF)出力電力がシステム仕様を満たすように調節され得るように、RF方向性結合器を介した電力結合、電力検出、および閉ループフィードバックを実現する例示的なシステムアーキテクチャが提供される。パッケージ化された電子部品は、本明細書中に議論される実施形態の1つ以上に従う電力増幅器と、方向性結合器と、スイッチとを含み得る。そのようなパッケージ化された部品はさらに、ある実現例ではフィルタおよび/またはダイプレクサおよび/またはトリプレクサを含み得る。
【0035】
図1Aは、実施形態に係るキャリアアグリゲート信号の個別のキャリアの電力を検出するための電子システム1の概略図である。キャリアアグリゲート信号を提供するように配置される電子システムは、キャリアアグリゲーションシステムと称され得る。図示されるように、電子システム1は、RF源2Aから2Nと、アグリゲーションおよび処理回路3と、RF源と関連付けられる2つ以上の別個のキャリアのアグリゲーションを含むキャリアアグリゲート信号を提供するように構成される送信出力と4を含む。RF源2Aから2Nの各々は別個のキャリアと関連付けられている。RF源2Aから2Nの各々は電力増幅器を含み得る。任意の好適な数のRF源2Aから2Nが実現され得る。アグリゲーションおよび処理回路3は、RF源2Aから2NからRF信号を受信し、キャリアアグリゲート信号を送信出力4に提供し得る。送信出力4は、キャリアアグリゲート信号を提供するように配置される任意の好適な送信出力であり得る。送信出力4は、キャリアアグリゲート信号を送信するように配置されるアンテナに電気的に結合され得る。送信出力4は、アンテナに結合された周波数マルチプレクサの端子であり得る。送信出力4は、アンテナに結合された方向性結合器12のポートであり得る。
【0036】
アグリゲーションおよび処理回路3は方向性結合器12を含み得る。終端インピーダンス13(たとえば終端抵抗器)が方向性結合器12の分離ポートに電気的に接続され得る。方向性結合器12は、結合ポートCPLにおいて別個のキャリアのうちの選択された1つのRF電力の表示を提供し得る。検出出力は、アグリゲートされるキャリアの個別のキャリアの電力の表示を提供するための任意の好適な出力であり得る。方向性結合器12の結合ポートCPLは、アグリゲートされるキャリアの個別のキャリアの電力の表示を提供するための検出出力として作用し得る。いくつかの他の実現例では、電力検出器が方向性結合器の結合ポートCPLに結合され、電力検出器の出力が検出出力として作用し得る。別の実現例によると、周波数多重化回路の出力が検出出力として作用し得、周波数多重化回路は方向性結合器と2つ以上の電力検出器との間に結合される。
【0037】
アグリゲーションおよび処理回路3の1つ以上の方向性結合器を用いて、キャリアアグリゲート信号の別個の各キャリアの正確な電力検出を実現することができ、これを用いて、キャリアアグリゲート信号の全電力を指定制限内に制御するおよび/または維持することができる。アグリゲーションおよび処理回路3は、RF源2Aから2Nからの信号を処理するための、および/またはRF源2Aから2Nからの信号をアグリゲートするためのその他の好適な回路を含み得る。たとえば、少なくとも1つの方向性結合器12に加えて、アグリゲーションおよび処理回路3は、1つ以上のRFスイッチと、1つ以上の帯域制限フィルタと、1つ以上のデュプレクサと、1つ以上の周波数多重化回路(たとえば1つ以上のダイプレクサおよび/もしくは1つ以上のトリプレクサ)、またはそれらのいずれかの組合せを含み得る。
【0038】
図1Bおよび図1Cは、ある実施形態に係るキャリアアグリゲート信号の個別のキャリアの電力を検出するための例示的な電子システムの概略図である。これらの電子システムの各々は、図1Aのアグリゲーションおよび処理回路3に関する付加的な詳細を含み、さらにアンテナ19を含む、図1Aの電子システム1の例である。図1Bおよび図1Cの電子システムの各々は、RF源と、送信出力と、少なくとも1つの方向性結合器とを含む。図示されるように、これらのシステムは周波数多重化回路をさらに含む。電力増幅器などのRF源の各々は別個のキャリアと関連付けられている。送信出力は、RF源と関連付けられる別個のキャリアの2つ以上のアグリゲーションであるキャリアアグリゲート信号を提供するように構成される。方向性結合器は、別個のキャリアのうちの選択された1つのRF電力の表示を提供するように構成される。
【0039】
図1Bは、実施形態に係るキャリアアグリゲート信号の個別のキャリアの電力を検出するための電子システム5の概略図である。図1Bに示されるように、電子システム5は、RF源2Aおよび2Bと、それぞれ終端インピーダンス13Aおよび13Bを有する方向性結合器12Aおよび12Bと、周波数多重化回路6(たとえばダイプレクサ)と、アンテナ19とを含む。送信出力4はキャリアアグリゲート信号をアンテナ19に提供し得、キャリアアグリゲート信号は、RF源2Aおよび2Bと関連付けられる別個のキャリアのアグリゲーションである。図示されるように、送信出力は、アンテナ19に電気的に結合される周波数多重化回路6の端子であり得る。キャリアアグリゲート信号は、FDDキャリアアグリゲート信号またはTDDキャリアアグリゲート信号であり得る。
【0040】
方向性結合器12Aおよび12Bは、それぞれ結合ポートCPLAおよびCPLBにおいて個別のキャリアについてのRF電力の表示を提供し得る。これらの結合ポートの各々は、送信出力において提供されるアグリゲートされるキャリアの個別のキャリアの電力の表示を提供するための検出出力として作用し得る。RF電力の表示は、キャリアアグリゲートされない信号がアンテナ19に提供される単一のキャリアの場合にも提供され得る。各方向性結合器12Aおよび12Bは、それぞれRF源2Aおよび2Bのそれぞれのキャリアと関連付けられる特定の周波数範囲でのパフォーマンスのために構成され得る。さらに、電子システム5の方向性結合器12Aおよび12Bは、当該方向性結合器が、アンテナ19と関連付けられる経路が存在する場合に当該経路に影響を与えるべきでないように配置され得る。
【0041】
図1Bでは、方向性結合器12Aおよび12Bの各々は、それぞれRF源2Aおよび2Bと周波数多重化回路6との間の信号経路内に配置される。図1Bには示されていないが、それぞれの方向性結合器12Aおよび12Bの各々と周波数多重化回路6との間の信号経路内に1つ以上のRFスイッチおよびフィルタがさらにあってもよい。そのような回路の例は図2Aから図2Cに示されている。さらに、2つよりも多いキャリアがアグリゲートされてもよく、本明細書中に議論される原理および利点に従ってアグリゲートされる別個のキャリア毎に同様の経路があってもよい。
【0042】
