(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
部品を基板に実装する第1実装ロボットと、部品を基板に実装する第2実装ロボットと、前記基板を搬送する搬送部と、を備えた実装装置の実装条件を設定する実装条件設定装置であって、
前記基板を所定の固定位置で固定し前記第1実装ロボットと前記第2実装ロボットとを用いて同一の前記基板に対して実装処理を行なったときにおける、前記第1実装ロボットによる実装処理に要する第1実装時間と、前記第2実装ロボットによる実装処理に要する第2実装時間と、を固定位置を変更して複数の固定位置についてそれぞれ演算する演算部と、
前記演算された複数の固定位置における前記第1実装ロボットの第1実装時間と、前記第2実装ロボットの第2実装時間とに基づき、複数の固定位置のうち前記第1実装時間と前記第2実装時間との差がより小さくなる固定位置を実装処理時に用いる前記基板の固定位置として設定する設定部と、
を備えた実装条件設定装置。
部品を基板に実装する第1実装ロボットと、部品を基板に実装する第2実装ロボットと、前記基板を搬送する搬送部と、を備えた実装装置の実装条件を設定する実装条件設定装置であって、
前記基板を所定の固定位置で固定し前記第1実装ロボットと前記第2実装ロボットとを用いて同一の前記基板に対して実装処理を行なったときにおける、前記第1実装ロボットによる実装処理に要する第1実装時間と、前記第2実装ロボットによる実装処理に要する第2実装時間とを、固定位置を変更して複数の固定位置について前記第1実装ロボットと前記第2実装ロボットとが協調作業する際の待ち時間を加味してそれぞれ演算する演算部と、
前記演算された複数の固定位置における前記第1実装ロボットの第1実装時間と、前記第2実装ロボットの第2実装時間とに基づき、複数の固定位置のうち特定の固定位置における前記第1実装ロボットと前記第2実装ロボットとの協調作業による1枚の基板の実装処理にかかる時間がより短い時間となる固定位置を前記実装処理時に用いる固定位置に設定する設定部と、
を備えた実装条件設定装置。
前記演算部は、前記実装する部品数、前記固定位置に固定された基板の実装位置までの移動距離、前記第1実装ロボット及び前記第2実装ロボットによる前記部品の実装順番、及び前記第1実装ロボット又は前記第2実装ロボットによる前記部品の搬送速度のうち1以上に基づいて前記固定位置に対応する前記第1実装時間及び前記第2実装時間を演算する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の実装条件設定装置。
部品を基板に実装する第1実装ロボットと、部品を基板に実装する第2実装ロボットと、前記基板を搬送する搬送部と、を備えた実装装置の実装条件を設定する実装条件設定方法であって、
(a)前記基板を所定の固定位置で固定し前記第1実装ロボットと前記第2実装ロボットとを用いて同一の前記基板に対して実装処理を行なったときにおける、前記第1実装ロボットによる実装処理に要する第1実装時間と、前記第2実装ロボットによる実装処理に要する第2実装時間と、を固定位置を変更して複数の固定位置についてそれぞれ演算するステップと、
(b)前記演算された複数の固定位置における前記第1実装ロボットの第1実装時間と、前記第2実装ロボットの第2実装時間とに基づき、複数の固定位置のうち前記第1実装時間と前記第2実装時間との差がより小さくなる固定位置を実装処理時に用いる前記基板の固定位置として設定するステップと、
を含む実装条件設定方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、この特許文献1に記載された実装装置では、部品搬出部と実装位置との移送距離を最短にする基板の位置を設定することは検討されているが、複数の実装ヘッドによる実装処理については考慮されていなかった。例えば、複数の実装ロボットにおける生産バランスをより改善するなど、実装処理をより向上することが望まれていた。
【0005】
本発明は、このような課題に鑑みなされたものであり、複数の実装ロボットにおける実装処理をより向上することができる実装条件設定装置、実装システム及び実装条件設定方法を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本明細書で開示する実装条件設定装置は、
