(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ストッパラバーは、前記頭部が前記差込孔に差し入れられて前記外周部が前記ベースプレートに押し付けられて前記ベースプレートの板厚分圧縮されたとき、かかる外周部の圧縮に連動して前記内周部の頂面が前記ストライカーの差入方向後方に移動し、前記内周部と前記頭部との間に前記ロックプレートの板厚分以上の隙間が形成されるように圧縮変形する、ことを特徴とする請求項5に記載のドアキャッチ。
前記ベースプレートと前記カバープレートとの間隔が、前記ロックプレートの板厚に所定のクリアランスを加えた間隔である、ことを特徴とする請求項1から7の何れか1項に記載のドアキャッチ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したドアキャッチにおいては、ベースプレートにピンで支持された一対のロックプレートが開姿勢と閉姿勢とにスムーズに適切に回動するためには、回動側のロックプレートと静止側のベースプレートとの間に所定のクリアランスが必要となる。このクリアランスは、ロックプレートのガタ付きを招き、異音の原因となる。
【0007】
この異音を抑えるため、従来、ピンにウェーブワッシャー(波形座金)を挿通しロックプレートをベースプレートに押し付けたり、ロックプレートをベースプレートに押し付けるための押バネ等を別途設けることで、ロックプレートのガタ付きを抑えていた。しかし、かかるウェーブワッシャーや押バネ等は、部品点数の増大を招き、コストアップの原因となる。
【0008】
すなわち、従来のドアキャッチは、ロックプレートを閉姿勢に付勢すべく各ロックプレートに夫々装着された二本のバネに加えて、ロックプレートをベースプレートに押し付けるウェーブワッシャーや押バネ等を設けてガタを抑えていたため、部品点数の増大を招き、コストアップ、重量増大が避けられなかった。
【0009】
以上の事情を考慮して創案された本発明の目的は、部品点数を削減し、低コストでロックプレートのガタ付きを抑えられると共に、ロックプレートの閉姿勢時の位置決めを行えるドアキャッチを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した目的を達成すべく創案された本発明によれば、ストライカーを挟持または解放するドアキャッチであって、ベースプレートと、ベースプレートにピンを介して取り付けられ、開姿勢と閉姿勢とに回動自在であり、閉姿勢のときストライカーを挟持し、開姿勢のときストライカーを解放する一対のロックプレートと、これらロックプレートが閉姿勢となるように付勢するバネと、ロックプレートを介してベースプレートの反対側に配置されたカバープレートと、カバープレートに設けられ、バネによって閉姿勢となるように付勢された各ロックプレートに当接し、各ロックプレートの閉姿勢時の位置を定めると共に、各ロックプレートをベースプレートに押し付ける突起部と、を備えたことを特徴とするドアキャッチが提供される。
【0011】
本発明に係るドアキャッチにおいては、一対のロックプレートに、各ロックプレートが閉姿勢となったとき突起部に当接し、開姿勢となったとき突起部から離間する位置決め部を夫々形成し、位置決め部および突起部の少なくとも一方が、バネによるロックプレートを閉姿勢とする方向の力を、ロックプレートをベースプレートに押し付ける方向の力に変更するための傾斜部を有していてもよい。
【0012】
本発明に係るドアキャッチにおいては、一対のロックプレートに、各ロックプレートが閉姿勢となったときストライカーを挟持し、開姿勢となったときストライカーを解放する挟持部を夫々形成し、ベースプレートに、挟持部を露出させるように形成され、ストライカーが差し入れられる差込孔を設けてもよい。
【0013】
本発明に係るドアキャッチにおいては、ストライカーが、差込孔に差し入れられる頭部と、頭部に一体的に設けられた軸部とを有し、軸部に、頭部が差込孔に差し入れられたとき、ベースプレートに押し付けられるストッパラバーが被嵌されていてもよい。