図1Cは、別の実施形態に係るキャリアアグリゲート信号の個別のキャリアの電力を検出するための電子システム7の概略図である。図1Cに示されるように、電子システム7は、RF源2Aおよび2Bと、周波数多重化回路6(たとえばダイプレクサ)と、終端インピーダンス13を有する方向性結合器12と、アンテナ19とを含む。アンテナ19に提供されるキャリアアグリゲート信号は、RF源2Aおよび2Bと関連付けられる別個のキャリアのアグリゲーションであり得る。図示されるように、送信出力は、アンテナ19に電気的に結合される方向性結合器12のポートであり得る。キャリアアグリゲート信号は、TDDキャリアアグリゲート信号であり得る。
【0043】
単一の方向性結合器12が、アンテナ19に提供されている個別のキャリアと関連付けられる結合ポートCPLにおいて、当該個別のキャリアについてのRF電力の表示を提供し得る。電子システム7は、周波数多重化回路6によって提供されるキャリアアグリゲート信号の個別の各キャリアと関連付けられる電力の表示を提供し得る単一の方向性結合器12を用いて実現され得る。非重複送信を用いるTDDキャリアアグリゲーションを用いるアプリケーションなどのある実現例では、キャリアアグリゲート信号の個別の各キャリアと関連付けられる電力を検出する単一の電力検出器が、方向性結合器12に関連して実現され得る。重複送信を用いるTDDキャリアアグリゲーションを用いるアプリケーションなどのいくつかの他の実現例によると、方向性結合器12と複数の電力検出器との間にデュプレクサまたはデュプレックスフィルタなどが配置されてもよい。
【0044】
図1Cに示されるように、方向性結合器12は、周波数多重化回路6とアンテナ19との間の信号経路内に配置される。図1Cには示されていないが、方向性結合器12とアンテナ19との間の信号経路内に、1つ以上のRFスイッチなどの他の回路要素がさらにあってもよい。そのような回路の例は図4Aに示されている。さらに、それぞれのRF源2Aおよび2Bと周波数多重化回路6との間の信号経路内に付加的な回路が配置されてもよい。そのような特徴の例は図3Bおよび図4Aに示されている。
【0045】
FDDおよび/またはTDDシステムのための帯域間キャリア電力検出は、アグリゲートされるキャリアの個別のキャリアの信号経路内に位置する複数の方向性結合器を用いて実現され得る。各方向性結合器は、個別のキャリアのそれぞれの電力増幅器と、バンドパスフィルタであり得る1つ以上の対応する帯域制限フィルタとの間に配置され得る。帯域制限フィルタは、それぞれの電力増幅器と関連付けられる無線周波数信号を、1つ以上の他の電力増幅器からの無線周波数信号から分離し得る。帯域制限フィルタは、帯域外放射を緩和する、受信帯域ノイズを除去する、電力増幅器の内部に相互変調(IM)積を生成し得る帯域外ブロッカーを拒絶することなどができ、またはそれらのいずれかの組合せが可能である。これはキャリアアグリゲーションにおける交互の送信から普及している可能性があり、そのようなIM積は他の送信および/または受信との干渉を引起こし得る。電力増幅器出力と帯域制限フィルタとの間に方向性結合器を有すると、他のキャリアの1つ以上からの干渉なしでキャリア毎に同時の電力測定を行うことが可能となり得る。
【0046】
図2Aから図2Cは、キャリア毎の電力増幅器とそれぞれの帯域制限フィルタとの間の信号経路内に方向性結合器を含む例示的な電子システムを示す。図2Aから図2Cを参照して議論される実施形態のいずれの好適な原理および利点も、互いに関連して、および/または本明細書中に議論されるその他の実施形態に関連して実現され得る。電力増幅器を含む電子システムは電力増幅器システムと称され得る。
【0047】
図2Aは、実施形態に係るキャリアアグリゲーションおよび個別のキャリアの電力検出を用いる電子システム10の概略図である。電子システム10は、FDDおよび/またはTDDのための帯域間キャリア電力検出を実現し得る。電子システム10では、電力増幅器と、帯域選択スイッチまたは送信/受信スイッチなどのRFスイッチとの間に、方向性結合器が配置される。各方向性結合器は、それぞれのキャリアと関連付けられる特定の周波数範囲についてのパフォーマンスを高めるおよび/または最適化するように配置され得る。電子システム10では、図示される方向性結合器12は、アンテナ19と任意の受信経路(図示せず)との間の挿入損失の一因となるべきでない。
【0048】
図示される電子システム10は、電力増幅器11A,11Bと、方向性結合器12A,12Bと、終端インピーダンス13A,13Bと、電力検出器14A,14Bと、RFスイッチ8A,8Bと、フィルタ9A,9Bと、アンテナスイッチ17と、周波数多重化回路6と、アンテナ19とを含む。第1の電力増幅器11Aおよび第2の電力増幅器11Bは無線周波数(RF)信号を提供し得、当該信号は、周波数多重化回路6の出力などの送信出力においてアグリゲートされ、アンテナ19によって送信され得る。電力増幅器11Aおよび11Bは、RF信号を提供するRF源の例である。第1の電力増幅器11Aは第1のキャリアと関連付けられ得る。第1の電力増幅器11Aは第1のキャリアおよび第1の入力信号を受信し、第1の増幅RF信号を提供し得る。第2の電力増幅器11Bは、第1のキャリアとは別個の第2のキャリアと関連付けられ得る。
【0049】
第1の電力増幅器11Aによって提供される第1の増幅RF信号と関連付けられる電力は、第1の方向性結合器12Aおよび第1の電力検出器14Aを用いて検出され得る。50オーム終端抵抗器などの任意の好適な終端インピーダンス13Aが、第1の方向性結合器12Aに電気的に接続され得る。図示されるように、第1の方向性結合器12Aは、第1の電力増幅器11Aとフィルタ9Aとの間の信号経路内に配置され得る。RFスイッチ8Aは、第1の電力増幅器11Aをフィルタ9Aに選択的に電気的に接続し得る。
【0050】
第2の電力増幅器11Bによって提供される第2の増幅RF信号と関連付けられる電力は、第2の方向性結合器12Bを用いて検出され得る。第2の電力検出器14Bは、電子システム10内の第2のキャリアの電力の表示を提供し得る。第2の方向性結合器12Bおよび第2の電力検出器14Bは、第2の電力増幅器11Bによって提供されるRF信号と関連付けられる電力を検出し得る。RFスイッチ8Bは、第2の電力増幅器11Aをフィルタ9Bに選択的に電気的に接続し得る。フィルタ9Aおよび9Bは異なる通過帯域を有し得る。たとえば、フィルタ9Aおよび9Bの通過帯域は、LTE規格によって規定される送信帯域内の異なるサブバンドおよび/またはLTE規格によって規定される異なる送信帯域に対応し得る。RFスイッチ8A,8BはマルチスローRFスイッチであり得る。
【0051】
アンテナスイッチ17は、第1のフィルタ9Aおよび/または第2のフィルタ9Bを周波数多重化回路6に選択的に電気的に接続し得る。周波数多重化回路6は、キャリアアグリゲート信号を送信するためにアンテナ19に提供し得る。
【0052】
