(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
[0010]以下の発明を実施するための形態は、事実上例示的なものにすぎず、本発明または本発明の用途および使用を限定することを意図したものではない。本明細書にわたって、「例示的な(exemplary)」という用語は、「例(example)」という用語と同義であって、以下の説明が本発明の複数の非限定的な例を提供するだけのものであり、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲を何らかの点で限定すると解釈されるべきではないことを強調するために、以下で繰返し利用される。
【0010】
[0011]比較的コンパクトで軽量な形状要素を有する小型反動輪組立体(RWA)の実施形態が提供される。小型RWAは、独特の中央配置型軸受アーキテクチャを備え、この中央配置型軸受アーキテクチャは、RWA回転子のシャフトを中心に配置された、単一の軸方向に拡大された正面(DF)組合せ軸受対を含む。軸方向に拡大されたDF組合せ軸受対は、第1および第2の回転要素(例えば、ボール)軸受を含み、そのそれぞれが、回転要素の環状列を含む。DF組合せ軸受対は、スピン軸に沿って見たときに回転要素の2つの列が所定の軸方向間隔(S
A)によって分離されているという意味では、「軸方向に拡大」または「分割」されている。回転要素列間の軸方向間隔(S
A)、および回転要素/軌道輪接触角度(β)は、回転要素軸受のそれぞれの軸受荷重線間に所望の軸受荷重線離隔距離(S
LL)を作り出すように、設計によって調整される。そして、軸受荷重線離隔距離(S
LL)は、回転子軸を支持するのに単一のDF組合せ軸受対を利用しながらも径方向の擾乱力により良く対応するために、強化された回転子角度安定性および向上されたモーメント容量をRWAに与えるように選択される。さらに、DF組合せ軸受対の軸方向に拡大された性質は、一様な軸受荷重を促進して、軸受の寿命をさらに延長する。さらなる恩恵として、さもなければRWAパッケージ内の潜在的な破損点の数を増加させる他の回転要素軸受(例えば、第2の組合せ軸受対)を省くことにより、RWAの全体的な信頼性が高められる。いくつかの実施形態では、軸方向に拡大された組合せ軸受対は、少なくとも部分的にスピンモータ内に入れ子にされ、そのスピンモータは、少なくとも部分的にRWA回転子内に入れ子にされる。そのような高度に入れ子にされた設計は、RWAの軽量で軸方向にコンパクトな形状要素にさらに寄与する。最終的に得られるのは、構造的に頑健でかつ信頼性も高いと同時に従来のRWAと比較して減少した部品数、複雑性、重量、外包、および製造コストをさらに有する、小型RWAである。次に、
図1〜4と併せて、小型RWAの非限定的で例示的な実施形態を説明する。
【0011】
[0012]
図1、2、および3は、それぞれ、本発明の例示的な実施形態に従って示される小型RWA10の等角図、分解組立図、および断面図である。RWA10は、ハウジング組立体12、およびRWA回転子14(
図2〜3)を含み、RWA回転子14は、ハウジング組立体12内に取り付けられて、スピン軸16(
図3で識別される)を中心に回転する。ハウジング組立体12は、主支持台18、内側軸受カバー19(
図2〜3に示される)、端部キャップ20、および回転子カバー22を含む。軸受キャップ19(
図2〜3)は、複数のボルトまたは他の締結具(視界から隠されている)を利用して、主支持台18の第1の側に固定される。同様に、端部キャップ20は、軸受カバー19を覆って位置決めされ、ボルト24(
図1および3)を利用してやはり主支持台18の第1の側に固定される。端部キャップ20の反対側では、回転子カバー22が、第2の複数のボルト(やはり視界から隠されている)を利用して、台18の第2の対向側に固定される。電気的接続部21およびねじ栓23が、端部キャップ20を貫通して取り付けられ、RWA10の外部からアクセス可能である。具体的には、電気的接続部21は、端部キャップ20に設けられた第1の開口部25(
