(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
  以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、以下に説明する実施の形態によって本発明が限定されるものではない。また、以下の図面では各構成部材の大きさの関係が実際のものとは異なる場合がある。また、以下の説明において、理解を容易にするために方向を表す用語(例えば「上」、「下」、「左」、「右」、「手前」、「奥」など)を適宜用いるが、これは説明のためのものであって、これらの用語は本願発明を限定するものではない。また、本発明の実施の形態では、加熱調理器を正面側から見た状態において、上記方向を表す用語を用いるものとする。
 
【0011】
  実施の形態1.
  
図1は、本発明の実施の形態1に係る加熱調理器100の斜視図である。
  本実施の形態1に係る加熱調理器100は、外郭を構成する本体101と、その上部に固定された金属製の額縁状の外枠(図示せず)と、本体101の上面の略全体を覆うように、この外枠に取り付けられて配置され、可視光線を透過させる耐熱ガラスで形成された天板102とを備えている。天板102の左側手前、右側手前、および中央側奥の3箇所には、加熱口103が設けられている。なお、天板102の下面は、後述する表示部105の部分を除き、可視光線を透過させない塗装面で覆われることにより、天板102の上方からは、その下方の機能部品、例えば後述する加熱部120が視認できないようになっている。
 
【0012】
  天板102の手前側には、自動調理メニュー、調理温度などの設定操作を受け付ける操作部104が設けられている。また、天板102上の操作部104の近くには、例えば液晶ディスプレイからなる表示部105が配置されており、表示部105は、加熱口103と同数設けられている。また、表示部105には、例えば「予熱中」などの火力状況、「適温到達」などの経過状況、および、設定されている自動調理メニューの内容、などに関する情報が表示される。
 
【0013】
  天板102よりも奥側の本体101の上面には、本体101の内部の空気を排気するための排気口106が配置されている。排気口106は矩形を有し、平面視して左右方向が長手方向となるように左右にそれぞれ配置されている。また、本体101の奥側の側面には、本体101の内部への吸気を行うための吸気口107が設けられている。なお、排気口106の数は二つに限定されない。
 
【0014】
  天板102よりも奥側の本体101の上面かつ排気口106の近傍には、後述する換気扇300へ信号を送信する送信部112、および、換気扇300から信号を受信する受信部113が設けられており、送信部112および受信部113は、排気口106それぞれに対して設けられている。つまり、送信部112および受信部113は左右にそれぞれ設けられている。なお、送信部112および受信部113の数は二つに限定されず、排気口106の数と同数であればよい。
 
【0015】
  図2は、本発明の実施の形態1に係る加熱調理器100の別の例の斜視図である。
  なお、本実施の形態1では、
図1に示すように、送信部112および受信部113は、排気口106を挟んで対向する位置に配置されているが、
図2に示すように、送信部112および受信部113が排気口106を挟まずに並べて配置されていてもよい。
 
【0016】
  また、本体101の上面は平坦部を有し、送信部112は、送信感度を向上させるため、本体101の上面の平坦部よりも上方に突出して設けられている。同様に、受信部113は、受信感度を向上させるため、本体101の上面の平坦部よりも上方に突出して設けられている。
 
【0017】
  また、本体101の前面にはグリル部108が設けられており、グリル部108の右側にはカバー109が設けられている。
 
【0018】
  図3は、本発明の実施の形態1に係る加熱調理器100の主要な構成および機能部を示す図である。
  
図3に示すように、加熱調理器100の天板102に設けられた加熱口103の下部には、加熱部120が配置されている。また、本体101の内部には、加熱部120に流れる高周波電流を調整する高周波インバータ回路121が設けられている。
 
【0019】
  加熱部120は、例えば誘導加熱コイルであり、ほぼ環状の内側加熱コイル120aと、その外側に設けられたほぼ環状の外側加熱コイル120bとを備えた二重環形状である。そして、加熱部120に高周波電流を流すことで天板102上に載置された被加熱容器200に渦電流が発生し、この発生する渦電流と被加熱容器200自身の抵抗とにより被加熱容器200が発熱し、加熱調理を実現する。なお、加熱部120は誘導加熱コイルに限定されず、電気ヒータなど他の加熱手段であってもよい。
 
【0020】
  また、天板102の裏面の加熱部120と対向する面には、サーミスタ、赤外線センサなどの温度センサ122が天板102の裏面に配置されている。温度センサ122は、被加熱容器200から天板102へ伝わる熱を検知する。温度センサ122で検知された天板102の温度は、温度検知部123に出力され、温度検知部123によって、温度に換算される。このようにして、被加熱物を収容する被加熱容器200の温度が検知される。
 