部品を基板に実装する第1実装ロボットと、部品を基板に実装する第2実装ロボットと、前記基板を搬送する搬送部と、を備えた実装装置の実装条件を設定する実装条件設定装置であって、
前記基板を複数の固定位置で固定したときにおける前記第1実装ロボットによる実装処理に要する第1実装時間をそれぞれ演算すると共に、前記基板を複数の固定位置で固定したときにおける前記第2実装ロボットによる実装処理に要する第2実装時間をそれぞれ演算する演算部と、
前記演算された前記第1実装ロボットの複数の第1実装時間と、前記第2実装ロボットの複数の第2実装時間とに基づいて実装処理時に用いる前記基板の固定位置を設定する設定部と、
を備えたものである。
【0008】
この装置では、複数の固定位置で基板を固定したときの第1実装ロボットでの第1実装時間及び第2実装ロボットでの第2実装時間を演算し、演算された複数の第1実装時間及び第2実装時間に基づいて実装処理時に用いる基板の固定位置を設定する。この装置では、基板の固定位置を変更したときの第1実装ロボットの実装時間及び第2実装ロボットの実装時間に応じた基板の固定位置を設定するため、複数の実装ロボットにおける実装処理をより向上することができる。
【0009】
この実装条件設定装置において、前記設定部は、前記第1実装ロボットの第1実装時間と、前記第2実装ロボットの第2実装時間とのバランスをとる固定位置を前記実装処理時に用いる固定位置に設定するものとしてもよい。この装置では、第1実装ロボットと第2実装ロボットとの実装処理のバランスをより改善することができる。ここで、「実装時間のバランスをとる」とは、第1実装時間と第2実装時間との差がより小さいものをいうものとする。
【0010】
この実装条件設定装置において、前記設定部は、前記第1実装ロボットの第1実装時間と前記第2実装ロボットの第2実装時間との全体がより短い時間となる固定位置を前記実装処理時に用いる固定位置に設定するものとしてもよい。この装置では、実装処理の全体に要する時間をより短縮することができる。
【0011】
この実装条件設定装置において、前記実装装置は、前記基板を搬送する第1搬送路と、前記基板を搬送する第2搬送路とを有する前記搬送部を備え、前記演算部は、前記第1搬送路での前記複数の固定位置に基づく複数の前記第1実装時間及び前記第2実装時間を演算すると共に、前記第2搬送路での前記複数の固定位置に基づく複数の前記第1実装時間及び前記第2実装時間を演算し、前記設定部は、前記第1搬送路での前記複数の前記第1実装時間及び前記第2実装時間に基づいて前記実装処理時に用いる固定位置を設定すると共に、前記第2搬送路での前記複数の前記第1実装時間及び前記第2実装時間に基づいて前記実装処理時に用いる固定位置を設定するものとしてもよい。搬送路が複数ある場合、複数の実装ロボットの移動距離などの間には相違が生じやすい。この装置では、複数の搬送路に対して、より好適な基板の固定位置を設定することができる。
【0012】
この実装条件設定装置において、前記演算部は、前記実装する部品数、前記固定位置に固定された基板の実装位置までの移動距離、前記第1実装ロボット及び前記第2実装ロボットによる前記部品の実装順番、及び前記第1実装ロボット又は前記第2実装ロボットによる前記部品の搬送速度のうち1以上に基づいて前記固定位置に対応する前記第1実装時間及び前記第2実装時間を演算するものとしてもよい。この装置では、上記条件を用いることによって、より正確な実装時間を演算することができる。
【0013】
本明細書で開示する実装システムは、
上述したいずれかに記載の実装条件設定装置と、
部品を基板に実装する第1実装ロボットと、部品を基板に実装する第2実装ロボットと、前記基板を搬送する搬送部と、前記第1実装ロボットと前記第2実装ロボットを制御すると共に前記実装条件設定装置で設定された前記固定位置に前記基板を搬送させるよう前記搬送部を制御する制御部と、を備えた実装装置と、
を備えたものである。
【0014】
この実装システムでは、上述した実装条件設定装置と同様に、複数の実装ロボットにおける実装処理をより向上することができる。また、この実装システムでは、上述した実装条件設定装置のうち採用したものに応じた効果を得ることができる。
【0015】
本明細書で開示する実装条件設定方法は、
部品を基板に実装する第1実装ロボットと、部品を基板に実装する第2実装ロボットと、前記基板を搬送する搬送部と、を備えた実装装置の実装条件を設定する実装条件設定方法であって、