【0014】
本発明に係るドアキャッチにおいては、ストッパラバーは、頭部が差込孔に差し入れられたとき、ベースプレートに押し付けられる外周部と、外周部の中央に突設され差
込孔に差し入れられる内周部と、内周部と外周部との間にリング状に凹設されたリング溝とを有していてもよい。
【0015】
本発明に係るドアキャッチにおいては、ストッパラバーは、頭部が差込孔に差し入れられて外周部がベースプレートに押し付けられてベースプレートの板厚分圧縮されたとき、かかる外周部の圧縮に連動して内周部の頂面がストライカーの差入方向後方に移動し、内周部と頭部との間にロックプレートの板厚分以上の隙間が形成されるように圧縮変形する、ものであってもよい。
【0016】
本発明に係るドアキャッチにおいては、一対のロックプレートの一方に設けられ、バネの付勢力によって閉姿勢となったロックプレートを開姿勢とするための外力が加わる入力部と、一対のロックプレートの夫々に形成され、各ロックプレートを連動して開姿勢と閉姿勢とに回動するためのカムおよびカムレシーブ(カム受け)と、を備えていてもよい。
【0017】
本発明に係るドアキャッチにおいては、ベースプレートとカバープレートとの間隔が、ロックプレートの板厚に所定のクリアランスを加えた間隔であってもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係るドアキャッチによれば、バネによって閉姿勢となる方向に付勢された各ロックプレートが、カバープレートの突起部に当接することで、各ロックプレートの閉姿勢時の位置が定められると共に、各ロックプレートがベースプレートに押し付けられる。
すなわち、各ロックプレートを閉姿勢とするためのバネの付勢力を利用して、各ロックプレートをベースプレートに押し付けている。
よって、低コストで、ロックプレートのガタ付きが抑えられ、且つ、ロックプレートの閉姿勢時の位置決めが行える。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。係る実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易にするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0021】
(ドアキャッチ1の概要)
図1〜
図3に示すように、本発明の一実施形態に係るドアキャッチ1は、ストライカー2を挟持または解放するものであって、ベースプレート3と、ベースプレート3にピン4を介して取り付けられ、開姿勢と閉姿勢とに回動自在であり、閉姿勢のときストライカー2を挟持し、開姿勢のときストライカー2を解放する一対のロックプレート5と、これらロックプレート5が閉姿勢となるようにロックプレート5同士を接続するバネ6と、ロックプレート5を介してベースプレート3の反対側に配置されたカバープレート7と、カバープレート7に設けられ、バネ6によって閉姿勢となるように付勢された各ロックプレート5に当接し、各ロックプレート5の閉姿勢時の位置を定めると共に、各ロックプレート5をベースプレート3に押し付ける突起部8と、を備えている。
【0022】
本実施形態においては、ベースプレート3が、建設機械(ショベルカー、クレーン車など)のキャブのドア枠またはその近傍に装着され、ストライカー2が、ドア枠にヒンジを介して開閉自在に取り付けられたドアに装着されるが、これらの位置関係は逆であってもよい。また、本実施形態に係るドアキャッチ1は、建設機械のキャブのドアが後方に180度開き(所謂スーサイドドア)、ドアがキャブのドア枠の後方の部分に重なった状態となったとき、このように開いたドアをキャブのドア枠の後方の部分に保持するもの(開側ドアキャッチ)であるが、ドアがキャブのドア枠の開口を塞ぐように閉じられたとき、閉じたドアをドア枠に保持するもの(閉側ドアキャッチ)に適用してもよい。また、本実施形態に係るドアキャッチ1は、建設機械のドアに限られず、建設機械以外の車両のドアや、一般的な住居用ドア、店舗用ドア、収容庫用ドアなどにも適用することができる。以下、各構成要素について説明する。
