【実施例】
【0034】
様々な高さのヒールを有する10個の異なるソールの試行を計算により行う。ヒール高さは、2インチ〜4インチ(5.08〜10.16cm)とし、「式1」および補正係数に従ってソールまたはインソールボード曲率を得る。2インチ、2と1/2インチ、3インチ、3と1/2インチ、4インチ、および4.5インチのヒールを有する実用的なA
1、A
2、A
3、A
4、A
5、A
6インソールボードの理想的な形態が得られる(または導出される)。式1と共に使用される適切な補正因子は、MatLab
(登録商標)ソフトウェアプログラムのパラメータを使用して計算されるとき、以下のように与えられる「式5」である。
1/(1+(x−x
j)
2/k
2), x∈[0,100] (式5)
ここで、A
1、A
2、A
3、A
4、A
5、A
6のヒールサイズに関する変数x
jは、以下の表4で与えられる。ここで、
x
jは、インソールボードがヒトの足の解剖学的構造により良く適するように、公式内での因子関数の効果を変えるために使用される変数である。k
2は、インソールボードがヒトの足の解剖学的構造により良く適するように公式での因子関数の効果を変えるために使用される変数であり、300と定められている。
【0035】
得られる補正された公式を用いて、A
2、A
3、A
4、A
5、およびA
6インソールボードを形成し、これらのモデルを(直接的な足の支持体として)実験で観察すると、解剖学的に適正な支持と着用者の快適性の向上との両方を提供することに成功していることが分かる。
【0036】
表2は、前部プラットフォームなしのハイヒール靴では約2インチ〜4.5インチの範囲内の高さで、A
1、A
2、A
3、A
4、A
5、およびA
6インボードソールを形成することができることを示す。ここで、ハイヒール靴は、靴を履く足の前部から踵までの間の上昇距離が約4.5インチ以下になるという条件の下で、約0インチ〜3.5インチの範囲内の高さを有する適切なサイズの前部プラットフォームを有していてもよい。すなわち、前述のヒールに関して、0〜3.5インチの範囲内の適切なプラットフォームを有する。
【0037】
図面に示されるハイヒール靴(1)の爪先部角度(β)と、ヒール角度(α)とは、直立した身体姿勢を保証するようにインソールボード(2)に対して変化する。各ハイヒール靴(1)の爪先部角度(β)に対応するヒール角度(α)が、表2に与えられている。表2で見られるように、2インチ〜約8インチの間の範囲内の靴のヒールは、好ましくは、
図7に示されるように約5°〜26°(取り得る10%の許容差を有する)の範囲内のヒール角度(α)の値を有する。ヒール角度の変化は、1つまたは2つの因子の関数である。第1の因子は、様々なヒール高さ(cm/インチ)の相違であり、第2の因子は、ラスティングプロセスなど、ハイヒール靴を製造する際に使用される材料によって生み出される相違である。最良の結果(姿勢および快適性)は、ハイヒール靴(1)の爪先部角度(β)が7°〜26°の間の角度であるときに得られる。ヒール角度(α)は、インソールボード曲率計算値の関数であり、ヒールは、インソールボードの後端部であるが、所与の範囲内でのその変更が、製造プロセスによって機能的に決定される。
【0038】
一般に、典型的なヒール区域距離は、ウェッジソール靴などでは、ヒール角度の計測の開始点となる靴の後部から35〜50mmの間の範囲内であり、非常に細いスチレットヒールに関してはより小さいことがある。本明細書で行われるときのヒール角度およびその範囲の計算は、一般に、足支持部に沿って靴の後部から35〜50mmの間の長さで決定される。
【0039】
A
1〜A
6に関して示される各ヒール高さを有するインソールボードに関して以下の表2に関して提供される距離は、靴の後部およびインソールボードの端部から始まり、インソールボードの長さに沿って延びる。
【0040】
【表2】
【0041】
上述したように上記の公式1と補正因子によって得られるインソールボードモデルは、適切な姿勢および快適性に適しているが、上記の範囲パラメータ内で、爪先部角度(β)とヒール角度(α)とに関して数度の許容差があり得る。快適性レベルの許容差を伴う許容差範囲は、それらの限度を、表内の隣接するヒール高さに関する値によって定義される。したがって、例えば、90〜100mmの距離の点で、A
1に関する
角度曲率値は、42.96°からA
2の45.63°までの範囲でよい。A
2に関して、値は、A
1からA
3までの値を見て、A
1の42.96°からA
3の49.61°までの範囲である。同様に、A
3に関して、値は、A
2の45.63°からA
4の51.72°までの範囲であり、A
4に関して、値は、A
3の49.61°からA
5の56.13°までの範囲である。A
5に関する範囲は、A
4の51.72°からA
6の58.43°までである。A
6に関する値は、A
5の56.13°からA
6の58.43°までである。A
1およびA
6に関する値は、それぞれ最小値および最大値であり、取り得る許容差を有する。範囲は、様々な距離の点にわたって同様に広げられる。
【0042】
同様に、ヒール角度αは、特定のヒール高さに関して表に与えられているように、隣接するヒール高さA
1〜A
6の間の範囲内で変わってよく、A
1に関するヒール角度は、5°〜16°の間であり、A
2に関しては、5°〜18°の間であり、A
3に関しては、12°〜20°の間であり、A
4に関しては、14°〜22°の間であり、A
5に関しては、16°〜26°の間であり、A
6に関しては、18°〜26°の間であり、A
1およびA
