(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6879797
(24)【登録日】2021年5月7日
(45)【発行日】2021年6月2日
(54)【発明の名称】トリガースイッチ
(51)【国際特許分類】
H01H 13/00 20060101AFI20210524BHJP
B25F 5/00 20060101ALI20210524BHJP
【FI】
H01H13/00 C
B25F5/00 B
【請求項の数】9
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-67446(P2017-67446)
(22)【出願日】2017年3月30日
(65)【公開番号】特開2018-170190(P2018-170190A)
(43)【公開日】2018年11月1日
【審査請求日】2020年2月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】591148602
【氏名又は名称】佐鳥電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001014
【氏名又は名称】特許業務法人東京アルパ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】樋川 星
【審査官】
片岡 弘之
(56)【参考文献】
【文献】
特開2014−167926(JP,A)
【文献】
実開昭59−173947(JP,U)
【文献】
実開昭54−141484(JP,U)
【文献】
特開2012−101326(JP,A)
【文献】
特開2017−094432(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 13/00
B25F 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の操作により移動する操作部と、
押圧される力を検出する感圧センサと、
前記感圧センサを押圧する押圧部材と、
前記操作部の移動量を力に変換する変換部材と、
を備え、
前記操作部の移動量が所定量未満である場合、前記押圧部材は、前記変換部材を介して前記操作部と結合し、前記変換部材によって変換された力で前記感圧センサを押圧し、
前記操作部の移動量が前記所定量以上である場合、前記押圧部材は、前記変換部材を介さず前記操作部と結合し、前記使用者が前記操作部を押圧した力で前記感圧センサを押圧する、
トリガースイッチ。
【請求項2】
前記操作部の移動量が第二の所定量未満である場合、前記押圧部材は、前記感圧センサを押圧しない、
請求項1のトリガースイッチ。
【請求項3】
前記押圧部材が前記感圧センサを押圧する力を所定値以内に制限する制限部を備える、
請求項1又は2のトリガースイッチ。
【請求項4】
オフ位置と最大位置との間を移動可能であり、前記オフ位置へ向けて付勢され、使用者の操作により前記最大位置へ向けて移動する操作部と、
押圧される力を検出する感圧センサと、
前記感圧センサを押圧する押圧部材と、
前記操作部と前記押圧部材との間に介在する圧縮ばねと、
を備え、
前記操作部が限界位置よりも前記オフ位置の側に位置するとき、前記押圧部材は、前記圧縮ばねを介して前記操作部と結合し、これにより、前記操作部の位置に対応する力で前記感圧センサを押圧し、
前記操作部が前記限界位置に位置するとき、前記押圧部材は、前記圧縮ばねを介さず前記操作部に当接し、これにより、前記使用者が前記操作部を押圧した力で前記感圧センサを押圧する、
トリガースイッチ。
【請求項5】
前記操作部が作動位置よりも前記オフ位置の側に位置するとき、前記押圧部材は、前記感圧センサから離れている、
請求項4のトリガースイッチ。
【請求項6】
前記感圧センサは、感圧位置と保護位置との間を移動可能であり、前記感圧位置へ向けて付勢され、
前記押圧部材が前記感圧センサを押圧する力が所定値に達したとき、前記感圧センサが前記保護位置へ向けて移動し、前記操作部が前記最大位置に到達し、これにより、前記感圧センサが第二の所定値より大きい力で押圧されるのを防ぐ、