(a)前記基板を複数の固定位置で固定したときにおける前記第1実装ロボットによる実装処理に要する第1実装時間をそれぞれ演算すると共に、前記基板を複数の固定位置で固定したときにおける前記第2実装ロボットによる実装処理に要する第2実装時間をそれぞれ演算するステップと、
(b)前記演算された前記第1実装ロボットの複数の第1実装時間と、前記第2実装ロボットの複数の第2実装時間とに基づいて実装処理時に用いる前記基板の固定位置を設定するステップと、
を含むものである。
【0016】
この方法では、上述した実装条件設定装置と同様に、基板の固定位置を変更したときの第1実装ロボットの実装時間及び第2実装ロボットの実装時間に応じた基板の固定位置を設定するため、複数の実装ロボットにおける実装処理をより向上することができる。なお、この実装条件設定方法において、上述した実装条件設定装置の種々の態様を採用してもよいし、また、上述した実装条件設定装置の各機能を実現するようなステップを追加してもよい。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の好適な実施形態を図面を参照しながら以下に説明する。
図1は、実装システム1の構成の概略の一例を表す説明図である。
図2は、実装装置10の構成の概略の一例を表す説明図である。
図3は、第1搬送路21及び第2搬送路22のダブルレーンでの基板S1,S2の固定位置の説明図である。実装システム1は、例えば、電子部品(部品P)を基板S1,S2に実装する処理に関する実装処理を実行するシステムである。この実装システム1は、実装処理を実行する複数の実装装置10が上流から下流に配置されて生産ラインを構成している。また、実装システム1は管理パソコン(PC)50を備えている。この管理PC50は、各実装装置10での処理に関する情報を管理するものである。なお、本実施形態において、左右方向(X軸)、前後方向(Y軸)及び上下方向(Z軸)は、
図1〜3に示した通りとする。
【0019】
実装装置10は、実装ユニットを2台備え、2つの基板S1,S2を搬送固定してこれらに実装処理を行うデュアルレーン、デュアルロボットの装置構成を有する。この実装装置10は、
図1に示すように、第1部品供給ユニット11と、第2部品供給ユニット12と、第1パーツカメラ13と、第2パーツカメラ14と、基板搬送部20と、第1実装ユニット31と、第2実装ユニット32と、制御部18とを備えている。制御部18は、CPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、処理プログラムや各種データを記憶する記憶部などを備えている。この制御部18は、各ユニットへ制御信号を出力し、これらのユニットを制御する。また、制御部18は、各ユニットからの信号を入力し、それに応じた処理を実行するよう各ユニットを制御する。
【0020】
実装装置10は、装置本体の前面に第1部品供給ユニット11を装着し、後面に第2部品供給ユニット12を装着している。第1部品供給ユニット11は、主として第1実装ユニット31へ部品Pを供給するものであり、部品Pを収容したテープを捲回したリールを備えたフィーダや、部品Pを載置したトレイを収容したトレイユニットなどを備えている。第2部品供給ユニット12は、主として第2実装ユニット32へ部品Pを供給するものであり、第1部品供給ユニット11と同様の構成を備えている。
【0021】
第1パーツカメラ13は、例えば、第1実装ヘッド34に採取、保持された部品Pなどを下方から撮像するカメラである。この第1パーツカメラ13は、基板搬送部20の前方である第1領域41側に配設されている(
図2参照)。なお、第1領域41は、基板搬送部20の搬送路の中央で区切られた領域とし、第2領域42は、第1領域41と異なる側の領域であるものとする。この第1パーツカメラ13の撮像範囲は、第1パーツカメラ13の上方である。第2パーツカメラ14は、例えば、第2実装ヘッド37に採取、保持された部品Pなどを下方から撮像するカメラである。この第2パーツカメラ14は、基板搬送部20の後方である第2領域42側に配設されている。この第2パーツカメラ14の撮像範囲は、第2パーツカメラ14の上方である。第1パーツカメラ13及び第2パーツカメラ14は、基板搬送部20の搬送路に対して対向した位置からずれた位置にそれぞれが配設されている(
