(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記パラメータ決定部は、前記車両と前記外部の装置との通信の異常が発生した場合、前記第1信頼度を時間の経過に伴って低下させることによって前記パラメータを除変させる、
請求項2に記載の車両の制御装置。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0019】
<1.車両の概略>
まず、
図1及び
図2を参照して、本発明の実施形態に係る車両10の概略について説明する。
図1は、本実施形態に係る車両10の駆動系の概略構成の一例を示す模式図である。以下では、車両10の進行方向を前方向とし、進行方向に対して逆方向を後方向とし、進行方向を向いた状態における左側及び右側をそれぞれ左方向及び右方向として、説明する。
【0020】
車両10は、本発明に係る制御装置が適用される車両の一例である。車両10は、例えば、
図1に示したように、エンジン103と、トランスミッション105と、プロペラシャフト109と、リヤディファレンシャル装置113と、車輪速センサ121a,121b,121c,121dと、通信装置170と、制御装置200とを主に備える。なお、以下では、車輪速センサ121a,121b,121c,121dを、特に区別しない場合には、単に車輪速センサ121とも称する。
【0021】
エンジン103は、例えば、ガソリン等を燃料として動力を生成する内燃機関であり、駆動輪を駆動するための動力を出力可能である。エンジン103から出力された動力は、トランスミッション105に伝達される。
【0022】
トランスミッション105は、左前輪101a及び右前輪101bとそれぞれ駆動軸102a及び駆動軸102bを介して連結されるフロントディファレンシャル装置を備える。それにより、トランスミッション105に伝達された動力の少なくとも一部は、フロントディファレンシャル装置によって左前輪101a及び右前輪101bへ分配して伝達される。
【0023】
また、トランスミッション105は、トランスファクラッチ107を介して、プロペラシャフト109と接続される。トランスファクラッチ107は、トランスミッション105の出力軸106とプロペラシャフト109との間に設けられる。それにより、トランスファクラッチ107が締結状態にあるときに、トランスミッション105に伝達された動力の一部は、トランスファクラッチ107を介してプロペラシャフト109へ伝達される。
【0024】
プロペラシャフト109は、リヤディファレンシャルクラッチ111を介して、リヤディファレンシャル装置113と接続される。リヤディファレンシャルクラッチ111は、プロペラシャフト109とリヤディファレンシャル装置113の入力軸112との間に設けられる。それにより、リヤディファレンシャルクラッチ111が締結状態にあるときに、プロペラシャフト109に伝達された動力は、リヤディファレンシャルクラッチ111を介してリヤディファレンシャル装置113へ伝達される。
【0025】
リヤディファレンシャル装置113は、左後輪101c及び右後輪101dとそれぞれ駆動軸102c及び駆動軸102dを介して連結される。それにより、リヤディファレンシャル装置113に伝達された動力は、リヤディファレンシャル装置113によって左後輪101c及び右後輪101dへ分配して伝達される。
【0026】
トランスファクラッチ107及びリヤディファレンシャルクラッチ111の締結状態は、制御装置200によって制御される。制御装置200は、トランスファクラッチ107及びリヤディファレンシャルクラッチ111の締結状態を制御することによって、車両10における前後輪の駆動力の配分の制御である駆動力配分制御を実行可能である。
【0027】
具体的には、制御装置200は、トランスファクラッチ107及びリヤディファレンシャルクラッチ111を締結させることによって、車両10の駆動状態を前輪及び後輪の双方へ駆動力が配分される4輪駆動状態にすることができる。それにより、車両10の安定性の向上を重視した走行を実現することができる。また、制御装置200は、トランスファクラッチ107及びリヤディファレンシャルクラッチ111を開放させることによって、車両10の駆動状態を前輪へのみ駆動力が配分される2輪駆動状態にすることができる。それにより、エンジン103から出力された動力の一部がプロペラシャフト109の回転に費やされることを防止することができるので、燃費の向上を重視した走行を実現することができる。
【0028】
車輪速センサ121a,121b,121c,121dは、それぞれ左前輪101a、右前輪101b、左後輪101c及び右後輪101dの車輪速を検出し、検出結果を制御装置200へ出力する。車輪速センサ121は、車両10に搭載されるセンサの一例に相当する。また、車輪速センサ121から出力される検出結果は、車両10に搭載されるセンサから出力される情報であるセンサ情報の一例に相当する。
【0029】
通信装置170は、車両10の外部の装置と通信を行う。具体的には、通信装置170は、外部の装置から送信される情報である外部情報を受信する。このように、車両10は、通信装置170を用いて外部の装置と通信を行うことによって外部情報を取得することができる。外部の装置は、具体的には、車両10と異なる他の車両又は基地局を含み得る。以下、
図2を参照して、車両10が属する通信システム1の概略構成について具体的に説明する。
【0030】
図2は、本実施形態に係る車両10が属する通信システム1の概略構成の一例を示す模式図である。通信システム1は、例えば、
図2に示したように、車両10と、車両10と異なる他の車両11と、車両10と異なる他の車両12と、基地局71と、基地局72と、管理サーバ50とを含む。
【0031】
他の車両11は、車両10と通信可能な範囲内に位置する車両の一例である。他の車両12は、車両10と通信可能な範囲外に位置する車両の一例である。基地局71は、車両10と通信可能な範囲内に位置する基地局の一例である。基地局72は、車両10と通信可能な範囲外に位置する基地局の一例である。基地局71及び基地局72は、例えば、車両10の走行路に設置される路側機であってもよい。
【0032】