【0021】
  排気口106の下方には、加熱部120および高周波インバータ回路121を冷却する空気を送風する冷却ファン124と、冷却ファン124を回転駆動する冷却ファンモータ125と、が設けられている。冷却ファン124は、外部の空気を吸気口107から吸い込み、その吸い込んだ空気を冷却風として加熱部120および高周波インバータ回路121に供給してそれらを冷却した後、排気口106から外部に排気する。また、本体101の内部または外部には、音声、ブザー、LED、画面表示など、またはそれらの組み合わせにより使用者に報知を行う報知部111が設けられている。なお、本実施の形態1では、報知部111は、表示部105とは別体としたが、同体としてもよい。報知部111を表示部105と同体とすることで、新たに専用の表示部材を設ける必要がなく、コストを抑制することができる。
 
【0022】
  本体101の内部には、加熱調理器100を制御する制御装置150が設けられている。制御装置150は、表示部105を制御する表示制御部152と、操作部104を制御する操作制御部153と、冷却ファンモータ125を制御する冷却ファンモータ駆動部154と、高周波インバータ回路121を制御するインバータ回路駆動部155と、加熱調理器100の制御に必要なデータおよびプログラムを記憶する記憶部156と、時間を計測するタイマ部157と、報知部111を制御する報知制御部158と、送信部112および受信部113を制御する通信制御部159と、それらを統括制御するメイン制御部151と、を備えている。
 
【0023】
  制御装置150は、その機能を実現する回路デバイスなどのハードウェアを用いて構成されているか、または、マイコンまたはCPUなどの演算装置と、その上で実行されるソフトウェアとで構成されている。
 
【0024】
  また、二つの送信部112は、同一の出力ポートで通信制御部159に接続されており、同様に、二つの受信部113は、同一の入力ポートで通信制御部159に接続されている。
 
【0025】
  図4は、本発明の実施の形態1に係る加熱調理器100の設置例を示す第一の概略図であり、
図5は、本発明の実施の形態1に係る加熱調理器100の設置例を示す第二の概略図である。
  
図4および
図5に示すように、本実施の形態1に係る加熱調理器100はキッチンカウンター450に設置されるものであり、内部に換気扇300が配置されたレンジフード400の下方に設置される。
 
【0026】
  レンジフード400は、加熱調理器100の上方に配置され、排気口106からの空気、および、天板102上に載置された被加熱容器200からの水および油などが混ざった空気を集めるものである。また、換気扇300は、レンジフード400に集められた加熱調理器100からの空気を外部に排気するものである。
 
【0027】
  換気扇300は、レンジフード400に集められた加熱調理器100からの空気を外部に排気する換気ファン301と、加熱調理器100に信号を送信する換気扇送信部302と、加熱調理器100から信号を受信する換気扇受信部303と、を備えており、それらはレンジフード400内に設けられている。
 
【0028】
  本実施の形態1に係る加熱調理器100は、例えば赤外線などにより換気扇300と無線通信を行う機能を有している。具体的には、
図4に示すように、信号送信時は、加熱調理器100の送信部112から換気扇300の換気扇受信部303に対して信号を送信し、信号受信時は、加熱調理器100の受信部113により換気扇300の換気扇送信部302からの信号を受信する。
 
【0029】
  本実施の形態1では、換気扇300は、加熱調理器100から信号を受信したら、加熱調理器100に対して応答信号を送信する。そのため、加熱調理器100は、換気扇300に対して信号を送信した後、応答信号を受信することで、換気扇300との通信が正常に行われたことを認識することができる。
 
【0030】
  一方、
図5に示すように、加熱調理器100の送信部112上に、例えば被加熱容器200が載置されている場合、加熱調理器100から送信される信号は、被加熱容器200によって遮断され、換気扇300は、加熱調理器100から信号を受信せず、加熱調理器100に対して応答信号を送信しない。そのため、加熱調理器100は、換気扇300に対して信号を送信した後、応答信号を受信しないことで、換気扇300との通信が正常に行われなかったこと、つまり通信エラーが生じたことを認識することができる。
 
【0031】
  図6Aは、本発明の実施の形態1に係る加熱調理器100の制御の一例を示す第一のフローチャートであり、
図6Bは、本発明の実施の形態1に係る加熱調理器100の制御の一例を示す第二のフローチャートである。
  以下、本実施の形態1に係る加熱調理器100の制御について、
図6Aおよび
図6Bを用いて説明する。
 
【0032】
  メイン制御部151は、操作制御部153により、操作部104から換気扇300の動作開始指示を受け付けたら(ステップS101のYES)、通信制御部159により、各送信部112から換気扇300の換気扇受信部303に対して駆動信号を送信し(ステップS102)、タイマ部157により時間の計測を開始する(ステップS103)。なお、駆動信号は、換気扇300に対して換気ファン301の駆動を指示する信号である。
 