図2Bは、実施形態に係るアップリンクキャリアアグリゲーションおよび個別のキャリアの電力検出を用いる電子システム10′の概略図である。電子システム10′は、FDDおよび/またはTDDのための帯域間キャリア電力検出を実現し得る。電子システム10′では、マルチモード・マルチバンド(MMMB)電力増幅器と帯域選択スイッチとの間に方向性結合器が配置される。図2Bに示される回路は、キャリアアグリゲーション動作における、かつ単一のキャリア動作のための、個別のキャリアと関連付けられる結合電力経路を提供し得る。各方向性結合器は、それぞれのキャリアと関連付けられる特定の周波数範囲についてのパフォーマンスを高めるおよび/または最適化するように配置され得る。たとえば、方向性結合器の分離ポートに提供される終端インピーダンスが、対応する電力増幅器によって提供されるRF信号の特定の周波数範囲と関連付けられるインピーダンスを有するように選択され得る。電子システム10′では、アンテナと受信経路との間に方向性結合器は存在しない。これにより、アンテナからの受信信号と関連付けられる損失を低減させることができる。
【0053】
図示される電子システム10′は、電力増幅器11A,11Bと、方向性結合器12A,12Bと、終端インピーダンス13A,13Bと、電力検出器14A,14Bと、帯域選択スイッチ15A,15Bと、デュプレクサ16A,16Bと、アンテナスイッチ17A,17Bと、ダイプレクサ18と、アンテナ19とを含む。図2Bに示される回路では、第1の電力増幅器11Aおよび第2の電力増幅器11Bは無線周波数(RF)信号を提供し得、当該信号はアグリゲートされ、アンテナ19によって送信され得る。図2Bは、電力増幅器11Aおよび11Bによって提供される例示的な信号の周波数領域と、アンテナ19によって提供される例示的なキャリアアグリゲート送信信号の周波数領域とを示す。電力増幅器11Aおよび11Bは、RF信号を提供するRF源の例である。第1の電力増幅器11Aは第1のキャリアと関連付けられ得る。第1の電力増幅器11Aは第1のキャリアおよび第1の入力信号を受信し、第1の増幅RF信号を提供し得る。第2の電力増幅器11Bは、第1のキャリアとは別個の第2のキャリアと関連付けられ得る。
【0054】
第1の電力増幅器11Aによって提供される第1の増幅RF信号と関連付けられる電力は、第1の方向性結合器12Aおよび第1の電力検出器14Aを用いて検出され得る。50オーム終端抵抗器などの任意の好適な終端インピーダンス13Aが、第1の方向性結合器12Aに電気的に接続され得る。図示されるように、第1の方向性結合器12Aは、第1の電力増幅器11Aと第1のデュプレクサ16Aの送信バンドパスフィルタとの間の信号経路内に配置され得る。図示されるように、第1のデュプレクサ16Aは受信フィルタをさらに含む。帯域選択スイッチ15Aは、第1の電力増幅器11Aまたは他の回路要素を第1のデュプレクサ16Aの送信バンドパスフィルタに選択的に電気的に接続し得る。
【0055】
第2の電力増幅器11Bによって提供される第2の増幅RF信号と関連付けられる電力は、第1の電力増幅器11Aによって提供される第1の増幅RF信号と関連付けられる電力と同時に検出され得る。電子システム10′では、第1の方向性結合器12Aは第1のキャリアの電力の表示を提供し得、第2の方向性結合器12Bは第2のキャリアの電力の表示を提供し得る。加えて、第1の電力検出器14Aは第1のキャリアの電力の表示を提供し、第2の電力検出器14Bは電子システム10′内の第2のキャリアの電力の表示を提供する。第2の方向性結合器12Bおよび第2の電力検出器14Bは、第2の電力増幅器11Bによって提供されるRF信号と関連付けられる電力を検出し得る。図1に示されるように、第2の方向性結合器12Bは、第2の電力増幅器11Bと第2のデュプレクサ16Bの送信バンドパスフィルタとの間の信号経路内に配置され得る。第2のデュプレクサ16Bの送信バンドパスフィルタは、第1のデュプレクサ16Aの送信バンドパスフィルタとは異なる通過帯域を有し得る。たとえば、デュプレクサ16Aおよび16Bの送信バンドパスフィルタの通過帯域は、LTE規格によって規定される送信帯域内の異なるサブバンドに対応し得る。帯域選択スイッチ15Bは、第2の電力増幅器11Bまたは他の回路要素を第2のデュプレクサ16Bの送信バンドパスフィルタに選択的に電気的に接続し得る。帯域選択スイッチ15A,15BはマルチスローのRFスイッチであり得る。
【0056】
図示される電子システム10′では、(1)各デュプレクサ16A/16Bの帯域外フィルタリング、(2)アンテナダイプレクサ18の帯域外分離、および(3)方向性結合器12Aまたは12Bのフォワードポートの、残余の干渉キャリアの後進波への指向性、の1つ以上によって提供される分離によって、検出された各キャリア信号の他のキャリアからの比較的高い分離が提供され得る。
【0057】
第1のアンテナスイッチ17Aは、第1のデュプレクサ16Aまたは他の回路要素(たとえば異なる動作帯域と関連付けられる別のデュプレクサ)をダイプレクサ18に選択的に電子的に接続し得る。第2のアンテナスイッチ17Bは、第2のデュプレクサ16Bまたは他の回路要素をダイプレクサ18に選択的に電気的に接続し得る。ダイプレクサ18は、それぞれアンテナスイッチ17A,17Bによってたとえばデュプレクサ16A,16Bから受信したRF信号の周波数領域多重化を実現可能な周波数領域多重化回路である。
【0058】
電子システム10′は、ダイプレクサ18を介して結合されるFDDデュプレックスフィルタを示す。電子システム10′を参照して議論されるいずれの好適な原理および利点も、帯域毎の付加的な送信/受信スイッチおよび/もしくは各帯域選択スイッチ内の付加的な送信/受信スローを有する表面弾性波(SAW)フィルタ、バルク弾性波(BAW)フィルタ、ならびに/または薄膜バルク弾性共振器(FBAR)フィルタなどの他の電子システムに関連して実現され得る。
【0059】
図2Cは、別の実施形態に係るキャリアアグリゲーションおよび個別のキャリアの電力検出を用いる電子システム10″の概略図である。電子システム10″は図2Aの電子システム10と同様であり、図2AのRFスイッチ8Aおよび8Bがそれぞれ送信/受信スイッチ21Aおよび21Bによって実現されており、アンテナスイッチ17が示されておらず、図2Aの周波数多重化回路6がダイプレクサ18によって実現されている。電子システム10″は、送信/受信スイッチ21Aおよび21Bがそれぞれ帯域選択スイッチ15Aおよび15Bの代わりに実現されていること、スイッチとダイプレクサ18との間の信号経路に対応する変更がなされていること、かつアンテナスイッチ17が示されていないこと以外は、図2Bの電子システム10′と同様である。電子システム10″のいくつかの実施形態は、フィルタ9Aおよび9Bとダイプレクサ18との間の信号経路内にアンテナスイッチ17を含み得る。
【0060】
電子システム10″は、送信/受信スイッチ21Aおよび21Bとダイプレクサ18のそれぞれのポートとの間の信号経路内にフィルタ9Aおよび9Bを含む。対照的に、図2Bの電子システム10′は、図2Bの帯域選択スイッチ15Aおよび15Bとダイプレクサ18のそれぞれのポートとの間に電気的に結合される複数のデュプレクサおよびRFスイッチを含む。電子システム10″は、受信経路の低ノイズ増幅器22Aおよび22Bをさらに示す。図2Cに示されるフィルタ9Aおよび9Bの各々は、特定のキャリアと関連付けられる周波数を通過させるようにターゲット化され得る。たとえば、フィルタ9Aは、ある実現例ではバンド39キャリアと関連付けられる周波数を通過させるように構成され得る。いくつかのそのような実現例によると、ダイプレクサ18はキャリアアグリゲート信号をアンテナに提供し得、キャリアアグリゲート信号はバンド39キャリアをバンド41キャリアでアグリゲートする。