図2で識別される)を貫通して配置されて、ハウジング組立体12内に収容されたスピンモータ46(以下で説明される)を含む電気的構成要素への電気的接続を可能にする。ねじ栓23は、真空ポート27(
図2)上に封止可能に配置されて、密閉された回転子キャビティまたはチャンバをハウジング組立体12が包囲する実施形態でのハウジング組立体12の排気を可能にする。
【0012】
[0013]さらなる実施形態では、ハウジング組立体12は、締結具、溶接、ねじ連結、および他の接合技法の任意の組合せを利用して互いに接合される、様々な数の構成要素を含み得る。例えば、軸受カバー19、端部キャップ20、および回転子カバー22は、RWA10の動作に必須のものではなく、いくつかの実施形態では除外され得る。そのような実施形態では、RWA10は通常、回転子14およびRWA10の他の内部構成要素を支持するのに適した機械的なプラントまたは構造的に頑丈なシャシとして機能する、主支持台18または別の構造(単体であれ、複数の部品から組み立てられるものであれ)をなおも含む。しかし、
図1〜3に示されるように、軸受カバー20および回転子カバー22は、RWA10の内部構成要素を封入しかつ保護するために、有益に提供される。さらに、上記のように、軸受カバー20および回転子カバー22は、主支持台18に封止可能に接合されて、地上で試験する目的のために部分真空がRWA10内から引き抜かれることを可能にすることができる。ハウジング組立体12が密閉されないまたは回転子14(
図2〜3)を完全に包囲しない実施形態では、ねじ栓23および真空ポート27も省かれ得る。
【0013】
[0014]主支持台18は、径方向に延在する壁すなわち隔壁28と、中央配置型軸受格納構造30(
図2で識別される)とを含む。軸受格納構造30は、径方向に延在する隔壁28から軸方向に突出する。「軸方向」という用語は、本明細書では、スピン軸16(
図3)に平行な方向として定義される。中央配置型軸受格納構造30は、内側管状側壁32を備え、この内側管状側壁32は、内側の円筒状の空洞すなわち中央軸受区画34を画定または円周方向に境界する。内側管状側壁32は、主支持台18内に設けられた環状の空洞または凹部36(
図3で識別される)の内周をさらに境界する。環状凹部36は、径方向に延在する隔壁28の外周面に沿って延在するまたはそれを取り囲む外側環状側壁38により、その外周に沿ってさらに境界される。RWA10が組み立てられると、外側環状側壁38は、回転子14を包囲するのに役立ち、かつ、回転子カバー22の取付けのための環状接触面を提供する。RWA10が回転子カバー22を含まない代替的実施形態では、外側環状側壁38は、除外され得る。より全般的には、主支持台18の形状、構造、および組成は、実施形態の間で異なり得る。
図1〜3に示されるように、主支持台18は、比較的軽量な金属または合金からなる単一の機械加工された部品として、有用に形成される。しかし、これは必須ではなく、支持台18は、RWA10のさらなる実施形態では2つ以上の部品から組み立てられ得る。
【0014】
[0015]
図2〜3に最も明白に示されるように、RWA回転子14は、回転子シャフト40、回転子リム42、および、回転子リム42を回転子シャフト40に接合する円板形状の介在構造すなわち「懸架ウェブ」44を含む。RWA10が組み立てられると、回転子シャフト40は、中央配置型軸受格納構造30に設けられた開口部を貫通して突出して、中央軸受区画34内に延在する。回転子シャフト40および中央配置型軸受格納構造30は、回転子シャフト40の大部分、また場合によっては回転子シャフト40の実質的な全体が中央軸受区画34内に格納されるような大きさとされる。それに比べると、回転子リム42は、環状凹部36(