他の車両11及び他の車両12の各々は、通信装置を備え、外部の装置と通信可能である。また、他の車両11及び他の車両12の各々は、各車輪の車輪速を検出可能なセンサを備え、センサから出力される検出結果に基づいて路面の摩擦係数を車両制御に用いられ外部環境に関連するパラメータとして決定し得る。
【0033】
基地局71及び基地局72は、管理サーバ50と有線又は無線の通信ネットワークN1を介して相互に通信可能である。管理サーバ50は、各基地局を介して各車両から送信される情報を受信し、記憶する。各基地局は、管理サーバ50に記憶される情報を各車両へ送信する。
【0034】
車両10は、他の車両11と車車間通信を行うことによって他の車両11から送信される外部情報を取得し得る。他の車両11から送信される外部情報は、例えば、他の車両11によって決定された路面の摩擦係数を示す情報を含む。また、他の車両11から送信される外部情報は、他の車両11に搭載されるセンサから出力される検出結果、他の車両11に搭載されるセンサの種類を示す情報又は他の車両11の車種を示す情報を含んでもよい。
【0035】
また、車両10は、基地局71と路車間通信を行うことによって基地局71から送信される外部情報を取得し得る。基地局71から送信される外部情報は、例えば、他の車両12によって決定された路面の摩擦係数を示す情報を含む。また、基地局71から送信される外部情報は、他の車両12に搭載されるセンサから出力される検出結果、他の車両12に搭載されるセンサの種類を示す情報又は他の車両12の車種を示す情報を含んでもよい。また、基地局71から送信される外部情報は、天気を示す情報を含んでもよい。
【0036】
制御装置200は、演算処理装置であるCPU(Central Processing Unit)、CPUが使用するプログラムや演算パラメータ等を記憶する記憶素子であるROM(Read Only Memory)、CPUの実行において適宜変化するパラメータ等を一時記憶する記憶素子であるRAM(Random Access Memory)等で構成される。
【0037】
制御装置200は、車両10を構成する各装置の動作を制御する。例えば、制御装置200は、制御対象である各装置に対して電気信号を用いて動作指示を出力することによって、各装置の動作を制御する。具体的には、制御装置200は、エンジン103の動作を制御することによって、エンジン103の出力を制御することができる。また、制御装置200は、トランスミッション105の動作を制御することによって、トランスミッション105における変速比を制御することができる。また、制御装置200は、上述したように、トランスファクラッチ107及びリヤディファレンシャルクラッチ111の動作を制御することによって、トランスファクラッチ107及びリヤディファレンシャルクラッチ111の締結状態を制御することができる。
【0038】
制御装置200は、上述したように車両10を構成する各装置の動作を制御することによって、車両10の走行に関する制御である走行制御を実行可能である。走行制御は、車両10に関する制御である車両制御の一例である。このように、車両制御は、走行制御を含み得る。例えば、制御装置200は、上述したように、トランスファクラッチ107及びリヤディファレンシャルクラッチ111の締結状態を制御することによって、駆動力配分制御を走行制御として実行可能である。このように、走行制御は、駆動力配分制御を含み得る。
【0039】
走行制御は、車両10の走行に関する制御であればよく、駆動力配分制御と異なる他の制御を含んでもよい。例えば、走行制御は、車両10における各駆動輪へ付与される駆動力の制御である駆動力制御を含んでもよい。制御装置200は、エンジン103の出力及びトランスミッション105における変速比を制御することによって、駆動力制御を走行制御として実行可能である。
【0040】
制御装置200は、各装置から出力された情報を受信する。制御装置200と各装置との通信は、例えば、CAN(Controller Area Network)通信を用いて実現される。例えば、制御装置200は、車輪速センサ121から出力される検出結果をセンサ情報として受信する。また、制御装置200は、通信装置170から出力される外部情報を受信する。なお、本実施形態に係る制御装置200が有する機能は複数の制御装置により分割されてもよく、その場合、当該複数の制御装置は、CAN等の通信バスを介して、互いに接続されてもよい。
【0041】
本実施形態に係る制御装置200は、センサ情報及び外部情報の双方を利用して車両制御に用いられ車両10の外部環境に関連するパラメータを決定する。また、制御装置200は、決定されたパラメータに基づいて車両制御を実行し得る。具体的には、制御装置200は、走行制御に用いられるパラメータとして路面の摩擦係数を決定する。また、制御装置200は、決定された摩擦係数に基づいて走行制御を実行し得る。本実施形態に係る制御装置200が行うパラメータの決定処理によれば、車両制御に用いられるパラメータの精度を向上させることができる。このような制御装置200の詳細については、次節にて説明する。
【0042】
<2.制御装置>
続いて、
図3〜
図6を参照して、本実施形態に係る制御装置200の詳細について説明する。
【0043】
[2−1.機能構成]
まず、
図3を参照して、本実施形態に係る制御装置200の機能構成について説明する。
図3は、本実施形態に係る制御装置200の機能構成の一例を示すブロック図である。
【0044】
制御装置200は、例えば、
図3に示したように、第1候補決定部211と、第2候補決定部212と、パラメータ決定部230と、制御部250とを含む。なお、制御装置200を構成する各機能部は、車輪速センサ121に例示される車両10に搭載されるセンサから出力されるセンサ情報及び通信装置170により受信される外部情報を適宜取得し得る。以下では、制御装置200が車両制御に用いられ車両10の外部環境に関連するパラメータとして路面の摩擦係数を決定する例について主に説明する。なお、摩擦係数は、具体的には、車両制御として走行制御に用いられる。また、以下では、路面の摩擦係数を単に摩擦係数とも称する。
【0045】
(第1候補決定部)
第1候補決定部211は、車両制御に用いられ車両10の外部環境に関連するパラメータの第1候補を、車両10の外部の装置から送信される情報である外部情報に基づいて決定する。また、第1候補決定部211は、第1候補を示す情報をパラメータ決定部230へ出力する。第1候補決定部211により決定された第1候補は、パラメータ決定部230が行うパラメータの決定処理に利用される。