【0061】
図2Aから図2Cの電子システムなどの本明細書中に議論される電子システムは、さまざまな電子モジュールにおいて実現され得る。RF信号を処理するように構成される電子モジュールはRFモジュールと称され得る。1つ以上の電力増幅器を含む電子モジュールは電力増幅器モジュールと称され得る。電子モジュールは、パッケージ基板上に複数の部品を含むパッケージ化モジュールであり得る。いくつかのそのようなパッケージ化モジュールはマルチチップモジュールであり得る。図2D図2E図2Fおよび図2Gは、ある実施形態に係る例示的な電子モジュールの概略図である。電子モジュールは、本明細書中に議論される原理および利点のいずれかに従って実現され得る。本明細書中に議論される電子システムのいずれかの特徴のいくつかまたはすべては電子モジュールにおいて実現され得る。
【0062】
図2Dは、実施形態に係る例示的な電子モジュール25の概略図である。電子モジュール25は、図2Cの電子システム10″の一部を実現し得る。図示されるように、電子モジュール25は、電力増幅器11と、終端インピーダンス13を有する方向性結合器12と、送信/受信スイッチ21と、制御回路26とを含む。電子モジュール25は、RF入力を受信して送信するように構成されるコンタクトRF_IN(たとえばピン、バンプなど)を有する。電子モジュール25は、電力増幅器11によって提供されるRF信号と関連付けられるRF電力の表示を提供するように配置されるコンタクトCPL_OUTと、受信信号を提供するように配置されるコンタクトRXと、RF送信出力を提供するように構成されるコンタクトRF_OUTとを有する。あるアプリケーションでは、電子モジュール25を用いて、バンド39/バンド41アップリンクキャリアアグリゲーションシステムにおいてバンド39キャリアを提供することができる。
【0063】
図2Eは、実施形態に係る例示的な電子モジュール25′の概略図である。電子モジュール25′は、図2Bの電子システム10′の一部を実現し得る。図示されるように、電子モジュール25′は、電力増幅器11Aおよび11Bと、それぞれ終端インピーダンス13Aおよび13Bを有する方向性結合器12Aおよび12Bと、電力検出器14Aおよび14Bと、RFスイッチ15Aおよび15Bとを含む。
【0064】
図2Fは、実施形態に係る例示的な電子モジュール25″の概略図である。電子モジュール25″は、図2Bの電子システム10′の一部を実現し得る。電子モジュール25″は、電子モジュール25″がフィルタバンク27Aおよび27Bをさらに含むこと以外は図2Eの電子モジュール25′と同様である。フィルタバンク27Aおよび27Bは、任意の好適なフィルタリングを実現し得る。たとえば、フィルタバンク27Aおよび27Bの各々は、送信フィルタのバンクを実現し得る。別の例として、フィルタバンク27Aおよび/または27Bは送信および受信フィルタを実現し得る。ある実施形態では、フィルタバンク27Aおよび27Bは図2Bの電子システム10′のデュプレクサを実現し得る。
【0065】
図2Gは、実施形態に係る例示的な電子モジュール25″′の概略図である。電子モジュール25″′は、図2Bの電子システム10′の一部を実現し得る。電子モジュール25″′は、電子モジュール25″′がアンテナスイッチ17Aおよび17Bをさらに含むこと以外は図2Fの電子モジュール25″と同様である。
【0066】
TDDシステムでは、各キャリアの送信スロットタイミングが別のキャリアと重複しないときに、単一の方向性結合器が各キャリアと関連付けられるRF電力を検出し得る。したがって、各キャリアは、別のチャンネルが受信モードまたは待機モードにある間に送信可能である。これにより、非重複送信TDDシステムのための精密な電力検出を実現することができる。
【0067】
図3Aおよび図3Bは、ある実施形態に係るアップリンクキャリアアグリゲーションおよび個別のキャリアの電力検出を用いる電子システムの概略図である。これらの電子システムは、非重複送信TDDキャリアアグリゲーション信号を送信するように構成されるシステムにおいてアグリゲートキャリアの個別のキャリアの電力検出を実現し得る。個別のキャリアと関連付けられる送信同士が重複しないようにキャリアアグリゲーションが制御される場合、有効なアップリンクおよびダウンリンクデータ速度は増加し得る。個別のキャリアの電力は異なる時間に検出され得、各キャリアの検出電力の表示を用いてそれぞれのキャリアの電力を制御することができる。非重複送信を用いるTDDは、一度に1つの電力増幅器のみをオンにすることによってピーク電力供給/バッテリ電流を制限し得る。図3Aおよび図3Bの電子システムの各々は、単一の方向性結合器12および単一の電力検出器14を含み、各キャリアの閉ループ電力制御を提供するために個別のキャリアの電力の表示を提供する。ある実施形態によると、図3Aおよび/または図3Bのシステムは、キャリアアグリゲーションモードで、かつ単一のキャリアモードで動作可能である。そのようなシステムでは常に1つのTDDキャリアしか送信できないため、単一のキャリア信号およびアグリゲートキャリア信号のいずれか一方のために1つの方向性結合器12が用いられ得る。
【0068】
図3Aは、実施形態に係るアップリンクキャリアアグリゲーションおよび個別のキャリアの電力検出を用いる電子システム20の概略図である。図示されるように、電子システムは、TDD経路28と、RF経路29Aから29Nと、アンテナスイッチ24と、終端インピーダンス13を有する方向性結合器12と、電力検出器14と、アンテナ19とを含む。TDD経路28は、TDDキャリアアグリゲート信号をアンテナスイッチ24に提供するように構成される。TDDキャリアアグリゲート信号は、非重複TDDキャリアアグリゲート信号であり得る。RF信号経路29Aから29Nの各々は、アクティブであるときにアンテナスイッチ24にRF信号を提供し得る。任意の好適な数のRF信号経路が実現され得る。RF信号経路29Aから29Nは、TDDキャリアアグリゲーション信号経路および/またはFDDキャリアアグリゲーション信号経路であり得る。アンテナスイッチ24は、選択された信号経路をアンテナ19に電気的に結合し得る。第1の状態では、アンテナスイッチ24はTDD経路28をアンテナ19に電気的に結合し得る。アンテナスイッチ24が第1の状態にあるとき、方向性結合器12は、TDD経路28によって送信されている個別のキャリアと関連付けられるRF電力の表示を提供し得る。方向性結合器12はさらに、アンテナスイッチ24の異なる状態においてアンテナ19に電気的に結合されるRF経路29Aから29Nと関連付けられる電力の表示を提供し得る。