【0023】
(ベースプレート3)
図1に示すように、ベースプレート3には、各ロックプレート5を回動自在に支持するピン4が挿通される孔9が二個穿設されていると共に、各ロックプレート5の過回動(オーバーストローク、
図10(a)参照)を制限するためのピン10が挿通される孔11が二個穿設されている。ピン4と、ピン10とは、本実施形態では同寸法ものが用いられているが、寸法が異なっていてもよい。
【0024】
図1に示すように、ピン4は、中央の大径部4aと両端の小径部4bとから一体的に形成され、小径部4bが孔9に挿入されて固定(例えばカシメによって固定)され、ベースプレート3に装着される。ピン4の大径部4aには、ロックプレート5が回動自在に支持される。同様に、ピン10は、中央の大径部10aと両端の小径部10bとから一体的に形成され、小径部10bが孔11に挿入されて固定(例えばカシメによって固定)され、ベースプレート3に装着される。ピン10の大径部10aには、過回動となったロックプレート5の縁部が当接される。これらピン4、10の大径部4a、10aは、ベースプレート3とカバープレート7との間隔を定めるスペーサーとしても機能する。
【0025】
また、ベースプレート3には、ストライカー2が差し入れられる差込孔12が形成されている。差込孔12は、ロックプレート5に形成された挟持部13が露出するように、ベースプレート3の中央に形成されている。挟持部13は、後述するように、ロックプレート5が閉姿勢となったとき、ストライカー2を挟持し、ロックプレート5が開姿勢となったとき、ストライカー2を解放するものである。
【0026】
(ロックプレート5)
図1に示すように、ロックプレート5の端部には、支持用のピン4の大径部4aが回動自在に挿通される孔14が、貫通形成されている。ロックプレート5は、ピン4を介してベースプレート3に支持され、ピン4を中心に閉姿勢(
図7参照)と開姿勢(
図10参照)とに回動自在であり、バネ6によって閉姿勢の方向に付勢される。また、ロックプレート5の外側縁部には、過回動時に、ストッパ用のピン10の大径部10aが当接する括れ部15が形成されている(
図10(a)参照)。
【0027】
図6(b)に示すように、ロックプレート5の厚さは、支持用のピン4の大径部4aの長さより僅かに(例えば0.5〜1.0mm)小さい。これにより、ロックプレート5は、ピン4の大径部4aを中心に回動自在する際、ピン4の大径部4aに沿って軸方向に移動自在となり、ベースプレート3とカバープレート7との間にロックプレート5に対するクリアランスCが形成され、スムーズに回動する。すなわち、ロックプレート5が回動するとき、クリアランスCによってベースプレート3との接触およびカバープレート7との接触が軽減され、接触による摩擦抵抗が軽減される。
【0028】
(入力部16)
図1に示すように、一対のロックプレート5の一方には、バネ6の付勢力によって閉姿勢となったロックプレート5を、開姿勢とする方向の外力が加わる入力部16が、形成されている。入力部16には、スリットおよび孔が形成されており、図示しない解除レバーに接続されたワイヤーが装着される。そして、解除レバーを操作することで、ワイヤーを介して入力部16に外力が加わり、そのロックプレート5がピン4を中心に開姿勢の方向に回動されるようになっている。
【0029】
(カム17、カムレシーブ18)
図1に示すように、各ロックプレート5には、それらを連動して開姿勢と閉姿勢とに回動するためのカム17およびカムレシーブ18が形成されている。カム17は、一方のロックプレート5の端部に形成された嘴部からなり、カムレシーブ18は、他方のロックプレート5の端部に形成された段差部からなる。入力部16に外力が加わって、一方のロックプレート5が開姿勢の方向に回動すると、カム(嘴部)17がカムレシーブ(段差部)18を押圧し、他方のロックプレート5も開姿勢の方向に回動する(
図10(a)参照)。