【0046】
第1候補決定部211は、具体的には、摩擦係数の第1候補を他の車両11又は基地局71から送信される外部情報に基づいて決定する。
【0047】
例えば、第1候補決定部211は、他の車両11,12によって決定された摩擦係数を第1候補として決定する。
【0048】
また、第1候補決定部211は、他の車両11,12に搭載されるセンサから出力される検出結果に基づいて第1候補を決定してもよい。具体的には、第1候補決定部211は、後述する第2候補決定部212が行う車輪速センサ121から出力される検出結果に基づく摩擦係数の第2候補の決定処理と同様の処理によって、第1候補を決定し得る。
【0049】
また、第1候補決定部211は、外部情報として天気を示す情報を取得する場合、天気を示す情報に基づいて第1候補を決定してもよい。具体的には、第1候補決定部211は、天気の種類に応じて予め設定された設定値を第1候補として決定し得る。当該設定値は、制御装置200の記憶素子に予め記憶され得る。
【0050】
(第2候補決定部)
第2候補決定部212は、車両制御に用いられ車両10の外部環境に関連するパラメータの第2候補を、車両10に搭載されるセンサから出力される情報であるセンサ情報に基づいて決定する。また、第2候補決定部212は、第2候補を示す情報をパラメータ決定部230へ出力する。第2候補決定部212により決定された第2候補は、パラメータ決定部230が行うパラメータの決定処理に利用される。
【0051】
第2候補決定部212は、具体的には、摩擦係数の第2候補を車輪速センサ121から出力される検出結果に基づいて決定する。
【0052】
例えば、第2候補決定部212は、各車輪の車輪速と車体速との差に基づいて摩擦係数の第2候補を決定する。具体的には、第2候補決定部212は、各車輪の車輪速の平均値に相当する値を車両10の車体の速度である車体速として算出し得る。なお、車両10に加速度センサが搭載される場合、第2候補決定部212は、加速度センサの検出結果に基づいて車体速を算出してもよい。また、第2候補決定部212は、各車輪の車輪速と車体速との差のうちの最大値に応じた値を摩擦係数の第2候補として決定し得る。
【0053】
また、第2候補決定部212は、前後輪の車輪速の差に基づいて摩擦係数の第2候補を決定してもよい。具体的には、第2候補決定部212は、左前輪101a及び右前輪101bの車輪速の平均値と左後輪101c及び右後輪101dの車輪速の平均値との差に応じた値を第2候補として決定し得る。
【0054】
(パラメータ決定部)
パラメータ決定部230は、車両制御に用いられ車両10の外部環境に関連するパラメータを、第1候補、第2候補、外部情報の信頼度である第1信頼度及びセンサ情報の信頼度である第2信頼度に基づいて決定する。また、パラメータ決定部230は、決定したパラメータを示す情報を制御部250へ出力する。パラメータ決定部230により決定されたパラメータは、制御部250が行う車両制御に利用される。なお、第1候補及び第2候補は、上述したように、それぞれ外部情報及びセンサ情報に基づいて決定される。ゆえに、第1信頼度及び第2信頼度は、それぞれ第1候補及び第2候補の信頼度にも相当する。
【0055】
パラメータ決定部230は、具体的には、第1信頼度及び第2信頼度を決定し、走行制御に用いられる摩擦係数を第1候補、第2候補、第1信頼度及び第2信頼度に基づいて決定する。
【0056】
パラメータ決定部230は、例えば、
図3に示したように、第1信頼度決定部231と、第2信頼度決定部232と、重み付け加算部233とを含む。
【0057】
第1信頼度決定部231は、外部情報の信頼度である第1信頼度を決定する。また、第1信頼度決定部231は、第1信頼度を示す情報を重み付け加算部233へ出力する。第1信頼度決定部231により決定された第1信頼度は、重み付け加算部233が行う処理に利用される。
【0058】
第1信頼度決定部231は、具体的には、他の車両11又は基地局71から送信される外部情報のうち摩擦係数の第1候補の決定に利用される外部情報の信頼度を第1信頼度として決定する。
【0059】
例えば、第1信頼度決定部231は、第1信頼度を第1候補の決定に利用される外部情報と対応する他の車両11,12に関する情報に基づいて決定する。それにより、他の車両11,12に関する情報の各々に応じて適切に第1信頼度を決定することができる。他の車両11,12に関する情報は、他の車両11,12に搭載されるセンサの種類を示す情報、他の車両11,12の車種を示す情報及び他の車両11,12に搭載されるセンサから出力される検出結果を含み得る。
【0060】
具体的には、第1信頼度決定部231は、第1信頼度を第1候補の決定に利用される外部情報と対応する他の車両11,12に搭載されるセンサの種類を示す情報に基づいて決定し得る。より具体的には、第1信頼度決定部231は、他の車両11,12に搭載されるセンサの測定精度が高いほど、大きな値を第1信頼度として決定し得る。ここで、第1候補の決定に利用される外部情報は、上述したように、車両10と異なる他の車両11,12に搭載されるセンサから出力される検出結果に基づいた情報を含み得る。このような場合に、第1信頼度を当該センサの種類を示す情報に基づいて決定し、第2信頼度を後述するように車両10に搭載されるセンサの種類を示す情報に基づいて決定することによって、他の車両11,12と車両10に搭載されるセンサの種類の差異に応じて適切に第1信頼度及び第2信頼度を決定することができる。
【0061】
第1信頼度決定部231は、第1信頼度を第1候補の決定に利用される外部情報と対応する他の車両11,12の車種を示す情報に基づいて決定してもよい。より具体的には、第1信頼度決定部231は、当該他の車両11,12が電気自動車である場合、エンジン車である場合と比較して大きな値を第1信頼度として決定し得る。摩擦係数を算出するにあたり、駆動力を利用する際にはエンジン車よりも電気自動車の方が瞬間的な駆動力をより正確に把握できるからである。また、第1信頼度決定部231は、当該他の車両11,12が2輪駆動車である場合、4輪駆動車である場合と比較して大きな値を第1信頼度として決定し得る。摩擦係数を算出するにあたり、車輪速を利用して車体速を算出する際には4輪駆動車よりも2輪駆動車の方が従動輪に基づいて車体速をより正確に把握できるからである。それにより、他の車両11,12の車種に応じて適切に第1信頼度を決定することができる。