【0069】
図3Bは、実施形態に係るアップリンクキャリアアグリゲーションおよび個別のキャリアの電力検出を用いる電子システム20′の概略図である。電子システム20′は、非重複送信TDDキャリアアグリゲーションシステムにおけるアグリゲートキャリアの個別のキャリアの電力検出を実現し得る。図示される電子システム20′は、電力増幅器11A,11Bと、送信/受信スイッチ21A/21Bと、低ノイズ増幅器22A/22Bと、バンドパスフィルタ23A,23Bと、ダイプレクサ18と、RF信号経路29A,29Bおよび29Cと、アンテナスイッチ24と、方向性結合器12と、終端インピーダンス13と、電力検出器14と、アンテナ19とを含む。図3Cは、図3Bの電子システム20′における非重複送信を用いる時分割二重化のタイミングおよび関連の電力消費の説明図である。第1のキャリアと関連付けられるRF経路は、第1の送信/受信スイッチ21Aが送信モードに対応する状態にあるとき、かつ第2の送信/受信スイッチ21Bが受信モードに対応する状態にあるとき、図示されるように送信モードにあり得る。送信/受信スイッチ21Aおよび21Bは、図3Cのタイミング図に従って送信モードおよび受信モードを交互に行い得る。方向性結合器12は、第1のキャリアがアンテナ19を介して送信されているときに第1のキャリアと関連付けられるRF電力の表示を提供し得、第2のキャリアがアンテナ19を介して送信されているときに第2のキャリアと関連付けられるRF電力の表示を提供し得る。第1のキャリアおよび第2のキャリアの送信/受信モードを示す信号に基づいて、電力制御システム(たとえば図6Aの電力制御システムまたは図6Cの電力制御システム)が、アグリゲートキャリアのどのキャリアが方向性結合器12の出力および電力検出器14の出力と関連付けられているかを検出し得る。
【0070】
図3Bに示されるように、アンテナスイッチ24はTDDキャリアアグリゲーション信号経路28をアンテナ19に電気的に結合し得る。アンテナスイッチ24は、他の状態にあるときに、RF信号経路29A,29Bまたは29Cのうちの選択された1つをアンテナ19に電気的に結合し得る。RF信号経路29Aから29Cのいずれも、たとえば、TDDキャリアアグリゲーション信号経路28のような非重複TDDキャリアアグリゲーション信号経路を実現し得る。代替的にまたは追加的に、RF信号経路29Aから29Cのいずれも、重複TDDキャリアアグリゲーション信号経路、FDDキャリアアグリゲーション信号経路、または単一のキャリア信号経路を実現し得る。
【0071】
図示される電子システム20′は、ダイプレクサ18を介して結合される個別のSAWフィルタを用いて実現され得る。電子システム20′を参照して議論されるいずれの好適な原理および利点も、単一のSAWデュプレクサ、単一のBAWデュプレクサ、または単一のFBARデュプレクサを有する電子システムなどの他の電子システムに関連して実現され得る。
【0072】
両キャリアの送信が同時に起こり得るTDDシステムでは、結合信号がダイプレクサおよび/またはデュプレックスフィルタによって分離されると、単一の方向性結合器が、各キャリアと関連付けられるRF電力を検出し得る。別個の電力検出器が、別個のキャリアと関連付けられる結合信号を受信し得る。別個の電力検出器の各々は、より複雑な同調受信機に基づく電力検出器ではなく、ある実現例では比較的単純な電力検出器であり得る。
【0073】
図4Aは、実施形態に係るアップリンクキャリアアグリゲーションおよび個別のキャリアの電力検出を用いる電子システム30の概略図である。電子システム30は、個別のキャリアが同時に送信されるTDDシステムにおいて、アグリゲートキャリアの個別のキャリアの電力検出を実現し得る。方向性結合器の結合ポートに電気的に接続される比較的低電力のデュプレクサまたはダイプレクサフィルタを有すると、各アグリゲートキャリアを、各キャリアの電力を制御するために分離し、独立して処理することが可能となり得る。キャリアアグリゲート方向性結合器12の挿入損失は、電子システム30におけるキャリアアグリゲート経路32にしか影響し得ない。したがって、他のRF信号経路29Aから29Cは、図示される方向性結合器12の挿入損失に影響されるべきでない。他の標準的なキャリアを含むことは、付加的な損失または複雑度を追加すべきでない。
【0074】
図示される電子システム30は、キャリアアグリゲート経路32と、他のRF信号経路29Aから29Cと、アンテナスイッチ32と、アンテナ19とを含む。図示されるように、キャリアアグリゲート経路32は、電力増幅器11A,11Bと、送信/受信スイッチ21A/21Bと、低ノイズ増幅器22A/22Bと、バンドパスフィルタ23A,23Bと、ダイプレクサ18と、方向性結合器12と、終端インピーダンス13と、電力検出ダイプレクサ31とを含む。電子システム30では、アンテナ選択スイッチ32は方向性結合器12とアンテナ19との間の信号経路内に配置され得る。アンテナ選択スイッチ32は、選択された信号経路をアンテナ19に電気的に結合し得る。他のRF信号経路29Aから29Cは、本明細書中に議論されるRF信号経路と関連付けられる原理および利点のいずれかに従って実現され得る。他のRF信号経路29Aから29Cの1つ以上はキャリアアグリゲート信号経路であり得る。代替的にまたは追加的に、他のRF信号経路29Aから29Cの1つ以上は単一のキャリア信号経路であり得る。
【0075】
図4Bは、図4Aの電子システム30における重複送信を用いる時分割二重化のタイミングおよび関連の電力消費の説明図である。図4Bに示されるように、第1のキャリアと関連付けられる第1のRF経路および第2のキャリアと関連付けられる第2のRF経路は同時に送信モードにあり得る。これら2つのRF経路は、図4Aのキャリアアグリゲート経路32に含まれ得る。アグリゲートキャリアのRF電力の表示は、方向性結合器12によって提供され得る。ダイプレクサ31はアグリゲートキャリアのRF電力の表示を周波数多重化して、第1のキャリアのRF電力の表示を第1の電力検出器に、第2のキャリアのRF電力の表示を第2の電力検出器に提供し得る。
【0076】
図示される電子システム30は、ダイプレクサ18を介して結合される個別のSAWフィルタを用いて実現され得る。電子システム30を参照して議論されるいずれの好適な原理および利点も、単一のSAWデュプレクサ、単一のBAWデュプレクサ、または単一のFBARデュプレクサを有する電子システムなどの他の電子システムに関連して実現され得る。
【0077】