【0033】
  ここで、本実施の形態1に係る加熱調理器100は、送信部112が二つ設けられているが、それらは同一の出力ポートで通信制御部159に接続されているため、送信部112から換気扇300の換気扇受信部303に対して駆動信号を送信する際、二つの送信部112から同時に駆動信号が送信されることとなる。
 
【0034】
  ステップS103の後、メイン制御部151は、通信制御部159により、受信部113が換気扇300の換気扇送信部302から応答信号を受信したかどうかを判定する(ステップS104)。
 
【0035】
  ここで、本実施の形態1に係る加熱調理器100は、受信部113が二つ設けられているが、それらは同一の入力ポートで通信制御部159に接続されているため、受信部113が応答信号を受信した場合、どちらの受信部113が受信したかどうかについては区別しない構成となっている。
 
【0036】
  メイン制御部151は、通信制御部159により、受信部113が換気扇300の換気扇送信部302から応答信号を受信したと判定した場合(ステップS104のYES)、換気扇300との通信正常と判定し、処理を終了する。
 
【0037】
  一方、メイン制御部151は、通信制御部159により、受信部113が換気扇300の換気扇送信部302から応答信号を受信していないと判定した場合(ステップS104のNO)、記憶部156に記憶されている基準時間を参照し、タイマ部157による計測時間が基準時間を経過しているかどうかを判定する(ステップS105)。ここで、基準時間とは、送信部112から換気扇受信部303への駆動信号の再送信を判定するための時間であり、あらかじめ設定されている。
 
【0038】
  メイン制御部151は、タイマ部157による計測時間が基準時間を経過していないと判定した場合(ステップS105のNO)、ステップS104に戻る。一方、メイン制御部151は、タイマ部157による計測時間が基準時間を経過していると判定した場合(ステップS105のYES)、記憶部156に記憶されている設定回数を参照し、再送信回数が設定回数を超えているかどうかを判定する(ステップS106)。
 
【0039】
  ここで、設定回数とは、送信部112から換気扇受信部303へ駆動信号を再送信する回数の最大値を決定するものであり、あらかじめ設定されている。また、再送信回数は、処理開始直後または前回の処理終了後にリセットされ、初期値として0が設定されているものとする。
 
【0040】
  メイン制御部151は、再送信回数が設定回数を超えていると判定した場合(ステップS106のYES)、ステップS110へ進む。一方、メイン制御部151は、再送信回数が設定回数を超えていないと判定した場合(ステップS106のNO)、計測時間をリセットし(ステップS107)、再送信回数に1を加算し(ステップS108)、通信制御部159により、各送信部112から換気扇300の換気扇受信部303に対して駆動信号を再送信し(ステップS109)、ステップS103に戻る。
 
【0041】
  ステップS110において、メイン制御部151は、加熱部120が動作中であるかどうかを判定し、加熱部120が動作中でないと判定した場合(ステップS110のNO)、ステップS112に進む。一方、メイン制御部151は、加熱部120が動作中であると判定した場合(ステップS110のYES)、インバータ回路駆動部155により加熱部120の動作を停止させ(ステップS111)、ステップS112に進む。
 
【0042】
  ステップS112において、メイン制御部151は、報知部111により通信エラーに関する情報を報知する。なお、報知内容としては、報知部111が表示部である場合、表示部に「排気口の上に鍋などが置かれていないか確認して下さい」、および、エラーコードを表示させることが考えられる。また、報知部111がLEDである場合、LEDを点滅または点灯させることが考えられる。また、報知部111がスピーカーである場合、音声により「排気口の上に鍋などが置かれていないか確認して下さい」を発声することが考えられる。
 
【0043】
  以上、本実施の形態1に係る加熱調理器100は、排気口106を有する本体101と、本体101の上面に設けられた天板102と、天板102に載置された被加熱容器200を加熱する加熱部120と、換気扇300へ信号を送信する送信部112と、換気扇300から信号を受信する受信部113と、使用者に報知を行う報知部111と、送信部112から換気扇300に信号を送信後、基準時間以内に受信部113が換気扇300から応答信号を受信しなかった場合、通信エラーと判定する制御装置150と、を備え、制御装置150は、通信エラーと判定した場合、報知部111により通信エラーに関する情報を報知するものである。
 
【0044】
  本実施の形態1に係る加熱調理器100によれば、送信部112から換気扇300に信号を送信後、基準時間以内に受信部113が換気扇300から応答信号を受信しなかった場合、通信エラーと判定し、通信エラーと判定した場合、報知部111により通信エラーに関する情報を報知する。そのため、加熱調理器100と換気扇300との間で通信エラーが生じた場合、そのことを使用者に知らせることができる。
 