【0062】
第1信頼度決定部231は、第1信頼度を第1候補の決定に利用される外部情報と対応する他の車両11,12に搭載されるセンサから出力される検出結果に基づいて決定してもよい。より具体的には、第1信頼度決定部231は、当該他の車両11,12に搭載されるセンサから出力される検出結果のばらつきが小さいほど、大きな値を第1信頼度として決定し得る。それにより、他の車両11,12に搭載されるセンサから出力される検出結果のばらつきに応じて適切に第1信頼度を決定することができる。
【0063】
また、第1信頼度決定部231は、第1候補の決定に利用される外部情報が天気を示す情報である場合、第1信頼度を予め設定される設定値に決定してもよい。当該設定値は、制御装置200の記憶素子に予め記憶され得る。当該設定値は、具体的には、第1候補の決定に利用された外部情報と対応する他の車両11,12に関する情報に基づいて決定される第1信頼度の値と比較して低い値に設定され得る。
【0064】
第2信頼度決定部232は、センサ情報の信頼度である第2信頼度を決定する。また、第2信頼度決定部232は、第2信頼度を示す情報を重み付け加算部233へ出力する。第2信頼度決定部232により決定された第2信頼度は、重み付け加算部233が行う処理に利用される。
【0065】
第2信頼度決定部232は、具体的には、車輪速センサ121から出力される検出結果の信頼度を第2信頼度として決定する。
【0066】
例えば、第2信頼度決定部232は、第2信頼度を車輪速センサ121の種類に基づいて決定する。具体的には、第2信頼度決定部232は、車輪速センサ121の測定精度が高いほど、大きな値を第2信頼度として決定し得る。車輪速センサ121の種類を示す情報は、制御装置200の記憶素子に予め記憶され得る。それにより、車両10に搭載されるセンサの種類に応じて適切に第2信頼度を決定することができる。
【0067】
また、第2信頼度決定部232は、第2信頼度を車輪速センサ121から出力される検出結果に基づいて決定してもよい。具体的には、第2信頼度決定部232は、車輪速センサ121から出力される検出結果のばらつきが小さいほど、大きな値を第2信頼度として決定し得る。それにより、車両10に搭載されるセンサから出力される検出結果のばらつきに応じて適切に第2信頼度を決定することができる。
【0068】
重み付け加算部233は、第1信頼度及び第2信頼度の比率に応じて第1候補及び第2候補を重み付け加算して得られる値を車両制御に用いられ車両10の外部環境に関連するパラメータとして決定する。また、重み付け加算部233は、決定したパラメータを示す情報を制御部250へ出力する。重み付け加算部233により決定されたパラメータは、制御部250が行う車両制御に利用される。
【0069】
重み付け加算部233は、具体的には、第1信頼度及び第2信頼度の比率に応じて摩擦係数の第1候補及び摩擦係数の第2候補を重み付け加算して得られる値を走行制御に用いられる摩擦係数として決定する。
【0070】
重み付け加算部233は、例えば、下記の式(1)に基づいて、走行制御に用いられる摩擦係数μを決定し得る。
【0072】
式(1)において、μ1、μ2、κ1及びκ2は、それぞれ摩擦係数の第1候補、摩擦係数の第2候補、第1信頼度及び第2信頼度を示す。
【0073】
具体的には、第1候補μ1、第2候補μ2、第1信頼度κ1及び第2信頼度κ2としてそれぞれ0.4、0.5、2及び1が決定された場合、重み付け加算部233は略0.43を摩擦係数μとして決定する。
【0074】
ここで、外部情報及びセンサ情報は誤差を有するので、外部情報に基づいて決定される第1候補及びセンサ情報に基づいて決定される第2候補はそれぞれ誤差を有する。また、パラメータの真値は、第1候補及び第2候補のうち信頼度が高い情報に基づいて決定される候補に近い可能性が高く、さらに第1候補と第2候補の間に存在する可能性が高い。
【0075】
本実施形態に係るパラメータ決定部230は、上述したように、車両制御に用いられ車両10の外部環境に関連するパラメータを、第1候補、第2候補、第1信頼度及び第2信頼度に基づいて決定する。具体的には、パラメータ決定部230は、第1信頼度及び第2信頼度の比率に応じて第1候補及び第2候補を重み付け加算して得られる値を車両制御に用いられ車両10の外部環境に関連するパラメータとして決定する。それにより、外部情報及びセンサ情報のうちいずれか一方を利用してパラメータを決定する場合と比較して精度良くパラメータを決定することができる。ゆえに、車両制御に用いられるパラメータの精度を向上させることができる。よって、車両制御をより精度良く実行することができる。
【0076】
(制御部)
制御部250は、車両制御をパラメータ決定部230により決定されたパラメータに基づいて実行する。具体的には、制御部250は、車両10を構成する各装置に対して決定されたパラメータに基づく動作指示を出力することによって、車両制御を実行する。
【0077】
制御部250は、より具体的には、車両制御として走行制御をパラメータ決定部230により決定された摩擦係数に基づいて実行する。
【0078】
例えば、制御部250は、走行制御として車両10における前後輪の駆動力の配分の制御である駆動力配分制御を決定された摩擦係数に基づいて実行する。
【0079】
具体的には、制御部250は、決定された摩擦係数が閾値より低い場合に、トランスファクラッチ107及びリヤディファレンシャルクラッチ111を締結させることによって、車両10の駆動状態を4輪駆動状態にする。それにより、摩擦係数が比較的低い低μ路の走行時に、車両10の安定性の向上を重視した走行を実現することができる。閾値は、例えば、車両10の走行路面が凍結している路面等の低μ路であるか否かを判定し得る値に適宜設定される。
【0080】
一方、制御部250は、決定された摩擦係数が閾値以上である場合に、トランスファクラッチ107及びリヤディファレンシャルクラッチ111を開放させることによって、車両10の駆動状態を2輪駆動状態にする。それにより、摩擦係数が比較的高い高μ路の走行時に、エンジン103から出力された動力の一部がプロペラシャフト109の回転に費やされることを防止することができるので、燃費の向上を重視した走行を実現することができる。