図3)内に部分的に受容されて、内側管状側壁32を取り囲む。示された例では、回転子リム42は、回転子空洞45(
図3で識別される)内に格納され、この回転子空洞45は、RWA10が組み立てられたときに主支持台18および回転子カバー22によって画定される。回転子リム42は、スピン軸16に沿って見たときに、中央配置型軸受格納構造30の大部分に沿って延在し得る。最後に、RWA10の宇宙機取付け接触面(示された例では、支持台18の外側環状側壁38の周りに設けられた径方向に延在するタブ47によって画定される)は、軸受格納構造30の周りに延在し得る。さらなる実施形態では、RWA回転子14の個々の幾何形状、構造、および配置は、スピン軸16と同軸のシャフト(例えば、シャフト40)にしっかりと接合される少なくとも1つの慣性要素(例えば、回転子リム42)を回転子14が含むのであれば、異なり得る。
【0015】
[0016]RWA10は、全体的に環状のスピンモータ46をさらに含み、このスピンモータ46は、回転子空洞45(
図3)内に取り付けられ、かつ、その大部分がRWA回転子14内に入れ子にされるかまたは格納される。径方向に見ると、スピンモータ46は、回転子リム42と中央配置型軸受格納構造30の内側管状側壁32との間に配置される;つまり、スピンモータ46は、回転子リム42の内側と管状側壁32の外側との間に配置される。スピンモータ46は、内側モータ固定子48と、固定子48を取り囲む外側モータ回転子50とを含む。内側モータ固定子48は、全体的に環状の幾何形状を有し、主支持台18に固定される。具体的には、モータ固定子48は、中央配置型軸受格納構造30の周りに延在する環状取付け接触面にボルトまたは他の方法で取り付けられる。同様に、外側回転子50もまた、全体的に環状の幾何形状を有するが、回転子リム42の内側に固定されてその周りに延在する。スピンモータ46は、スピン軸16を中心として回転子14を回転させるのに適した任意の形状を取ることができる。示された実施形態では、単に非限定的な例として、スピンモータ46は、鉄を含まない電機子の電気モータである。したがって、内側モータ固定子は、電磁石コイルの環状アレイが組み込まれたプリント回路板(PCB)または他のレジン充填体(resin−filled body)の形態を取ることができる。励起されると、電磁石コイルは、外側モータ固定子50内に含まれかつ回転子リム42の内側に対して離間された、示されていない永久磁石、および場合により磁極片と相互作用して、RWA回転子14をスピン軸16の周りで回転させる。
【0016】
[0017]前述のように、スピンモータ46は、大部分が、または全体として、RWA回転子14内に入れ子にされる。同様に、中央配置型軸受格納構造30は、全体的にスピンモータ46内に入れ子にされるかまたは格納される。そのような高度に入れ子にされたモータ−回転子−軸受設計が、いくつかの利点を提供する。第1に、スピンモータ46をRWA回転子14内に入れ子にすることにより、RWA10の軸方向寸法(スピン軸16に沿ったRWA10の寸法)がさらに減少され得る。第2に、そのような高度に入れ子にされた設計は、RWA回転子14の回転中にスピンモータ46の外側回転子50および回転子リム42が単一の慣性系42、50を集合的に形成することを可能にする。慣性系42、50は、CG象徴52により
図3に表される重心(Center of Gravity)(「CG
SYSTEM」)を有する。CG
SYTEMは、分離して考慮されたときに、回転子14の重心(「CG
ROTOR」)と重複または一致していてもよく、そうでなくてもよい。しかし、本実例および以下の説明では、CG
SYSTEMおよびCG
ROTORは、実質的に一致していると見なされ、また、CG象徴52(
図3)により一緒に表されると見なされる。
図3に示されるように、CG
SYSTEMおよびCG