【0045】
  また、本実施の形態1に係る加熱調理器100の制御装置150は、送信部112から換気扇300に信号を送信後、基準時間以内に受信部113が換気扇300から応答信号を受信しなかった場合、送信部112から換気扇300に信号を再送信し、基準回数再送信しても基準時間以内に受信部113が応答信号を受信しなかった場合、通信エラーと判定するものである。
 
【0046】
  本実施の形態1に係る加熱調理器100によれば、短い時間のみ加熱調理器100と換気扇300とで通信が行えなかった場合でも、すぐに通信エラーと判定せずに再送信を行うため、換気扇300との間で通信エラーが生じているかどうかをより確実に判定することができる。また、加熱調理器100と換気扇300との間で生じた通信エラー状態がすぐに復旧した場合、通信を行うことができるため、通信の信頼性を向上させることができる。
 
【0047】
  また、本実施の形態1に係る加熱調理器100は、排気口106、送信部112、および、受信部113は、天板102よりも奥側の本体101の上面に設けられているものである。
 
【0048】
  本実施の形態1に係る加熱調理器100によれば、送信部112、受信部113、および、排気口106は、全て天板102よりも奥側の本体101の上面に設けられており、送信部112および受信部113は排気口106の近くに設けられている。そのため、換気扇300との間で通信エラーが生じている原因が、排気口106周辺に被加熱容器200などが載置されているためであると判定でき、報知部111によりそれに応じた報知を行うことができる。
 
【0049】
  例えば、報知部111は、図示していないが、排気口106の近くに配置したLEDまたは表示画面による表示とすれば、使用者の注意を排気口106へ向けることができ、排気口106周辺の異常に気付かせやすくすることができる。ここで、LEDで表示させる場合は、導光板を用いれば、少ないLEDで細長い長方形または円弧形状に光らせることができ、排気口106の長手方向の長さに相当した表示とすれば、より使用者の注意を引くことができる。
 
【0050】
  また、本実施の形態1に係る加熱調理器100は、本体101の上面は平坦部を有し、送信部112および受信部113は、平坦部よりも上方に突出しているものである。
 
【0051】
  本実施の形態1に係る加熱調理器100によれば、送信部112および受信部113が本体101の上面の平坦部よりも上方に突出しているため、本体101の上面によって遮断されずに済み、送信感度および受信感度を向上させることができる。
 
【0052】
  実施の形態2.
  以下、本発明の実施の形態2について説明するが、実施の形態1と重複するものについては説明を省略し、実施の形態1と同じ部分または相当する部分には同じ符号を付す。
 
【0053】
  実施の形態1では、メイン制御部151は、操作制御部153により、操作部104から換気扇300の動作開示指示を受け付けたら、通信制御部159により、各送信部112から換気扇300の換気扇受信部303に対して信号を同時に送信する構成であった。
 
【0054】
  しかし、本実施の形態2では、メイン制御部151は、操作制御部153により、操作部104から換気扇300の動作開示指示を受け付けたら、通信制御部159により、各送信部112から換気扇300の換気扇受信部303に対して信号を、タイミングをずらして順番に送信する構成とする。
 
【0055】
  図7は、本発明の実施の形態2に係る加熱調理器100の送信部112周辺の回路構成を説明する図である。なお、
図7では説明の便宜上、送信部112の数を二つより多くしている。
  本実施の形態2では、
図7に示すように、各送信部112は、別々の出力ポートで通信制御部159に接続されている。このように、本実施の形態2に係る加熱調理器100は、各送信部112が別々の出力ポートで通信制御部159に接続されているため、各送信部112から換気扇300の換気扇受信部303に対して信号を、タイミングをずらして順番に送信することが可能となり、また、どの送信部112から信号を送信したかを認識することが可能となる。
 
【0056】
  図8は、本発明の実施の形態2に係る加熱調理器100の送信部112周辺の回路構成を説明する別の例の図である。なお、
図8では説明の便宜上、送信部112の数を二つより多くしている。
  
図8に示すように、各送信部112をセレクタ170に接続し、セレクタ170と通信制御部159とを出力ポートおよび切り替え用ポートで接続する構成としてもよい。このように構成することでも、本実施の形態2に係る加熱調理器100は、各送信部112から換気扇300の換気扇受信部303に対して信号を、タイミングをずらして順番に送信することが可能となり、また、どの送信部112から信号を送信したかを認識することが可能となる。
 