【0030】
(挟持部13)
図1に示すように、一対のロックプレート5の対向縁部には、ストライカー2を挟持するための挟持部13が夫々形成されている。挟持部13は、ロックプレート5が閉姿勢となったときストライカー2を挟持し(
図9参照)、ロックプレート5が開姿勢となったときストライカー2を解放する(
図10参照)。
図1に示すように、挟持部13は、閉姿勢となったロックプレート5同士の間にストライカー2を挟持するための隙間を確保すべく、挟持方向の外方に湾曲した弧状に形成されている。
【0031】
図1に示すように、挟持部13は、ベースプレート3の中央に形成された差込孔12によって外部に露出されており、差込孔12には、
図7(b)および
図8(b)に示すように、ストライカー2が差し入れられる。差込孔12に差し入れられたストライカー2が挟持部13の縁部に衝突することで、各ロックプレート5が開姿勢の方向に押し広げられる。挟持部13の縁部は、面取り又はアール成形されており、ストライカー2が衝突したとき、各ロックプレート5が適切に左右に押し広げられるようになっている。
【0032】
(位置決め部19)
図1に示すように、一対のロックプレート5の対向縁部には、上述した弧状の挟持部13に連なって、位置決め部19が夫々直線状に形成されている。これら位置決め部19は、バネ6の付勢力によって各ロックプレート5が閉姿勢となったとき、カバープレート7の突起部8に当接して各ロックプレート5の閉姿勢時の位置を定め、各ロックプレート5が開姿勢となったとき、カバープレート7の突起部8から離間する。
【0033】
ロックプレート5の位置決め部19およびカバープレート7の突起部8には、
図5(b)、
図5(c)に示すように、ロックプレート5の位置決め部19がカバープレート7の突起部8にバネ6の付勢力で押し付けられたとき、バネ6によるロックプレート5を閉姿勢とする方向の力を、ロックプレート5をベースプレート3に押し付ける方向の力に変更するため、傾斜部20、21が形成されている。位置決め部19の傾斜部20は、ロックプレート5の位置決め部19の対向縁部を、面取り又はアール成形して形成されている。突起部8の傾斜部21は、カバープレート7のロックプレート5側の面に、ロックプレート5の位置決め部19によって左右から挟まれる山型に成形されている。
【0034】
この構成によれば、
図5(a)に示すように、バネ6の付勢力が加わる左右のロックプレート5の位置決め部19が、
図5(b)に示すように、カバープレート7の突起部8に左右から挟むように当接すると、
図5(c)に示すように、ロックプレート5を閉姿勢とするベースプレート3に沿ったバネ6の付勢力が、ベースプレート3と交差する方向の力に変更(転換)され、ロックプレート5がベースプレート3に押し付けられる。例えば、傾斜部20、21の角度を45度とすれば、ベースプレート3に沿ったバネ6の付勢力が90度変更され、ロックプレート5がベースプレート3に直交方向から押し付けられる。なお、位置決め部19および突起部8の一方に傾斜部(20または21)を形成すれば、他方は不要である。
【0035】
(カバープレート7)
図1に示すように、カバープレート7は、ロックプレート5を介してベースプレート3の反対側に配置されており、ベースプレート3との間にロックプレート5を収容するものである。カバープレート7には、ベースプレート3の孔9、11の位置に合わせて4個の孔22、23が形成されている。孔22にはピン4の小径部4bが挿通されて固定(例えばカシメによって固定)され、これによりピン4がカバープレート7に装着される。同様に、孔23にはピン10の小径部10bが挿通されて固定(例えばカシメによって固定)され、これによりピン10がカバープレート7に装着される。カバープレート7の左右の2個の孔22、23の部分を繋ぐ領域には、
図5(a)に示すように、ピン4、10の小径部4b、10bをカシメた部分(突出部分)が飛び出すことを防止するため、窪み部24が形成されている。
【0036】
また、