請求項4又は5のトリガースイッチ。
【請求項7】
前記感圧センサが検出した力に基づいて、負荷に供給する電力を制御する、
請求項1乃至6いずれかのトリガースイッチ。
【請求項8】
前記感圧センサが検出した力に基づいて、モータの回転数を制御する、
請求項1乃至6いずれかのトリガースイッチ。
【請求項9】
モータと、
請求項1乃至6いずれかのトリガースイッチと、
を備え、
前記感圧センサが検出した力に基づいて、前記モータの回転数を制御する、
電動工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トリガースイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、スイッチ操作部の変位量に応じて、モータに対する電力供給量を増減させる変速スイッチを開示している。
特許文献2は、荷重伝達材に印加された荷重を受歪部で検出する荷重計を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−101326号公報
【特許文献2】特公昭39−23167号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された変速スイッチは、スイッチ操作部の変位量を、弾性体により、荷重センサを押圧する力に変換することにより、少ない変位量で、モータの回転数を最大にすることができる。しかし、モータが停止している状態から、モータが最大回転している状態までのスイッチ操作部の変位量が短いので、モータの回転数を微調整することが難しい。
弾性体のばね定数を小さくすれば、モータが停止している状態から、モータが最大回転している状態までのスイッチ操作部の移動距離が長くなり、モータの回転数を微調整することが可能となる。しかし、今度は、モータを最大回転させたいとき、スイッチ操作部を大きく移動させなければならない。
また、操作部の変位量を押圧力に変換するのではなく、操作部を押圧した力をそのまま荷重センサに伝達する構成とすれば、操作部をほとんど移動させることなく、モータの回転数を増減させることができる。しかし、操作部の変位量ではなく、操作部に加える力の加減で、モータの回転数を制御することになるので、やはり、モータの回転数を微調整することが難しい。
本発明は、このような課題を解決し、モータなどの負荷に最大電力を供給するときの操作部の移動量を小さく抑えつつ、負荷に供給する電力を容易に微調整できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明にかかるトリガースイッチは、使用者の操作により移動する操作部と、押圧される力を検出する感圧センサと、前記感圧センサを押圧する押圧部材とを備えてもよい。前記操作部の移動量が所定量未満である場合、前記押圧部材は、前記操作部の移動量に対応する力で前記感圧センサを押圧してもよい。前記操作部の移動量が前記所定量以上である場合、前記押圧部材は、前記使用者が前記操作部を押圧する力に対応する力で前記感圧センサを押圧してもよい。
前記トリガースイッチは、前記操作部の移動量を力に変換する変換部材を備えてもよい。前記操作部の移動量が前記所定量未満である場合、前記押圧部材は、前記変換部材を介して前記操作部と結合し、前記変換部材によって変換された力で前記感圧センサを押圧してもよい。前記操作部の移動量が前記所定量以上である場合、前記押圧部材は、前記変換部材を介さず前記操作部と結合し、前記使用者が前記操作部を押圧した力で前記感圧センサを押圧してもよい。
前記操作部の移動量が第二の所定量未満である場合、前記押圧部材は、前記感圧センサを押圧しなくてもよい。
前記トリガースイッチは、前記押圧部材が前記感圧センサを押圧する力を所定値以内に制限する制限部を備えてもよい。