図3参照)。第1パーツカメラ13は、装置の左側に寄った位置に固定され、第2パーツカメラ14は、装置の右側に寄った位置に固定されている。制御部18は、第1パーツカメラ13や第2パーツカメラ14で撮像された画像を用いて、採取、保持された部品Pの位置ずれや形状などを確認する。第1実装ユニット31は、第1部品供給ユニット11から部品Pを採取したのち、第1パーツカメラ13上を通って、基板S1,S2へ部品Pを装着させる。また、第2実装ユニット32は、第2部品供給ユニット12から部品Pを採取したのち、第2パーツカメラ14上を通って基板S1,S2へ部品Pを装着させる。
【0022】
基板搬送部20は、基板S1,S2を搬入し、搬入した基板S1,S2を位置決めして支持するユニットである。基板搬送部20は、第1搬送路21と第2搬送路22とを有する。第1搬送路21は、実装処理の第1レーンを構成するものであり、固定コンベア23と、移動コンベア24と、固定機構25(
図1)とにより構成されている。固定コンベア23及び移動コンベア24は、
図2、3に示すように、1対のサイドフレームの各々に設けられており、それぞれが基板S1の端部を支持して基板S1を搬送する。固定コンベア23は、基板搬送路の基準位置となるものであり、筐体に移動不能に固定されている。移動コンベア24は、基板S1の幅に応じて、固定コンベア23に対して搬送幅を変更可能にスライド移動するよう筐体に配設されている。固定機構25は、基板S1をクランプして固定する機構である。第2搬送路22は、実装処理の第2レーンを構成するものであり、移動コンベア26,27と、固定機構28(
図1)とにより構成されている。移動コンベア26,27は、
図2、3に示すように、1対のサイドフレームの各々に設けられており、それぞれが基板S2の端部を支持して基板S2を搬送する。移動コンベア26,27は、基板S2の幅に応じて、搬送幅を変更可能にスライド移動するよう筐体に配設されている。なお、移動コンベア26は、移動コンベア24の位置に応じてスライド移動する。固定機構28は、基板S2をクランプして固定する機構である。なお、第1搬送路21には基板S1を下方から支持する基板支持部が配設され、第2搬送路22には基板S2を下方から支持する基板支持部が配設されている。
【0023】
実装装置10は、装置本体の前面側に第1実装ユニット31、後面側に第2実装ユニット32を備えており、2レーンで並行して実装処理を実行可能に構成されている。第1実装ユニット31は、主として第1部品供給ユニット11から採取した部品Pを第1搬送路21に固定された基板S1及び第2搬送路22に固定された基板S2へ配置する実装処理を行うものである。第1実装ユニット31は、第1ヘッド移動部33と、第1実装ヘッド34と、吸着ノズル35とを備えている。第1ヘッド移動部33は、ガイドレールに導かれてXY方向へ移動するスライダと、スライダを駆動するモータとを備えている。第1実装ヘッド34は、スライダに取り外し可能に装着されており、第1ヘッド移動部33によりXY方向へ移動する。第1実装ヘッド34の下面には、部品Pを採取する、1以上の吸着ノズル35が取り外し可能に装着されている。吸着ノズル35は、圧力を利用して部品Pを採取する採取部材である。なお、第1実装ヘッド34は、吸着ノズル35に代えて部品Pを機械的に把持するメカニカルチャックを装着するものとしてもよい。第2実装ユニット32は、主として第2部品供給ユニット12から採取した部品Pを第2搬送路22に固定された基板S2及び第1搬送路21に固定された基板S1へ配置する実装処理を行うものである。第2実装ユニット32は、第2ヘッド移動部36と、第2実装ヘッド37と、吸着ノズル38とを備えている。第2実装ユニット32は、第1実装ユニット31と同じ構成としてもよいし、異なる構成としてもよい。なお、第2実装ユニット32は、第1実装ユニット31と同様の構成であるものとしてその説明を省略する。
【0024】
管理PC50は、
図1に示すように、制御部51と、記憶部52と、通信部53とを備えている。制御部51は、CPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、処理プログラムを記憶するROM、作業領域として用いられるRAMとを備えている。記憶部52は、各種情報を記憶するHDDなどにより構成されている。通信部53は、外部機器(例えば、実装装置10)などと情報のやりとりを行うインタフェースである。記憶部52には、実装装置10で実装処理する各種の条件が設定されている実装条件情報などが記憶されている。実装条件情報には、基板S1,S2に実装する部品の種別、部品数、部品の配置位置(座標)などの生産対象の基板情報のほか、部品の実装順番や基板S1、S2の固定位置の情報などが含まれている。管理PC50は、実装処理の開始前に、この実装条件情報を作成し、実装装置10へ出力される。送信された実装条件情報は、実装装置10で実装処理に用いられる。