ROTOR(象徴52)は、小型RWA10の中心点にまたはそれに隣接して配置され得る。しかし、CG
SYSTEMおよびCG
ROTOR(象徴52)は、RWA10の正確な中心に配置されなくてもよく、その代わりに、設計によりRWA10の中心から軸方向にわずかにずらされてもよい。全体的に、CG
SYSTEMおよびCG
ROTOR(象徴52)は、典型的には軸受格納構造30内に配置されて、組合せ軸受対54(以下で説明される)によって取り囲まれる。さらに、CG
SYSTEMおよびCG
ROTOR(象徴52)は典型的には、軸16に沿って見たときに、RWA10のどちらかの端部よりも、RWA10の中心を通りかつスピン軸16(
図3)に直角に延在する中央線平面に接近して配置される。
【0017】
[0018]
図1〜3の例示的な実施形態では、また、
図2〜3を特に参照すると、小型RWA10は、組合せ軸受対54をさらに格納する。組合せ軸受対54は、中央配置型軸受格納構造30内に格納され、かつ、回転子シャフト40の中間部分の周りに配置される。より具体的には、組合せ軸受対54は、軸受格納構造30内に含まれた回転子シャフト40の外側円周面と内側管状側壁32の内側円周面との間に配置されかつそれらと対合的に(matingly)係合する。組合せ軸受対54は、ハウジング組立体12およびRWA10の他の固定された構成要素に対する回転子14のスピン軸16を中心とした回転を促進する。上記で簡単に述べたように、CG
SYSTEMおよびCG
ROTOR(
図3では象徴52)は、組合せ軸受対54内に配置され得るかまたは組合せ軸受対54によって取り囲まれ得る。以下でより詳細に説明される理由から、正面すなわち「DF」組合せ軸受は、対の組合せ軸受対54としての使用のために有利に選択される。本明細書において、「DF」組合せ軸受対という用語は、スピン軸16(
図3および4)に近づけたときおよび組合せ軸受対が組み立てられたときに2つの軸受列の軸受荷重線が集中するように位置決めされる、回転要素軸受の対を意味する。DF組合せ軸受対は、この特性を共有しない背面(DB)軸受対(スピン軸に近づけたときに軸受荷重線が分離する)および並列(DT)軸受対などの、他のタイプの軸受と対比されるべきである。
【0018】
[0019]
図4は、小型RWA10内に格納された中央配置型軸受構成の詳細な断面図であり、DF組合せ軸受対54をより詳細に示している。この図では、DF組合せ軸受対54が、第1の回転要素軸受56、第2の回転要素軸受58、内輪スペーサ60、および外輪スペーサ62を含むことが分かる。回転要素軸受56、58は、それぞれ、軸受対54の回転軸の周りに分散された複数の回転要素64を含む。各回転要素軸受56、58は、内輪66、および同心の外輪68をさらに含み、内輪66および外輪68は、それらの間に回転要素64を捕捉する。回転要素64は、示された実例ではボールすなわち球体であるが、さらなる実施形態では別のタイプの回転要素(例えば、円筒)であり得る。さらに、さらなる実施形態では、回転要素軸受56の内輪66および/または回転要素軸受58の内輪66は、部品数をさらに減らすために、単体として内輪スペーサ60と一体に形成され得る。同様に、そのような実施形態では、回転要素軸受56の外輪68および/または回転要素軸受58の外輪68は、単体として外輪スペーサ62と一体に形成され得る。さらなる実施形態では、DF組合せ軸受対54は、以下でより詳細に説明されるように、適切に予荷重が加えられたときに対面した関係に配置される2つの回転要素軸受を軸受対54が含むのであれば、他の形態を取ることができ、かつ、他の特徴(例えば、保持器またはケージ)を含むことができる
[0020]
図4に破線72によって表されるように、回転要素軸受56は、第1の軸受荷重線(LL
1)を有する。同様に、回転要素軸受58は、破線70によって表される第2の軸受荷重線(LL
2)を有する。軸受荷重線(LL