本発明にかかるトリガースイッチは、オフ位置と最大位置との間を移動可能であり、前記オフ位置へ向けて付勢され、使用者の操作により前記最大位置へ向けて移動する操作部と、押圧される力を検出する感圧センサと、前記感圧センサを押圧する押圧部材と、前記操作部と前記押圧部材との間に介在する圧縮ばねとを備えてもよい。前記操作部が限界位置よりも前記オフ位置の側に位置するとき、前記押圧部材は、前記圧縮ばねを介して前記操作部と結合し、これにより、前記操作部の位置に対応する力で前記感圧センサを押圧してもよい。前記操作部が前記限界位置に位置するとき、前記押圧部材は、前記圧縮ばねを介さず前記操作部に当接し、これにより、前記使用者が前記操作部を押圧した力で前記感圧センサを押圧してもよい。
前記操作部が作動位置よりも前記オフ位置の側に位置するとき、前記押圧部材は、前記感圧センサから離れていてもよい。
前記感圧センサは、感圧位置と保護位置との間を移動可能であり、前記感圧位置へ向けて付勢されてもよい。前記押圧部材が前記感圧センサを押圧する力が所定値に達したとき、前記感圧センサが前記保護位置へ向けて移動し、前記操作部が前記最大位置に到達し、これにより、前記感圧センサが前記所定値より大きい力で押圧されるのを防いでもよい。
前記トリガースイッチは、前記感圧センサが検出した力に基づいて、負荷に供給する電力を制御してもよい。
前記トリガースイッチは、前記感圧センサが検出した力に基づいて、モータの回転数を制御してもよい。
本発明にかかる電動工具は、モータと、前記トリガースイッチとを備えてもよい。前記電動工具は、前記感圧センサが検出した力に基づいて、前記モータの回転数を制御してもよい。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、操作部の移動量が所定量未満である場合は、操作部の移動量に対応する力で感圧センサを押圧するので、押圧力を容易に調整することができる。操作部の移動量が所定量以上である場合は、操作部を押圧する力に対応する力で前記感圧センサを押圧するので、操作部を大きく移動させることなく、押圧力を最大にすることができる。
操作部の移動量が所定量以上である場合に、変換部材を介さず、押圧部材が操作部と結合すれば、操作部をほとんど移動させることなく、押圧力を最大にすることができる。
操作部の移動量が第二の所定量未満である場合に、押圧部材を押圧しなければ、意図せずに押圧部材を押圧するのを防ぐことができる。
押圧部材が感圧センサを押圧する力を制限すれば、感圧センサに許容押圧力以上の力が加わるのを防ぐことができる。
感圧センサが検出した力に基づいて、負荷に供給する電力を制御すれば、負荷に最大電力を供給するときの操作部の移動量を小さく抑えつつ、負荷に供給する電力を容易に微調整することができる。
感圧センサが検出した力に基づいて、モータの回転数を制御すれば、モータを最大回転させるときの操作部の移動量を小さく抑えつつ、モータの回転数を容易に微調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】トリガースイッチの一例を示す側面視一部断面図。
【
図7】操作部の移動量と押圧力との関係を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1に示すトリガースイッチ10は、例えばモータなどの負荷を備える電動工具において、負荷に供給する電力を調整するために使用される。
トリガースイッチ10は、筐体12を備える。筐体12は、内部に設けられた二つの収容空間21,22と、二つの隔壁23,24とを有する。隔壁23は、収容空間21のB方向に配置され、収容空間21を外部から隔てている。隔壁23には、収容空間21と外部とを連通する貫通穴が設けられている。隔壁24は、収容空間21のA方向かつ収容空間22のB方向に配置され、二つの収容空間21,22を隔てている。隔壁24には、二つの収容空間21,22を連通する貫通穴が設けられている。
【0009】
トリガースイッチ10は、操作部13を備える。操作部13は、筐体12に対し、
図1に示すオフ位置と
図6に示す最大位置との間をA−B方向に移動可能である。操作部13は、トリガー31及びプランジャー32を有する。トリガー31は、筐体12の外部に配置され、使用者が指をかけて引くことができる。プランジャー32は、隔壁23を貫通する貫通穴を貫通し、一端が収容空間21のなかに配置され、他端が筐体12の外でトリガー31と係合し固定されている。プランジャー32は、例えば、A−B方向に延びる円柱軸状であり、中心軸に沿って延びる孔を有する。この孔は、プランジャー32のA方向の端部から凹設され、B方向へいくにつれて、二回にわたり、段階的に径が小さくなっている。使用者がトリガー31を引くと、プランジャー32はトリガー31と一体となって移動し、操作部13全体がA方向へ移動する。