【0025】
なお、以下の説明において、第1部品供給ユニット11及び第2部品供給ユニット12は、「部品供給ユニット」と総称し、第1パーツカメラ13及び第2パーツカメラ14は、「パーツカメラ」と総称するものとし、搬送路、実装ユニット、実装ヘッド、ヘッド移動部なども同様とする。
【0026】
次に、こうして構成された本実施形態の実装装置10の動作、特に、基板S1,S2を固定して実装処理を実行する条件を設定する処理について説明する。
図4は、制御部51のCPUにより実行される実装条件設定処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、管理PC50の記憶部52に記憶され、作業者による開始指示により実行される。このルーチンが開始されると、制御部51は、まず、生産する基板情報を取得する(ステップS100)。基板情報は、例えば、生産する基板S1,S2の設計図面などの情報から取得することができる。
【0027】
次に、制御部51は、部品供給ユニットのフィーダやトレイユニットの装着位置を設定する処理を行う(ステップS110)。この処理は、例えば、実装ヘッドの移動距離をより減じるために、実装する部品数の多いフィーダをできるだけパーツカメラに近い場所に装着するなどの条件に基づいて行うものとしてもよい。また、制御部51は、この処理を第1部品供給ユニット11及び第2部品供給ユニット12に対して行うものとする。次に、制御部51は、部品Pの実装順番を設定する処理を行う(ステップS120)。この処理は、例えば、部品Pの採取位置からより近い実装位置に配置する部品Pを1番目の部品に設定し、1番目の部品により近い部品を2番目の部品、2番の部品により近い部品を3番目の部品、とし、一筆書きで、できるだけ往復移動を抑制した実装ヘッドの移動となるように行うものとしてもよい。また、制御部51は、第1実装ヘッド34においては、基板S2に実装したあと基板S1に実装する軌跡として部品Pの実装順番を設定してもよいし、基板S2のみあるいは基板S1のみに実装する軌跡として部品Pの実装順番を設定してもよい。更に、基板S1に対して第1実装ヘッド34の実装処理と第2実装ヘッド37の実装処理とを交互に行うよう実装順番を設定してもよいし、これらをランダムに行うよう実装順番を設定してもよい。また、制御部51は、基板S2に対しても同様に実装順番を設定する。
【0028】
次に、制御部51は、基板S1,S2の固定位置を設定する(ステップS130)。この固定位置は、例えば、予め定められた初期位置に設定されるものとしてもよい。この初期位置は、特に限定されないが、例えば、第2部品供給ユニット12から遠い第1搬送路21の基板S1については、第2パーツカメラ14により近い位置とし、第1部品供給ユニット11から遠い第2搬送路22の基板S2については、第1パーツカメラ13により近い位置としてもよい。この初期位置は、例えば、第1実装ヘッド34の移動時間と第2実装ヘッド37の移動時間とがよりバランスのとれる(よりその差の小さい)位置にすることがより好ましい。
【0029】
次に、制御部51は、上記設定した基板S1,S2の固定位置における、第1実装ヘッド34の実装処理に要する第1実装時間と、第2実装ヘッド37の実装処理に要する第2実装時間とを演算する(ステップS140)。制御部51は、例えば、実装する部品数、固定位置に固定された基板S1,S2の実装位置までの移動距離、第1実装ユニット31による部品Pの実装順番、及び第1実装ユニット31による部品Pの搬送速度のうち1以上に基づいて、この固定位置に対応する第1実装時間を演算するものとしてもよい。制御部51は、1回の第1実装ヘッド34の移動において、移動距離と搬送速度から移動時間を概算し、その移動において配置する部品数から第1実装ヘッド34の停止、移動開始にかかる時間や部品を配置する時間などを加味してその移動時間を求める処理を、全ての第1実装ヘッド34の移動に対して行うものとしてもよい。また、制御部51は、第2実装ヘッド37の第2実装時間についても同様に求めるものとしてもよい。なお、制御部51は、第1実装ヘッド34と第2実装ヘッド37とが協調制御する際の待ち時間などを加味して第1実装時間及び第2実装時間を演算するものとしてもよい。制御部51は、演算して得られた第1実装時間及び第2実装時間をその基板S1,S2の配置位置に対応付けて記憶部52へ記憶させる(ステップS150)。