1〜2)の角度配向は、組合せ軸受対54が組み立てられてそれに任意の所望の予荷重が加えられたときに回転要素64と各軸受56、58の軌道との間に形成される接触角度(β)によって画定される。例えば、
図4の右下隅に示されるように、荷重線70は、軸受58の回転要素64と内輪66および外輪68の周りに設けられた軌道との間の接触角度(β)によって画定される。
図4には具体的に標識されていないが、荷重線72の配向を設定する接触角度が同様に確立されることが、理解されるであろう。2つの軸受の軸受荷重線は、組合せ軸受対54の回転軸上、したがって回転子14のスピン軸16上に集中する。さらに、組合せ軸受対54は正面すなわち「DF」軸受対であるので、回転要素軸受56、58の軸受荷重線は、スピン軸16に沿って見たときに、組合せ軸受対54の内側に向かって内方に延在する。したがって、示された実例では、回転要素軸受56、58は、RWA10の中央部分を通過しまた場合によりCG
ROTORを横断する対称面に対して向かい合った、鏡面対称のもの(mirror opposite)と考えられ得る。別の言い方をすれば、回転要素軸受56、58は、スピン軸16に直角でありかつCG
ROTORを横断する平面から、実質的に等距離に位置し得る。
【0019】
[0021]上記の理由から、組合せ軸受対54は、回転要素軸受56、58の軸受荷重線またはベクトルが軸受外包の中心に向かって内方に延在する正面すなわち「DF」軸受対であると、適切に考えられる。さらに、軸受対54は、スピン軸16に沿って見たときに、回転要素64の2つの列が所定の軸方向間隔(S
A)によって分離されているので、軸方向に拡大または分割されている。特に、破線70、72によって表される軸受荷重線(LL
1〜2)は、軸受荷重線離隔距離(S
LL)によってオフセットまたは分離される。軸受荷重線離隔距離(S
LL)は、組合せ軸受対54の幾何形状によって、また具体的には、組合せ軸受対の軸方向間隔(S
A)、および回転要素/軌道接触角度(β)によって決定される。示された実施形態では、回転要素軸受56、58は、密接して位置決めされるように意図された組合せ軸受対として、供給者から得られ得る。所望の軸受荷重線離隔距離(S
LL)は、この具体的な例では、軸受56、58の内輪66と外輪68との間に所望の軸方向離隔を提供する輪スペーサ60および62を組合せ軸受対に取り付けることにより、作り出され得る。さらなる実施形態では、軸受56、58の所望の軸受荷重線離隔距離(S
LL)は、組合せ軸受対の軸方向間隔(S
A)に加えてまたはその代わりに回転要素/軌道接触角度(β)を調整することによって、得られ得る。例えば、そのような軸方向間隔はまた、さらなる実施形態では、他の方法で、例えば、軸方向に長い単一の外輪を作製して外輪68および外側スペーサ62を置き換えること、および/または適切な大きさとされた単一の内輪を作製して内輪66および内側スペーサ60を置き換えることによって、軸受56、58の斜めの接触面を軸方向に広げることにより、得られ得る。回転子シャフト40がスピン軸16に沿って見たときに長さL
SHAFTを有し、また軸方向に拡大されたDF組合せ軸受対54がスピン軸16に沿って見たときに長さL
BEARINGを有する、1つの実施形態では、軸受対54の長さは、L
BEARING>0.5L
SHAFTであるように、回転子シャフト40の長さの半分よりも長い。
【0020】