図1に示すように、カバープレート7の中央には、ベースプレート3の差込孔12の位置に合わせて孔25が形成されている。この孔25は、
図8(b)、
図9(b)に示すように、ロックプレート5の挟持部13にストライカー2を挟持したとき、ストライカー2の先端がカバープレート7と接触することを回避するためのものである。よって、孔25の代わりにドーム状のカバーを設けてもよく、ストライカー2が接触しない場合には孔25を省略してもよい。
【0037】
図6(b)に示すように、カバープレート7とベースプレート3との間には、ロックプレート5を回動自在に支持するピン4の大径部4aが挟持され、ピン4の大径部4aが、ベースプレート3とカバープレート3との間隔を定めるスペーサーとして機能する。スペーサーとなるピン4の大径部4aの長さは、既述のように、ロックプレート5の板厚よりも僅かに(例えば0.5〜1.0mm)長い。よって、ベースプレート3とカバープレート7との間隔が、ロックプレート5の板厚に所定のクリアランス(例えば0.5〜1.0mm)Cを加えた間隔となり、このクリアランスCによりロックプレート5がベースプレート3とカバープレート7との間にて適切に回動する(
図5(b)、
図5(c)参照)。なお、
図6(c)に示すピン10の大径部10aも、同様にスペーサー機能を発揮する。
【0038】
(突起部8)
図1に示すように、カバープレート7のロックプレート5側の面には、閉姿勢となった左右のロックプレート5の位置決め部19に対向するように、突起部8が形成されている。突起部8は、上述したように、山型の傾斜部21を有し、傾斜部21に、バネ6によって閉姿勢となるように付勢された左右のロックプレート5の位置決め部19が、押し付けられる。これにより、
図5(b)、
図5(c)に示すように、各ロックプレート5の閉姿勢時の位置が定められると共に、各ロックプレート5がベースプレート3に押し付けられる。
【0039】
すなわち、突起部8は、左右のロックプレート5の閉姿勢時の位置を定める機能を有すると共に、左右のロックプレート5を閉姿勢の方向に付勢するバネ6の力の向きを略90度変更し、
図6(b)に示すクリアランスCの範囲でピン4の軸方向に移動自在なロックプレート5を、
図6(d)に示すようにベースプレート3に押し付け、ロックプレート5のガタ付きを抑える機能を発揮する(
図5(b)および
図5(c)参照)。突起部8は、本実施形態においてはカバープレート7に、山型の窪みをプレス成形して設けられているが、山型ブロックを溶接してもよい。
【0040】
(バネ6)
図1に示すように、左右のロックプレート5の端部には、バネ(引張コイルバネ)6が取り付けられる。バネ6の一端は、一方のロックプレート5の端部に形成された孔26に係止され、バネ6の他端は、他方のロックプレート5の端部に形成された凹部27に係止される。バネ6は、ロックプレート5の端部同士を接続し、各ロックプレート5が閉姿勢となるように引き寄せる。かかるバネ6の付勢力によって、ロックプレート5の挟持部13の間にストライカー2が挟持され、各ロックプレート5の位置決め部19がカバープレート7の突起部8に押し付けられ、各ロックプレート5がベースプレート3に押し付けられる。
【0041】
(ストライカー2)
図1〜
図3に示すように、バネ6によって閉姿勢となるように付勢された左右のロックプレート5の挟持部13には、ストライカー2が挟持される。ストライカー2は、ベースプレート3に形成された差込孔12に差し入れられる頭部28と、頭部28の底面に一体的に設けられた軸部29とを有し、軸部29には、頭部28が差込孔12に差し入れられたとき、ベースプレート3に押し付けられるストッパラバー30が被嵌されている。頭部28は、切頭円錐状または円錐状に成形されており、かかる頭部28の底面に、円柱状の軸部29が一体的に設けられている。頭部28と軸部29は、鋼製の一体品からなる。
【0042】