1つよりも多い帯域と関連付けられるキャリアを含む帯域間キャリアアグリゲート信号を送信するTDDシステムおよび/またはFDDシステムでは、電力増幅器とサブバンド周波数制限フィルタとの間の信号経路内に位置する独立した方向性結合器を用いて電力制御方法が実現され得る。アグリゲートされ得る1つよりも多い帯域の例は、(a)ローバンド(LB)(たとえば699MHz〜915MHz)およびミッドバンド(MB)(たとえば1710MHz〜2025MHz)、(b)LBおよびハイバンド(HB)(たとえば2300MHz〜2695MHz)、ならびに(c)MBおよびHBを含むが、これらに限定されない。サブバンド周波数制限フィルタリングは、LBとMBとを組合わせるために用いられるダイプレクサ、1つのデュプレクサもしくは複数のデュプレクサおよび帯域選択スイッチ、TDD帯域制限フィルタ、LBおよびMBおよびHBトリプレクサ、アンテナ分離による電力絶縁、またはそれらのいずれかの組合せによって実現され得る。
【0078】
図5Aは、実施形態に係るアップリンクキャリアアグリゲーションおよび個別のキャリアの電力検出を用いる電子システム40の概略図である。電子システム40は、TDDおよび/またはFDDシステムにおけるアグリゲートキャリアの個別のキャリアの電力検出を実現し得る。ダイプレクサまたはトリプレクサなどの周波数多重化回路は、ローバンド、ミッドバンドおよびハイバンド周波数同士の間の分離を提供し、個別のキャリアと関連付けられる方向性結合器を、2つ以上の他の個別のキャリアと関連付けられる交互のアグリゲートキャリアから分離し得る。方向性結合器よりも電力検出器が少ないシステムにおいて、異なる方向性結合器から選択するスイッチが用いられてもよい。各方向性結合器は、パフォーマンスを向上させるために特定の周波数範囲(たとえばローバンド、ミッドバンドまたはハイバンド周波数範囲)についてのパフォーマンスを高めるおよび/または最適化するように構成され得る。
【0079】
図示される電子システム40は、電力増幅器11A,11B,11Cと、スイッチ41A,41B,41Cと、デュプレクサ42A,42B,42Cと、スイッチ43A,43B,43Cと、方向性結合器12A,12B,12Cと、終端インピーダンス13A,13B,13Cと、選択スイッチ44と、電力検出器14と、トリプレクサ45と、アンテナ19とを含む。電力増幅器11A,11Bおよび11Cの各々は、異なるキャリアと関連付けられる増幅RF信号を送信し得る。スイッチ41A,41Bおよび41Cは、それぞれのスイッチ43A,43Bおよび43Cとともに、それぞれの電力増幅器11A,11Bおよび11Cをデュプレクサ42A,42Bおよび42Cによってそれぞれの方向性結合器12A,12Bおよび12Cに電気的に結合し得る。デュプレクサ42Aは、各々が異なる周波数帯域および/または他のフィルタリング特性(たとえば帯域外減衰、帯域内減衰、等)と関連付けられるデュプレクサのバンクによって実現され得る。同様に、デュプレクサ42Bおよび/または42Cは、各々が異なる周波数帯域および/または他のフィルタリング特性(たとえば帯域外減衰、帯域内減衰、等)と関連付けられるデュプレクサのバンクによって実現され得る。
【0080】
方向性結合器12A,12Bおよび12Cの各々は、それぞれのキャリアと関連付けられるRF電力の表示を提供し得る。終端インピーダンス13A,13Bおよび13Cは、それぞれの方向性結合器と関連付けられるキャリアの周波数についてそれぞれの方向性結合器のパフォーマンスを高めるおよび/または最適化するように構成され得る。選択スイッチ44は、選択された方向性結合器12A,12Bまたは12Cを電力検出器14に電気的に結合し得る。したがって、スイッチ44を用いて、複数の方向性結合器12A,12Bおよび12Cの間で単一の電力検出器14を共有することができる。他のスイッチ配置では、方向性結合器は、(a)LBおよびMB、(b)LBおよびHB、ならびに(c)MBおよびHBなど、帯域間キャリアアグリゲーションのさまざまな組合せについて2つの検出器を利用するように配置され得る。別の実施形態(図示せず)では、別個の電力検出器が方向性結合器12A,12Bおよび12C毎に設けられ得る。トリプレクサ45は、キャリアアグリゲート信号と個別のキャリアと関連付けられるRF信号との分離を提供し得る周波数多重化回路である。
【0081】
図示される電子システム40では、(1)各デュプレクサ42A,42Bおよび42Cの帯域外フィルタリング、(2)アンテナトリプレクサ45の帯域外分離、ならびに(3)選択された方向性結合器12Aまたは12Bまたは12Cのフォワードポートの、残余の干渉キャリアの後進波への指向性、によって提供される分離によって、検出された各キャリア信号の他のキャリアからの比較的高い分離が提供され得る。
【0082】
図5Bは、実施形態に係るキャリアアグリゲーションおよび個別のキャリアの電力検出を用いる電子システム40′の概略図である。電子システム40′は、たとえば、ダウンリンクキャリアアグリゲーションシステムにおいて実現され得る。図示されるように、電子システム40′は、電力増幅器11Aおよび11Bと、それぞれ電力増幅器11Aおよび11Bの出力をフィルタリングするように構成されるフィルタ46Aおよび46Bと、スイッチ43A,43Bおよび43Cと、方向性結合器12A,12Bおよび12Cと、結合器終端47A,47Bおよび47Cと、選択スイッチ44と、ダイプレクサ18とを含む。
【0083】
電子システム40′は、図5Aの電子システム40と同様の回路を含む。電子システム40′はダイプレクサ18を含み、LBおよびMBキャリア経路などの、個別のキャリアと関連付けられる3つの図示される経路のうちの2つを組合わせる。対照的に、図5Aの電子システム40はトリプレクサ45を含み、個別のキャリアと関連付けられる3つの経路を組合わせる。
【0084】
結合外(coupled out)出力ポートCPLは、図5Bには示されていない検出器に表示を提供し得る。本明細書中に議論される検出器のいずれも、特定のアプリケーションに依存して、関連付けられる方向性結合器よりも電子モジュールまたは装置の内部または外部で実現され得る。
【0085】
それぞれ方向性結合器12A,12Bおよび12Cと関連付けられる結合器終端47A,47Bおよび47Cは、これらの方向性結合器が、ある状態では順方向電力の表示を、別の状態では逆電力の表示を提供することを可能にし得る。たとえば、結合器終端47A,47Bおよび47Cは、それぞれの終端インピーダンスを異なる状態の異なる結合器ポートに提供し得る。そのような特徴は、本明細書中に議論されるその他の実施形態で適宜実現され得る。
【0086】
図5Cは、実施形態に係るキャリアアグリゲーションおよび個別のキャリアの電力検出を用いる電子システム40″の概略図である。電子システム40″は、たとえば、ダウンリンクキャリアアグリゲーションシステムにおいて実現され得る。電子システム40″は、図5Bの電子システム40′と同様の回路を含む。電子システム40″と電子システム40′とのいくつかの差は、電子システム40″が、アンテナへの経路内でキャリアを組合わせる際により高い柔軟性を可能にし得るLB、MBおよびHB出力を提供すること、ならびに、複数の結合外出力ポートCPL1およびCPL2があることを含む。2つの結合外出力ポートCPL1およびCPL2によって、選択スイッチ44Aおよび44Bは、3つの図示される方向性結合器のうちの2つの出力を2つの電力検出器に提供し得る。図5Cは、ある実施形態において電力増幅器22Aと方向性結合器12Bとの間の信号経路にノッチフィルタ47が含まれ得ることを示す。図5Cは、方向性結合器12Bおよび12Cの出力が、方向性結合器12Bおよび12Cと周波数多重化回路および/またはアンテナとの間の信号経路内で、それぞれバンドパスフィルタ48およびローパスフィルタ49によってフィルタリングされ得ることを示す。