[0022]しかし、RWA10の中央配置型軸受アーキテクチャ内での離間されていないDF組合せ軸受対の使用は、回転子の安定性およびRWA10のモーメント容量に関する技術上の課題を提示し得る。具体的には、RWA10の中央配置型軸受アーキテクチャ内での離間されていないDF組合せ軸受対の使用は、本質的に、回転子シャフト40上で軸受荷重線が集中する単一の点を提供することが、確定されてきた。RWA10およびRWA回転子14に著しい軸外力が加えられる動的な(例えば、打上げ)環境では、スピン軸16に直角な軸に沿った回転子14の望ましくない回転が、結果として起こり得る。このことは、通常、回転子シャフトの両端部に位置決めされた2つの組合せ軸受対を含む従来のまたは過去から受け継がれたRWA設計においては、懸念されない。しかし、RWA10の中央配置型軸受アーキテクチャにおいては、軸外の回転子の運動または「ふらつき」は、特にRWA回転子14が大きさおよび質量を増大させるときには、大きな懸念となる。この技術上の問題の解決策は、比較的コンパクトな中央配置型の単一軸受アーキテクチャ内に格納される軸方向に拡大された構造をDF組合せ軸受対54に与えることにより、少なくとも部分的に実現される。DF組合せ軸受対54に軸方向に拡大された構成を与えることにより、単一のDF組合せ軸受対の使用による回転子14の支持をなおも可能にしながらも、RWA10のミッション要求事項を満たすのに適した水準まで、回転子の剛性、およびモーメント容量が増大される。
【0021】
[0023]DF組合せ軸受対54の軸受荷重線離隔距離(S
LL)は、RWA回転子14の質量、および小型RWA10がそのミッション要求事項を満たすために存続することが必要とされる環境のパラメータ(例えば、振動および不規則な擾乱力の大きさ)などの、任意の数の因子に関連して調整され得る、調節可能なパラメータである。一般に、DF組合せ軸受対54の軸受荷重線離隔距離(S
LL)を大きくすることは、RWA外包の全体的な軸方向寸法が僅かに大きくなるという潜在的な不利益にも関わらず、RWA10のモーメント容量を引き上げることになる。したがって、軸方向に拡大されたDF組合せ軸受対54の軸受荷重線離隔距離(S
LL)は、通常、回転子質量が増大するにつれて、および/またはRWA10が被り得る擾乱力の程度がより重度になるにつれて、拡大されることになる。RWA10が小型人工衛星に搭載される場合、S
LLは、理想的には、RWAの全体的な寸法および重量を最小限に抑えるために比較的小さくされながらも、RWA10およびそのホスト人工衛星を軌道に送達する際に引き起こされる打上げ環境の不規則な衝撃擾乱力にRWA10が(構造上の損傷なく)耐えられるようにするのに十分な剛性およびモーメント容量の特性を提供するために十分に大きくもあるように、選択される。さらに、いくつかの実施形態では、荷重線離隔距離(S
LL)は、例えば、RWAの動作中に生じる軸受の励振に起因する望ましくない回転子の運動を最小限に抑える形で第1の回転子角度モード振動数を設定するために、所望の角度剛性を提供するように調整され得る。
【0022】
[0024]回転要素軸受56、58は、軸受56、58の内輪66および外輪68に制御された軸方向予荷重が加えられるのであれば、多数の様々な態様で中央配置型軸受格納構造30内に保持され得る。示された実例では、内側締付けナット74および外側締付けナット76が、内側空洞34内に格納されて、回転要素軸受を回転子シャフト40および軸受格納構造30のそれぞれに固定するために利用される。
図4で最も容易に分かるように、内側締付けナット74は、回転子シャフト40の雄ねじ端部上に螺着される。内側締付けナット74が締められるにつれて、締付けナット74は、回転要素軸受56の内輪66に軸方向の力を及ぼし、この軸方向の力は、内側スペーサ60を介して回転要素軸受58の内輪66に伝えられる。回転要素軸受58の内輪66は、RWA回転子14内のシャフト40の基部の周りに含まれた円周レッジまたは棚78に接触する。結果として、組合せ軸受対54の内側部分は、制御された軸方向予荷重が内輪66にわたって与えられている間、内側締付けナット74と棚78との間に捕捉される。同様に、外側締付けナット76は、軸受格納構造30内に含まれた内壁32の雌ねじ部分に螺入される。外側締付けナット76は、回転要素軸受56の外輪68に接触し、この接触は、外側スペーサ62を介して回転要素軸受58の外輪68に伝えられる。回転要素軸受58の外輪68は、軸受格納構造30の内側管状側壁32から内方に突出する円周リップ80に接触する。このようにして、組合せ軸受対54の外側部分は、所望の軸方向予荷重が外輪68にわたって加えられている間、外側締付けナット76と円周リップ80との間に捕捉される。