【0081】
制御部250は、走行制御として車両10における各駆動輪へ付与される駆動力の制御である駆動力制御を決定された摩擦係数に基づいて実行してもよい。
【0082】
具体的には、制御部250は、決定された摩擦係数に応じて各駆動輪へ付与される駆動力を規制してもよい。例えば、制御部250は、決定された摩擦係数が小さいほど各駆動輪へ付与され得る駆動力の最大値を小さな値に設定してもよい。それにより、駆動輪のスリップの発生を摩擦係数に応じて適切に抑制することができる。
【0083】
[2−2.動作]
続いて、
図4〜
図6を参照して、本実施形態に係る制御装置200が行う処理の流れについて説明する。
【0084】
まず、
図4に示すフローチャートを参照して、本実施形態に係る制御装置200による制御フローについて説明する。
図4は、本実施形態に係る制御装置200が行う処理の流れの一例を示すフローチャートである。制御装置200は、例えば、
図4に示した処理を設定時間おきに繰り返し実行する。
【0085】
図4に示したように、まず、第1候補決定部211は、車両10の外部の装置から送信される情報である外部情報を取得する(ステップS501)。次に、第1候補決定部211は、パラメータの第1候補を外部情報に基づいて決定し(ステップS503)、第1候補を示す情報をパラメータ決定部230へ出力する。次に、第1信頼度決定部231は、外部情報の信頼度である第1信頼度を決定し(ステップS505)、第1信頼度を示す情報を重み付け加算部233へ出力する。
【0086】
そして、第2候補決定部212は、車両10に搭載されるセンサから出力される情報であるセンサ情報を取得する(ステップS507)。次に、第2候補決定部212は、パラメータの第2候補をセンサ情報に基づいて決定し(ステップS509)、第2候補を示す情報をパラメータ決定部230へ出力する。次に、第2信頼度決定部232は、センサ情報の信頼度である第2信頼度を決定し(ステップS511)、第2信頼度を示す情報を重み付け加算部233へ出力する。
【0087】
そして、重み付け加算部233は、第1信頼度及び第2信頼度の比率に応じて第1候補及び第2候補を重み付け加算して得られる値を車両制御に用いられるパラメータとして決定し(ステップS513)、決定したパラメータを示す情報を制御部250へ出力する。次に、制御部250は、車両制御をパラメータ決定部230により決定されたパラメータに基づいて実行し(ステップS515)、
図4に示した処理は終了する。
【0088】
続いて、
図5及び
図6を参照して、本実施形態に係る制御装置200によってパラメータとして決定される摩擦係数の推移について説明する。
【0089】
図5は、本実施形態に係る制御装置200によって決定される第1信頼度及び第2信頼度の推移の一例を示す模式図である。
図5では、第1信頼度及び第2信頼度が一点鎖線及び破線によってそれぞれ示されている。
図6は、本実施形態に係る制御装置200によって決定される摩擦係数の推移の一例を示す模式図である。
図6では、摩擦係数の第1候補、摩擦係数の第2信頼度及び走行制御に用いられる摩擦係数が一点鎖線、破線及び実線によってそれぞれ示されている。
【0090】
互いに異なる情報の信頼度である第1信頼度及び第2信頼度は、互いに異なり得る。例えば、
図5に示した例では、外部情報の信頼度である第1信頼度はセンサ情報の信頼度である第2信頼度と比較して高い。換言すると、
図5に示した例では、外部情報はセンサ情報と比較して高い信頼度を有する。なお、パラメータ決定部230は、上述したように、例えば、車両10に応じて予め設定される値を第2信頼度として決定する。ゆえに、第2信頼度の時間変化率は、
図5に示したように、第1信頼度と比較して小さくなりやすい。
【0091】
また、互いに異なる情報に基づいて決定される摩擦係数の第1候補及び第2候補は、互いに異なり得る。例えば、
図6に示した例では、外部情報に基づいて決定される第1候補はセンサ情報に基づいて決定される第2候補と比較して小さい。
【0092】
本実施形態では、パラメータ決定部230は、例えば、走行制御に用いられる摩擦係数を、第1候補、第2候補、第1信頼度及び第2信頼度に基づいて決定する。具体的には、パラメータ決定部230は、第1信頼度及び第2信頼度の比率に応じて第1候補及び第2候補を重み付け加算して得られる値を走行制御に用いられる摩擦係数として決定する。それにより、
図6に示したように、走行制御に用いられる摩擦係数を、第1候補及び第2候補のうち信頼度が高い外部情報に基づいて決定される第1候補に近く、かつ、第1候補と第2候補の間に存在する値に決定することができる。よって、外部情報及びセンサ情報のうちいずれか一方を利用して摩擦係数を決定する場合と比較して精度良く摩擦係数を決定することができる。ゆえに、走行制御に用いられる摩擦係数の精度を向上させることができる。
【0093】
<3.応用例>
続いて、
図7〜
図11を参照して、応用例に係る制御装置300について説明する。応用例に係る制御装置300は、上述した制御装置200と比較して、車両10と外部の装置との通信の異常が発生しているか否かの判定処理を実行する点及び当該判定処理による判定結果に応じた各処理を実行する点について異なる。なお、応用例に係る制御装置300は、上述した制御装置200と同様に、例えば、
図1及び
図2を参照して説明した車両10に適用され得る。
【0094】
[3−1.機能構成]
まず、
図7を参照して、応用例に係る制御装置300の機能構成について説明する。
図7は、応用例に係る制御装置300の機能構成の一例を示すブロック図である。
【0095】
制御装置300は、例えば、
図7に示したように、第1候補決定部311と、第2候補決定部212と、パラメータ決定部330と、制御部250と、判定部310とを含む。このように、応用例に係る制御装置300は、上述した制御装置200と比較して、判定部310をさらに備える。また、応用例に係る第1候補決定部311及びパラメータ決定部330は、上述した第1候補決定部211及びパラメータ決定部230が行う処理の他に、判定部310が行う判定処理による判定結果に応じた各処理をさらに実行する。
【0096】