【0057】
  また、
図7に示す回路構成では、送信部112の数だけ出力ポートが必要であるが、
図8に示す回路構成では、一つの出力ポートおよび一つの切り替え用ポートで済むため、送信部112の数が多い場合は、
図8に示す回路構成の方が、通信制御部159のポート数を少なくすることができる。
 
【0058】
  図9Aは、本発明の実施の形態2に係る加熱調理器100の制御の一例を示す第一のフローチャートであり、
図9Bは、本発明の実施の形態2に係る加熱調理器100の制御の一例を示す第二のフローチャートであり、
図9Cは、本発明の実施の形態2に係る加熱調理器100の制御の一例を示す第三のフローチャートである。
  以下、本実施の形態2に係る加熱調理器100の制御について、
図9A、
図9B、および、
図9Cを用いて説明する。
 
【0059】
  メイン制御部151は、操作制御部153により、操作部104から換気扇300の動作開始指示を受け付けたら(ステップS201のYES)、記憶部156に記憶されているNを0とし(ステップS202)、通信制御部159により、N番目の送信部112から換気扇300の換気扇受信部303に対して駆動信号を送信し(ステップS203)、タイマ部157により時間の計測を開始する(ステップS204)。
 
【0060】
  ここで、例えば、右側の送信部112の番号が0、左側の送信部112の番号を1であるとすると、N=0の場合、メイン制御部151は、右側の送信部112から換気扇300の換気扇受信部303に対して駆動信号を送信するように、通信制御部159に指示する。
 
【0061】
  ステップS204の後、メイン制御部151は、通信制御部159により、受信部113が換気扇300の換気扇送信部302から応答信号を受信したかどうかを判定する(ステップS205)。
 
【0062】
  メイン制御部151は、通信制御部159により、受信部113が換気扇300の換気扇送信部302から応答信号を受信したと判定した場合(ステップS205のYES)、ステップS212に進む。
 
【0063】
  一方、メイン制御部151は、通信制御部159により、受信部113が換気扇300の換気扇送信部302から応答信号を受信していないと判定した場合(ステップS205のNO)、記憶部156に記憶されている基準時間を参照し、タイマ部157による計測時間が基準時間を経過しているかどうかを判定する(ステップS206)。ここで、基準時間とは、送信部112から換気扇受信部303への駆動信号の再送信を行うか否かの判定をするための時間であり、あらかじめ設定されている。
 
【0064】
  メイン制御部151は、タイマ部157による計測時間が基準時間を経過していないと判定した場合(ステップS206のNO)、ステップS205に戻る。一方、メイン制御部151は、タイマ部157による計測時間が基準時間を経過していると判定した場合(ステップS206のYES)、記憶部156に記憶されている設定回数を参照し、再送信回数が設定回数を超えているかどうかを判定する(ステップS207)。
 
【0065】
  ここで、設定回数とは、送信部112から換気扇受信部303へ駆動信号を再送信する回数の最大値を決定するものであり、あらかじめ設定されている。また、再送信回数は、処理開始直後または前回の処理終了後にリセットされ、初期値として0が設定されているものとする。
 
【0066】
  メイン制御部151は、再送信回数が設定回数を超えていると判定した場合(ステップS207のYES)、記憶部156に、N番目の送信部112が通信エラーであることをエラー情報として記憶し(ステップS211)、ステップS212へ進む。例えば、N=0の場合、右側の送信部112が通信エラーであることが記憶部156に記憶される。
 
【0067】
  一方、メイン制御部151は、再送信回数が設定回数を超えていないと判定した場合(ステップS207のNO)、計測時間をリセットし(ステップS208)、再送信回数に1を加算し(ステップS209)、通信制御部159により、N番目の送信部112から換気扇300の換気扇受信部303に対して駆動信号を再送信し(ステップS210)、ステップS204に戻る。
 
【0068】
  ステップS212において、メイン制御部151は、記憶部156に記憶されているNに1を加算し、Nの数が送信部112の数以上であるかどうかを判定する。
 
【0069】
  メイン制御部151は、Nの数が送信部112の数以上ではないと判定した場合(ステップS213のNO)、ステップS203に戻り、通信制御部159により、N番目の送信部112から換気扇300の換気扇受信部303に対して駆動信号を送信し、タイマ部157により時間の計測を開始する(ステップS204)。
 
【0070】
  ここで、N=1の場合、メイン制御部151は、左側の送信部112から換気扇300の換気扇受信部303に対して駆動信号を送信するように、通信制御部159に指示する。
 
【0071】
  一方、メイン制御部151は、Nの数が送信部112の数以上であると判定した場合、つまり、全ての送信部112から駆動信号を送信したと判定した場合(ステップS213のYES)、記憶部156に記憶されているエラー情報を参照し、エラーがあるかどうかを判定する(ステップS214)。
 