【0023】
[0025]したがって、回転子のシャフトの中間部分の周りに配置された、軸方向に拡大された単一のDF組合せ軸受対を含む中央配置型軸受アーキテクチャを具備する、小型RWAの実施形態が提供されてきた。DF組合せ軸受対は、軸受荷重線をそれぞれが有する、第1および第2の回転要素(例えば、ボール)軸受を含む。軸受荷重線は、軸受の回転要素列間の軸方向間隔(S
A)と軸受の接触角度(β)とによって決定される間隔すなわち離隔距離(S
LL)によって分離され得る。このようにして、軸受荷重線の離隔距離(S
LL)は、向上された回転子安定性と運動能力とをRWAに与えるように調整され得る。結果として、小型RWAは、RWA回転子を支持するのに単一の組合せ軸受を利用しながらも、軸外擾乱力により良く対応して、最適化された動的性能を提供することができる。より全般的には、小型RWAの部品数、重量、大きさ、および生産コストは、そのような簡易化された中央配置型軸受アーキテクチャにより、有利に減少される。RWAの信頼性もまた、第2の組合せ軸受対の形式での予想される破損点を排除することによって、強化される。少なくともいくつかの実施形態における小型RWAの軽量で軸方向にコンパクトな設計に貢献し得るなおもさらなる特徴は、軸方向に拡大された組合せ軸受対が、少なくとも部分的に回転子内に入れ子にされるスピンモータ内に少なくとも部分的に入れ子にされる、高度に入れ子にされた設計を含む。したがって、小型RWAは、小型人工衛星内での使用によく適しているが、いかなる特定のビークルまたはプラットホームに搭載されることに限定されるものではない。
【0024】
[0026]小型RWAを活用する実施形態は、高度に機能的な構成要素の統合と、改良された軸受懸架機構とを通じて、製品の構造上の反応性の低下を実現する。2つの組合せ軸受対に依存する他のRWAアーキテクチャとは対照的に、軸受懸架機構は、単一の組合せ軸受対を組み込みかつ単一の組合せ軸受対で構成され得る。したがって、RWAのミッション要求事項によって定められる回転子慣性要求に対処するために、単一の組合せ軸受対が利用される。別の言い方をすれば、小型RWAは、単一の組合せ軸受対のみを含むまたは単一の組合せ軸受対で構成される、回転子懸架システムを含み得る。軸方向に拡大されたDF組合せ軸受対が、軸方向に広げられた構成でRWAに組み込まれ、この構成は、DF組合せ軸受対の各組合せ半体を、動的に課せられる環境において生じるタイプの多軸荷重要求、例えば人工衛星の打ち上げ中に生じる衝撃力または振動力を支持するのに十分な軸方向間隔によって分離する。動的に調整されたRWA構造と組み合わせられることで、軸方向に拡大された組合せ軸受対は、機械的負荷がRWA内で適切に対処されることを可能にする。そのような代替的な軸受構成およびRWAアーキテクチャは、より大量の商業生産に対する生産コストおよび組立時間を劇的に減少させる。
【0025】
[0027]上述の発明を実施するための形態では複数の例示的な実施形態が提示されてきたが、膨大な数の変形形態が存在することが、理解されるべきである。また、例示的な実施形態は、単なる例であって、本発明の範囲、適用性、または構成を多少なりとも限定するようには意図されていないことが、理解されるべきである。むしろ、上述の発明を実施するための形態は、本発明の例示的な実施形態を実施するための簡便な指針を当業者に提供するものである。添付の特許請求の範囲に記載の本発明の範囲から逸脱することなく、例示的な実施形態において説明された要素の機能および配置に様々な変更がなされ得ることが、理解される。