(判定部)
判定部310は、車両10と外部の装置との通信の異常が発生しているか否かを判定する。また、判定部310は、判定結果を第1候補決定部311及びパラメータ決定部330へ出力する。判定部310が行う判定処理による判定結果は、第1候補決定部311が行う第1候補の決定処理及びパラメータ決定部230が行うパラメータの決定処理に利用される。以下では、車両10と外部の装置との通信の異常を、単に通信の異常とも称する。なお、通信の異常とは、通信が正常に行われていない状態(例えば、通信が断絶されている状態)を意味する。
【0097】
判定部310は、具体的には、車両10の通信装置170と他の車両11又は基地局71との通信の異常が発生しているか否かを判定する。
【0098】
例えば、判定部310は、通信装置170から他の車両11又は基地局71へ送信される通信の要求信号に対して他の車両11又は基地局71から通信装置170へ送信される通信の応答信号に基づいて、通信装置170と他の車両11又は基地局71との通信の異常が発生しているか否かを判定する。
【0099】
また、判定部310は、車両10の位置情報に基づいて車両10がトンネル内に位置すると判定したことをもって、通信装置170と基地局71との通信の異常が発生したと判定してもよい。この場合、車両10には、例えば、GPS(Global Positioning System)衛星からの電波を受信して現在位置を算出するGPS受信機が搭載され、判定部310はGPS受信機から出力される算出結果に基づいて車両10の位置情報を取得し得る。なお、判定部310は、車両10の位置情報に基づいて車両10が他の車両11と通信可能な範囲外へ移動したと判定したことをもって、通信装置170と他の車両11との通信の異常が発生したと判定してもよい。
【0100】
また、判定部310は、通信装置170が故障していると判定したことをもって、通信装置170と他の車両11又は基地局71との通信の異常が発生していると判定してもよい。この場合、車両10には、例えば、通信装置170の故障を検出可能なセンサが搭載され、判定部310は当該センサから出力される検出結果に基づいて通信装置170が故障しているか否かを判定し得る。
【0101】
(第1候補決定部)
第1候補決定部311は、通信の異常が発生した場合、車両制御に用いられ車両10の外部環境に関連するパラメータの第1候補を外部情報に基づいて直近に決定した値に維持する。
【0102】
第1候補決定部311は、具体的には、判定部310により通信の異常が発生していると判定された場合、摩擦係数の第1候補を外部情報に基づいて直近に決定した値に維持する。
【0103】
ここで、通信の異常が発生した後において、制御装置300は外部情報を取得することが困難となる。第1候補決定部311は、通信の異常が発生していると判定された場合、換言すると、摩擦係数の第1候補を通信の異常が発生するより前において直近に決定した値に維持する。それにより、車両10と外部の装置との通信の異常が発生した場合において、第1候補を尤もらしい値に決定することができる。
【0104】
例えば、第1候補決定部311は、各時刻において決定したパラメータの第1候補を制御装置300の記憶素子に記憶させ、通信の異常が発生した後において過去に決定した第1候補を参照してもよい。
【0105】
(パラメータ決定部)
パラメータ決定部330は、通信の異常が発生した場合、車両制御に用いられ車両10の外部環境に関連するパラメータを第2候補に近づけるように除変させる。
【0106】
パラメータ決定部330は、具体的には、判定部310により通信の異常が発生していると判定された場合、走行制御に用いられる摩擦係数を第2候補に近づけるように除変させる。
【0107】
パラメータ決定部330は、例えば、
図7に示したように、第1信頼度決定部331と、第2信頼度決定部232と、重み付け加算部233とを含む。応用例に係る第1信頼度決定部331は、上述した第1信頼度決定部231が行う処理の他に、判定部310が行う判定処理による判定結果に応じた各処理をさらに実行する。
【0108】
第1信頼度決定部331は、通信の異常が発生した場合、第1信頼度を時間の経過に伴って低下させる。
【0109】
第1信頼度決定部331は、具体的には、判定部310により通信の異常が発生していると判定された場合、第1信頼度を時間の経過に伴って低下させる。ここで、重み付け加算部233は、通信の異常が発生した場合においても、第1信頼度及び第2信頼度の比率に応じて第1候補及び第2候補を重み付け加算して得られる値を車両制御に用いられるパラメータとして決定する。例えば、重み付け加算部233は、上述したように、式(1)に基づいて走行制御に用いられる摩擦係数を決定する。ゆえに、通信の異常が発生した場合において、走行制御に用いられる摩擦係数を第2候補に近づけるように除変させることができる。
【0110】
例えば、第1信頼度決定部331は、通信の異常が発生していると判定された場合、走行制御に用いられる摩擦係数の急峻な変化を防止し得るような時間変化率で第1信頼度を0へ移行させる。
【0111】
ここで、車両10と外部の装置との通信の異常が発生した場合、上述したように、制御装置300は外部情報を取得することが困難となる。このような場合、パラメータの決定処理を外部情報及びセンサ情報の双方を利用した処理からセンサ情報のみを利用した処理へステップ的に切り替えることが考えられる。また、通信の異常が発生した場合における切り替え後のセンサ情報のみを利用した処理として、例えば、第2候補を車両制御に用いられるパラメータとして決定する処理を適用することが考えられる。通信の異常が発生した場合においてパラメータの決定処理を上記のようにステップ的に切り替えた場合、パラメータの真値の変化と関係なく車両制御に用いられるパラメータが急峻に変化するおそれがある。それにより、車両挙動が不安定となり得る。
【0112】
応用例に係るパラメータ決定部330は、上述したように、車両10と外部の装置との通信の異常が発生した場合、車両制御に用いられ車両10の外部環境に関連するパラメータを第2候補に近づけるように除変させる。具体的には、パラメータ決定部330は、車両10と外部の装置との通信の異常が発生した場合、第1信頼度を時間の経過に伴って低下させることによって車両制御に用いられ車両10の外部環境に関連するパラメータを除変させる。それにより、通信の異常が発生した場合に、車両制御に用いられるパラメータが急峻に変化することを抑制しつつ、パラメータの決定処理を継続することができる。ゆえに、車両挙動が不安定となることを抑制することができる。