トリガースイッチ10は、復帰ばねと呼ばれる圧縮コイルばねやその他の弾性体などの付勢部材18を備える。付勢部材18は、筐体12とトリガー31との間に配置され、トリガー31を筐体12に対してB方向へ向けて付勢している。これにより、使用者がトリガー31を引いていないとき、操作部13はオフ位置に位置し、使用者がトリガー31を引くと、操作部13は、A方向へ向けて移動する。
【0010】
トリガースイッチ10は、押圧部材14を備える。押圧部材14は、収容空間21のなかに配置されている。押圧部材14は、プランジャー32と係合していて、操作部13に対し、
図1及び2に示す自由位置と
図4乃至6に示す直結位置との間をA−B方向に移動可能である。押圧部材14は、例えば、A−B方向に延びる円柱状の軸部41と、軸部41のA方向の端部に設けられた円板状のフランジ部42とを有する。軸部41の径は、プランジャー32の孔の二段目の内径よりも小さく、三段目の内径よりも大きい。使用者がトリガー31を引くと、押圧部材14は、A方向へ向けて移動し、後述する感圧センサ15を押圧する。
トリガースイッチ10は、押しばねと呼ばれる圧縮コイルばねやその他の弾性体などの変換部材16を備える。変換部材16は、プランジャー32と押圧部材14との間に配置され、操作部13の移動量を、押圧部材14が感圧センサ15を押圧する力に変換する。変換部材16は、例えば、内径が、押圧部材14の軸部の径よりも大きく、押圧部材14のフランジ部42の径よりも小さい。外径は、押圧部材14の孔の一段目の内径よりも小さく、二段目の内径よりも大きい。
押圧部材14が操作部13に対して直結位置に位置するとき、押圧部材14は、操作部13と当接し、変換部材16を介さずに操作部13と直接結合する。例えば、押圧部材14のB方向の端面が、プランジャー32の孔の二段目と三段目との境界面に当接する。これにより、押圧部材14は、使用者がトリガー31を引いた力を、感圧センサ15に伝達する。
押圧部材14が直結位置以外に位置するとき、押圧部材14を変換部材16を介して操作部13と結合する。これにより、押圧部材14は、変換部材16が変換した力で、感圧センサ15を押圧する。
【0011】
トリガースイッチ10は、感圧センサ15を備える。感圧センサ15は、筐体12に対し、
図1乃至4に示す感圧位置と
図6に示す保護位置との間をA−B方向に移動可能である。感圧センサ15は、基部51及び感圧部52を有する。基部51は、収容空間22のなかに配置されている。感圧部52は、基部51のB方向に配置され、隔壁24の貫通穴を通して収容空間21に面している。感圧部52は、A−B方向に圧縮される力を検出し、検出した力の大きさを表す信号を出力する。例えば、感圧部52は、検出した力に対応して、抵抗値が変化し又は起電力を生じる。感圧部52は、押圧部材14と基部51との間に挟まれて圧縮されることにより、押圧部材14による押圧力を検出する。
トリガースイッチ10は、制限部17を備える。制限部17は、押圧部材14が感圧センサ15を押圧する力を制限する。制限部17は、例えば、受けばねと呼ばれる圧縮コイルばねやその他の弾性体などの付勢部材71,72を有する。付勢部材71,72は、収容空間22のなかに配置され、基部51を、筐体12に対してB方向へ向けて付勢している。これにより、変換部材16が感圧センサ15を押圧する力が、付勢部材71,72による付勢力以下であるとき、感圧センサ15は、感圧位置に位置し、変換部材16による押圧力をそのまま検出する。変換部材16による押圧力が付勢部材71,72による付勢力を超えると、感圧センサ15は、A方向へ向けて移動する。操作部13が最大位置に到達すると、それ以上A方向へ移動することができない。したがって、感圧センサ15にそれ以上大きな力が加わるのを防ぐことができる。
【0012】