【0030】
次に、制御部51は、第1実装時間及び第2実装時間の演算終了条件が成立しているか否かを判定する(ステップS160)。演算終了条件は、できだけ多くの基板S1,S2の固定位置での実装時間が演算でき且つできるだけ無駄な演算を回避できるような条件とすることができる。この演算終了条件は、例えば、予め定められた演算時間が経過したか否かとしてもよい。この実装条件設定処理において、制御部51は、基板S1,S2の固定位置に対する第1実装時間及び第2実装時間を多数の固定位置に対して演算する処理を行い、その中で、最も望ましい基板S1,S2の固定位置を求める処理を行う。したがって、演算終了条件は、より好適な固定位置が求められるよう上記演算を繰り返すことができる演算時間が経過するとの条件としてもよい。あるいは、演算終了条件は、より好適な固定位置が求められるよう経験的に定められた所定の演算回数を実行するとの条件としてもよい。なお、ここでは、説明の便宜のため、演算終了条件は、所定の演算時間(例えば、数時間など)の経過であるものとして以下説明する。
【0031】
ステップS160で演算終了条件が成立していないときには、制御部51は、基板S1,S2の固定位置を変更して設定すると共に、ステップS140以降の処理を実行する。即ち、制御部51は、変更後の固定位置の基板S1,S2に対する第1実装時間及び第2実装時間を演算する。制御部51は、固定位置を変更するに際して、例えば、現在の固定位置から所定距離ずらした位置に変更するものとしてもよい。なお、制御部51は、基板S1,S2の両方の固定位置を変更するものとしてもよいし、基板S1,S2のいずれか一方のみの固定位置を変更するものとしてもよい。様々な固定位置における第1実装時間及び第2実装時間を演算することが、より良好な固定位置を求めるのに好ましい。このように、制御部51は、基板S1,S2の第1の固定位置に対応する第1及び第2実装時間を演算し、第1の固定位置とは異なる第2の固定位置に対する第1及び第2実装時間を演算し…、という一連の演算処理を繰り返し行うのである。
【0032】
一方、ステップS160で演算終了条件が成立したときには、制御部51は、演算した結果の中から、第1実装時間と第2実装時間とのバランスをとる固定位置を実装処理時に用いる固定位置に設定する(ステップS180)。ここでは、制御部51は、第1実装時間と第2実装時間との差がより小さい1以上の固定位置を抽出すると共に、その中で、第1実装ユニット31の第1実装時間と第2実装ユニット32の第2実装時間との全体がより短い時間である固定位置を抽出するものとする。こうすれば、実装処理における、第1実装ユニット31及び第2実装ユニット32の全体の効率及び作業負担をより良好なものとすることができる。そして、制御部51は、設定した固定位置を含む実装条件情報を実装装置10へ出力し(ステップS190)、そのままこのルーチンを終了する。
【0033】
ここで、基板S1,S2の固定位置の設定処理について
図3を用いて説明する。制御部51は、
図3に示すように、固定位置A1に基板S1を固定し、固定位置B1に基板S2を固定したとして(ステップS130)、第1実装ユニット31の第1実装時間と、第2実装ユニット32の第2実装時間を演算し、記憶部52へ記憶させる(ステップS140,S150)。制御部51は、実装する部品数、実装ヘッドの移動距離、部品Pの実装順番及び部品Pの搬送速度などのパラメータを用いて実装時間を演算する。次に、制御部51は、固定位置を変更し、固定位置A2に基板S1を固定し、固定位置B2に基板S2を固定したとして(ステップS170)、第1実装時間と第2実装時間とを演算し、記憶部52に記憶させる(ステップS140,S150)。同様に、制御部51は、固定位置A3に基板S1を固定し、固定位置B3に基板S2を固定位置を変更し、第1実装時間と第2実装時間とを演算し、記憶部52に記憶させる。そして、制御部51が、このような演算処理を繰り返したのち、多数演算した中から第1実装時間と第2実装時間とのバランスをとる固定位置を設定する(ステップS180)。