【0113】
また、車両10の外部環境に関連するパラメータの真値は、一般に時間変化率が比較的小さい。ゆえに、通信の異常が発生した場合において車両制御に用いられるパラメータが急峻に変化することを抑制することによって、パラメータの真値と車両制御に用いられるパラメータとの乖離が増大することを抑制することができる。それにより、車両制御をより適切に実行することができる。
【0114】
[3−2.動作]
続いて、
図8〜
図11を参照して、応用例に係る制御装置300が行う処理の流れについて説明する。
【0115】
まず、
図8に示すフローチャートを参照して、応用例に係る制御装置300による制御フローについて説明する。
図8は、応用例に係る制御装置300が行う処理の流れの一例を示すフローチャートである。応用例に係る制御装置300が行う処理の流れは、上述した制御装置200が行う処理の流れと比較して、センサ情報の取得処理(ステップS507)より前の処理について異なる。
【0116】
図8に示したように、まず、判定部310は、車両10と外部の通信装置との通信の異常が発生しているか否かを判定する(ステップS601)。通信の異常が発生していないと判定された場合(ステップS601/NO)、第1候補決定部311は、車両10の外部の装置から送信される情報である外部情報を取得する(ステップS501)。次に、第1候補決定部311は、パラメータの第1候補を外部情報に基づいて決定し(ステップS503)、第1候補を示す情報をパラメータ決定部330へ出力する。次に、第1信頼度決定部331は、外部情報の信頼度である第1信頼度を決定し(ステップS505)、第1信頼度を示す情報を重み付け加算部233へ出力する。そして、第2候補決定部212によるセンサ情報の取得処理(ステップS507)へ進む。
【0117】
一方、通信の異常が発生していると判定された場合(ステップS601/YES)、第1候補決定部311は、パラメータの第1候補を外部情報に基づいて直近に決定した値に維持する(ステップS603)。次に、第1信頼度決定部331は、第1信頼度を時間の経過に伴って低下させる(ステップS605)。そして、第2候補決定部212によるセンサ情報の取得処理(ステップS507)へ進む。
【0118】
続いて、
図9〜
図11を参照して、参考例に係る制御装置及び応用例に係る制御装置300によってパラメータとして決定される摩擦係数の推移について説明する。
【0119】
図9は、参考例に係る制御装置によって決定される摩擦係数の推移の一例を示す模式図である。
図9では、摩擦係数の第1候補、摩擦係数の第2信頼度及び走行制御に用いられる摩擦係数が一点鎖線、破線及び実線によってそれぞれ示されている。なお、
図9では、時刻T1において通信の異常が発生した場合における摩擦係数の推移の一例が示されている。
【0120】
参考例に係る制御装置は、応用例に係る制御装置300と比較して、車両と外部の装置との通信の異常が発生した場合、パラメータの決定処理を外部情報及びセンサ情報の双方を利用した処理からセンサ情報のみを利用した処理へステップ的に切り替える点について異なる。参考例に係る制御装置は、通信の異常が発生した場合における切り替え後のセンサ情報のみを利用した処理として、第2候補を車両制御に用いられるパラメータとして決定する処理を適用する。
【0121】
具体的には、参考例では、通信の異常が発生した時刻T1より前において、走行制御に用いられる摩擦係数は外部情報及びセンサ情報の双方を利用して決定される。例えば、
図9に示したように、時刻T1より前において、走行制御に用いられる摩擦係数は第1候補及び第2候補を重み付け加算して得られる値に決定される。
【0122】
また、参考例では、通信の異常が発生した時刻T1において、パラメータの決定処理が外部情報及びセンサ情報の双方を利用した処理からセンサ情報のみを利用した処理へステップ的に切り替えられる。それにより、時刻T1以後において、走行制御に用いられる摩擦係数はセンサ情報のみを利用して決定される。例えば、
図9に示したように、時刻T1以後において、第2候補が走行制御に用いられる摩擦係数として決定される。
【0123】
ゆえに、通信の異常が発生した時刻T1において、
図9に示したように、摩擦係数の真値の変化と関係なく走行制御に用いられる摩擦係数が急峻に変化し得る。それにより、車両挙動が不安定となり得る。
【0124】
図10は、応用例に係る制御装置300によって決定される第1信頼度及び第2信頼度の推移の一例を示す模式図である。
図10では、第1信頼度及び第2信頼度が一点鎖線及び破線によってそれぞれ示されている。
図11は、応用例に係る制御装置300によって決定される摩擦係数の推移の一例を示す模式図である。
図11では、摩擦係数の第1候補、摩擦係数の第2信頼度及び走行制御に用いられる摩擦係数が一点鎖線、破線及び実線によってそれぞれ示されている。なお、
図10及び
図11では、時刻T1において通信の異常が発生した場合における第1信頼度及び第2信頼度の推移並びに摩擦係数の推移の一例がそれぞれ示されている。
【0125】
応用例に係る制御装置300は、上述したように、通信の異常が発生した場合、車両制御に用いられ車両10の外部環境に関連するパラメータを第2候補に近づけるように除変させる。例えば、パラメータ決定部330は、通信の異常が発生した場合、第1信頼度を時間の経過に伴って低下させることによって車両制御に用いられ車両10の外部環境に関連するパラメータを除変させる。
【0126】
具体的には、パラメータ決定部330は、通信の異常が発生した時刻T1以後において、
図10に示したように、第1信頼度を時間の経過に伴って低下させて0へ移行させる。例えば、パラメータ決定部330は、通信の異常が発生した時刻T1以後において、走行制御に用いられる摩擦係数の急峻な変化を防止し得るような時間変化率で第1信頼度を0へ移行させる。また、第1候補決定部311は、通信の異常が発生した時刻T1以後において、
図11に示したように、摩擦係数の第1候補を時刻T1において決定した値に維持する。
【0127】