【0087】
図6Aは、実施形態に係る閉ループ電力制御を用いるキャリアアグリゲーションシステム50の概略図である。個別のキャリアと関連付けられるRF電力の表示を用いて、個別のキャリアの検出電力に基づいてキャリアアグリゲーションシステムにおける個別のキャリアの電力を制御することができる。図示される電子システム50は、電力検出およびフィードバック制御回路54と、モデム55Aから55Nと、増幅器56Aから56Nと、キャリアアグリゲーション回路57と、アンテナ19とを含む。フィードバック制御回路54、モデム55Aから55N、および増幅器56Aから56Nはともに電力制御システムを実現し得る。キャリアアグリゲーション回路57は、本明細書中に議論されるいずれかの好適なキャリアアグリゲーション信号経路を含み得る。キャリアアグリゲーション回路57は、キャリアアグリゲート信号の個別のキャリアと関連付けられる電力の表示を提供し得る。電力検出およびフィードバック制御回路54は、個別のキャリアと関連付けられる電力の表示に基づいて、個別のキャリアと関連付けられる増幅器56Aから56Nのうちの1つの増幅器と関連付けられる電力レベルを調整し得る。増幅器56Aから56Nのうちの選択された増幅器と関連付けられる電力レベルを調整することによって、キャリアアグリゲーション回路57の電力増幅器などのRF源の電力レベルをそれに応じて調整することができる。
【0088】
図6Bは、実施形態に係るキャリアアグリゲート信号の個別のキャリアの電力を制御する説明的な処理60のフロー図である。処理60のいくつかまたはすべては、本明細書中に議論される実施形態のいずれかで適宜実現され得る。処理60はモバイル機器上で実行され得る。本明細書中に議論される方法のいずれも、フロー図に示されるよりも多いまたは少ない動作を含んでもよく、動作は任意の適切な順序で実行されてもよいことが理解されるであろう。
【0089】
ブロック62において、アグリゲートキャリアの個別のキャリアの電力を検出する。個別のキャリアの電力を検出することは、本明細書中に議論されるいずれかの好適な方向性結合器に結合される電力検出器を用いることを伴い得る。一例として、個別のキャリアの電力の表示を検出することは、周波数多重化回路とアンテナとの間に結合される方向性結合器の出力に基づき得る。別の例として、個別のキャリアの電力の表示を検出することは、電力増幅器とマルチスロー無線周波数スイッチとの間に結合される方向性結合器の出力に基づき得る。個別のキャリアと関連付けられる電力を、ブロック64において、個別のキャリアと関連付けられる検出電力に基づいて調整することができる。たとえば、図6Aの増幅器56Aから56Nのうちの選択された増幅器と関連付けられる電力を、図6Aの電力検出器およびフィードバック制御回路54によって提供される制御信号を用いて調整することができる。
【0090】
ブロック66において、アグリゲートキャリアの異なる個別のキャリアの電力を検出する。ブロック66において異なる個別のキャリアの電力を検出することは、ある実施形態では、ブロック62において個別のキャリアの電力を検出することとは異なる方向性結合器を伴い得る。ブロック66において異なる個別のキャリアの電力を検出することは、いくつかの他の実施形態では、ブロック62において個別のキャリアの電力を検出するのと同じ方向性結合器を伴い得る。異なる個別のキャリアと関連付けられる電力を、ブロック68において、異なる個別のキャリアと関連付けられる検出電力に基づいて調整することができる。したがって、キャリアアグリゲート信号の複数の個別のキャリアと関連付けられる電力を、それぞれの個別のキャリアと関連付けられる検出電力に基づいて調整することができる。
【0091】
図6Cは、実施形態に係る閉ループ電力制御50を用いるキャリアアグリゲーションシステム50′の概略図である。方向性結合器、電力検出器、またはデュプレクサ等によって提供される個別のキャリアと関連付けられるRF電力の表示を用いて、電力増幅器などのRF源に提供されるRF信号の電力を制御することができる。図示されるシステム50′は電力制御システム53を含む。図6Cに示されるように、方向性結合器12は、個別のキャリアのRF電力の表示またはキャリアアグリゲート信号を電力検出器およびフィードバック制御回路54に提供し得る。電力検出器およびフィードバック制御回路54は、電力検出器14などの電力検出器と、個別のキャリアのRF電力の表示に少なくとも部分的に基づいて制御信号を生成するように構成されるフィードバック制御回路とを含み得る。モデム55A,55Bまたは55Cは、それぞれ増幅器56A,56B,56Cにキャリア信号を提供し得る。増幅器56A,56Bまたは56Cの出力の電力は、電力検出器およびフィードバック制御回路54によって提供される制御信号によって制御され得る。これにより、個別のキャリアの検出電力に基づいて、キャリアアグリゲーションシステムにおいて個別のキャリアの電力を制御することができる。これらの原理および利点のいずれも、キャリアアグリゲート信号と関連付けられる2つ以上の個別のキャリアの電力の制御に適用され得る。ある実施形態では、本明細書中に議論される原理および利点は、キャリアアグリゲート信号の各キャリアの電力の制御に適用され得る。本明細書中に議論されるキャリアアグリゲート信号のいずれも、2つ以上のキャリアと関連付けられるアグリゲーションであり得る。
【0092】
図7は、本明細書中に議論されるキャリアアグリゲート信号の個別のキャリアの電力検出に関連する特徴のいずれかの好適な組合せを含み得る、例示的なワイヤレス通信装置70の概略ブロック図である。ワイヤレス通信装置70は、任意の好適なワイヤレス通信装置であり得る。たとえば、この装置はスマートフォンなどの携帯電話であり得る。図示されるように、ワイヤレス通信装置70は、アンテナ19と、RFフロントエンド72と、電力制御システム52と、プロセッサ74と、メモリ76とを含む。本明細書中に議論されるキャリアアグリゲート信号経路および/またはキャリアアグリゲーション回路のいずれもRFフロントエンド72において実現され得る。RFフロントエンド72は、キャリアアグリゲートRF信号を送信するためにアンテナ19に提供し得る。RFフロントエンド72は、アンテナ19によって受信されたRF信号も処理し得る。メモリ76は、ワイヤレス通信装置70上にデータを記憶し得る。プロセッサ74は、データをメモリ76内に記憶し得、および/またはメモリ76内のデータにアクセスし得る。プロセッサ74はベースバンド信号を処理し得る。図示されるように、電力制御システム53はプロセッサ74とRFフロントエンド72との間に結合される。電力制御システム53は、図6Aから図6Cのいずれかに関連して議論された原理および利点のいずれかを実現し得る。