次に、動作について説明する。
図7において、横軸は、オフ位置を基準とする操作部13のA方向への移動量を示し、ローマ数字は、その移動量に対応する図番号を表す。例えば、移動量Iは、
図1に示した状態に対応している。縦軸は、力を示す。感圧センサ15が検出する押圧力91を実線で示し、使用者がトリガー31を引く力92を点線で示す。力92と押圧力91との差は、主に、付勢部材18の付勢力によるものである。
【0013】
使用者がトリガー31を引いていない場合、
図1に示すように、操作部13は筐体12に対してオフ位置に位置し、押圧部材14は操作部13に対して自由位置に位置する。このとき、プランジャー32は、隔壁23に当接しているので、それ以上B方向へ向けて移動できない。また、感圧センサ15の基部51は、隔壁24に当接しているので、それ以上B方向へ向けて移動できない。変換部材16の圧縮コイルばねは自由長である。変換部材16の圧縮コイルばねの自由長は、押圧部材14を感圧センサ15に接触させるのに必要な長さよりも短い。このため、押圧部材14は、感圧センサ15から離れている。押圧部材14が感圧センサ15を押圧していないので、感圧センサ15が検出する押圧力91は、0である。
【0014】
使用者がトリガー31を引く力92が、付勢部材18による付勢力F
1以下である場合、操作部13は移動せず、オフ位置に留まる。
トリガー31を引く力92が付勢力F
1を超えると、付勢部材18が圧縮され、操作部13がA方向へ向けて移動する。しかし、押圧部材14が感圧センサ15に接触するまでの間は、感圧センサ15が検出する押圧力91は、0のままである。
これにより、意図せずにトリガー31に触れてしまった場合でも、感圧センサ15が押圧力を検出しないので、意図せずに負荷に電力が供給されるのを防ぐことができる。
【0015】
トリガー31を引く力92を強めると、付勢部材18が更に圧縮され、操作部13が
図2に示す作動位置に到達して、押圧部材14が感圧センサ15に接触する。このときの操作部13の移動量を「第二の所定量」と呼ぶ。
トリガー31を引く力92を更に強めると、付勢部材18が更に圧縮され、操作部13がA方向へ向けて移動するが、押圧部材14は、感圧センサ15に接触しているので、移動しない。これにより、
図3に示すように、変換部材16の圧縮コイルばねが圧縮され、圧縮量に比例する力で押圧部材14を押圧する。感圧センサ15は、押圧部材14を介して、変換部材16の圧縮コイルばねによる押圧力を検出する。すなわち、感圧センサ15が検出する押圧力91は、作動位置を基準とする操作部13の移動量に比例する。
操作部13の移動量と押圧力91との比は、変換部材16の圧縮コイルばねのばね定数によって定まるので、比較的自由に設定することができる。ばね定数を小さくすれば、操作部13の移動量に対する押圧力91の変化が小さくなる。これにより、モータを低速で回転させたい場合など、負荷に対して供給する電力が比較的小さい場合に、負荷に対して供給する電力を微調整することが容易になる。逆に、ばね定数を大きくすれば、操作部13の移動量に対する押圧力91の変化が大きくなる。これにより、モータを中速で回転させたい場合など、負荷に対して供給する電力が中程度の場合も、負荷に対して供給する電力を、操作部13の移動量で制御することができる。
【0016】
トリガー31を引く力92を更に強めると、付勢部材18及び変換部材16の圧縮コイルばねが更に圧縮され、操作部13が
図4に示す限界位置に到達する。このときの操作部13の移動量を「所定量」と呼ぶ。このとき、押圧部材14は、操作部13に対して直結位置に到達する。押圧部材14が、変換部材16を介さず、操作部13と直接結合するので、変換部材16の圧縮コイルばねはそれ以上圧縮されない。感圧センサ15は、押圧部材14を介して、使用者がトリガー31を引く力92を検出する。感圧センサ15が検出する押圧力91は、使用者がトリガー31を引く力92から、付勢部材18及び変換部材16の圧縮コイルばねによる付勢力を差し引いた残りである。