ここで、パラメータ決定部330は、通信の異常が発生した時刻T1以後において、通信の異常が発生した時刻T1より前と同様に、第1信頼度及び第2信頼度の比率に応じて摩擦係数の第1候補及び第2候補を重み付け加算して得られる値を走行制御に用いられる摩擦係数として決定する。ゆえに、通信の異常が発生した時刻T1以後において、例えば、
図11に示したように、走行制御に用いられる摩擦係数を第2候補に近づけるように除変させることができる。
【0128】
よって、応用例によれば、時刻T1において走行制御に用いられる摩擦係数が急峻に変化することを抑制しつつ、時刻T1以後においてパラメータの決定処理を継続することができる。ゆえに、車両挙動が不安定となることを抑制することができる。
【0129】
また、時刻T1において走行制御に用いられる摩擦係数が急峻に変化することを抑制することによって、時刻T1以後において摩擦係数の真値と走行制御に用いられる摩擦係数との乖離が増大することを抑制することができる。それにより、走行制御をより適切に実行することができる。
【0130】
<4.むすび>
以上説明したように、本実施形態では、パラメータ決定部230は、車両制御に用いられ車両10の外部環境に関連するパラメータを、外部情報に基づいて決定されるパラメータの第1候補、センサ情報に基づいて決定されるパラメータの第2候補、外部情報の信頼度である第1信頼度及びセンサ情報の信頼度である第2信頼度に基づいて決定する。それにより、外部情報及びセンサ情報のうちいずれか一方を利用してパラメータを決定する場合と比較して精度良くパラメータを決定することができる。ゆえに、車両制御に用いられるパラメータの精度を向上させることができる。よって、車両制御をより精度良く実行することができる。
【0131】
なお、上記では、本発明に係る制御装置が上述した車両10に適用される例について説明したが、本発明に係る制御装置が適用され得る車両は斯かる例に限定されない。例えば、本発明に係る制御装置は、ハイブリッド自動車又は電気自動車に適用されてもよい。また、第2信頼度決定部232は、第2信頼度を制御装置200が搭載される車両の車種に基づいて決定してもよい。具体的には、第2信頼度決定部232は、制御装置200が電気自動車に搭載される場合、エンジン車に搭載される場合と比較して大きな値を第2信頼度として決定してもよい。なお、制御装置200が搭載される車両の車種を示す情報は、制御装置200の記憶素子に予め記憶され得る。
【0132】
また、上記では、制御装置200がパラメータとして摩擦係数を決定し、決定された摩擦係数に基づいて車両制御として走行制御を実行する例を主に説明したが、決定されるパラメータ及び当該パラメータを用いる車両制御は、斯かる例に限定されない。例えば、制御装置200はパラメータとして路面の勾配を決定し、決定した路面の勾配に基づいて走行制御を実行してもよい。また、制御装置200はパラメータとして外気温を決定し、決定した外気温に基づいて車両に搭載されるバッテリ等の装置の温度に関する制御である温度制御を車両制御として実行してもよい。温度制御は、例えば、車両に搭載される装置の性能低下又は故障を抑制するために、当該装置の温度が設定範囲内の温度になるように当該装置を調温する制御である。
【0133】
また、上記では、摩擦係数の第2候補の決定に利用されるセンサ情報を出力するセンサとして車輪速センサ121が車両10に搭載される例を説明したが、車両10に搭載されパラメータの第2候補の決定に利用されるセンサは斯かる例に限定されない。例えば、摩擦係数の第2候補の決定に利用されるセンサは、ミリ波を前方の路面に照射し、その反射波を捕捉することによって路面の水分量を測定し、水分量の測定結果に基づいて摩擦係数を検出可能なセンサであってもよい。また、摩擦係数の第2候補の決定に利用されるセンサは、路面を撮像し、得られる画像に画像処理を施すことによって摩擦係数を検出可能なセンサであってもよい。また、制御装置200がパラメータとして路面の勾配を決定する場合、路面の勾配の第2候補の決定に利用されるセンサは、加速度センサであってもよい。その場合、加速度センサから出力されるセンサ情報に基づいて路面の勾配の第2候補を決定し得る。また、制御装置200がパラメータとして外気温を決定する場合、外気温の第2候補の決定に利用されるセンサは、外気温を検出可能な温度センサであってもよい。その場合、温度センサから出力されるセンサ情報に基づいて外気温の第2候補を決定し得る。なお、車両10と異なる他の車両11,12に搭載されるセンサについても、車両10に搭載されるセンサと同様に、種々のセンサが適用され得る。
【0134】
また、本明細書においてフローチャートを用いて説明した処理は、必ずしもフローチャートに示された順序で実行されなくてもよい。いくつかの処理ステップは、並列的に実行されてもよい。例えば、
図4に示したフローチャートについて、ステップS501,S503,S505の処理はステップS507,S509,S511の処理の後に実行されてもよく、ステップS501,S503,S505の処理とステップS507,S509,S511の処理とは互いに並列的に実行されてもよい。また、ステップS503の処理はステップS505の処理の後に実行されてもよく、ステップS503の処理とステップS505の処理とは互いに並列的に実行されてもよい。また、ステップS509の処理はステップS511の処理の後に実行されてもよく、ステップS509の処理とステップS511の処理とは互いに並列的に実行されてもよい。また、
図8に示したフローチャートについて、ステップS501,S503,S505,S601,S603,S605の処理はステップS507,S509,S511の処理の後に実行されてもよく、ステップS501,S503,S505,S601,S603,S605の処理とステップS507,S509,S511の処理とは互いに並列的に実行されてもよい。また、追加的な処理ステップが採用されてもよく、一部の処理ステップが省略されてもよい。
【0135】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明は係る例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例又は応用例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。