【0093】
上述の実施形態のいくつかは、電力増幅器および/またはモバイル機器に関連して例を提供した。しかし、実施形態の原理および利点は、本明細書中に記載される原理および利点のいずれかから利益を受け得るその他のシステムまたは装置にも使用可能である。たとえば、電力増幅器はRF信号を提供するRF源の例であり、本明細書中に議論される特徴のいずれかの好適な組合せが他のRF源に関連して実現され得る。本明細書中に議論される原理および利点のいずれも、アグリゲートキャリアの個別のキャリアの電力レベルを検出するおよび/または制御する必要がある電子システムにおいて実現され得る。実施形態はアップリンクキャリアアグリゲートシステムを参照して上記に議論されたかもしれないが、本明細書中に議論されるいずれの好適な原理および利点もダウンリンクキャリアアグリゲーションシステムに適用され得る。1つまたは複数の特定の種類のキャリアアグリゲーション(たとえばFDD、非重複送信を用いるTDD、重複送信を用いるTDD)を参照して議論された実施形態のいずれの好適な原理および利点も、異なる種類のキャリアアグリゲーションに関連して適宜実現され得る。帯域間キャリアアグリゲーションを参照して議論された実施形態のいずれの好適な原理および利点も、帯域内キャリアアグリゲーションに関連して適宜実現され得る。本明細書中の教示は、たとえば、マルチバンドおよび/またはマルチモード電力増幅器システムを含む複数の電力増幅器を有するシステムを含むさまざまな電力増幅器システムに適用可能である。本明細書中に議論される電力増幅器トランジスタは、たとえば、ガリウムヒ素(GaAs)、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)、またはシリコンゲルマニウム(SiGe)トランジスタであり得る。さらに、本明細書中に議論される電力増幅器は、FET、および/またはヘテロ接合バイポーラトランジスタなどのバイポーラトランジスタによって実現され得る。
【0094】
本開示の局面は、さまざまな電子装置において実現され得る。電子装置の例は、消費者用電子製品、消費者用電子製品の一部、電子試験機器、基地局などのセルラー通信インフラストラクチャ等を含み得るが、これらに限定されない。電子装置の例は、スマートフォンなどの携帯電話、携帯電話で用いられるように構成される電子モジュール、基地局で用いられるように構成される電子モジュール、電話、テレビ、コンピュータモニタ、コンピュータ、モデム、ハンドヘルドコンピュータ、ラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、電子ブックリーダ、スマートウォッチなどのウェアラブルコンピュータ、携帯情報端末(PDA)、電子レンジ、冷蔵庫、自動車、ステレオシステム、DVDプレーヤ、CDプレーヤ、MP3プレーヤなどのデジタル音楽プレーヤ、ラジオ、カムコーダ、カメラ、デジタルカメラ、携帯型メモリチップ、健康モニタリング装置、自動車電子システムまたはアビオニクス電子システムなどの車両電子システム、洗濯機、乾燥機、洗濯機/乾燥機、周辺装置、リストウォッチ、時計等を含み得るが、これらに限定されない。さらに、電子装置は未完成の製品を含み得る。
【0095】
文脈上別段の要求が明確にされない限り、説明および請求項全体にわたって、「備える」、「備え」という語は、排他的または網羅的な意味とは対照的に、包括的な意味で、すなわち「含むが、限定されない」という意味で解釈されるものとする。本明細書中に一般に用いられる「電気的に結合され」という語は、電気的に直接接続され得る、または1つ以上の中間要素によって電気的に接続され得る2つ以上の要素を指す。同様に、本明細書中に一般に用いられる「結合され」という語は、直接接続され得る、または1つ以上の中間要素によって接続され得る2つ以上の要素を指す。無線周波数信号は、300MHzから300GHzの範囲内の周波数を有し得る。さらに、該当する場合、「本明細書中に」、「上記に」、「下記に」、および同様の趣旨の語は、本願において用いられる場合、本願のいずれかの特定の部分ではなく、本願を全体的に指すものとする。文脈が許す場合、単数または複数を用いる上記の「ある実施形態の詳細な説明」における語は、それぞれ複数または単数も含み得る。2つ以上の項目のリストを参照する「または」という語は、文脈が許す場合、当該語の以下の解釈、すなわち、リスト内の項目のいずれか、リスト内の項目のすべて、およびリスト内の項目のいずれかの組合せ、のすべてを含む。
【0096】
さらに、とりわけ、「できる」「でき得る」、「かもしれない」、「し得る」、「たとえば」、「など」等の、本明細書中に用いられる条件付き文言は、別段の規定がある場合を除き、または用いられる文脈内で他の方法で理解される場合を除き、ある実施形態がある特徴、要素および/または状態を含むが他の実施形態はそれらを含まないことを伝えるように一般に意図されている。したがって、そのような条件付き文言は、特徴、要素および/もしくは状態が何らかの形で1つ以上の実施形態に必要であること、または、1つ以上の実施形態が、著者の入力または促しによってもしくはこれらによらずに、これらの特徴、要素および/または状態がいずれかの特定の実施形態に含まれるもしくは当該実施形態において実行されるか否かを決定するための論理を必然的に含むことを含意するように一般に意図されていない。
【0097】
ある実施形態が記載されたが、これらの実施形態は一例として提示されたに過ぎず、開示の範囲を限定するように意図されていない。実際に、本明細書中に記載される新規の装置、方法、およびシステムは、さまざまな他の形態で具体化され得、さらに、本明細書中に記載される方法およびシステムの形態におけるさまざまな省略、置換および変更が開示の精神から逸脱することなくなされ得る。たとえば、ブロックは所与の配置で提示されているが、代替の実施形態は異なる部品および/または回路トポロジを用いて同様の機能を実行し得、いくつかのブロックは削除され、移動され、追加され、再分割され、組合せされ、および/または修正され得る。これらのブロックの各々はさまざまな異なる方法で実現され得る。上述のさまざまな実施形態の要素および行為のいずれかの好適な組合せが組合されてさらなる実施形態を提供し得る。添付の請求項およびそれらの均等物は、開示の範囲および精神の範囲内に収まるであろうそのような形態または修正を含むように意図されている。
【符号の説明】
【0098】
1 電子システム、2A,2N RF源、3 アグリゲーションおよび処理回路、4 送信出力、12 方向性結合器、13 終端インピーダンス。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図2G
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図6C
図7