【0034】
例えば、装置中心(
図3の二点鎖線参照)に対応する第1搬送路21の固定位置で基板S1を固定した場合、第1部品供給ユニット11の部品Pの採取位置から基板S1までの距離(第1距離と称する)と、第2部品供給ユニット12の部品Pの採取位置から基板S1までの距離(第2距離と称する)とが大きく異なることになる。この場合には、複数の実装ヘッドで実装処理を行う際に、一方の実装ヘッドの移動距離が長いため、他方の実装ヘッドに待ち時間などが生じ、実装処理のバランスが崩れて理想的な動作を行うことが困難である。この実装装置10では、基板S1,S2の固定位置を変更した際の第1実装時間と第2実装時間とのバランスをとるため、複数の実装ヘッドを用いた実装処理において、理想的な動作を行うことができる。
【0035】
そして、実装装置10の制御部18は、このように基板S1,S2の固定位置が設定された実装条件情報を用い、その設定された固定位置に基板S1,S2を搬送させ、固定させるよう基板搬送部20を制御する。
【0036】
ここで、本実施形態の構成要素と本発明の構成要素との対応関係を明らかにする。本実施形態の制御部51が本発明の演算部及び設定部に相当し、第1実装ユニット31が第1実装ロボットに相当し、第2実装ユニット32が第2実装ロボットに相当し、基板搬送部20が搬送部に相当し、第1搬送路21が第1搬送路に相当し、第2搬送路22が第2搬送路に相当し、制御部18が制御部に相当する。なお、本実施形態では、管理PC50の動作を説明することにより本発明の実装条件設定方法の一例も明らかにしている。
【0037】
以上説明した本実施形態の管理PC50の制御部51は、基板S1,S2を複数の固定位置で固定したときにおける第1実装ユニット31による実装処理に要する第1実装時間をそれぞれ演算すると共に、基板S1,S2を複数の固定位置で固定したときにおける第2実装ユニット32による実装処理に要する第2実装時間をそれぞれ演算する。また、制御部51は、演算された第1実装ユニット31の複数の第1実装時間と、第2実装ユニット32の複数の第2実装時間とに基づいて実装処理時に用いる基板S1,S2の固定位置を設定する。この管理PC50では、基板S1,S2の固定位置を変更したときの第1及び第2実装時間に応じた固定位置を設定するため、複数の実装ユニットにおける実装処理をより向上することができる。また、制御部51は、第1実装時間と第2実装時間とのバランスをとる固定位置を実装処理時に用いる固定位置に設定するものため、第1実装ユニット31と第2実装ユニット32との実装処理のバランスをより改善することができる。更に、制御部51は、第1実装時間と第2実装時間との全体がより短い時間となる固定位置を実装処理時に用いる固定位置に設定するため、実装処理の全体に要する時間をより短縮することができる。
【0038】
また、制御部51は、第1搬送路21での複数の第1及び第2実装時間に基づいて固定位置を設定すると共に、第2搬送路22での複数の第1及び第2実装時間に基づいて固定位置を設定する。搬送路が複数ある場合、複数の実装ユニットの移動距離などの間には相違が生じやすい。この装置では、複数の搬送路に対して、より好適な基板の固定位置を設定することができる。更に、制御部51は、実装する部品数、実装ヘッドの移動距離、部品Pの実装順番及び部品Pの搬送速度のうち1以上に基づいて固定位置に対応する第1及び第2実装時間を演算するため、上記条件を用いることによって、より正確な実装時間を演算することができる。
【0039】
また、実装システム1は、管理PC50と、管理PC50により設定された基板S1,S2の固定位置に基板S1,S2を搬送、固定させて実装処理を実行する実装装置10とを備えているため、上述した管理PC50と同様に、複数の実装ユニットにおける実装処理をより向上することができる。
【0040】
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【0041】
例えば、上述した実施形態では、基板搬送部20は、第1搬送路21及び第2搬送路22を有するものとしたが、特にこれに限定されず、第2搬送路22を備えないものとしてもよい。