6に関する値は、それぞれ最小値および最大値である(10%までの取り得る許容差を有する)。
【0043】
2インチ〜4.5インチの範囲内にあるが、特定のA
1〜A
6の高さとは異なるヒール高さに関して、特定の位置での湾曲角度、および湾曲値の有効範囲を決定する際、隣接するA
1〜A
6の値の間の範囲値の外挿を提供するために表4のx
jおよびkの値が使用される。
【0044】
したがって、表2および表3でのA
1〜A
6モデルインソールボードの値を使用して内挿することによって、中間のヒール高さ値に関しても上記の公式を使用することによって、モデリングを多くの異なるインソールボードに効果的に適用することができる。中間のヒール高さで形成されたインソールボードは、適切な姿勢および快適性を考慮して受け入れることができる。中間値で形成されたインソールボードも同様に、数度の許容差によって影響を及ぼされることなく、好適な靴の製造において使用することができる。A値の中間値が、以下に与えられる表3に提供される。
【0045】
【表3】
【0046】
A
1、A
2、A
3、A
4、A
5、A
6インソールボードが形成されるとき、表4で与えられる変数x
j、k、およびk
2が上述したように使用され、kは、MatLab
(登録商標)アルゴリズムの変数関数である。この表で与えられるk
2は、インソールボードが足の解剖学的構造により良く適するように公式での因子関数の効果を変えるために使用される変数であり、実験から300と定められている。
【0047】
【表4】
【0048】
図面を参照すると、
図1および
図3に示されるように、典型的なハイヒール靴1は、爪先区域5と、ソールまたはプラットフォーム区域4とを備え、これらの区域は、
図1に示されるように、足の前部のための厚みのある支持部を提供することがあり、または
図3に示されるように最小の厚さでよい。インソールボードまたは直接的な足支持区域2は、ソールまたはプラットフォーム区域4から延在し、通常はソールまたはプラットフォーム区域4と一体化され、
図2に示されるインソールボード2に関する上昇点から始まる。インソールボード2は、通常は靴の後部またはヒールに向かう湾曲区域として上昇し、ここで、インソールボード2の一部は、
図1と
図3に異なる構成で示されるヒール3によって支持される。
図8Aの従来技術の靴と、
図8Bの本発明による靴とのどちらにおいても、
図8Aおよび
図8Bに示される靴1の着用者の踵は、ヒール3に乗り、ヒール3によって支持される。
図2および
図7に示される本発明の靴のヒール角度(α)は、5〜26°の比較的低い大きさであり、概して、従来技術のハイヒール靴でのヒール角度の大きさよりもかなり低い。
図1の靴におけるように、爪先部角度は地面と面一でもよいが、より良い姿勢および快適性の向上のために、前方爪先部角度(β)は、7°〜26°の範囲の角度でわずかに上昇されるべきであり、この範囲からの変動はほとんどまたは全くない。
【0049】
従来技術の靴と本発明による靴との両方のインソールボード2の曲線形状は、x、y軸座標系によって定義され、このx、y軸座標系は、
図2に示されるように、インソールボードが上昇し始めるインソールボード2の点に原点を取って、インソールボードに重ね合わされる。インソールボードでの各点は、相互に関連付けられるxおよびyパラメータ値によって定義される。インソールボードの曲率は、
図4に示されるように関数kによって決定され、低いkでの限定された曲率から、高い曲率の形状までの範囲を取ることができ、様々な曲率が、異なる度合の支持、および/または快適さ/不快さ、ならびに適切な足の位置決めおよび姿勢を提供する。
【0050】
図5のx−yグラフに示されるように、本発明に従って、式1を利用して5つのインソールボード(A
1〜A
5)が形成され、これらは、曲線のあらゆるx、y値に関して式5の補正因子で補正されており、k
2定数値は300であり、異なる曲線によって表されている。A
1〜A
6インソールボードは、それぞれ2インチ、2と1/2インチ、3インチ、3と1/2インチ、4インチ、および4.5インチのヒール高さに関して形成した。
図6は、4インチのヒールを有するA
5インソールボードに関する湾曲を詳細に示す。
【0051】
図8Aおよび
図8Bは、従来技術の靴1’(
図8A)と、本発明による靴1(
図8B)との着用者の位置および姿勢の支持を示し、ここで、従来技術の靴の着用者に関する適切な直立軸Aは、適切な姿勢よりも前に傾いたずれがあり、完璧な支持ではないことを示し、その結果生じる前方の爪先部での圧力が、ハイヒール靴で典型的な痛みを引き起こす。また、アーチ領域9での支持が欠如している。対照的に、
図8Bでの靴1は、アーチ全体にわたって完全な支持を提供し、踵が完全に支持されており、それにより、着用者は、より見た目の美しい立ち姿で軸Aに沿って立つ。ここで、
図8Aと
図8Bの靴は、スタイリッシュな外観の観点ではほとんど見分けが付かない。
【0052】
図9は、ウェッジソール靴として知られているハイヒール靴の実施形態を示し、ここでは、他の実施形態で使用されるような鋼インソールボードの代わりに、完全に支えられたソールが使用される。ソール2の曲率は、インソールボードでの実施形態の曲率と実質的に同一である。
【0053】
上記の開示および例は、本発明の例示にすぎず、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲から逸脱することなく材料、構造、構成などの変更が可能であり、例えば、特に踵またはその周囲において、靴インソールの圧力が加わる部位または痛みが通常生じる部位に追加のクッションが提供される。