【0072】
  メイン制御部151は、エラーがないと判定した場合(ステップS214のNO)、換気扇300との通信正常と判定し、処理を終了する。一方、メイン制御部151は、エラーがあると判定した場合(ステップS214のYES)、さらに全ての送信部112がエラーであるかどうかを判定する(ステップS215)。
 
【0073】
  メイン制御部151は、全ての送信部112がエラーであると判定した場合(ステップS215のYES)、ステップS216に進む。一方、メイン制御部151は、全ての送信部112がエラーではないと判定した場合、つまり、一部の送信部112のみエラーであると判定した場合(ステップS215のNO)、ステップS218に進む。
 
【0074】
  ステップS216において、メイン制御部151は、加熱部120が動作中であるかどうかを判定し、加熱部120が動作中でないと判定した場合(ステップS216のNO)、ステップS218に進む。一方、メイン制御部151は、加熱部120が動作中であると判定した場合(ステップS216のYES)、インバータ回路駆動部155により加熱部120の動作を停止させ(ステップS217)、ステップS218に進む。
 
【0075】
  つまり、メイン制御部151は、全ての送信部112がエラー時に、加熱部120が動作中であった場合は、加熱部120を停止させる。これは、全ての送信部112がエラー時には、換気ファン301を駆動させることができないためである。
 
【0076】
  ステップS218において、メイン制御部151は、記憶部156に記憶されているエラー情報を参照し、エラーとなった送信部112に関する情報を報知部111により報知する。
 
【0077】
  図10は、本発明の実施の形態2に係る加熱調理器100の通信エラー発生時の報知内容に関する図である。
  報知部111が表示部である場合、例えば、右側の送信部112がエラーだったときは、報知内容としては、
図10に示すように、表示部に「右側の排気口の異常を検知しました。右側の排気口の上に鍋などが置かれていないか確認して下さい。」という文字を、鍋の図とともに表示することが考えられる。なお、表示部に文字などを表示する際、表示部を点滅させたり、輝度を高くしたりして使用者の注意を引きやすいようにすることも考えられる。また、各排気口106に対応して表示部を設け、通信エラーが生じた場合、通信エラーが生じた送信部112が配置されている側の排気口106に対応した表示部に、エラーに関する情報を表示させるようにしてもよい。
 
【0078】
  例えば、報知部111は、図示していないが、排気口106の近くに配置したLEDまたは表示画面による表示とすれば、使用者の注意を排気口106へ向けることができ、排気口106周辺の異常に気付かせやすくすることができる。ここで、LEDで表示させる場合は、導光板を用いれば、少ないLEDで細長い長方形または円弧形状に光らせることができ、排気口106の長手方向の長さに相当した表示とすれば、より使用者の注意を引くことができる。
 
【0079】
  なお、右側の送信部112がエラーの場合でも、左側の送信部112が正常に通信可能な場合、「右側の排気口の異常を検知しました、右側の排気口の上に鍋などが置かれていないか確認して下さい。」と音声または文字による表示での報知に留め、左側の送信部112もエラーで全く通信ができなかった場合のみエラーの報知を行うようにしてもよい。
 
【0080】
  さらに、メイン制御部151は、温度検知部(図示せず)により本体101の内部で冷却している素子の温度を検知し、左側の送信部112は正常でも右側の排気口106の異常な状態が継続して、検知した素子の温度が異常な温度と判定した場合に、エラーの報知を行うようにしてもよい。このようにすることで、一箇所の通信が異常でも使用者は調理を継続することができるため、使い勝手をよくすることができる。また、メイン制御部151は、素子が異常な温度を超える前に加熱部120を停止することができるため、使用者はより安全に使用することができる。
 
【0081】
  また、報知部111がスピーカーである場合、音声により同様の内容を発声することが考えられる。また、報知部111がLEDである場合、右側の排気口106周辺に配置されているLEDを点灯または点滅させたり、緑から赤に色を変えたりすることが考えられる。
 
【0082】
  以上、本実施の形態2に係る加熱調理器100は、送信部112を複数有し、制御装置150は、各送信部112から信号を順番に送信するものである。また、排気口106を送信部112と同数有し、排気口106それぞれに対して、送信部112が設けられているものである。
 
【0083】
  本実施の形態2に係る加熱調理器100によれば、送信部112を複数有しているため、一つの送信部112が故障した場合でも、換気扇300を制御することができ、通信の信頼性を向上させることができる。また、排気口106それぞれに対して、送信部112が設けられており、各送信部112から信号を順番に送信するため、通信エラーが生じた場合、どの送信部112で通信エラーが生じたかを特定できる。また、通信エラーの原因が送信部112からの信号が被加熱容器200などによって信号が遮断されていることである場合、どの排気口106周辺に被加熱容器200が載置されているかを特定することができる。
 