図5は、シングルレーンを備えた実装装置10Bでの基板S3の固定位置の説明図である。実装装置10Bにおいて、上述した実装装置10と同様の構成については、同じ符号を付し、その説明を省略する。実装装置10Bでは、幅の広い基板S4を搬送する際には、図中点線で示したように広い搬送幅になるよう移動コンベア24をスライド移動、固定する。一方、幅の狭い基板S3を搬送する際には、移動コンベア24は、固定コンベア23により近い位置となり、第1搬送路21は第2パーツカメラ14からより遠くなる。そして、管理PC50は、この基板S3に合わせた基板搬送部20の移動コンベア24の位置などに基づいて、例えば、固定位置C1,C2,C3…などの第1実装ユニット31の第1実装時間と、第2実装ユニット32の第2実装時間とを演算し、上述と同様に、これらのバランスをとる固定位置を抽出し、実装処理時に用いる固定位置に設定する。例えば、装置中心に対応する搬送路の位置(二点鎖線参照)で基板S3を固定した場合、第1距離と第2距離とが大きく異なることになる。この場合には、上記と同様に、実装ヘッドに待ち時間などが生じて、実装処理のバランスが崩れることがある。この実装装置10Bでは、第1実装時間と第2実装時間とのバランスをとるため、複数の実装ユニットによる実装処理を理想的な動作とすることができる。なお、幅が比較的大きい基板S4においても、基板S3と同様に固定位置を定めることができる。
【0042】
上述した実施形態では、基板搬送部20は、固定された固定コンベア23と、スライド移動可能な移動コンベア24とを備えるものとしたが、固定コンベア23がなく、移動コンベアだけで構成するものとしてもよい。あるいは、固定コンベアだけで基板搬送部を構成するものとしてもよい。
【0043】
上述した実施形態では、第1及び第2実装時間のバランスをとる1以上の固定位置を抽出したのち、第1及び第2実装時間の全体の時間がより短い固定位置を抽出する、即ち、実装時間のバランスを最優先とするものとしたが、これに限られず、第1及び第2実装時間の全体の時間がより短い1以上の固定位置を抽出したのち、第1及び第2実装時間のバランスをとる固定位置を抽出するものとしてもよい。この装置では、実装処理の全体に要する時間をより短縮することができ、更に複数の実装ユニットの実装処理のバランスをより改善することができる。また、制御部51は、第1及び第2実装時間のバランスをとる固定位置を抽出するものとし、第1及び第2実装時間の全体の時間がより短い固定位置を抽出する処理を省略してもよい。この装置では、複数の実装ユニットの実装処理のバランスをより改善することができる。あるいは、第1及び第2実装時間の全体の時間がより短い固定位置を抽出するものとし、第1及び第2実装時間のバランスをとることを省略してもよい。この装置では、実装処理の全体に要する時間をより短縮することができる。
【0044】
上述した実施形態では、部品供給ユニットのフィーダ等の配置を設定し、部品Pの実装順番を設定したのち、基板の固定位置を変更して第1及び第2実装時間を演算するものとしたが、特にこれに限定されず、例えば、基板の固定位置と部品供給ユニットの配置との変更を組み合わせて第1及び第2実装時間を演算するものとしてもよいし、基板の固定位置と部品Pの実装順番との変更を組み合わせて第1及び第2実装時間を演算するものとしてもよいし、基板の固定位置と部品供給ユニットの配置と部品Pの実装順番との変更を組み合わせて第1及び第2実装時間を演算するものとしてもよい。また、更に、第1実装ユニット31と第2実装ユニット32の実装処理の頻度を変更するとを組み合わせてもよい。組み合わせが多くなれば、第1及び第2実装時間の演算時間は長くなるが、より望ましい固定位置を設定することができる。
【0045】
上述した実施形態では、吸着ノズル35,38を装着した実装ヘッドをXY方向にスライド移動させる実装ユニットを実装ロボットとして説明したが、特にこれに限定されず、例えば、多関節アームロボットとしてもよい。この装置においても、第1及び第2実装時間を好適なものとする固定位置を設定するから、複数の実装ロボットにおける実装処理をより向上することができる。
【0046】
上述した実施形態では、第1パーツカメラ13は装置の左側に寄った位置に固定され、第2パーツカメラ14は装置の右側に寄った位置に固定されているものとしたが、特にこれに限定されず、互いに対向して固定されていてもよいし、装置中心に固定されていてもよい。
【0047】
上述した実施形態では、本発明を実装装置10として説明したが、本発明を実装方法や実装装置の制御方法としてもよいし、本発明を上述した処理をコンピュータが実行するプログラムとしてもよい。