限界位置は、押圧部材14の直結位置によって定まるので、比較的自由に設定することができる。例えば、プランジャー32の孔の二段目と三段目との境界部の位置を変え、又は、押圧部材14の軸部の長さを変えることにより、直結位置を変えることができる。作動位置から限界位置までの距離を大きくすれば、負荷に対して供給する電力を容易に微調整できる範囲を広げることができる。逆に、作動位置から限界位置までの距離を小さくすれば、操作部13の移動量を少なくすることができる。
【0017】
トリガー31を引く力92を更に強めると、感圧センサ15が検出する力91が大きくなるが、操作部13は、押圧部材14と直結しているので、移動しない。これにより、モータを最高速で回転させたい場合など、負荷に対して供給する電力が比較的大きい場合でも、操作部13を大きく移動させる必要がない。
【0018】
トリガー31を引く力92を更に強めると、押圧部材14が感圧センサ15を押圧する力91が制限部17の付勢部材71,72による付勢力F
2を超える。これにより、
図5に示すように、感圧センサ15がA方向へ向けて移動し、これに伴って、操作部13もA方向へ向けて移動する。これにより、感圧センサ15を押圧する力が制限される。
トリガー31を引く力92を更に強めると、
図6に示すように、操作部13が最大位置に到達する。このとき、プランジャー32は、隔壁24に当接し、それ以上A方向へ移動できない。これにより、感圧センサ15を押圧する押圧力92が最大押圧力F
3以下に制限されるので、過負荷による感圧センサ15の故障や破壊を防ぐことができる。
最大押圧力F
3は、操作部13が最大位置に位置するとき制限部17の付勢部材71,72が発揮する付勢力によって定まるので、比較的自由に設定することができる。これにより、感圧センサ15の許容荷重範囲を最大限生かすことができる。
【0019】
以上のように、操作部13が限界位置よりもB方向に位置するとき、操作部13の移動量に対応する力を感圧センサ15が検出するので、中・低出力時に、出力を容易に微調整できる。操作部13が限界位置に位置するとき、操作部13を押圧する力に対応する力を感圧センサ15が検出するので、最大出力にするための操作部13の移動量を小さくすることができる。
出力の微調整が容易な範囲、そのための操作部13の移動量、感圧センサ15を押圧する押圧力の最大値などを容易に設定できるので、所望の特性を得ることができる。
付勢部材18と変換部材16とが分離しているので、付勢部材18の付勢力を強くしても、感圧センサ15を押圧する押圧力は強くならない。このため、感圧センサ15が検出する押圧力を変えることなく、操作部13をオフ位置へ向けて復帰させる復帰力を強くすることができる。
【0020】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするための一例である。本発明は、これに限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲によって定義される範囲から逸脱することなく様々に修正し、変更し、追加し、又は除去したものを含む。これは、以上の説明から当業者に容易に理解することができる。
【0021】
例えば、トリガースイッチ10は、感圧センサ15が検出した押圧力に基づいて負荷に供給する電力を制御するマイコンなどの制御回路を備えてもよい。トリガースイッチ10は、操作部13がオフ位置に位置するとき制御回路に対する電力供給を遮断するメイン接点を備えてもよい。メイン接点は、操作部13が所定の位置よりもA方向に位置するとき、オンになる構成であってもよい。メイン接点がオンになる位置は、作動位置よりもA方向であってもよい。そうすれば、メイン接点がオンになるまでは、負荷に電力が供給されないので、変換部材16の圧縮コイルばねの自由長のバラツキなどにより作動位置にバラツキがある場合でも、電力の供給を開始する位置を一定に保つことができる。
【符号の説明】
【0022】
10 トリガースイッチ、12 筐体、21,22 収容空間、23,24 隔壁、13 操作部、31 トリガー、32 プランジャー、14 押圧部材、41 軸部、42 フランジ部、15 感圧センサ、51 基部、52 感圧部、16 変換部材、17 制限部、18,71,72 付勢部材、91,92 力。