【0084】
  実施の形態3.
  以下、本発明の実施の形態3について説明するが、実施の形態1および2と重複するものについては説明を省略し、実施の形態1および2と同じ部分または相当する部分には同じ符号を付す。
 
【0085】
  実施の形態1および2では、加熱調理器100から換気扇300に駆動信号を送信する際の制御について説明したが、本実施の形態3では、加熱調理器100から換気扇300にダミー信号を送信する際の制御について説明する。
 
【0086】
  ここで、ダミー信号とは、加熱調理器100と換気扇300との間で通信を正常に行うことができるかどうかの確認を行うために用いられる信号であり、換気扇300に対する指示を含まない信号である。
  ダミー信号を用いた加熱調理器100の制御内容は、駆動信号がダミー信号に変わった以外は実施の形態1および2と同様であるため、説明を省略する。
 
【0087】
  以上、本実施の形態3に係る加熱調理器100は、送信部112から換気扇300に送信する信号はダミー信号である。
 
【0088】
  本実施の形態3に係る加熱調理器100によれば、例えば点検時のような換気扇300の換気ファン301を駆動させる必要がない場合に、換気ファン301を駆動させることなく、加熱調理器100と換気扇300との間で通信を正常に行うことができるかどうかの確認を行うことができる。
 
【0089】
  実施の形態4.
  以下、本発明の実施の形態4について説明するが、実施の形態1〜3と重複するものについては説明を省略し、実施の形態1〜3と同じ部分または相当する部分には同じ符号を付す。
 
【0090】
  図11は、本発明の実施の形態4に係る調理器システムの主要な構成および機能部を示す図である。
  
図11に示すように、本実施の形態4に係る調理器システムは、キッチンカウンター450(
図4参照)に設置される加熱調理器100と、その上方に設置されたレンジフード400の内部に配置された換気扇300と、で構成されている。
 
【0091】
  本実施の形態4に係る加熱調理器100は、実施の形態1で説明したものと同様の構成である。また、本実施の形態4に係る換気扇300は、レンジフード400に集められた加熱調理器100からの空気を外部に排気する換気ファン301と、換気ファン301を回転駆動する換気ファンモータ304と、加熱調理器100に信号を送信する換気扇送信部302と、加熱調理器100から信号を受信する換気扇受信部303と、換気扇300を制御する換気扇制御装置350と、を備えており、それらはレンジフード400内に設けられている。
 
【0092】
  換気扇制御装置350は、換気ファンモータ304を制御する換気ファンモータ駆動部352と、換気扇送信部302および換気扇受信部303を制御する換気扇通信制御部353と、それらを統括制御する換気扇メイン制御部351と、を備えている。
 
【0093】
  換気扇制御装置350は、その機能を実現する回路デバイスなどのハードウェアを用いて構成されているか、または、マイコンまたはCPUなどの演算装置と、その上で実行されるソフトウェアとで構成されている。
 
【0094】
  図12は、本発明の実施の形態4に係る調理器システムの換気扇側の制御の一例を示すフローチャートである。
  以下、本実施の形態4に係る調理器システムの制御について、
図12を用いて換気扇300側を中心に説明する。なお、本実施の形態4では、換気扇300が、加熱調理器100から駆動信号またはダミー信号のいずれかを受信する場合の制御について説明する。また、加熱調理器100側の制御に関しては、実施の形態1および2で説明した制御と同様であるため、説明を省略する。
 
【0095】
  換気扇メイン制御部351は、換気扇受信部303により、加熱調理器100の送信部112から信号を受信したら(ステップS301のYES)、換気扇送信部302により、加熱調理器100の受信部113に対して応答信号を送信する(ステップS302)。
 
【0096】
  ステップS302の後、換気扇メイン制御部351は、受信した信号が駆動信号であるかどうかを判定する(ステップS303)。換気扇メイン制御部351は、受信した信号が駆動信号でないと判定した場合、つまり受信した信号がダミー信号であると判定した場合(ステップS303のNO)、処理を終了する。一方、換気扇メイン制御部351は、受信した信号が駆動信号であると判定した場合(ステップS303のYES)、換気ファン301が既に駆動中であるかどうかを判定する(ステップS304)。
 
【0097】
  換気扇メイン制御部351は、換気ファン301が既に駆動中であると判定した場合(ステップS304のYES)、処理を終了する。一方、換気扇メイン制御部351は、換気ファン301が駆動中ではないと判定した場合(ステップS304のNO)、換気ファンモータ駆動部352により換気ファン301を駆動させる(ステップS305)。
 