図4に示すように、ストッパラバー30には、円板31およびそれに溶接されたナット32が、接着されている。ナット32には、軸部29に形成された雄ネジが螺合されている。軸部29の雄ネジが図示しないドアのネジ孔(ナット)に締め込まれることで、ストライカー2がドアに取り付けられ、同時に、ナット32が軸部29に固定される。一方、ロックプレート5を支持するベースプレート3は、既述にように、図示しないドア枠またはその近傍に装着される。
【0043】
(ストッパラバー30)
ストッパラバー30は、
図8(b)に示すように、ドア保持時に、頭部28がベースプレート3の差込孔12に差し入れられたとき、ベースプレート3に押し付けられる外周部33と、外周部33の中央に突設され差
込孔12に差し入れられる内周部34と、内周部34と外周部33との間にリング状に凹設されたリング溝35とを有する。外周部33は、ドア保持時のクッションとして機能し、内周部34は、差込孔12に対するガイドとして機能し、リング溝35は、ドア保持時に差込孔12の内縁がストッパラバー30に食い込むことによるラバー切れを防止する機能を発揮する。
【0044】
ストッパラバー30は、
図9(b)に示すように、ドア保持時に、頭部28が差込孔12に差し入れられて外周部33がベースプレート3に押し付けられてベースプレート3の板厚分圧縮されたとき、かかる外周部33の圧縮に連動して内周部34の頂面がストライカー2の差入方向後方に移動し、内周部34の頂面と頭部28の底面との間にロックプレート5の板厚分以上の隙間が形成されるように圧縮変形する特性を有する。これにより、頭部28の底面と内周部34の頂面との間に、ロックプレート5の挟持部13を適切に収容できる。
【0045】
(ドア保持)
図7は、ドア保持の直前において、ドアに取り付けられたストライカー2が、ドア枠に取り付けられたドアキャッチ1のロックプレート5に挟持される前の状態を示す説明図であり、(a)はドアキャッチ1の正面図、(b)は(a)のb−b線断面図およびストライカー2の断面図、(c)は(a)c−c線断面図である。
【0046】
図7の状態からドアが更に保持方向に移動すると、
図8(a)、
図8(b)、
図8(c)に示すように、ストライカー2の頭部28がベースプレート3の差込孔12に差し込まれ、各ロックプレート5の挟持部13に衝突し、ロックプレート5が左右に押し広げられる。このとき、ストッパラバー30の外周部33が、ベースプレート3に押し付けられて弾性変形し、クッションとして機能するため、騒音および衝撃が低減され、開閉音も従来品と比べて静かで高級感が出る。また、ストッパラバー30の内周部34は、ベースプレート3の差込孔12に差し入れられ、差込孔12に対するガイドとして機能する。また、ストッパラバー30のリング溝35は、ドア保持時に差込孔12の内縁がストッパラバー30に食い込むことを回避し、ラバー切れを防止する。
【0047】
図8の状態からドアが更に保持方向に移動すると、
図9(a)、
図9(b)、
図9(c)に示すように、ストッパラバー30の外周部33がベースプレート3に押し付けられて圧縮され、かかる外周部33の圧縮に連動して内周部34の頂面がストライカー2の差込方向後方に移動し、内周部34の頂面と頭部28の底面との間にロックプレート5の板厚分以上の隙間が形成され、その隙間に左右のロックプレート5の挟持部13が収容される。各ロックプレート5は、バネ6によって閉姿勢の方向に付勢されており、各ロックプレート5の挟持部13の間にストライカー2の軸部29が挟持される。これと同時に、ストライカー2の頭部28が、ロックプレート5の挟持部13に引っ掛かって抜け止めされる。この結果、ドアが保持される。
【0048】
(ドア解放)
図9に示す保持状態のドアを解放するときには、
図10(a)、
図10(b)、