【0098】
  以上、本実施の形態4に係る調理器システムは、加熱調理器100と換気扇300とを備えた調理器システムであって、換気扇300は、加熱調理器100へ信号を送信する換気扇送信部302と、加熱調理器100から信号を受信する換気扇受信部303と、換気扇送信部302および換気扇受信部303を制御する換気扇制御装置350と、を備え、換気扇制御装置350は、換気扇受信部303が加熱調理器100から信号を受信したら、換気扇送信部302から加熱調理器100に応答信号を送信するものである。
 
【0099】
  本実施の形態4に係る調理器システムによれば、換気扇300が信号を受信していない場合または受信できない場合に、加熱調理器100と換気扇300との間で通信エラーが生じていると判定することができる。また、加熱調理器100は、通信エラーと判定した場合、報知部111により通信エラーに関する情報を報知するため、使用者に通信エラーであることを知らせることができる。
 
【0100】
  また、短い時間のみ加熱調理器100と換気扇300とで通信が行えなかった場合でも、すぐに通信エラーと判定せずに再送信を行うため、加熱調理器100と換気扇300との間で通信エラーが生じているかどうかをより確実に判定することができる。また、加熱調理器100と換気扇300との間で生じた通信エラー状態がすぐに復旧した場合、通信を行うことができるため、信頼性を向上させることができる。
 
【0101】
  実施の形態5.
  以下、本発明の実施の形態5について説明するが、実施の形態1〜4と重複するものについては説明を省略し、実施の形態1〜4と同じ部分または相当する部分には同じ符号を付す。
 
【0102】
  図13は、本発明の実施の形態5に係る調理器システムの主要な構成および機能部を示す図である。
  本実施の形態5に係る調理器システムの加熱調理器100および換気扇300は、
図13に示すように、家屋内に設置されたHEMSコントローラ601に接続されている。HEMSコントローラ601は、家屋内に配置された各種の電気機器を制御し、電気機器全体のエネルギー需給を総合的に管理するHEMS(Home Energy Management System)を構成している。
 
【0103】
  加熱調理器100は、HEMSコントローラ601と通信を行う第一HEMS通信制御部160を備えている。また、換気扇300は、HEMSコントローラ601と通信を行う第二HEMS通信制御部360を備えている。そして、加熱調理器100の第一HEMS通信制御部160は、HEMSコントローラ601を介して、換気扇300から信号を受信する。また、換気扇300の第二HEMS通信制御部360は、HEMSコントローラ601を介して、加熱調理器100に信号を送信する。
 
【0104】
  実施の形態1〜4では、加熱調理器100は受信部113により換気扇300からの応答信号を受信していたが、本実施の形態5では、受信部113の代わりに第一HEMS通信制御部160により、HEMSコントローラ601を介して、換気扇300からの応答信号を受信する。また、換気扇300は換気扇送信部302により加熱調理器100に対して応答信号を送信していたが、本実施の形態5では、換気扇送信部302の代わりに第二HEMS通信制御部360により、HEMSコントローラ601を介して、加熱調理器100に対して応答信号を送信する。
 
【0105】
  なお、本実施の形態5に係る調理器システムの制御について、上記の通り、応答信号の送受信方法が変わった以外は、実施の形態4で説明したものと同様であるため、説明を省略する。
 
【0106】
  以上、本実施の形態5に係る調理器システムは、加熱調理器100と換気扇300とを備えた調理器システムであって、加熱調理器100は、排気口106を有する本体101と、本体101の上面に設けられた天板102と、天板102に載置された被加熱容器200を加熱する加熱部120と、換気扇300へ信号を送信する送信部112と、使用者に報知を行う報知部111と、HEMSコントローラ601を介して換気扇300からの信号を受信する第一HEMS通信制御部160と、制御装置150と、を備え、換気扇300は、加熱調理器100から信号を受信する換気扇受信部303と、HEMSコントローラ601を介して加熱調理器100に信号を送信する第二HEMS通信制御部360と、換気扇制御装置350と、を備え、制御装置150は、送信部112から換気扇300に信号を送信後、基準時間以内に第一HEMS通信制御部160が換気扇300から応答信号を受信しなかった場合、通信エラーと判定し、通信エラーと判定した場合、報知部111により通信エラーに関する情報を報知するものであり、換気扇制御装置350は、換気扇受信部303が加熱調理器100から信号を受信したら、第二HEMS通信制御部360から加熱調理器100に応答信号を送信するものである。
 
【0107】
  本実施の形態5に係る調理器システムによれば、HEMSを利用して加熱調理器100と換気扇300とで応答信号の送受信を行っているため、受信部113を備えていない加熱調理器100と換気扇送信部302を備えていない換気扇300とで、実施の形態4で説明した制御を実現できる。