図10(c)に示すように、一方のロックプレート5の入力部16を、図示しないワイヤーで引っ張って、そのロックプレート5を開姿勢の方向に回動させる。すると、一方のロックプレート5のカム(嘴部)17が他方のロックプレート5のカムレシーブ(段差部)18を押圧し、他方のロックプレート5も開姿勢の方向に回動し、左右のロックプレート5が開姿勢となる。左右のロックプレート5が開姿勢となると、ストライカー2の軸部29がロックプレート5の挟持部13から解放され、挟持部13の間隔がストライカー2の頭部28よりも大きくなる。この結果、圧縮されていたストッパラバー30の外周部33の復元力によって、頭部28が左右のロックプレート5の挟持部13の間から抜け出て、差込孔12から排出される。これにより、ドアが保持状態から解放され、解放状態となる。その後、入力部16への入力を止めることで、バネ6の付勢力により
図7の状態に戻る。
【0049】
(作用・効果)
本実施形態に係るドアキャッチ1によれば、
図5に示すように、バネ6によって閉姿勢となる方向に付勢された左右のロックプレート5が、カバープレート7の突起部8に当接することで、各ロックプレート5の閉姿勢時の位置が定められると共に、各ロックプレート5がベースプレート3に押し付けられる。すなわち、ロックプレート5を閉姿勢とするためロックプレート5同士に接続されたバネ6の付勢力を利用して、ロックプレート5をベースプレート3に押し付け、ガタを抑えている。
【0050】
このように、ロックプレート5同士を接続するバネ6がロックプレート5の挟持機能と押付機能とを兼用するので、ロックプレート5をベースプレート5に押し付けるために従来必要であったウェーブワッシャーや押バネ等が不要となり、部品点数を削減できる。よって、低コストで軽量化を図りつつ、ロックプレート5のガタ付きが抑えられ、且つ、ロックプレート5の閉姿勢時の位置決めが行える。よって、ストライカー2の適切な係合を確保できる。
【0051】
詳しくは、
図7に示すように、左右のロックプレート5の挟持部13にストライカー2を挟持していない状態(ドアを保持していない状態)のときには、バネ6によって引き寄せられる各ロックプレート5の位置決め部19がカバープレート7の突起部8に当接し、各ロックプレート5がベースプレート3に押し付けられる。よって、各ロックプレート5が、ベースプレート3とカバープレート7との間において、クリアランスCの範囲でガタ付くことはなく、騒音・異音を防止できる。
【0052】
また、
図8に示すように、ストライカー2が差込孔12に差し込まれて左右のロックプレート5の挟持部13の縁部を押圧するとき(ドアを保持するとき)には、ストライカー2の押圧力によって、各ロックプレート5がベースプレート3からクリアランスCの範囲で離脱する。これにより、ロックプレート5とベースプレート3との摩擦抵抗が小さくなり、各ロックプレート5がスムーズに開姿勢の方向に回動する。
【0053】
また、
図9に示すように、ストライカー2が左右のロックプレート5の挟持部13に挟持された状態(ドアを保持した状態)のときには、バネ6によって引き寄せられる各ロックプレート5の位置決め部19がカバープレート7の突起部8に当接し、各ロックプレート5がベースプレート3に押し付けられる。よって、各ロックプレート5が、ベースプレート3とカバープレート7との間において、クリアランスCの範囲でガタ付くことはなく、騒音・異音を防止できる。
【0054】
すなわち、本実施形態に係るドアキャッチ1によれば、
図7に示すドアを保持していない状態でのロックプレート5のガタ付き、
図9に示すドアを保持した状態でのロックプレート5のガタ付きを共に防止でき、且つ、
図8に示すドアを保持するときにおけるロックプレート5のスムーズな回動を確保できる。かかる効果は、ロックプレート5を閉姿勢とするためロックプレート5同士に接続された一本のバネ6の付勢力を利用して、ロックプレート5をベースプレート3に押し付けることで得ているため、部品点数を増加することなく達成でき、コストダウンおよび軽量化を推進できる。
【0055】
以上、添付図面を参照しつつ本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されないことは勿論であり、特許請求の範囲に記載された範疇における各種の変更例または修正例についても、本発明の技術的範囲に属することは言うまでもない。